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この情報の最も新しい更新日は12月30日(木)です。    

 年末・年始につき

12月31日〜1月4日まで、この更新を休止します。 (12月30日) 

   いよいよ今年もあと2日になりました。これから大掃除で窓ふきを行い、天井や壁のススを払い、午後はお正月の買い物に行きます。この今年1年間、多くの方にこのホームページを読んで頂きました。また、たくさんの励ましのメールを頂きました。本当にありがとうございました。

 しかしこのホームぺージが本当に面白くなるのはこれからです。来年はもっと期待してください。来年は念願のリニューアルを必ず行います。本当の軍事を知りたいと思っている人には、日本人の魂がこもった軍事情報をお届けします。写真や表も増やして、わかりやすくします。

 来年の自分の目標としては、ちょっと飲酒の量と機会を減らして、その分、読書や人と話し合う機会を増やそうと思います。

 それでは皆さん、いいお年を! そして、戦争で苦しんでいる人が平和な生活に戻りますように! 来年も頑張ります。 皆さん、ありがとうございました。

 日本政府 護衛艦など3隻派遣 プーケットで捜索活動 (読売 12月29日 朝刊)

[概要]日本政府はインドネシア・スマトラ島地震で被害を受けたタイなどに向け、本格的な支援活動に乗り出した。国際緊急援助隊派遣法に基づき、海上自衛隊の護衛艦と補給艦の3隻をプーケット島沖に派遣することを決めた。派遣する自衛艦は護衛艦の「きりしま」「たかなみ」と補給艦「はまな」の3隻。「たかなみ」はヘリを搭載している。3隻はテロ対策特措法に基づき、インド洋での給油活動を行い、帰国する途中だった。自衛隊の国際緊急活動は今回が5件目。これまでは輸送や医療・防疫活動、物資支援などが目的で、捜索・救難は初めて。このほかに警察、消防、海保、外務省などの国際緊急援助隊の50人と、医療チーム20人をタイに派遣する。

[コメント]インド洋での給油支援を終えて、帰国途中の自衛艦が大津波被災地での捜索・救援活動に向かった。昨日のTVニュースでは、スリランカに入った日本の緊急援助隊が、国際機関では初めての救助チームという報道に思わず拍手した。このような場合はとにかく初動である。そしてこの自衛艦だが、ちょっと誇らしい気分になった。というのはこの3隻を指揮しているのが、私の同期生であるからだ。たぶん堀一佐が司令をしているはずだ。堀は陸自の少年工科学校から海自に行った変わり者である。しかし同期の集まりにもよく出ていた。深く考える物静かな性格で、それでいて暖かみのある男だ。イージス艦の艦長も経験しているから、かなり優秀と評価されているのだろう。

 そろそろ佐世保に帰ってくるから、出迎えに行こうかと考えていた。というのは堀にとって、これが最後の航海になるかもしれないからだ。その最後の航海を出迎えに行って驚かそうかと思っていた。しかしこれで帰港が遅れそうだ。お正月には間に合わないだろう。でもいいチャンスが与えられた。海自が国際緊急援助で、初の捜索・救難活動を行った司令官になったからだ。これは誇らしい名誉だと思う。同期生として嬉しいし、誇らしい。

 中国、国防費14,2パーセント増加 04年版 16年連続の2ケタ伸び (朝日 12月28日 朝刊)

[概要]中国政府は27日、04年版の国防白書を発表した。白書の発表は2年ぶりだが、国防費の伸び率は連続16年間、2ケタの伸びを記録した。白書では台湾独立の阻止と、海洋権益の保護を強調し、日米が進めるミサイル防衛(MD)や、日本の憲法改正への警戒感を示した。国防費の伸びは、02年は18,4パーセント、03年が11,7パーセントで、04年は14,2パーセントで国防予算は2117,01億元(2兆7500億円)となっている。昨年はいったん減少した伸び率だが、今年は再び増加の傾向を見せた。

 軍事政策としては、海・空軍と戦略ミサイル部隊の強化と、各軍の統合作戦力を強める方針を示している。また国連平和維持軍に参加し、各国との防衛交流や、大量破壊兵器の不拡散や麻薬売買対策で、国際協調を進める方針を詳しく示した。

[コメント]中国の軍事費が白書に示される数字ではないことは充分に承知している。例えばタンカー建造費などに、海軍の輸送艦などの予算が紛れ込んでいるからだ。それでも国防白書には詳細に評価する価値はある。この白書からもわかるように、中国人民解放軍の第1の任務は国内の治安維持だが、対外的にみては台湾の独立阻止である。その次がマリアナ諸島(グアムを含む)までの海洋で、潜水艦を使って米海軍機動部隊を威嚇することである。その潜水艦は06年にロシアから追加購入したキロ級8隻が配備される。

 私が関心があるのは、中国空軍が早期警戒管制機の配備と、空中給油機の配備である。これで中国軍機の行動範囲が飛躍的に拡大するからだ。それに戦略核が多弾頭化(MIRV)することである。これで日米が進めるミサイル防衛(MD)が無力化することになる。中国の国防予算としては、その総額が10兆円を越える頃が日米が赤信号の点滅を意識する時と思う。時間的には10年から20年間はかかるだろう。それまでに中国の軍事力を、侵略・侵攻的ではないものにしなくてはいけない。そのために東アジア緊急展開軍というような組織が必要になる。今回のスマトラ沖の大地震で、大津波を受けた被害地地域で、緊急救援活動を行う共同軍部隊である。そのように東アジア地域の信頼醸成を高めれば、中国が10兆円を越える国防費を計上しても恐れる必要がなくなる。

 今の段階で言えることは、中国軍の秘密主義は戦力が強大からではなく、人前に出せるほど立派ではないからと理解していた方がよさそうだ。

 次世代戦闘機 F−35 共同開発参加へ 政府検討 技術共有、コスト抑制 (産経 12月24日 朝刊)

[概要]政府は23日、次世代高性能戦闘機としてF−35戦闘機などの国際共同開発・参加に向け検討に入った。最先端技術を共有することで、米英などと安全保障や経済面で相互依存を高め、国際開発で時間とコストの抑制を図る狙いがある。先に決まった新たな防衛大綱では、官房長官談話として、「武器輸出3原則は、米国との共同開発・生産は『テロ・海賊支援等』にも、『個別に検討』する」としており、これを適用する考え。

 F−35戦闘機は超音速に加え、多目的な戦術を可能にする製造ができる。開発には米英蘭のほか、トルコ、ノルウェー、シンガポールなど計11カ国が、出資規模や技術を4段階に分かれて参加している。ジェーン年鑑によると、現有のF−15戦闘機の開発費は30億ドル(70年代、3050億円)。これに対しF−35戦闘機は、240億ドル(90年代から 2兆4200億円)と8倍がかかるという。しかし日本が共同開発に参加しても、重要技術はブッラクボックスのまま生産されるので、日本の開発技術は世界の水準に比べ「10年の遅れを生じさせる」(防衛関連企業)という指摘がある。F−35戦闘機は全体で2500機〜3000機の生産が見込まれている。

[コメント]これは今年、生産を打ち切ることになったF−2戦闘機の後継機ではない。むしろ空自が現有するF−15戦闘機の後継にあたる機体となる。しかしF−2の後継として配備することも可能だ。すなわち今のように迎撃・制空(空中戦)はF−15戦闘機で行い、対地攻撃や対艦攻撃はF−2戦闘機で行うというのを変え、将来はF−35戦闘機で一本化する戦術思想となる。このような戦術思想の機体を「マルチロールファイター」と呼んでいる。1機でいくつもの任務をこなすという意味である。その最初の機体になったのがF−18スーパーホーネット戦闘機であった。米空母に搭載され、制空(空中戦)や対地攻撃や対艦攻撃ができる。これからアメリカの空母艦載機の主役になる機体である。それをさらに進めたのが、このF−35戦闘機ということだ。このF−35は空軍、海軍(空母)、海兵隊(強襲揚陸艦)で採用されることが決まっている。F−35には原型タイプからいろいろな用途に応じた製造ができる。例えば、空軍がステルス性を要求するする任務には、爆弾やミサイルを機体内に収納できるものもある。これで敵のレーダーに映りにくい。他には海兵隊が使っているハリアー戦闘機のように、垂直に離発着出来るものもある。海自が持ちたがっている軽空母での運用が可能になる機体である。

 そのように日本はF−2戦闘機とF−15戦闘機の後継を、F−35戦闘機とすることを決めた動きなのである。

 そこで問題になるのは共同開発と武器輸出3原則である。最初は中曽根時代に米国には軍事技術だけはOKと風穴を開け、次にミサイル防衛(MD)はOKで壁を崩した。さらに今回のF−35の共同開発では、軍事産業の道路(バイパス)を作ろうとしている。アメリカは重要な技術についてはブッラクボックスでカギをかけ、参加国には出した資金と技術に応じて、F−35戦闘機の分け前を与える作戦のようだ。まさにアメリカの王様商売である。これで各国はアメリカに対する依存度が増していき、アメリカ帝国がより巨大な力を発揮することになる。そして日本に残ったのは、もはや国産兵器を製造する価値のなくなった産業界と、自立することをあきらめた国防の実態である。昔、日本は自立した国家として、高くとも兵器は自国で開発・生産すると話していたことは昔話となる。日本が自身の国家戦略を考えることなく、米国の軍事力に依存してきたから当然の帰着であるというべきか。

 さてこのような新しい時代を、あなたはどのように考えて、どう行動するのですか。そして日本が進むべき道はどうあるべきなのか。この年末年始にちょっと考えてみませんか。

  それではよいクリスマスを! メリー・クリスマス! イラクに平和を!

 

 国会議員 調査 「早期に対北制裁を」回答の8割超す 「家族会」「救う会」がアンケート (産経 12月23日 朝刊)

[概要]拉致被害者の「家族会」と支援組織の「救う会」は22日、北朝鮮への経済制裁の是非について、衆参国会議員の全員721人にアンケート調査を行った結果を公表した。回答を寄せたのは381人(52.8パーセント)で、そのうち8割の313人(82.2パーセント)が、「早期に経済制裁を発動すべき」と答えた。「発動すべきでない」(1.3パーセント)。「どちらともいえない」(16.5パーセント)と回答した。政党別では、制裁発動派が最も多かったのは公明党(94.1パーセント)、次が自民党(86.0パーセント)で、民主党(80.0パーセント)と続いた。この結果を受け、家族会代表の横田滋さんは、「政府はこの数字を重く受けめ、早期に経済制裁を発動して欲しい」と話した。

[コメント]北朝鮮への経済制裁だが、政府が本気で取り組む姿勢を示していないことで、現実性が出てきていないと感じている。それに北朝鮮が宣戦布告とみなすとしているのに、日本が北朝鮮の軍事行動にどのように対処するのか説明がない。

 安部副幹事長は今も北朝鮮がノドンに大量破壊兵器を載せ、明日にでも日本を攻撃し来る能力を持つ国と脅威を語っている。(昨日 12/22日付け、読売新聞 朝刊) 安部副幹事長でも軍事的な知識がないから北朝鮮に振り回されている。そのような発言をしては政治家として失点なのである。

 また本気で北朝鮮に経済制裁を行うなら、関係国に対してそれなりの準備と根回しが必要である。そのような動くが政府に一切なく、北朝鮮は拉致した怖い国で、不誠実な国だから経済制裁とは考え方が甘い。政治家が単に大衆の怒りに迎合して、一緒に騒いでいるような気がしてならない。国家(日本)としての政治力を外国の国家(北朝鮮)に制裁を課すのである。もっと綿密な検討と行動があってよいのではないか。

 北朝鮮との関係ばかりではない。経済制裁発動で、中国やアメリカ、それに韓国との関係も重要である。そのあたりの動きが出ていないのである。それでは国民が北朝鮮の宣戦布告を恐れるだけの話しである。

 本日、「メールにお返事」のコーナーに、そのような内容のメールが届いたのでお返事を掲載しておきました。なぜ安部副幹事長の発言はまずいのか。なぜアメリカの動きが重要なのか。そのあたりのことをよく知って、北朝鮮への経済制裁を綿密に進めて頂きたい。

 イラク・モスル 米基地に砲弾 22人死亡 昼食時の食堂直撃 (毎日 12月22日 朝刊)

[概要]イラク北部のモスルにある米軍基地に、21日、正午頃に複数のロケット弾が打ち込まれ、昼食時の大食堂(テテント張り)を直撃した。この基地は米兵の他にイラク人治安部隊が共同使用しており、米兵やイラク人が少なくとも22人死亡する惨事となった。米軍基地を狙った攻撃では、昨年の大規模戦闘終結宣言以降、最大の被害となった。

 モスルは反米武装勢力の活動が活発な地域だ。ロイター通信によると、イラクのイスラム過激派「アンサール・スンナ軍」がウェブサイトに犯行声明を出した。米軍はモスル周辺に「タクスフォース・オリンピア」と呼ばれる約1万人を展開させ、そのうち約半数は機動力の高い「ストライカー旅団」だった。米軍兵士の死亡者数は不明。

[コメント]今朝のNHKニュースで着弾した食堂内を見た。着弾した場所ではテーブルや食器が散乱し、付近に何人かが横たわっていた。昼食時に基地内の大食堂を狙ったところを見ると、攻撃した兵器はロケット弾ではなく、迫撃砲のような気がする。迫撃砲なら正確に一点を照準できるからである。また大食堂は基地内中央付近に作られることが多く、弾道の低いロケット弾だと正確に命中させることは難しくなるからだ。そこで記事がいう複数のロケット弾とは何発なのか、本当にロケット弾なのかが気になる。

 NHKのバグダッド特派員が、「犯人はファルージャから逃げてきた反米勢力の可能性がある」と報告していた。これからも大きな攻撃が起これば、ファルージャから逃げてきた反米武装勢力と言われるだろう。これは暗にファルージャ総攻撃を批判している。

 ストライカー旅団も基地内で食事時を狙われれば無力である。そういえばテロなど非正規戦の研究者から、航空自衛隊を短時間に無力化させるには、あらかじめ官舎に住むパイロットを調べ、彼らを素早く暗殺すれば戦闘機は飛ばないという話しを聞いたことがある。

 それに「ストライカー旅団」が精鋭部隊というのは正規軍的な考え方で、テロやゲリラ戦などの非正規戦では、食事時や休憩時を狙われるので、精鋭部隊という言い方は適当ではないかもしれない。精鋭部隊でも警戒心が薄くなる食事時、休憩中、睡眠中、入浴中が危ない。

 この事件を受けて、モスルでは基地周辺の警戒が厳重になる。特に迫撃砲やロケット弾の射程内(約5〜10キロ)には多くの兵員が配置される。基地警戒要員に米軍は兵員を奪われ、それ以遠では逆に警戒が薄くなる。来月1月末の選挙用にイラクの駐留米兵が1万5000人増員(合計15万人)されたが、これも各地の米軍基地警戒用に投入されることになれば、焼け石に水の増員になってしまう。攻撃する側はそのような意図で昼食時の大食堂を狙った。軍事知識では今回の攻撃をそのように読む。

※ 仮に、基地周辺から3キロの範囲を、1000人が交代しながら24時間重点警戒していたとする。しかし攻撃された兵器の射程が伸びて、周辺6キロと距離が2倍に増えると、当然ながら警備範囲が拡大し、必要な兵員数は平面だから2倍の二乗で4倍になる。すなわち4000人が必要だ。サマワで陸自が打ち込まれたような射程が12キロのロケット弾なら、距離が4倍で平面が二乗の16倍だから、警備に16000人が必要になる。このように基地に立てこもる部隊に対しては、精密砲撃が可能な迫撃砲と、射程の長いロケット弾を組み合わせると、相手に対応策を取りにくくさせる効果がある。このあたりのことを武装勢力は知っていて、今回の攻撃を行った可能性がある。

 待ち伏せ攻撃のしやすい路上の爆弾から、これからは基地を狙った攻撃に変化する最初の兆候なのか。とにかくサマワの自衛隊は厳重注意である。

 中国 空母建造 86年に研究提起 「米艦見学して強い印象」「ロシアから専門家招く」 劉元軍事委副主席が回顧録 (読売 12月21日 朝刊)

[概要]中国海軍の近代化を進めてきた劉華清・元中央軍事委副主席(88)が、80年代から空母保有に向け研究を行っていたことを回顧録で明らかにした。劉氏が解放軍副総参謀長を努めていた80年5月に訪米し、空母キティホークを見学した。その印象が強烈だったと回顧録に書いている。86年になると劉氏は「どうしても中国は空母を建造しなければならない。2000年までにプロジェクト始動を検討する必要がある」と提議し、装備技術工作会議で研究作業を加速するように訴えた。80年代末には海軍の専門家を米仏露の空母視察に派遣した。またロシアから空母建造の専門家を招いて技術資料を導入した。劉氏の空母保有の路線は今も引き継がれ、発展しつつある。

[コメント]私は中国が空母の建造に熱心だったということは知っているが、結論を言えば中国は本格空母を建造しないと断言している。その理由は、まずは技術的に見て中国には無理である。ただし4万トンクラスの軽空母で、艦載ヘリやハリアー戦闘機のような航空機を購入し、中国の沿海で運用するという条件ならば、技術的に可能である。

 これが本格空母となると、まず艦載機・開発の問題がでてくる。中国には空母から戦闘機などを発艦・着艦させるに耐える機体が作れない。また空母は機動部隊という総合戦力で戦う戦闘集団である。その総合的な戦闘集団が中国海軍は作れる見通しがない。これはお金のない財布を、いくら振ってもお金が出てこないと同じだ。

 次に軍事技術はこれからRMA化の時代にはいる。RMA化された新兵器に空母が耐えることは難しくなる。例えば、グアム上空を飛行する攻撃機から、中国沿海の空母に長射程の精密誘導・対鑑ミサイルが発射されたとする。この対鑑ミサイルは数千キロ離れた目標であっても、無人偵察機や監視衛星からの情報で、移動中の空母でも正確に命中する。空母はミサイルや爆弾や魚雷が1発でも命中すれば、艦載機の運用は即中止する。鉄片のひとつでも航空機のエンジンが吸い込めば大惨事になるからだ。

 そのような理由で中国が本格空母を建造するわけがないと断言する。この回顧録はお年寄りの「思い出話し」として読む方が良さそうである。劉氏の空母保有の路線は今も引き継がれ、発展しているわけがないのだ。まあ、中国海軍の若い兵士たちに、中国海軍の心意気を熱く語っているのだろう。

 中国海軍が今も本格空母の建造を夢見ているのなら、将来の中国海軍の脅威は確実に半減する。そんな無駄なものにエネルギーを浪費させているバカ海軍だからだ。そんなバカではないから細心の注意が必要なのである。

 米MD開発 各国と協力強化模索 中東対策で欧州に重点 (朝日 12月20日 朝刊)

[概要]米政府がミサイル防衛(MD)の研究、開発で同盟国や友好国との協力強化を模索している。米政府は先のミサイル迎撃実験の失敗で、配備計画の遅れが予測されるなか、開発に各国を巻き込むことで、開発速度を加速させるとともに、開発資金の一部を負担させたい狙いもある。米国としては、北朝鮮、シリア、イランなど20カ国以上が弾道ミサイルを保有し、将来、ミサイル防衛能力を持たないと脅威が拡大すると説明している。すでに日本とはMDの包括的な了解覚書(MOU)を交わしたばかり。ほかにアメリカは英国、ドイツ、イタリア、オーストラリア。イスラエル、ロシアと協力を進めている。米国としては他の欧米諸国にも、大量破壊兵器の拡散と弾道ミサイルの脅威が拡大するとして、多くの欧州諸国がMD開発に参加するよう強調している。

[コメント]なんだがブッシュ政策は宗教のMD教に似てきた。大量破壊兵器と弾道ミサイル拡散の怖さを説き、その予防のためにMD教を信心しようと勧めるやり方である。しかしそのMDがまだ不確実で、その開発に失敗すればMD教の教祖であるブッシュ大統領の信頼は失墜する。まあ年金問題と同じような側面がある。自分の老後の年金は心配だが、政府のいう解決策も問題だらけという同根である。

 そのように批判することは簡単なのだが、そもそもサリンなどの毒ガス(大量破壊兵器)と、弾道ミサイルの開発は意外と簡単で、最近になって始まった新しい脅威ではない。

 前々から、北朝鮮は外貨を得ようと、産油国に弾道ミサイルを輸出したり、イスラム社会で開発や生産に協力してきた。中国もパキスタンの核兵器開発を援助し、インドの核兵器に対抗する核実験を成功させた。ロシアも大量のスッカド・弾道ミサイルを中東に輸出し、中東の弾道ミサイルの拡散に貢献(?)していた。

 こうして弾道ミサイルの脅威を煽り、その次にアメリカはMD教を広めようとしている。もしMDの開発が成功しても、次はMDを無力化する技術が開発されるだろう。今の段階から多弾頭やオトリ弾頭などで、MD兵器を無力化させることは容易と予測されている。このようなイタチごっこを、軍事では過剰な兵器競争と呼んで、無用な軍事競争の拡大を防止するために話し合うのが常識である。ABM条約や中距離核弾道ミサイルの廃棄などの例がある。

 そのような正常な動きがでないのは、すでに抑制を話し合う限界を越えて、弾道ミサイルが広まってしまったからだろうか。本来は大量破壊兵器の脅威には、相手に耐え難い報復力を示すことで抑制されてきた歴史がある。これからは相手が国家ではなく、テロリストやゲリラなどの非対称といっても、それでは弾道ミサイルの脅威は発生しない。

 そのようにいろいろ考えていくと、今のMDをめぐる動きは何かヘンである。究極の問題は、アメリカの超軍事大国化にあるような気がしてならない。軍事超大国になったがゆえに、弾道ミサイルの恐怖に怯えるアメリカの姿である。イラクでも治安の悪化を軍事力で防げない限界を知った怖さである。MD教を狂信するアメリカの姿に、軍事力では平和も安定も築けないことがわかってくる。

 軍拡やMDに使われる予算を、世界の貧困や差別の解消、教育や医療の充実に使ったほうが、安全で繁栄した社会を築く効果がある。こんな単純なことにどうして気が付かないのか。

 米陸軍司令部座間移転問題 指揮権「極東有事に限定」 「極東条項」考慮 米、協議促進狙う (毎日 12月19日 朝刊)

[概要]在日米軍再編をめぐる11月の日米審議官級協議で、米側はキャンプ座間(神奈川県)に移転させる第1軍団司令部は、極東有事に限り作戦指揮権を持たせる方針と説明した。これは日米安保条約第6条「極東条項」で、在日米軍の目的は「日本と極東の安全のため」とあるのを考慮した模様。米側は、「アジア太平洋地域で作戦指揮権を持つのは太平洋軍司令官だけで、座間に司令部を置く第1軍団司令官に平時の指揮権はない」と強調した。その上で、「極東地域の紛争に出動する場合に限り、陸海空軍と海兵隊の4軍を統合指揮できる権限を与える案」を示した。これによって在日米軍と自衛隊の一体化が進む可能性がある。

[コメント]これで座間に第1軍団司令部を持ってくる目的が、「不安定の弧」を指揮するためでないことが判明したと思う。座間の第1軍団司令部は、中東から東アジアに広がる「不安定の弧」に展開する米軍を指揮すると解説した00論は破算した。確か00氏の説明では、西は英国、東は日本から、米軍は「不安定の弧」を作戦・指揮すると解説していた。私は米国がそんな大事なもの(司令部)を、与党政権が安定しない英国や日本に持ってくるわけがないと反論していた。しかし今の日本では、座間の第1軍団司令部が、「不安定の弧」を指揮すると信じている人が大部分だろう。00氏はイラク情勢の展望を見誤り、すぐに安定すると主張して自衛隊のイラク派遣を強く後押した。こまった人である。少しでも軍事のことがわかるなら、日本に「不安定の弧」を指揮する司令部など置くわけがないと気が付くのだが。

 韓国は座間の第1軍団司令部が、将来は日韓の米軍を指揮するのか気にしているようである。米側は強く否定しているが、北朝鮮という脅威が消滅すれば、座間の司令部が日韓の米軍を作戦指揮するのは当たり前の話しだ。北朝鮮が消滅するまで米側は「正しく答える」ことはできないが、質問する韓国側も米側が正しく答えられないのを知って質問している。

 それなら何故、アメリカは座間に第1軍団司令部を移転させるのかといえば、これからも中国やロシアに対して、東アジアでプレゼンス(存在感)を示したいからである。だから第1軍団司令部は司令部機能だけでいいし、司令官には在韓米軍司令官の中将級を越える「大将級」をあてるのである。さらに今日のこの記事で、作戦指揮は極東有事に限定していると考えていることが明らかになった。これで00氏がどのように持論を変えるか見ものである。いつも感心しているが、00氏の素早い変身ぶりは名人技である。

 ユシチェンコ氏暗殺未遂疑惑 ダイオキシン濃度6000倍 毒物疑惑旧ソ連で頻発 露情報機関関与説 常に浮上 (産経 12月17日 朝刊)

[概要]ウクライナ大統領選の親欧米派野党候補、ユシチェンコ元首相への暗殺未遂疑惑で、同氏の血液を鑑定していたオランダ・アムステルダム自由大学のボエオウワー教授は、血液に含まれているダイオキシンの量は通常の6000倍だったと発表した。これは歴史上に検出された量で2番目にあたる数値だ。(1番は1990年代に検出されたウィーンの織物工場の女性2人)。ボエオウワー教授はユシチェンコ氏に投与されたダイオキシンを、全400種類の内29種類まで絞り込んだ。

 一方、キエフのニュースサイトには、旧KBGの後継機関であるウクライナ保安局の大佐が、「保安局が暗殺未遂に関与した可能性は排除できないが、ソ連時代から猛毒はウクライナに保管されていない。またそれも機密扱いで、モスクワの判断なしに持ち出すことは出来ない」と語り、国内外の情報機関が暗殺計画に協力した可能性があると指摘した。

 ロシアではプーチン大統領の汚職を糾弾していた下院議員のシチェコチヒシ氏が、昨年7月に、突然、皮膚がむけ落ちる症状に襲われ急死している。そのほかにも多くの毒殺疑惑が起きている。旧ソ連時代にKGBは多くの毒物を開発したという。ロシア周辺の親ロシア国家で、大物野党政治家が急死するたびに露情報機関の関与が疑われている。

[コメント]毒殺は人類の政治の歴史と同じほど長い歴史を持っている。人間の周囲を見ても、ヘビの毒、植物の毒、魚の毒というように、猛毒になる原料があふれている。狩りにも使われた。また人類が金属などを使うようになると、銅に発生する緑しょうも毒薬に使われた。また火薬などのほかに錬金術から生まれた猛毒も多い。それほど人間の歴史と毒薬は深く結びついている。

 逆に毒殺を防ぐ方法も発展した。日本ではお殿様のお毒味役は有名だが、中国料理で大皿に盛って食べるのは毒殺を防ぐためだった。また銀製の食器が広まったのは、銀が酸(毒)に触れると黒く変色することで、毒殺を防ぐ効果があったという。カンボジアのシアヌーク前国王は料理人を北朝鮮から派遣されてきている者しか使わない。毒殺を防ぐためである。

 歴史的に毒殺を疑わせるものが多々あるが、当時は毒物を検出できる手段がないので疑惑死として葬られた。しかし最近は特定の薬物を検出する方法が進歩して、毒殺を検証することが可能になった。例えばナポレオンの墓から髪の毛を採取して、ナポレオンが長い間にわたり、微量のヒ素を飲まされた毒殺と判明している。

 さてロシアのプーチン大統領だが、私はいつも彼に旧KGBの陰湿さを感じている。平気で政敵や裏切り者を暗殺する陰湿さである。邪魔な者は毒殺で片づける。それらを安易に使いすぎている。今のロシアは毒殺大国である。そのことがプーチン大統領の命取りになると思う。

 ミサイル防衛(MD) 米、迎撃実験また失敗 発射できず 実戦配備に影響も (朝日 12月16日 朝刊)

[概要]米国防総省のミサイル防衛局(MDA)は15日、アラスカ沖から発射した弾道ミサイルを、太平洋上で迎撃する実験に失敗したと発表した。失敗の原因は地上から発射する迎撃ミサイルで異常が発生し、発射できなかった。地上発射の迎撃ミサイルの実験は2年ぶりだが、前回も失敗しており、さらにMDシステムの実効性に疑念や批判が強まることが予測される。

 ブッシュ大統領は04年以内の実戦配備を選挙公約にしてきた。だが今回の失敗で米国のMDシステムは「発展途上」の段階であることを浮き彫りにした。しかしラムズフェルド国防長官の主導で、MDの開発・配備については、配備を進めながら開発する「らせん開発方式」が採用されている。そのためミサイル防衛局(MDA)は、今回の失敗は実戦配備と関係ないとの立場をとっている。

 日本が導入するMDシステムは、海上配備のイージス艦のSM3ミサイルと、地上のパトリオット地対空PAC3(先進型)の組み合わせで、今回の実験とは直接関係はないが、敵の弾道ミサイルを迎撃する原理は同じである。あいつぐMD実験失敗で、日米が共同して開発するMDシステムに、一層高いハードルが現れたと言える。

[コメント]この記事を読んで私は背後の本棚を見つめた。80年代の前半、アメリカにレーガン大統領が登場したとき、新しく「スターウォーズ(宇宙戦争)計画」(Strategic Defense  Initiative )という戦略概念を発表した。旧ソ連から飛来する核弾道ミサイルを、アメリカは宇宙で迎撃して撃破するという防衛システムの開発・配備だった。当時、SDIのことを詳しく解説した本が、本棚に数冊はあったと思ったからだ。

 しかしアメリカ人にとって夢のような話しでも、結局、莫大な開発予算が投入されただけでSDIの開発は中止された。アメリカは技術的な問題を解決できなかったのである。特にSDI技術で問題になったのは、精度の高い迎撃・誘導方法と、オトリなどの疑似目標を識別できないことだったと記憶している。

 今回は80年代のスターウォーズ計画の中止に懲りて、迎撃ミサイルは命中しなくても目標近くを通過すればいいとか、オトリの問題は無視して開発するとか、かなり甘い設定でMDの開発を急いだ経緯があった。しかしいくら開発条件の設定が甘くても、敵の弾道ミサイルを迎撃できなければ、この莫大な開発資金はどぶに捨てのと同じことである。

 そんなバカなとことが公然と行われるのかと言えば、「はい、そうです」としか言うしかない。童話の「裸の王様」というのは、国民が王様になっている場合もあるようだ。根性の悪い兵器屋と政治屋が組んで、出来もしないMDを賞賛することから始める。それを政府が国民に「素晴らしい安全プランだ」と説明する。そして政府が集めた税金が、ほら吹きの兵器屋に渡される。ただ、それだけの話しなのである。

 ここで必要なのことは、「王様は裸」と笑う子供がいないことだ。SDIのときは全米の科学者協会が子供の役割を演じた。しかし今回はいない。いや、笑う子供がいたとしても、アメリカの国民は王様の見えない着物を必死で見ようとしているのかもしれない。昔から、アメリカ人は脅威に怯えることが大の苦手で、米政府は国民を怯えさすことが、最も簡単に税金が奪えると信じ込んでいる。そこまでならアメリカ人はなんてバカなと済ませられるが、そのバカなMDに付き合っているのが、日本の政治家や防衛官僚たちである。そのような現象を見て、人類の知恵はそれほど進化していないと思うことがある。

 

 北朝鮮のラジオ放送 日本が経済制裁を行うなら物理的な方法で反撃すると報道 (NHK 12月15日 朝のTVニュース)

[概要]昨夜の「北朝鮮中央通信」(ラジオ局)は、横田めぐみさんの遺骨として日本政府に渡した骨が別人だったことに関して、「これは日本政府が意図的に操作した情報(ウソ)で、北朝鮮に敵対するものである。もし日本が北朝鮮に経済制裁を行えば、我が国に対して宣戦布告をしたとみなし、日本に強い物理的な反撃を行う」と報じた。また開催が延期されている6カ国協議について、日本を排除しなければ北朝鮮は再開に同意しないと述べた。

[コメント]これは日本にとって極めて良い情報である。北朝鮮は経済制裁を宣戦布告とみなすほど追いつめられている。この機会に日本政府は北朝鮮に経済制裁を行うべきである。まずは第1段階(軽度)として「万景峰号」の寄港を無期限禁止すればいい。在日朝鮮人で北朝鮮に行く用事がある人は、北京経由で往来することができる。万景峰号の寄港禁止で、北朝鮮への人道的な道を閉ざしたことにはならない。そして北朝鮮に拉致した日本人をすべて帰せと強く要求する。

 横田めぐみさんの件で、日本が本当に怒っていることを知らすには、まず万景峰号を止めるしか方法はない。怒るときに怒らないと、北朝鮮は自分が強いからだとか、日本が弱いと勘違いする危険がある。やれるというなら、北朝鮮は物理的な方法で反撃してみるがいい。それが北朝鮮にどのような結果を与えるか、北朝鮮の独裁者は十分に認識しているはずだ。また日本の経済制裁は慢性的な飢餓に苦しむ北朝鮮の人々を救うことにもなる。

 昨日、ワシントン詣でをしている小池環境大臣がアミテージと会談した際、日本は北朝鮮への経済制裁に慎重になるように言われたと話していた。アメリカとしてはイラク戦争が手一杯で、とても北朝鮮に関わる余裕はないというのが本音だと思う。しかし日本が北朝鮮に顔を泥靴で踏みにじられているのに、気持ちはわかるが何もするなとは情けない。小池大臣も言うことばかり聞かないで、どうして日本の怒りをアミテージに伝えないのか。だから日本の政治家はアメリカ人にバカにされるのだ。もし小池大臣が経済制裁に反対なら、自分の言葉で話すべきなのである。

 政府は北朝鮮に経済制裁をする理由と、制裁の方法と開始する時期を世界に表明するべきである。そして直ちに中国や韓国、ロシア、アメリカに特使を送り、日本が経済制裁することを通告すべきだ。感情に振り回されるのではなく、政府の完璧なコントロールのもとに制裁を実施すれば、他の国からも日本は尊敬されると思う。そろそろ日本は自立した国家を目指す時がきたのである。アメリカや中国の国内事情に振り回され、日本人の怒りさえも封じられる時代は終わりにして欲しい。北朝鮮軍、恐れるに足りず。

 日本が北朝鮮に経済制裁を開始し、北朝鮮が宣戦布告と見なすなら、日本も宣戦布告されたと見なして防衛体制をとればいい。海自の艦隊は北朝鮮近海に展開し、空自は北朝鮮に向かって警戒態勢を強化する。陸自は全部隊が高い警戒態勢をとり、北海道の部隊は日本海側や首都圏に移動する。そのための自衛隊であり、そのための日米安保なのである。アメリカに従属させられるのが、日米安保ではないと主張する時代がきている。

 日本が軍事独立国になることを本当に恐れているのは、アメリカと中国とロシアである。アメリカ、中国、ロシアは、かつて日本の軍事力に痛い目にあわされたことがある。その痛みをまだ忘れていないはずだ。

 ハマスなど トンネルに爆発物1,5トン イスラエル兵5人殺害 (読売 12月14日 朝刊)

[概要]ガザ地区南部とエジプトとの国境地帯で、イスラエル軍陣地で12日に大きな爆発があり、イスラエル兵3人が死亡した。爆発直後に銃撃戦が発生して、さらに2名のイスラエル兵が死亡した。この爆発はイスラム原理主義「ハマス」などの過激派が、800メートルのトンネルを掘り、1,5トンの爆薬を仕掛けて爆発させたと明らかにした。これによりイスラエル軍による大規模なトンネル捜索作戦と、報復攻撃が行われる可能性がある。

[コメント]昨日のこの欄(下段)にも書いたが、テロを行う側に時間、場所、方法を決定できる有利さがある。長さ800メートルのトンネルを掘り、敵の陣地の地下に大量の爆薬を仕掛けるとはこのことである。

 以前、射程1500メートルの狙撃銃を持っていると仮定し、霞ヶ関や赤坂付近を歩いたことがある。その時、多くの場所に隠れるキル・ポイント(発射地点)があることに気が付いた。封鎖された官邸近くのビルの屋上も、特殊部隊用に開発された用具を使うと、夜間なら簡単に潜入できる。

 またそのとき、前後を警備のSP車に守られた大物政治家の乗った車が、赤信号で私の目前2メートルほどの位置に停車した。新聞社カメラマンがイラクから持ち出し、アンマン空港で誤爆した対車両用のクラスター爆薬(直径4センチ×長さ12センチ程度)を使えば、このVIP車を炎上爆発させることは容易だと思った。むろんガザのように首相官邸がトンネル攻撃で狙われれば防ぎようがない。特に戦争中に官邸付近は、多くの防空壕が掘られ、見つかっていないトンネルもあるのではないか。

 地下トンネルというのは意外に盲点で、トンネルで掘った土を密かに捨てる方法を考えれば簡単に掘れる。むしろ地下トンネルは、テロリストに悪用されるのではなく、非常用通路や避難用シェルターとして活用したほうがいい。日本は核武装していないので、地下を緊急用シェルターとして使う発想がないが、やがて地下をめぐりテロリストと防御側がその活用を争う時代が来ると思う。

 朝鮮半島有事の日米共同作戦判明 工作員の侵入、想定 135の重要施設、防護 コード5055 02年策定・調印 (朝日 12月12日 朝刊)

[概要]自衛隊と米軍が朝鮮半島有事を想定し、「5055」というコードネームを付けた共同作戦計画を策定、調印していたことが明きらかになった。自衛隊は朝鮮半島で戦う米軍の支援を行うと同時に、数百人規模の武装工作員が日本に侵入することを想定し、自衛隊が単独でこの対処するとしている。10日に閣議決定された「防衛計画の大綱」も、この作戦計画を前提にした。「5055」は同時多発テロ後初めて日米の制服組みが調印した作戦計画でもある。

 その想定のひとつに、北朝鮮の武装工作員が数百人規模で日本に上陸し、日本海側の重要施設135カ所を攻撃する可能性があるとリストアップした。これをきっかけに、自衛隊は侵略対処の重点をゲリラや武装工作員に移した。また今年度から北海道にある20あまりの連隊のうち半分が、首都圏防衛のために移動し、重要施設を警護する計画が盛られた。また新大綱では、工作員が侵入した地域にすみやかに部隊を派遣する「中央即応集団」も新設された。自衛隊が冷戦時代からの規模にこだわるのは、その主張のひとつに「5055」があったからという。

[コメント]この作戦計画は実際に北朝鮮軍と戦うというより、北朝鮮に対する抑止効果を狙ったもので、これから日本の防衛力整備計画の指針を表すものである。気の早い人は、明日にでも北朝鮮の工作員が日本に潜入し、日本で戦争が始まると怖がる人がいるが、そのような心配はいらない。90年代前半に米韓軍が朝鮮半島有事を想定し、その作戦計画「5027」を策定したことがある。公表された「5027」は、北朝鮮軍が休戦ラインを越えて攻撃を開始した場合、米韓軍は海から北朝鮮軍の背後を突き、直ちに平壌を占領する作戦を描いていた。すなわち北朝鮮の攻撃は自殺行為で、圧倒的に優勢な米韓軍が北朝鮮全土を制圧するというものである。私はこの「5027」作戦の策定で、北朝鮮軍の軍事的な暴走は最大限に抑制されたと考えている。今回の「5055」作戦もそのような抑止効果を期待して公表(リーク)されたと思う。

 しかし私は1点だけ批判したい。それは日本の重要施設135カ所をリストアップしたということである。そのようにリストアップすることで、自衛隊に他の施設や攻撃形態を軽視する傾向が生まれる危険があるからだ。アメリカで旅客機を使った同時多発テロが起きたとき、それまで、まさかテロリストが旅客機を乗っ取り、パイロットを殺して操縦桿を握り、それで主要な建物に突入してくるとは思わなかった。すなわちテロやゲリラ戦の基本は、攻撃を行う側のテロリストやゲリラが、自由に攻撃する時間、場所、方法を決定できる有利さがあるのだ。逆に守る側はその不利さに対応する必要がある。テロやゲリラはこちらの予測を越えた攻撃を行うと考える必要がある。

 だから柔軟に対応するために、組織や訓練、それに行動計画は、冷戦時代の固い発想ではだめなのである。135カ所と聞いたとき、冷戦時代の悪い癖が出たと思った。

 私が最も可能性が高いと思っているのは、北朝鮮の支配体制が崩壊したとき、北朝鮮から武装難民が日本本土や離島に逃げてくることである。武装難民とは保衛部(北朝鮮の人民を取り締まる治安機関)のような者が、秩序を失った北朝鮮の人民に殺されることを恐れ、武器を携帯したまま貨物船などで海上に逃亡する者たちである。その貨物船が流れ着いたのが日本という想定である。日本に来たくて来るような難民ではない。しかし難民が武装していれば、日本の警察には手に負えないし、断固として武装解除を行う必要がある。また難民がSARSのような伝染病などに感染している場合は、難民とはいえ生物・化学兵器並みの対応が必要となる。すでにロシアや中国では、昨年からそのような対応の演習を始めている。自衛隊もリストアップ施設ばかりを重視しないで、本当の脅威を想定して対応を考えてもらいたい。

 基本計画変更決定 イラク自衛隊1年延長 首相「派遣は国益」 撤退条件も例示 (読売 12月10日 朝刊)

[概要]政府は9日午後の臨時閣議で、イラク派遣の自衛隊が派遣機関を1年間延長するため、イラク特措法に基づく基本計画の変更を決定した。新たな派遣機関は来年12月14日までになる。サマワの情勢については、「予断を許さない厳しい状況だが、非戦闘地域の状況が続くであろうと判断した」とした。さらに、「日米同盟と国際貢献の重要性を強調し、国益にかなう」と述べ、国民の理解を求めた。

[コメント]昨日行われた小泉首相の記者会見をTVで見た。それを見終わった時に、これは「平成の大本営発表」ではないかと思った。防衛庁長官や与党幹事長がパフォーマンスで、短時間のサマワ視察を行い、恥じることなくサマワの安全を宣言する。自衛隊が発注した修復工事で雇用されたイラク人が、その雇用を継続する懇願を政治利用した。小泉首相は記者会見で、日本人が最も心配する宿営地に向けた砲撃のことにまったく触れない。そして「錦の御旗」のように、日米同盟の重要性と、日本の国際貢献ばかり強調し、これが日本の国益だと強要する。「100パーセント安全かといえば、100パーセントの安全というものはない」と勝手な口上で、サマワの危険性を封印した。

 自分にとって都合のいい情報を集め、それを別な色に染めて国民を説得しようとしている。これが国民にとって「大本営発表」でなくて何なのか。

 日米同盟は確かに重要と思う。しかし自衛隊員に攻撃で死傷者が続出し、逃げるようにサマワを撤退すれば、日米同盟関係どころか国際的なイメージを悪化させる。またサマワで危険と向き合う自衛隊員の不安を、「日米同盟と国際貢献の重要性を強調」して逃げた。かつて政府は、「日本人は国際貢献にお金ばかり出して、汗や血を流さないという批判を避けるために自衛隊を出す」といって、自衛隊員の怒りをかったことがある。「お金の代わりに、俺たちの血を流させるのか」という自衛隊員の怒りである。今回の派遣延長理由の根底は、そのような考えがあることを感じさせた。

 小泉首相の国益論や国際貢献論は言い訳であって、自らの政権を維持するためにブッシュ大統領に自衛隊を差しだしただけの話しである。それをもっともらしく演出するから「大本営発表」なのである。若い人たちに言いたい。これほど堂々とウソを語られると、ウソを真実と思い込む情報操作の実態を知るいい機会である。そして「大本営発表」を思考停止で追随していく社会の怖さである。

 東アジアサミット ”同床異夢”の関係 綱引き本格化 影響力拡大を狙う中国/「安保」両立探る日本 (産経 12月9日 朝刊)

[概要]来年、マレーシアで発足が決まった東アジアサミットだが、その開催をめぐり各国の綱引きが本格化している。その発足を決めた11月のASEAN+3カ国(中日韓)の首脳款談だが、中国はこれを東アジアでの影響力拡大に活用したいと考えている。しかし日本は東南アジアでODAなどを築きあげてた”権益”を中国に奪われることを警戒し、アメリカは東アジアで米国が排除される不安を強く感じている。特にオーストラリアの扱いについては、マレーシアのマハテーィル前首相が、「オーストラリア人はアジア人になり得ない」と発言し、東アジアサミットにオーストラリアを排除する姿勢を見せた。これに対し小泉首相は、日本と同じように米国と軍事同盟を結ぶオーストラリアを参加させ、アメリカの存在感を高めて中国に対抗しようとしている。米、中、日本、オーストラリアなど、大国の中で埋没しかねないASEAN側の懸念は現実のものになった。

[コメント]最近、私のところに東アジアサミット関連の原稿依頼が多くなった。それも最初からテーマを「東アジアサミット」で依頼してくるのではなく、まず新春向けに、「日本周辺の軍事情勢」とか「東アジアのこれから」というようなテーマで提案し、その打ち合わせの際に東アジアサミットを説明すると、それを是非書いてくださいとなる。東アジアサミットの事情を知らない人は、その重要性を理解していないが、ちょっとでも実情を知ると、これが近い将来、極めて重要な日本の外交・安保問題と理解するのだ。それもそうだ、背景には東アジアから米国の影響力を排除し、台頭する地ならしにしたいという中国の狙いあるからだ。これは中国をコントロールしようとしてASEANに中国を招き、今は中国の経済進出に振り回されてる東南アジアの教訓がある。

 アメリカが描いていた東アジア地域の多国間協議は、現在の6カ国協議が朝鮮半島統一で5カ国協議となり、そこで話し合うというものという考えがあった。だから座間(神奈川県)に第1軍団の司令部を移転させ、アジア全域を担当する大将職の司令官を置くことで、5カ国協議で米国の存在感を強める戦略だった。それに真正面から対抗してきたのが東アジアサミットである。東アジアサミットで協議される課題は、地域の経済や安保問題だけでなく、EUのような共同体構想も視野に入れているという。もしこれが実現すれば、アメリカにとっては最悪の悪夢である。今までは、「東アジアサミットが発足することはない」というのがアメリカ政府の考えであった。しかしイラク戦争で多忙中のスキを狙われた。これからアメリカはどのような対抗手段を取るのか。ともあれ座間への第一軍団司令部移転は、その動きが加速されることはあっても、中止される可能性はなくなったということである。米軍のトランスフォーメーションにはこのような背景があることをお忘れなく。

 武装勢力と住民が銃撃戦 サマワ近郊で爆発物200キロ (朝日 12月8日 朝刊)

[概要]陸自が活動するサマワの東約25キロのワルカ近郊で、住民と武装勢力が銃撃戦を展開、付近からTNT火薬など爆薬200キロが見つかった。武装グループは10人〜15人で、バイクなどに乗り砂漠に出没し、銃撃戦後に逃走した。その後住民が地中に隠された5キロの爆発物を20個と、TNT火薬が入った袋を2個(各50キロ)を発見した。導火線や起爆装置も付いていた。ワカルでは陸自が古代都市遺跡のフェンス補修や、小学校の修復支援活動を行っている。付近にはスンニ派でも戒律が厳しく、アルカイダにも影響を与えたとされるワッハブ派の過激派が活動しており、州警察が関連を調べている。(共同)

[コメント]これは地元の部族が仕込んだ”やらせ”の可能性が高い。日本から防衛庁長官や大物政治家たちが、次々とサマワにやって来るので、自分たちが自衛隊を守っているとアピールしたのではないか。なぜ私がそのように推測したかといえば、TNTなどの爆薬に信管や導火線が付いている点である。TNTやプラスチック爆薬は、単体であれば怖くはないが、信管が付くと最大限慎重に扱う必要がある。体に溜まった静電気で誤爆する可能性もある。だからTNT爆薬を扱うものは、爆破現場で爆薬を組み立てる。遠くで組み立て、現場に運び込むことは、仕掛け爆弾といった希な作業である。爆薬が砂漠の地中で見つかったということは、そこを爆破するために仕掛けたと考える。もしこの記事のように何もない砂漠に仕掛けられたなら、そこを爆破する必然性がなく、お芝居と推測するしかない。それが砂漠ではなく、何かの治安施設であったり、自衛隊員が出入りする場所なら、”ヤラセ”話しはまったく違うものになる。外部から武装勢力が入り込んだ嫌なケースとなる。

 次に気になるのは、この銃撃戦で死傷した者の存在である。武装勢力の10人〜15人が地元部族と撃ち合えば、一人や二人の死傷者が出ても不思議ではない。その情報が何もないことが不思議なのである。この記事で推測できることは、地元の警察と地元部族が組んで、ヤラセの銃撃戦を起こし、そして地中に爆薬を残して立ち去ったということである。それは自分たちが自衛隊を守っているという存在を誇張し、日本に向けてアピールを行うためである。そして地元民を雇用し、寄付や賃金を払ってくれる自衛隊が、日本に帰国して欲しくないと願う彼ら流の引き留め策なのだろう。まあ、自衛隊に対し悪意はないと思うから、死傷者が一人も出ていなくとも、あえて騙されたフリをすることも大事である。

 しかし自衛隊員が出入りする場所に爆薬がセットされていたり、双方に銃撃戦で死傷者が出ていれば、サマワの陸自は直ちに警戒レベルを数段上げる必要がある。

 次期防 「長射程ミサイル」削除 「唐突だ」 公明反対 (読売 12月8日 朝刊)

[概要]政府は次期防(05年〜09年)に長射程の地対地ミサイルを開発すると盛り込んでいたが、公明党が「あまりにも唐突だ」「日本の技術をもってすれば射程を延ばすのは容易で、近隣国に届くものもできる」などと了承しなかったため、この計画の削減を決めた。防衛庁は7日、与党の安全保障に関するプロジェクトチームに、「離島を攻撃された場合の反撃用で、射程は300キロ以内であり攻撃的な兵器ではない」「巡航ミサイル方式と弾道ミサイル方式で研究費は合計40億円と考えている」と説明した。

[コメント]射程が300キロ以内なら反撃的(防御的?)な兵器で、攻撃的な兵器ではないという説明に驚くが、弾道ミサイルも開発計画に入っていたとはさらに驚いた。もう、そのようないい加減な説明が通用する時代ではない。どんな顔をして防衛庁が説明したのか見たくなった。ここで公明党がいう近隣国とは、中国を示していることは疑いないが、日本が開発した長射程(長距離ではない)ミサイルに対応し、中国軍の中距離弾道ミサイルが台湾対岸から中国東北部に移動してくれば、それは日本に向けられた処置となる。それを受けて日本は、意味不明の長射程ではなく、中距離の弾道ミサイルで対抗することになる。さらに中国の弾道ミサイルが核弾頭ならば、日本も・・・・・・・・で対応するとなる。そのようなパワーバランスの軍事論理が、300キロ以内は反撃的で、300キロ以上は攻撃的兵器という言葉で語られた。ああ、このような現実を日本人はどう考えればいいのか。 防衛庁がそこまで00だったとは。

※弾道ミサイルの場合、射程は短距離、中距離、長距離で分類されます。長射程という言葉の定義はありません。防衛庁が提示した射程300キロの意味するものを問いたい。離島防衛300キロとはどこからどこの島を示す距離なのか。

 中国海軍 侵犯原潜 直前グアムに 米軍を牽制、訓練か (朝日 12月7日 朝刊) 

[概要]日本政府関係者は日本領海を侵犯した中国の原潜が、米軍の重要拠点であるグアム島を一周したことを明らかにした。中国の原潜がそのような行動をしたこのが判明したのは初めて。政府関係者によると中国の原潜は10月中旬に、青島(チンタオ)にある北海艦隊潜水艦基地がある母港(漢字が難しいから略)を出港し、浮上と潜航を繰り返しながら東シナ海を航行した。10月下旬には沖縄本島と宮古島の間を通過し太平洋に出た。そのまま南東に向かい、11月初めにグアム島近海に到達。同島から距離150キロで周囲を一周したという。

 その後、北西の方向に戻り日本近海に再び接近し、10日に石垣島付近で日本領海を侵犯した後、東シナ海を北上して青島の母港に戻った。米軍と自衛隊はその30日間の行程をほとんど追跡していた。中国海軍は96年の台湾危機で米空母に封じ込まれ、潜水艦を太平洋に展開する必要性を認識したという。それから中国海軍は日本列島から南西諸島、台湾を結ぶ線を「第1列島線」、小笠原諸島からマリアナ諸島(グアムも含む)にかけて「第2列島線」と呼び、その間の潜水艦作戦に必要な海底・海水のデータ収集や航行訓練を行っていた。

[コメント]偉そうなことを言いたくないが、この程度のことは現在の軍事常識の範囲内である。(でも私は、青島が黄海艦隊の拠点と勘違いしていた。正確には北海艦隊の拠点である)。むしろ日本政府関係者はこのような情報を新聞にリークして、中国海軍を牽制する心理作戦を行っている可能性を感じる。ここではグアムから150キロの距離で一周した(2周ではない)という事実と、浮上と潜航を切り返したという表現が重要である。原潜なら浮上は無線通信を行う場合のみで、それもアンテナだけを水面に出して行い、哨戒機のレーダー探知を避けることが普通だからだ。

 ここ2〜3年の中国海軍の潜水艦が、中国海軍がいう防衛外線(第2列島線)のグアムを目標にしていることは周知の事だからだ。それより私が知りたいのは、奄美諸島沖にいた中国海軍の潜水艦救難艦と潜水艦けん引船の存在である。追跡された原潜と潜水艦救難艦が、どのような内容の無線交信をしたのか。日米の通信傍受機関が探知したのは間違いない。まあ、聞いても教えてくれないと思うから聞かないが、何のためにあの2隻は日本領海を侵犯した原潜の近くにいたのか。政府関係者も情報をリークするなら、それくらい気の利いたサービスをして欲しい。

 ところで原潜がグアムを一周した目的だが、私は同じような話しを思い出した。北朝鮮の工作員が韓国や日本に潜入すると、主要な政府機関や軍や警察本部などの正門前で、記念写真を撮るという話しである。なぜかというと、将来、工作機関の学校や訓練所で教官になった時とか、工作機関の指揮官クラスになったときに、学生や部下に記念写真を見せて威張るためである。例えるなら、「ハクをつける」という言葉が適当である。厳戒のグアム島を潜水艦で一周(2周ではない)した。中国の潜水艦乗りにとってこれほど立派な「ハク」はない。

 しかし日本政府関係者のこのリークは、この立派な「ハク」を踏みにじってしまう発言になった。原潜が中国の母港を出港した時から帰港まで、そのすべてを日米の対潜部隊に追跡されていたというのである。中国の潜水艦乗りは大恥をかかされたことになる。グアムの米軍を威嚇したなどあり得ない話しだ。

 ちょっとマンガ・チックな話しに聞こえるかも知れないが、戦争をしないときの軍事関係はそのようなものなのである。今回も中国の原潜が領海侵犯を侵さなければ、当然ながらこのような事実は公表されなかった。

 以前、このホームページで、”中国の原潜が日本の領海を侵犯したとき、これが北朝鮮のテポドン騒動の再現なるのを防ぎたかった。北朝鮮のテポドンも中国の原潜も、日本が大騒ぎするような軍事脅威ではない”と書いた。その事実は、隠れてナンボ、潜んでナンボの潜水艦が、出航から帰港まで、そのすべてを日米に追跡・監視されていたのだ。その程度の話しなのである。

 この記事を疑うようで申し訳ないが、私が台湾情報(信じてもらえないと思うが本当です)として聞いた話では、日米が中国海軍の潜水艦が異常な動きしていると察知したのは、青島の潜水艦・母港から潜水艦救難艦と潜水艦けん引船が姿を消したことを、台湾の情報機関が察知したのが始まりと聞いた。台湾の情報機関は中国軍内部に情報網を作っている。むろんどちらの情報が正しいか判断できない。

  ワシントンのオフ会に参加された皆さん、本当に軍事って面白いでしょう。軍事知識があれば、ここまで読むことができるのです。

 サマワ視察 防衛庁長官 「治安は安定」自公幹事長らサマワに出発 (朝日 12月6日 朝刊)

[概要]大野防衛庁長官は5日、陸上自衛隊が駐屯するイラク南部のサマワを訪問し、宿営地など5時間半にわたって視察した。大野長官は、「現地の治安は安定しており自衛隊の活動がサマワ市民から歓迎されていることが確認できた。人道支復興支援活動が引き続き重要との認識を新たにした」とのコメントを発表した。自民党の武部幹事長と公明党の冬柴幹事長も、サマワ視察のために5日成田空港を出発した。両幹事長の帰国は8日の予定。

[コメント]これは10日に閣議決定する「イラク派遣延長」のためのサマワ訪問だが、防衛庁長官のサマワ初訪問と、自公両幹事長のサマワ訪問は目的が若干違うことにお気づきだろうか。防衛庁長官の初訪問は、イラク特措法に決められている防衛庁長官の安全確認の為である。「自衛隊を派遣する活動地域は、現に戦闘が行われておらず、かつ活動の期間中も戦闘行為が行われない地域」を防衛庁長官が判断するとなっている。このために防衛庁長官が現地を視察して確認したことにしたいのだ。これで近い将来、サマワで戦闘が激化しても、防衛庁長官の責任を少しは軽減できることになる。防衛庁長官は”現地を視察して自らが安全を確認した”という弁明に使えるからだ。別の言葉で言えば何かあった時に、政府の”責任逃れ”ができるからである。

 これに対して自公幹事長のサマワ訪問は、派遣反対論が強い党内情勢に配慮したためである。武部幹事長は加藤、亀井、古賀といった延長反対(慎重)論者を抱えている。冬柴幹事長は創価学会の青年部や婦人部に、派遣派遣への反対論が強いという事情がある。そこをサマワ訪問で押さえたいという目的がある。

 これで恥をかいたのが石破前防衛庁長官である。石破前長官は自衛隊派遣前に、自分がサマワに安全を確認しに行くと公言していた。しかしその約束は実行されなかった。石破前長官はその理由を、「自分が行けばピンポイントで攻撃される危険があるから」と言い訳していた。昨日のサンデープロジェクト(テレ朝)でも、そのように自分で説明していた。しかし大野防衛庁長官が大騒ぎをしてサマワに行き、現地のオランダ軍指揮官が不快感を示しても、ピンポイントで攻撃されることはなかった。さらに明日は自公の幹事長も、鳴り物入りでサマワ入りする。石破前防衛庁長官はちょっと恥ずかしい気持ちを感じていると思う。

 しかし忘れてはいけないこともある。昨年のこの時期、イラクで日本大使館の奥参事官と井ノ上書記官が銃撃される襲撃事件が起きた。二人の日本大使館員は日本政府が「イラクは安全、非戦闘地域だ」と言うので、自分たちには武装した護衛を付けることができなかった。そのスキを武装勢力に狙われて犠牲になった。これから大野防衛庁長官や自公の武部・冬柴幹事長が、サマワは安全安全とはしゃぎすぎると、自衛隊が奥参事官や井ノ上書記官と同じのような環境に押し込められる危険がある。安全なクェートからヘリでサマワに飛び、厳重に警護された数時間の滞在で、サマワは安全と大騒ぎしないで頂きたい。サマワ現地の取材陣に、日本人が一人もいない異常さに気がついて欲しい。

 「メールにお返事」を休止しています。(12月3日) [コメント]お気づきかも知れませんが、1週間ほど前から「メールにお返事」の更新が止まっています。メールを受信して読むことはできるのですが、ホームページの更新画面にしたところ、今までの文字(枠)が消えてしまいました。専門家に相談したところ、ロールバック機能で復旧できるかもしれないそうです。そこで明日からの土、日でなんとか修復を試みます。せっかくメールを頂いたのに、ご迷惑をかけて申し訳ありません。メールは届いていますので、全部のメールを必ず読んでいます。ちょっと疲れが出て、操作を誤ったのかもしれません。
 来年度以降 対地長射程ミサイル 次期防で研究着手 (読売 12月3日 朝刊)

[概要]防衛庁は次期中期防衛力整備計画(次期防 05年〜09年)に、対地攻撃を行う長射程の精密誘導ミサイルの研究着手を盛り込んだ。防衛庁は「本土から数百キロ離れた離島が侵攻された際に、反撃する手段として検討する」としている。自衛隊は現在、対地攻撃用のミサイルは保有していない。ただ長射程の精密誘導ミサイルが配備されれば、敵国の弾道ミサイルの発射基地などを攻撃できる可能性が生まれ、「攻撃兵器」の保有を自粛してきた従来の方針転換につながるという見方もある。次期防では空中給油機を計8機整備する方針で、これに加えC−130輸送機にも空中給油機能を加える改修も行う。

[コメント]これは日本製の巡航ミサイルを開発するということである。自衛隊は今までに、射程が最大でも100キロ前後のミサイル(対艦)に制限して保有してきた。その理由は対馬から釜山までの距離を約100キロとして、日本本土から韓国(朝鮮半島)を攻撃できないための配慮だと聞いたことがある。しかし韓国は昨年、射程300キロの対地ロケットの開発を完了(実験のみ)している。また空自が新しく空中給油機の整備するので、この100キロ制限枠は政治的な意味を失った。

 日本製巡航ミサイルの開発だが、すでに陸自は96式多目的誘導弾システムや88式地対艦ミサイルを配備している。96式ミサイルはミサイル先端のカメラがとらえた赤外線画像を、光ファイバーで地上に送り、地上からミサイルを操縦して命中させる画像識別誘導システムである。光ファイバーを引っ張って飛ぶのは100キロ枠に配慮した武器システムと思っていた。もし内蔵したコンピューターに画像識別させたほうが射程を伸ばせるからだ。

 それよりも巡航ミサイルを開発する方がより簡単で、兵器としての威力(効率)は格段に高い。だから日本は簡単に巡航ミサイルを完成させると思う。しかし米国のトマホーク巡航ミサイルは射程が数千キロもある。なぜ日本は数百キロと短いのか。それは韓国の次に中国に配慮するからである。日本が本土から北京を攻撃できる巡航ミサイルを保有すると中国を刺激する。

 だが射程数百キロの対地巡航ミサイルを開発して、それを艦船や航空機に搭載して発射することは可能である。その気になれば潜水艦から発射できるように改造もできる。だから日本製巡航ミサイルの射程は、中国の領海から北京までの距離以内というように、政治的な制限枠が設けられる可能性が高い。

 それから問題になるのは値段である。米国のトマホークは01年のアフガン戦争のころから大量生産され、価格が1発1億円程度に下がっている。だから米国がトマホークを買えと、日本に圧力をかけてくることも考えられる。が、トマホークは射程が長すぎ、中国に脅威を与える危険があると断り、あくまで国産にこだわる理由にできる。

 このように日本製巡航ミサイルが、北朝鮮のテポドン・ミサイルの発射基地を攻撃するなどという議論は、まったく軍事の現状を考えていない「見せかけの議論」なのである。

 中国の対外援助 6年間で4250億円 日本からのODA見直し 外務省調査へ (産経 12月2日 朝刊)

[概要]日本の外務省などが中国政府公表の「中国統計年鑑」を調べたところ、昨年、中国が行った対外援助額は、52億元(815億円)に達していることがわかった。これは対外援助が本格化した98年の37億元(580億円)の1.4倍に増加している。この援助額は小口の無償援助分で、外国企業が受注する”ひも付き”の大型プロジェクトは含まれていない。中国に毎年1000億円規模の資金供与を行っている日本政府は、不透明な中国の対外援助額を細かく公表するように求めている。中国は台湾と国交を断絶した中米セントルシアやナウルに資金供与などを行い、台湾切り崩し策や、武器の供与など政治的な思惑で対外援助を行っている可能性が否定できない。日本は79年から中国にODAを行い、昨年度は966億円の円借款と、51億円の無償資金協力を行っている。

[コメント]日本がおこなっている中国へのODAだが、これは橋本派(旧田中派)などの資金源(バックマージン)として活用されてきた側面がある。しかし基本的に日本は中国へのODAを中止すべきである。元々のODAの目的を考えれば、中国よりも日本のODAを切実に必要としている国が多々あるからだ。中国が日本のODAが止まらないと思っているのは、日本政府は橋本派などの抵抗で、1000億円規模の資金供与を絞れないと考えている。これも一種の日本における政治と金の問題である。

 それが感情的な中国脅威論と結びつくと、中国は日本から得たODAで兵器を買っているとなる。(あるいは軍事力を強化している)。これは今日の産経の記事でも書かれているが、正確には「中国は対外援助に武器などの供与を行っている可能性がある」(外務省高官)が変化したものである。日本のODAで兵器を買っているのではない。中国もバカではないから、日本のODA資金で兵器を買うようなことはしない。中国ときちんと渡り合うには、このような正確な情報が必要なのである。中国脅威論に振り回された感情的な怒りではだめなのだ。

 今日の産経には、サマワに派遣されている田浦正人隊長(1佐)のインタビュー(TV電話)が掲載されている。それによれば、サマワの自衛隊の活動は、最初、部族から陳情を受けた「陳情対応型」だったが、今は県や市評議会や知事、県道路局など局レベルの合議制による「民主主義育成型支援」に移行しているという。陳情型だと有力部族の影響を受けやすく、民主主義型だとより公平に計画的にできる利点があると述べている。これはサマワの自衛隊が地元で歓迎されているのは、道路の修復や建物の修理など、地元に雇用を生み出しているからだとわかるはずだ。すなわちイラクには自衛隊の活動でなくとも、地元で雇用を生み出すことが、より重要なのだというメッセージにならないか。さらに付け加えるなら、サマワの知事や市長や市評議会といっても、今のイラクでは非常にワイロ性が強いものになることを知っておく必要がある。だから田浦隊長もわざわざ「民主主義育成型支援」と言葉を選んでいる。まだイラク人の民主主義的な考えを育成支援している段階である。それほど日本とイラクでは文化も社会も違う。

 中国のODAと橋本派、サマワでの自衛隊と地元の雇用促進、このふたつから日本人は問題の本質を見ようとしていないことに気がつかないか。

 エジプトの大統領補佐官 化学兵器「維持は権利」 保有、事実上認める (朝日 12月1日 朝刊)

[概要]エジプトのオサマ・エルバズ大統領補佐官は朝日新聞記者のインタビューに応じ、エジプトが化学兵器禁止条約を署名していないのは、イスラエルの核武装を前提に「独自の抑止力を維持する主権国家の権利だ」と述べた。アラブ諸国ではシリアも同条約に未加盟で、エジプト同様に化学兵器を保有していると見られている。エジプトは60年代にイエメンの内戦に介入した際、化学兵器を使用したことがある。イランの核武装については、「仮にイランが核武装すれば、中東に際限なく核軍拡競争が広がる」と警告した。

[コメント]これはエジプト政府が公式にイスラエルの核武装を認め、その抑止力のためにエジプトが化学兵器を保有している発言である。私はイスラエルの核兵器は暗黙の了解事項で、イスラエルは核武装を宣言しないし、周辺諸国もイスラエルの核武装を認めないと思っていた。そうすることで、中東各国はイスラエルの核威嚇を封印し、イスラエルは中東などに核拡散が防ぐ効果を期待するためと考えてきた。だからこそイランが進める核兵器開発も、国際的な政治力で封印することが可能と思っていた。しかしエルバズ大統領補佐官のこの発言は、世界がイランの核開発を阻止したいなら、暗にイスラエルの核放棄を迫れという政治的な発言になっている。

 これでイスラエルと中東をめぐる軍事問題で、またひとつ大きな課題を抱えることになった。私は核兵器や生物・化学兵器は、その抑止力をめぐって常に軍拡競争を招くと考えている。これを日本に当てはめれば、北朝鮮の核武装は日本の核武装を誘発するという論理である。さらに日本の核武装は中国や台湾の核武装(中距離核ミサイル)の開発を誘発することになる。

 今後ますます、イランの核兵器開発の中止と、イスラエルの核兵器廃棄を求める国際世論が高まることは必至である。それを期待してエルバズ大統領補佐官が発言したようだ。

 また安易にアメリカやイスラエルがシリアに手出しが出来ないのは、シリアの保有する化学兵器がアメリカやイスラエルの軍事行動を抑制しているという説も説得力を持ってくる。中東で大量破壊兵器が拡散するのは、想像しただけでも恐ろしい世界ができることになる。化学兵器のサリンやVXガスは、今の化学技術で考えれば容易に製造できる化学物質なのである。

※本日は(「東アジア・サミット」ASEAN諸国+日中韓の3カ国)のことを書こうと思ったが、中国の周辺諸国が、中国の台頭を防ぎたいという設立目的は理解できるが、何をどのように行うか実像が見えてこない。具体的な目的を鮮明にできないと、逆に中国の台頭を招く国際機関になってしまう危険がある。それにアメリカやロシアを排除して、東アジアの安全保障を話し合う効果も疑問である。そのように考えると、東アジア・サミットの新設は中国が裏で仕掛けた可能性もあるのではないか。中国とはそのような老獪な外交を展開する国だ。アメリカの影響力を東アジアから排除するための老獪な外交戦術である。