ここには2006年12月のWhat New!を保存しています。

 


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この情報の最も新しい更新日は12月26(火)です。

米向けミサイル迎撃レーダー

追加配備

   米から打診

Xバンドレーダー

(朝日 12月26日 朝刊)

[概要]北朝鮮の連続ミサイル発射(7月)や核実験(10月)を受け、米国防総省が米国に向かうICBM(大陸間弾道弾ミサイル)を迎撃するため、日本に早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」の追加配備を求めていることがわかった。同レーダーは5月に空自・車力分屯基地(青森県)に配備されているが、さらに北朝鮮のミサイルを厳重に監視したいという米側の危機感が表れている。

 米側が11月中旬に日本政府に打診してきたのは、米本土に向かう「テポドン2」のミサイル監視が狙いだが、韓国に駐留している米軍や嘉手納基地(沖縄県)に向かって発射される弾道ミサイルの監視・追尾を強化する狙いもあるとされる。

 Xバンドレーダーは強力な電波を発するので、運び込む施設は海沿いの自衛隊の基地内で、日本海側の自衛隊基地に車両で持ち込むという。もし嘉手納が目標に想定された場合、九州か中国地方の日本海側の自衛隊基地が有力視されている。

 在日米軍は8月にSM3を搭載したイージス艦「シャイロー」を横須賀基地に配備し、9月には嘉手納基地にパトリオットPAC3を配置して運用している。

 ただ、米側の施設提供の条件として、日米安保条約では「日本の防衛と極東の平和維持」を掲げており、車力の配備の際に続き、日米安保との整合性を問う声が再燃する可能性がある。

[コメント]もしアメリカに向かう弾道ミサイル(ICBM)を監視・追尾するならXバンドレーダーは稚内周辺の基地になる。しかし7月に発射されたテポドン2は発射後の約40秒後に爆発(失敗)した。さらに弾道ミサイルの高度から車力分屯地のVXバンドレーダーで追尾が可能である。だからいくら米軍でも稚内にXバンドレーダーを配置することはない。

 となると嘉手納基地の攻撃を想定した配備となる。最初は在韓米軍を考量して、対馬の自衛隊基地への配備を想定したが、対馬なら海から北朝鮮の武装工作員が容易に潜入することを考えると、防御能力が微妙である。美保基地(鳥取県)では通信傍受施設にXバンド電波が干渉する。やはり九州の日本海側ということだろうか。

 在韓米軍を考えると対馬が最適に思うが、・・・・・・・。やはり対馬か。この場合、アメリカ向けは関係ないと思う。アメリカ向けで日本の集団的自衛権禁止を崩したいと思っても、九州や日本海側ではアメリカ向きにならない。

 アメリカとしては北朝鮮が崩壊する時に、混乱に乗じて在韓米軍や在地米軍に弾道ミサイルが発射されるのを警戒している。(作戦計画 5029) しかし北朝鮮問題が終われば、移動式Xバンドレーダーは対イラン向けとしてカタールやクエートに移動していく。

 もし嘉手納基地に弾道ミサイルが飛来すると、沖縄の反米軍運動は大きな高まりをみせることになる。東シナ海をめぐる覇権争いに与える影響は大きい。逆に沖縄の基地強化の動きが高まる可能性もある。中国の知恵として北朝鮮に「ミサイル発射」を耳打ちすることはないだろう。

※ この基地は空自の芦屋基地(福岡県)ではないかというメールが届いています。今日のメールにお返事を参照してください。

政府内部文書

核弾頭試作に

    3年以上

費用2000億円

  〜3000億円

非現実的

(産経 12月25日 朝刊)

[概要]日本が小型核弾頭を試作するまで、少なくとも3〜5年かかることが、政府の内部文章「核兵器の国産可能性について」と題した文書でわかった。日本にはウラン濃縮工場や原発の使用済み燃料の再処理技術・施設はあるが、技術的な問題で核兵器の製造には転用出来ないという。日本が核武装を行うにはゼロからの出発を確認したことなる。

 この文章はことし9月20日付けで作製され、10月9日の北朝鮮核実験に先立ってひそかに政府機関の専門家がとりまとめた。小型核弾頭の試作に3年以上、費用が2000億〜3000億円で、技術者数百人が必要という。だから仮に日本が核武装宣言しても北朝鮮の「核の脅威」抑止には間に合わない。

 日本にある高濃縮ウランやプルトニウムは軽水炉用で、核兵器の材料を作るには適さない。濃縮工場は純度3パーセント程度の低濃度ウランで、遠心分離器は故障などで短期の大規模化は困難。プルトニウム核弾頭もプルトニウム239を効率的に作り出すことが出来る黒鉛減速炉の建設と使用済み核燃料を再処理するラインを設置する必要がある。

 日本が小型核弾頭を作るには未知の技術開発に挑戦する必要がある。

[コメント]この記事には別のページに「核兵器の国産可能性にいて」の要約が掲載されている。それを合わせて読めば、法令や条約上の制約がない場合でも、未開発の技術と莫大な経費、また設備の大規模や管理上の難しさから、日本の核弾頭製造は時間がかかるという結論を出している。簡単に言えば、”出来ない”ということはない、しかし”日本なら簡単にできる”というものではないから”非現実的”との結論だ。

 これで日本の核武装論が沈静化するか、逆の立場で日本の核武装に反対する者を納得させることができるか。まさにそのあたりの効果を狙って公表されたと思う。私は8月頃に政府が核技術の専門家を呼んで、盛んに核兵器開発に関する研究会を開催していると聞いていた。00大学の元教授は政府に呼ばれて話したと聞いた。この00大学の教授は数年前にアメリカ政府にも呼ばれ、日本の核兵器開発の能力について証言した人である。それらがこの報告書になったのだろう。

 ちなみにこの教授は、米政府関係者から「あなたの子供が誘拐され、核兵器を作らなければ殺すと言われたらどうするか」という質問に、毅然として「子供を殺されても核兵器は作らない。作くれば多くの人を殺すことになる」と答えたという話しはアメリカでも有名である。この発言に米政府関係者は驚くとともに、日本人が反核に強い意思を持っていることに感動したという。(日本人なら当たり前のことだが、アメリカ人が驚いたということに文化の違いが)

 これ以外に日本には反中国、反ロシアなど核武装を理由で、日本も対抗して核兵器すべきと考える人がいる。また究極の破壊兵器である核兵器では、アメリカの核の傘は信頼出来ないから日本は核武装すべきと主張する人もいる。

 しかし自分の子供が殺されても核兵器を作るべきでないという主張が、私には一番信じられるし、最も信頼出来るように感じるている。今日の新聞には雑誌の広告に「日本核武装論」の特集がいくつかあった。中国やロシアの核兵器に対抗することが、本当に日本の平和と繁栄に結びつくのか。そのあたりのことを考えながら読んでみたい。

「6カ国」進展なく休会

  再開日程決まらず

議長声明 中国、成果なく苦渋

中国の威信 揺らぐ

対北朝鮮 力量問う声

(各紙 12月23日 朝刊)

[概要]北京で開催された6カ国協議は、北朝鮮の核実験後の開催にもかかわらず、核議論をすることなく休会を宣言した。あくまで核放棄への具体的な行動を求める5カ国に対して、北朝鮮は制裁解除が先と議論に応じなかった。中国が目標に据えた「作業部会の設置」も見送られ、次回開催の日程も決まらなかった。

 今日の朝刊各紙には、中国が北朝鮮にとる対応に、各国の不満や批判が多く掲載されている。中には6カ国協議の目的が変ったとか、北朝鮮を除く5カ国協議に切り替えるなどの案がでてきた。

 「北朝鮮の核実験を阻止できなかった中国には『限界説』が漂う。国連安保理の制裁決議に賛成したことで北朝鮮の反発を招き、コントロールが効かなかったとの見方もある」(朝日新聞) 「6カ国協議が北朝鮮の『討議拒否』により、何の進展もなく休会したことは、中国の外交的失敗を意味し、その威信は大きく損なわれた。議長国として協議を率いてきた中国は、基本戦略の見直しを迫られようとしている」(産経新聞) 「議長国・中国は協議再開自体を成果と見なす姿勢を貫き、北朝鮮の核議論をめぐる本格的議論ができなかった。そのため金融制裁解除だけにこだわる北朝鮮を核交渉のテーブルに戻すという重い課題を背負った」(読売新聞) 「中国の共産党中央や外務省内部では今、対北朝鮮外交を見直す声が高まりつつある。胡錦涛主席は国内メディアに北朝鮮批判を禁じているが、対米、対日関係を重視する中で、北朝鮮への制裁強化を含めた意見が台頭する可能性がある」(毎日新聞)

[コメント]議長国としてとにかく北朝鮮を6カ国協議に復帰させたい中国。6カ国協議は核放棄よりも先に経済制裁解除を求める北朝鮮。それに北朝鮮に対しとにかく核放棄を求める日・米・韓の立場。それらがイラン問題に飛び火しないように傍観を決めるロシア。というように各国が6カ国協議に臨む立場は様々である。これでは話し合いが前進するとか、合意することなど無理である。もともとの”6カ国協議は北朝鮮の核問題を協議する周辺国会議”の原点に返るか、それとも核実験を行い核武装を急ぐ北朝鮮への対応を協議する周辺国会議に変質させるかのどちらかである。

 すでに各国は後者の方にまとまりかけているが、中国がまだ北朝鮮の扱いを決めかねている。それも江沢民前主席と胡錦涛主席の権力争いである。胡錦涛主席が全政権を掌握すれば、北朝鮮の体制延命装置は取り外される。

 だから私は北朝鮮問題はもはや中国の内政問題に変わっていると指摘する。北朝鮮やアメリカが何かをやるのではなく、中国が北朝鮮をどのようにするかに係っている。

 今後、6カ国協議の再開が遅れたり、成果を上げることが出来ない機能不全に陥れば、さらに中国を非難する声は高まってくる。

 ひとつだけ確かなことは、北朝鮮の金正日は「核の放棄」など絶対に認めない。それこそは自らの権威を否定し、国民に自分の弱さを証明する行為につながるからだ。 

米大統領言明

米軍

  地上兵力を増強

イラク増派も視野

(産経 12月21日 朝刊)

[概要]ブッシュ大統領は20日、ホワイトハウスで記者会見を行い、「米陸軍と海兵隊の恒久的な兵力を増員する必要がある」と述べ、米軍地上兵力の本格的な増強に踏み切る方針を示した。これはイラクやアフガニスタンへの派遣など、対テロ戦争の長期化を受けた措置だ。同時に在日米軍などの見直し再編にも影響が予測される。

 イラク情勢では、「われわれは勝利していない」「(来年も)より困難な選択と新たな犠牲が必要になる」と語った。年明けに公表されるイラク政策について、「部隊の増派を含む全ての選択肢を考えている」と述べた。また新たな体制への人事刷新として、中東地域を管轄する中央軍のアビザイド司令官は、来年早期に辞任することを表明した。

 現在の米軍の地上兵力は陸軍が59万6000人(予備役を含む)で、海兵隊は18万7000人となっている。(数字はミリタリーバランス06年より)。

 アフガニスタン、イラクで戦闘が長期化する中で、「(現状の損害が続けば)陸軍は崩壊する」(シューメーカー陸軍参謀総長が今月中旬の米議会で)、「疑いなく軍は酷使されている」(ワシントン・ポスト紙のインタビューでブッシュ大統領)と、危機感が高まっている。

 年明けに向けて練り直されているイラク政策では、6〜8ヶ月の期間を想定して1万5000人〜3万人の部隊をイラクに増派する案が浮上している。また超党派で作る「イラク研究グループ」(ISG)の報告書では、イラク駐留米軍の役割を戦闘任務からイラク治安部隊の支援に転換し、08年3月までに戦闘部隊の削減をめざす方向を勧告している。

[コメント]巡航ミサイルなどの長射程兵器、精密誘導兵器、高度通信ネットワーク、無人偵察システムなど、兵器システムのハイテク化やRMA(軍事革命)で、米軍の兵力は大幅に減少することが確約されていた。ラムズフェルド前国防長官はそのことを確信して、イラク戦争に派遣する米軍の兵力を過小に見積もった。すると確かにタリバンやイラク軍は短期間に壊滅させたが、その後の占領統治では兵力不足が手痛い敗北を被ることになった。すなわち対テロやゲリラ戦では、RMA軍は勝てないのである。それどころか兵士(ゲリラ・テロリスト)と市民を分けて識別出来ない兵器は、無関係の人に誤爆や誤射を浴びせてしまった。そして占領地の住民に新たな憎しみを拡大させている。

 そして政治家が泥沼化する戦場に、さらに兵士の増派を軍に求めると、軍は兵士の増員を政治家に求めるという構図になる。その次は兵士の増員に怒った国民が、反戦気運を高め、次の選挙で戦争を進める権力者に手痛い敗北を与えるのである。だからブッシュ大統領が地上兵力の増派を求める先には、2年後の大統領選挙による敗北が待ち構えている。

 アメリカは何度も同じことを繰り返している。アメリカはなぜ自分たちと違う価値観や異なった社会体制を求めようとしないのか。アメリカ式の社会や価値観がベストではないと気がつかないのか。多くのアメリカの兵士が死に、その数百倍の人々がアメリカ軍に殺されている。

 日本の自衛隊が非正規戦に強いのは、専守防衛であるからである。市民の中に外国のゲリラやテロリストが紛れ込むことができない。自衛隊や警察は容易にゲリラと市民を区別することができるからである。だが自衛隊がイラクやアフガンで戦えば、泥沼に陥った米英軍のように、ゲリラと一般住民の区別はつかない。支援に呼んだ米軍の攻撃機が、ゲリラが隠れたと思われる民家に精密誘導爆弾を投下するだけのことである。

 20日のブッシュ大統領の記者会見は、来年のイラクやアフガンでさらなる犠牲が増えることを暗示している。負けている戦争を、勝っていない戦争という詭弁が気にかかる。

米政権

イラク増派で対立

ホワイトハウスと参謀本部

(毎日 12月20日 朝刊)

[概要]19日付の米紙のワシントン・ポストは、混迷が続くイラク政策見直しをめぐり、ホワイトハウスと軍の統合参謀本部が対立していると報じた。同紙によるとホワイトハウス内では、宗教対立や米軍攻撃の激化で泥沼化が続くのを改善するため、6〜8ヶ月間に、1万5000人〜3万人の増派をする案を検討している。これに対し、統合参謀本部は、短期間の増派はイラクにいる国際テロ組織であるアルカイダやイスラム教スンニ派の武装組織のほか、シーア派の民兵組織を勢いづけさせ、アメリカはさらに大きな問題を抱えむだけと反対している。統合参謀本部はこうした意見をすでに大統領に伝えたという。

 スノー大統領報道官は、ブッシュ大統領が当初クリスマス前に予定していた政策見直しの発表を、来年1月にずれ込むとの見通しを明らかにしている。発表の遅れは、政権内の深刻な意見の食い違いが影響している可能性がある。

[コメント]昨日、雑誌メディアから「防衛省昇格」の取材を受けた。その際、朝日新聞と赤旗の社説(コピー)を見せられ、防衛庁が防衛省になることによって、防衛省が軍拡で暴走を始める可能性がないかと聞かれた。イラクのサマワを「戦闘地域ではない」として、無理やり自衛隊を派遣した様なことが、これから再三起きるのではないかと質問された。これは明らかに話しが逆である。サマワに陸自を無理やり派遣したのは小泉首相(政治家)であって、自衛隊は無理やり行かされたのだと説明した。だから前回の参院選挙(04年7月)で、3人の防衛庁・自衛隊公認候補が全滅したのである。自衛官やその家族が自民党に投票しなかったからである。(今月のWhat New 12月1日を参照)

 それと同じ事がアメリカで起きている。米統合参謀本部の見解は本来の軍事の専門家として正しい見方をしている。これ以上、イラクの負け戦に米軍が戦力を投入しても、イラクの戦局が好転する見込みはない。しかし軍事知識よりも政治的な成功をアピールしたい政治家たちが、さらなる兵力の投入で、泥沼状況を改善させたいと主張しているだけだ。

 つい数日前に、今まで沈黙していたパウエル前国務長官がアメリカのテレビに出演し、イラクについて話しているのを聞いた。「アメリカはイラクで敗北した」「イラクに米兵を増派しても好転する見込みはない」「米軍はイラクからの撤退を急げ」「隣国のイランやシリアと話し合いを始めるべきだ」と明解に話していた。

 なぜシリアやイランとアメリカが急いで話しをするかと言えば、イランとイラク南部のシーア派を連動させないためであり、シリアとイラク西部のスンニ派を連動させないためである。すなわち現在のイラク内戦が、イラン、シリア、トルコのイラク周辺国に波及させないためである。もし周辺国に波及すれば、イスラム穏健派のサウジやヨルダンやエジプトを含んで、イスラム教徒同士が戦う中東戦争が勃発する危険に結びついているからだ。

 米統合参謀本部が派遣を躊躇(ためら)うのは、イラクの内戦が中東戦争を誘発させる要因になることを警戒している。もし中東戦争が起こればサウジの王制など真っ先に攻撃される。中東から石油を輸入している日本は耐えられない打撃を被る。

 今はイラクを内戦状態と認定して、それが中東全域に拡大しないように沈静化させることが最重要な課題となった。このことが理解出来るのは政治家ではなく、戦争のプロである軍人たちである。

 だから私は防衛省に昇格しても、自衛隊が軍拡や戦争参加に暴走を始める危険を感じていない。むしろ政治家たちが一部の軍拡論者と組んで、自衛隊を米軍の戦争に投入する危険を感じる。自衛隊の海外任務は「国連平和維持活動」と「大規模災害」に限定すべきで、米英軍と同じ戦場で武器を持って戦うことではないと、そこに確かな一線を引くべきである。

 ブッシュとブレアの戦争は明らかに敗北した。これから日本はその混乱を収拾することが大事である。平和・安定・繁栄なら、きっと日本の役割はある。集団的自衛権を行使(解除)して、米英軍といっしょに戦場で戦うことではない。「くどい」と言われても、私は憲法改正する前の集団的自衛権の行使(解除)は反対する。

インタビュー

 アーミテージ

  前米国務副長官

イラクに通行し撤退を

「日米」損ねる

    核武装論

(朝日 12月18日 朝刊)

 

[概要]米国のイラク政策が大きな転換期を迎えている。イラン、北朝鮮の核問題も展望が開けない。日米関係では核武装など変化の兆しが見える。アーミテージ前国務副長官に米外交の課題を加藤アメリカ総局長がインタビューした。(以下はアーミテージ氏が語った内容)

 イラクでは戦争に勝つために十分な兵力で介入したが、その後に想定していなかった武装蜂起が起き、平和維持では兵力が不足して失敗した。今後は兵力の再配置をイラクに「通告して退く」という戦略がよいと思う。しかし一気ではなく慎重にだ。

 アルカイダなどは全員根絶やしにできないが、ただし彼らの力を弱めれば、これからイスラム穏健派が主導権を握ることができる。アメリカの最大の敵はアルカイダではなく、宗派間の抗争である。イラクの現状は内戦である。これは米軍が撤退した後も、相当長い間、続くと思う。

 むしろ、これからはイラクよりもアフガニスタンが重要だ。アフガンで武装勢力の制圧に失敗すると、隣国パキスタンが開放的で穏健派路線を進むことができない。すると欧米への怒りに満ちたパキスタン国民が核兵器とミサイルを手にすることになる。イランの核問題は5年後、10年後の話しだが、アフガン問題はパキスタンと関連してより深刻である。そのためイラク南部のバスラから撤退する英軍がアフガンに兵力を振り分けることを期待している。

 パキスタンの核兵器はインドや中東に影響している。北朝鮮の核は地域問題だ。しかしイランは中東の一角を占め、アジアの入口にある。ミサイルは欧米に届く。イランの国民は自らの偉大さを誇示したいという意識が強い。イランの核開発は世界全体の脅威といえる。しかしまだ対処する時間はある。

 中国で再開された6カ国協議で進展は難しい。協議の目的は朝鮮半島の非核化だが、北朝鮮が核兵器を放棄するとは思えないからだ。ただ協議で核兵器開発を凍結させたり遅らせることはできる。日本で起きている核武装論だが、もし日本が核武装を決断することは、米国の核の傘を信頼しないという意味だ。日本と米国の信頼関係が失われ、アジアの状況も大きく変わるだろう。しかし今はそのような状況ではない。来月1月末に公表するアーミテージ・リポート2では、2020年のアジアを展望して政策提言を行っている。日米関係ではグローバルパートナーを継続するとうたっている。提言は具体的で、例えば日本にF22戦闘機部隊の配備を求める。米軍再編については見直しが必要だが、沖縄の海兵隊がグアムに移転する決定は実施されなければならない。これから米国は「恐怖」と「怒り」の輸出をやめ、「希望や前進の機会」を発信すべきで、単独行動主義は再考されなければならない。先の中間選挙では、米国民はテロを恐れ、世界から嫌われていることにへきへきしていることを示した。捕虜への虐待は米国の信頼性を傷つけた。しかし誤りを正し、より優しい正常な顔を世界に向ければ信頼性は回復出来る。世界で何か起きた時に頼りにされるのは中国やフランスではなくやはり米国である。 

[コメント]この言葉は失礼だと思うが、「その程度しか考えていないの」というのが私の正直な感想である。イラクの戦争に勝っても、占領統治は兵力の不足で失敗したなどと、これが政策当事者だったアーミテージさんが語る言葉かと思う。米軍が独裁者フセイン政権を打倒すれば、イラク国民から白馬に乗った王子の待遇を受けるとでも思っていたようだ。イスラム国家に異教徒が武器を持って乗り込んできたとは考えなかった様だ。

 先日もバグダッドで商店主が30人以上が白昼に連れ去られ、昨日、多数の銃弾を撃ち込まれた死体が発見された。殺された家族は憎しみに満ちて、殺人者に報復を誓うだろう。

 アフガンでは武装勢力の掃討を理由に、米英軍によって山間部や沙漠の民家に精密誘導爆弾が投下されている。そこで怒りや憎しみに満ちたイスラム教徒に、核兵器やミサイルを渡すべきではないと主張する異常さに気がついていない。。

 どうしてアーミテージ氏はブッシュ政権の異常さを指摘しないのか。ネオコンの示す世界戦略がアメリカばかりか、世界の安定と繁栄を壊す元凶であると話さないのか。

 来月、2020年の世界を想定したアーミテージ・レポート2を発表するというが、わずか4年前に今のイラク情勢を推測出来なかったのに、どうして13年先の世界が推測できるのか。まるで説得がないレポートである。このインタビューを読んでアーミテージ氏にがっかりした。今朝の読売で「6カ国協議」のことを書いたアーミテージ氏の寄稿を読んだが、同様にかつての鋭さがまったく欠けていた。

 アーミテージ氏であれば現在進行形のアフガンやイラク問題で、もっとよく効く薬や治療法の処方箋を出すべきである。アフガンにバスラの英兵を差し向けることが、もうアフガン問題の最終解決にならないことは誰もわかっている。

防衛省昇格法成立

 「防衛省」に来月昇格

国防に重い責任

脱「二流」政策力強化の時

自衛隊海外派遣

 恒久法制定課題に

(読売 12月16日 朝刊)

[概要]防衛庁を防衛省に昇格させる関連法が、与党と民主党、国民新党などが賛成し、共産、社民党が反対したが、15日の参院本会議で賛成多数で可決された。これで来月1月9日をもって「防衛省」になることが正式に決まった。関連法では、防衛庁長官を防衛相に改称することや、自衛隊の国際平和協力活動や、在外邦人輸送、周辺事態で後方地域支援などの活動を「付随的任務」から「本来任務」に格上げすることが含まれている。防衛施設庁を07年度に廃止し、防衛省に統合することも盛り込んだ。

 防衛省になれば、現在は内閣府の長である首相が権限を持つ閣議への議案提出権や、財務相への予算要求を防衛相が直接行えるようになる。防衛省昇格で防衛相の責任や権限が一段と強化される。海外での防衛省の呼び名は(国防省として)一般的な、Ministry of Defense になる。(  )は神浦が追加記入。 

 防衛庁が発足したのは1954年で、国民の自衛隊アレルギーもあり、防衛庁は霞が関では「二,三流官庁」と見なされていた。国民が自衛隊を見る目が変わったのは、91年のペルシャ湾への掃海艇派遣や、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)など海外任務に積極的に参加してからだ。95年の阪神大地震やオウム地下鉄サリン事件での災害派遣で存在感を強めた。

 これから防衛省は単に自衛隊を管理する官庁ではなく、「本当の政策官庁として脱皮する時期」(久間長官)を迎えている。防衛庁は07年度に、中長期的な視点で安保政策を検討する「戦略企画室」を防衛政策局防衛政策課内に新設する。防衛研究所と連携して、「抑止」のあり方や国際平和活動、防衛交流をテーマにする。防衛庁では10月下旬、守屋防衛次官の指示で「戦略検討チーム」がひそかに発足した。内局と統幕監部、陸、海、空の課長級が中心メンバーで、05年2月、日米政府が合意した「共通戦略目標」をたたき台とし、対北朝鮮、中国政策などの戦略を練る。来年3月に結論をまとめ、新設される戦略企画室の作業に引き継ぐ予定。

 ただし防衛省に昇格して発言力を増すことは、安全保障政策で外務省と主導権争いを拡大する恐れがある。両省庁は、海兵隊普天間基地移転など在日米軍再編問題で対立してきたからだ。塩崎官房長官は「外務省と防衛省の防衛政策がより有機的につながり、安保政策として機能することを期待したい」と指摘した。

[コメント]防衛省昇格で一番嬉しいことは、官庁として格が上がったというよりも、外務官僚(OBを含む)の軍事オンチに振り回されることから解放されることだと思う。とにかく対米追随しか安全保障政策を考えられない外務官僚では、これからの中国や朝鮮半島との安全保障政策は何も考えられない。もう日本が対米追随がすべての時代は終わった。これからも日米関係の緊密化は重要だが、それだけでは外交や安全保障が前に進まない時代が来ている。それが外務官僚にはわかっていない。海外の日本大使館に派遣された防衛駐在官(武官)も、これからは大使の指示や干渉を最低限にすることができる。今まで防衛駐在官として大使(外務官僚)から屈辱を味わってきた者にとって、まさに省昇格は待ち望んできた時である。

 警察官僚も防衛庁・自衛隊に対してひどかった時期がある。しかし警察はカンボジアPKO活動などで、海外の紛争地で警察官ができることの限界を知ったようである。そこで国内治安を警察が担当し、海外での国際平和維持活動を自衛隊が行うと住み分けた。そのことで警察と防衛庁はは安定した関係を作っている。米国の同時多発テロ(01年9月11日)を受けて、国内のテロ対策をめぐって、警察と国会や官邸の警備で対立が起きた。しかし、有事に米軍基地を自衛隊が警護し、国会や官邸は警察が警備することで対立を解消した。やはり最大の問題は外務省との対立になるだろう。防衛省は外務省から安全保障の政策立案権限を取り戻さなければ、なぜ防衛省に昇格したか意味がない。

 しかしここで読者の皆さんに知って欲しいことは、これから日本の防衛政策は防衛省に戦略企画室が準備されるように、ほとんど真っ白な状態で、今の段階では何も決まっていないということである。これは1989年12月に米ソ冷戦が終結し、それから防衛庁・自衛隊が脅威をめぐって大混乱した経験で多くの者が自覚した。その防衛庁の混乱を助けてくれたのが、90年8月にクエートに侵攻したイラクのフセイン大統領である。日本の防衛戦略は湾岸戦争をよってかろうじて救われた。

 再び日本は北朝鮮が崩壊すれば、MD(ミサイル防衛)は追い風を失うし、対テロ・ゲリラ戦を想定した自衛隊のゲリコマ戦闘は意味を失う。中国軍が軍事的な脅威として日本に直面してくるにはまだ時間がある。その空白期をどのような論理(戦略論)で繋ぐかを探るのが戦略企画室の役割である。

 だからそのあたりの内情を知っている者は、日本の防衛戦略が真っ白な状態であるのをいいことに、自分で勝手に落書きをしようとする者が出てくる。日本が集団的自衛権の行使(解禁)とは、まさにそのような心得者の落書きなのである。だから私は彼らを指して、無邪気な裸の王様に、良い心の者には見えるが、悪い心の者には見えない着物を作る洋服屋(詐欺師)と呼ぶのである。集団的自衛権は憲法改正とともに行わなければ、かならず誤魔化しやウソが解釈の主流になるからである。憲法を改正することなく、先行して集団的自衛権を行使(解禁)することは国民や自衛官をだますことになる。

 そのような心得者が防衛の分野で跋扈(ばっこ)しているのが日本の現状である。日本版NSCという話しも、その洋服屋が無邪気な裸の王様に仕掛けたのである。防衛省の戦略企画課はそのような心得者たちに、日本の安全保障で王様を裸にしないようにしていただきたい。とにかく自分の目で見て、自分の耳で聞き、自分で考えた判断を信じることが何より大事である。インチキな洋服屋たちの自慢話(自己陶酔)や自画自賛を信じないで頂きたい。

普天間3年内閉鎖

訓練の

  海外移転で可能

村井友秀防大教授に聞く

(沖縄タイムス 12月14日)

[概要]昨日、沖縄の友人がこの新聞をFAXで送ってくれた。沖縄で新知事に決まった仲井真弘多氏が「3年以内の普天間飛行場の閉鎖状態」を主張している。これに関連して、沖タイ紙が村井防大教授にインタビューを行った。村井教授は普天間飛行場以外にも、嘉手納基地にF22戦闘機が配備されることや、対弾道ミサイル・パトリオットPAC3の横須賀配備を語った。

 村井教授は普天間飛行場の3年以内の閉鎖については、「フィリピンなどの海外基地で訓練を増やせば、十分にそれは可能」という。米海兵隊にとって訓練場所はあまり重要なポイントではなく、それよりも沖縄に基地を確保していることに意味があると言う。日本が米側に要求する時は、軍事的合理性(戦場に近い)があり、米軍の戦略に有利というのが最も説得力があると話した。

 グアムの軍事拠点化は、沖縄からグアムに米軍がシフトするとシグナルと受け取っていいかという質問に、「いいと思う。米軍がグアムを拠点にするのは、南アジアを戦域と考えた場合にロケーションがいいから。在沖海兵隊司令部をグアムに移すのは、司令部が戦闘地域に近いという軍事合理性に基づいている」。

 普天間代替施設の運用や役割について、「米軍が普天間からキャンプシュワブ沿岸に基地を移すのは、軍事合理性が高いからで、住民の不満や反対を受けたからではない。米軍は移転で今以上の効率を求めて運用するだろう」と言う。

 「米空軍は秘密性の高いF22戦闘機を、嘉手納基地とグアムに配備する計画がある。これは米軍が東シナ海での戦闘を想定していることを指している」。「嘉手納に続いて横須賀にもPAC3が配備されると聞いている。北朝鮮の標的は(兵器の)能力から日本しかない。日本を人質にしなければ北朝鮮は交渉のカードを失う。米国は北朝鮮の交渉カードを奪い、米朝関係で優位に立てる」と話した。

[コメント]さすがにミスター・リアリズムである。現実的で軍事の合理性を追求する防大教授にふさわしい分析と思う。結局、米側と交渉する時は、日本の政治家や官僚の裏事情など、邪魔なだけで交渉の役には立たない。

 しかし村井教授はポイントだけは外して話している。それは時期である。F22戦闘機の嘉手納配備も、PAC3の横須賀配備も、長い目で見ればそれは確かに決まっている。問題はその配備される時期(0年0月)である。(時期の次ぎが規模である)。

 F22戦闘機の嘉手納配備は、中国軍が東シナ海でさらに軍事力を展開して、日米軍と中国軍の軍事バランスが近づいてきた時に配備される。そして日米の圧倒的な軍事優位を示して、中国軍には軍事力で劣ってるという挫折感を与えるための配備である。その時期が最も重要な情報で、いますぐの配備を示唆するものではない。そのあたりの推測をぜひ聞いてみたい。

 横須賀のPAC3配備も、横須賀の武山駐屯地にある空自のPAC2では、たとえPAC3に転換しても射程の関係で横須賀基地を守ることにはならない。また武山から米海軍基地に緊急移動する場合も道路事情などに問題がある。射程の長い武山の空自PAC2はそのまま残し、米軍横須賀基地に米軍の対弾道ミサイル専用のPAC3を配備した方が軍事合理性がある。PAC3の象徴的な配備でも、北朝鮮のような”はったり国家”には軍事合理性があるからだ。

 しかし地方紙とはいえ、沖縄の新聞に堂々と「3年内閉鎖論」を肯定するとは驚いた。私は今すぐでも普天間飛行場の閉鎖は可能と思うが、もし今も制服を着ていれば堂々と主張できるか自信がない。しかし普天間移転は住民の粘り強い反対があったから、米軍が放置出来なかったという見方もあると思う。軍事合理性だけで全てが決まるわけではない。軍事合理性がない在日米軍基地も存在している。市街地に囲まれた普天間飛行場などその最たるものである。

特集 眼前の危機

長崎級 

  核攻撃シミュレーション

「東京直撃」

    死者50万人

負傷500万人

 対策次第で被害縮小

(産経 12月15日 朝刊)

[概要]札幌医科大学の高田純教授(放射線防護学)が今年開発した「核爆発被害予測計算方式」を使い、都心の水道橋(東京ドーム付近)で、高度600メートルで20キロトンの核爆弾が爆発した場合の核攻撃被害シミュレーション。

 平日の昼間の人口は、水道橋から2,2キロ圏内は70万人、4キロ圏内では230万人がおり、この人たちが最大の被害を受ける。全体では、核爆発によって発生した放射能、熱線、衝撃波などで数ヶ月以内の死者は50万人、負傷者は500万人と想像を絶する数になる。

 北朝鮮は20キロトン規模のプルトニューム原爆を開発中といわれている。これで東京が核攻撃された場合の被害を想定することで、防御対策をとる重要性が理解出来ると訴える。

 高田教授は「国民への警報、地下への避難、自衛隊病院に(核汚染の)除染棟を建設するなどの対策をとれば、今回の例でも50万人のうち27万人が救える。政府は自然災害に備える熱意を、核爆発被害の対策と研究に振り向けるべき」と強調する。

[コメント]やはり出て来たかという気持ちである。北朝鮮が核実験を行うことがほぼ確実になった頃から、数社のメディアから「東京が北朝鮮の核兵器で攻撃された場合のシミュレーション」をして欲しいという依頼があった。しかし私は北朝鮮の核実験に合わせて行えば、北朝鮮の核威嚇を強めることになるからと断った。

 私は広島に原爆が投下された時、どのような状況で被爆地の市民が死んだか、子供の頃から聞いたり、多くの体験本を読んで知っている。また冷戦時代にはNHK特集の”東京タワー上空で1メガトンの水爆が爆発”を想定した核攻撃シミュレーション番組に協力したことがあった。25年前の別の企画では、日本の政治、経済、行政の中枢が集まる「内幸町交差点」を爆心地にして、核爆発の被害を想定して核攻撃シミュレーションを行ったこともあった。今も私の本棚には核被害に関する資料や本が多く並んでいる。その中でも科学雑誌「別冊サイエンス」誌の核戦争特集(4冊)は今も内容(記事やイラストや写真)が光輝いている。

 しかし結果論で言えば、核攻撃を想定して防御態勢を強化しても、核攻撃の被害を軽減することにならないという点だった。当時は中国やロシアからの核攻撃を想定したが、日本では仮に警報を出しても、対応時間(リアクション・タイム)が短すぎて効果的な避難が出来ないのである。東京の中心部をすべて地下都市にするという手もあるが、それでは費用対効果の点から不可能だと誰もが考える。

 やがて核兵器が命中精度を上げて、核大国の核戦略が都市や工業地帯から対兵力(カウンター・フォース)戦略と軍事目標に変わったのを機会に、東京などの大都市への核攻撃想定は自然と消えていった。しかし今年10月の北朝鮮の核実験実施で、再び昔の核攻撃シミュレーションが復活してきたということである。

 核攻撃の対応をドキュメントで描いたのが、有名な「アトミック・カフェ」(アメリカ映画)である。ソ連からの核攻撃(水爆)に備えてアメリカの小学生が机の下に隠れる場面や、ニューヨークのビルの地下に核攻撃避難所が作られる場面があったように思う。当時でもすでにこの映画は笑いの対象でしかなかった。最後の場面では、わき上がるキノコ雲に向かい、兵士達が銃を構えて横一列に進むシーンでなかったかと記憶している。今でもこの映画は歴史的な名作としてビデオショップで見つかるのではないか。

 広島では原爆投下直後に、日本軍の兵士に白い敷布が配られた。次ぎに原爆を落とされた時は、急いでこの白いシーツで身を包めば、白い布が光や熱を反射して原爆は大丈夫と説明されたという。今ならそんなものが役に立たないことは子供でも知っている。

 そこで核攻撃には核兵器で大量報復するしか抑止力がないとわかってくる。しかし日本は非核3原則で核武装を禁じている。「だったらどうしようもない」と小山内先生に話したことがある。小山内先生とは故「小山内宏氏」のことで、軍事評論家として大活躍されていた人のことである。そして私をこの世界に誘って下さった方だ。小山内先生は私に、「それは絶望的楽観主義だ」と笑って話された思い出がある。

 だから最近になって私が言い始めた”非核大国”宣言は、絶望的楽観主義から抜け出し、新しい核抑止論として成長させたいと考えているわけである。もし10年以内に「ニッポン・非核大国宣言」を本に出来れば、私の人生は”結果良し”というぐらいの覚悟である。

特集 岐路のアジア

南北統一コスト

韓国経済への

     打撃懸念

時期により大きな差

財政悪化、独より深刻

北朝鮮崩壊で・・・・

  難民200万人超か

  対応研究が急務

(朝日 12月14日 朝刊)

[概要]南北が統一した場合、どれくらいの費用が必要になるのか。それは統一の方法によって違ってくるが、「3兆ドル以上」という莫大な額から、「600億ドル程度で可能」という楽観的な額まで諸説ある。韓国の政府系シンクタンクの韓国開発研究所院は91年、北朝鮮の体制崩壊で急に統一した場合、韓国政府の負担は10年間で最大2446億ドルと推計した。

 半世紀近くドイツで暮らしベルリン自由大学の終身教授(経済学)の朴さん(71歳)は、「今、統一すれば韓国は間違いなく崩壊する」と力説する。世界有数の国際競争力を誇っていた西ドイツは統一後の90年代、経済成長率が急激に落ちた。今、南北朝鮮の経済格差は東西ドイツが統一した時と比べ5倍と指摘されている。韓国・統一研究院によると、統一前の西ドイツが東ドイツに対する支援は国内総生産(GDP)の2,9パーセントに達していた。それでも統一後は毎年GDPの4パーセント程度を旧東ドイツ地域に投入し続けなければならなかった。これに対し韓国が北朝鮮に支援しているのは00年でGDPの0,017パーセントにすぎない。朴さんは南北の経済交流の延長線上に必ず統一があるとする考え方に、「韓半島崩壊」を著てし警鐘を鳴らす。統一のためには「太陽政策」という支援だけではなく、北朝鮮の市場経済や民主主義という住民意識を改革することが不可欠と訴える。

 ドイツは統一費用を国債に頼った結果、深刻な財政悪化に陥り、旧東ドイツ地域の失業率は旧西ドイツの2倍に達した。旧東西ドイツの人口比は1対4で、単純計算すると西ドイツの4人が東ドイツの1人を支える形で、莫大な支出に迫られた。北朝鮮と韓国の人口比は約1対2で、韓国の負担はドイツよりさらに重くなる。

 延世大学の李栄善教授の試算では、北朝鮮の体制崩壊など急な統一した場合、南北合意で基づいた統一より、”8倍”もの費用が掛かると指摘する。「急進的統一」では軍事境界線が崩壊し、韓国が北側に自由に投資できる一方で、北から南に住民の大量移動が起きる。こうした事態を防ぐには莫大な社会保障費を投入する必要があるからだ。

 韓国政府系シンクタンクの統一研究院の研究チームは昨年、「南北間の戦争や北の急激な崩壊が発生した場合、韓国の一人あたりのGDPが30〜40パーセント低下する」とする論文を発表した。この報告は「韓国経済が崩壊寸前にまで追いこまれる」(金・北韓経済研究センター長)という。しかし韓国・中央大学の申教授は「統一は時期が早いほどコストが低く抑えられる。いつ統一しても韓国は耐えられる」と主張している。申教授の試算では、2010年の統一の場合は10年間で6161億ドルだが、2020年に統一なら10年間で8210億ドルに増えるという。2010年統一の場合は1年あたりの統一費用は韓国GDPの6,5パーセントと推定でき、これは軍事費の削減で2パーセント減らし、国際金融機関から1パーセント調達し、残りを増税と国債で賄えるという。

 北朝鮮が崩壊した場合の初期費用を研究している高麗大学の南教授は、「東アジアの現状維持は困難。日中米露の介入が不可避」と指摘する。南教授は北朝鮮が崩壊して無政府状態になれば、最終的に難民は200万人〜400万人発生し、一部は海から日本や台湾を目指す。国外に逃れた人々の保護に2千億ウオン(250億円)、国内の難民にも臨時救済施設の建設で同額が必要になる。北朝鮮の住民には2ヶ月分にあたる70万トン分の食糧を緊急支援しなければいけない。これは韓国独自の支援では難しから、中国、日本、ベトナムなどから調達を検討する。日本については「300万トン程度の備蓄米のうち100万トン以上を搬出できる」と推測している。南教授は「分断体制の長期化で、北に対しては実情や理念の研究に偏る面があったが、救急事態の研究を急がなくてはならない」としている。

[コメント]韓国政府系のシンクタンクや各大学で、南北統一の詳しい研究をしていると思って読んだが、最後の日本の備蓄米のところで気がついた。これは今秋にソウルで開催された韓国の「30日計画」の”見直しシンポ”を記事化にしたものではないか。

 先日、ある全国紙の政治部記者と話した際に、日本の新聞は北朝鮮崩壊に備えた周辺国の対応を特集する時期にきていると説明した。その時に、日本の備蓄米を韓国経由で北朝鮮に緊急搬入する秘密の計画があることも話した。確か日本側が100万トンを送るという数字を上げたと思う。このサイトでも何度か取り上げているので、「30日計画」でサイト内を検索して頂ければ見つかるはずだ。

 私が4年前に北朝鮮崩壊をテーマにした本を書いた際に、日本の朝鮮半島統一に対する支援額を10年間で1000億ドルと試算した。これは経済的な支援額試算というよりも、安全保障論で考えて年間に約1兆円(約100億ドル)の支援をするという考えであった。この程度の額なら日本に重い負担はならないが、この記事で統一直後の国家建設では莫大な援助額になることがわかった。少なくなも日本の隣国が不安定化することを防ぐには十分な額である。これは北朝鮮が日朝の国交正常化(復交)後に、日本に求めている戦後賠償金(経済支援金)の同額だといわれている。金正日はこのお金を、喉から手が出るぐらい欲しがっている。金正日が日朝首脳会談に応じ、日本人拉致を認めたのも、日本からこの援助金を得るためであった。それを統一後の復興支援金として統一朝鮮に援助する案である。 

 来るべき朝鮮半島統一に関しては、日本は朝鮮半島の不安定化を防ぐことを第一に考えるべきである。朝鮮半島に大量の中国人が流入したり、朝鮮半島の北地域(今の北朝鮮)で韓国との統一嫌った別な政府の誕生を防ぐことが大事である。中国が朝鮮半島は中国古来の領土などとする歴史観は厳しく排除(否定)すべきである。日本が今後100年にわたり平和で繁栄できる国家を築くことができるかは、朝鮮半島に安定した繁栄する国家が出来るかと密接に関連している。もし意に反して朝鮮半島が不安定化して、反日的な国が誕生すれば、日本の”脇腹にナイフを突きつけた”国になる。しかし朝鮮半島に日本に友好的で、平和な繁栄した国が誕生すれば、日本が中国・東北部やロシア極東と共に発展する架け橋になる。

 これからは北朝鮮の崩壊時を探ることよりも、南北統一後に立派な国が出来ることを考える方がはるかに大事である。その方が日本にとってもっと楽しくなる。誰もが楽しいことはいいことなのである。

以前、普天間基地の移転先として、米軍のキャンプ・シュワブの沖合(辺野古沖)に海面を埋め立てて海上ヘリ基地を作る案が決まったことがある。(今は廃案)。その時、海上基地の建設費用として上がった額が約1兆円であった。そんなバカバカしいことに大金を使わないで、朝鮮半島の統一後の国家再建支援に使った方が、日本の安全保障上もはるかに有効という考えがあったからだ。  

極東ロシアで続発

アジア人殺害

格安労働力・・・・・

 排外的な民族主義が高揚

(産経 12月13日 朝刊)

[概要]ロシア極東のウラジオストクに出稼ぎに来ていた北朝鮮3人が、同市で10日の夜に若者らの集団に襲撃され、2人が死亡し1人が重症を負った。露検察当局は、極東で増大するアジア系市民の排除を訴える民族主義者たちの犯行として捜査している。

 中国や北朝鮮から外国人労働者が流入して急増するウラジオやハバロフスクではでは、北朝鮮労働者のほかに、韓国領事やアジア系市民を狙ったロシア人若者の襲撃・殺人事件が続発している。これは極東ロシアで反アジアの民族主義が高揚していることを裏させる。

 北朝鮮は外貨獲得のために多くの労働者を極東ロシアに流入させ、工事現場、森林伐採などの現場で、格安な労働力として働らかせている。そのことが「ロシア人のためのロシアを」というスローガンを掲げるロシア民族主義者のターゲットになっている。

 反対に極東のロシア人口は、減少の一途をたどっている。またロシア人は飲酒で働かない者が多い。今後、アジア系住民が増えれば、ロシア系住民と摩擦や対立を生じる危険も出てくるとみられる。

 ウラジオでは1昨年の9月に、北朝鮮労働者とロシア人若者が乱闘になり、駆けつけた警察官が北朝鮮人の足を撃つ事件も起きており、当局と外国人労働者との摩擦は顕著化している。

[コメント]今、ドーハで行われているアジア大会で、サッカーの日本対北朝鮮戦に北朝鮮からドーハに出稼ぎに来ている労働者が多数応援に来ていた。建設現場の労働者として働き、給料の大半を国に送金する北朝鮮の外貨獲得活動のひとつである。

 その給料の2/3以上を北朝鮮政府が奪うが、北朝鮮では人気の仕事で、その職を得るには派遣関係者に高額なワイロが必要という。海外で北朝鮮出稼ぎ労働者は集団生活を送り、北朝鮮から派遣された者に厳しい監視を受ける集団でもある。だからウラジオでロシア人から仲間が殺されたとなれば激しい反発を生むか、あるいは派遣停止を恐れる北朝鮮当局から「対立するな」と厳しい制限を受けるかのどちらかである。

 一方の極東のロシア人は冷戦終結後のソ連邦崩壊で、それまでの引っ越しを禁じた移住制限が廃止され、中央アジアなどの暖かい地方に移住する者が増えている。そのため極東ロシアでは深刻な労働力不足が起きているのである。

 この記事には詳しく語られていないが、中国東北部から極東ロシアに移住してくる中国人も急増している。正確に合法・非合法の移住人口を数えれば、すでに極東ロシアではロシア人とアジア人は、ロシア人よりもアジア人が多い可能性がある。仮に今はアジア人人口が逆転していなくとも、数年後にはロシア人の数をアジア人(主に中国人)が上回ることは確実である。

 そして最近では、シベリアで石油や天然ガスの開発やパイプライン工事で賑わっている。以前から極東に住むロシア人にとって、やっと自分が裕福になれるチャンスがきたのに、自分が今も貧しいのはアジア人のせいだと思う傾向が強くなる。これが今のロシア民族主義の高揚と排他的な思想を生む原点となっているのではないか。

 今は北朝鮮という北東アジアでの政治問題が大きすぎて見えにくいが、北朝鮮が崩壊して朝鮮半島が統一されれば、次ぎの地域の問題として”ロシア極東のアジア人問題”が大問題として浮上してくる。そのとき中国によるロシア極東の併呑問題として、中国とロシアの新しい対立が生まれる可能性を秘めている。

安倍内閣支持率

46パーセント

不支持は倍増30パーセント

(毎日 12月12日 朝刊) 

[概要]安倍内閣の支持率が50パーセントを切り、46パーセント(毎日新聞社の電話による全国世論調査)になった。これは9月の内閣発足時から21ポイントのダウンである。安倍内閣の支持率低下には、郵政造反議員の自民党復帰問題、道路特定財源の一般財源化問題の対応などに、世論が疑問符を付けたと思われる。

 世論調査で不支持の理由は、「首相の政策に反対だから」が34パーセントで最多だが前回比とは7パイント減で、「首相の指導力に期待ができないから」が5ポイント増の33パーセントだった。

[コメント]今朝のNHKニュースでは支持率を48パーセント報じていた。また今朝の朝日新聞では支持率が47パーセントと書いいる。しかし読売新聞は55,9パーセントと報じている。ただし読売だけが電話による世論調査ではなく、面接方式で世論調査を実施している。世論調査も面接と電話でこれほど差が出るのかと驚いた。

 しかし安倍内閣の支持率が急落していることは間違いない。小泉首相の「自民党をぶち壊す」発言とは反対に、「昔の自民党再建」に国民の嫌悪感が増していると思う。元々の自民党支持者は安倍首相の”懐古調”を喜ぶかも知れないが、小泉路線の継承を期待した層は今の安倍内閣に失望すると思う。それが支持率低下を招いていると考える。

 また私の場合は、安倍内閣の安全保障政策で集団的自衛権の行使(解禁)に警戒感を感じている。自衛隊のイラク派遣では自衛隊の事情を理解している国務副長官のアミテージ氏(当時)がいたが、安倍政権の集団的自衛権の解除に対して、米側に日本の制約を理解できる者はいない。米側は単純に”日本が集団的自衛権を行使出来る”と通告(献上)してきたと理解するだけである。これは日本にとって非常に危険な外交となる。

 それに久間防衛庁長官が「物理的に無理」と言ったように、日本がこれから配備するMD(ミサイル防衛)システムでは、仮に北朝鮮がアメリカに届く長距離弾道ミサイルを開発しても、日本のMDの射程では、北の弾道ミサイルの飛翔コースや高度では迎撃はできない。アメリカに向かう北の弾道ミサイルを迎撃するために、日本は集団的自衛権を行使できるようにするという理由は通じないのである。まさに集団的自衛権を崩すための(虚)論を安倍首相は吹き込まれたことになる。安倍首相は騙された。それでアメリカの次期大統領から長期政権の支持(庇護)がもらえると騙されたのである。

 集団的自衛権の解禁は、憲法9条の改正の中でも最も難しい問題になる。それをわざわざ引き出して、憲法改正前に決着を着けるという暴論が通用するだろうか。私は自衛隊の存在を公式に認めるために、今の憲法を改正すべきと主張しているが、集団的自衛権の問題はその機会に議論すべきテーマと考えている。明かな虚論で国民を騙して、集団的自衛権を解禁すべき問題ではないのだ。

 昨日、あるメディアから日本の防衛分野で07年(来年)に最大の問題になるのは何かと質問された。私は集団的自衛権の解禁問題ですと答えた。この集団的自衛権の解禁問題は安倍首相の墓穴となり、7月の参院選挙で自民党が大敗北する原因になる可能性も出てくる。

昨日、映画を見ました。

「硫黄島からの手紙」

観戦手記

(12月11日 新聞休刊日)

  本日は新聞休刊日です。ですからちょっと雑談をします。たまにはいいでしょう。

 昨日は久々の快晴でした。午前中は軽くジョギングでJR駅近くの公園周辺を走り、それから近くの映画館で午後2時からの「硫黄島の手紙」の予約チケットを買いました。そのあと近くのメンバー制のスポーツクラブに行ってサウナと入浴です。それからスーパーでお弁当(のり鮭弁当)を買って、再び公園に行ってベンチに座って昼ごはんを食べました。昨日は気温も暖かく、外でお弁当を食べるのは最適な天気でした。(カミさんと娘は買い物で、おばあちゃんはショートステイで留守です)

 そして駅前の書店に行って、趣味の月刊誌や歴史書を買いました。また靴の専門店でマラソン・シューズを見ました。そうして1時40分頃までリラックスして過ごしました。1時50分に新館の映画館に入ると、2時からの客席は満員でした。特に若い人が多いように感じました。別作の映画「父親達の星条旗」を見た時は平日の昼間で、会社をリタイヤした様な人ばかりでしたから、昨日の観客はちょっとした驚きです。これから日本で戦争映画ブームがくるかも知れませんね。

 映画は、「硫黄島の日本軍司令部あとの洞窟」から、土に埋められた大量の手紙が発見される場面(現代)から始まります。そこに硫黄島の司令官として栗林中将が連絡機で到着(回想)します。

 栗林中将は連合艦隊が大打撃を受けたことを知り、硫黄島の戦力だけで戦える「地下陣地戦(持久戦)」に変更します。それまでの作戦では島の守備隊が水際を固め、洋上の連合艦隊と米軍上陸部隊を挟み撃ちにする作戦でした。しかしこの作戦変更は司令部の参謀達に猛反発されます。当時の日本軍は島に洞窟を掘り、そこを陣地にしてゲリラ戦法など想定していなかったからです。

 しかし結果的には日本軍の持久戦が行われ、5日間で落とすと想定していた米軍は50日間以上の激しい戦闘に苦しみます。・・・・・・・これ以上の詳しい説明は映画でご覧下さい。

 隣で一人で見ていた大学生らしい男子が、途中でバッグの中からタオルを出して泣いて見ていました。私もかなり涙もろい方ですが、この硫黄島の手紙では泣きませんでした。話題作ということで緊張して見ていたせいかもしれません。でもはやり素晴らしい映画だと思いました。硫黄島玉砕という状況も凄いですが、映画のストーリー作りもハルウッド映画らしい洗練な”練り”を感じました。

 ただ、登場の日本兵や当時の日本国民が、太っているように感じましたが、これはアメリカの映画界の事情があるようです。アメリカ映画ではエキストラまで米国の俳優組合を通じて確保する決まりがあるようです。ロサンゼルスですし職人兼俳優の友人(日本人)がそのように話していました。ですからガリガリに痩せた日本兵を多く集めるのは無理だったのかもしれません。それから三八歩兵銃を日本兵がライフルと呼んだことに抵抗を感じました。また日本軍が硫黄島に作った地下陣地も、映画では立派すぎて”硫黄島独特”の塹壕戦の苦しさが伝わってきませんでした。

 しかし私が求めているのは映画ではなく、ドキュメントとしての映画なのかもしれません。映画館で多くの人に見てもらうためには、撮影や演技がしやすく、セリフもわかりやすく、厳しい全体の状況がよくわかる広い洞窟が必要なのでしょう。

 でも素晴らしい映画であることは間違いありません。ラスト・サムライよりも描かれる日本人像が実物に近づいてきていると思いました。皆さんも機会があれば「硫黄島からの手紙」を観戦することをお勧めします。

 映画館の帰りに図書館に寄って、「攻撃計画 ブッシュのイラク戦争」(日本経済新聞社刊)を借りて来ました。イラク撤退が必至なこの時期になって、どうしてブッシュ政権はイラク戦争に突入したか舞台裏を知りたくなったからです。

 毎年、今月(12月)の15日を過ぎると、来月(1月)の中旬までヒマな時期になります。緊急を含めて仕事の電話や依頼が激減します。これがいわゆる年末・年始スケジュールです。今年はこの時期に読書三昧や、新しい趣味を見つけるつもりです。そして読書に飽きたら、外に出てジョギングで走ります。朝(迎い酒)、昼(ランチ・ビールかワイン)、晩(忘年会と新年会)と、昨年までの酒浸りの生活とはバイバイです。もっと楽しいことがいっぱいあると思えるようになりました。

 最近、これからの生活や仕事のことを考えると、ちょっと楽しみなことが多く思い浮かぶようになりました。もしかしたら今までの重い気持ちは、軽い鬱(うつ)のような気持ちになっていたのかも知れません。これが男の更年期というやつだったのしょうか。何だか最近、やっと晴れてきたような気持ちになりました。 

久間防衛庁長官

イラク戦、

   政府支持否定

「小泉首相の私的見解」

(朝日 12月8日 朝刊)

[概要]久間防衛庁長官は7日の参院外交防衛委員会で、米国のイラクに対する武力行使について「日本は政府として支持すると公式に言ったわけではない。(小泉前)首相がマスコミに言ったということは聞いている」と述べ、イラク戦争支持は政府の公式見解ではなく、小泉首相(当時)の個人的見解と考えを示した。

 久間氏は開戦前から「『支持』という言葉は適当でない。『理解』で十分だ」との持論を述べていた。しかし小泉内閣ではイラク戦争開戦を受けて03年3月20日に、「わが国の同盟国である米国をはじめとする国々によるこの度のイラクに対する武力行使を支持する」との首相談話を閣議決定した。安倍首相も首相就任後の今年10月6日の衆院予算委員会で「(イラクが大量破壊兵器を)恐らく持っているだろうということが当然政府としての判断の根拠だった」と述べ、政府の支持に「合理的な理由があった」と答弁している。

 久間氏のイラク戦争の正当性を疑問視する発言に対し、安倍首相は7日夜、記者団に対して、「再三の国連決議を破ってきたイラクに対しての武力行使に日本は支持をした。あの段階では問題なかったと判断している」と語った。

[コメント]久間長官のこの発言をTVニュースで見て、「あれっ」と思った。政府が公式に支持していないことを、首相の個人的な見解で”自衛隊をイラクの戦場に送れるのか”と思ったからだ。もしこれが防衛長官ではなく、防衛(省)大臣の発言としたら大問題になると思う。今までの陸自のサマワ派遣活動や、現在も空自がイラクで行っている空輸業務の(イラク派遣の)大義が消える。でも防衛長官でも大問題になることは避けられないか。

 もしイラクで派遣された自衛隊員に死者が出ていれば、その場合に久間氏はどのような対応を考えていたのだろうか。私が自衛隊のイラク派遣に反対したのは、自衛隊員の行動が厳しく制限されている場合、そのことで戦死者がでる可能性を強く感じたからだ。久間氏はそのような”感じ”がなかったのだろうか。

 アメリカの中間選挙で共和党が敗れ、ラムズフェルド国防長官が更迭され、イラク戦争の見直しが必至な雰囲気になって、日本でも与党の中から米国のイラク戦争を疑問視したとする人がでてくると思っていた。しかし、まさかそれが久間防衛庁長官とは思わなかった。

 久間防衛庁長官が初の防衛大臣に就任するかと思ってが、この発言でその可能性が五分五分になったような気がする。

イラク米軍撤退

戦闘部隊 

   08年3月まで

イラク研究グループ

  ブッシュ大統領に提言

(毎日 12月7日 朝刊)

[概要]べーカー元国務長官らが率いる米超党派組織の「イラク研究グループ」は6日、ブッシュ大統領にイラク政策の見直しをまとめた報告書を提出した。イラクの隣国シリアやイランとの直接対話を含む中東での包括的な外交努力を強化し、駐留米軍の約半数を占める戦闘部隊を08年3月までに段階的に撤退させることを求めている。

 この報告書ではイラク情勢が「重大な状況」にあるとし、「イラク政府の崩壊と人道的な大災難」の可能性を警告している。主要な提言としては、中東地域全体の安定に向け「新たな外交・政治努力」と、駐留米軍の任務をイラク治安部隊の訓練など側面支援に移行すると打ち出している。

 米国がテロ支援国と呼ぶイランやシリアと直接対話や、停滞するパレスチナ和平への取り組み強化を抜きに「米国の中東での目標は実現出来ない」と主張した。

 報告書を受け取ったブッシュ大統領は、「すべての提案に合意することはないが、真剣に協議する」と語った。中間選挙の敗北を受けたブッシュ大統領は、この報告書や米政府内で進める再検討を受け、数週間で新たなイラク政策を示す見通しだ。

[コメント] 本日、午前中に依頼の原稿を仕上げて、送信する仕事に追われています。コメントは送稿が完了した午後に書きます。

 ベトナム戦争の教訓では、仮に1年4ヶ月後にイラクから米軍の戦闘部隊を撤退させるとなると、これから戦闘(内戦)が激化する可能性が高くなる。シーア派の各武装勢力は警察や軍隊にメンバーを出来るだけ多く入れて米軍撤退後の主導権を争うことになる。

 またスンニ派は警察や軍の影響力を押さえるために、攻撃の回数を増やして、抵抗勢力としての影響を強めたいと願うからだ。

 米軍は08年3月の撤退を戦闘部隊だけというが、戦闘部隊に守られない米軍部隊のイラク駐留は、アルカイダなどイスラム原理主義過激派の絶好の攻撃目標になるだけだ。イラクから米軍の戦闘部隊が撤退すれば、米軍や多国籍軍はイラクに駐留することはできない。

 だから私はいつも米軍は負けて撤退する時は、後のことは考えないで一気に逃げ出すと言うのである。

 イランやシリアと外交を行うとしても、イランはアメリカ軍のイラクでの混乱を利用して核開発を進めている。シリアはアメリカがイラクに縛られている間に、ヒズボラを使ってレバノンに再びシリアの影響力拡大を進めている。イランとシリアがアメリカと話しをしても、交渉の主導権はアメリカにはないのである。

 これはネオコンがアメリカと中東を大混乱させた現実である、これからさらに中東は危険な状態に突き進んでいく。アメリカ軍がさっさとイラクから撤退すればそれですべてが片づくわけではない。本当の問題はこれからである。

「北崩壊」対応策

米韓 具体的へ

”核ジャック”大量脱北・・・

  5つのシナリオを想定

(読売 12月3日 朝刊)

[概要]先日の3日(日)に掲載されていた記事である。2日付の韓国の朝鮮日報紙が韓国政府消息筋の話しとして報じた。内容は北朝鮮の崩壊など事態急変に備えた対応策「概念計画5029」を、07年までに具体化することで米韓両政府が合意したという。

 同計画は金大中政権下の1999年に策定されたが、今までに具体策は検討されてこなかった。しかし今年10月、ラムズフェルド国防長官とユン韓国国防相が計画を具体化することに合意し、これを受けて米韓連合司令部と米韓合同参謀本部が具体化作業に着手する。

 想定される事態は、@反乱軍によって北朝鮮軍のNBCやミサイルなどの大量破壊兵器が奪取された。 Aクーデター、軍や住民の暴動、金正日の突然の死などで内戦が発生した。 B住民の大量脱北が始まった。 C大規模な自然災害の発生した。 D韓国人の人質事件が発生した。ーーーという5つのシナリオが想定されている。

 特に@のケースが起こりうると想定し、米海軍や韓国軍の特殊部隊を投入して制圧する案も含まれている。

[コメント] 本日、午前中に依頼の原稿を仕上げて、送信する仕事に追われています。コメントは送稿が完了した午後に書きます。

 @にケースは以前の作戦計画5029の原型である。それに新しくABCDを加えた点でより具体的になっている。そろそろ北朝鮮の周辺国会議(5カ国協議)で、北朝鮮・崩壊の秘密会議を開く時期に来ていると思う。もう北朝鮮の再生はありえない。中国としても北京のオリンピック直前に自然崩壊(暴動・クーデター・内部抗争)しても困るだろう。来年の早い段階(夏まで)でに、北朝鮮が安楽死できるように調整すべきと思う。

 それから中国は北朝鮮から中国の朝鮮自治区に大量の脱北難民が押しかけ、朝鮮族と合流して反中国運動の展開を警戒しているという見方があるが、中国という国はそのような反国家運動には平気で軍事力で抑え込む国である。中国で脱北難民が分離・独立運動を起こせるほど優しい国ではない。一気に武力弾圧されて潰される。それよりも中国が警戒しているのは、北朝鮮難民が感染症などの病気に感染している場合である。国境のフェンスはそのために建設され、中朝国境の警備に警察から人民解放軍になったのもそのためである。

 90年代の後半に、もし北朝鮮が崩壊すれば、日本に大量の難民が押し寄せるということを言うのと同じである。わざわざ日本に向かって逃げて来るような北朝鮮難民はいない。あくまで貨物船などで北朝鮮から逃げ出した保衛部(治安機関)クラスの者たちで、北朝鮮に残れば怒った人民に殺される危険を抱えるものたちである。だから日本としては、武装難民の武装解除と、感染症対策が重要である。

 またいつも言うが、北朝鮮の崩壊が確認されたら、出来るだけ早く緊急の食糧や医薬品を北朝鮮に運び、北朝鮮の人々を助けることが必要となる。そのための5カ国協議を始めるべきと提案する。

英国 核戦略白書

「新たな脅威を抑止」

ブレア首相

 核兵器更新新方針

(読売 12月6日 朝刊)

[概要]英国政府は4日、核兵器システム更新に関する「英国の核抑止力の未来」と題する白書を発表した。白書では冷戦後も核戦略システムを維持する理由を、「ならず者国家」に支援を受けたテロリストによる核攻撃まで想定した幅広い議論を展開している。

 ブレア首相が打ち出した戦略核システム更新の方針は、正式発表前から与野党で疑問の声が出ていた。それを最大公約数的に表現すれば、「冷戦が終わり、ソ連に対する核抑止が不必要になった現在、新たに150〜200億ポンド(約3兆000億〜約4兆5500億円)という巨費を投じて英国の核システムを更新する価値があるか」という疑問だった。クラーク前内相も、「(戦略核システムの柱である)トライデント・ミサイルは冷戦の産物。テロリストのような脅威には対処出来ない」と語っていた。

 これに対してブレア首相は、北朝鮮とイランを名指しして、核能力を得つつある「新たな脅威」が登場していると強調し、既存の核兵器保有国はどこも核兵器放棄を考えていないと指摘した。英国の一方的な核放棄は賢明ではなく危険だと主張し、英国が今後も戦略核維持の必要性を訴えていた。

 白書では、こうした国単位の核拡散に加え、テロ支援国家がテロリストに核兵器を供与する危険性にも言及している。そのためテロリストに核兵器を供与して、核攻撃を加える国家は、「(英国による)しかるべき対応を予期することになる」と明記した。

 5日付けの英ザ・タイムス紙は、「しかるべき対応」という言葉を「非常に強い表現だ」として、「核抑止力は、テロ支援国家を対象にした」と評した。

[コメント] イギリスのこの白書のように、ならず者国家がテロリストに核兵器を供与し、イギリスを核攻撃した場合には、核兵器を供給した国家をイギリスが核報復するという仮定も、かなり過剰な想定が入りすぎているように思う。これはさらなる核拡散につながる手前勝手な核肯定論理で、核軍縮という考えに逆行するものである。

 10月9日の北朝鮮の核実験実施を受けて、私は日本の核抑止力に対して強い関心がわいている。それは核兵器(核攻撃)を抑止するには、核兵器(核報復)で抑止するしかないかという疑問である。そのように考えれば、当然ながら日本は「アメリカの核の傘」に依存するか、日本も独自の核武装をするという選択肢しかありえない。

 その二つの選択肢しかないなら、答えは必然的に「日本はアメリカの核の傘に依存し、自らは核武装をしない」ということになる。しかし日本が独自の核武装をすることを主張する人たちは、「アメリカの核の傘」に依存する不安と危険を指摘する。今後も世界規模で核拡散が広がり、NPT(核拡散防止)体制は自然崩壊の運命にさらされていると考えている。また日本で世界の反核を主張する者が、アメリカの核の傘に依存するとは矛盾することである。

 石破元防衛庁長官の非核論なども、核武装は莫大なお金がかかるし、日本のNPT脱退で世界から孤立する。孤立してエネルギー供給がストップする。あるいは日本は国土が狭く核抑止力に不利であるとか、日本の核武装で東アジア地域の不安定化につながることになる、というさまざま指摘も、北朝鮮からの核威嚇という恫喝で吹き飛びそうな論理でしかない。もし北朝鮮が日本海の佐渡島沖や伊豆大島の沖合に、威嚇の核ミサイルを撃ち込めば、一気に吹き飛ぶ非核論でしかない弱いものと思っている。

 日本の核武装(相互確証破壊戦略をとらない)はMD(ミサイル防衛)よりもはるかに投資額が少なくて済む。日本はアメリカのように早期警戒衛星の運用はしないし、核攻撃を受けた場合に報復的な核攻撃を行うのみの核戦力である。中国型の非対称核戦略で、先制攻撃の否定宣言を行えば、核武装の経済負担は少なくて済む。日本が中国型の核戦略システムを選択するば、日本の孤立化も大きな影響を受けないだろう。また北朝鮮の核威嚇に対する抑止効果だけは絶大である。

 このように考えを進めていくと、私は逆に日本が核兵器に頼らない核抑止力を必要と考える様になってきた。日本はアメリカの核の傘を否定(拒否)できる核抑止理論を日本で生み出す必要性である。そのことが日本の”非核大国”への道であると気がついた。アメリカの核の傘に依存していては、日本の独自戦略(国際平和戦略)は生まれないのである。

 北朝鮮が「我が国への制裁は宣戦布告とみなす」と発言し、弾道ミサイル発射(7/5)と核実験(10/9)を実施した。しかし日本は毅然として北朝鮮へ制裁を実施している。私はこの光景をみて、日本に非核大国の思想が根付いていると感じた。北朝鮮からの核兵器の攻撃や威嚇に対して、核兵器で対抗する以外の核抑止力の誇示である。それを国際政治的な核抑止理論にまで発展させれば、日本が非核大国として国際社会に貢献出来ることが可能になると考えた。

 北朝鮮が日本に6カ国協議に来るなと怯えたのは、日本のこの非核大国としての威圧に怯えたのではないか。

 今日現在、私自身がまだ思考段階で充分にまとまっていない。これは非常に読みづらい文章と思うが、日本が戦後60年目にして、日本のDNAとして”非核大国”が刻まれていることに気がついた。核戦争に対する憎悪と、核兵器配備に対する罪悪感がDNAの根幹にあることは間違いない。

米軍・普天間移設

「V字」ルート

   日米合意

集落通過 

   緊急時のみ

(朝日 12月5日 朝刊)

[概要]日米の外務・防衛当局の審議官級協議が4日、東京都内で行われ、在日米軍再編の焦点である普天間飛行場(沖縄県 宜野湾市)を名護市辺野古崎へ移転させることで、V字型滑走路の建設計画に合意した。

 米側は米軍機が2本の同滑走路に双方から着陸出来るように4ヶ所の進入灯設置を求めていたが、今年5月に日米が合意した2ヶ所のみを主張する日本側の要求を受け入れた。ただ日本側は緊急時に双方向の着陸を容認しており、米軍機が集落上空を通過する可能性は残された。

 5月の日米合意では、北風の時は北側滑走路を着陸用、南側滑走路を離陸用、南風の時はその逆とされていたが、米側が燃料不足や悪天候の場合に限って双方向の着陸を要求していた。そのため2本の滑走路の反対側にもさらに2ヶ所の進入灯を加え、4ヶ所の進入灯の設置を日本側に求めていた。

 日本側は2ヶ所のみの進入灯として米側に了承させ、米側が主張する緊急時の場合の着陸は容認した。

 今回の日米合意を受けて、政府は年内にも沖縄県、名護市など市町村普天間移転の協議を再開したい考えだ。しかし沖縄県知事に就任する仲井間弘多氏が「現行のV字案には賛成出来ない」としており、協議は難航しそうだ。

[コメント]飛行場や空港には専用の消防隊が必ず配置されているように、航空機の緊急着陸は意外と回数が多いのが現状だ。その場合に米軍は要求していた集落上空のコースを使用出来るというから、あえて進入灯4ヶ所に固持する理由はない。しかしV字滑走路に新知事が反対しているというが、1本の滑走路という要求には米側が受け入れないだろう。

 どうして米側が2本のV字型滑走路にこだわるかといえば、海兵隊がCH46やCH53輸送ヘリの後継として配備するMV−22B(海兵隊型オスプレイ)のSTOL(短距離離着)を意識しているからだと思う。海兵隊の現有ヘリとMV−22と、2つタイプの航空機の運用を考えると2本の滑走路が必要になるという軍事上の論理だ。今後、沖縄海兵隊の拠点をグアムに移しても、辺野古崎新基地にはいつでもMV−22が飛来して運用したいという米軍戦略である。

 そのあたりの(軍事)事情を防衛庁や米軍は地元住民に詳しく説明しない。そこで地元では1本から2本の滑走路建設は地元の負担を重くするものとなる。このあたりに今までの基地対策の姿勢が地元との問題を深刻化していると思う。

米議会調査局

   朝鮮問題専門官

北エリートの

    贅沢品供与

大幅削減は

 中国の協力不可欠

(産経 12月4日 朝刊)

[概要]米議会調査局の朝鮮問題専門官のラリー・ニクシュ氏は金正日体制支持の基礎となるエリート層への贅沢品供与の大幅削減は、中国が協力しない限りは達成が難しいという分析を明らかにした。

 ニクシュ氏の「北朝鮮内部の評価」という分析報告では、朝鮮労働党や人民軍の高級幹部など中核エリートは約5万人と推定している。金正日総書記は年間約1億ドルの外貨を使って贅沢品を調達し、体制への絶対的忠誠心を高めるために、平均より高い生活水準を保証し、外国の高級品を贈り物として供与してきた。

 日本や米国は北の核兵器開発の放棄を強いるために、北朝鮮のこの贅沢品を禁輸したり、購入に必要な外貨の違法取得を阻止する制裁手段をとっている。しかしニクシュ氏は北朝鮮への経済制裁の背景について次の点を指摘した。

 @北朝鮮が贅沢品の購入に必要な毎年の外貨は、合法的な輸出により約10億ドル、非合法な武器輸出で約5億ドル、さらに偽造紙幣や医薬品、麻薬などの密輸で約5億ドルを取得していた。エリート層への贅沢品供与に大幅削減を迫るためには、この外貨収入の20億ドルを10億ドル以下に削る必要がある。Aしかし北朝鮮、とくにエリート層の外貨と消費物資の源はなお中国であり、中国企業の北朝鮮での自然資源利用の「権利使用代」として多額の外貨を得てきた。(例えば鉄資源開発事業への9億ドル、石油探査への5億ドル) B北朝鮮の消費物資は全体の90パーセントが中国から入り、その中には高級品も少なくなく、金総書記はエリート層への贅沢品を中国から購入出来る。 C金総書記はスイスなどの外国銀行に40億ドルの個人秘密口座を持ち、いざという時はその秘密資金を充てて贅沢品を調達できる。

 エクシュ氏は以上の理由から、日本や米国など国連主体の経済制裁だけで、北朝鮮の外貨収入(合法・非合法を含め)を従来の半分以下にすることは難しい。しかし北朝鮮の外貨収入を半分以下にしなければ経済制裁の効果が期待できない。そのためには中国の広範囲にわたる協力が不可欠となる。ーーーーという結論を打ち出している。

[コメント]この報告で北朝鮮の外貨事情がよくわかる。一方、北朝鮮政府の年間国家予算は約3000億円(27億ドル規模)と韓国のシンクタンクが発表している。そのような数字を見ていくと、確かに中国が北朝鮮への経済制裁に協力することが成否の重大な要素になる。

 別な言い方をすれば、中国がすべての北朝鮮問題で決定権を持っていると思う。だからアメリカが北朝鮮問題を中国に丸投げしたというのも仕方ないことかもしれない。

 その中国で上海市などの汚職問題を通じて、江沢民派と胡錦涛派が権力闘争で激しく争っていると聞く。しかし胡錦涛主席が間もなく権力を掌握することは間違いない。その中国内政問題が山を越した段階で、北朝鮮への判決が下さることになりそうだ。それがいつなのか。すでに年内の6カ国協議再開は難しくなった。北朝鮮が核保有国としての待遇にこだわり、核放棄の見返りに体制存続の保証や大規模な援助を求めても、日本やアメリカが応じる訳がないからでる。もし北朝鮮の脅しにアメリカや日本が応じれば、アメリカでは2年後の大統領選挙で共和党候補が大敗し、日本では来年7月の参院選挙で自公が大敗することになる。

 すなわち北朝鮮の核問題を扱う6各国協議はすでに協議の意味を失っている。北朝鮮の戦略は破綻してるのである。北朝鮮問題はすでに中国問題なのである。中国が朝鮮半島の未来像をどのように描き、アメリカ、日本、韓国(南北統一国家)、極東ロシアとどのような関係を築くつもりなのか。そのことを考えるべき時期がきていると思う。今までの朝鮮半島専門化の分析ではなく、これからは中国研究の専門化たちが北朝鮮を語るべきなのだ。

 破綻して身動き出来ない北朝鮮をいくら論じても何も見えてこない。身動き出来なな北朝鮮を動かすことができるのは中国だけである。韓国はまだまだ北朝鮮(金正日)への警戒心を解いていない。安楽死させたいだけである。

 なぜ朝鮮半島だけは分断国家体制が続き、冷戦時代のままに固定化されているのか。それも一方は世界で最貧国のひとつである経済が破綻した北朝鮮なのにである。その答えこそ、軍事境界線近くの地下陣地に大量に配備された、北朝鮮軍の化学・生物兵器の軍事戦略のためである。弾頭に化学・生物兵器を搭載した177ミリ長距離砲、地対地ロケット・フロッグ7、スカッドミサイルのためである。

防衛省法案

来年1月に

    「防衛省」誕生

衆院を通過

(読売 12月1日 朝刊)

[概要]防衛庁の省昇格関連法案が30日の衆院本会議で、自民、公明の与党と、民主、国民新両党の賛成で可決され、参院に送付された。同法案は12月中旬に成立し、来年1月に防衛省が誕生する見通しだ。

 防衛省になれば、内閣府の長である首相が権限を持つ閣議への議案提案や財務省への予算要求を、防衛相が直接行えるようになる。

 また自衛隊の国際平和協力業務、在外邦人輸送、周辺事態における後方地域支援などの活動を「付随的任務」から「本来任務」に格上げとなる。防衛施設庁を07年に廃止し、防衛省に統合することになる。

 本会議に先立って開かれた衆院安全保障委員会で、シビリアン・コントロール(文民統制)の徹底や、防衛施設庁談合事件などの不祥事の究明を政府に求める付帯決議を行った。

[コメント]今日の読売の社説を読むと、”「対立」するのがおかしかった”という見出しで、防衛庁が防衛省に昇格することの正当性が書かれている。それに対して異論はない。

 しかし一般の新聞ならそれでよいが、このような軍事情報の専門サイトでは不十分な説明となる。なぜこの時期に急いで「省昇格」を急いだ正確な理由である。それは公明党が7月の参院選挙前に決着することを求めたからと説明されている。それではなぜ7月の参院選挙までに「省昇格」を決めなければならなかったのか。

 その理由は04年7月の参院選挙にさかのぼる。実は防衛庁・自衛隊関連として、隊友会(OB会)、在郷軍人会、自衛隊父兄会など、選挙での防衛関連組織票が少なくとも100万票があるといわれている。しかし組織がフル稼働すれば200万票を集めることもできる大票田である。少なくとも100万票で、多ければ200万票の票田である。その組織票で04年には3人の防衛庁関連の関係者が自民党から立候補した。事前の予測では3人とも余裕の当選圏内の範囲に入っていた。しかし選挙戦で自民党は苦戦し、民主党が善戦したのはご存じの通り。結果、この3人全員が落選したのである。獲得した票はそれぞれ10万票前後で、3人合わせても30万票にしか達しなかった。(04年の参院選挙で自民党全国区の最低当選ライは15万票だった)。04年の参院選挙で自民党は自衛隊員からそっぽを向かれた。

 04年の参院選挙で自民党の防衛関係議員は全滅してしまった。これに青木自民党参院議員会長が激怒した。今の参院には民主党(小沢派)に防大1期出身の元空将がいるだけである。なぜ自衛隊票が自民党に行かなかったと言えば、小泉首相のイラク派遣問題が自衛隊関係者に嫌悪されたからである。イラク派遣が隊員や家族に批判されたという言い方もできる。そこで今回は自民党が来年の参院選挙対策として、自衛隊員の士気を上げるために、参院選挙対策として「省昇格」が決定されたのである。

 防衛庁の省昇格は自衛隊員に好感を持たれるだろう。しかし安倍首相は次ぎに集団的自衛権の行使(解禁)で、米軍と自衛隊が海外で一緒に戦う道を開こうとしている。これは小泉前首相が強引な自衛隊のイラク派遣で自衛隊員からブーイングを浴びたのと同じ道である。自衛隊員は安倍首相が自衛隊を海外の米軍に差し出すことで、米大統領の庇護で長期政権維持と安定化を図りたいことを知っている。つまり今のまま集団的自衛権の解禁だけでは、自衛隊員の両腕を縛って戦場に送り出すようなものである。これこそイラク派遣の再現である。

 このホームページを読む人は、防衛庁の省昇格にはそのような事情が隠されていることを知ることも必要と思う。



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。