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この情報の最も新しい更新日は11月30日(金)です。

防衛省幹部

三菱重工に

 28人天下り

初の調査公表

 受け入れと契約比例

(毎日 11月30日 朝刊)

[概要]防衛省は29日、再就職の際に防衛相の承認を必要とする課長以上の事務官と、1佐以上の自衛官を受け入れた防衛関連企業の契約実態(天下り)に関する初の調査結果を公表した。守屋容疑者の汚職事件で、防衛省と企業の癒着が国会などで指摘されたのを受けて調査した。

 過去5年間の受け入れ上位20社中、最多の28名を三菱重工の契約額が再就職者1名あたり507億円に上るなど、天下り数に契約額がほぼ比例している。公表された企業は大手メーカー中心で、再就職者5人以上を受け入れていた。上位10社にうち8社で1人100億円を上回った。

 山田洋行の天下り数は21番目の4人で、契約額は175億円、一人あたりは44億円だった。防衛省は職員の再就職をあっせんする際、有識者でつくる防衛人事審議会に諮問している。

[コメント]もう30年も昔の話しである。若い有志が集まって真面目な軍事の勉強会をほぼ月一回で行っていた。その頃のある時、次の勉強会テーマを「現代の戦車戦」と決めた。その講師として元陸将で戦車の権威といわれたK氏にお願いすることになった。私がK氏のご自宅に電話をして、勉強会の趣旨を話し講師の依頼をした。気さくなK氏からすぐに講師を了承して頂いた。そして事前に勉強会に準備する参考資料や写真(スライド)の打ち合わせをお願いした。そのK氏が打ち合わせ場所に指定されたのが、K氏が顧問として勤務されていた三菱重工の顧問室だった。

 数日後の午後、大手町にある三菱重工本社の顧問室を訪ねた。顧問室はドアを開けると、左右に部屋が分かれ、右の部屋には若い事務職員(男女)がいてオフィース風であった。女性職員の方から左の顧問室に案内された。

 顧問室はやや暗い大部屋でコの字型に机が並んでいた。机は20以上はあったような気がする。そのコの字の中に応接セットが置かれていた。私はK氏と向き合って応接セットに座った。その時の周囲の異様な光景は忘れられない。顧問室に出勤していた人は半数ぐらいではなかったか。各自が新聞を読んだり、お茶を飲みながら雑談したり、手紙(原稿?)を書いている人がいた。驚いたのはその顔ぶれである。元陸幕長、元空幕長、元海幕長、元統幕長などが何人もいたからである。短期とはいえ自衛官の経験がある私が、その方々の前で座って話すことなど考えられない元高官ばかりであった。

 逆に顧問の方はヒマそうであった。「オイ、今週のパーティーに出席するのか」「出てみるか。00も来るそうだ」という話し声が横から聞こえてきた。K氏との打ち合わせは30分ほどで終わった。しかしなぜK氏は私との打ち合わせに顧問室を使ったのか。技術畑(研究・開発)のK元陸将として顧問室は息苦しい場所だと感じた。それなら大手町のコーヒー店で打ち合わせば済むことだった。

 そこで気がついたのは、K氏は軍事ジャナーリストを志す若い私に、三菱重工の顧問室を見せたいと思ったのではないかと考えた。いくら現役時代は自衛隊で偉かった(高官)としても、防衛企業の顧問室に入れば”なれの果て”になることを見せたかったのでは。K氏にはそんなやんちゃな反骨精神があったと覚えている。

  

 最近、電話とインターネットで取材をする記者が多くなったように感じている。私があの三菱重工の顧問室で感じた強烈な印象は、軍事ジャーナリストになる課程で重要な意味があった。そのような経験を若い記者はもっと挑戦すべきと勧める。「イラクのサマワから帰ってきて自殺した自衛官の名前と住所、それから電話番号がわかりませんか」と、会ったこともない記者から電話がかかってくる。私「あの・・・・・」(絶句)である。他にも面識のない記者が電話で、「守屋の奥さんの何かスキャンダルを教えてください」、私「ハァ・・・・」(絶句)。

 若い記者諸君、現場に行こうよ。人に会おうよ。直接、関係者に話しを聞こうよ。すべて記事に出来なくとも将来の肥やしになることは間違いない。

収賄容疑、認める

守屋前防衛次官

  夫婦を逮捕

政官業 利権・癒着

  国防利権解明着手

(各紙 11月29日 朝刊)

[概要]東京地検特捜部は航空・防衛分野の専門商社「山田洋行」元専務・宮崎被告から、ゴルフ接待で総額389万円の接待を受けたとして、守屋武昌・前防衛事務次官を逮捕した。また妻の幸子容疑者を共犯として逮捕した。守屋容疑者にはゴルフ接待以外にも、山田洋行の裏金から現金約400万円が流れたことも報じられている。

 守屋容疑者は接待についての収賄を認めており、航空自衛隊のCX(次期輸送機)エンジン選定や陸自の生物剤検知装置の受注で、山田洋行に有利な取り扱いをしたという。

 東京地検特捜部は与野党の国防族議員や、山田洋行など防衛関連企業の幹部が理事に名前を連ねる社団法人「日米・文化交流協会」も捜索し、山田洋行からの資金の流れを調べる。また政治家と装備品調達の関係や、防衛関連事業をめぐる政治家の口利きなども捜査するという。

[コメント]もう防衛行政の膿を出せば済むという次元の話しではない。度々の汚職を生む温床となっている調達方法を根本的に改善するしかない。それも簡単なことである。防衛省の調達情報を原則公開して、水増しや談合などの防止することである。

 海自の補給艦がインド洋で給油した燃料を、どこから買って、いくらだったかと公開すれば済むのだ。これが軍事秘密とは絶対になり得ない。公開にしなければ一般競争原理が生まれないし、防衛省が汚職の温床から抜け出すことはできない。もう政治家に甘い汁を吸わせて、防衛政策を仕切りようなやり方は根絶させなければならない。

 こんなヤツが防衛行政のトップ(事務方)にいたとは恥ずかしい限りである。今回は98年の調達実施本部(当時)の水増し・背任事件や、06年の防衛施設庁(当時)の談合事件とははるかに悪質である。東京地検特捜部が厳しく対応することを期待している。

東京地検

防衛利権、

政界も視野

前次官きょうにも逮捕

(朝日 11月28日 朝刊)

[概要]守屋前防衛事務次官への多額ゴルフ接待を収賄の疑いで捜査している東京地検特捜部は、防衛省につながりが深い国会議員らによる便宜供与の有無にいて情報収集を始めていることがわかった。特捜部は今後、防衛利権の全体像を解明するため、政界ルートも視野に入れて捜査を展開する見通しとなった。特捜部は捜査の検事を30人近くに増強しており、28日にも守屋氏を収賄容疑で逮捕する方針。

 関係者によると、一部の防衛省幹部に対する事情聴取では、守屋前次官や宮崎元専務とは別に、防衛と深いつながりの国会議員が装備品納入などをめぐってどのような発言をしたかについて聞き、議員らの便宜供与の有無を確信する調べが行われている。

[コメント]先ほど、お昼のニュースで守屋前次官が検察庁に入ったという報道が流れた。今日中にも逮捕されることいになるという。これでいよいよ2幕目が始まったというところだが、小生は昨日から風邪らしい兆候が出ている。まだ高熱はないが、寒気のような悪寒がする。食欲もなく、お昼におかゆを食べた。

 昨夜、寝る前に飲んだ風邪薬が効いたらしく、今日は深刻な事態にはなっていまいが、思考能力が極端に低下している。

 大事をとって本日は休養します。

航空機。原子炉、・・・・

中仏が巨額契約

計3兆2000億円

(読売 11月27日 朝刊)

[概要]中国を訪問しているフランスのサルコジ大統領は26日、北京の人民大会堂で胡錦涛主席と会談し、両首脳は、原子力、航空、宇宙、環境保護など、国家戦略と連動し、巨額の資金が動く分野の協力を強めることで合意した。会談を受け、中仏双方は総額約200億ユーロ(約3兆2000億円)に上る大型契約を結んだ。

 新華社電などによると、胡錦涛主席は協力拡大を望む分野を具体的に、鉄道、通信、農業なども列挙した。これを受けサルコジ大統領は「中国の開放的態度」を評価したという。

 AP通信は26日、中国に売却することが契約が成立したのは、エアバスA320,A330型旅客機計160機(約100億ユーロ 1兆6000億円)と報じた。また新華社は中仏が原子炉売買契約(80億ユーロ 約1兆2800億円)を結んだと報じた。

 中仏首脳は国際社会における連携強化も確認した。サルコジ大統領は対中非難が高まるスーダン・ダルフール問題に関して、北朝鮮の核問題と並列する形で、中国の「前向きで重要な役割」を評価した。またサルコジ大統領は台湾問題で、台湾独立や、台湾の国連加盟の是非を問う住民投票に反対する姿勢を明確にした。

[コメント]サルコジ大統領が狙う対中大型ビジネスは、原子力、鉄道、宇宙などが本命ではない。むしろ本命のための地ならしなのである。フランスが狙う本命の対中ビジネスは天安門事件(1989年)によって禁じられた武器輸出の解除である。

 中国はフランスとロシアを競わせることで、最新の兵器を導入する戦略をとっている。ロシアが中国の求める武器輸出を渋るなら、フランスにその分を肩代わりさせる姿勢が示される。

 今回のサルコジ大統領の訪中にフランスの財界人48人が随行しているという。(産経新聞 11月27日付け)。今回、契約された原子炉売却には第3世代原子炉2基が含まれている。エアバスA330旅客機の購入は中国空軍が求める空中給油機エアバスA330ー200MRTTに結びつく可能性が高い。サルコジ大統領がその気になれば、フランスが中国に軽空母を建造して売却する可能性だってある。むろん軽空母機動艦隊の運用が可能な通信システムも一緒に売却されるだろう。それは何十兆円という中仏兵器ビジネスに発展する可能性がある。 

 これはオーストラリアに親中のラッド政権が誕生することよりもはるかに衝撃的である。この衝撃に備える覚悟が日本にあるか。今までのように日本が対米一辺倒では、中国が組むフランスやロシアの新軍事ブロックは崩せない。むしろアメリカは中国の軍事力が東アジアに台頭し、その軍事力を大きく広げることが、この地域の安定に貢献すると考えることも考えられる。

 しかし日本は中国が東アジアから東南アジアに軍事力を広げれば、日本の安全は危うくなることは間違いない。中国との関係も対等ではなくなるのである。

 今の国会の騒動や、防衛省と防衛族政治家、防衛商社などの暗躍を見ると、とても中国の台頭に備えるというのは無理な様である。

豪ラッド新政権

親中外交に

   危うさ

対日安保協力にも影響

(産経 11月26日 朝刊)

[概要]オーストラリアの次期首相、ケビン・ラッド労働党党首(50)は、29日以降の週内に新政権を発足させることを確認した。新政権では外交官出身のラッド次期首相が外交面で独自色を打ち出すと見られている。対米重視外交は維持される見通しだが、特に不透明なのは経験の浅い”親中派”首相が舵を取る対東アジア外交である。

 豪州各紙によれば、ラッド党首は労働党右派に属しているが、労働組合出身者ら党内左派は警戒心を抱いている。これが新政権の党内支持基盤の不安定さだと強調している。そのため党内の求心力を高めるため、得意の外交分野に力を入れるという見方がある。

 イラク戦争に反対の立場をとるラッド党首は選挙公約として、イラク駐留の豪州戦闘部隊約550人を段階的撤退を掲げた。その一方、テロとの戦いの必要性は米国と同じで、アフガンの豪州部隊の増強を主張している。

 こうした中、関係各国が注視するのはラッド党首の対中外交である。ラッド党首は大学で中国語と中国史を学んだ。子どもの頃に読んだ中国古代文明の歴史ロマンに没頭したという。長男は上海・復旦大学に留学し、長女は華人と結婚している。このためラッド新政権は中国への傾斜を強めるという見方があるが、オーストラリア国立大学のドライスデール名誉教授(太平洋アジア研究)は「ラッド氏は中国との安全保障対話を進展させ、東アジアの安全保障への働きかけを強化していく」とみる。

 ラッド党首の対日政策は定かではないが、ハワード首相と安倍晋三前首相が進めた日豪安保協力には、中国を牽制する狙いが込められていた。ラッド政権と福田康夫政権との日豪新体制下で、こうした安保協力が変質するのは不可避だろう。

[コメント]オーストラリアでラッド新政権が誕生することより、現職のハワード首相が選挙で落選したことのほうに驚いた。まさに世界は激動している。パキスタンでは国外追放されていたシャリフ元首相が25日に帰国した。韓国では25日に大統領選挙(12月19日)の候補者登録が始まり、最大野党のハンナン党の李明博氏が選挙戦で独走すると報じられている。日本でも今国会の再延長で衆院解散・総選挙の可能性が語られ始めた。来年には米大統領選も行われ、イラク戦争に批判的な米民主党が政権を獲得することが確実視されている。ますます世界は激動する。

 さてラッド新政権の親中政策が日本や東アジア地域にとって吉か凶か。私はラッド氏に特別の危機感を抱いていない。むしろハワード政権の対米追随姿勢が少しは改善されると思っている。あれほどブッシュ政権にのめり込んでいれば、ブッシュ大統領と共に自沈する危険があった。オーストラリアがブッシュ離れをすることで、米豪関係が軍事偏重から改善されることが期待できる。

 別にオーストラリアが中国と軍事同盟を結ぶわけでもないし、そもそも安倍政権の日豪軍事協力で中国を牽制することのほうが危なかった。ライス米国務長官も日米軍事協力(訂正 正しくは日豪軍事協力)に危うさを指摘していた。それでブッシュ政権の機嫌が取れると考えた安倍・ハワードのアメリカ追従策が幼稚すぎたのだ。

 しかしテロ対策は別である。日本はオーストラリアと組んで、西太平洋や東インド洋でのテロ対策を強化すべきと思う。中国やアメリカを巻き込んで、テロ対策を強化するためには、中国通のラッド党首は使える人材と思う。

 日本の世論を見ても、親中と言われるラッド政権警戒論は出ていない。ちょっと驚いた程度の感想である。田中角栄元首相がアメリカに断りなく日中国交回復したことを思えば、ラッド政権の誕生でことさら大騒ぎする話しではなさそうだ。

※赤字の部分ですが、明らかに誤りです。正しくは日豪軍事協力強化です。ライス国務長官は日米豪の軍事体制強化が中国に誤ったメッセージを送る可能性があると指摘しました。読者の方のご指摘で気がつきました。訂正すると共に、誤字をお詫び致します。

発信箱 コラム

戦場の現実とは

藤原章生氏

 (夕刊編集部)

(毎日 11月25日 朝刊)

[概要]ミャンマーで銃撃されたジャーナリストの長井健司さんについて、民放のニュース番組で撃たれる瞬間の映像が流された時、コメンテーターはこう語った。「明らかに殺すために撃っています」「軍の上からの指示ですね」。映像だけで、なぜそう言えるのか。その根拠として、ミャンマー軍政の冷酷さを上げていたが、それは間接的な話しだ。どうして兵士の心理までわかるのか。

 わずかでも戦闘状態を経験したことのある人間なら、あんな言い方はできないはずだ。戦場では味方に撃たれて死ぬことはままあり、説明できない死も多い。南アフリカで死んだ著名なカメラマンは、彼をエスコートしていた警官に撃たれた。警官が緊張してパニックを起こし、銃を無差別乱射したためだ。

 戦場や紛争地では、あらゆることが起こる。絵に描いたような説明は99パーセント本当のように思えても、それは推論であって、断言しないのが識者のつとめである。

 ベトナム戦争を知る作家の開高健は、戦争の現実を伝え切れば、戦争がなくなるかもしれないと語っていた。だが、どうゆうわけか人間にはそれができず、それを伝えようとした長井さんの死が、単純な図式で語られる。なんという皮肉か。

[コメント]私もテレビ局のインタビューで同じことを質問されたことを鮮明に覚えている。長井さんが撃たれた瞬間の映像を見て、この兵士が意図的に撃ったか、偶発的に撃ったと思うかという質問であった。

 「この映像からはわからない、しかしこの兵士が至近距離で長井さんを撃ったことは間違いない」とビデオ画面の兵士を指さして答えた記憶がある。それよりも私が驚いたのは長井さんを撃った兵士がサンダル履きだったことである。緑色の戦闘服にヘルメットを被り、銃はG−3らしきものを構えた兵士が、サンダル履きだったのである。テレビ局員(報道部員)の質問にも、意図的に撃ったかどうかよりも、兵士のサンダル履きに強い関心を持っていた。あの映像からは明らかに兵士の意図的な心理を推測できないからである。

 カンボジアのジャングルでポル・ポト派の兵士を取材した時は、ほとんどの者がサンダル履きだった。しかしポル・ポト派の兵士は正規軍ではない。一年の半分を雨期が占めるカンボジアでは、濡れた革(半布製)の半長靴よりもサンダルのほうが雨期のジャングルの移動に適していたからだろう。

 しかし正規軍となると半長靴も履けないような格好では威厳が保てない。長井さんが撃たれた時、すぐそばで治安警察軍が警棒をかざして群衆を蹴散らしていたが、かれらはヤンゴンの治安を担当する精鋭部隊と思われた。さっぱりとした服装に、半長靴を履いていた。私が推測したのは、サンダル履きの兵士はヤンゴンから遠く離れた半ゲリラ状態(環境)の部隊ということである。テレビのインタビューではそのように推測できると答えた。

 確かにあの映像だけで「兵士が上官の命令で意図的に長井さんを撃った」と断定することはできない。しかしテレビ局の関係者(報道部員)としては、よりインパクトのある「命令で撃った」という言葉を期待する者もいると思う。わざわざ背景を黒くし、ライテング(照明)で表情を厳しくさせ、カメラを斜め下のローアングルから撮り、映像を強調して「命令で射殺した」と語れば、インパクトのある映像が出来るからである。

 しかしそれは藤原記者の言うように、絵に描いた説明で99パーセント本当のように思えても推論にすぎない。推論は断定してはいけないのである。むしろ推論を疑うことがジャーナリストの重要な要素と考えている。今朝もサンデープロジェクト(テレ朝)で、石破防衛相が「防衛装備品は部品数が多く、ひとつひとつ点検していては職員数も時間も足りない」と話していた。そんなことを言うから悪徳政治家や悪徳官僚が跋扈(ばっこ)するのである。そんな推論は本質論から話題をそらせる”詭弁”でしかない。 

国会再延長公算

新テロ法案

波乱含み

民主、山田洋行疑惑追及

(読売 11月21日 朝刊)

[概要]国会の当初の会期は11月10日までで、これを政府・与党は35日間延期した。しかし民主党はイラク復興支援特措法廃止法案の優先審議を求め、新テロ特措法の「時間切れ」を狙う戦略をとった。加えて、守屋前防衛事務次官が15日の証人喚問で、山田洋行の元専務との宴席に額賀財務相と久間前防衛相が同席したと証言し、民主党を勢いづかせた。

 このため政府・与党は今国会の再延長に踏み切る公算が大きくなった。民主党が審議を引き延ばすことが想定され、与党は参院が60日以内に議決しなければ否決と見なす憲法の規定を適応し、衆院の2/3の多数で再可決する構えだ。

 11月13日に参院に送付された新テロ特措法案は、60日を超える1月12日以降、衆院の再可決が可能になることを考えて、1月中下旬までの再延長である。ただ公明党を中心に再延長してまで法案成立にこだわると、民主党が参院で福田首相の問責決議案を可決して、衆議院解散含みの展開になると懸念する声がある。

 福田首相は22日の小沢代表との会談で、新テロ特措法案の歩み寄りを促す方針だ。しかし小沢代表は20日の記者会見で、新テロ特措法案は、「憲法解釈を含めた基本的な考えの違いで、いくら首相に頼まれても(反対方針を)曲げることはできない」と明言した。

[コメント]与党が今国会の再延長を決めれば、一気に1月中・下旬の衆院解散と総選挙が浮上する。それを見るのは、明日の福田首相の党首会談ですべてが決まると思う。私は限りなく1月中旬に衆院解散が起きると推測している。与野党共にそれが限界線である。

 当然ながら4月からの新予算案採決が遅れるが、それを与党の責任か、野党の責任か、どう国民が見極めるか総選挙の審判になる。

 まずは明日の党首会談に注目が集まる。私は1月の衆議院の解散・総選挙はすでに大河の流れになり始めていると考えている。

野党党首と会談へ

窮状打開へ

 福田首相動く

法案審議 糸口探る

 避けたい 再延長→解散

攻勢民主「受けて立つ」

 廃案戦略は変わらず

(朝日 11月20日 朝刊)

[概要]日米首脳会談を終えて帰国した福田首相は、首脳会談ではブッシュ大統領に「早期成立に全力をつくす」と伝えたが、参院では補給支援特措法の審議入りにメドさえたっていない。このままでは解散・総選挙含みになる会期の再延長に追いこまれる。

 このため福田首相はシンガポールから帰国後の22日に、各党首と個別に会談をすることになった。各党首に日米首脳会談の内容を説明し、今国会で補給支援特別措置法案の成立に協力を求めるためである。

 福田首相は民主党の小沢代表との2度にわたる党首会談が不調に終わり、小沢氏がもう党首会談に応じることがないと見られていただけに、与党国対関係者からは驚きの声が上がっている。

 このタイミングで首相や自民党幹部が党首会談を持ちかけたのは、首相自ら動かなくては、補給支援特措法の審議の見通しが立たないという手詰まり感がある。

 臨時国会はルール上、もう一度延長が可能だ。与党内ではもう一度1月下旬まで大幅再延長し、衆院の2/3での再議決で特措法案の成立を目指すべきとの声がある。しかし年末の予算編成の時期と重なるだけに、野党が首相の問責決議案を提出し、解散・総選挙は避けたいというのが政府・与党内の空気である。

 これに対して民主党は、防衛省スキャンダルの追求が、守屋前事務次官が額賀財務相と久間元防衛相の宴席同席などに発展し、追い風になった。18日投票の大阪市長選では、同党推薦の新顔が自公推薦の現職を破った。これからも民主党が防衛省関連の疑惑追及を優先させる姿勢を変えることは考えられない。民主党が与党案の補給支援特措法を廃案にするという考えは変化していない。

[コメント]昨日までの締め切りの約束で、米紙から新テロ特措法の行方というテーマでコラムを頼まれている。それでいろいろ国会の動きを注視してきたが、やはり”『解散・総選挙』が迫る”というテーマの原稿を書くことにした。自民党や公明党はこの時期の解散・総選挙は不利と思うだろうが、無理やり新テロ特法を衆院の2/3で再可決しても、国民には与党が防衛省の不祥事で無理やりフタをしたというイメージが強くなる。それで与党は総選挙で大きなダメージを受けることになるだろう。そう簡単に与党は衆院2/3の再可決は使えない。

 参議院で60日以内に採決しなければ、1月11日に期限がきて否決されたとみなされ、憲法59条4項に従って再議決されることになる。与党としては参院否決で衆院の2/3で再可決を狙うより、参議院で議決されないまま60日が経過して再議決をする可能性が高くなると思う。いずれにせよ、衆議院の解散・総選挙は避けられないと思う。また総選挙で今年度の予算編制が遅れることも、避けられない。そのようなダメージが選挙でどのように左右するかが不確定である。

 インド洋やイラクの戦場に自衛隊を安易に送り出したことで、日本はこれほどの政治的な緊張が生まれてくるのだ。いい加減な軍事政策を行うと、大変なダメージを生むことをお忘れなく。

東京地検特捜部

「防衛族」の団体

 捜索

日米平和・文化

   交流会

宮崎容疑者 昨年まで理事

政界との関係解明へ

(読売 11月18日 朝刊)

[概要]1968年に設立され、安全保障政策の調査研究が目的の日米平和・文化交流会が、航空・防衛専門商社の山田洋行を舞台にした業務上横領事件に絡み、東京地検特捜部の捜索を受けていたことが関係者の話でわかった。

 同協会の理事には、与野党の防衛族議員、防衛関係関連企業の幹部が名を連ね、山田洋行の宮崎元専務も昨年12月まで理事を務めていた。特捜部は宮崎氏から協会に資金が流れや可能性や、政界との関係についても解明を目指すとみられる。

 同協会は03年から毎年、日米の防衛・国防関係者を集めて「日本安全保障戦略会議」を主催するなど、国防・軍事問題を中心に活動している。今年も今月7〜9日に都内で同会議を開き、米軍需企業などの防衛装備品の展示会が催された。

 額賀財務相は今年8月の入閣まで理事を務め、久間元防衛相は今も知事に就いている。会長は瓦力元防衛庁長官で、他にも元防衛次官、防衛施設庁長官の経験者、民主党の前原前代表、コーエン元米国防長官、山田洋行の米津社長らも理事に名前を連ねている。福田首相、安倍首相、石破防衛相らも過去に理事を務めている。

 同協会の秋山直紀専務理事は、防衛族議員らによる「安全保障議員協議会」の事務局長も務め、日米の政財界に幅広い人脈を持ち、日米の政界と防衛関連企業を結ぶ「パイプ役」などと呼ばれている。

 秋山氏は取材に対し、昨年12月、宮崎元専務の依頼で久間氏との会談を都内の料亭でセットしたことを明らかにして、「宮崎さんが『久間さんにあいさつしたい』と言うので会わせた」(守屋氏との同席は否定)と話している。

 特捜部は守屋氏の収賄容疑の立件に向け捜査を進める一方、同協会の資金の流れを調べている。

[コメント]一昨日のラジオ番組(生)で山田洋行が防衛省職員(官僚)や自衛隊員(高官)の贈り物に「生さんま」を贈っていたということが話題になった。「いくら刺身用の生サンマであってもずいぶんセコイ」という話が出た。実はそれこそが宮崎元専務(容疑者)の作戦なのである。最初は”生サンマでセコイもの”を送って反応を見るのである。”生ものだから送り返せば腐る”とか、”サンマぐらいならいいだろう”と判断すると、次ぎにさらに高価なものが贈られてくる。マツタケの詰め合わせ、高級な蟹、高級メロンと、高価なものにエスカレートしていく。だからサンマは相手が贈り物を受け取るかどうかを試すために使われのだ。相手の警戒心を解く、罪悪感をマヒさせる、慣れさす、そのようなために使われるのである。

 いくら高級でもカニ缶セットでは送り返されることになる。しかし贈った中にはサンマであっても送り返す強者(つわもの)がいる。そのような者は贈答リストから名前を除き、贈りものはしない。

 だからサンマと思ってなめてはいけない。金銭の授受も同じである。餞別、香典、お祝いなど、相手が拒めない状態を探り出し、最初はさり気なく”現金”が相手に渡される。相手の警戒心や罪悪感を鈍くしたところで”本格的な接待工作”が始まるのである。

 私の友人(公務員)たちはその様な時に強者になる者が多い。しかし”送り返した”と自慢するのではなく、さり気なく受け取った者たちを識別している。あいつはワイロに弱い、物欲が強すぎる、カネや酒に汚いなど、サンマを通じた人物の逆評価が行われる。

 結婚式の披露宴に出席を依頼され、政治家が20万円を受け取ったが、その20万円は披露宴でご祝儀で包んで返したという説明があった。しかし現金を贈った側は100万円だったと話す。警戒心や罪悪感がない政治家が、20万円貰ってご祝儀で本当に20万円を返すか。

 守屋氏の贈収賄事件の捜査が、収賄政治家にも波及して、防衛調達品が汚いカネ(利権)まみれにされた現実を暴いて欲しい。

守屋氏 再喚問

疑惑

 巧みに否定

謝罪に身内冷ややか

(産経 11月16日 朝刊)

[概要]守屋前防衛事務次官の2度目の証人喚問で、証言中に涙ぐむ守屋氏の姿を見守った防衛省職員や自衛隊員らは、「何をいまさら」などと冷たい反応が目立った。海自幹部は守屋氏が涙声になった場面で、「あれだけの問題を起こしたのだから泣くのでしょうが、これ以上問題を大きくしないでほしい」と怒りを込めた。陸自幹部も「涙ぐんでいたが、何を今さらと言いたい。泣くぐらいならそういうことをやるな」と話した。

 一方、守屋氏が証言で、ゴルフ接待に現職の自衛隊員や防衛官僚を同行させたことが「8,9回あったと思う」と述べたために、防衛省は事実確認に追われた。守屋氏が証言で、「フクヤマとかいった名前」と説明したのは、平成17年に陸自西部方面幕僚長で退職し、現在は山田洋行顧問の福山隆元陸将とみられる。防衛省によると福山氏は平成5年、韓国の駐在武官として滞在中に、日本の民放記者と韓国軍幹部が軍事機密保護法違反容疑で逮捕された事件で、記者と接触したと名前が取りざたされ、任期を終えずに帰国したことがあった。

[コメント]昨日の守屋氏の再喚問で、防衛庁長官(大臣)経験者を接待した政治家として、額賀財務相と久間元防衛相の名前があげられた。そして現職(当時)だった自衛官として福山元陸将の名前が出てきた。本日の朝のNHKニュースによれば、守屋氏と宮崎元専務は連れだって熊本に行き、西方総監部の幕僚長(当時)だった福山氏とゴルフを行っていたという。

 そこで重要なのはなぜ福山氏が山田洋行の”顧問候補”として選ばれたかということである。福山氏は韓国の防衛駐在官時代に、フジテレビの特派員がスパイ事件で取り調べを受けた際、この特派員から機密資料の提供を受けたと報道されたことがある。またオウムの地下鉄サリン事件の時には、首都圏の治安を担当する第32普通科連隊(市ヶ谷駐屯地 当時)の連隊長として、大宮の化学防護隊や第32普連の隊員と連携して、地下鉄車両などを除毒をさせたこともあった。

 それよりも守屋が福山氏に目を付けたのは、中谷元防衛庁長官が小隊長のときに福山氏が中隊長という親しい関係であった点である。中谷氏は防大を卒業して陸自・幹部候補生学校(久留米市)に入校する。そこで新米の3尉(少尉)に任官して部隊(普通科)に配属される。その初めて配属された部隊(中隊)では福山氏が中隊長(1尉・大尉)で、中谷氏が小隊長という関係になった。新米の中谷小隊長としてしては、福山中隊長というのは絶対の信頼を感じる兄貴のような存在で、その上下関係(信頼意識)は一生続くといわれるものである。

 守屋は中谷氏が小泉政権で若くして防衛庁長官になったことで、中谷氏が将来の自民党国防族の中核になることを実感する。そこで守屋は中谷氏が一生頭が上がらない福山氏に接近したのである。そのやり方はかなり強引であった。もともと西方(西部方面総監部)の幕僚長は”将補”という階級のものが任じられる。自衛隊の1佐以上の人事権を持つ内局(防衛省)の守屋事務次官は、福山陸将補を強引(異例)に”陸将”に昇任させた。そして福山氏の定年後は山田洋行に顧問として送り込んだのである。守屋は福山氏を中谷元防衛庁長官の接待担当に育てたいという狙いがあったようだ。

 あえて福山氏の名誉のためにいうが、仮にそのようなことを福山氏側が望んでも叶うようなものではない。あくまで守屋防衛事務次官と山田洋行の宮崎元専務が組んでしか実現させることしかできない”陰謀”なのである。

 昨年、守屋と宮崎元専務は山田洋行から独立して日本ミライズを立ち上げる。そのゴタゴタの期間中の福山氏は、宮崎元専務から1年間のアメリカ研修を命じられる。夫婦で1年間ほど日本を離れてアメリカに行けという研修である。日本ミライズと山田洋行のゴタゴタが収まれば、福山氏は山田洋行から日本ミライズの顧問に移籍させる計画だったと推測される。

 この陸将人事で困ったのは西方総監部である。自衛隊という階級社会で方面参謀長が陸将という異常人事は現場に混乱を生んだ。福山氏の次の参謀長は陸将と交代したが、現在の参謀長は元の陸将補に戻されている。このように守屋は自分の欲望のためには、自衛隊で最高位の将官人事まで勝手に動かしていたのである。

 私が日本ミライズという会社は、守屋が宮崎元専務に作らせた防衛専門商社で、自分自身は防衛省内で常勤顧問(今までにない)の役職と専用の部屋(個室)を与えられ、これからの防衛品調達などで莫大な利益獲得を狙っていたと主張するのは、守屋が福山氏の経歴に目を付ける”悪知恵”を知っているからである。

露軍幹部示唆

中距離ミサイルへ

改良の可能性示唆

新型対空ミサイル

「イスカンデルM」

(毎日 11月15日 朝刊)

[概要]タス通信によると、ロシア軍幹部は14日、ロシアが配備を進めている新型対空ミサイル「イスカンデルM」の射程を、現在の300キロから500キロ以上に伸ばし、中距離ミサイルに改良する可能性を示唆した。

 中距離ミサイル(射程500キロ〜5500キロ)は米露の中距離核戦力破棄条約で全廃されたが、米国が計画する東欧へのミサイル防衛(MD)システム配備に反対するプーチン露大統領は条約脱退の可能性を言及し、ロシア軍からも米国への圧力を強める狙いがあるとみられる。

[コメント]ロシア軍はポーランドに配備予定という米国の欧州MDの地上迎撃ミサイル(GBI 10基)は偽装であって、将来は現在開発中のレーザー兵器を配備し、ロシア国内の大陸間弾道ミサイルの発射基地を標的にしていると疑っている。アメリカに向かって発射されたロシア軍のICBM(大陸間弾道ミサイル)をレーザー兵器を使って上昇段階で迎撃するためである。同時にロシア軍は、米国の東欧MD配備でINF(中距離核戦力)破棄条約を破棄(脱退)ることを考えている。このままアメリカの核戦力の強化が続けば、やがてロシア軍が核戦力で劣勢になると考えているからである。(毎日新聞 「世界の目」 INF条約脱退を狙うロシア 07年3月1日付け参照)

 しかしロシアが中距離核兵器(核弾道ミサイル)を再配備すれば、ロシアと欧州、ロシアと日本や中国や東南アジア、ロシアと中東などの軍事関係は緊張してくる。それはロシアにとって良い軍事環境にはならないと思う。米海軍の海軍艦船が再び核兵器を搭載したり、欧州やグアムなどに核兵器を配備する必要に迫られるからだ。再びロシア軍の移動式発射台の中距離弾道ミサイル「SS21」に狙われる恐怖を体験したくない。

 3年前にワシントンのスミソニアン博物館で、このロシア軍のSS21と米国のパーシング2が並んで展示されていたのを見た時は感動した。まさにINF全廃条約(87年)を象徴する展示品だったからだ。やはりアメリカはINF全廃条約を破棄したくないなら、欧州配備のMD計画を見直す必要があると思う。そのためにはアメリカ国民の心の中にある、キリスト原理主義の「神か悪魔しかいない」という世界観は改めるべきと思う。そのような世界観が、”敵か味方か”、”アメリカのデモクラシーは正しい”という絶対主義を生んでしまうからだ。これがアメリカがベトナムやイラクで失敗した最大の要因である。

 これから国会の参院・外交防衛委員会で、山田洋行と守屋前事務次官の証人尋問が始まる。午前、午後の各2時間はテレビの前から動けない。

パキスタン政情不安

核兵器管理

  米が懸念

非常時に備え移設計画も

(産経 11月14日 朝刊)

[概要]パキスタンの政情不安が続くなか、同国が保有する核兵器の管理に対する懸念が米議会や専門から出ている。パキスタンの核情報はこれまでに北朝鮮やイランに流出したことがある。米政府は現時点でパキスタンの核管理に問題はないが、米紙ワシントン・ポスト紙はテロリストに核兵器が渡るのを防ぐために、米政府内で非常事態対応計画がひそかに策定されていると報じた。

 米軍統合参謀本部のハム作戦部長(陸軍中将)は7日の記者会見で、パキスタンの核兵器管理の問題について「最大の関心事だ。注視している」と語った。パキスタンは98年の核実験以来、50発程度の核兵器を保有しているとみられる。現在、核兵器はパキスタン軍の厳重な管理下に置かれ、分散して保管し、核爆弾やミサイルに搭載されていないという。

 アミテージ元国務副長官は11日のCNNテレビ番組で「短・中期的に状況が悪化しても、核兵器を第一に懸念することはない」と述べた。しかし核問題に詳しい米シンクタンクの科学・国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト所長は、パキスタン軍の統制が緩んだ場合、軍内部から核技術などを売却する動きが出る可能性を指摘している。

 米政府は核兵器がテロリストに流出する事態を最も恐れ、米政府内でテロリストの手に渡るという差し迫った危機に、核兵器を別の場所に移す非常事態対応計画が策定されているという。

[コメント]今日現在、日本で最大の安全保障上の問題は”新テロ特措法案”や”守屋前防衛次官の汚職問題”となっている。しかし世界的視野で見れば政情の不安定化が増すパキスタンの”核兵器管理”こそが最大の軍事危機や脅威なのである。パキスタン軍はともかくもパキスタンの情報機関は、タリバンを育ててアフガンを統一させた凄腕の情報機関なのだ。タリバンを使ってパキスタン軍に偽装させ、謀略で核管理施設を支配下に置くことは不可能ではない。すでに宇宙から米偵察衛星がパキスタンの核保管施設を厳重監視し、パキスタンの沖合(海中)には原子力潜水艦に搭乗した米海軍特殊部隊のシールズ(SEAL)を配置し、アフガンの米軍基地にもデルタフォースが待機していると推測できる。パキスタン軍管理の核弾頭がアルカイダやタリバンに渡るのを防ぐためである。

 そのようなパキスタンの緊急事態を考えれば、いかに日本が国際常識とかけ離れた安全保障環境にいるか気がつく。インド洋での給油実績を公開すれば、関係国に迷惑がかかるとか、軍事秘密情報で申し上げられないとはバカもいい加減にして欲しい。海自がインド洋(ペルシャ湾)で調達(給油)した燃料代を水増し請求させ、防衛省と商社で誤魔化した燃料代がばれないために、給油実績と燃料調達の情報公開を拒み、それで新テロ特措法案で衆院解散など脳天気だと思わないのか。そんな燃料調達情報が軍事秘密で通用するのは、防衛事務次官が自分の退職後に防衛専門商社を”職権を使って”作る様な国だけである。

 野党は堂々と国政調査権で調達燃料の水増し請求疑惑を追及すればいい。マスコミは現地調査で日本が調達した燃料の動きを追うべきである。それから防衛省や海自で心ある者は、不透明な燃料調達のデータを堂々と公表すべきである。かつてベトナム戦争ではペンタゴン(国防省)がベトナムからの報告書を隠蔽し、偽った戦争報告で国民に戦果を誇張させたことがあった。それをペンタゴンの上級職員だったエルズバーク博士が公表した「ペンタゴン・ペーパー事件」があった。米国民はこのペンタゴン・ペーパー報道でベトナム戦争の深刻さと政府の誤魔化し体質を知るきっかけとなった。

 海自が現地で調達した補給用の燃料(量)と、政府が支払った燃料代を計算すれば、1ガロンあたりの単価がすぐに出る。その額が適正なものかどうか検討するだけで済む問題である。なぜそれを防衛省は情報開示を拒むのか。これが軍事秘密とは片腹痛い。

山田洋行へ防衛省天下り

「売り上げ

 10億円で一人」

宮崎元専務の方針

(朝日 11月13日 朝刊)

[概要]山田洋行が「防衛省への売り上げ額10億円に対し1人」の割合で、同省・自衛隊からOBの天下りを受け入れる方針だったことがわかった。これは宮崎元専務(逮捕)の方針で、防衛省側と暗黙の了解が出来ていたという。守屋前次官のゴルフ接待疑惑が発火する前には、将官クラスOBの10人が「顧問」の肩書きを持っていたが、その後、2名が辞職した。社員120名の中堅商社で、大手メーカー並みの顧問10人は突出している。

 山田洋行の天下り受け入れは、装備品や調達制度について専門知識をもつOBを採用しているのが特徴。同社の取引に航空機関連が多いために、歴代の顧問には航空自衛隊の補給本部や技術研究所の出身者が目立つ。同社の顧問は、装備品調達の専門知識を提供するほか、防衛省・自衛隊の装備品担当者に面会する際、宮崎専務や社員に同行して「OB]の威光を示す役割だった。

[コメント]なぜ受注額10億円で顧問一人なのかと考える人がいるだろう。それについて私は懐かしい思い出がある。もう40年も前のことである。私が陸自の少年工科学校(横須賀市)に入校し、2年生の時に秋の富士野営訓練を行った。そのとき野営した富士学校で初めて国産の61式戦車を見た。当時、61式戦車は1両が1億円と言われていた。そのとき教官から「戦車1両で天下りが一人世話になる」と聞いたことである。すなわち1億円分の装備品を納入すれば、企業は防衛庁や自衛隊から顧問を一人を請け負うという意味である。だから宮崎元専務は古い習慣に従って、「戦車1台が顧問一人」と考えたのではないだろうか。現在の90式戦車はやや価格が下がって1台が8億円程度である。しかし95年当時は1両が9億五千万円だった。

 しかし従来の戦車一台が天下り一人のシステムはすでに崩壊している。もう20年ぐらい前になるが、いったん防衛企業に天下りした者が、2年、3年の約束期限を過ぎても辞めなくなったのである。「家に大学生の子どもがいる(学資がかかる)」「嫁入り前の娘がいる(結婚費用が足りない)」などいう理由で、高給が保証された顧問を辞めないのだ。それで困ったのは後輩である。自分の階級なら、00重工や00物産、00電気に天下り出来るはずだった。しかし先輩が居座って顧問の席がないのである。しかたなく中堅企業に送り込まれ、経理部長の肩書きは与えられたが、社員の給与計算などの実務を任された。本来なら大企業に天下って、かつての部下と週末にゴルフをして、週に2,3度ほど会社の顧問室に顔を出せば済むはずだった。それが事務などの実務関係に再就職した。残業、休日出勤など恨み骨髄である。

 そのような結果、何が起こったかというと、退職した高給幹部たちは中国などに防衛秘密を売り歩くようになった。中国と取り引きのある商社に就職し、中国に出張しては防衛秘密を流し出した。日本の商社も積極的に中国と太いパイプを築くために、元自衛官(高官・技術職)の防衛情報漏えいを活用した。

 さらに困ったのは、現職自衛官(将クラス)が自分の天下り先を探して、手持ちの秘密情報を企業に売り歩くことも行っていた。自分を大物に見せ、天下り先に高く売るためである。今年に発覚したイージス艦の機密情報漏えいはこの実態を無視して語れない。

 そのようにして、大手メーカーや大手商社では戦車1台が天下り1人というシステムは崩壊した。しかし新興の山田洋行は大盤振る舞いをして、戦車1台で顧問一人で”使える”顧問を集めたという企業論理な訳である。

 悲しいかな、これが日本のリアルな防衛の現実である。これに防衛族と呼ばれる利権政治家を重なり合わせると、日本でいかに健全な安全保障政策が阻害されているかわかる。

 すでにMD(ミサイル防衛)に関して、新しい利権の奪い合いが始まっている。守屋や宮崎だけの問題だけではない。

宮崎元専務

 

守屋事務次官に

随意契約要請

「競争になると大変」

(毎日 11月11日 朝刊)

[概要]山田洋行の宮崎元専務(逮捕)が防衛省の守屋事務次官に対して、「商社間で競争(入札)になると大変なことになる」と随意契約を要請していたことがわかった。守屋氏については今年6月、次期輸送機(CX)エンジンを入札ではなく、随意契約で調達するように部下に求めていたことが既に判明している。これが要請を受けたものかが捜査上の焦点になっている。

 関係者によると、元専務は10月下旬、守屋氏へ要請した事実を周辺に明かした。「随意契約によって、大手商社と中小商社が住み分けている。競争(入札)すれば大変なことになる。守屋さんにも同じことを言った」と話した。守屋氏は毎日新聞の取材にも「防衛業界は防衛省しか相手がない。ケンカ(競争入札)したら共倒れしてしまう。随意契約が重要」と主張した。

[コメント]本日の午後1時から、衆院でテロ対策特別委員会がある。(テレビ中継) もはや守屋氏が東京地検特捜部に逮捕・立件されることは間違いないとおもう。国会証言での偽証罪ではなく、元専務との癒着でワイロ性(贈収賄)を認定できると思うだが。国会証言でわざわざ11年間で200回以上のゴルフをしたというのは、長期間の便宜供与はワイロ性が低いという「厚生省事務次官事件」の事例を参考にしているとのだろう。しかし昨年から今年にかけて、空自CXエンジン(GE社)の代理店権を山田洋行から日本ミライズに移した課程や、実績がない日本ミライズに随意契約を求めたことで、元専務と守屋前次官の贈収賄が成り立つと素人目にはみえるのだが。

 これで山田洋行をめぐる防衛品調達事件が、政界に巻き込んだ疑獄事件に発展するかだが、沖縄利権、在日米軍再編利権と広がれば必ず疑獄事件に拡大する。

 もともとはテロ特措法の給油疑惑で、守屋前次官を国会に呼んで疑惑を追及するはずだった。それが一気に吹き飛んで山田洋行や日本ミライズに置き換わった。まさか給油疑惑への追及を潰すためとは思いたくないが、先月の19日(朝刊)に、朝日新聞と産経新聞が同じ日に、1面トップで山田洋行の横領を報じたので、なにか政治的な意図があるかと疑ったことを覚えている。

急用のため

更新は午後になります。

(11月9日 金曜日)

 自宅の電話機(子機)が故障しました。近所のサービスセンターに持参します。更新は午後にしたいと思います。ついでにコンパクト・デジカメを見てきます。すいません。

 金曜日の午後に親しい友人と会い、そのままいつも午前11時からやっている居酒屋で「守屋はけしからんモード」に突入しました。それならと土日も全身の力を抜いて、朝からパジャマでゴロゴロ状態の週末でした。それに家族の鋭い視線に絶えながら、ほんの少々の昼間酒(ビール)です。おかげで体力、気力共に存分に回復(充電)しました。

新テロ法案

会期延長

40日程度

政府・与党

 参院での審議時間確保

(読売 11月8日 朝刊)

[概要]民主党の小沢代表が7日の記者会見で、新テロ特措法案に反対する方針を示したことを受け、政府・与党は今国会の延長幅を12月下旬までの40日程度とする方針で調整に入った。これまでは延長幅を1ヶ月程度(12月上旬まで)としていたが、参院の審議時間を十分確保し、今国会成立を図るために会期幅を延長し万全を期す必要があると判断した。

 自民党の伊吹幹事長は7日、民主党が同法案の対案骨子をまとめたことを受け、大島国会対策委員長に「折衷(せっちゅう)案ができないか呼びかけろ」と指示をしたが、民主党は小沢代表の反対姿勢を受けて、衆院テロ防止特別委員会の理事会で修正協議入りを拒否した。

 このため与党としては、協議の糸口を見いだすことは難しくなり、参院の法案否決後に衆院の2/3以上の賛成で再可決する必要性が強まってきた。与党が再可決すれば、民主党が福田首相の問責決議案を参院に提出し、衆院の解散につながりかねないという懸念があるが、「小沢氏の辞任騒動で民主党には問責決議案を出す力はない」という楽観論が与党に広がっている。

 与党としては、民主党を刺激しないように会期を延長し、新テロ特措法案は衆院通過を週明けに先送りし、12日の委員会採決で、13日に衆院通過の日程を検討している。

[コメント]昨日の小沢代表の”続投”記者会見で、これで民主党が劣勢に立ったという楽観論は考え物である。逆に民主党が優勢に立ったという見方が正しい。自軍の背後に川を背負う布陣によって、自軍の退路を断ち、攻め寄せる敵勢に総力で立ち向かうのも戦法である。衆院で再可決されて野党が過半数を占める参院で、民主党が問責決議を出さなければ自殺行為である。ケンカ上手の小沢氏がこの起死回生のチャンスを見逃す訳がない。楽観論など笑止である。

 また与党は民主党内の一派を切り崩し、大臣の椅子をエサに謀反(むほん)を企むことは必至だ。しかしそんなことをすれば、かつて外相の椅子に飛びついて自滅した政治家(柿沢氏)と同じ運命である。今回は民主党の前原氏あたりが狙われやすいが、彼が民主党を裏切って自民党に行く度胸があるか見ものである。民主党の岡田氏は与野党の政権が代われば、最優先で次の首相候補になると思う。小沢代表、菅代表代行、鳩山幹事長は次の首相候補にはなれない。そのことは本人も自覚していると思う。

 いよいよ新テロ特措法案の審議は、衆院の解散総選挙から政権交代までの現実味を帯びてきた。民主党が新テロ特の対案(骨子)を出してきたことで、ここまで読めるのだ。これほど軍事知識(兵法)というのは実践的で”面白い”ものなのである。

 民主党から首相の問責決議が出され、福田首相が衆院を解散しても、決して”勘違い解散”などと呼ばないで欲しい。これが小沢流兵法(戦略・ケンカ)のすごいところである。

与党・給油新法への対案

民主、

 政策論へ本腰

党首会談が契機に

恒久法論議続ける姿勢

(朝日 11月7日 朝刊)

[概要]民主党は6日、小沢代表の辞任表明で混乱する中、補給支援特別措置法の対案をまとめた。これからは本案審議に真正面から応じ、与党と政策論争を繰り広げる態勢を整えた。

 小沢氏が「政権を取れば参加を実現したい」としていたISAF(国際治安支援部隊)には、「予期した効果を上げていない」として、本体や後方支援活動への参加を見送った。これは党内で批判が強いことに加え、関係する法整備が進んでいないことから先送りした格好だ。

 国連との関係については、小沢氏の国連中心主義を対案に生かし、「国連決議に基づく国連活動として行われることになれば、参加を検討」と明記し、与党が今国会に提出した特措法案に賛成する考えがないことを鮮明にした。(これに町村官房長官は記者会見で国連至上主義と批判)

 対案の柱は、復興支援の民生活動に割かれた。現地で武装解除や医療活動を続ける伊勢崎東外大教授や中村医師(ペシャワールの会)などからニーズを探った結果だ。自衛隊の派遣は、人道復興支援やインフラ整備に限定した。

 民主党は小沢氏が重視する恒久法をめぐる党首会談での議論を今後につなげるため、参院では審議引き延ばしによる廃案戦術はとらない見通し。粛々と政府案に反対し、与党が2/3の賛成で再議決するかを見極めたうえで、最終的な判断をするとみられる。

[コメント]やれやれである。やっと民主党から現実的な対案が出てきた。この対案なら国会の論戦で十分に戦えるし、多くの国民(自衛隊員を含む)の支持を得ることも可能と思う。この対案を民主党から出すために、今までの小沢辞任騒動はあったと思う。これからの野党の役割は、与党の反対や批判だけでは済まない。野党は与党案の対案を出して、政策でガチンコ勝負するしかないのである。

 やれ小沢代表が、「党内には能力がないと悪口を言った」とか、周囲に「相談なしに大連立を進めた」などと文句を言うのはスジ違いである。国会は生徒会ではない。政治家があらゆる策略を用いて政権を奪い合う戦場である。手首に小沢ブレンドのブレスレットをすれば、すぐに血液がサラサラになって、次の選挙で大勝できるというものではない。政治(国政)にかかわる者は政策実現への熱い情熱と、そのため選挙にかける猛烈な闘志がなければ、自らの存在を否定される存在なのである。その自覚が民主党議員にあったのか。

 勝手に小沢代表を血液サラサラの小沢ブレスレットと勘違いしていただけの話しではないか。しかし今までのことはもういい。すぐにでもこの対案を各自が血肉化する必要がある。どのような法整備が遅れているのか、なぜ与党案のインド洋給油活動ではダメなのか。それらを自分の選挙区の人々に説明し、質問に答えられる知識はあるのか。それが恒久法につながる議論となっていく。この対案が次の総選挙の本丸となることに気がついて欲しい。 

政論探求(コラム欄)

あえて小沢代表を

   擁護する

客員編集委員

 花岡信昭氏(署名コラム) 

(産経 11月6日 朝刊)

[概要]民主党代表の辞任表明は小沢一郎氏の政治スタイルの集大成であり、「壊し屋」とか「自爆」などといった俗論は当たらない。小沢氏の今回の辞任は誠意を示してくれた福田首相へのけじめをつける意味から責任をとって辞任する。・・・・・・この辞任理由は完璧にスジが通っている。

 小沢氏の記者会見を聞いて、「やはり!」と得心できたのは、民主党は力量不足で政権担当能力に疑念が持たれ、次期衆院選も極めて厳しい情勢にある、という現状認識である。民主党は7月の参院選で圧勝し、これで一気に次の衆院選でも勝って政権奪取を、という声が満ちているが、小沢氏はそんな容易なものではないと冷や水を浴びせたのだ。党内ではぎくっとした向きも多かったのではないか。

 現に衆院選で自民党は50議席を落としても過半数を維持できるが、民主党は倍増させても過半数に届かない。7月の参院選では、年金、政治とカネ、閣僚の失言など、「敵失」による勝利だったが、その厳粛な事実を党内では直視していない。

 「衆参ねじれ」で国民に約束した政策が実現できない、ならば実現できる体制を作ろう、政策を実現するのが政治だ・・・・。これもスジが通っている。福田首相との党首会談で、国会を大混乱させて福田政権を追いこむ戦略かと思っていたが、この大転換には脱帽せざるを得ない。

 大連立でまず政権担当能力を示し、その上で二大政党政治を目指して決戦に臨む。この目線の違いを民主党の幹部陣は理解できなかった。これが小沢氏の政治手法であり、我々はそれを何度も見せられてきた。

 参議選後、日本政治は新しいステージ、「衆参ねじれ」という未知の領域に移行した。ねじれ解消にはいったん大連立をという発想。それも自衛隊の海外派遣をめぐる政策転換を軸にする。なるほど、ダイナミックを秘めている。

[コメント]あの小沢氏の辞任の記者会を見ていて、彼は国民に向けて話していないと感じた。小沢氏は記者会見で国民にではなく、彼を党代表に担いだ民主党党員に向けて話していた。このコラムを書いた花岡氏がいう「冷や水を浴びせた」という言葉はその通りである。しかしあの記者会見を見ていて、同時に、これが民主党員に正しく伝わるかと疑問に思った。その意味が正しく伝われば、小沢氏は民主党党首に復帰するし、伝わらなければ小沢氏は政界を去る覚悟と思った。

 「小沢氏は我々のことを政権担当能力がないと悪口を言った」という党内の批判など的違いである。小沢氏は民主党の最も危ない点を指摘したのだ。

 例えば、民主党内で安全保障に関する何人かの発言を注意深く見てきたが、小沢氏に対抗できる軍事論を持つ者は一人もいなかった。国政レベルの政治家であれば、少し軍事がわかるとか、軍事オタク程度の知識では通用しない。その意味からすると、小沢氏の「自衛隊の海外派遣論」に対等に議論することができないのだ。(「独りよがり」の勝手な俗論では通用しない)。

 私は今回の小沢氏の辞任劇は、彼が自らの政治生命をかけた最後の芝居だったと思う。しかし芝居であっても、今も、すべての者がその意味を理解できるとは限らない。このコラムを書いた保守論客の花岡氏は理解した。私自身は逆な立場のリベラルと思うが小沢氏のことが理解できた。私はこれでやっと大嫌いだった小沢氏が好きになれるような気がする。

 小沢氏が、「アフガンの戦争はアメリカが勝手に始めた戦争だ」「アメリカが勝手に始めた戦争に自衛隊を派遣して支援することは憲法違反だ」と言った時、驚愕し感動した。01年のアフガン戦争以後、日本や自衛隊が戦争に続くねじれた道を歩き始めた時、小沢氏は堂々とそのことを指摘した。これで日本は小沢氏に救われた。

 「昔、八紘一宇で、今、対テロ戦争」という私の言葉を忘れないで頂きたい。国際社会での対テロ戦争参加という美しい言葉に騙されてはいけない。もちろん騙してもいけない。彼らは時の政権の都合で自衛隊員を戦場に送り出そうとしたのだ。それは小泉首相、飯島政策秘書官、守屋事務次官(防衛局長)の時から始まった。小泉政権が誕生した時、私は小泉政権に迷わず1票を投票した。私にも責任はある。

小沢代表が辞意表明

「大連立」

混乱招き引責

記者会見し

「不信任に等しい」

慰留は困難の見方

(各紙 11月5日 朝刊)

[概要]民主党の小沢一郎代表は4日午後、党本部で記者会見し、福田首相との党首会談に伴う混乱の責任を取り、代表を辞任することを表明した。小沢氏は自民党との連立協議を役員会で拒否されたことを理由に挙げ、「党員から不信任されたに等しい」と辞任理由を説明した。

 首相との党首会談では2点の合意があったと語った。@自衛隊の海外派遣は国連安保理か総会の決議で認められた国連の活動への参加に限る。A新テロ対策特措法の成立は連立が実現すればこだわらない。の2点であると強調した。

 また「民主党は様々な面で力量が不足し、国民からも政権担当能力があるのか疑問視されてる。次期衆議院選挙での勝利は大変厳しい」と述べ、次期衆議院選挙での政権交代は今は困難と明言した。小沢氏は辞任後も次期衆議院選挙に向けて活動を継続する意向を示した。

[コメント]民主党には与党に反対や批判をする力があっても、政権を担える能力があるのか疑問という点では私と一致している。政治が反対や批判だけなら、ケンカ上手な政治家に任せればすむ。しかし政治が政策勝負なら法案の立案能力や交渉力などの政治力がものをいう。それについては野党の政治家でも言い訳はできない。最近の民主党は、そのような政策を示せないことへの言い訳が多いと思うことがある。

 例えば与党が国会に提出した新テロ特措法の”対案”である。野党は外交や安全保障の情報(資料)が与党や政府に管理され、野党は詳細な情報が圧倒的に不足しているために対案が出せないと言い訳する。それではダメなのである。民主党は2大政党論を主張する政党ならば、いかなる理由でも与党の新テロ特に代わる対案を国民に示すことから逃げられない。情報の有無や情報量の優劣で逃げてはだめなのである。

 前にもこのHPに書いたが、小沢氏の不幸はそこにある。小沢氏の周辺には人数が多くてもプランを政策に立案できるブレーンがいないのである。

 今回の新テロ特の審議では、衆参国会のねじれ現象で与党案でも野党案でも否決されることは明白である。与党案は参院で否決され、野党案は衆院で否決されるからだ。だから先に動いた方が負けることは分かっている。相手よりも先に否決されるからである。しかし与党は政権政党として従来のテロ特に継続する新テロ特法案を出す責務を負っている。野党は先に法案を出す責務はないが、法案を出さないことを正当化することはできない。そのあたりのことが万年野党の政治家にはわかっていない。民主党内では新テロ特の対案を出すなという幹部の指示があったという。これではケンカに勝っても、国会の政策論争では永遠に勝てない。

 ならばどうするのか。新しい政治感覚の自覚が必要である。もう日本の政治は小沢氏のような豪腕で政治を仕切る時代は終わった。派閥支配(あるいは利権目当ての族政治)の時代も終わっている。数人の豪腕政治家がタッグを組みリーダーシップをとる時代も終わろうとしている。

 これからは党利党略のためのシンクタンクではなく、政策を社会科学的な面からサポートできるシステムが必要になる。安全保障や年金や税金の問題を、官僚というシンクタンクに委ねることなく、政党の依頼を受けてシンクタンクが政策立案できる政治システムが必要と思う。

 交代可能な二大政党政治とは単に人数(政治家)の比較ではなく、党内ならば共有できる政策立案能力とそれを現実化する能力が発揮できるかにかかっている。そんなことを考えていると、小沢氏が辞めたくなる理由がわかる気がする。今までの古い時代が大きく変わろうとしている。

連立打診、民主拒否

首相の賭け 失敗

小沢氏も孤立

”大政翼賛”に警戒感

解散含み対決強まる

(毎日 11月3日 朝刊)

[概要]福田首相(自民党)と小沢代表(民主党)の首脳会談で、首相から連立政権樹立を打診された小沢氏だが、党役員会で反対論が噴出し(連立の)協議に応じないと回答した。「大連立」によって混迷政局を打開したい自民、民主両党首の賭は失敗した。これによって両党首の足元が揺らぐ結果になり、政局もより一層、先が読めない状況となった。

 新テロ特措法法案で頑強に反対し、政府・与党を揺さぶっていたはずの小沢氏が、連立に積極的な姿勢を見せたことで、首相もこの時期を選んで連立を打診した背景がある。今回の大連合の仕掛け人は、首相を支える森喜朗元首相、中川秀直元官房長官が中心。中曽根元首相や読売グループの渡辺恒雄会長も強く後押しした。しかし自民党内には大連立構想に強い抵抗感があった。町村官房長官は自民党各派の領袖を個別に回ったが、賛成したのは二階俊博総務会長一人だけ。山崎拓前副総裁、津島元厚相、谷垣政調会長ら、ほとんどが批判的な姿勢を示した。

 民主党の小沢氏は首相から連立協議を打診された際、その場で断らずに党役員会に持ち帰り、大連立に前向きな発言をした。しかし無原則な路線転換と党役員に否定されたことで、求心力が低下したのは必至。他の野党や世論から「「民意の無視」という批判も受けることになった。

 これによって衆議院の解散が早まったという見方がでている。これまでは小沢氏の「話し合い」により来年度予算通過後の来春春解散が有力視されていたが、新テロ特措法が衆院で再議決された場合に、野党が参院で首相の問責決議案を提出するなど「不測の事態が起きやすくなった」(民主党幹部)。

 今回の混乱劇を生んだのは底流には、自民、民主ともに「ねじれ国会」に対応しきれない現実がある。政治の混迷は続きそうだ。

[コメント]先日の福田、小沢両党首の会談の後から、自衛隊の海外派遣(国際貢献)に恒久法を作るという話しが流れ出始めた。これで与党は新テロ特措法の今国会で成立を諦めたのかと思っていた。そこにきて大連立のニュースである。ひとまず「大連立」は否定されたが、まだまだ連立は動きだしばかりで、これで終わった訳ではないという考えもあるようだ。

 私は自衛隊の海外派遣(国際貢献)に恒久法を作るという考えに賛成である。テロ特措法(アフガン)、イラク復興支援特措法は、01年9月の同時多発テロのショックと、小泉政権の都合(権力欲)で、自衛隊の海外派遣の原理原則がメチャクチャにされてしまった。新テロ特措法もそのメチャクチャな延長線で議論が行われている。メチャクチャの延長線にある新テロ特措法をとりあえず成立させ、次ぎに原理原則で筋の通った恒久法をやろうの検討ではだめなのである。

 ここは国連PKO協力法のように、自衛隊の海外派遣の原理原則を再定義するする必要がある。その時の政権の都合(小泉首相ー飯島秘書官ー守屋防衛事務次官の権力欲)だけで、臨時の特措法で自衛隊を戦場に送り出してはいけない。私は自衛隊が国際活動することがすべて悪とは思わない。むしろ復興支援や平和維持活動は積極的に行うべきと考えている。その点では自衛隊のPKO派遣は強く支持したきたと思っている。

 しかしインド洋の海自の派遣や、イラク派遣は強く反対してきた。日本の原理原則(大義)がないからである。だから派遣・自衛隊員に必要な法整備もされず、装備も不完全で、訓練や情報も十分でない部隊を送り出すことになった。

 これは特措法でその場しのぎに誤魔化し、海外派遣の恒久法を作らないことが、片手を縛った自衛隊員を戦場に送り出すことになる。

 ともあれ、今回の大連立は無謀すぎることはわかる。しかし恒久法案作成は政治家の権力闘争の道具ではない。憲法の本質に直結する大問題なのである。

 私は自衛隊の海外派遣の原理原則を定める恒久法に関しては、絶対に妥協しないで積極的に発言し、行動するつもりである。日本国憲法、国連憲章、集団的自衛権など、恒久法に魂を吹き込む要因を無視してはいけない。

防衛省幹部を

GPSで監視案

石破氏「嫌なら辞めろ」

(読売 11月2日 朝刊)

[概要]増田好平防衛事務次官は1日の記者会見で、防衛省幹部の休日・夜間の行動を把握するために、GPS付きの携帯電話を所持させる案を検討していることを明らかにした。守屋前事務次官が同省に届け出ずに、頻繁にゴルフ接待を受けていたことを踏まえたもの。

 省内では「プライバシー無視。やりすぎだ」など反発する声が出ている。だが、石破防衛相は1日の衆院テロ防止特別委員会で、「防衛省は危機管理官庁であり、行動が把握されるのが嫌なら、防衛省にいなくて結構だ」と強調した。

[コメント]この対象となるのは防衛省の局長以上と、陸海空各幕僚長らという。(毎日新聞 11月2日 朝刊)。このGPS付き携帯電話は防犯用に親が子どもに持たせるケースが多い。(朝日新聞 11月2日 朝刊)とも書かれている。しかし防衛省の幹部や各幕僚長にとってこれほどの屈辱はないと思う。いくら守屋前次官のゴルフ接待が度を超していたとはいえ、それで防衛省幹部全員が”おこちゃま”扱いを強制されるとは情けない。もはやそこまで幹部を信頼していないということか。つい”性悪説”という言葉が浮かんできた。今まで守屋氏の度の過ぎた行動を見過ごしてきて、それを理由に綱紀粛正をいうのはあまりにも子供じみている。馬鹿馬鹿しい。そんなことを検討することこそ、防衛省が本当に危機管理官庁である資格があるのか疑ってしまう。

 週末の行動予定を届けるか、あるいは緊急呼び出し携帯電話を所持させるかで足りると思う。先月、関東全区の災害派遣を管轄する部隊の幹部と会う機会があった。彼はいつでも緊急の呼び出しに応じられる様に、専用の携帯電話を持参している他に、自分がいる場所の電話番号を部隊指揮所に伝えていると話していた。そんなことは自衛隊のトップなら誰でもやることなのである。

 GPS付き携帯で行動を監視するより、時々の緊急予備出し(演習)で問題はない。それにゴルフを行うことは問題ではない。問題なのは出入りの業者から過剰な接待を受けて行った癒着ゴルフである。いくら防衛省幹部でも週末ぐらいは、普段の緊張やストレスを発散するために、親しい友人たちと自分のお金でゴルフを楽しむことはいいことである。守屋問題の核心点を見失わないように。

 ※ 今日の「メールにお返事」のコーナーにこの件に関したメールが届いています。 

 



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。