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    この情報の最も新しい更新日は11月30日(水)です。

中国、シーレーン確保狙う

中印がインド洋演習

(産経 11月30日 朝刊)

[概要]29日付の中国軍機関紙「解放軍報」によれば、中国海軍のミサイル駆逐艦「深セン」を旗艦とする遠洋艦隊が、インド南部のコチン港に到着した。30日まで滞在し、インド海軍と合同救難演習「中印友誼2005」を実施する。インド洋で中印海軍が合同演習を行うのは初めて。(2003年11月に上海沖で初の中印合同の救難演習を実施している)。

 中国艦隊はインドに先立ち、パキスタンを訪問し、パキスタン海軍とアラビア海北部で合同演習を実施した。中国にとっては原油輸入の50パーセントを占める中東や、25パーセントを占めるアフリカのシーレーンの安定確保のために、インドとパキスタンとの協力関係は重要な意味を持つ。

 1962年の中印軍事衝突は、2003年6月にむムジパイ前インド首相の訪中で完全に修復し、国境線の画定交渉も着実に進んでいる。今年1月には初の中印戦略対話も行われた。この背景には中ロの緊密化がある。今年の夏には中ロが主導する上海協力機構の首脳会議にインド、パキスタン、イランがオブザーバーとして参加した。

 こうした動きに警戒心を強める米国は、インドに民生用核エネルギー協力を開始し、インドを核兵器保有国として「公認」するなど接近し、中国を牽制している。

[コメント]中国海軍の艦船がいつ頃からインドに行くようになったか調べてみると、01年5月27日に中国海軍のミサイル駆逐艦(海軍112号)と総合補給艦(海軍575号)がムンバイ(ボンベイ)港に友好訪問している。今回の救難合同演習は03年11月に上海沖で行った中印救難合同演習の相互演習として企画されたようだ。

 中国海軍は西太平洋(南沙諸島を含む)やマラッカ海峡では、米海軍や日本の海上自衛隊に太刀打ちできない。そこで米軍の補給線が伸び、日本の中東石油のシーレーンがあるインド洋で、影響力の拡大を意図しているようだ。そのために中国はインド海軍と関係を緊密にしたいのだろう。

 しかしこのことがインド洋で米中戦争がはじまる要因ではない。あくまで覇権を競っているだけのことである。現実的な実力で言えば、中印海軍の戦力は米海軍の足下にも及ばない。10年、20年たってもその軍事力の差はかわらないことは言うまでもない。

 しかしいつもは健康な大人でも、風邪を引いて、高熱に苦しみ、意識が朦朧(もうろう)としていれば、小学生の子供にも勝てない。そのような場合になると、中印の軍事力はアメリカには脅威になる。

 今の米軍は確かに強い。しかし米軍はイラク占領統治で失敗し、これから高熱に苦しむ可能性が無視できなくなった。中国、ロシア、インドはその次の時代を考えて行動していると考えるべきである。

 私はベトナム敗戦によってガタガタになった米軍を知っている世代として、今のようにアメリカに絶対の信頼を抱くことに不安がある。やはり日本にも健全なアジア外交を育てることは必要だと思う。 小泉首相は靖国問題などで、アジア外交を「屈服か」「無視か」の2極論にしてしまった。もともとは無能な外務官僚の国家戦略無きアジア外交に原因があるが、小泉首相の2極論では老獪な中国に勝てない。

 

 本日は更新休止です。

 (11月29日)

[コメント]時々、はっきりした理由がないのに、会社や学校を休みたくなることがありませんか。今日はそんな気分なんです。カミさんは会社に行きました。娘は学校です。おばあちゃんはディーサービスに行きました。家では私一人です。

 今朝の新聞は読みました。特に掲載する記事がないとわかると、メールにお返事だけは更新しました。

 昨日のWhat New (下段の記事です)のコメントを読むと、文章が荒れているので自己嫌悪気味です。文章的にちょっと直しました。気分が落ち込んだからといって、文章が荒れることは許されない業界なのです。

 これから冷蔵庫のあまった食材で焼きそばを作ります。それを昼食にして食べます。たぶん「うつ」ではないと思います。友人に「うつ」になったものがいますが、彼の話では「うつ」の苦しみはこんなものでは無いそうです。その友人は1年間会社を休職し、今は元気に回復しています。

 家族が帰ってくる夕方までには元気になります。ちょっと今日はズル休みです。

国民保護 初の実動訓練

「放射能漏れも」

500人避難決定

「想定外」どう対応

避難バス待つ人いる?

観光客考慮せず 

自治体計画策定に遅れ

(読売 11月28日 朝刊)

[概要]国民保護法に基づき美浜原発(福井県)がテロリストに攻撃されたという想定で、27日、政府や自治体、それに関係機関による住民避難や救援作業を円滑に行う実動訓練が行われた。

 実動訓練の想定は「午前7時頃、テロリストが迫撃砲数発を発射して美浜原発を襲い、原子炉が停止(手動)、さらに相当量の放射能物質が放出される可能性がある」というものだった。美浜町の防災行政無線が市民に避難を呼びかけ、県警はテロリストが潜伏していると防弾チョッキやヘルメットの重装備で警備にあたった。

 原発付近の住民50世帯は、警察官に守られて公会堂に集まり、避難用のバス2台の乗り、自衛隊の軽装甲機動車4台に警護され避難所に向かった。また原発から4キロ離れた白木漁港では、住民が海上保安庁の巡視艇で避難した。避難した美浜町保健福祉センターでは、医療職員が白い防護服とマスクを着け、放射線検出器で被爆の有無を確認した。

 しかし今回の想定には、夏場ににぎわう海水浴客や、道路の渋滞混雑は想定されていなかった。福井県警幹部も、「敵が攻めて来るのに、集合場所まで歩いてきて、バスを待つ住人がいるだろうか」と首をかしげた。

 また訓練に参加した自治体、警察、自衛隊が使う地図も違い、用語や機材の違いを懸念する声もあった。国民保護法では警察庁や防衛庁をはじめ、ほぼすべての省庁28機関を「指定行政機関」とし、個別に「国民保護計画」を策定するように規定している。しかし2005年度中に計画を策定したのは福井、鳥取両県だけで、全国的に有事に関する危機感は乏しい。

[コメント]真剣にこの訓練に参加した人には申し訳ないが、このような訓練の効果は疑問である。それよりも「なぜテロリストが原発を攻撃するのか」という点が十分に説明されていない。私がその質問をされたら、「原発は過疎地にあるために、住民の避難訓練がやりやすいから」と答えるしかない。原発過疎地が、政府、自治体、県警、自衛隊、海保にとって、ちょうど訓練しやすい規模を想定できるからである。それではテロリストが原発を襲撃する可能性について問われれば、これも「軍事常識を知らないバカバカしい想定」と答えるしかないのだ。訓練を企画した主催者は、「どうして、何にために、どのようにして、テロリストが原発を襲うのか」という質問に答えなければいけない。

 どうせ敵役に北朝鮮の武装工作員あたりを想定して、大都市への送電停止や、付近への放射能汚染ともっともらしく説明するだろう。今回も迫撃砲数発の攻撃で、原子炉を停止させ、付近への放射能汚染を想定している。もし原子炉が迫撃砲数発で深刻な影響が出てくるように建設されているなら、それは姉歯設計事務の数値の偽装どころでは済まない大事件である。最も心配されている大地震ではなく、原発を人為的に爆破・破壊するためには、北朝鮮の工作員が肩で担いで運び込める量の爆薬では無理である。

 仮に北朝鮮の工作員が原発施設の内部に協力者を獲得し、爆薬を数台のトラックで原発内に搬入でき、原子炉の外壁を爆破することに成功したとしても、何のためか。

 テロというのは愉快犯の仕事ではない。あくまで政治的な目的を持った軍事行動のひとつなのである。ある組織がテロを行えば、自らが実行した犯行声明を出す必要がある。それも実行犯しか知らない事実をあげて証明し、間違いなく自分たちのテロと証明しなければいけない。それから政治的な要求を行うのである。

 そのような条件がテロには必要なのである。しかし今、北朝鮮が日本で正体を明かして、テロを行うメリットがあるだろうか。新幹線爆破など北朝鮮の工作員にとっては朝飯前の仕事であると思う。しかし北朝鮮のテロによって大惨事が起これば、日本人が北朝鮮に対する怒りを考えて欲しい。あえて具体的なことは言わないが、北朝鮮は日本から耐え難い報復を被ることになる。そのデメリットを考えれば、北朝鮮が日本の原発を襲って破壊するメリットはない。これが軍事でいう現実的な抑止力なのである。

 ニセの脅威はよく権力者によって作られる。歴史上の教訓がある。それは軍事でよく語られる「ミサイル・ギャップ論」である。1957年にソ連は初の人工衛星「スクートニク1号」に成功した。そのとき米国では、明日にでもソ連の核ミサイルがアメリカ本土に降ってくると「ミサイル危機」が叫ばれた。国防省の発表に議会や国民など、アメリカ全体がパニックになったことがある。これが米国防省が唱えた「ミサイル・ギャップ論」で、これで当時の国防省は国防予算の記録的な獲得増に成功した。しかし数十年後、米国の情報機関は当時のソ連に戦略核ミサイルを開発出来る能力が無いのを知っていたことがわかった。ミサイル・ギャップ論で国防予算を増やすために、情報機関が得た真実は議会や国民に伏されたのである。

 あくまで脅威(仮想敵国)は相手の意志と能力で決まる。日本では仮想敵国で意志の部分が曖昧である。意志のことが理解できないと、抑止力の構成が曖昧になる。国家が虚偽の脅威を作り出し、省庁の権限強化の法案や、予算獲得に利用させることにも繋がる。そのようなニセで成り立った国家を作っては、真の脅威が見えてこず、国力を分散させて弱体化させる。原発テロの脅威が本物か偽物かをこの機会に考えて頂きたい。

イラク駐留 米軍戦略

ベトナム戦争に学ぶ

「テロ一掃、治安維持」

(産経 11月25日 朝刊)

[概要]イラクの米軍は米議会で撤退議論が高まる中、「クリア・アンド・ホールド(一掃し、維持する)戦略」を継続している。これは治安維持とイラク人部隊の強化に力点を置き、米兵の削減を目指すものだ。ブッシュ大統領やライス国務長官も同様の趣旨の発言をしている。11月7日付の米紙、ウォールストリート・ジャーナルによれば、この戦略はベトナム戦争時にエイブラムス駐留米軍総司令官(67〜72年)が用いたものと同じである。その戦略を説明した「よき戦争」(ルイス・ソーリー著)は、米政府や軍高官の間で読まれている。

 同書によればエイブラムス総司令官の戦略は、それまでの「サーチ(捜索)・アンド・デストロイ(破壊)」戦略を転換し、現地軍の育成と強化を行いながら、隣国からの敵補給路を断ち、首都の安全確保に努めるというものであった。今のイラクの駐留米軍はイラク治安部隊を育成しながら、隣国シリア国境沿いで掃討作戦を続けている。

 しかしベトナム戦では強い意志を持った北ベトナム軍に南ベトナム軍は対抗できなかった。イラクに北ベトナム軍のような存在はないが、新設されたイラク治安部隊に国を守る決意があるか不明で、アメリカの戦略が有効か疑問の声もある。またこの戦略に必要な充分な米軍兵力がイラクにあるかを懸念する者もいる。

 ともあれイラクの米軍削減は、イラク治安部隊の育成に左右されるところが大きい。

[コメント]イラクから米軍の撤退を想定すれば、その教訓はベトナム戦争になるというのは昨日指摘した通りである。それにしても「サーチ・アンド・デストロイ」とは懐かしい言葉である。ベトコンが潜む可能性の高い村に米兵をヘリで運び込む。そして米兵が集落をパトロールしながらサーチ(捜索)を行う。もし地下トンネルや武器などを発見すればデストロイ(破壊)するし、ベトコンが襲撃してくれば後方に布陣する砲兵隊や上空の対地攻撃機の援護を受けて交戦する戦略であった。しかし実際はベトコンの支配地区に小規模な歩兵部隊を投入し、このエサに食らいついてきたベトコンを砲撃や空爆で攻撃するという作戦だった。それだけに米兵の犠牲が飛躍的に多くなり、米国内のベトナム反戦運動を高めてしまった戦略である。

 それに代わったのが、「クリア(掃討)・アンド・ホールド(維持)」である。カンボジアのオームのくちばし地区などに潜むベトコン基地や補給基地を、米軍の特殊部隊などを投入して発見し、それを空爆やヘリボーン(ヘリ作戦)で攻撃するというものである。米兵の犠牲を削減できる戦略として期待された。

 サーチ・アンド・デストロイがベトナム戦争中期なら、クリア・アンド・ホールドはベトナム戦争後期の戦略である。ベトナム戦争で前期というのは、ケネディー大統領時代に代表されるベトナムへの軍事顧問派遣や軍事物資援助を中心とした時代のことである。そのような分類から、私は今のイラクはベトナム戦争でいえば、後期の始まりの時代と表現したのである。すなわちクリア・アンド・ホールド戦略に全面的に移行する体制を取り始めたと分析している。

 さてここで新設イラク軍の士気であるが、イラクには日本のような武士道的な精神や階層はない。逆にあるのは大きな富をもたらす石油である。石油をめぐってイラク人同士が富の分配で争うのか、あるいは中東の大国として誇り高い民族性に目覚めるかである。

 そのためにはイラク人自身が国の統治に立ち上がることが第1の出発点である。アメリカが占領統治に都合よくインスタントで作ったイラク政府と憲法ではない。これからイラク人の誇りが高まれば、アメリカの占領支配を嫌う国民性が育つ。イラク人がアメリカの力に依存すれば、ワイロや汚職で個人の富を増したい者が支配力を強める社会となる。

 日本が明治維新を向かえたとき、それまで日本が築いてきた社会が、日本を欲望の国になることを防いだ。今の政治家や官僚を見ていると、欲望(利権やワイロ)ばかりが目につく。

 日本は震度5の地震で倒壊するようなマンションやホテルを、都市に何十も作るような社会になってしました。また政府系金融機関というけれど、官僚や役人の天下り先を確保しただけではないのか。日本の姿が歪(いびつ)になっている。

米紙報道 来年初め

イラク駐留

米軍3個旅団削減へ

国民議会選後に最終決定

伊軍は来年末までに完全撤退

首相が表明

(読売 11月24日 朝刊)

 

[概要]米ワシントン・ポスト紙(電子版)は23日、国防省がイラクに派遣している18個戦闘旅団のうち、3個旅団を06年初めに削減することを検討していると報じた。12月の国民議会選などを経てイラク情勢が安定すれば、06年末までにさらに削減し、現在の15万人を10万人以下に縮小する可能性もあるという。イラクから3個旅団を撤退させた場合、緊急時に対応する1個旅団をクウェートに配置する予定。

 イタリアのベルルスコーニ首相は22日に記者会見を行い、イラクに派遣しているイタリア軍部隊約3000人を06年末までに完全撤退させる方針を明らかにした。

[コメント]このように来年に入ると、イラクから米軍を含めた外国軍部隊の撤退が一気に加速する。これによってサマワの陸自が撤退後も、空自だけの派遣が延長され、米軍の物資や兵員を空輸する案は消えたと信じる。

 かつてのベトナム戦争を前期、中期、後期、終期と分けるように、今回のイラク戦争を分類すれば、今は後期の初めにあたると考えている。イラク戦争後期では米軍の配置は都市部を避け、大都市の郊外などに集約されることになる。また米兵の犠牲が多い仕掛け爆弾(IED)や自爆テロを避けるため、市内での武装パトロールや主要な建物の警備などはイラク治安部隊に委譲される。後期での米軍の役目は、敵勢力の制圧作戦が主なものになる。例えばイラク西部のシリア国境付近で武装勢力(アルカイダ系)の浸透阻止作戦である。これはアフガンで行ったタリバンやアルカイダ掃討作戦に似ている。

 またスンニ派地区での組織的な武力抵抗や、シーア派内で反米武装強硬派への軍事的な威圧活動を行う。そのような威圧作戦は空・地戦闘部隊が一体化し、短期間に敵勢力の指揮機能の破壊や、武器・弾薬の破壊・回収が目的になる。そのために必要な戦力は最大でも空・地戦闘部隊を合わせて5千人程度で、それらがそれぞれイラクの3〜4カ所に配置する必要がある。(イラク国内に3カ所とクエィートに1カ所の場合もある) また補給などの後方支援のために、米兵の2〜3万人がイラク駐留で必要になる。その総数はすべて合わせて米兵4万人前後で、多くても5万人以下だと推測している。すなわち米軍のイラク作戦後期では、イラクに駐留する米軍は4万人前後という数字が浮かんでくる。

 今後のイラク情勢の変化を見るとき、以上のことを頭の隅に置いていて欲しい。このような推測はベトナム戦争などの戦史を研究して行う。だれでも軍事を勉強すれば、ここまでは読めるのである。しかし米軍の読み通りに進ませないが反米勢力の動きである。果たして反米勢力はどのように出るか。

ウズベクから米軍撤退完了

(朝日 11月22日 夕刊)

[概要]中央アジアのウズベキスタンにあるハナバード基地に駐留していた米軍は、21日、撤退を完了したことがわかった。これは在ウズベク米大使館がインターファックス通信に語った。ハナバード基地にはアフガン作戦への軍事作戦で、中央アジアで最大の約千人の米兵が駐留していた。この米軍撤退で、米軍にかわり中国やロシアの影響力が拡大(回復)してきたことを象徴している。

[コメント]アメリカがイラク戦争の泥沼に苦しみ、ブッシュ大統領の影響力が低下すると、すぐに中国やロシアが巻き返しに出てくる。アフガン戦争では馬に乗った米軍特殊部隊員が、反タリバンの地元勢力(北部同盟)の警護を受け、精密誘導爆撃などで反米勢力を短期間に駆逐した。この時、精密誘導爆弾(JDAM)を搭載したり、あるいはガンシップと呼ばれるAC−130対地攻撃機で、特殊部隊員の上空で援護していたのがハナバード基地から飛び立った米空軍機だった。まさに無敵の戦闘集団を連想させる勢いだった。

 その勢いはイラクで失速した。今やイラクの米軍はブッシュ大統領の「米国はイラクから撤退しない。米軍はイラクを民主化させる」という激励にもかかわらず、出口(撤退)を求めて治安作戦のイラク人委譲に必死である。

 すでにイラク戦争は戦争後期に突入した。米軍は戦場からの撤退と終焉を求めて、激しく闘う戦況に変わりつつある。米軍は後期戦闘での被害を最小限に抑えるために、イラク国内3〜4カ所の軍事拠点に集結するはずである。イラク駐留米軍は来年の中間選挙までに被害の軽減が至上命題になったからだ。

中国政府方針

中国語教師2万人派遣

東南アジアを中心に

(朝日 11月23日 朝刊)

[概要]中国政府は世界各地で「中国語学習熱」が高まっていることを受け、来年から2010年までの5年間に、2万数千人規模の中国人教師を派遣し、中国の経済発展に有利な環境作りに力を入れる。派遣される中国語教師に資格取得のための講習を行い、派遣の往復交通費と月400ドルの生活費の負担、それに必要な教材の提供を行うという。派遣先はフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどで、日本は主な対象国になっていない。東南アジアでは中国人教師派遣を要請している国が急増しているが、インドネシアでは中国語教育の規制を緩和する動きも出ている。

[コメント]なぜこれが軍事なのかといえば、中国の政治・経済の拡張は軍事手段ではなく、このようなソフトな手段の援助を通じて行われいるからだ。ほんの10年前まで、中国海軍の旧式な旅大級駆逐艦が南沙諸島に現れただけで、明日にも中国海軍が南沙海域を軍事支配するような記事が日本のメディアにあふれたことがある。(昨年の中国原潜が日本の領海侵犯したときも同じ反応)。

 中国は海軍力が弱いので、東南アジアへの進出はメコン川流域を開発して、内陸部から行われるといういうのが正解であった。最近では中国のメコン流域開発で、東南アジアでは新たな巨大物流が生まれている。

 さらに中国は2万人の中国語教師を東南アジアに投入する。すでに東南アジアでは華僑社会が築かれているのに、そこに2万人の中国人指導者が送り込まれるのだ。むろん、教材には中国社会が期待する内容が描かれることはいうまでもない。

 2万人が1ヶ月400ドルで合計800万ドルである。これは円に換算すると1ヶ月で約10億円でしかない。1年間が120億円でF−15戦闘機1機の価格である。

 グアムを軍事拠点にする米軍のために、約3000億円の経費を日本政府が負担することが検討される。この3000億円を東南アジアなどで日本の影響力を高めるために使えないか。中国は東南アジアや東アジアで、中国語を共通言語にするくらいの意気込みで取り組んでいるように思える。この事例からわかるように、小泉首相のアジア政策は破綻しているだけでなく、中国に影響力拡充のチャンスを与えている。日本は中国のライバルというより、アメリカの陰にこそこそと逃げ込んでいる。日本の繁栄が見えるようなアジア政策の展望を示せ。

「ポスト胡錦涛?」

日本政界、李氏詣で

中国側は慎重対応

(朝日 11月21日 朝刊)

[概要]中国政界の次世代リーダーの一人で、「ポスト胡錦涛」の有力候補と見られる李克強・遼寧省共産党書記(50)が日本の政界から注目を集めている。最近では与謝野党幹部が省都審陽で李氏と会談した。19日には武部幹事長、17日には民主党の岡田前代表や角田参院副議長が会談した。3氏とも李氏との会談を強く希望したという。李氏は胡錦涛主席と同じ共産主義青年団出身で、予測される指導部の世代交代が行われる2012年頃に胡錦涛主席の後継者になる可能性が取りざたされている。ただ李氏は周囲の目を気にして言動は慎重だ。地元紙も一連の会談を報じていない。中国側は、「今、日本人との関係で足をすくわれたくない。報道を含め、周囲は気を使っている」と打ち明ける。

[コメント]日本政界の貧しさを感じる出来事である。所詮は日本の政治家が外務省(北京の日本大使館筋)に頼んで、中国の次世代リーダーと称される者との会談をセットさせただけの話しだ。日本大使館の強い希望を聞いて、中国の実力者が軽い外交の練習のために、若い政治家に日本の政治家との会談をセットさせただけの話しである。李氏にとっては外交の練習であっても、失言や党の方針と違う言動をすれば、それはリーダー失格の烙印がおされることになる。そのような練習台にされただけのことなのに、李氏と会談した日本の政治家は、中国の次世代のリーダーと長年の友人であるような自画自賛の話しを日本で広める。

 とにかく日本の外務省に外交をセットさせてはダメなのである。日本の政治家はアメリカでも次世代のリーダーという者と会いたがる。日本の政治家は訪米や訪中して、だれに会ったかで外務省の価値を決めているほどだ。

 外交政策で対等に渡り合えないから、面談外交でお茶を濁すのである。ワシントンDCには有力者との面談をセットするロビストや政治宣伝会社まである。日本の大使館や政治家がお金さえ払えば、有力政治家と会談できて、一緒の写真まで撮ることができる。まるで有名芸能人と写真がとれる海外ツアーみたいなものである。

 それならば日本の政治家は何をすべきか。それは党の戦略を明確に立て、その政策シンクタンクを作り、研究成果を有効に活用することである。シンクタンクの研究員が海外の事情を詳細に分析し、その人脈作りに知恵をだすことだ。

 今、アメリカでネオコンが力を失えば、次はどのような勢力が台頭してくるか。共和党から民主党へ大統領が代われば何が変化するか。だのようなグループが政策を組み立てるかという分析が必要である。

 まあ、その前に、胡錦涛主席のアジア外交や対日政策と、堂々と渡り合える日本の政治家の登場に期待したい。アメリカと中国の谷間にいて、左右の顔色を見ながら、愛想笑いをするだけの政治は嫌いだ。

潮流 コラム

さまよえる中国「憤青」

反日・・・一般市民からも批判

(産経 11月19日 朝刊)

 

[概要]中国で4月の反日デモで中核的な役割を果たした「憤青(怒れる若者)」の評価が変わってきた。胡錦涛政権が対日重視にシフトをはじめたので、市民から憤青の過激で狭量な社会不適合者という見方が広がっているからだ。

 憤青は1960年代の米国のヒッピーに代表される既存権力や社会に反逆する若者の概念だが、中国では90年代に台頭してきた反米反日の民族主義青年のことを指す。インターネットで活動する反日青年が憤青を代表していた。

 しかし4月の反日デモで、市民から中国の対外イメージを下げたとして批判されるようになった。ネット上では憤青は国際理解が乏しく、表面的なことしか見ない低レベルの愛国者といった批判が優勢だ。中国メディアも最近は憤青を批判する姿勢が相次いで出た。

 もともと反日デモにソニーのビデオを持参するような矛盾をかかえる憤青は、世論の支持を失った時点で存在意義を失った。「彼らは中国の偏った教育と情報統制の結果、深い思想もないまま反日に走らされ見限られるかわいそうな存在」(中国のメディア統制に詳しい焦 国標元北京大学助教授)と同情的な声もある。さまよえる憤青はこのまま消滅するのだろうか。

[コメント]4月の反日デモが起きたとき、私は中国政府はこの動きにショックを受け、デモの制圧に動くと書いた。するとあれは中国政府の官製デモで、反日を背後で中国政府が操っているというメールが数通ほど届いた。

 しかしあのような動きが世界に報道されると、中国の国際的なイメージは大きくダウンする。北京オリンピックを控えて、日本食レストランや日本企業の看板に、白昼、堂々と投石する行動は国際基準で許されないのだ。

 また極端な反日教育も、中国の経済活動に悪影響を強める。

 日本人が北朝鮮の拉致問題で、非常に怒っていることはいうまでもない。しかし、だかたといって日本にある北朝鮮系(総連系)の焼肉店やパチンコを襲うだろうか。そのような動きを日本政府が背後で操作するだろうか。それほど馬鹿馬鹿しく、低級なことが通用する国際常識ではないことをだれもが知っている。その程度のことなのである。

・・・・・・・ちょっとこれから、娘の中学校でPTAの集まりがあります。中断します。ちなみにPTAのテーマは、「携帯電話やネットに潜む危険から子供達をどう守るか」のワークショップです。・・・・・・

 昨夜、PTAのあとに近くの焼鳥屋で飲み、家に帰ると「この関連のメール」が届いていました。そのお返事で、このコメントを続けたいと思います。

名護市議会特別委

普天間飛行場の

移転反対を決議

(読売 11月18日 朝刊)

[概要]沖縄県名護市議会の軍事基地等対策特別委員会は17日、日米政府が合意した普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸部への移転に対し、これに反対する決議案と意見書案を全会一位でまとめた。決議案は「中間報告は、地元の頭越しに行われたもので、沖縄本島北部への基地集約が懸念され、憤りを禁じ得ない」と指摘し、地元が強く反対していると表明している。

[コメント]地元が容認しているというのが、米側がキャンプ・シュワブ沿岸で合意した最大の根拠といわれてきた。しかし名護市議会が全会一致で反対となれば、「根気よく地元を説得」という政府の言葉が虚しくなる。額賀防衛庁長官は中間報告にある関係自治体をまわり、「苦難の行脚」を行っているが、地元では「私たちの思いを知りながら、なぜこういう案を作ったのか」(小川勇夫相模原市長  同紙 11月18日 朝刊)と反発は強い。

 それにしても、なぜこれほど米軍が日本人に嫌われているのかと気になる。口の悪い友人は、「地元にはゴネ得を期待する姿勢がある」という者もいるが、現実はそれどころではないような気がしてきた。仮に地元がゴネ得根性であっても、政府の緊縮財政で地元にばらまくお金がない。それに最近はネット社会で、「あの人(市長や議員)は良心を売った」などと広まると、たとえ地方であっても選挙戦で勝てない。

 今週、私は沖縄県庁がまとめた「沖縄の米軍基地」(平成15年3月)を詳細に読んでいる。その中にはSACOの経緯や、その後の政府や沖縄県や名護市の対応ややり取りを詳細に記録している。それを読むと多くの人が労力を費やし、話し合いを続け、小さな合意を積み上げてきたことがわかる。それをすべて無視して日米合意が行われた。政府が「話せばわかる」という説明で和解は無理と思い始めてきた。

 先日、国土地理院から修正されたばかりのキャンプ・シュワブの2万5千分の1の地形図を買ってきた。新しく建設されるヘリ飛行場で滑走路の方向を探るためである。地形図を見てすぐにわかった。滑走路の方向は北東から南西に伸びる角度になる。これで非公開にされている新飛行場の飛行コースはわかるはずだ。なぜ滑走路の角度がわかったといえば、大浦湾をはさんだ対岸にカムチャゴルフ場があるからだ。有事にはここに対空部隊が展開して、新飛行場の対空防衛を担当する施設となる。

 この地形図を見ると、見れば見るほどキャンプ・シュワブ沿岸案は、軍事的に計算された最上の場所であったことがわかる。最初から日米共政府は、ここが落とし所として設定していたのではないかと想像する。

 買った地図は、キャンプ・シュワブを中心とした地形図(NG−52−21−13−4)と、国頭平良と名護の5万分1の地図で、5万分の1はキャンプ・ハンセンとキャンプ・シュワブをカバーしている。それに全体の交通路を知るために沖縄県分県地図の3点である。この地図3点を参考にして、「沖縄の米軍基地」(沖縄県基地対策室偏)を読んでいる。

 それにしてもキャンプ・シュワブの新飛行場建設案の延長線上にゴルフ場があることや、隣接する場所に辺野古ダムがあるのに驚いた。原案だった辺野古沖合埋め立て基地などとは、比較できないほど沿岸案は軍事的な条件を満たしている。軍事ではまず地図を見ることから解析が始まる。

クローズアップ2005

直感的「従米」でいいのか

政治部長 倉重篤郎

(毎日 11月17日 朝刊)

[概要]小泉首相ほど争点形成能力の高い政治家はいない。先の衆院選挙では郵政民営化か否か。あるいは構造改革の抵抗勢力であるかというように単純化して迫った。昨日の記者会見では、日米の同盟関係を緊密化すれば、アジアのみならず国際社会と緊密な関係が築かれると語った。しかし戦後の日本外交は日米安保を基軸にアジア諸国と協調し、国連を重視する3原則のバランスで行ってきた。

 小泉政権はそのバランスを変えつつある。9・11テロを機会に自衛隊をインド洋やイラクに派遣した。先日の米軍再編案では日米軍事機能の一体化を加速させている。小泉首相は日本のアジア外交を重視するバランスを崩し、日米運命共同体化路線に踏み込もうとしている。そこで得られる国益とは何なのか。小泉首相が考えついた行き着く先の説明がない。首相は「小泉の直感」ではなく、国会で議論を尽くし、国民にその理を説明して欲しい。

[コメント]私も昨日の記者会見で語った小泉首相のあの言葉には違和感を持った。日本とアメリカが同盟を強化すれば、中国や韓国、それにアジアと良好な関係を築けると言った言葉である。この言葉は間違いである。これで日本は国際社会から、単に虎の威を借りるがごとく、弱者の論理で生きていく国と見られる。アメリカ自身も日本を見下してくるだろう。

 この言葉で在日米軍のトランスフォーメーションは更なる難題を抱え込んでしまった。小泉首相がそのような対米従属姿勢で強引に進める日米両軍の一体化なら、自衛隊員ばかりか国民の強い反発が高まってくると思う。

 今でも小泉首相が自衛隊をイラクに派遣した罪を問う声は多い。世論調査では7割の人が自衛隊のイラク撤退を求めている。自衛隊内でもサマワ経験者を含め、イラク派遣を誇りにしている者は少ない。

 先日、自らを浮動票と称する人たちに話を聞いた。夏の衆院選挙でどこに投票したかと聞けば、すべての人が小泉さんを支持した人と答えた。しかし次の選挙では絶対に自民党に投票しないという。あそこまで自民党が圧勝するとは思わず、そのことが恐くなったからだと話した。次の選挙で自民党は大敗する。これが国民のバランス感覚である。

 前にも書いたことがあるが、20年ぐらい前に自衛隊の陸・海・空の将官OB(各幕僚長経験者を含む)に「歴代の防衛庁長官で最も悪かった者」の名前を聞いたことがある。約2年間ぐらいかけて、将官OBのインタビューの最後に質問してみた。すると最も多かったのが中曽根氏であった。彼が首相就任直後、訪米しレーガン大統領に会ったとき、日本はアメリカの「不沈空母」発言をした人だ。軍事に明るいと言われたが、なぜか自衛隊員には不評であった。その中には彼の評価を、「トイレットペーパー長官」という声もあった。中曽根防衛庁長官が自衛隊に対して行った貢献は、部隊のトイレットペーパーを官費で購入したことぐらいだからという。それまで部隊のトイレットペーパーは隊員からお金を集めて購入していた。

 それと同じような結末を小泉首相に感じている。進んで自衛隊をアメリカ軍の一部に組み込み、日本の独自性を捨てた政治家として語られると思う。その点ではパフォーマンスで自衛隊を利用した中曽根氏より小泉首相の罪が重い。

 昨日を機会に、今までの小泉政治を従来のバランスに戻す、ポスト小泉政治が始まったことを信じたい。そろそろ小泉政治の催眠操作から国民が目覚める時である。

米軍再編協議の内幕

辺野古200メートの攻防

米側には「ゲーム」

日本側「抵抗の姿勢」

米の「譲歩」実を優先

負担軽減 不完全なまま

「7000人減」座間と交換

(朝日 11月15日 朝刊)

[概要]10月26日午前11時すぎ、訪日していたローレス国防副次官から大野防衛庁長官に電話が入った。「自信を持って実現できると言うなら、『防衛庁案』を受け入れる」。ローレス氏はこの電話を切ると、別室で待っていた日米関係者に「ゲームは終わった」と伝えた。これを聞いた日本側の一人は、「バトル(戦い)」と映った交渉も、米側は「ゲーム」だったのかと思ったという。辺野古沖を埋め立てる米案と、日本案との差は200メートルまで近寄っていた。そして日本側がキャンプ座間への第1軍団司令部受け入れなど、すべての交渉カードを使い切って最後の日米合意を得た。この日の午後、在日米大使館では合意内容を確認する部屋には、日本に開国を迫ったベリー艦隊の旗艦サスケハナ号の模型が飾ってあった。在日米軍の変革・改編の中間報告は、日米同盟を大きく衣替えして、米側が求めた自衛隊の役割を拡大し、日米の軍事的融合に道を開く「黒船」になるかもしれない。

 当初の日本案(丘陵部にヘリ基地を作る陸上案)は、戦闘訓練への支障などを理由に拒否をした。県外の移転は海兵隊の機動力を沖縄から奪うとして検討されなかった。

 米側には日本を陸軍の新たな「拠点」とし、太平洋地域ににらみをきかせる狙いがある。沖縄の海兵隊7000人削減も司令部など「頭脳集団」が中心で、沖縄に残る実働部隊は「海兵機動展開旅団」(MEB)に生まれ変わり、日本が提供する高速輸送艦で、朝鮮半島や台湾海峡の「有事」に備える。

 今回の中間報告をある防衛庁幹部は、これで両国の軍事面の一体化が進み、日米同盟の能力強化が図られ、「これは日米安保条約の改定に匹敵する」と指摘する。

[コメント]ローレス氏が「ゲーム オーバー」と言ったことに政治的な意味はない。むしろ米側が今回の再編を、「西太平洋戦略の拠点」に日本を作り替えることを主眼としていたことに注目すべきだ。北海道から朝鮮半島、それに本州から沖縄や台湾海峡までを、アメリカの有効な戦略拠点に作り変える目的で再編は行われている。その目的は第1に中国の台頭がある。その第2には復活するロシアに備える目的がある。第3には北朝鮮で支配力を強める中ロの影響拡大に備える目的がある。

 アメリカはこの機会に日本全体を米軍の要塞として活用し、日本政府の軍事財政支援拡大や自衛隊との一体化に取り組んでいるのである。だから「日米安保の改正に匹敵する」(防衛庁幹部)という見方ができるのだ。

 単に駐留米軍が東アジアから撤退するというだけの話しではなかった。これまで10年間程度の先しか読めなかったが、これで東アジアの軍事情勢を20年後の先まで読めるようになった。

 そこまで読んでアメリカと交渉しなければ、「ゲーム オーバー」という一声に怯えてしまうことになる。

 防衛庁幹部も結果として、「日米安保の改編に匹敵する」と気が付いても遅い。これこそが「陣取りゲーム」なのである。米政府側が第3海兵師団・司令部のグアム移転と、7000人削減というカードを最後まで隠し、日本側に戦略拠点にすべき全てのカードを切らしたゲームなのである。

 しかしこれでゲームがすべて終わったわけではない。もし日本に強い野党が存在すれば、この結果を別の形に作り替えることは可能である。しかし今の民主党にそこまでの軍事知識を期待できない。

 このままでは日本が中国とアメリカの谷間で翻弄されることになる。今日の小泉Vsブッシュ日米会談で、日本はアメリカに何を主張(要求)するのか。日米同盟の強化を理由に米軍再編に全面協力を約束し、アメリカから牛肉の輸入再開を約束する。ただ、それだけの話し合いが本当に日米同盟の強化になるのか。そのような従属した関係は弱体を招くだけである。

V−22(オスプレイ)

「雲の中では飛べない」

沖縄配備予定の

米軍垂直離発着機

米民間団体指摘

飛行中エンジン凍結

(読売 11月15日 朝刊)

画像:Aircraft.osprey.300pix.jpg [概要]沖縄普天間基地の移転先に配備が予定され、ヘリコプターと航空機の機能を備えた垂直離発着機V−22(オスプレイ)の2基のエンジンが、10月下旬に飛行中の凍結が原因で停止し、トラブルを起こしていたことがわかった。

 これはワシントンの民間団体「政府監視プロジェクト」が関係者の証言として公表した。このトラブルはカリフォルニア州の空軍基地に向けて飛行中に、高度5500メートルの雲を通過中にエンジン内が凍結したという。この機は緊急降下して3300メートルで凍結が改善されて大事には至らなかった。V−22は開発段階から事故が相次ぎ、凍結対策や悪天候化での飛行試験を省略した経緯がある。

 米軍が移転先の滑走路を日本の縮小案を受け入れず、300メートルの延伸にこだわったのは同機の配備を想定したためとされている。(写真上はV−22オスプレイからパラシュート降下する海兵隊員)

[コメント]もし10月下旬のトラブルで墜落事故が発生していたなら、V−22の致命傷になっていたと思う。それほどV−22は大きな事故が発生している。00年4月8日にアリゾナ州で墜落、乗員4名と海兵隊員15名が死亡した。00年12月11日にノースカロナイナで夜間計器飛行訓練中に墜落、4名が死亡した。このときはV−22の開発にかかわった、海兵隊の中佐と少佐というベテランパイロットが操縦していたために、操縦ミスとは考えられないショックを与えた。

 それにしても雲の中を通過中にエンジンが凍結するトラブルとは何事かと思う。これは基本中の基本というか、冬山に夏着で出かけて遭難するようなものである。

 確か00年の墜落事故の時には、コーエン国防長官(当時)の命令で特別にブルーリボン事故調査委員会が原因究明にあたった。その時にV−22の飛行隊長が整備記録を改ざんするようなこともあったと記憶している。V−22の量産型であるMV−22は、当初の配備計画では2014年に総数で323機(1機が約80億円)という数字があがっていた。これほど大きな金額が出てくると、軍需産業や政治家や軍人にとっては簡単にキャンセルできないのだろう。

 それにしても飛行中に雲の水分でエンジンが凍結・停止するとは、致命的な欠陥機と呼ばれてもしかたないだろう。

膨張中国

 第4部 きしむ周辺世界

北朝鮮の鉱物開発

資源の宝庫 囲い込み

対北取引 リスク満載でも

「成長」「影響力」を優先

(読売 11月14日 朝刊)

[概要]北朝鮮から中国へ大量の鉱物が運ばれ、中朝国境の鴨緑江や豆満江の橋ではトッラクの渋滞も起きている。運ばれる地下資源は鉄鉱石、無煙炭、亜鉛、鉛、銅、・・・・・・・・。中国の税関統計では、北朝鮮からの鉄鉱石の輸入は、昨年には2000年の約20倍の93.7万トンになった。北朝鮮を脱北してソウルに住む金日成総合大学の元教授(46)は、「北は、もはや資源開発以外に生きる道がない」という。中国は北の債務を地下資源で帳消しする方法をとっていたが、今は積極的に北に投資して、地下資源の開発と輸入に取り組んでいる。

 今年9月、中国の吉林省長春市で開かれた豆満江開発計画の次官級会談(中、露、モンゴル、南・北朝鮮の5カ国)で、中国代表はこの協議で「開発計画の対象をグレーター豆満江地域とし、中国の黒竜江、吉林、遼寧省の3省に、北朝鮮を含める方がいい」と発言。これに対し北朝鮮代表が「北朝鮮が第4の省になる」と猛然と反発した。

 北朝鮮には広範囲にわたり金を主体に多数の鉱脈があり、銅、亜鉛、鉛なども南部盆地に分布し、モリブデンやタングステンなどの貴重な「レアメタル」も豊富だ。しかし経済的に疲弊した北朝鮮では、施設の老朽化、電力の不足など、自力で生産力を増やすことができない。

 そこで中国は北朝鮮で50年間の採掘権などを獲得しながら鉱山開発を行っている。中国は経済活動に必要な資源の確保という点で、北朝鮮に対する援助一辺倒型から、経済関与型に転換した。

 中国の北朝鮮進出により、北朝鮮企業は工業の稼働に必要な原料から、道路や交通インフラの整備、労働者の食糧まで要求し、中国側が頭を痛めているという。

[コメント]もはや北朝鮮は中国や韓国に限り、市場開放経済に転換したと見るべきと思う。なぜ北朝鮮が崩壊しないかという長年の謎は、中国が北朝鮮への援助を中断しないからであった。なぜ中国が食糧や燃料の援助を中断しなかったのかという理由は、北朝鮮の地下資源を獲得するために、崩壊前に採掘権を押さえにかかったのだ。すなわち北朝鮮は中国の資源獲得政策のために生かされているのである。

 このあたりの分析は、北朝鮮を担当する我が国の情報機関の常識になっていると聞いた。それまでは北朝鮮が崩壊すれば、すぐに韓国と統一されると信じていた。しかし今では中国に北朝鮮が併呑される可能性が高くなった。(中朝の国境線をなくすことではない)

 そして北朝鮮が陸続きで中国の経済圏に組み込まれると、陸続きの韓国の経済も中国の経済圏に呑み込まれることになる。そして朝鮮半島に極めて中国と親しい国が生まれる。これこそが中国の北朝鮮での地下資源獲得後に描く朝鮮半島の期待像と思う。中国という巨大なグランドパワーが周囲に押しだし、朝鮮という半島国家が呑み込まれる構図である。

 北京で開催される6カ国協議も、この中国の朝鮮半島戦略の一環として考える必要があるようだ。中国は北朝鮮が核武装していないことは承知している。それを承知で核計画の破棄を話し合う6カ国協議など、中国にとってはどうにでも演出できる国際協議なのである。

 やはり中国は老獪である。すでに中国は北朝鮮の首根っこを完全に押さえた。これから韓国がどのように中国や北朝鮮に対応するかが問題である。アメリカは朝鮮半島問題でどのように軍事を動かし、どのように軍事体制を構築するか。これから米軍のトランス・フォーメーションでその答えがわかる。中国の大攻勢(非軍事)で朝鮮半島から米軍が全面撤退する可能性さえ出てきた。しかし弱体化したブッシュ政権があと3年続けば、微妙な朝鮮半島問題を適切に対応することは難しい。

 やはり中国は老獪である。

日米検討

シュワブ沿岸に軍港

沖縄北部 米軍機能集中

地元の反発必至

(毎日 11月13日 朝刊)

[概要]日米が普天間基地の代替施設で、キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立てることに合意したが、この施設内の一部を軍港化することを検討していることがわかった。これは滑走路に隣接する北側に駐機場の部分(600メートル)に軍港を建設する案。海底は急斜面の水深30メートルでしゅんせつ工事の必要はない。これによって@高速輸送艦による海兵隊の兵員や物資の輸送 A補給物資や装備の備蓄ーーといった機能が高まる。しかし新たな軍港建設で、沖縄北部への負担が増し、住民の反発が大きくなることが必至とみられる。

[コメント]数日前にも書いたが、キャンプ・シュワブ沿岸埋め立ては、軍事常識では大規模な沖合埋め立て案よりも沿岸案が基地機能ではるかに高い。陸上基地に接する1500メートルの滑走路に広い駐機場、それに以前からある辺野古の米軍弾薬庫を加えると、ここに軍港を作るというアイデアは沿岸埋め立て基地の3本柱である。その1本が1500メートル滑走路と広い駐機場、2本目が辺野古弾薬庫や倉庫群(事前集積施設)、3本目が新しく建設されるこの軍港である。

 水深30メートルで長さが600メートルなら米空母の寄港も可能である。この岸壁を超重量物桟橋で設計し、アフガン戦争で使われた空母キティーホークのように、艦載機のF−18戦闘機などの航空隊を降ろし、ヘリなどを多数搭載して海兵隊の海上出撃基地として使うことも可能である。また攻撃型原潜の基地として活用すれば、グアムの機能を補完できる重要軍事施設になる。

 新たにこの軍港を作ることで、沖縄の軍港(那覇港、牧港など)が必要なくなる。軍事的にみればこれは削減ではなく、基地の統合・強化ということになる。

 このように書いていて、キャンプ・シュワブ沿岸に建設するという施設の周辺地形や海域を見たくなった。今日にでも書店に行って、5万分の1の地図を買ってくることにした。この沿岸埋め立てに使うために大量の土砂が必要になる。近くの小山(あるいは丘)を削って広い平地が生まれる。そこにはミサイル防衛(MD)の対弾道ミサイルのパトリオット PACー3(空自)の部隊が配備されることになる。その位置を地図で正確に描き出してみたい。

 正しく軍事を知ればそこまで読むことができるのだ。新軍港建設の次は空自のMD部隊(パトリオットPAC−3)部隊の新設である。

 その次の動きも読めるが、今日はここまででやめておく。今日は日曜日で天気がいいので、都内を25キロほど歩いてくる。自宅から神田の書店街や皇居周辺、それからレインボーブリッジを歩いて渡る。でも疲れれば、バスに乗って帰ってくる。本当は高尾山に行って、山歩き(ハイキング)をしたいが、ちょっと寒そうな気がする。 

陸自、イラク撤退へ

9月までに完了検討

小泉首相の総裁任期内

空自は活動継続

(朝日 11月11日 朝刊)

[概要]政府はイラク南部に駐留する陸上自衛隊について、来年前半にも撤退を開始し、小泉首相の自民党総裁任期が切れる来年9月までに完了させる方向で検討に入った。イラクでは10月に新憲法を承認、12月15日に国民議会選挙を予定し、年内には正式政府が発足する見通し。イラク駐留の多国籍軍は新政府発足から3ヶ月間に限り駐留継続を要請されているので、それ以降の撤退は可能と判断した。

 しかしクウェートとイラク南部で活動している空自は、「米軍関係の物資輸送は依然としてニーズが高い」(防衛庁幹部)と判断。輸送拠点の追加や活動の継続を検討している。

 継続延長については、1年とする案だが、仮に半年としていても、その間に撤退を開始すれば来年9月まで、陸自の一部が残っていてもイラク特措法上は容認される。

[コメント]イラク南部で治安を担当する英軍や豪軍が撤退するので、来年5月頃から陸自のサマワ撤退は確実と思っていた。すでに日、米、英、豪政府の間で、秘密裏にそれぞれの撤退計画を調整している。もしそれまでにサマワの陸自が、1発の銃弾をイラク人に発砲することなく、一人のイラク人を殺すことなく撤退できれば、日本の自衛隊が国際的人道支援で高い評価を受けることは確実である。それによって日本が平和的な国際貢献が出来る国として国際社会から認められる。

 しかし理解できないのは空自の活動を継続させるということである。新たな特措法を制定する気なのか。いくら米軍の需要が高いと言っても、空自はイラク特措法で派遣されている。空自だけ残して米軍の兵員や物資の空輸を継続させることに疑問を感じる。もしイラクの空が安全と判断するなら、民間(海外を含む)の輸送機をチャーターして、そのような空輸業務を行えばいい。あえて空自の派遣延長にこだわる必要はないし、悪しき前例を刻み込むことになる。逆に日本(陸自)の功績を落とす結果になりかねない。

 ここは安易に空自の派遣を延長せず、空自は陸自の撤退を助け、ともに日本に帰って功績を築いてほしい。自衛隊は海のガソリンスタンドではないし、空の輸送会社ではない。危険な場合の任務は理解できるが、安上がりな米軍下請け仕事を受けてもらっては困る。

 「自衛隊ってどうせ政治家にとって都合のいいだけの存在なのね」と自衛隊員が嘆くことになるぞ。

額賀防衛庁長官の沖縄訪問

沖縄に新たな振興策を

検討

苦慮にじむ「ソフト路線」

グアム基地

 整備費負担も難題

(毎日 11月10日 朝刊)

[概要]在日米軍再編の中間報告に反発する沖縄に乗り込んだ額賀防衛庁長官は、説得のために地域振興策をちらつかせる「アメ玉」と、「丁寧に説明して理解を得る」という努力をアピールするソフト路線のスタートとなった。具体的には、基地返還・整理に伴う跡地利用や地主への補償、日本人従業員への失業対策、関係自治体への地域振興策が検討される見込み。

 稲嶺知事の軍民共用化を見送ったことから、那覇空港に第2滑走路を建設することも検討する。

 海兵隊司令部のグアム移転で、中間報告には「適切な資金的その他の措置」を検討することが中間報告に盛り込まれている。しかし日本側に国外の米軍施設整備費を拠出する法的な根拠がなく、「米側と特別協定を結ぶ必要がある」(外務省幹部)と語り、一方で「国民の理解が得られるのか」(財務省幹部)と冷ややかに見ており、地元説得に並ぶ難題に浮上しそうだ。

[コメント]キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立てる新ヘリ飛行場は、この1ヶ月間だけでも長さ1300メートルから1500メートルになり、今は1800メートルという規模に拡大している。さらに埋め立て海面も滑走路以外にも駐機場が加わり、広い土地が埋め立てで造成されるようだ。とにかく新ヘリ基地の拡大ばかりが気になってしまう。これに付随する軍港建設まで含まれると、本当にヘリ基地なのかと疑いたくなる。日米政府はこの機会に、キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立て、巨大な不沈空母を建設するような気がしてならない。

 しかしである。海兵隊のヘリ航空部隊は本隊の200キロ以内(あるいは前後)に駐屯することが常識である。沖縄に残る海兵隊(1万1000人)も、朝鮮半島の軍事的な脅威がなくなれば大部分が撤退していくのは間違いない。

 この沖縄の変化に日本の国家戦略の姿が見えない。見えてくるのは米国の都合による米軍の再編・改革だけである。その米軍のトランス・フォーメーションに追随し、地ならしや後始末ばかり奔走する日本政府の姿である。

 日本に独自の確立した国家戦略がないので、政治家や官僚が税金を貪り食い、散らかす。このままでは沖縄ばかりか、日本全体が政治家や官僚に食い荒らされることになる。

 そろそろ私自身が日本の国家戦略の構築に、必死の覚悟で取り組む年齢になってきたのかもしれない。

 

韓国紙報道

弾薬備蓄計画、米が拒否

(産経 11月9日 朝刊)

[概要]韓国紙・東亜日報は8日付けで、朝鮮半島有事に備え韓国政府が策定した「米軍の弾薬備蓄の現状変更にかわる継続要請案」を米側が拒否したと報じた。米側は「韓国側が予算措置をして十分な量の弾薬を確保すべきだ」と、事実上拒否した。盧武鉉政権は独自の防衛能力を備えた自主防衛路線を鮮明にし、「米国離れ」と取れる姿勢をとっている。これに対し米側が「韓国は過度に米国に依存するな」と、逆に態度を硬化させた可能性がある。(ソウル 時事)

[コメント]盧武鉉大統領の政策で韓国の米国離れが加速している。ならば米側も韓国離れを加速させているかと言えばそうではない。北朝鮮に中国の影響が強まれば、盧武鉉に代わる大統領と韓国の国内世論は米国に対する依存が再び高まると読んでいるからだ。それを証明するように米国が韓国に購入を許したF−15K戦闘機やイージス艦のキャンセルは行われていない。

 ところで日本にある米軍の弾薬備蓄の状況をご存じだろうか。まずアジア最大の米軍弾薬庫は川上弾薬庫(広島)である。ここから山陽本線と山陽自動車道(高速道路)で岩国基地や佐世保基地と結ばれている。佐世保にも針尾島弾薬庫があるが規模は川上弾薬庫の約半分である。

 また川上弾薬庫の近くに自動車道で結ばれた広弾薬庫(広島県呉市)があるが、これは川上弾薬庫から運ばれた弾薬が海上集積され、グアムなどから空船できた高速弾薬船に運び込まれ、朝鮮半島などに向かえる弾薬送り出し施設になっている。広弾薬庫のそばに秋月弾薬庫(江田島)がある。ここの特徴は精密誘導爆弾やトマホークミサイルの調整施設があることだ。ここで組み立てて調整を終えたハイテク兵器は岩国基地などの運ばれる。

 沖縄には辺野古弾薬庫がある。キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立てる予定の新ヘリ基地に隣接している。辺野古弾薬庫の規模は川上弾薬庫の約半分だが、過去には米軍の核弾頭が保管されていたこともあった。米側がキャンプ・シュワブに拘るのは、この辺野古弾薬庫に隣接しているという点も無視できない。

 と、簡単に述べたが、この米軍弾薬庫の取材を行ったのは15年も前で、最近の事情とは変わって可能性もある。

 新しい動きとしては、トランス・フォーメーションで相模総合補給廠(神奈川県)の動きが興味深い。遊休施設として一部を地元に返還する予定がキャンセルされたようだ。そこに陸自で創設される緊急即応集団(司令部・座間 指揮官・陸将)の一翼である普通科連隊(即応連隊 800人)が創隊されそうな雲行きである。普通科即応連隊は宇都宮駐屯地(栃木県)に創隊される予定だっが、首都圏に近い方がいいと相模総合補給廠で検討が進んでいる。同時に米軍も相模総合補給廠に、今は医療器材(野戦病院システム)などを中心に事前集積しているが、ハイテク兵器で固めたストライカー旅団などの軍事物資(戦闘装甲車や装甲車両)をここに事前集積する可能性が高い。横田基地で空路、横浜港で海上輸送が出来るからだ。

 というわけで、朝鮮半島向けの事前集積は昔も今も主体は日本ということになり、これからもさらに強化される事が推測される。米軍のトランス・フォーメーションを支える後方支援施設の存在もお忘れなく。

ブッシュ政権

”ライス株”急上昇

スキャンダル続き

副大統領は信頼失墜

(読売 11月8日 朝刊)

[概要]チェイニー副大統領がCIA機密漏洩事件で側近が起訴され、影響力にかげりが見えてきた。逆にスキャンダルに無傷のライス国務長官の存在感が増している。ブッシュ大統領とも強い信頼関係で結ばれ、初の女性国務長官として国民の人気も高い。

 米国の有力メディアの中には、チェイニー副大統領が側近の起訴で辞任に追い込まれると、後任にライス長官が指名され、さらに次の共和党大統領候補に指名され、ヒラリー・クリントン上院議員と一騎打ちになる可能性を予測するものもいる。

 チェイニー副大統領はブッシュ大統領の信頼を著しく失い、今後、影響力を取り戻すのは難しい。一方、ラムズフェルド国防長官は来年初めに4年ごとの国防計画見直し(QDR)をまとめて後に引退するという憶測が流れている。

[コメント]来年の中間選挙を間近に控え、共和党はブッシュ大統領というお御輿がないとなれば、3年後の大統領選挙でも通用して、ヒラリー上院議員に対抗できる新しい御神輿を作り出さなければならない。そのように考えると、ライス長官を担ぎたくなる気持ちがわかる。またチェイニー副大統領が政権中枢にいては、共和党が来年の中間選挙に勝つことはできない。

 間もなくチェイニー副大統領が辞任し、ライス国務長官が副大統領に指名される可能性は高いと見る。その上、ラムズフェルド国防長官まで引退となれば、イラク戦争は様相を一変することになる。

 そこで政界から引退したパウエル前国務長官が国防長官に復帰すれば、共和党が中間選挙に勝てる希望が出てきそうだ。パウエル新国防長官に期待するのは、イラクからの米軍撤退である。ラムズフェルド長官はイラクに戦争を仕掛けることはできても、整然たる撤退を行う能力はない。しかしパウエル氏ならそれができる。アメリカ軍の権威を保ちつつ、イラク人に自立への自信を与え、テロリストに勝利感を与えることなく撤退する方法である。むろんライス氏にはそのような作戦を指揮することはできない。

※読者の方のご指摘で、パウエル氏は制服出身のため、シビリアン・コントロールの観念で、国防長官に就任する可能性は低いとわかりました。例外は1件あるそうです。11月9日のメールにお返事を参照してください。 

寄稿 コラム

エドワード・ルトワク氏

 「戦略国際研究所(CSIS)」

 上級研究員

ブッシュ大統領に「疲れ」

難題重なり情熱も失う

(産経 11月7日 朝刊)

[概要]ブッシュ大統領は疲れている。終わることのない戦争、痛ましいハリケーン、つまらないマスコミへのリークをきっかけにしたリビー前副大統領主席補佐官の起訴、さして最高裁判事指名の屈辱的な撤回などが多くの出来事が起きた。今は2度の大統領選挙を戦った弾むような情熱にかわり、最近はあきらめの調子と沈みがちな物腰はだれの目にも明らかだ。もはや大統領はエネルギーを使い果たしてしまった。大統領という職務に興味を失い、家に帰り休息をしたがっている。しかし大統領には任期が4年で、名誉ある撤退の道はない。

 ブッシュ大統領にもはや政治的な指導力が発揮されることはない。大統領が弱体化すれば、湯水のように税金を使うことに血道を上げ続ける議会の放漫な財政要求を抑えることができないだろう。

[コメント]米の政策シンクタンクのCSISは、保守的(共和党系)な国際戦略研究所である。ルトワク氏もレーガン大統領時代には国防長官や国家安全保障会議(NSC)の顧問を努めたこともある。その彼がここまで言うのかと驚いた。いわゆるブッシュ大統領はもはや「死に体」になっていると断言したのだ。

 ここで問題になるのは、来年の中間選挙を共和党は如何に戦うかということである。チェイニー副大統領もイラク開戦時での世論操作や、軍需産業との癒着で泥まみれである。頼みのネオコンも疑惑まみれで動きが取れない。これほどまでもブッシュ大統領の政権が弱体化したアメリカはどうなるのか。

 ともすれば我々はアメリカの混乱を想像してしまうが、意外とアメリカはこのような政権の危機に強い国なのである。大統領に大きな権限を与えつつ、大統領政権が混乱しても危機を包み込む力があるのだ。議会、交代できる政権政党、幅広い政策研究集団、それに高い意識のマスコミなどである。いくつかの大学には国防長官や国務長官に就任可能な人材が溢れている。それらの総合的な力が国家の危機を吸収して、政治の混乱を最小限に抑えることができる。

 そのような様子を見ていると、小泉人気に依存する自民党政権を連想してしまう。しかし今回の内閣人事を見てもわかるように、来年9月の任期切れを1年前にして、小泉首相も政治エネルギーを失っているように思える。ところが日本には官僚政治や派閥政治の力がかなり弱体化された。アメリカのように政権交代政党(民主党)も充分に育っていない。それどころか民主党の中もバラバラの状態である。マスコミも研究者も評論家も政権を支える力がない。それどころか官僚や政治家達は、自分たちの力を奪う人材が育つことを許さなかった。

 また小泉首相はブッシュ政権と密接させることで、自らの政権維持をはかったことも確かである。その陰の支えのブッシュ政権が弱体化してきた。今までのように虎の威を借りることが出来なくなったのである。

 このように、今の日本には政権の混乱を収拾させる力が弱い。日本がこれからのアメリカから学ぶことは多い。弱体化したブッシュ政権をどのような力が支えるか注視して欲しい。

在沖海兵隊グアム移転

施設費も一部負担

政府、法的措置を検討

(朝日 11月6日 朝刊)

[概要]日本政府は米軍改編で在沖海兵隊員が約7千人を削減させ、6千人をグアムに移転させる施設費の一部を、日本が負担する枠組み整備の検討に入った。米側はグアムへの移転費を5千億円程度と見込んでいる。この一部を日本政府は、「米軍は沖縄の負担軽減という日本側の事情で移転する」ので、特別協定で負担額を手当する方針だ。しかし国外の米軍施設の整備で日本政府が財政支援する法的な根拠はない。また駐留米軍が大幅に削減されるドイツや韓国でも米軍に財政的な支援はない。

[コメント]2プラス2で日米両政府が「中間報告」に合意してわずか10日目である。すでにその間に、米軍移転に伴うグアムでの施設費を日本が負担すると一部で報じられていた。ということは、日米間ですでに「負担合意」があったと推測できる。しかしどのような根拠の元で行われるか不思議だった。そして明らかになった根拠が、「在沖米軍の撤退は日本の負担削減という日本側の事情」という。まったく軍事を知らない馬鹿馬鹿しい言い訳である。米軍のトランス・フォーメーションが何を根拠に起こり、どのように行われているかを、国民が知らないと思っているから、これほど馬鹿馬鹿しい言い訳をするようになってしまう。沖縄の負担軽減は結果論である。沖縄の負担軽減が第一要因などとは、多少でも軍事を知っている者の発想ではない。

 米軍のトランス・フォーメーションは米軍の事情(新戦略)で行う世界規模の再編である。沖縄にこれ以上、米軍は駐留する必要がないから撤退していくのである。これからの米国のアジア戦略(あるいは世界戦略)を構築する上で、米軍の新しい兵器や指揮・通信機能で効率的な作戦を行うために沖縄から撤退するのである。

 だからグアム米軍の新施設に、日本政府が財政支援する必要はまったくない。日本にそのような財政資金があれば、米軍によって経済発展が出来なかった沖縄で、これからの経済インフラの整備などに使うべきなのである。

 すでに沖縄の人は、今回の撤退は米軍の事情で撤退していくことを十分に承知である。そのような時に日本政府は、在沖米軍がいなくなった場合の沖縄振興策を提示しないで、グアムに何千億円も支出することは同意できない。

 そんな対米姿勢だから、日米間が正常にならないのである。どうせ外務省あたりの浅知恵だと思うが、もう軍事に無知で強欲な外務省は軍事の問題に口を出すなと言いたい。日米間の軍事関係はお金の関係ではない。利権の少ない外務省が日米安保を金の卵を生むと思うから日本が歪むのだ。昔から外務省は米国務省の日本課と思っていたが、それどころではない極悪官庁のようである。外務省は日米安保に絡みまとわり、自らの利権を生み出すことしか関心がないようだ。

 もともとの辺野古沖埋め立て(建設費約1兆円)は、外務省が仲介し、橋本元首相や野中元官房長官の利権談合で決まった。また北朝鮮の国交正常化交渉も、外務省の田中均たちが日本政府が北朝鮮に支払う経済支援金(予測では1兆円)の利権獲得で始まった。ともに外務省の利権外交が失敗してゴタゴタしている実例である。

 防衛庁はグアムでの米軍移転負担を防衛予算と別枠で行うように主張している。この線は絶対に崩してほしくない。外務省の利権と一線を引いて欲しい。

 マスコミもこのように、過去に前例がなく、法的根拠もなく、国際的にも非常識な外交(外務省)を徹底的に暴くべきだ。日本の国防政策がどけだけ外務省の無知と強欲で歪められてきたか。もっと早く気づいて欲しかった。

外遊ブッシュ大統領

異例の「質問拒否、

会見打ち切り」

(読売 11月5日 朝刊)

[概要]アルゼンチンを訪問中のブッシュ大統領は、4日、同国のキルチネル大統領と会談後の記者会見で、記者からの質問をまったく受けず、30分の予定を約10分で切り上げた。大統領が質問なしで記者会見を行うのは異例。これはCIA工作員の情報漏洩事件の対応に神経をとがらせているからと思われる。納得しない記者団がマクレラン大統領報道官に詰め寄る場面もあった。

[コメント]ブッシュ政権が異常な緊張状態になっていることを窺わせる出来事である。さらにこの記事の横には、米ABCテレビの世論調査でブッシュ大統領の頭脳と言われているローブ大統領次席補佐官に、辞任すべきと答えたものが59パーセントと書いてある。CIA工作員の氏名漏洩にローブ氏が関与(あるいは不法行為があった)が75パーセントというから驚く。

 このように満身創痍で間もなく来日するブッシュ大統領だが、帰りに日本からお土産で持たせるものは「牛肉の輸入解禁」しかない。トランス・フォーメーションでは米国民のお土産にならないからだ。

 となればブッシュ大統領は初の「牛丼大統領」ということになる。あの「吉野屋」の牛丼を復活させた米大統領として、日本人の記憶に深く残ることになった・・・・・・。と皮肉る人が出るかも知れない。

 そこでブッシュ大統領が来年の中間選挙前にやれる起死回生の作戦を考えてみた。だれもが考える北朝鮮の体制崩壊は中国の邪魔で出来そうにない。イラクでの米兵戦死者もストップするような兆候はまったくない。もしローブ大統領次席補佐官なら、迷わずシリア政府の転覆を進言するだろう。地中海からイラクまで、米軍の輸送部隊が車列を組んで物資を輸送する。そんな光景を世界に報じて、ブッシュ大統領をアレキサンダー大王の再来と称えるのである。

 しかし今は自らが辞任を突きつけられて、アレキサンダーどころの話しではない。逆に今では反米・反イスラエルで育てられたシリア国民の武装抵抗を招く危険が強くなった。

 さあ、ブッシュ大統領が打つ次の一手は何か。どうブッシュ政権は動くか、あるいは動かないで沈静化を待つか。間もなく世界最大の政治ショーがワシントンで始まる。

普天間移設

地元、強まる反発

推進派住民も一転「反対」

防衛施設庁 

地元自治体との調整本部

を設置

(朝日 11月2日 朝刊)

[概要]普天間基地の移設先となった名護市の住民たちが、反対1色に染まっている。「推進派」だった住民すら反対を口にし始めた。最も移設先に近い辺野古地区では、(原案の「辺野古沖埋め立て」で)地区を2分する議論の後、地元の行政委員会が「振興策」と引き替えに移転を容認した経緯がある。そのための「代替施設推進協議会」も作った。しかし今回は、「いままで積み上げてきた議論が無視され、これまでの努力が水の泡になった」と、推進協議会さえ反対を全会一致で決議した。来年1月の名護市長選挙で立候補予定の3人も、「受け入れない」と表明した。

 防衛施設庁は1日、在日米軍の再編にからみ、自治体との調整を円滑にするために、「地元調整実施本部」を本庁と各地の防衛施設局に設置した。

[コメント]日米が合意したキャンプ・シュワブの沿岸埋め立てで、私が最も危惧していたのはこのことである。はっきりいって名護市の地元では、多くの人が新基地建設工事の地元発注と、地元振興策に期待しているのは間違いない。むろん米軍基地そのものに反対している人も多い(約半数)が、米軍基地に反対でも基地建設で仕事を得て、生きて行くためには仕方ないという考える人(約半数)たちである。

 沖縄では米軍基地が県の一等地を占め、そのために地元の産業も十分に興せない。米軍基地に寄生しているのではなく、基地に依存するしなければ沖縄は生きていけない現状があったのだ。それを日本政府は誤解し、沖縄は札束で動かせると考えていた。それこそが沖縄の米軍基地対策だったのである。

 しかし座間市(神奈川県)で聞くと、すでに座間市では国から支払われる基地対策費(交付金)よりも、仮に基地返還後に支払われれる固定資産税のほうがはるかに多くなるという。すなわち米軍基地は地元にお金(基地交付金)を落とす宝の小槌ではなく、地元の環境や経済を悪化させるお荷物でしかないのだ。

 かつて沖縄では、米ドルの時代にタクシーの運転手さんが、米兵からチップでもらうドルの方が、市長さんの給料よりも多かった時があったという。そのような時には基地問題はかき消された。しかし今の時代にそのことを通用させることはできない。沖縄の若い失業者を基地収入で賄うことができないからだ。そのためには、沖縄に新たな産業を興すしかない。

 今の段階では、容認派であった者が反対派にまわることは、顔を潰されたの程度のことかも知れない。しかしこれから環境と経済の面から、沖縄では基地にかわる新しい産業が必要と気が付く者も出てくる。そのような面からキャンプ・シュワブ沿岸埋め立ては、最初のボタンの掛け違いで泥沼化する可能性が高くなってきたと感じている。

 防衛庁サイドでは、最悪の場合は「特措法」でやると検討していうという。あるいは地元振興策を提示し、工事の一部を地元に請け負わすことで沈静化させようとするだろう。これは従来のアメとムチ版の論理である。そのことが、さらに地元で反対が高まると考える者はいないのだろうか。

※ 若いビデオ・ジャーナリストやルポ・ライターは、これを歴史的な仕事ができるチャンスであると考えていい。ぜひ沖縄で良質なドキュメンタリーの制作に挑戦するのだ。

イラク

爆弾が爆発

米兵7人が死亡

(毎日 11月1日 朝刊)

[概要]バグダッド南方20キロのユスフィーヤと、北部のバラド近郊など3カ所でパトロール中の米兵7人が死亡した。ともに道路脇に仕掛けられていた爆弾(注 IED)の爆発によるもの。

 一方、ロイター通信によれば、シリア国境に近いイラク西部のカイムの民家を米軍機が空爆し、子供を含む40人が死亡し、20人が負傷したと現地の医師が語ったという。米軍幹部は「アルカイダ幹部を狙って精密誘導爆弾で攻撃した」と説明した。

[コメント]先月、2000人を越えた米兵の死者は確実に増加し続けている。これで米兵の戦死者は2024人(読売 11月1日 朝刊)に達した。ここで使われているIEDはお手製の幼稚な爆弾ではない。フセイン時代に高度な爆破テクニックを取得した旧軍人が、155ミリりゅう弾砲の砲弾を改造して作ったIEDである。それも数発を並べ、米兵の車両が近づけば、指令爆破によって爆発するものである。攻撃を受ける米兵として、至近距離に155ミリりゅう弾が同時に多数爆発したような脅威がある。米軍の装甲車などは車体ごと吹き飛ばす威力がある。

 155ミリ砲弾は旧イラン軍の弾薬庫から持ち去ったものが無数に近いほどある。それにIEDは指令爆破だから自爆テロのような戦力消耗がない。道路脇に仕掛けて待っていれば、米兵の方からパトロールで近寄ってくる。そして米兵の戦死者数が増えていくのである。これは一種の長期消耗戦である。

 それに対する米兵は、特殊部隊や無人偵察機を使い、夜間などに出入りの多い民家を探り出す。そして一定期間監視して、怪しいと思えば「とりあえず」精密誘導爆弾で攻撃しているのだ。そして夜間に出入りの多い民家と、そこに住む人が消えていく。そんな戦争しか米軍には出来ないのである。

 ブッシュ政権に米国民の非難が高まってきた。なぜアメリカは対テロ戦争といいながら、そのような泥沼の戦闘を続けるのか。どこにアメリカの正義と崇高な犠牲があるのかと問いかけているのだ。

 ちょうど1年前に、ワシントンDCのアーリントン国立墓地を訪れたとき、次に来る者のために掘られた穴が忘れられない。今日埋葬された墓の横には、明日にもイラクから母国に帰ってきた者が、埋葬される3つの墓穴が並んでいた。



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。