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この情報の最も新しい更新日は11月29日(土)です。

浜田防衛相が表明

クラスター爆弾

 「新型も持たず」

自衛隊の4種類

 すべて破棄対象

(朝日 11月29日 朝刊)

[概要]多数の小型爆弾(神浦・・子弾のこと)をまき散らすクラスター爆弾禁止条約の署名を前に、浜田防衛相は禁止条約が容認している新型クラスター爆弾を保有しない考えを表明した。

 同条約はクラスター爆弾の使用、生産、保管などを禁止し、原則8年以内に保有する爆弾の廃棄を義務づけている。自衛隊の保有する4種類はすべて廃棄対象となる。

 小型爆弾の数が少なく、不発弾を出さない自爆機能がついた新型クラスター爆弾は禁止対象除外となるが、浜田防衛相は28日の記者会見で「クラスターという名のものは使わない」と表明した。しかし防衛省の豊田報道官は同日の会見で、「中長期的な観点から(来年の)防衛大綱や中期防衛力整備計画の議論で引き続き検討しなければいけない」と、将来の新型保有の可能性に含みを残した。

 概算要求では、陸自が持つ多連装ロケットシステムの一部を改修して、子弾のない単弾頭ロケット弾を使用するほか、戦闘機に搭載するクラスター爆弾の代わりに精密誘導を導入するとしている。

 12月2〜4日の日程でオスロで開かれる禁止条約の署名式に中曽根外相が出席し、日本は被害者支援などに今後1年内に約600万ドル(約6億円)を拠出する方針を表明する。中曽根外相の演説は、「紛争後にも憎しみの種をまき散らすような兵器の使用は避けるべきだ」と表明。紛争後の平和構築や国家再建を重視し、国際協力にも積極的にかかわる考えを強調する見通しだ。

[コメント]クラスター爆弾破棄に向け、微力ながらも禁止を訴えてきた一人として嬉しい。しかし制服組の中には、まだクラスター爆弾の破棄に反対する者がいるという。しかしよく考えて欲しい。日本は専守防衛の国として、戦闘が行われる場所は日本領土である。仮に外国から日本に敵が攻めてきても、自衛隊がクラスター爆弾を使用する場所は日本の領土なのである。

 またクラスター爆弾で敵に打撃を与えても、その場所に陸自が進出し、残った敵を制圧し、その地域を支配しなけれ、その戦闘に勝ったことにはならない。また当然ながら、避難していた住民は戦闘が終わった戦場に帰ってくる。その時、大量のクラスター子弾の不発弾が、陸自隊員や住民を苦しめることになるのだ。まさに日本のような国こそ、クラスター爆弾が使用できない環境なのである。

 私がそのことに気がついたのは2年前の7,8月に、イスラエル軍がヒズボラを追って南部レバノンに侵攻した時だった。武装勢力ヒズボラの捕捉に失敗したイスラエル軍は、撤退直前の3日間にわたって、レバノン国境付近の村に大量のクラスター弾(主に多連装ロケット)を撃ち込んだ。その総数400万発の子弾のうち100万発が不発弾になったという。

 大量のクラスター不発弾を意図的に作り出す方法は、@多連装ロケット弾の射程を短く設定する。A射角を浅く設定して低い弾道で発射する。B果樹園、集落部、林、柔らかい土壌に撃ち込む C製造年月日の古いクラスター弾を使用する、などといった方法がある。

 イスラエル軍はヒズボラとの戦闘に勝利できず、南部レバノンの国境地帯に大量のクラスター不発弾を散布して、対人地雷源のように、その地域が使用や通交させないこと意図したのである。むろんイスラエル軍であっても、再び、大量の不発弾が残った同地域に入ることを考えていない。

 そのクラスター不発弾100万発のために、戦闘で村から避難して、戦後に帰ってきた村人が犠牲になった。それらの不発弾は対人地雷と違い、樹木からぶら下がり、家屋の中にまで飛び込んでいた。また雨が降れば流され、一部は地下に埋まってしまった。

 そのような兵器は自衛隊が日本の領土では使えないし、日本に攻めてくる敵軍にも使わせてはいけないのである。軍事作戦を理解するためには、自分だけの都合を考えた短絡思考はだめなのである。

 今後、空自は精密誘導爆弾の導入を増やすというが、陸自の多連装ロケットの単弾化とは誘導弾化させることである。単弾によって射程を今までの40キロ程度から70キロ程度に延ばし、GPS内蔵などによって精密誘導弾頭に性能を向上させることになる。まさにMRA(軍事革命)に沿った変身(進歩)となる。

 また155ミリりゅう弾砲弾やAH1攻撃ヘリ用のクラスター砲弾の破棄は、陸自が主眼にしてきた対戦車戦闘が主な戦いではないという時代を象徴している。これはAH−64攻撃ヘリの調達中止と同じ問題(高価は別)で、陸自は今までの極東ソ連軍との戦いを想定した兵器システムの転換を図るという意味である。

※今日のコメントはクラスター爆弾を諦めきれない制服組を意識して書いた。ちょっと専門的すぎて理解できない人もいると思う。しかし制服組はクラスター爆弾禁止の理由が理解できたはずである。

※本日はオフ会。ちょっと参加者を驚かす小道具を準備した。非常に重い。会場に運ぶまでが一苦労だ。何人の参加者あるか、ちょっと不安で、楽しみでもある。

インド同時テロ

繁栄の象徴に照準

周到な準備 ホテル占領

国際組織の手法

(毎日 11月28日 朝刊)

[概要]インド最大の商業都市ムンバイで26日夜に起きた同時多発テロは、21世紀の経済大国と目されながら、インドが依然、深刻なテロの脅威を内部に抱える現状を浮き彫りにした。

 名門タージマハル・ホテルに突入した犯行グループは、宿泊客を1カ所に集め、「米国、英国のパスポートを持っている者はいないか」と聞き、両国民を人質にとった。

 ムンバイは英国支配の時代から貿易港として栄え、1947年のインド独立後はタタなど有力財閥が拠点を置き、91年からの経済自由化以降、その恩恵を最大限に生かして発展を続けた。外国企業の進出も集中し、これまでにイスラム過激派によるテロ事件が続出した。今回のイスラム過激派は、人口の13パーセントを占め、インド経済の成長から取り残され貧しい生活を送るイスラム教徒の支持を狙ったという見方もある。

 しかし今までの小型爆弾を使ったテロの方法と違い、20人以上の若者が自動小銃や手投げ弾で武装し、外国人人質をとってホテルに立てこもる今回の手法は異なっている。犯行声明を出した「デカン・ムジャヒディン」(南部のイスラム聖戦士)は、これまでまったく活動が知られていない。今回の手法は国際テロ組織と似ているという指摘もある。パキスタンやインド北部のカシミールに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレ・タイバ」の関与が強く指摘されている。

 ラシュカレ・タイバは国際テロ組織「アルカイダ」との関連も濃く、アフガンやイラクで対テロ戦争を主導する米国や英国への敵意は深い。米・英のパスポート所有者を人質に取った今回の犯行と一致する。

[コメント]まずは犯行グループの特定が重要課題になっている。カシミールで分離運動をおこなっているラシュカレ・タイバが主体のメンバーなのか。ただ今回のやり方を見ると、突然、表舞台に飛び出たテログループとは考えられない。

 しかしアルカイダの影響を強く受けているなら、人質をとって立てこもらず、外国人が多く集まるホテルやレストランなどで自爆テロを行うはずだ。そのほうが相手(インド政府や国際社会)に強い衝撃を与えることができるからだ。まだアルカイダ系のテログループと断定するのは早すぎる。

 それにしても犯行グループは強烈な殺意を持っている。すでに死者は125人を越えたとの情報がある。(米CNN 27日夜現在)。犯人の一人は地元テレビ局を通じて、インド政府にイスラム教徒への迫害をやめ、刑務所に拘束されているムジャヒディン(イスラム聖戦士)全員の釈放を要求したが、これほど多くの市民を殺害するのは政府が要求を受け入れる可能性がないと判断しているからだろ。

 今のところは現地からの情報待ちの状態である。しかし今回はロンドンの地下鉄同時多発テロ、スペインの列車爆破テロと同等の緊張した気持ちでニュースを見ている。アルカイダはオバマ次期大統領がアフガン・パキスタン国境に米英軍の戦力集中を避けるために、これから世界各地でテロを続発させるのだろうか。不気味な前兆である。

アフリカ・ソマリア沖

海賊「自国で裁く」

英、摘発に実効性確保へ

(産経 11月27日 朝刊)

[概要]英海事筋によれば、英政府はソマリア沖で横行する海賊を取り締まるため、英軍艦が公海上でも警察権を行使できるように海運法を改正する手続きを進めている。改正の目的は海賊を逮捕して自国の法廷で裁きをかけるのが狙い。欧州連合(EU)ではフランスを除き、この英国方式を参考に海賊摘発対策の検討を始めた。海運改正法は12月3日の女王演説で発表される。

 国連海洋法条約は締約国に対し海賊の取り締まりを認めているが、警察権を持たない軍艦が公海上で海賊を逮捕しても、どの国で裁判を受けさすかについて国内法が未整備の国が多かった。フランスは軍艦に警察権を認めているが、他の国は海賊船を取り締まっても、武器を海に捨てさせた後、海賊をソマリア海岸まで送り届けて解放するケースが目立っていた。

 今回の英国海運法改正では、英国人や英国の船舶が被害にあった場合は英国の法廷で、それ以外では、ソマリアの暫定政府があるケニアと犯罪人引き渡し条約を結び、海賊を引き渡す方向で調整を進めている。テロ対策としてソマリア周辺で不審船の臨検を行ってきた米側も、身柄を拘束した海賊の取り扱いについては国際的な法的枠組みを各国と検討している。

 国際商業会議所で海賊対策を担う国際海事局(IMB)のハウレット局次長は産経新聞に対し、「軍艦は攻撃を受けた場合に反撃できるが、海賊を積極的に取り締まる法の後ろ盾がなかった。海賊の活動範囲を広げている母船を封じ込めるには、各国の海軍が海賊を摘発できるよう国内法の整備を進めることが必要だ」と話した。

[コメント]日本のような法治国家では、いくら海賊退治が目的であっても、決められた法の枠を勝手に拡大し、海自の艦船が海賊船を攻撃することはできない。とにかく、どんな理由でも勝手に考えて、海上自衛隊の艦船をソマリア沖に送り、あとから新法を作ればいいという考えは健全な法治国家のすることではない。

 実は、日本が初めてペルシャ湾に掃海部隊を派遣する際や、カンボジアの国連PKO活動に部隊を派遣する時に、日本の一部にそのような考えがあることを知った。そのことは月刊「文藝春秋」誌の1990年11月号の「制服自衛官の侃々諤々(かんかんがくがく)」の拙稿に書いた。その取材では、初の自衛隊の海外派遣を目前にして、旧軍関係者や自衛隊OB(将官クラス)たちは、「とにかく何でも理由を探して現地に向かえ。理由(法整備)は後から考えられる」と力説する人が多かった。しかし現役の将補や1佐クラスのエリート(当時)は、「きちんと法整備をして、国民が合意して、その法のもとで海外派遣をお願いしたい」という主張だった。この考えの違いは、戦後の負の遺産から始まって拡充してきた自衛隊と、だいたいの整備が進んだ自衛隊で、あくまで自衛隊行動は法律によるものという意識の違いと思った。

 現代に自衛隊は、さらに進んで、事前に法律による法的裏付けと、国民の合意(世論)の支持を強く求めているのように感じる。そこで現実に返って国会の状況を見ると、今すぐソマリア沖の海賊退治に海自・艦船を派遣することは無理と思うしかない。無理を通せば通りが引っ込むと言うが、海自を無理やり派遣しても、その後の法整備も世論の賛意も得られないと思っている。

 ところでソマリア沖の海賊が、乗っ取った船の身代金を船主(オーナー)から受け取っていると思っている人が多いことを知った。じつは海賊が、船体、荷物、乗組員の身代金を要求する相手は保険会社なのである。船主にはまったく支払いを求めていない。もし海賊が乗組員を殺し、荷物を奪い、船を沈めるか売り払えば、保険会社は船主に保険金を支払うことになる。その保険金から船主は賠償金を支払うのである。だから海賊が交渉する相手は保険会社である。例えば保険会社が100億円の保険金を船主に払うなら、保険会社は海賊に身代金50億円を払えば、船体、荷物、乗組員が返還され、安くつくと保険会社と交渉するのである。

 その保険会社がさらに保険をかけているのが英国のロイド保険エージェントである。保険会社が海賊に支払う保険金はロイド保険エージェントから受け取る。保険会社も安全のためにロイドに保険をかけているからである。英国のロイド保険エージェントには帆船の時代からそのような保険ビジネスの伝統がある。

 だから今回のソマリア沖海賊事件の一方の当事者は英国のロイド保険エージェントになる。今回の英国の海運法改正には、保険ビジネスの根幹である英国ロイドの強い意思が込められている。

 だからソマリア沖の海賊ビジネスとは、海賊が船舶保険の大元のロイド保険エージェントから保険金の一部を脅し取ることなのである。船主と海賊には利害関係は発生していない。この点を意外と知らなかった人が多かった。

高知 18,22日にも爆破事件

「ゴルフ場に地雷」

大会中止要求の電話

(読売 11月26日 朝刊)

[概要]25日午前9時頃、高知市の高知新聞社に、男の声で「黒潮カントリークラブに地雷を埋めた」との電話があった。同ゴルフ場で27日〜30日に開催される男子ゴルフツアー「カシオワールドオープン」の中止を要求した。

 県警は悪質ないたずらの可能性があるとみているが、26日に「警備本部」を設置、1日約260人態勢で警官1300人を投入し、ヘリコプターも投入して会場周辺や会場内の警戒を行う。大会主催者は大会期間中に金属探知器を導入して来訪者の手荷物をチェックする。

 事件は今月18日、旭食品が関連する同ゴルフのクラブハウスが爆発物でガラスを割られ、22日には旭食品本社ビルの正面玄関のガラス9枚が爆発物で割られている。県警では、いずれも手投げ弾が使われたとみて特別捜査本部を設置し、建造物損壊容疑で捜査している。

[コメント]ゴルフ場に対人地雷を”脅し(”脅迫)”のために仕掛けるという前代未聞の事件である。おそらく”犯行声明マニア”によるイタズラだと思うが、直前に手榴弾(破片型)2発が爆発しているので、警察も簡単には無視できない事件である。

 昨日まで滞在した広島では、各紙がこの事件をかなり大きく紙面で扱っていた。その記事によれば高知県警は、2カ所の爆発現場から回収された鉄の破片やゴム片から、爆発したのは旧ソ連製の破片型手榴弾と考えているようである。

 旧ソ連製といっても、現在のロシア軍が配備している破片型手榴弾も同じもので、現在のロシア軍の弾薬庫から盗まれ、日本にロシア船員などを通じて持ち込まれた可能性がある。仮にロシア軍のマカロフ拳銃が日本の暴力団員によって密売される額が50万円〜100万円なら、手榴弾1個は5万円〜10万円程度の値が付くだろう。カンボジアなら未使用の対人地雷が欲しいといって100ドル(1万円)だすと、「10個でも20個でも好きなだけ持っていけ」と言われるだろう。

 不可解のは対人地雷で、こんなものを密輸しようとする暴力団はいないと思っていた。高知県警は金属探知機で見つかると思っているが、1個5ドル程度の安価なプラステック製の対人地雷なら金属探知器には感応しない。また、もし対人地雷が1個でも見つかれば、ゴルフ場全域を詳しく調べる必要があり、高知県警が対応できるは能力をはるかに超えている。犯人が1個だけ目立つ場所に対人地雷を仕掛て、電話で全部で10個仕掛けたと言えば無視できないからだ。

 手榴弾を投げた犯人は強い憎しみからではないと思う。もし強い憎しみなら、ドアのガラスを割るのではなく、投げた勢いで窓ガラスを割って室内で爆発させたからだ。それなら今回の爆発は、あくまで企業恐喝の可能性が高いが、それが一気に対人地雷を埋設となると、犯罪の悪質さも異常に高くなる。

 これがイタズラでなく、本物の対人地雷なら日本の警察は今までに体験したことのない恐怖を感じると思う。それくらい怖いことなのである。先日、ある女子大学生が卒論に「国連の小火器対策」をテーマに選んだと話していたが、ロシアや東南アジアにある安価な対人地雷は想定外だった。

 日本の警察機構は今回の脅迫事件を単なるイタズラと安易に考えず、警察庁の最高頭脳を投入して対人地雷を使った新しいタイプの知能犯と対峙して頂きたい。パンドラの箱が開かれたと覚悟するぐらいの気持ちで。

11月21日〜25日の間

更新を休止します

親戚の慶事のため

(11月21日 金曜日)

 本日(21日)より25日(火)の間、郷里の広島に帰郷します。親戚の慶事のためです。また、22日(土)には小・中学校の同級生有志が10人ぐらい集まって、広島市の薬研堀(繁華街)でクラス会をやるそうです。

 そのため、21日より広島に帰省して、このHPの更新を休止します。旅先には携帯電話を持参しています。仕事関連など、急用の場合は携帯に連絡してください。自宅に電話を頂きますと、旅先の携帯電話に自動転送されます。

 大きな事件などが発生すれば、予定を変更し新幹線を使って帰京して更新します。せっかくアクセスして頂いたのに”更新休止”で申し訳ありませんでした。

オマーン沖

インド海軍

  海賊船を撃沈

フリゲート艦「タバール」

(読売 11月20日 朝刊)

[概要]インド国防省は19日、インド海軍のフリゲート艦「タバール」が、オマーン沖で対海賊哨戒中に海賊船の一団と交戦し、母船1隻を撃沈したと発表した。

 タバールは18日夜、オマーンの南西530キロの海上で不審な船団を発見。停船を求めたところ発砲を受け、船団の母船に砲撃を加えた。母船は砲撃によって搭載していた火薬類が爆発、炎上して沈没した。その間に、小型高速艇2隻が逃走した。母船や小型高速艇の甲板では、小銃や携帯式ロケット砲で武装した海賊多数が見られたという。

 インド政府は、9月中旬、ソマリア沖で香港船籍ケミカルタンカーが強奪され、インド船員18人が人質になった事件を契機に、10月下旬からインド海軍の艦艇をソマリア沖に派遣した。タバールは今月11日に、サウジとインド船籍の船舶に迫った海賊を相次いで駆逐している。

[コメント]もしインド海軍のタバールが海賊を捕らえる気なら、逃げ足の速い小型高速艇から機関砲などで先に攻撃する。速度の遅い母船なら速射砲を向けて威嚇し、捕らえることができるからである。しかし母船を先に砲撃したのは、砲撃・撃沈の見せしめ効果を考えてのことだと思う。

 このあたりの感覚が警察と軍隊の違いである。おそらく母船には海賊船団の指揮をとる者(ボス)が乗り込んでいただろう。警察なら、そのボスを捕らえて、海賊に関する情報を取りたいと考え、威嚇で小型高速艇を攻撃して、本命のボスが乗る母船を速射砲で降伏させる。しかし軍隊流の発想は、まず、ボスの乗る母船を攻撃して海賊団の中枢を壊滅させれば、海賊団の武装力(戦力)は急速に低下できて脅威がなくなると考えるからである。母船が攻撃中に逃げた小型高速艇の戦力は雑魚(ざこ)程度と判断している。今頃、小型高速艇が帰港した海賊の村では、海賊ビジネスが命を失うほど危険なものと大騒ぎになっていると思う。

 インド海軍が問題にするのは、海賊が先に撃ってくるか、こないかではなく、タバールが搭載している機関砲と速射砲の射程(距離)のことだけである。タバールの停船命令に従わないなら、海賊船団は逃走する意思表示と考えて攻撃する。「相手が撃ってきたから反撃した」というのは、軍事組織の広報官の常套句である。これが軍事の世界の共通認識なのである。

 そんな武力最優先が支配する世界に、正当防衛しか武器の使用を認めない自衛隊を派遣することは海自隊員に無理を強いることになる。相手が”無抵抗でも撃つ”、海自隊員はそのような訓練を受けていない。

 すでにソマリア沖の海賊に対しては、ロシアやインドから派遣されている艦艇は、海賊船を捕らえることよりも、武力による壊滅の方向で作戦を始めている。それらの国の艦艇は、海自のように優しい考えはではない。5隻にも足らない海賊の母船を沈めれば、海賊の小型高速艇はタンカーや貨物船の消防用の放水でも撃退(沈没)できると考えているのだ。

 前空幕長の田母神騒動でわかったことだが、勇ましく、声が大きいだけで、世の中のリーダーになってはいけないのである。

「有毒物質が原因」

湾岸戦争症候群

脳や神経系の障害

帰還兵の1/4が発病

(読売 11月19日 朝刊)

[概要]米退役軍人省の専門家委員会は、湾岸戦争(1991年)の帰還兵多数が苦しんでいる記憶力低下や全身の痛みなどの「湾岸戦争症候群」について、「主に脳と神経系への有害物質による障害で、帰還兵の4人に1人が発病している」とする報告書を発表した。一部で指摘された劣化ウラン弾などの影響は否定した。(記事全文)

[コメント]この報告書には、症状はなにが原因で、具体的にどの様な症状が認められ、その治療法や再発防止の方法が書かれていないのか。記憶力の低下といえば脳への障害が考えられ、全身の痛みといえば神経系の異常とは、医学に素人の私でもわかることである。

 しかしこの短い記事(全文)には重要な情報が3点ある。まず1点目は、退役軍人省が「湾岸戦争症候群」を公式に認めたこと。2点目は、湾岸戦争に従軍した米軍兵士の4分の1が発病している。3点目は、劣化ウラン弾の影響ではないことを明らかにした。

 すわなち「湾岸戦争症候群」とは、記憶力の低下が起き、全身の痛みなどが発病するという症状を特定したことである。湾岸戦争に従軍した米軍兵士の1/4という多数が発症したというなら、米軍以外で湾岸戦争に従軍した他国の兵士に同じような症状は出ていないのか。

 3点目の劣化ウラン弾が原因ではないという説明は理解できる。劣化ウラン弾による症状であれば、ガン(特に甲状腺ガン)などの多発が考えられるが、記憶力の低下や全身の痛みは考えられない。また帰還兵全体の1/4が発病したという異常さからも劣化ウラン弾の被害ではない。

 それではこの報告書が指摘する「有毒物質」とは何なのか。それが特定されなければ再発防止や治療方法はわからない。退役軍人省は今後のさらなる調査で、その「有毒物質」を特定するという決意表明なのだろうか。

 私は今まで、これほど多くの帰還兵が発症しているとは思っていなかったし、公式に政府(退役軍人省)が「湾岸戦争症候群」を認めるとは思っていなかった。戦争医学の分野では極めて深刻な内容の報告書である。

 さらに私の推測が違っていたのは、私はこの湾岸戦争症候群の原因を「イラク軍の毒ガス攻撃」への強いストレスと思っていた点である。米軍はかつてイラク軍がイラン兵やクルド人に使ったマスタード・ガスやVXガスで、米軍を攻撃してくることを想定していた。そのため対ガス訓練を繰り返して行っていたので、沙漠の過剰な暑さが加わって米軍兵士に強い恐怖ストレスが生まれたと思っていた。

 もし他国の兵士が同じ症状を発症していないなら、米軍兵士の特有性は過度な「対ガス訓練」しか考えられなかった。しかしこの報告書では原因を「有毒物質」とう表現ながら特定している。湾岸戦争が終わって17年が経過した。アメリカでブッシュ父子政権が終わりに近づいて、やっと湾岸戦争症候群が公式に認められた。民主的といわれるアメリカでも、この問題の公認に長い時間を費やしてしまった。

ポレポレ坐で写真展

本日、更新休止

本日・初日は受付担当

(11月18日 火曜日)

  29日のオフ会の会場でもある「ポレポレ坐」(東京・東中野)で今日から写真展が始まります。今日は初日で11時に会場に到着予定です。11月30日まで開催します。(月曜日 休み)。

 私の写真は自衛隊・国連平和維持活動のカンボジア派遣(UNTAC)を撮ったものです。(6枚組み写真)。驚いたのは写真が展示してある場所で、隣は報道写真家のW・ユージン・スミスが撮った「水俣」です。入場は無料ですので、ご都合のつくかたはどうぞ。(オフ会は1000円)

 29日のオフ会にはゲストを2人招きます。一人は昨日(17日)のNHK総合テレビで夜10時から放映したNHKスペシャル「イラク・刑務所虐待はなぜ起きた」を取材したディレクターの吉岡攻氏と、今も世界各地で取材を続ける元共同通信編集委員の新藤健一カメラマンです。

 二人とも今回の共同写真展のメンバーで私とは40年近い付き合いがあります。この世界ではベテランの二人です。どんなお話しが聞けるか楽しみにご参加ください。(但し、会場の関係で定員は80人程度です)

米ワシントン・ポスト紙報道

無人機・越境攻撃 

 暗黙の了解

米政府とパキスタン政府

(朝日 11月17日 朝刊)

[概要]米ワシントン・ポスト紙は16日、米CIAの無人機によるパキスタン北西部の部族地域へのアフガニスタン側からのミサイル攻撃について、パキスタンが事実上攻撃を認める「暗黙の了解」があったと報じた。パキスタン政府はこれまで攻撃を「主権侵害」などと米政府を批判していた。

 同紙が両政府の当局者の話しとして、パキスタン側は攻撃への抗議を続ける一方、米側は攻撃の事実を公式には確認しないことを9月に合意したという。これを受け、昨年12月から8月の間に6回行われた越境攻撃が、9月以降は少なくとも19回に急増している。

 米軍は無人機での越境ミサイル攻撃を増やしたが、地上部隊による越境作戦は中止した。

 パキスタンの部族地域にはアルカイダが潜伏し、アフガンやパキスタンでのテロ活動の拠点になっているとされる。攻撃によりアルカイダ幹部殺害に成功しているが、民間人の被害者も出ており、パキスタンで対米非難が強まっていた。

[コメント]この程度のことはこのHPの常連読者の方ならお気づきと思う。今年7月28日、ワシントンを訪れたパキスタンのグラニ首相は、ブッシュ大統領と会談し、辺境州での和平合意を破棄して、2万人の部隊を投入して治安作戦を開始している。(What New 7月28日 )

 また8月になると、パキスタンのギアニ陸軍参謀長がアフガンの国際治安会議を訪れ、カルザイ大統領と電話会談を行った。(What New 8月20日)

 この直後の、9月から無人攻撃機のミサイル攻撃は激しくなった。いくらパキスタン側がアメリカに抗議してもアメリカは「知らん顔」であった。そのような経緯に、アメリカとパキスタンで何らかの密約が結ばれたと推測するのは当たり前である。

 今日の記事で気になることは、なぜ今になって両国の政府関係者が密約合意のことをワシントン・ポストに公表したのかである。ブッシュ政権末期になって、この作戦に従事しているCIA関係者などが、オバマ次期政権に秘密作戦をアピールするためにおこなったのか。あるいは、この作戦では十分な成果が上がらず、ミサイル攻撃作戦を中止して、地上作戦に移行する前兆なのか。すでにオバマ次期大統領のアフガン作戦は始動していると考えられるような気がする。アフガン治安作戦に従事する米政府の関係者が、オバマ政策立案に影響を与えようとアピールしているからである。

 アフガンとパキスタン国境に潜伏するアルカイダについては、CIAや米軍特殊部隊の強硬派に任せることになるが、もう一方の、タリバンとカルザイ政権の和解工作はサウジのアブドラ国王に丸投げすることはできない。むしろタリバンとの和解工作が主作戦である。その成功のためなら、タリバンの旧指導者たちをカルザイ政権に取り入れたり、タリバン兵を新国軍に編入する可能性もある工作である。そのようなことができる者がオバマ新大統領のアフガン対策責任者になるはずである。

 日本はアフガンで国連PKO平和維持活動が始まることを想定して、自衛隊はその準備を整えることを怠りなく。動き出せば早い。しかしオバマ新大統領が就任する前には動かない。

無政府状態、仕事失う

ソマリア海賊

 みんな漁師だった

犯行急増 世界の3割

 

「自衛隊より財政援助を」

 イエメンの沿岸警備隊隊長

(朝日 11月15日 朝刊)

[概要]中国国営新華社通信によると、13日夜、ケニア沿岸で日本人1人(神浦・・・船長です)が乗った中国天津市の「遠洋漁業」所属の漁船「天裕8号」(乗組員 24人)が乗っ取られ、ソマリア沿岸に航行するように求められているという。付近で犯行を繰り返している海賊の犯行の可能性が高い。

 世界の海賊事件を調べている国際海事局(IMB)によると、今年1月〜9月にソマリア沖で起きた海賊事件は63件。世界全体の199件の3分の1を占める。イエメン沿岸警備隊のまとめでは、未遂を含めれば日本郵船の大型原油タンカー「高山」襲撃を含め100件以上あった。中でも、注目を集めるのはウクライナの会社が運航するMVファイナの乗っ取り事件だ。33台ものT72型戦車など兵器を搭載し、乗員の人質20人をとったまま、1か月半経った今もソマリア中部の漁港ホビョの沖合で60人を超す海賊に拘束されたままだ。

 海賊に詳しいソマリア人記者によると、海賊の大半はハラゼレやホビョなど中部の漁村を拠点にしている「海賊会社」で、もともとは漁業会社にいた漁民が武装した総勢は300人ほどだという。ソマリアは91年からの内戦で、無政府状態にあり、武器などが横行し、海上警備は対岸のイエメン任せだ。そのイエメンとソマリアの間にあるアデン湾には年間2万隻の船が航行している。

 海賊は人質にとった船員の身代金を要求する手口で、今までに人質に危害を加えたと報じられた事例はない。英シンクタンク、王立国際問題研究所は08年だけで、海賊が3千万ドル(約28億円)近い身代金を得たと報告している。金はソマリアのイスラム系武装勢力であるシャバブに流れているとの情報もある。ジャバブは今年2月に米政府が「テロ組織」に認定し、制裁の対象とした組織だ。

 相次ぐ海賊被害に、国際社会も動き始めた。AFP通信によると、エジプトのカイロで20日、紅海沿岸諸国による海賊対策の国際会議が開かれれる。国連安保理は10月、積極的取り締まりを求める決議を全会一位で採択。日本も海賊対策の新法を検討する意向で、海上自衛隊を派遣する可能性も出ている。

 ソマリア沖の海賊行為を取り締まるイエメン沿岸警備隊のマルマフディ作戦局長が来日し、朝日新聞の取材に応じた。

 日本政府が海上自衛隊艦船の派遣を検討していることに対して、「高い効果は期待できない。海自の派遣は必要ない。むしろ我々の警備活動強化に支援して欲しい」と述べた。イエメンの沿岸警備隊は約2300人で、現態勢では約1200キロの海岸線の2/3は手が回らないという。この海域では麻薬密輸や人身売買も横行していると話した。日本の支援には基地港5カ所の新設や、高速警備艇10艇導入などの財政援助を求めた。海上保安庁からは警備の技術指導も受けたいという。「海自より、現場の事情をよく知る我々が高性能の警備艇で取り締まった方が効果があがる」と話した。

[コメント]この紙面の記事にはウクライナの貨物船を乗っ取った海賊のスグレ・アリ広報担当が電話取材に答えている。それによればMVファイナ船の人質は全員無事で、一緒にトランプ遊びなどをしているという。しかし攻撃してくれば船を壊し、人質を殺すと脅している。海賊はイスラム武装勢力の資金源との指摘には、「(イスラム武装勢力とは)関係ない。金は船の維持費や、武器購入、仲間の給料に使っている。我々は海軍に代わって、ソマリアの海を守っている。問題のある船を逮捕し罰金を取っている。国を守って給料を貰えるこの仕事に誇りを持っている」と話そうだ。

 なんとも勝手な暴論だが、ソマリア海賊の背景に無政府状態による深刻な貧困があることは間違いない。そこにAK−47自動小銃、RPG対戦車ロケットなどの武器が、内乱のために大量に出回り、誰でも格安で入手できる銃器環境がある。海賊以外の仕事に家族を養い、生きて行くための方法がないのである。その海域に海上自衛隊の護衛艦を派遣し、海賊を銃や砲で脅してどのような効果が期待できるというのか。また、果たしてそのような強圧的な手段で極貧から救うことができるのか。

 それに海賊といっても、総勢は300人ほどの武装勢力である。日本が新法の特措法を制定し、海上自衛隊をソマリア沖の海賊退治に派遣するほどの大事なことだろうか。むしろ大事だと思っているのは外務省の官僚の立場で、アメリカに尽くすことを至上に掲げてきた自己の存在感を示したいだけではないのか。また外務省は警察(海保)と軍事(海自)の区別さえ出来ていないように思う。そんな外務省に海上自衛隊の派遣を論じる資格はない。外務省は防衛省の一連の騒動で”火事場泥棒”のようなマネはやめるべきだ。

ソマリア近海 海賊撃退

ロシア艦艇、

 海賊2名を射殺

英軍艦艇と協力

(産経 11月14日 朝刊)

[概要]ソマリア近海のインド洋で海賊船による商用船への襲撃事件が相次ぐなか、ロシア海軍バルト艦隊所属の艦艇が12日、英軍の艦艇と協力し、デンマークの船を乗っ取ろうとした海賊船を攻撃して撃退した。

 AFP通信によると、海賊が自動小銃で攻撃してきたため、自衛のために攻撃し、海賊2名が死亡したという。ロシア海軍は9月下旬、ロシア人船員が乗り込んだウクライナの船を海賊が乗っ取られたのを機に、ロシア人保護を理由に艦艇をソマリア近海に派遣していた。

[コメント]ウクライナからケニアに向け、T−72戦車33両、迫撃砲、砲弾を運んでいた貨物船がアデン海で乗っ取られたのは9月25日だった。この時は米駆逐艦「ハワード」など3隻から追跡を受け、さらに包囲されて海賊は身動きできない状態が続いた。その時にロシア海軍は緊急にソマリア沖(アデン海)に艦船を派遣したことまではわかっている。

 しかしその後、この乗っ取られた貨物船と、積み荷の戦車がどうなったか報じられていない。報じられていないから、海賊は拘束され、積み荷の戦車はケニアに向かったのだろう。(と、推測する以外に方法がない)

 今回、ロシア軍の艦船が海賊を銃撃したのは、海賊から攻撃を受けたからではなく、受けたことにして銃撃した可能性が極めて高い。海賊行為に対する見せしめのためである。接近してきたロシアの海軍の艦船に海賊が自動小銃を撃つことは、車のダンプカーに子供が水鉄砲を撃つに等しい行為である。ロシア軍が銃撃したことは海賊仲間に衝撃を与えたと思う。

 ところで日本の外務省がまたしてもトンチンカンなことを始めている。総合安全保障局の下にある安全保障政策課の中に「ソマリア沖の海賊対策」のために、新法制定を検討する政策室を立ち上げた。この対策室は海自の艦船をソマリア沖に派遣するため新法を作る専門部署という。

 しかし日本では、海賊対策は海上保安庁が2000年に、アジア15の国と地域による「海賊対策国際会議」を開催した。この会議で「アジア海賊対策チャレンジ2000」を採択し、日本は各国と年に数回の哨戒活動や連携訓練、研修などを定期的に実施している。

 また海保が保有するヘリ搭載巡視船「しきしま」(PLH―31 6500トン)は、テロやゲリラの襲撃を想定して建造されている。そのため船体は2重の外殻で覆われ、対戦車ロケット弾(RPG)などの攻撃を受けても、ダメージコントロール(被害軽減)ができる構造だ。搭載している武装も強力で、35ミリ連装機関砲、20ミリ機関砲が「しきしま」の甲板に設置してある。また搭載ヘリのスーパーピューマ(2機)には、床に防弾板が敷かれ、テロリストが撃つ自動小銃の弾が機内に飛び込むのを防いでいる。またこの搭載ヘリには機銃を搭載できる能力があり、7,62ミリの機関銃で上空から海賊船に銃撃を加えることもできる。

 このように海賊退治は海保のお家芸なのである。また、先月には民主党の長島衆院議員の質問主意書に答え、「国籍を掲げない海賊船を海保が取り締まりのために銃撃(危害射撃を含む)しても、国際的には日本国憲法が禁じる武力行使にあたらない」という閣議決定を政府は行っている。当然ながら、海保の艦船をソマリア沖に派遣することは臨時の特別措置法は必要としない。

 外務省は防衛庁が防衛省に「省」昇格したことで、安全保障政策への発言(提言)権や予算権を縮小され。そこで再び権限を取り戻すために、守屋問題や田母神問題で混乱している防衛省から、海自艦船をソマリア沖の海賊退治に派遣させることで、権限の復活を目論んでいるようにしか思えない。海自が混乱している原因のひとつは、過剰な任務負担を強いられていることもある。

 今、急がなくてはいけないのは、外洋巡視船「しきしま」のようなダメージコントロールされた巡視船を増やすことである。また必要であれば、海保の予算と定員を増やすことである。日本の国際貢献は自衛隊を派遣することではなく、海賊退治を行って海の安全交通を回復させることである。外務省は海賊退治の目的と方法を間違っていけない。

サウジ国王 イスラエル大統領

初めて一緒に食事

国連「平和の文化」首脳会談

(毎日 11月13日 朝刊)

[概要]宗教間の対話促進を目指す「平和の文化」首脳会合が12日、2日間の日程で国連総会が始まった。会合を前に11日夜の夕食会で、サウジのアブドラ国王とイスラエルのペレス大統領が同席した。外交関係のない両国首脳が一緒に食事をするのは初めて。

 この夕食会は潘基文(バン・ギムン)国連事務総長が主催し、計40人が出席。中央のテーブルにアブドラ国王やクェートのサバハ首長が座り、隣のテーブルにペレス大統領とカタールやオマーンの代表が着席した。

 潘基文事務総長は11日昼の記者会見で、「サウジとイスラエルの首脳が同じ料理をたべることで、互いの信頼醸成に繋がることを期待している」と述べた。この首脳会談はアブドラ国王が提唱し、主にユダヤ教、キリスト教、イスラム教の相互理解を通じて、世界平和に貢献することが狙い。

[コメント]今の時代はこんなことが可能になったのかと感動した。それにしてもサウジのアブドラ国王の平和調停能力(ピースメーカー)はもの凄い。数ヶ月前にはアフガンのカルザイ大統領の兄と、対立するタリバンの幹部を招いて、平和調停の役割を演じている。こんなことをヨルダン国王が行えば、すぐに暗殺されることは確実である。まさにサウジでなければのリーダーシップである。

 世界のユダヤ、キリスト、イスラム教徒が共存共栄を図れば、今行われている世界の戦争の半分以上は和解する。もしカルザイ政権とタリバンの和解が成立すれば、来年のノーベル平和賞はアブドラ国王が受賞することは間違いない。

 急用が入りました。・・・・・ちょっと出かけてきます。田母神問題絡みです。

田母神前空幕長、

   国会参考人招致

言論の自由に非ず

”編集手帳”異様さを指摘

(読売 11月12日 朝刊)

[概要]旧陸軍では軍需品の輸送を担当する<輜重輸卒(しちょうゆそつ>を、”輜重輸卒が兵隊ならば蝶々(ちょうちょ)とんぼも鳥のうち”と見下した。旧海軍では情報を統括する軍令部第3部を<腐れ士官の捨てどころ>と揶揄(やゆ)した。これは「補給」と「情報」という戦略、戦術の基本を軽視して、壮士風の政論を好んだ。

 米国の政治学者サミユェル・ハンチントン氏の著書「軍人と国家」では、かつての日本ほど「専門的、職業的精神に欠けた、政治的な」軍隊を持った国はなかったと書いている。

 「日本が侵略国家だったいうのは濡れ衣」ーと、政府見解と異なる論文を発表して解任された田母神前統幕長がきのう、国会の参考人質疑で「自衛官にも言論の自由はある」と述べた。それは違う。

 首相は自衛隊の最高指揮官で、政府見解はその人の明確な意思表示である。気にくわなければ制服を脱ぐしかない。例えば首相が、「不戦の誓い」を語り、自衛隊幹部が言論の自由を盾に「我々には別の持論がある」と異を唱えることを想像すれば、その異様さは容易にわかる。壮士気取りの「政治的な」論客は入らない。自衛官が誇りにするのは、専門的、職業的精神であるべきだ。

[コメント]今朝の朝刊各紙で、自衛官の言論の自由と、田母神論文の評価に触れていた。しかし田母神氏には”言論の自由はない”と明確に発言したのはこの記事だけであった。

 昨日の国会証言の初めに、田母神氏が「今朝9時時点で(インターネットの)ヤフーで私への支持が58パーセントだった」と過半数の世論支持があることを誇っていた。その時、田母神氏はヤフー世論で少数の支持しかなければどうするのかと気になった。それだけ田母神氏は自分の論に対する自信がないのではないか。これから田母神問題は「他の論文の引用からではなく」、その真偽を確かめ合う論争の分野に入っていく。

 言論の世界では、たとえ自分一人だけになろうとも、正しいと思ったことは貫き通す覚悟が必要だ。その覚悟が本当にあるのか気になった。今は制服の空自トップ(前)として目立つが、一人の国民となれば埋没する言論でしかない。それでは独りよがりの自論で、これからの日本を良くすることに繋がらないからである。

 かつて自衛隊であった本当の話だ。新隊員になった男が供与された銃はM-1小銃だった。Mー1は太平洋戦中に日本軍と戦ったアメリカ兵が使った歩兵用の軍用銃である。日本兵を撃ち殺してきた銃(中古)を持たされることに嫌悪を感じたのだ。その男は、そのことを理由に自衛隊をやめた。

 昔、防衛大学のドリルを見た時、そのM-1を使って演じる光景にその男のことを思い出した。また、外国の要人を迎える自衛隊の儀仗隊が、今もM-1を使っている光景にアメリカから使わされているのか気になる。なぜ自衛隊の儀仗隊や防大のドリルは、自衛隊員に支給された国産の銃を使わないのか。

 田母神氏に対して、与野党は真正面から論争して欲しかった。田母神氏は統幕学校で同氏の歴史観を教育する新たな講座を新設し、国家の見解と異なる歴史観を学生に論じていた。自衛隊を個人の思想で私物化した静かなるクーデターであると思う。

 これから自衛隊の幹部や隊員は、外部から遮断された世界で、組織内だけに通用する価値観や歴史観を純粋培養される時代は終わった。これからは言論の自由が許される厳しい世界を経験することになった。

ロシア原潜試験航海で事故

消火装置誤作動

 20人以上が死亡

アクラU型「ネルパ」攻撃型

(時事 11月9日 電子版)

[概要]9日のタス通信などによると、日本海を航行していたロシア太平洋艦隊の原子力潜水艦で8日、消火装置が誤って作動し、乗組員ら20人が死亡、21人が負傷した。艦体に損傷はなく、原子炉も正常に作動しており、放射能漏れは起きていないという。
 海軍当局者によれば、原潜は自力で航行し、9日に極東・沿海地方の港に入った。ロシア通信は、事故を起こしたのは日本海のロシア領海内で試験航海をしていたアクラII級原潜「ネルパ」だと伝えた。
 事故当時、原潜には軍人81人と造船企業の関係者ら計208人が乗っていた。最高検察庁当局者は、死者のうち3人が軍人、17人が民間人で、化学消火装置のハロン・ガスを吸ったことが死因とみられると述べた。

 写真はロシア海軍 アルラU級攻撃型原潜「ネルパ」 今回の事故を起こした潜水艦。

[コメント]昨年夏に津軽海峡を東に向け浮上航行するオスカU型が目撃されている。これは米原潜の「オハイオ」級と同じ大型潜水艦(水中排水量 1万8000トン)で、長射程の潜水艦発射対艦ミサイル「SS−Nー19」の24基を搭載している。

 しかし今回、事故を起こしたのはより小型(9500トン)のアクラU型・攻撃型原潜である。潜水艦発射・巡航ミサイル(SS−N−21)や対潜ヘリや対潜哨戒機を撃墜できる近接対空ミサイル(SA−5/8)を搭載し、敵艦(水上艦や潜水艦)を追い回して攻撃する任務を持っている。

 ロシア海軍が対アメリカの核戦略からオスカU型を運用していることはわかるが、攻撃型原潜アクラU型「ネルパ」の運用再開を目指して試験航行していることに驚いた。

 今まで潜水艦と言えば中国海軍の潜水艦ばかる気にしていたが、これからはロシア海軍の潜水艦を視野に入れて考える時代が再来した。日本海の対潜パトロールも真剣さが求められてくる。

 今回の事故は自動消火装置のハロン・ガスが何かの原因で誤作動を起こし、そのガスを吸った中毒死(酸欠死?)であることが考えられる。通常、乗員は酸素マスクを携帯し、それを口元に装着すれば防げた事故である。潜水艦はいつでも最高度の緊張状態で航行することが求められている。今まで10年以上にわたって休眠状態だったロシア潜水艦部隊だったので、基本的な運用体制に油断があったような気がする。

 それにしても、またロシア潜水艦部隊が復活してくるのか。同じように韓国も潜水艦戦力を向上させている。またアメリカ海軍も太平洋に潜水艦部隊を増強させている。中国の潜水艦戦力の増強とともに日本周辺で潜水艦の活動が活発化してきた。そのような状況にロシア海軍も傍観しておれなくなったのだろう。

※時事通信が配信した記事ではヘリウムガスとなっていましたが、誤作動で放出したガスはハロンガスであることがわかりました。ヘリウムガスをハロンガスに訂正しました。

防衛省・自衛隊 広報一元化

内局の「情報統制」

  懸念

国民、置き去りの可能性

勝股編集委員の解説記事

(読売 11月8日 朝刊)

[概要]防衛省改革の名の下に、防衛省・自衛隊の広報一元化が進められている。防衛省内には大臣や次官の会見を仕切り、防衛行政について対応する背広組の内局広報(トップは報道官)と、日常の訓練から国際協力活動、災害派遣などの「実任務」について報じるため、陸海空・自衛隊と統合の4幕僚監部に各広報室が置かれている。

 防衛省改革案では、2月のイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故で、省内の報道対応が混乱を極めたため、報道機関への対応を内局広報に一元化する改革案が内局主導で進められている。具体的には、4つの幕僚監部の広報室が担当している業務のうち、発表資料や記者会見資料の作成、報道機関からの問い合わせ、部隊や訓練視察などの取材協力を含め、報道機関への対応のすべてを内局広報に集約するという改革案だ。

 衝突事故後に報道発表が混乱した原因は、内局と海上幕僚監部の行き違いなど対応のまずさが指摘されている。だが実際は、当時の石破防衛相がまだ情報が錯綜している中で、自民党国防部会で事故当時の状況を説明したことが混乱の発端と言っていい。内局や海幕は「まだはっきりしていない」として発表を控えていたことを、国民より党への報告を優先し、しかも、不確かなままに情報を発信したために、情報が二転三転したというのが真相だ。さらに「あたご」の航海長を防衛省に呼び寄せ、大臣以下幹部が事故について聞き取り調査していたにもかかわらず、聴取の事実が明るみに出るや、海幕長に航海長を招集した責任を押しつけて更迭した。これが混乱に拍車をかけた要因だ。

 かつて守屋前防衛次官は内局を通じて、陸海空・幕僚長の定例記者会見の中止を打ち出したことがある。中止の理由があいまいで実現しなかったが、当時、防衛省の意に沿わない記事に対し、抗議文を送り着けることが常態化していた。改革案がいう報道対応の窓口を内局に一元化すれば、各地で活動し、現場を抱える自衛隊の情報発信を萎縮(いしゅく)させ、取材する側も内局幹部の了解がなければ部隊取材も難しくなり、背広組による情報管理につながりかねない。

 政治が自衛隊を統制するシビリアンコントロールは民主主義の原則だが、改革案が進めば、防衛省・自衛隊を広く理解してもらうという広報の前提が崩れてしまう恐れがある。

[コメント]イージス艦「あたご」と漁船の衝突事故で、防衛省の報道発表が混乱した反省から、陸海空幕僚監部と統幕の4広報室を事実上廃止し、背広組の内局広報室に一元化するなど悪制改革に他ならない。これではもっと悪質な守屋的な官僚や悪徳政治家(防衛族)を生むことになる。あたごの衝突事故の報道混乱は、石破防衛大臣(当時)が主原因だが、海幕の責任がないわけではない。だからといって、陸海空・幕僚監部の広報室を内局・広報に一元化するなど、原因究明と対策を提言する改革案の方向性が間違っている。これは衝突事故後、速やかに緊急対策本部を立ち上げることで足りる問題である。

 以前、防衛省の参事官制度改革を求めた海幕に対して、猛反発した内局(特に守屋防衛局長・当時)は、海幕と大喧嘩したことは有名な話しだ。それがアメリカの同時多発テロ直後に、海自の高官が横須賀の米海軍司令部を訪ね、「アメリカ側から海自に艦艇を出すよう日本政府に要請して欲しい」と依頼したと、守屋前次官が全国紙の新聞記者に漏らしたという事件である。

 海幕は直ちに事実無根とこの記事を掲載した新聞社に抗議し、告訴も辞さないと反論した。結局、新聞に訂正記事やお詫びは掲載されなかった。また、海幕がこの新聞社を告訴することもなかった。ただ、守屋局長が親しい新聞記者に海幕の悪口を書かせたという風評だけが残った。この功績(海幕の頭を叩いた)で守屋防衛局長は事務次官の椅子に一歩近づいたという。

 内局がシビリアン・コントロールを強化し、陸海空自衛隊の統制(コントロール)を強化するという言葉はカッコいいが、守屋のような防衛官僚が現れると、国民や自衛隊が被る被害は極めて大きい。今の防衛行政の体制を崩せば内局と自衛隊のバランスがとれなくなるからである。

 同じような実例があった。以前は、内局と陸海空自衛隊に情報部門(調査隊など)があったが、これを一元的に管理するために、統合して、新しく統幕に現在の情報本部が誕生した。この改革案が出た時も、当初は、3自衛隊の情報部門を内局の情報部門に統合する案だった。しかし制服組から、情報を内局が一元管理することは、制服の力を奪う改革案と猛反対を受けた。

 そこで新しい情報組織を内局ではなく、制服組織の統幕内に置き、情報本部長に制服をあて、副本部長を背広組(防衛官僚)にすることで決着した。それが今の防衛省・情報本部なのである。人事権、予算権についで、情報まで内局に奪われるという自衛隊制服組の危機感があった。

 今回も、内局と自衛隊の覇権争いになっている。私は今の広報体制がいいとは思わないが、広報を内局に一元化すると、もっと防衛省・自衛隊の組織は閉鎖的になって悪くなると確信する。何を考えているのかと叱りたくなる。

「わが国民は賤民意識の

     とりこ」

海上自衛隊

 教育資料に記述

部外の大学教授の

  著書を引用した

(朝日 11月7日 朝刊)

[概要]自衛隊の海上幕僚監部が作成した一般隊員・幹部向けの精神教育参考資料に、「敗戦を契機に、わが国民は自信を失い、愛国心を口にすることはおろか、これをタブーとし、賤民(せんみん)意識のとりこにさえなった」という表現があることがわかった。

 6日の参院外交防衛委員会の審議で明らかになった。民主党の白真勲氏が防衛省から提供を受け、「『賤民』という言葉は一種の差別用語ともいえなくない。極めて問題だ」と指摘した。浜田防衛相は「極めて違和感がある。しっかり確認し適切でなければ変えさせていただく」と応じた。

 この資料は02年3月付。該当部分は部外の大学教授の著作(1976年)から引用したとしている。

[コメント]自衛隊が行う精神教育とは、隊員の意識向上のために行われる自衛隊向け”公民授業”のようなものである。私が少工校で精神教育の授業を受けたのは週2時間ほどで、金曜日の昼飯後の2時間の授業時間があてられていた。内容は、”躾(しつけ)”の大切さというものから、楠木正成がいかに忠孝であったかを聞いた思い出がある。しかし授業を受ける生徒はよく寝ていた。教官は主に教育隊長(3佐)が行い、期末テストがないからである。しかし中国で実戦経験(終戦時 少尉)のある教育隊長が自分の戦闘体験を語った時はみんな起きて真剣に聞いていた。

 防衛大学校、幹部候補生学校、幹部初級課程(BOC)、幹部学校の指揮・幕僚課程(CGS)、統幕学校などでは、外部から大学教授、歴史研究家、評論家、メディア関連の編集委員、体験者などを招き、外部講話として精神教育を行っている。むろん一般部隊でも、部外講師を招き、歴史教育、時事問題などを聞く会などを開催している。

 一般に上級機関(学校など)ほど自衛隊向け”精神教育”を行う傾向が強いと思っている。すなわち田母神氏が懸賞論文で記述した内容や、今回の教育資料に記述してある様なことである。

 そうそう、少工校の1年生の時にこんなことがあった。精神教育の時間になるといつもちり紙で耳栓をしている同期がいた。その同期は兄貴が自衛官で、「兄貴から聞いたけど、この精神教育を聞くと自衛隊を辞められなくなるそうだ。オレは少工校を卒業して普通の大学に行く。大学はアルバイトで働いて勉強できるから、自衛隊を辞められなくと困るんだ」と話していた。数年前にそのことを本人に話したら、「オレがそんなことを言ったのか」と照れていた。その同期はOB会の元会長で、今は自衛隊後援会の役員をやっている。

 この記事を読んで気がついたが、これから自衛隊員の内部告発が多くなると思う。今まで精神教育で押しつけられる価値観や歴史観に違和感を持っていても、自衛隊という組織の中では何も言うことは出来なかった。しかし田母神騒動を切っ掛けにしてその封印が解かれた。ホテルチェーンのアパグループの代表を、田母神氏が小松基地(石川県)司令時代にF−15戦闘機に乗せていたなど、大量の内部告発がメディアや政党関係に寄せられるだろう。緊急に防衛省や自衛隊高官が、その引き締めに必死の対策をとるだろう。 

誤解を与えやすい表現

「発言」を訂正。

「私は防大に関係なし」

(11月7日 深夜0時25分)

  たった今、TBSラジオから自宅に帰ってきました。帰りのタクシー内で気がつきましたが、昨日(6日)に生放送したTBSラジオ「アクセス」(22時〜23時45分放送)で私が発言した内容に、誤解を与える言葉のあったことに気がつきました。

 テーマは「田母神氏の更迭問題」です。放送中に田母神氏の年齢が60才であることを話した際、「田母神氏は防大の15期生です。私は17期生ですから2才下です」と話したと思います。これは年齢差のことを話したので、正確には、「田母神氏は防大の15期生で、私は17期生相当ですから2才下です」と話すべきでした。私が防大の17期生だったという意味ではありません。

 私の少年工科学校の同期が防大に進学したり、一般大学(夜学など)から一般幹部候補生に進んだものは、防大17期に相当しているという意味でよく使います。

 私は防大に入学したことも、中退したことも、卒業したこともありません。まったく防大の教育とは無関係です。もしかすれば誤解を与えた可能性があるので、緊急に訂正して、放送を聞かれた皆さんにお詫びします。

 私は陸自の少年工科学校の12期生です。3年生の時に中退し、その後はフリーの報道カメラマンなどを経験しています。私は防大とはまったく関係ありません。(11月7日 深夜0時40分 更新)

米大統領にオバマ氏

試される日米同盟

対テロ戦

 新たな支援要請も

(毎日 11月6日 朝刊)

[概要]米大統領選でオバマ当選を受け、麻生首相は「日米同盟は日本外交の機軸」と表明した。首相は5日発表した談話で「日米両国は自由・民主主義、基本的人権の尊重、市場経済の推進といった価値観を共有」と強調。そのうえで、「日米同盟は日本外交の基軸であり、アジア太平洋地域の平和と安定の礎だ」と重ねて指摘した。

 オバマ氏は「テロとの戦い」で主戦場をアフガンに移す方針を鮮明にしており、インド洋での給油活動継続に加え、日本に新たな支援策を求めてくる可能性がある。日本がどこまでオバマ氏との国際協調路線で足並みをそろえられるか試される局面も出てきそうだ。

 ブッシュ政権は日本にアフガンへの陸自ヘリ部隊派遣を水面下で要請した。政府は6月に現地調査団を送って派遣の可能性を探ったが、「治安が極めて悪く困難」と判断した経緯がある。再びオバマ次期政権からアフガンでの追加支援を求められた場合、日米関係がぎくしゃくすることも想定される。

 オバマ氏の北朝鮮政策は、直接対話の可能性に触れる一方で、「脅威への対峙には軍事的オプションも排除しない」という発言もしている。外務省幹部は「硬軟どちらが出るか未知数」と語る。8年ぶりに政権につく民主党内の人脈構築という課題もある。

[コメント]すでに防衛省では来年度の予算案で、輸送ヘリCH−47のエンジンをパワーアップさせ、アフガンのような高地でも運用できる改修費を計上している。

 そこで陸自・部隊がアフガンに派遣できる条件を検討すると、現行の法制度では次ぎのような想定が考えられる。@タリバン(主力・オマル師)がアフガン政府との休戦に応じて、双方が国連に平和維持軍(PKO)の派遣を要請すること。Aアフガンとパキスタン国境付近に潜伏するアルカイダとタリバンの同盟関係は決別する。Bアルカイダ掃討作戦には米軍を主力とした戦闘部隊があたる。Cアルカイダ掃討作戦を行う地域を限って、アフガン政府、パキスタン政府は米軍の軍事作戦を許容する。D国連PKO活動に参加した部隊(自衛隊など)はアルカイダ掃討作戦地区には立ち入らない。

  このような状況が生まれるなら、現行のPKO協力法で自衛隊のアフガン派遣は可能である。自衛隊のアフガンPKO派遣に新たな特措法の制定は必要ない。

 要は、アルカイダ掃討作戦はアメリカの対テロ戦争で、01年9月の米・同時多発テロの首謀者とその中枢組織を壊滅(敵討ち)させると位置づける。その上で、アフガンに関してはアフガン政府とタリバンが紛争停止に合意し、国連平和維持活動の部隊が治安回復や社会インフラの整備を行い、安定した国家建設の基盤を作るというものである。

 すでにアメリカはその方向で動き出している兆候がある。というのは、これ以外にアフガン問題を解決出る方法はなく、、オバマ新政権でも、このままアフガンに米軍を増派しても、米兵の犠牲を増やすだけである。

 タリバンの指導者オマル師は、米同時多発テロの直後、アメリカにアルカイダのビンラディンを差し出すように申し出たことがある。しかしビンラディンがオマル師に多額のお金を支払ったことと、アメリカのネオコンはタリバンもイスラム原理主義の過激派(テロ集団)と考えてアフガン戦争を始めたという経緯があった。

 パキスタン政府や軍情報部は、タリバンがアフガン政府に加わることに反対はしない。そこで隣国イランがどうでるかだが、イランはイラクから米軍が撤退するなら、イラク情勢が気になってアフガンに干渉する暇はないと思う。

 私はアフガン政府(カルザイ政権)とタリバン(オマル師など主力勢力)が和平に合意し、国連を通じて平和維持軍(PKO)の派遣を求めるなら、自衛隊をアフガンに派遣することは賛成である。そのようにすべきである。

 またアフガン軍にこれから増設される新国軍の約7万5000人は、和平に応じたタリバンを編入させる可能性が高い。彼らを組織化して、アフガンの治安維持にあたらせるためだ。

 このような提案を日本案としてオバマ次期米大統領にすべきである。日本が言い逃れのためのインド洋の海自・洋上給油はもうやらなくいい。日本の洋上給油は日本の知恵のなさと、都合よく責任逃れする汚さのかたまりになっている。アフガンに真の平和と安定を築く役割を果たしたいなら、オマル師とカルザイ大統領を仲介するサウジ国王を支持すべきである。

宇宙戦略本部

早期警戒衛星

 導入を検討へ

「安全保障衛星」分野を提唱

(朝日 11月5日 朝刊)

[概要]政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生首相)の専門部会は4日、弾道ミサイルの発射を宇宙からいち早く探知する「早期警戒衛星」の導入など、宇宙の防衛利用を検討していくことを決めた。来年5月ごろに策定予定の宇宙基本計画に向けて、今後の議論を本格化させる。

 同日に開かれた第2回専門調査会で、ミサイル防衛構想に欠かせない早期警戒衛星や、自衛隊の海外活動に必要な衛星通信手段の確保など、専守防衛の範囲での防衛利用について「検討を促進していく」とした事務局の提案を了承した。

 専門調査会の事務局では、日本の衛星需要見通しで、商業衛星や気象衛星などとは別に、「安全保障衛星」という新区分を提唱。98年の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて導入が決まった情報収集衛星を例に挙げた。

[コメント]これは日本の安全保障でいう専守防衛のためではない。これは悪徳政治家や防衛企業が”防衛利権”を稼ぎ出すための”ダミー事業”に他ならない。この程度の浅知恵で軍事常識を知らない国民をだませると思う根性が汚すぎる。どうせ元防衛相の00が考えた理屈だろうが、ミサイル防衛(MD)と同様に、ドブにお金(国防費)を捨てさせ、悪徳政治家がドブさらいするようなものである。

 その理由を説明する。早期警戒衛星というのは高度約3万5000キロの宇宙に静止させる軍事衛星のことである。写真撮影や地上レーダーで地表を探る偵察衛星は、高度約500キロ前後で地球を周回している軍事衛星(日本の場合)だ。まず運用方法と高度が500キロ(周回)と3万5000キロ(静止)の違いがあることを知って欲しい。

 なぜ早期警戒衛星が必要かといえば、敵の核攻撃(弾道ミサイルの発射熱)を一秒でも早く探知して、味方の核ミサイルによる反撃を可能にし、そのことで核抑止力を高めることを目的にしている。すなわち早期警戒衛星は”核戦略”の一翼として必要な兵器システムなのである。

 核武装しない日本が早期警戒衛星を宇宙に配備することは、日本が将来は核武装をすることを世界に宣言する行為に等しい。

 また将来に、日本が仮に核武装して、IRBM(中距離弾道核ミサイル・射程5500キロ以下)を配備して、早期警戒衛星で中国やロシアの核ミサイル発射を探知しても、核ミサイルは十数分で日本に到達するため、発射の兆候を捉えても、火山など噴火や工場の爆発事故などとの確認をしているうちに着弾する。そのため昔から、日本は中国や旧ソ連に近いために、早期警戒衛星の効果はないと言われてきた代物である。

 早期警戒衛星は攻撃的な兵器ではなく、あくまで敵の攻撃を探知するだけの防衛的な兵器という理屈は”詭弁”でしかない。日本のMD導入で防衛利権の甘みを知った政治家が、国産の早期警戒衛星を開発するという口実で、こんな防衛利権を考えたにすぎない。

 早期警戒衛星を運用しているアメリカ人技術者が知れば、日本の政治家はなんてバカなのかと呆れることは間違いない。日本が早期警戒衛星を配備することは軍事的に意味がないからである。

 日本のメディアは若い優秀な記者を選び、長い時間と研究費(学資)をつぎ込んで、将来の有能な防衛担当記者を養成して欲しい。この程度のインチキをすぐに見破る能力を持った軍事専門性のある記者である。

 私は宇宙開発の輝かしい未来を期待しているので、このような汚いやり方で日本の宇宙開発が汚されることが我慢できない。日本の安全保障にとっても有害である。

防衛省 会見に難色

田母神前空幕長

 異例の定年退職

「退官日」発令繰り上げ

(産経 11月4日 朝刊)

[概要]防衛省は3日、先の大戦に関し政府見解と異なる論文を投稿して更迭された田母神前空幕長(60)を定年退職とする人事を発表した。空幕長の定年は62才だが、田母神氏は10月31日付で空幕幕僚監部付(階級は空将)になったため、「空将」の定年の60才が適応されると判断した。

 当初は双方が4日の退官で合意していたが、田母神氏が4日に防衛省内の防衛記者会で記者会見して、論文の真意を弁明する意向を示したため、急きょ退官日を休日の3日に繰り上げた。これに対して、田母神氏が3日に防衛省記者会で会見を行う動きを見せたが、防衛省は退官発令を理由に同省への登庁を禁じた。

 田母神氏は防衛記者会幹事社の時事通信本社で同夜、記者会見を行い、「国家国民のためにという信念に従って書いたもので、その結果、解任になったことは断腸の思いだ」と述べた。さらに、「(制服のトップが)このくらいのことを言えないようでは、自由民主主義国家といえない。政府見解に一言も反論できないなら、北朝鮮と同じだ」などと主張した。

[コメント]北朝鮮と同じなら定年退職ではなく、間違いなく銃殺刑である。そのあたりの発想に空自の”支離滅裂”さを感じる。昔から空自の特徴として、”勇猛果敢”と”支離滅裂”がいわれてきた。田母神氏は昨夜の記者会見で、民主党が求めている国会の参考人招致に応じる意向を示している。ぜひ田母神氏の主張(歴史観)を国会という場で聞いてみたい。

 田母神氏には正論を語ることで罰を受ける者の悲壮感がまったくない。「かくすれば、かくなることと知りつつも、やむにやまれぬ大和魂」(頼 山陽)という大和心とは無縁である。「自分が正しいと思うことは、すべての者にも正しいことである」というだけの教祖的な発想である。田母神氏に論争や反論への備えがあるとは思えない。階級が幅をきかす自衛隊社会で、独善の論を振りまいてきただけのように思う。

 今朝のNHKニュースでは、田母神氏が一位となった懸賞論文に、50人以上の自衛官が応募していたという。おそらく田母神学校の教え子が師(田母神氏)に薦められて応募したものと考えられる。その自衛官全員の論文を読んでみたい。読むのは批判したり反論するためではない。彼らの論文には単に口先の言葉だけではなく、その決意があるか知りたいのだ。

 決意がないのに言葉遊びで書いたなら、俗論以下の駄文である。日本は思想・言論が自由な国である。自衛官も例外ではない。しかし自衛官は破壊力の大きい武器を持つことが許され、国家の危機には敵を殲滅(殺戮と破壊)することが許された組織である。そのような者は、外部に公表する論文は単に口先だけの言葉遊びであってはいけない。中国や韓国に対する配慮以前の問題である。その覚悟を知りたい。

前空幕長論文 更迭

辞職、懲戒、定年?

防衛省 処遇に悩む

(読売 11月3日 朝刊)

[概要]田母神前空幕長(60)(10月31日付で航空幕僚監部付)が政府の見解と異なる論文を発表して更迭された問題で、今後どのように処遇するか防衛省が揺れている。空幕長の職は解かれたが、「空将」の階級はそのまま。本人は進退を明らかにしていない。このままでは国会審議や外交関係に影響が出ることは必至で、同省は早期収集策を模索している。

 防衛省にとって最もダメージが少ないのは、田母神前空幕長が浜田防衛相に辞意を表明して辞職を選ぶこと。省内では、空自のトップを務めた人物だから自分で辞意を表明して欲しいという声が強い。しかし2日までに田母神氏から進退に関する明確な意思表示はない。

 省内には懲戒免職という案も検討すべきとの意見が出始めている。しかし今回の論文が懲戒免職の対象となる規律違反に該当するかは微妙な問題だ。もし組織の長だった者が懲戒免職になれば現場にも大きな動揺が走るとみられる。

 自衛官の定年は役職や階級によって決まり、空幕長の定年は62才だが、更迭された空将の現在は60才の「定年退職」扱いが可能。だが、そのような前例がなく、同省の幹部は頭を悩ませている。

[コメント]空幕長を更迭後も本人から進退(辞職)に関する表明がないことは、この更迭に不満を表明して、さらに長引けば個人で反抗を試みていることになる。田母神氏も確信犯である以上は、責任を認めて職を辞めるのは心苦しいことである。同省が辞任を迫ることは、正当性を主張する者に、短刀を差しだし、これで腹を切れというものである。

 絶対にあり得ないのは、田母神氏を懲戒免職とすることである。外部に発表した論文が政府見解と異なれば「懲戒免職」という前例になれば、憲法が保証した言論の自由を禁じることになる。先月、中国の潜水艦が火災で浮上した情報を、情報本部に務める空自の1佐が新聞記者に漏らした件で、この1佐が懲戒免職で処罰された。(その後、この1佐は地検で起訴猶予)。この場合でも、懲戒免職が妥当かどうかと問われれば、私は「懲戒免職は重すぎる。停職30日程度で十分ではないか」と答えると思う。懲戒免職という処罰は大きく重いことを忘れないで頂きたい。

 そこで残る第3案の空将は60才定年を適応する案だが、これが最も適当で、これなら自爆覚悟で論文を公表した田母神氏の名誉も守られると思う。明治時代、政治犯を収監する監獄は、入口を高くして、政治犯が頭を下げずに入獄できたと聞いた。これが武士の情けである。前例がなくとも、60才定年で田母神氏を退職させる道を考えるべきだ。

 もし田母神氏が懲戒免職になれば、陸・海の幕僚長は防衛相に抗議の辞表を出して、自衛官の言論の自由を守るための意思表示をして欲しい。田母神論文の主旨に同調するのではなく、言論の自由を守るために戦うのである。それくらいの覚悟がなくては日本の国体は守れない。

「侵略は濡れ衣」

航空幕僚長を更迭

過去の戦争めぐる論文

政府見解を逸脱

(毎日 11月1日 朝刊)

[概要]航空自衛隊の田母神(たもがみ)幕僚長(60)が、日本の過去の戦争をめぐって「我が国が侵略国家というのは濡れ衣だ」と主張する論文を執筆し、懸賞論文で最優秀賞を授賞し、31日からネット上などに英訳とともに公表されていた。

 このことを受けて、浜田防衛相は31日、「先の大戦の評価など政府見解と明らかに異なる意見を公表しており、航空幕僚長にふさわしくない」として、田母神幕僚長を更迭した。論文は日中戦争について「我が国は蒋介石により戦争に引きずり込まれた被害者」と指摘し、旧満州や朝鮮半島が「日本政府と日本軍の努力によって、圧政から解放され、生活水準も格段に向上した」と植民地支配を正当化。その上で「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している。我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣だ」と結論づけている。

 自衛隊のあり方については、集団的自衛権、武器使用の制限を挙げ、「自衛隊は雁字搦(がんじがら)めで身動きできない。マインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない」と記している。こうした政府見解を否定する論文を執筆したことで、野党やアジア諸国の反発が予測される。

 田母神・空幕長は31日夜、自宅前で報道陣の質問に答え、「(更迭には)淡々と政府の指示に従う」と答え、論文の内容を変更するつもりがないことを話した。

[コメント]最初にこの報道を聞いて、やはり日本は言論の自由な国だと思った。空自で空幕長という制服トップが、今までいろいろな機会や場所で同様の発言をしても空幕長になり、空幕長という立場で英文の論文が出たところで「政府の見解と違う」と更迭される。それほど言論の自由が確保されている証明だ。

 しかし、今まで航空総隊司令官や統幕学校校長、空幕長だった田母神氏から同じ話しを聞いていた人は、今回の騒ぎをどのように理解するだろうか。空幕長になったら、論文などを部外に発表する際、政府見解と異ならないように注意するしかない・・・という気持ちだけではないだろうか。また、今回のように確信犯的な行動であれば、まったく事前に対処できないことになる。

 空幕長を間もなく退任する前に、大きな花火を打ち上げて、自己の主張を知らしめる確信犯的な行為であると思う。空幕長でなければだれも注目しない「負け惜しみ」の主張である。

 私は栗栖元統幕長が「超法規的行動」で金丸信防衛庁長官(当時)から更迭された時のことを知っているが、多くの制服自衛官が栗栖氏を支持し尊敬していたことを覚えている。私自身も退職された栗栖氏の自宅に伺い、何度かのテレビ番組のインタビューをさせて頂いた。栗栖氏なら防衛問題の本質が聞けると思ったからである。

 しかし今回の田母神氏の発言には制服自衛官は尊敬を感じないと思う。「ああ、とうとうやっちゃた。やっぱり」ぐらいの反応しかないのでは。同じ制服トップの更迭でも、栗栖氏と田母神氏との大きな違いに驚いている。社会に与える重さもインパクトも桁違いに小さくなった。

 戦火のイラクで空輸支援にあたる空自隊員が、名古屋地裁で「憲法違反の判決」が出て悩んでいる時に、幕僚長が「そんなの関係ねえ」と発言しても助けたことになはならない。田母神氏には現場隊員に対する配慮が欠けていると思った。

 まさに今回は田母神氏の「最後屁」だった。今回のことで田母神氏への世論の支持が高まり、これから田母神氏の発言が影響力を増すことは考えられない。まさに自爆か自沈である。

 



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。