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中国

北朝鮮へ原油輸出

「9月はゼロ」報道

(朝日 10月31日 朝刊)

[概要]北京発のロイター通信は30日、今年9月の中国の北朝鮮向け原油輸出実績がゼロだったことが中国税関総署の統計でわかったと報じた。同通信は中国が7月の北朝鮮のミサイル発射を受け、中国の反発を原油輸出削減で示そうとした見方があると指摘した。

 同通信によると、中国は今年1月から9月に前年同期比で6,8パーセント減の36万9千トンの原油を北朝鮮に輸出した。しかし9月の原油輸出は全体量で前年同期比の76,5パーセント減の12万5千トンで、その全てが米国向けだったという。

 北朝鮮は海外から調達している石油のうち約9割が中国からと見られ、中国は03年2月にも北朝鮮の核開発問題の高まりで、石油パイプラインを停止して一時供給停止したことが明らかになっている。

[コメント]03年2月の北朝鮮向け石油の供給停止は、6カ国協議に出てこない北朝鮮に怒った中国が、パイプラインの機械が故障したという理由で3日間ほど止めた。それも極寒の2月である。驚いた北朝鮮がすぐに6カ国協議に復帰したのは言うまでもない。

 今回は残暑の9月というから、前回ほどの危機感を北朝鮮に与えなっかた様だ。それにしても1ヶ月間とは予想を上回る長期間である。

 さらに10月9日の核実験実施でも、中国は北朝鮮に対する石油供給量を削減しているというから、北朝鮮の危機感は異常に高まっている可能性がある。昨日(30日)、韓国の聯合ニュースが、10月下旬に北朝鮮軍が西海岸の訓練所で短距離・対空ミサイル(射程35キロ〜50キロ)5発を発射したと報じた。この時期に5発の対空ミサイルを発射するのは珍しい。中国に対する苛立ちの表れである可能性が高い。一部の報道でいわれるよな、アメリカ軍の空爆に対する警告にはならない。

イラク駐留米軍

10月の戦死者100人に

(毎日 10月31日 朝刊)

[概要]AP通信は30日、イラク西部のアルバン県で米海兵隊員1名が戦死し、10月の米軍戦死者が昨年の1月(107人)から再び1ヶ月100人を超えたと報じた。1ヶ月100人を超えるのは開戦以来4度目。イラク戦争で開戦以来で戦死した兵士は計2808人、負傷は計2万1266人。これはイラクの治安悪化を如実に示す数値で、中間選挙で苦戦する共和党への逆風が強まった格好になる。

[コメント]バクダッド中央遺体安置所によると、10月に収容された民間人の死者は、10月1日〜15日の間で計921人で、一日平均60人に達し、今年最悪だった7月(1ヶ月で1851人)に並ぶ勢いだという。(朝日新聞 10月30日 朝刊)。

 バクダッドの市街地では市民が集まる市場やモスクに強力な爆弾が仕掛けられ、大勢の市民がシーア派とスンニ派の宗派戦争で殺される。治安を担うはずの警察やイラク軍は、アルカイダの自爆テロや他宗派の集団処刑で殺される。

 すでにイラン人自身の治安回復は不可能と判断した米軍が、治安回復作戦に出て犠牲者が多くなるという構図である。いくら10月はラマダン月であっても、1ヶ月に米兵100人と、バグダッド市民2000人弱の戦死は多すぎる。

 アメリカの中間選挙の投票まであと1週間である。今回はイラク戦争に批判的な民主党の躍進(共和党の敗北)は間違いないが、いよいよブッシュ政権への”大統領弾劾”が緊急の政治課題として浮上してきた。もはやブッシュ政権はイラク問題を解決できる力はない。

米議会報告

露の武器輸出急増

途上国向け

  米抜き1位

新冷戦?

  反米国家に照準

(産経 10月30日 朝刊)

[概要]米議会調査局は29日までに、98年〜05年にかけて発展途上国への武器輸出報告書をまとめた。05年の武器売却契約では、ロシアが91年の旧ソ連崩壊後初めて米国を抜いて第1位になったことを明らかにした。報告書ではロシアがイランへの地対空ミサイル「TOR−M1(SA15)」29基の売却契約や、ミグ29戦闘機やSu24攻撃機などのロシア製イラン軍機の性能を改良することでも合意したと報じている。

 ロシアが05年に発展途上国と交わした武器売却は70億ドル(約8200億円)で、04年の売却実績54億ドルを大きく上回った。売却側の国別では、2位がフランスの63億ドル、3位が米国の62億ドルだった。武器を購入する側は、1位がインドで54億ドル、2位がサウジで34億ドル、3位が中国で28億ドルだった。

 イランに輸出される対空ミサイルは核施設周辺に配備されるので、アメリカが契約履行の凍結を求めたが、ロシアは拒否した。

 中国はロシアから軍用機を購入する一方、05年に他の途上国との間で21億ドルの(約2400億円)の武器売却契約を締結した。特に「イランと北朝鮮が中国のミサイル技術を受け取ったと報告されている。このような行為はミサイル関連技術輸出規制に対する中国の責務に疑問を投げかけるものだ」と報告書に記している。

 同報告書では02年から05年にかけ中東に地対空ミサイル40基が輸出されたと指摘している。具体的な国名は触れていないが、29日のニューヨーク・タイムス紙(電子版)は国防総省当局者の話しとして、北朝鮮が輸出していると報じている。(以上、ワシントン支局)

 ロシアのプーチン大統領は「反米諸国」に照準を合わせ、ロシア製の武器輸出を拡大する戦略をとっている。これはロシアに経済的、技術的に利益をもたらすだけでなく、ロシアの政治的な影響拡大にも一役かっている。兵器の世界ではすでに「新冷戦が始まっている」と見る向きも出始めた。

 ロシアの兵器輸出で今年、特に注目を集めたのはイランに最新型防空ミサイルシステムと、中国に空中給油機をである。イランの対空ミサイルは核施設をイスラエル軍機から防衛でき、中国空軍の空中給油機は米国をも攻撃可能範囲に収めることが出来るためだ。中国はさらにロシアに対して、超音速爆撃機のTUー22バックファイアーなどの技術導入交渉を始めている。

 ロシアの武器輸出のもうひとつの特徴は、大口顧客の中国やインドのほかに、石油マネーで潤うイランやシリア、ベネズエラ、ミャンマー、アルジェリアなど、「反米」的」な姿勢を強める国が多く、米国の一極化に対抗するロシアの対外戦略にも一致している。(以上、モスクワ支局)

[コメント]この記事で気になったのは「新冷戦」という言葉である。私はいくらロシアが反米的な国に武器を売っても、それで新しい冷戦に世界は突入しないと思う。反米的な国にはアメリカが武器を売ってくれないので、ロシアから買うという市場事情があるし、ロシア製兵器は安いしまあまあの性能という点で選ばれたりする。とにかくロシア人は兵器を売ることに熱心である。いわゆる”死の商人”という仕事が好きなのである。各国の政府が発行するエンドユーザー(最終使用者)証明書さえあれば簡単に売ってくれる。

 ロシアがイランと売却契約した地対空ミサイル(TOR−M1)も、低空で飛来する巡航ミサイルを迎撃できる能力があるが、それではアメリカ軍やイスラエル軍には対抗手段がないかといえば、いくつか有効な対抗手段がある。本格攻撃を行う前に、超高速対レーダーホーミング・ミサイルで、ロシア製・対空ミサイルの発射システムの一部を攻撃直前に破壊する方法などである。むしろアメリカはロシア製武器の欠点や弱点を知り尽くし、それを承知でロシア製武器の売却を黙認している場合が多い。

 中国と台湾との軍事バランスで、アメリカが台湾に売却する武器リストを見ると、そのような表には出ない理由で、アメリカが中台の兵器バランスをとっていることを感じる。それに空中給油機は空自も導入するが、だからといって空自のF−2攻撃機がモスクワを攻撃可能範囲と誰も考えない。むしろ中国という広い国土を考えるなら、今まで空中給油機を持たないことが中国空軍の運用能力の低さを感じさせる。ここにきて中国が空中給油機を導入するのは、日本の空自が導入を決めたことにも一因がある。東シナ海で警戒・監視を強める日本の空自に対抗する意味もあると考えられる。

 北朝鮮が中東に輸出した対空ミサイルも、携帯式の小型対空ミサイルで、東シナ海で自爆して沈んだ不審船に積まれていた携帯式対空ミサイルと同じではないか。北朝鮮やイランの貨物船の船底に隠して運び、こっそりと中東に運び込んだ”外貨獲得商品”である。しかし今回の核実験で、国連安保理の制裁(第7章 第41条)で、そのような武器輸出も取り締まられることになった。

 日本はこれから米国製MD(ミサイル防衛)関連兵器や、実質的に米国製戦闘機の中からFX(次期戦闘機)の選定に入る。ともに1兆円を超える最新兵器のビッグビジネスである。数年すれば、武器の輸入国NO1に日本が登場する可能性もある。

 今、ロシア製の新型兵器を海外に売却して、最も戦略に強い影響を与えるのは中国に売却する攻撃型潜水艦(キロ級など)である。すでに4隻のキロ級配備で台湾海峡を米空母が通過することは不可能になった。

※北朝鮮が中東に輸出したミサイルは地対地ミサイルで、携帯式・対空ミサイルではないことが今日の新聞報道で明らかになりました。地対地ミサイルであれば、地対地のスカッド弾道ミサイルの可能性が高くなります。(10月31日 訂正します)

法案審議入り

今国会成立へ

「防衛省」年明け昇格

公明も後押し

(毎日 10月28日 朝刊)

[概要]今国会の重要法案である防衛庁を「省」と昇格させる関連法案の審議が27日に衆院本会議で審議入りした。民主党は「十分な審議」が担保されれば賛成する方針を固めており、今国会で法案が成立するのは確実な見通しだ。成立すれば防衛庁は来年1月から「防衛省」となる。

 法案は内閣府外局の防衛庁を「防衛省」に名称変更して独立させ、国連平和維持活動(PKO)など国際平和協力活動を自衛隊の「本来任務」とするのがポイント。現在、首相が行っている法案を閣議に付す請議や予算要求も「防衛相」が行えるようになる。対外的な「格」を上げる目的があるが、装備の拡充や海外派遣の恒常化に向けたステップになる可能性が指摘されている。

 公明党も今の時期で後押しし、来年の参議院選までに片づけ、参院選の争点になることを避けたい事情がある。野党はこの法案に賛成の民主党と、反対の共産、社民党に分かれている。与党が強行採決などに出なければ「反対する選択肢はない」(民主党幹部)と判断しており、鳩山由紀夫幹事長は「(野党間)で合意する必要がない問題」と明言した。

[コメント]私のイメージの中には、なぜ「防衛省」なのかという疑問がある。省昇格を機会に「国防省」にして欲しかった。しかし英語では Self−Defense Forces から Japan Department of Defense となり、国防省と同じ言葉になるから、まあいいいか。

 自衛隊も現在の任務の重要性ばかりか、人員数、予算規模を考えると、省に昇格するのは遅かったようにも感じる。これにこれからは本来任務として国際活動が加わってくる。

 私が自衛隊の少年工科学校に入学した頃(40年前)は、海上自衛隊に入れば遠航で海外に行けるチャンスがあると言われていた。それが魅力で海自に入隊した者も多かった。今ではアメリカなら5万円程度で往復航空券を買うことができる。その代わりと言うわけではないが、日本でも実に多くの外国人が働いているのを見かける。もう好むと好まざるに関係なく、日本の国際化は避けられないのである。自衛隊も同様だと思う。北海道の部隊が首都圏の治安や大災害に投入されるように、自衛隊がアジアの治安や大災害に投入される時代になった。しかしそれだけに海外で自衛隊の運用は慎重であるべきだ。アジアには日本人には理解できない宗教観や文化があるからだ。言葉だけでなく、そのような精神面の理解も自衛隊で研修や訓練が必要になる。 

日本政府

北核実験「実施」認定へ

失敗と判断

 核兵器「保有国」と認めず

(読売 10月27日 朝刊)

[概要]日本が独自の調査を続けてきた北朝鮮の核実験を、「未確認」としながらも、”核実験を実施した”と正式に認める見解をまとめ、近く塩崎官房長官が記者会見で公表する方針を固めた。ただし爆発の規模が小さいなどから、実験は失敗だったとして、北朝鮮が「核保有国」とは認めない方針だ。

 政府は空自機による大気中の放射線物質を調査・分析してきた。しかし日本独自で確証を得ることができなかった。その一方で、米国が朝鮮半島上空で自然界に存在しない放射性物質を発見したのに続き、韓国でも同様の放射性物質を採取している。すでに米国と韓国政府は核実験を確認したと正式に認めている。これに、@北朝鮮の豊渓里周辺で通常の地震とは異なる地震波を測定した。A北朝鮮が自ら核実験実施を公表している。の点を合わせて総合的に判断した。

[コメント]アメリカと韓国が北朝鮮の核物質を採取できたのに、なぜ日本は核実験の生成物を採取できなかったのか。米軍のWC−135C大気測定機は朝鮮半島上空で放射性物質を採取していたことがわかった。日本は日本海上空で大気を採取していた。そのため北朝鮮から吹く風の方向で、空自のT−4機は放射性物質を採取できなかった。きわめて単純なことだが、N(核)B(細菌)C(毒ガス)兵器では風がどのように吹くかで被害も大きく影響される。

 まあ、これがイラク戦争前の大量破壊兵器情報と同じ様に、アメリカに追随して誤認となる可能性はほとんどない。むしろいつまでも公式に認めないことが、日本政府の優柔不断さと受け止められる。

 また北朝鮮は実際に核実験をしたのに、日本は核保有国として認めないということは正しいのか。これも正しい。核実験は失敗したことはすでに書いた。また数回の核実験で核兵器の信頼性を得ることもできなかった。それに運搬手段(ノドン・ミサイル)の信頼性がまったく足りない。金正日は拳銃を構えても、その拳銃が本物であることを証明できていない。実際に天井や壁や地面に実弾を発射して、間違いなく実弾が発射できる拳銃だという証明である。究極の威嚇兵器でもある核兵器では、核武装する際にそのような国際的な証明が求められるのである。それによって核兵器による威嚇や核抑止力が成立すると認識されている。

 北朝鮮は7月5日のテポドン2ミサイル発射の失敗で”ミサイルカード”を失った。わずか発射後45秒で空中爆破するようでは、北朝鮮が長距離ミサイルを保有しているとは言えないからだ。また10月9日の核実験でも失敗が明らかになった。北朝鮮にはプルトニウム原爆の核実験を成功する技術力がないことを証明した。最後の"核カード"も失った。

 これで北朝鮮が6カ国協議に復帰しても、北朝鮮に課せられるのは徹底的な核と弾道ミサイルの武装解除と、独裁的な政治体制の変更である。すなわち北朝鮮は瀬戸際外交戦で敗北したのである。

 昨日、スイスが北朝鮮関連の銀行口座を凍結することを発表した。スイスには金正日絡みの秘密口座に40億ドル程度の預金があるという。国連制裁で強制力を持つ第7章とはそれほどの威力がある。さらに国連加盟国は3ヶ月ごとに北朝鮮への制裁内容と成果を国連安保理に報告する義務がある。

 このように北朝鮮ばかりか、中国や韓国も国連決議の厳しさを理解してきたようだ。核武装(核実験)にはそれほどの重さがある。金正日のように石油や食糧援助欲しさに、核実験で脅しが通じるほど世界は甘くないのである。

北朝鮮 核実験

韓国統一相が引責辞任

対北融和は不変?

(産経 10月26日 朝刊)

[概要]韓国の盧武鉉政権で南北統一政策を仕切ってきた 李鍾ソク(イ・ジョンソク) 統一相が、辞意を表明し、盧武鉉大統領もこれを了承した。北朝鮮の核実験で韓国の融和政策が批判され、李統一相が責任辞任する形になった。韓国では11月初旬に、通商省(国連事務総長に選任)、国防相(辞任)、李統一相など外交安保関係閣僚がそろって辞任することになった。

 李氏は北朝鮮の主体思想や、朝鮮労働党などを研究する「親北派」の学者で、金大中大統領に見いだされ、2000年の南北首脳会談にも同行した。盧武鉉政権発足で青瓦台(大統領府)に入り、今年2月に統一相に抜擢され、「南北首脳会談に向けた人事か」と取りざたされていた。

 李氏は北朝鮮の融和政策が核実験を阻止できなかったことを、「国民に申し分けない」と謝罪したが、この一方で事態打開に「南北首脳会談は有効」と発言し、保守、野党陣営から批判されていた。

 韓国では目下、対北制裁決議に基づき、金剛山観光や開城工業団地の2大南北交流事業と、PSI(大量破壊兵器拡散防止構想)をめぐる政策点検の真っ最中だ。しかし政府は「南北の関係の特殊性」を維持し、対北政策が転換する気配はほとんどない。

[コメント]韓国政府がいくら対北融和政策を非難されても、ソウル市民が北朝鮮の大量破壊兵器(毒ガス・細菌兵器)で人質に取られている以上、韓国の対北政策が大きく変わる可能性は極めて低い。

 また昨日は、米軍の制服トップの統合参謀議長が、「米軍は200万人の兵力がある。いつでもイラクと朝鮮半島で戦争が可能だ。しかし精密誘導兵器が中東に集中しているために、朝鮮半島では一般市民に多大な犠牲者が出る可能性が高い」と発言した。しかし、この発言をまともに受ける人はいないと思う。北朝鮮軍への第一撃に使う米軍の精密兵器は簡単に運ぶことが可能だ。それに米軍がイラクやアフガンの戦場で、今も大量の精密誘導兵器を使用している事実はない。また岩国基地(山口県)に近い米軍・秋月弾薬庫(広島県・江田島)には精密誘導兵器を最終調整できる施設がある。38度線に沿った軍事境界線には大量の地雷が埋設されている。また在韓米軍には多連装ロケットシステム(MLRS)が配備され、押し寄せる北朝鮮軍を「面」で壊滅させる兵器が待ち構えている。

 また北朝鮮軍は携行する食糧や弾薬を持たないので、今も朝鮮戦争のような大戦争を起こすことは無理なのである。そんな事実に誰もが気づくのに、米軍統合本部長が「一般人の犠牲が大きい」と指摘したのは、間接的に北朝鮮が配備している大量破壊兵器のことである。

 という事実よりも、私は李統一相のような経歴の者を、青瓦台の表で使う盧武鉉大統領の見識を疑う。 李鍾ソク氏は裏の仕事をするための者である。おそらく金大中前大統領・訪朝の仕掛け人と思うが、これは李氏が裏にいたから出来た仕事である。裏ができるから表もできるというものではない。盧武鉉大統領は李氏を北朝鮮の2重スパイ(不思議なことではない)として使いこなすぐらいの思慮が必要だったのだ。

 この場合、参考になるのは東西ドイツの統一である。ドイツはベルリンの壁が崩れる前に、東西ドイツの実務者クラスで秘密の会合が何度も持たれていた。韓国はそのことを参考して学ぶべきだった。今になって盧武鉉大統領が気がついても、再び李氏を裏で使うことはできない。やはり盧武鉉政権の安全保障・外交・南北関係政策はヘタとしか言いようがない。

 韓国の大統領は背中に北朝鮮からナイフを突きつけられ、正面からは対米関係悪化の政治責任を問われている。そこにきて北朝鮮の核実験である。これこそが北朝鮮が狙う米韓関係の分断というような気がするが、今さらそれでどうなるというものでもない。

 これからは盧武鉉大統領を捨て駒に使い、北朝鮮を安楽死させる道具として活用する以外に方法はない。捨て駒としてなら使い方はいくつもある。ただし本人の自覚が必要となる。 

ミサイル防衛(MD)

「海上型」導入前倒し

防衛庁方針

 「北」実験受け来年中に

(読売 10月24日 夕刊)

[概要]防衛庁は24日朝の自民党国防関係合同会議で、ミサイル防衛(MD)システムの海上配備型迎撃ミサイルのスタンダード・、ミサイル(SM3)を搭載するイージス艦を、当初予定の2007年度末から3ヶ月早め、07年度中に配備する方針を明らかにした。イージス艦の改修に必要な部品を米側から早期に調達し、工程を早める。

 政府はイージス艦4隻にSM3を搭載する計画で、07年度にイージス艦「こんごう」を改修する。その後1年ごとに毎年1隻ずつイージス艦を改修し、10年度に完了する。

 MDシステムでは、海上のSM3が撃ち漏らしたものを地上配備のパトリオット・PAC3が迎撃する2層型。06年〜10年度PSC3の導入前倒し策としては、07年度予算要求で、迎撃弾の早期取得などを盛り込んでいる。

[コメント]今までに何度も、何度も話しているが、イージス艦搭載のSM3はノドンを迎撃できない。その理由はノドンの発射台が移動式(トレーラー車載式)だからだ。普段はトンネルなどの地下施設に配備される。そして発射時にトンネルから出て、ミサイルを垂直に起動し、数時間後には発射できるシステムとなっている。テポドンの様にまず発射台を組み立て、そこでテポドンを組み立て、最後に液体燃料を注入して準備完了ではない。もしノドンが発射されれば、十数分後には日本に着弾する。

 それに数隻のイージス艦を日本海に常時配備しておくことは無理である。また10年度に4隻体制が完成しても、沖縄方面、関西方面、関東方面、東北方面などをカバーするにも無理がある。地上配備のパトリオット・PAC3も射程は20キロ程度という。命中精度を議論しなくとも、ほぼ垂直に落下してくる弾道ミサイルの弾頭を迎撃できる範囲は、直径10キロも満たない狭い範囲である。これでは都市や工場を防衛するのではなく、米軍基地を防衛するのがやっという程度である。朝鮮戦争で日本にある米軍基地を守るために創隊された警察予備隊の時代ではないのだ。

 それにしても民主党がミサイル防衛(MD)に賛成する意味がわからない。MDシステムのことが正確に理解されていないのではないか。最近、ミサイル防衛を導入決定した石破前防衛庁長官の発言が冷笑されている。質問「北朝鮮から核ミサイルが飛んできたらどうすればいいのですか?」。石破「近くのコンクリートの建物の地下に急いで避難して下さい」。「近くにそんな建物はありません」。・・・・・・・・。

 鰯(いわし)の頭も信心という。我々日本人は鰯の頭を拝まされていないか。防衛庁がSM3の導入を急ぐ背景には、北朝鮮が崩壊すればMDは追い風を失い、失速するから急いでいると理解できる。それでは中国の弾道ミサイルはどうか。中国の弾道ミサイルは高度1000キロの宇宙を飛んでいる。射程500キロのSM3ではとうてい届かないのだ。

 今の日本に必要なことは、「王様は裸」という正しい指摘である。政治家、ジャーナリスト、研究者(学者)は、自分に課された責任の重さを自覚して欲しい。日本のMD予算は1兆円規模という。そのお金の輝きに心を奪われ、悪人には見えないという着物を褒(ほ)めてはいけない。

北朝鮮 貨物検査

海自監視強化で対応

政府方針

  周辺事態認定は保留

(朝日 10月24日 朝刊)

[概要]政府は23日、国連安保理の北朝鮮制裁決議を踏まえ、当面は海保による立ち入り検査と、海自の監視活動を強化する方針を固めた。海自による船舶検査の条件となる周辺事態の認定は当面保留し、今後の米側の対応や北朝鮮の出方を待って判断する。

 また船舶検査を後方支援するための特別措置法の制定作業も当面見送る。

 外務省幹部は「米側は当分外交に力を入れる。貨物検査で米軍をどう動かすかの検討は時間がかかる」と分析する。ライス国務長官も、「危機をエスカレートさせるつもりはない。危険な船の情報が得られた時だけ船を特定して検査する」と各国首脳に伝えた。

 このため政府は当面、海保による船舶への立ち入り検査を強化する。船舶への立ち入りは領海の外側12海里の接続水域でも、通関、出入国管理などの法令違反の疑いがある場合は可能だ。

 防衛庁は海自の護衛艦とP3C哨戒機、空自の空中警戒管制機(AWACS)などが日本海と東シナ海で監視。不審な船を発見した場合は護衛艦が追尾して、海保や北朝鮮沖に展開する米軍に情報を提供する。また日米物品役務相互提供協定(ACSA)に基づき、舞鶴(京都)などの自衛隊基地に寄港した米艦船に燃料や水の補給も検討している。

 今後、周辺事態を認定した時は、海自の船舶検査活動と後方支援活動ができるが、船舶検査の実施区域は、対馬海峡と沖縄南西部などの海域を想定。後方支援活動は米軍に限って、日本領海や周辺海域で燃料や水の補給、輸送ができる。

[コメント]下段に書いた昨日の読売の記事「対馬海峡・沖縄西北で」と比較するとわかりやすい。今日の朝日の記事では、まず政府は周辺事態を認定することは延期した。米軍側の動きに合わせるためという。しかし民主党が主張する「(北朝鮮の)核実験で周辺事態を認定すれば、中国やロシアの核実験でも周辺事態を認定することとなる」の批判をかわす意味もある。そのかわりに周辺事態が認定されないことで、自衛隊(空・海)の”警戒”活動範囲が東シナ海と対馬海峡であったものから、日本海まで広く拡大している。また米艦への給油も周辺事態ではなく、ACSAを活用して海自の基地で行うことにした。日本近海で洋上補給など必要ないのである。

 そして最大の特徴は海保が出てきて、対馬海峡で”強制力”を持った”立ち入り検査”を行うことである。海保の船舶(立ち入り)検査は領海(12海里)と領海接続水域(12海里)の合計24海里で、通関、出入国管理の法令違反の疑いのある船が検査対象となるとした。これを対馬海峡の東水道(壱岐〜対馬)に当てはめるなら、両岸から24海里だから48海里が海保の立ち入り検査が可能となる海域である。先ほど、簡単な地図で確認したら両岸の距離は50キロ程度であった。であるから、48海里(約80キロ)なら東水道全域が海保の活動海域となる。

 日本は対馬海峡の東水道を対北朝鮮・船舶検査の主戦場に選んだことになる。そこに海保の新型1000トン級・高速高機能大型巡視船「あそ PL41」(福岡海上保安本部に配備)と、高速特殊警備船(180トン)が待ち構え、海自の護衛艦と航空機が追尾して北朝鮮の不審な貨物船を追いこむ。「あそ」は高性能40ミリ機関砲と高性能20ミリの機関砲を搭載し、速度は4基のウォータージェット推進で30ノット(時速56キロ)以上の高速をだせる新型巡視船である。船内はダメージコントロールが採用され、携帯式の対戦車ロケット(RPG)を被弾しても、浸水や電気系統などの被害を最小限に抑える工夫がされている。

 北朝鮮の核実験実施を受けて、PSI(大量破壊兵器拡散防止機構)を担う海保の動きがどうもおかしい(鈍い)と感じていたが、今までこの方法を検討していたのか。今日、明日にも海保の広報に乗り込んで、探(さぐ)りを入れようと思っていたが、今日のこの記事で全てが読めた。(海保の広報さん)アポ無し参上はしません。

 となると次は、対馬の警備を強化することが重要だ。対馬海峡の東水道に巡視船「あそ」などが貨物検査で展開すると、対馬に佐世保(長崎県)の陸自・普通科連隊が展開して島の警備を強化する。北朝鮮の特殊部隊が密かに侵入し、島の灯台や通信施設を破壊する”嫌がらせ”を防ぐためである。北朝鮮は国連の制裁を宣戦布告とみなすと発表した。だから特殊部隊の攻撃に手頃な対馬を狙う可能性が高い。宣戦布告とみなすと豪語した手前、何かをしなければ恥をかくからだ。しかしほとんどの手は封じられている。それに攻撃の証拠を残すことも危険である。派手な爆破はできないから、放火や誘拐ぐらいはするかもしれない。

 最後に指摘したいのは、周辺事態が認定された場合の海自の警戒海域だが、昨日の読売の記事では東シナ海で海自が警戒する海域を”沖縄の西北”となっていたが、今日の朝日では”沖縄の南西”と変わっている。やはり尖閣諸島近海では中国を強く刺激することを避けたと思う。政府はその程度のことは早く気がつくべきだった。

 ここにきて北朝鮮の船舶検査で主役を演じる海保の登場となった。まあ、今回は周辺事態法の認定は第2回目の核実験実施まで延期されたと判断していいと思う。この機会に忙しくなる前の巡視船「あそ」に乗ってみたいが、こんなことをホームページに書けば当分は乗せてくれないか。まあ、頑張ってくださいね。海保の皆さん。それから陸自から狙撃銃を借りて練習することをお勧めします。北朝鮮籍・貨物船の船舶検査のときに必要になります。

 (写真はテロ対策訓練を行う複合型ゴムボートに乗った海保の隊員。後方の巡視船は「あそ」ではありません。海上保安レポート 2005年より)

イスラエル軍

戦闘で白リン砲弾使用

イスラエル紙報道

(毎日 10月23日 朝刊)

エルサレム共同

[概要]22日付けのイスラエル紙ハーレツによると、イスラエル政府は今年夏のレバノン民兵組織ヒズボラとの戦闘で、イスラエル軍が白リン砲弾を使用したことを認めた。同砲弾は激しい火傷(やけど)をもたらすため、国際的に使用を禁じる動きが強まっている。

[コメント]はっきりと白リン弾を使用した痕跡を見たのは、イラクのファルージャで行われた市街戦の写真だった。米海兵隊が占領した建物の窓に、大量の白い粉が降り積もっていた。すぐに米軍の白リン弾の燃えかすとわかったが、その写真の中にはキャプション(説明文)に、”衣服を焼かず肉体だけを溶かす新兵器を使用した”と書かれていたものがあった。砲弾の破裂で体内(頭蓋骨)に飛び込んだ白リンが燃え、骸骨(がいこつ)が服を着た様な死体だと推測したが、確かな証拠はなかった。確かなことは、今もイスラエル軍と米軍は、戦場で白リン弾を使用しているということである。

対北朝鮮「船舶検査」

政府計画概要

対馬海峡・沖縄西北で

護衛艦・P3C哨戒機を配置

(読売 10月22日 朝刊)

[概要]政府が国連安保理の対北朝鮮制裁で、実施を検討している船舶検査活動の概要が明らかになった。海自の展開海域を二つに分け、海上交通の要路である九州・対馬海峡の東水道(長崎県の壱岐と対馬の間)と、沖縄西北の2つの海域で、護衛艦とP3C哨戒機を配置するのが柱となる。

 両海域で北朝鮮に向かう貨物船を監視し、不審な船舶については、北朝鮮の東と西の沿岸の公海上で警戒する米軍に通報・情報提供する。船舶検査には米軍、オーストラリア、韓国、ロシア、英国、フランスなどの艦船が参加する可能性がある。

 海自とは別に、空自の空中警戒管制機(AWACS)やE2C早期警戒機も上空から北朝鮮の戦闘機の接近などを警戒監視にあたる。このほかに政府は、米艦への給油を目的とした後方支援の実施も検討している。

[コメント]ということは、これから政府は閣議で「周辺事態」を認定して、船舶検査活動法を根拠法にして船舶検査を実施することになる。しかし海自に強制力はないから、不審な船への乗り込み(貨物検査)は行わず、米艦への情報提供の範囲で活動を決めたようである。だから北朝鮮に向かう貨物船が監視の対象となるのだ。米軍以外の外国艦船への給油を可能にする特措法の制定はひとまず様子見となった。(水面下で進められる)。

 また対馬海峡の西水道(対馬〜韓国)は、韓国海軍が担当する海域として調整したようである。また沖縄の北西とは微妙に尖閣諸島に隣接する海域で、日本が最も警戒を強め、日中が緊張している海域での実施となる。。中国海軍はこの船舶検査に参加しないようだが、逆に陸上での貨物検査に徹底さを求められることになる。今回は北朝鮮への抜け道や、見逃しを行えば、国際世論の激しい反発を招くことになるからだ。だから中国も北朝鮮関連の貨物検査を厳重に行うことになる。

 先日、私が出たラジオの生放送(電話出演)で、野党の党首が北朝鮮の核実験では周辺事態法は適応できないと話していた。あまりにも鮮やかに「出来ない」と断言したので、周辺事態法の第6の想定で「出来ます」というところを黙ってしまった。すぐ直接的に否定するのは失礼だとと思ったからだ。しかしその番組のディレクターには放送後に、国連安保理で”地域の平和を脅かす行為”と決議案が採決されれば、日本の周辺事態法が認定できることを伝えておいた。正確に伝わっていれば良いのだが。

 私がこの仕事をやっていると、一緒に出演している著名な文化人が、生放送中に間違った発言(軍事関連)をするときがある。そのときは、相手に失礼にならないように、名誉を傷つけないように訂正するのはかなり難しい。また反対の例であるが、いくら詳しく記者に説明しても、新聞や雑誌に掲載された私のコメントが間違っていることもある。まったく逆の意味としてコメントが使われていたこともある。その様に間違ったコメントの大部分が、私の知らない間にメディアに流される。これを解決するのは本当に難しい問題である。そのようなことが少しでも起きないように、このホームページを運用している意味もある。その目的からも記者諸君は、ドンドンこのホームページを活用して欲しい。

 日本が北朝鮮の船舶検査に参加すれば、北朝鮮と戦争になるという発言を聞いたことがあるが、私は船舶検査で北朝鮮と戦争になることはないと発言している。もし国連の船舶検査で戦端が開かれれば、最も困るのは北朝鮮自身であるからだ。北朝鮮はミサイルや武器ばかりか、ニセドルやニセたばこ、麻薬や覚醒剤などの外貨獲得手段が断たれ、さらに金融制裁で外国からの送金や貿易決済ができない事態になった。さあ困窮する金正日は次ぎにどうでるか。こんなにエキサイトする話しは小説や映画では描ききれない。世紀の同時進行ドキュメントとして皆さんも注視して頂きたい。

中国説明

「金総書記、再実験ない」

日韓、慎重な見方

対北朝鮮

 中国、輸出を制限

(朝日 10月21日 朝刊)

[概要]中国は6カ国協議関連国に、金総書記が唐家旋委員に「再実験はしない」と述べた、と説明した。ただ期間や前提条件は明らかになっておらず、日韓両政府は慎重な見方をしている。ただし北京の外交筋は「中国が米国(神浦・・・ライス国務長官が訪中中)を含めた各国に、どこまで金総書記の発言内容を明らかにしているかわからない」と指摘した。中韓会談に同席した金桂寛外務次官は20日、米ABCテレビに対して「我々は再実験をするとは言っていない。他の人が言っている」と述べた。

 唐委員は中国を訪問中のライス長官に、「幸いなことに無駄ではなかった。米国がさらに積極的かつ柔軟な態度をとるように希望する」と述べ、アメリカが北朝鮮への金融制裁で柔軟な対応をするように求めた。ライス長官は一連の会談後に、同行の記者団に「不法活動に対する法的な手続きだ」として、制裁を解除しないことを示唆。中国の訪朝報告に「特に驚くべきことはなかった」と語った。ライス長官は北朝鮮の行動ぶりから、「拡散防止体制を長く続けるかもしれない。おそらくそうなるだろう」と述べ、制裁が長期化するとの見通しを示した。

 ライス長官に同行しているジョセフ国務次官(国家安全保障担当)は20日、安保理決議の履行問題を中国側と協議した。同次官はPSI(大量破壊兵器の拡散防止構想)の推進者として知られ、中国側に制裁措置の履行と徹底や、北朝鮮が再核実験をした場合の追加制裁についても要請したとみられる。

 中国は中朝国境の一部で、北朝鮮向けの石油や電気製品の輸出に一定の制限をかけていることがわかった。中朝貿易に詳しい関係者は、中朝国境の豆満江(北朝鮮名)沿いの税関で、19日から、テレビ、ラジオなどの電気製品や石油製品の輸出を制限する措置が始まった。ただ食用油などの食品関係は制限から除外されている。また中朝貿易の2/3が集中する丹東では、通関の検査項目が増え、「通関量全体に一定の制限を加えるように指示があったと聞いている」(通関関係者)と語った。

 北朝鮮への石油輸出量が制限されていると情報には、「この問題は秘密事項」(中国国有石油輸出会社の関係者)と述べ、かくにんを避けた。中国は北朝鮮が必要とする年間61万トン(04年)の8割にあたる50万トンの供給を約束しており、中国が石油の供給を制限すれば経済活動に深刻な影響を与えることになる。

[コメント]中国の外交は老獪である。言葉からすべてを知ろうとするアメリカの外交術では理解できないこともあるようだ。しかし日本人には中国人の心を読むことができる。唐家旋国務委員は金正日に最強の拘束力を持つ提案を突きつけた。中国の命令に従うか、あるいは自壊の道を選ぶか、の選択である。

 中国の命令とは、核武装を放棄し、朝鮮半島を非核化すること。そのために6カ国協議に復帰することである。さらには北朝鮮に市場開放への経済改革も求めている。だが北朝鮮がその命令に従うなら、金正日という特異な独裁体制は維持することができない。北朝鮮の独裁体制は外国の情報や交流を遮断し、教育やメディアの統制(洗脳)で維持されているからである。だから北朝鮮が唐家旋氏の命令に答えたのが、昨夜、平壌で開催された”核実験成功を祝う10万人の軍民祝賀会”である。もはや独裁国家・北朝鮮は崩壊する道を修正することはできないのである。

 これからは北朝鮮の崩壊によって、大発生が危惧される北朝鮮国民の犠牲をどのように救うかである。また朝鮮半島の混乱を最小限に抑える準備も必要になる。さらに進んで、南北統一後の国体をどうするか。朝鮮半島の安全保障をどのように構築するかも重要な検討課題である。そのためには韓国の盧武鉉大統領は、今回の北朝鮮の核危機を十分認識できていないように思う。

 私は韓国の朝鮮日報紙の日本版(電子版)を読んでいるが、もしあの社説が指摘していることが間違いないなら、盧武鉉大統領が北朝鮮崩壊に指揮をとることは危険である。そのことはアメリカばかりか、朝鮮半島の隣国である中国や日本も共通の認識と思う。北朝鮮崩壊後の朝鮮半島を北東アジアの火薬庫にしないために、韓国の人々は南北統一の平和な未来像を描いて欲しい。太陽政策では北朝鮮で苦しんでいる人々を救うことはできない。

 日本政府も北朝鮮崩壊に備えた秘密プロジェクトチームを作り、韓国政府や中国政府、それにアメリカと綿密な話し合いを行い、朝鮮半島の混乱を最小限に抑える準備が必要だ。もはや躊躇している余裕はない。

北朝鮮 核実験

唐国務委員・金総書記会談

中国の説得、山場に

北朝鮮側

  真意探る狙いも

(毎日 10月20日 朝刊)

[概要]平壌を訪問中の中国・唐家旋国務委員(前外相)と、北朝鮮の金正日総書記の会談が19日に実現した。中国は北朝鮮が2回目の核実験を強行すれば、国連安保理で追加制裁議論が始まり、朝鮮半島情勢が悪化すると懸念している。唐家旋国務委員はいっしょに乗り込んだ載秉国次官や武大偉次官とともに、金正日に対して核実験の再開に反対していることを示し、6カ国協議に復帰するように促したとみられる。

 すでに中国は北朝鮮への送金停止や、北京〜平壌便の運行を見直しを始めた。中国政府系シンクタンクの北朝鮮研究者は、「北朝鮮に対する中国の無償援助が徐々に減らされていくことは避けられない情勢だ。具体的に石油や食糧など何を対象にするか関係当局が検討している」と明らかにした。

 金正日は中国が国連安保理で制裁案に賛成したことで不信感を増大させている。今回、金正日が唐家旋氏との会談に応じたのは、中国が仲介者になるかの真意を確かめたいとの思惑があったようだ。ただ北朝鮮が「見返り」なしに譲歩することはあり得ず、引き続き核実験再開を示唆しながら、アメリカの金融制裁解除に向けた直接対話を求めるとみられる。

[コメント]北朝鮮の核実験・再開を反対する中国・アメリカ・日本・韓国は、北朝鮮に対していくつもの選択肢を持っている。しかし北朝鮮は弾道ミサイルや核で脅して、制裁の緩和や援助の増加を求める以外に方法がない。この基本原則で北朝鮮はどんどんと追いこまれているのである。

 というのは、北朝鮮が核実験を実施したことで、今までの脅しは脅しではなくなり、より強い脅迫の意味を持つ言葉となったからだ。例えば、相手に向かって言葉だけで「カネをださなければ刺し殺す」と言っていた男が、ナイフを構えて「カネをださなければ刺し殺す」と言うぐらいの違いである。さらに2回目の核実験をすれば、片手で相手の胸ぐらを掴み、もう片方の手でナイフを構えるという危険な状況に進む。この段階で国連安保理が、国連憲章第42条を採択すると軍事行動が可能になる。中国はこのことを心配している。しかし北朝鮮はこれからもアメリカが直接交渉や制裁緩和を拒否すれば、アメリカや日本の胸ぐらを掴むしか方法がないのである。

 そこで中国は徐々に北朝鮮への援助を絞って、その体力(体制維持能力)を奪っていく作戦なのである。いくら北朝鮮の支配層が、2400万人全国民のうち1000万人が餓死しても構わないと言うなら、それを試してみるといいだろう。今までは老人や赤ん坊など、体力の弱い者から餓死が広がっていた。これから若い軍人や労働者など、体力のある者にも餓死がまん延していく。そこで支配層だけが生き残れると思うことに無理がある。

 私は中国の北朝鮮対応は「安楽死」を選択したと思っている。中国はもはやメンツを潰され、危険な賭に出た北朝鮮に遠慮はしない。また、難民の発生などで中国東北部を不安定化させる要因(金正日体制)を取り除くことは胡錦涛政権の国策となった。

 唐家旋国務委員たちは金正日との会談をアポイント無しで、平壌に強引に乗り込んだと聞いた。そして当初に報じられた胡錦涛主席の”親書”もなかった。ただ唐家旋氏は中国の意思を、金正日に口頭で告げただけである。これは今までの中国と北朝鮮の友好的な話し合いではない。唐家旋氏が金正日に向かい、「核実験に怒っている。再度の核実験はするな。6カ国協議に出てこい」と告げただけである。それに対する北朝鮮側の対応は、「より強い危機感を高める」しか方法がないのである。これではアメリカばかりか中国でも、とうてい制裁の解除(緩和)は望めない。やがて、ゆすり、たかりの北朝鮮国家は崩壊する。 

胡主席 北非難

再実験へ最後通告

友好路線から転換も

唐家旋氏訪朝

  実験中止を説得

(産経 10月19日 朝刊)

[概要]中国の胡錦涛主席が17日、北朝鮮を「国際社会の強烈な反応を知らしめる必要がある」と非難したが、北朝鮮が再び核実験をすれば、”最後通告”に近い意味があると見られる。中国は北朝鮮との「血で固めた友誼」といわれる友好関係を、転換させる契機となるとの指摘(中国の関係筋)もでてきた。

 胡主席は北朝鮮の核実験を止められなかったことで、対北政策が失敗し、政権の基盤強化を急ぐ胡政権にとって大きなつまずきになりかねない。中国は国連制裁決議では北朝鮮にぎりぎり配慮したが、再核実験で胡主席の「警告」を無視した場合、北朝鮮に貿易、援助面で大幅な政策転換に踏み切るものとみられる。

 北朝鮮の消費原油の9割、消費物物資の7割を中国が提供しているとされ、貿易額も4割を中国が占めている。文字通り北朝鮮の生命線は中国が握っている。すでに中国軍は朝鮮国境周辺の「警備レベル」を上げた。中国の外務筋は、「食糧援助を停止するつもりはないが、石油供給の蛇口を閉めることは視野に入っている」と指摘した。中国は1974年に北朝鮮への送油システムを構築、11キロのパイプラインで「象徴的料金」で供給している。香港の人権団体は18日、中国の国有企業「中朝友誼輸出公司」(遼寧省丹東)の石油供給は「16日から減少している」と会社関係者の話しとして伝えた。しかし削減量は不明で、老朽化した設備が故障した可能性も排除できない。

 18日、中国政府で外交責任者の唐家旋国務委員や武大偉次官ら外交担当者らが、平壌入りしていることがわかった。胡主席の特使として、北朝鮮を訪問し、2回目の核実験の中止や、6カ国会議への復帰を説得している模様。20日にライス米国務長官が訪中するので、それまでに北朝鮮を説得したい意向と考えられる。

[コメント]昨日、中国の胡錦涛主席が唐家旋国務委員など、中国の対北朝鮮外交のトップクラスを平壌に送り込んだと聞いて驚いた。北朝鮮は合計4回(1回目は済み)の核実験を行うと中国に通告してきたことが明らかになった。北朝鮮が国連の制裁決議後に再核実験を行えば、国際世論の反発が大きく、とても中国がかばいきれるものではない。

 最近の中国では、北朝鮮の指導部と国民は同一ではないとか、核実験は核武装ではないという論調が多くなった。北朝鮮の指導部と国民が同一ではないという指摘は、金正日体制が崩壊することを視野に入れた対応と思う。

 アメリカと中国の関係は、北朝鮮の核実験を経験して激変したと思う。もはや米中の対立は北東アジアばかりか、東南アジアやアフリカまで、地球規模で地域を不安定化するという現実を知った。01年の同時多発テロで世界は激変したが、同じように今回の北朝鮮の核実験でも激変すると感じている。

 昨日、日本で麻生外相と会談したライス長官は、本日、麻生外相と韓国を訪問し、ハン韓国外交交通相と3者会談を行う。そして20日は中国である。この3日間で北朝鮮の運命がほぼ決定する。国家が核実験、核武装という選択すれば、一気にここまで追いつめられていく。

 この動きを注視しているのがイランである。イランはこの機会に核武装する重さを知るべきと思う。また日本の核武装論者も、核武装が日本にとって本当にふさわしい選択か再考すべきだ。

 くどい様だが、日本は切迫する北朝鮮の崩壊に備える必要がある。難民問題ばかりではない、感染症や、武器の流出などにも備える必要がある。

※本日、夜8時から、朝日ニュースター・テレビ(スカパー! 256 110°CS 352)で放送する「ニュースの深層 北朝鮮核危機 不測の事態は!?」に生出演します。司会の葉千栄さんは中国の内幕をすべて話すといっていました。また、テレビで北朝鮮ウォッチーが、「中国は国連安保理の制裁決議に賛成しない」と発言していたことを怒っていました。葉さんは”熱い”ことで有名です。今夜の葉さんの話しが楽しみです。皆さんもぜひご覧下さい。 

北朝鮮核実験

胡主席、失望を表明

「国際社会の強烈な

  反応を知らしめる」

(朝日 10月18日 朝刊)

[概要]中国の胡錦涛主席は17日、訪中をしている扇千景参院議長と会談した。胡錦涛主席は全会一致で採択した国連安保理の北朝鮮制裁決議について、「北朝鮮に国際社会の強烈な反応を知らしめる必要がある」と明言し、「残念なことに北朝鮮は我々の勧告を聞かなかった」と述べた。このように中国の指導者が友好国・北朝鮮への失望を率直に示すのは極めて異例で、中国としても具体的な措置に着手する意向を示した。

 胡主席は中国が多くのチャンネルを通じて、核実験を行わないように求めたことを明かにしたが、北朝鮮はその忠告を無視し、中国はメンツをつぶされた形になった。

 胡主席は扇氏に、「情勢をエスカレートさせ、コントロールできない状況になることは回避すべきだ」と訴え、関係国の冷静な対応を求めた。

 中国の王光亜・国連大使は決議案採択直後に、北朝鮮への貨物検査を「しない」と表明したが、16日に「決議は履行する」と語った。また中国外務省の劉建超報道局長は17日、北朝鮮の再度の核実験について「断固として反対する」と述べ、北朝鮮に責任ある自制を求めた。

[コメント]中国と北朝鮮の非核武装の合意は、搶ャ平主席と金日成主席の時代に行われた会談が最初である。北京で搶ャ平主席が金日成主席に対して、「北朝鮮は核武装の準備を行っているのか」という質問に、「我が国は核武装する気はありません」と金日成は明言した。そのため第1次米朝核危機(94年)で、北朝鮮に軽水炉を提供することで合意されたKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)に、中国は「KEDOが北朝鮮の核武装を防ぐためなら、すでに中国は両国のトップ同士が朝鮮半島の非核化で合意している」としてKEDO参加を断った。また6カ国協議開始の際にも、中国には搶ャ平と北朝鮮の合意が生きているという自信(認識)があった。

 今回の北朝鮮・核実験はその中朝合意を踏みにじったことになる。この経緯を知らないと、北朝鮮の核実験直後に「中国が背後で北朝鮮を操っている」などというデタラメな話しが流れてくるのだ。

 私は今回の胡錦涛主席の言葉は、北朝鮮に対する死刑宣告に等しいと思っている。ただし銃殺刑ではなく、中国は金正日の安楽死を考えて動き出したと思った。すでに中国と北朝鮮国境の街である丹東では、中国による国境を通過するトッラクなどの全台検査が始まったことが確認されている。これがすべての中朝国境で開始された様である。(読売 10月17日 夕刊)。 

 今までの北朝鮮制裁では中国や韓国が抜け道になった。北朝鮮産の農産物や海産物を中国に運び、中国産として日本などに輸出する抜け道である。しかし今回は核実験で中国の行動に世界の注目が集まっている。だから中国は”ズル”ができないのである。すでに丹東の銀行では北朝鮮への送金が停止されたという。

 これからいかに中国は北朝鮮を混乱させることなく安楽死させるのか。中朝国境で貨物の流通が段々と制限され、北朝鮮への金融制裁が強化されると、金正日の首にまかれた真綿のひもが締まっていく。中国の老獪な外交術の見せどろこである。

 私は安楽死のために金正日が中国に亡命する可能性があると思っている。むろん本人の自由意思ではなく、中国側の強い意向による強制亡命である。

北朝鮮核実験

米、「核実験」と確認

大気サンプル分析

 爆発規模は1キロトン未満

外務省首脳

 「米は失敗と見ている」

(毎日 10月17日 朝刊)

[概要]北朝鮮の核実験宣言で、北朝鮮周辺で採取した大気のサンプルから、地下核実験を確認する放射性物質を確認したと、ネグロポンテ米国家情報長官の事務所が発表した。爆発規模はTNT火薬換算で1キロトン未満だという。北朝鮮の核実験を米政府が公式に確認したのは初めて。米国は沖縄の米軍基地に派遣した気象観測機(神浦・・・WC−135C機)で、朝鮮半島周辺の大気を採取して分析を行っていた。

 日本の外務省首脳は17日未明、「核実験したというのはそうだろうが、米国は失敗したと見ている。(米政府に)前から聞いていた」と語った。

[コメント]今でもマスコミ関係者から、「なぜアメリカは核実験を失敗したと推測するのか」、「失敗なら次の核実験はいつか」という質問を何度も受ける。すでにこのホームページの読者には説明済みだが、今回のネグロポンテ国家情報長官(16の米情報機関を統合運用する責任者)の発表はファイナル・レポート(最終報告)に近いものと思うから再度説明したい。

 まず最大の疑惑は核爆発の規模が格段に小さいことである。北朝鮮は最初の核実験では最も確実な方法で核実験を試みると推測できる。それが1945年に長崎で投下された長崎型プルトニューム原爆である。今でもその爆発規模と起爆装置が原始的ではあるが確実性の高い核実験方法となっている。その爆発規模はTNT火薬換算で20キロトンで、起爆装置は爆縮方法となる。それ以外に核爆発を起こす方法もあるが、最も安易な方法の爆縮型を北朝鮮が選択するしか技術力はない。

 しかし今まで北朝鮮が核実験を行わないのは、起爆装置にあたる爆縮装置を完成させる技術がないといわれていた。爆縮は球体のプルトニュームの周辺にTNT火薬を何十ヶ所も仕掛け、100万分の1秒の誤差もなく爆発させ、球体の全表面に均一した超高圧の圧力をかけなくてはいけない。そして球体は中心点の1点にプルトニウムが爆縮され、核分裂を起こすのである。こうしてプルトニウム原爆は核爆発する。

 TNT火薬の起爆でプルトニュームの球体全面に均一の圧力がかけられないと、いびつな形で爆縮が起きてしまう。するとプルトニュームの一部が先に核分裂を起こし、まだ核分裂を起こしていないプルトニウムを吹き飛ばすことになる。これがプルトニウム原爆で起爆装置の欠陥から生じる「未熟爆発」となる。

 今回は事前に20キロトンの爆発エネルギーが推測されていた。しかし実測では1キロトン以下のエネルギーしか放出(核分裂)されなかったことになる。この1/20以下という爆発規模の割合なら5パーセント以下で、95パーセント以上のプルトニウムが核分裂を起こさず飛散したことになる。また北朝鮮が核実験直前に中国に通告した5キロトン程度の爆発としても、1キロトン以下なら全体の20パーセント以下の爆発規模にしかない。80パーセント以上のプルトニウムが核分裂を起こしていないのである。この数値は明らかに核実験が失敗したと判断されるのである。

 これは爆縮を起こす精密な起爆装置の欠陥で、北朝鮮は再度の核実験でも基本的なこの問題で無理だと思う。7月5日にテポドン2が発射後45秒で爆発した時、近いうちに再度の発射を行うとの報道が流れた。しかし私は45秒ではあまりに基本的な欠陥のため、再発射には数年かかると解説した。それと同じで、北朝鮮が再度の核実験を行うことは限りなく不可能に近い。もし北朝鮮の核実験が1回目に成功していれば、信頼性を得るために短期間に5回程度の核実験を行う必要があった。そうすることが核兵器開発の国際常識なのである。しかし北朝鮮は2回目の核実験を行うことができなかった。これでは北朝鮮が核武装をする能力がないとして国際的に評価を受ける。北朝鮮はテポドン発射で長距離ミサイルの開発に失敗し、さらに核実験の失敗で世界に大恥をかいた。北朝鮮とはその程度の国なのである。

 追加で説明すれば、大気から採取した放射性物質はその半減期から、核爆発で起きた地震と同時に発生したことを分析して証明できる。意図的に北朝鮮が空気中に放射性物質だけを放出して、核実験の実施を偽装することはできない。

(日本時間の本日午前7時半頃、アメリカの主要なテレビは北朝鮮が2回目の核実験を行う兆候があると報じた。その場所は1回目の核実験場の近くで、人や車の動きが米偵察衛星で察知されたという。)

政府方針

海自 船舶検査参加

「周辺事態」で対応

新法整備も視野

(読売 10月16日 朝刊)

[概要]政府は北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議採択を受け、米軍が日本海で北朝鮮に出入りする船舶の検査を実施した場合、「周辺事態」を認定して対応する方針を固めた。これによって「船舶検査法」に基づき、海上自衛隊が船舶検査に参加するほか、米艦に対して給油などの後方支援を行う。また周辺事態法では米艦以外に後方支援ができないことから、新たな法整備も視野に入れている。

 周辺事態法が規定する”日本の平和と安全に重要な影響を与える事態”のひとつとして、「ある国の行動が国連安保理で平和への脅威と決定され、経済制裁の対象となる場合」を挙げており、今回の一連の事態はこれにあたると判断した。

 麻生外相は昨日のNHKの番組で、「時間的なことを考えると、周辺事態法で当面、対応する。(あらたな法整備は)時間をかけてやる。この2段階の考えがあると思う」と語った。また現行の船舶検査法では海自が強制的に停船させられない問題を、「オーストラリアや米軍に逃走した船をきちんと連絡するなどのやり方がある」と述べ、各国と連携しながら実現したいとの考えを表現した。

[コメント]これは国連安保理の制裁決議に、できるだけ早く日本側の対応を急ぎたい外務省サイドの考えである。船舶検査法では海自は船舶検査の際に、強制的な停船命令(威嚇射撃など)が出せず、船内検査も相手の船長の了解を得て乗船することが求められている。だから貨物船が海自の命令に従わない場合(無視)は、オーストラリア艦や米艦に通報して捕らえてもらうという考えである。

 いかにも外務省の官僚が考えそうなことだが、これは自衛艦にとっては屈辱的な任務だと考えないのか。これも自衛隊員の両手を縛って、イラクの戦場に送ったことの再現である。この様なことに防衛庁は”耐えられない屈辱”であると表明すべきである。自衛官が厳しい訓練を行っているのは、無視されたら”通報”して米艦にやってもらうためではない。

 これは安倍首相が求めている「集団的自衛権」の”解禁”への環境を整備させる目的も感じる。”米艦が北朝鮮近海で北朝鮮への船舶検査をしているとき、その米艦に給油中の自衛艦は米艦が攻撃を受けた時、ともに反撃できずに現場から退去するしかないが、そんなことで日米安保は信頼性のあるものになるか”という安倍首相の問いかけと同じだからだ。

 それに今回、各国の艦船に給油が必要なのは日本近海である。わざわざ洋上で海上自衛隊の輸送艦が給油しなくとも、米艦以外の艦船にも対しても、博多港、境港、長崎港、佐世保港、真鶴港など、日本のいろいろな港で給油や補給、乗員の休養などを行うことが可能である。インド洋ではないのである。

 たとえ新しい特別措置法を作って、米艦以外の各国艦船に給油などの後方支援が可能になっても、憲法9条によって海自・艦船による武力を行使しての船舶検査はできない。(現在の対テロ特措法と同じ)。この現実を認識することが必要だ。

 日本は国連決議が行われる前に、北朝鮮に対して独自の厳しい制裁案を決定した。このように日本は武力以外でも、北朝鮮に対して日本で行える最大限の範囲で制裁を加えている。日本が軍事行動で北朝鮮・制裁に参加できなくとも、各国は日本を笑うことはないと思うし、信頼を失うことはないだろう。むしろ日本の非軍事的な対応を評価すると思う。そんな大国が世界にひとつあってもいい。北朝鮮の核実験で日本人の平和主義が吹き飛ばされないようにしたい。

北朝鮮核実験

米 「失敗」を示唆

放射性物質は検知

(産経 10月15日 朝刊)

[概要]ネグロポンテ米国家情報長官は13日、連邦議会に対し、北朝鮮上空付近で放射性物質が検知され、「核爆発のものと一致する」との書簡を送った。14日付の米紙ニューヨーク・タイムス紙が報じた。ただしどの様に採取し、どの程度の量で、どのように分析したか明らかにしていない。このように北朝鮮の核実験で、空中から放射性物質が検知されたのは初めて。

 一方、米政府高官がAP通信に北朝鮮の核実験は失敗だった可能性を示唆した。米政府高官は「8割の確率で核爆発と信じるが、核爆発はしぼんだような感じで、失敗だったようにみえる」と述べた。これが北朝鮮の核政策を核実験の失敗で過小評価するためとの指摘もある。

[コメント]昨日(14日)の朝日新聞の夕刊で、13日付の米紙ワシントン・タイムズが北朝鮮の核爆発がTNT火薬換算で200トン程度との小爆発と報じた。最も原始的なプルトニウム原爆の長崎型が20キロトン(20000トン)だから、200トンはその1パーセントに値する。最高時速が200キロで走る車なら、北朝鮮製の新車は時速2キロしかスピードが出なかったことになる。まるで子供三輪車並みである。いくら核分裂で1パーセントのエネルギーしか放出されなくとも、核分裂が起きたので核実験は成功したと言えるだろうか。やはり私は北朝鮮の核実験が成功したという印象を持つことができない。

 以前、東京都庁に安達祐実あての小包爆弾が郵送されてきたことがある。その小包を開封する際に爆発し、担当の係員が手の指を吹き飛ばす事件があった。その事件を報じるTVニュースで、机のまわりに血が飛び散り、さらに周囲に黒い粉がまき散っていた。この黒い粉は花火などに使われる黒色火薬で、点火された少量の火薬が先に爆発し、爆弾のケースが柔らかい紙箱のために、全部の火薬が爆発する前に大部分の火薬が飛び散ったものである。もしこれが硬い鉄製の筒に密封されていたら、すべての火薬が大爆発して鉄筒の破片が飛び散り、大事件になっていただろう。

 北朝鮮のプルトニウム原爆はこれと同じ原理で失敗したと思われる。すなわちすべてのプルトニウムが核分裂を起こす前に、最初に起きた部分的な核分裂で大部分のプルトニウムが核分裂を起こす前に吹き飛ばされてしまったのだ。これがプルトニウム原爆の典型的な失敗例で、不完全な爆縮で起きる”未熟爆発”という現象である。

 でも最近のマスコミは、核実験の成功か失敗よりも、強制力を持つ国連安保理の制裁決議で、第7章41条が全会一致で採択されて、臨検のやり方や日本の参加に焦点が移っている。だが、第41条の国連の「非軍事」制裁でも、経済や産業基盤の弱い北朝鮮では大打撃になることはいうまでもない。周辺国は軍事力を行使することなく、国連制裁で金正日体制を崩壊させることは可能だし、北朝鮮の人々が独裁の支配体制を崩壊させることが容易になる。

 日本は軍事的な制裁参加を模索するより、北朝鮮崩壊直後の緊急事態を本気で検討を開始すべきと思う。13日、テレビ局のヘリで横浜港上空を飛んだ時、港内にある米軍のノース・ドックでは、北朝鮮有事に備えた上陸用舟艇(30隻)のうち、大型の上陸用舟艇(10隻)が”陸置き”から海に降ろされて、桟橋に繋がれていた。すでに米軍はさりげなく北朝鮮崩壊に備えて動いていると感じた。そして横須賀の米海軍の様子を取材し、時間があったので、ついでに武山の空自・パトリオットの実戦配備を上から見せて頂いた。

 本日は久しぶりの日曜だが、核実験で忙しい休日になった。これからシャワーを浴びて、都心のテレビ局に向かう。明日の番組のインタビュー録画を撮りたいそうだ。

北朝鮮制裁

船舶検査へ参加検討

政府

 海自、米軍を支援

(読売 10月14日 朝刊)

[概要]政府は国連安保理が北朝鮮の核実験実施発表に対する制裁決議を採択し、米軍が北朝鮮の貨物船などの船舶検査を実施する場合、米艦船への補給などの後方支援に加え、船舶検査自体も参加する方向で検討に入った。周辺事態法と船舶検査法を根拠法にするのもで、安保理で採択後、米国と調整して実施方法などを判断する。

 政府は安保理で北朝鮮制裁決議が非軍事的措置に限定する見通しになったことで、「後方支援では限定過ぎる。周辺事態法で認める範囲で踏み込んだ方がいい」(政府筋)との声が強まった。防衛庁幹部も同様な考えを述べ、海自が船舶検査を検討していることを明らかにした。船舶検査法に基づく船舶検査は、閣議での周辺事態が認定されることが前提になるが、海自艦船は船舶に停船を求め、その承諾を得て乗船し、船舶の書類と積み荷を調べることを想定している。ただし停船命令に従わない場合、艦船は警告射撃を行う強制力を持ってるが、海自は憲法の制約上で武器使用は正当防衛に限られるために、命令を無視した船舶に警告射撃はできない。

 政府内には、「強制力を持たない日本が参加した場合、多国の足を引っ張りかねない」との懸念もある。そのため日本が米軍と連携し、米軍の活動の補完にとどめることが予測される。

[コメント]日本は国連憲章の第7章 41条 「非軍事による制裁」に沿って、安保理が制裁決議を採択することは予想し、42条の「軍事力による制裁」では憲法の制約でまったく関与できなくなることを心配していた。

 しかし41条で行う臨検とは、これが軍艦などが軍事活動で行う臨検ではない。臨検と呼ばず、疑惑船への”船内検査”や”立ち入り検査”のことである。だから米海軍の艦船であっても、武器の使用は検査官などの正当防衛に限られる。しかし、それでは北朝鮮の不審な貨物船が停船命令に従わなかったり、武器を使用して抵抗してくればどうするのか。その場合は、41条が正常に適応できないとして、国連安保理に42条の適応を求めることになる。そこで42条の「軍事力行使」が認められと、貨物船が停船命令に従わず、武器を使用して抵抗すれば、たとえ貨物船が機関銃を発射しただけでも、軍の艦船は機関砲や対艦ミサイルで攻撃し、貨物船の抵抗力を完全に奪って軍事的な臨検を行う。その場合、その貨物船が沈没しても軍事行動では正当となる。

 だから北朝鮮は第42条の適応を必死に避けて、船員に停船命令や船内検査に抵抗するなと厳命する。しかしである。いくら武器の使用が正当防衛しか認められていなくとも、銃の砲の威嚇は国際的に41条でも別問題である。北朝鮮の貨物船の近くに接近した艦船の甲板に、大型狙撃銃や機関銃などが並び、銃口が疑惑船の操舵室に向いていれば、北朝鮮の貨物船はこの停船命令に従うしかない。

 さてここで問題になるのは海自の立場である。いくら周辺事態が閣議で認定されても、外国の艦船のように威嚇の武器使用は禁じられる。また相手(船長)の同意を得なければ検査官が乗船できない。また停船命令を無視されても、無理矢理停船させる強制力はない。日本は憲法によって軍事力の行使を禁じられているからである。北朝鮮貨物船への護衛艦(海自)の停船命令は無視され、一切の船体検査ができないことはいうまでもない。

 このことは海自にとって侮辱であり、日本にとっては国辱であると思う。だから安易に、政府は周辺事態を認定して、両手を縛った海自艦船を投入することは避けて欲しい。とにかく今の日本は、戦争ができないことで世界の平和に貢献するしかないのだ。

 幸いなことに北朝鮮の国力は戦争で潰す必要がないほど疲弊している。経済制裁や金融制裁で十分に壊滅的な打撃を与える。今まで北朝鮮への経済制裁下でも、北朝鮮産アサリやマツタケが中国産として日本に運ばれた。このような偽装工作は中国の”暗黙の了解”で行われた。しかし核実験で中国はその”暗黙の了解”は国際的な強い反発を浴びることになる。もう中国は密輸や偽装などの抜け道はできないのである。

 また国連安保理で経済制裁が採決されれば、中国もその議決内容に従う強制力が発生する。これで北朝鮮の体制を崩すことは十分に可能と思う。日本など周辺諸国は軍事力を使うことなく、核武装した金正日体制を崩せるという意味である。それほど国連憲章第41条の採決は北朝鮮にとって重大な意味がある。

 日本では臨検や周辺事態や特措法などと、問題の中心点からはずれた議論ばかりをしか行っていない。むしろ中国や韓国が安保理決議を無力化(抜け道)することを警戒すべきと思う。

 これは日本が核戦争や核拡散という最悪のケースを避けるためと、北朝鮮国内で圧政のために苦しんでいる人々を助けるためだ。 

北朝鮮核実験

特措法を政府検討

船舶検査 後方支援

 

(朝日 10月13日 朝刊)

[概要]政府は北朝鮮を対象とした船舶検査の後方支援活動するための特別措置法の検討を着手した。北朝鮮の核実験に対して国連安保理が制裁決議に船舶検査が盛られた場合に、諸外国が行う船舶検査の支援を可能にする特措法の整備である。

 海上自衛隊が直接船舶検査を行うには周辺事態の認定が必要だが、政府は現状での認定は困難と判断している。周辺事態法に基づく燃料補給も米軍だけが対象で、範囲も日本近海に限られている。このため自民党内から特措法に基づく後方支援案が浮上してきた。

 久間防衛庁長官は12日の参院予算委員会で、「国連決議で各国が動き出した時に、どういう事態が推移するかも分からない。周辺事態ととして認定する状況が出てくる可能性もある」と指摘。周辺事態を認定する可能性を示唆した。

[コメント]アメリカが一国や有志連合で、北朝鮮に軍事的な圧力を加えることを嫌っていると昨日の下段に書いた。

 国連安保理で制裁に臨検が採決されても、北朝鮮は臨検には抵抗するなと船員に厳しく命じると思う。北朝鮮船員の反抗(抵抗)や命令無視は、軍事行動が許される国連憲章第42条の軍事行使につながるからである。「制裁は宣戦布告とみなす」といっても、中国やロシアを含んだ国連相手に、北朝鮮が戦争をできるわけがないのだ。だから久間防衛庁長官が考えるような「将来、周辺事態にエスカレート」するとは考えられない。また周辺事態が認定されても、日本が行えるのは日本海の米艦への後方支援だけで、核実験に対する国際的な非難を結集した国連総意の制裁を支えるイメージと離れる。

 そこで新たな特措法制定という臨時措置で、国連決議に基づいて参加国が行う臨検を日本が支援するという形になると思う。しかしこのことで、日本は集団的自衛権の壁をもうひとつ築くことになる。日本(自衛隊)対アメリカ(米軍)という構図ではなく、日本対国連という構図を築くことになるからだ。この場合の日本という意味には、海保のような治安機関も含まれる。すなわち集団的自衛権など軍事行動という専門性が薄れることになる。これでは集団的自衛権の範囲と離れることになる。

 私は国連憲章の第41条(非軍事)であれば、海保が行うPSI(大量破壊兵器拡散防止)として船舶検査に参加が可能と思う。あくまで軍事行動ではなく、警察活動として範囲が限定されているからである。それも中ロ韓米などの海洋警察組織が、共同して船舶検査をすることが望ましい。

 今週中にも採択される安保理の制裁決議も、この41条あたりが落とし所で、そこに海洋警察組織が行う船舶検査(臨検)を含ませるかどうかである。北朝鮮が今後、ミサイルや核部品などの大量破壊兵器を、国外に持ち出して売ることは十分考えられる。だから北朝鮮に対する船舶検査の実施は、国連安保理の制裁案の中にに盛り込むことは避けられない。

 だから海上自衛隊が臨検の支援に参加できる特措法の制定は、42条の適応が採択されてからでも遅くはない。まずは海保のPSI対処を基準に北朝鮮船舶の臨検を考えるべきと思う。 

米大統領

「北朝鮮を攻撃せず」

日韓と防衛協力強化

(毎日 10月12日 朝刊)

[概要]ブッシュ大統領は11日、ホワイトハウスで記者会見し、中国や韓国を含む6カ国協議の参加国首脳と電話協議を行い、「強い安保理決議」の必要性で一致したことを明かした。北朝鮮が核開発の理由を、米国からの攻撃を阻止するための抑止力を挙げていることに対しては、「米国は朝鮮半島に核兵器を保有していない」、「北朝鮮を軍事攻撃する意思はない」と明確な姿勢を示している、と説明した。

 ブッシュ大統領は北朝鮮の核実験が国際社会の脅威と指摘し、北朝鮮の挑発行為が「重大な危機」を招くことを理解させる重要性に言及した。その上で、北朝鮮と関係の深い中韓両国も、北朝鮮に「強い非難声明」を出していることを歓迎した。

 現在、国連で議論が進む安保理決議については、具体的に、北朝鮮の核・ミサイル技術の輸出禁止と、大領破壊兵器開発を支える金融取引を阻止する措置を盛り込むべきと主張した。北朝鮮との直接協議については、6カ国協議の参加国が共通のメッセージを送ることが重要とし、その可能性を排除した。

[コメント]北朝鮮の核実験直後に、日本のメディアから最悪のシナリオとして、北朝鮮が日本に核ミサイルを発射(核攻撃)するケースと、その前にアメリカ軍が北朝鮮を先制攻撃するケースについてコメントを求められた。さらに時間が経過すると、北朝鮮への海上封鎖や臨検で、朝鮮戦争が再発するケースのコメントも求められた。それも1日に1本や2本の電話ではない。同じ内容の電話が5〜10本も入る日があった。

 日本人の心理が北朝鮮の核実験で、強い不安な状態になっていることは理解できるが、メディアがいい加減な推測でさらなる不安を煽ってはいけないと思う。

 前々から何度も説明しているが、アメリカや韓国は北朝鮮を軍事攻撃できないし、北朝鮮も安易に韓国や日本にミサイル攻撃できないのである。

 1994年に北朝鮮の核兵器開発が発覚して、アメリカのクリントン政権と金日成の北朝鮮との間で軍事危機が高まったことがある。これが第1次米朝核危機である。この時、アメリカは北朝鮮の寧辺の核施設を、巡航ミサイルなどで攻撃する軍事作戦を検討したことがあった。ここまでの話しは正しい。

 しかしアメリカは北朝鮮を軍事攻撃ができないことを理解した。このことを知らない人が多いようだ。なぜアメリカは寧辺を軍事攻撃できないかといえば、非武装地帯(軍事境界線)から北側に地下陣地が網の目のように作られ、そこに北朝鮮軍はソウルを射程に入れる長距離砲(170ミリ)、地対地ロケット・フロッグ7、スカッドB/C、多連装ロケット発射機などを幾重にも配備している。これらの兵器には弾頭に化学弾や生物弾が装填してある。これらがアメリカ軍や韓国軍の攻撃を察知すると、ソウル市街や在韓米軍の頭上に降り注ぐのである。北朝鮮は朝鮮戦争後に貧者の原爆と呼ばれる生物・化学兵器で、核兵器を配備しているアメリカ軍の攻撃を抑止した。これが今も生きているのである。

 ベトナム戦争後はベトコンのトンネル戦術が教訓となり、北朝鮮軍の地下陣地化が大きく進んだ。もはや圧倒的に優勢な米韓軍であっても、北朝鮮軍が非武装地帯付近に隠した地下陣地を先制的に攻撃して壊滅することは不可能である。これが北朝鮮の寧辺を攻撃できなかった理由である。それからカーター元大統領の訪朝が行われ、とりあえず核危機は解消した。

 現在の北朝鮮軍は戦車や航空機の燃料や部品がなく、戦争どころか演習や実戦的な訓練も行われていない。しかし非武装地帯近くの地下に配備した生物・化学兵器だけは、厳重に手入れが行われ、常に即応で発射できる態勢が維持されている。

 ご存じのように在韓米軍が非武装地帯からソウル後方に移転することが決まると、北朝鮮はスカッドを改良して射程を伸ばし、後方に移転した米軍司令部を攻撃できる能力を維持しようとしている。

 それでもアメリカ軍の兵士は化学防護服を装備し、駐屯地の建物も機密性を高めて生物・化学兵器に対処できる様にすることができる。しかしソウルなど非武装地帯に近い都市に住む人の防護には限界がある。また、ソウルに潜伏している北朝鮮の工作員が、主要な建物や地下街で生物・化学兵器を散布する可能性もある。

 しかし北朝鮮の生物・化学兵器は、米韓軍への”抑止力”という政治的な意味で使われている。もしこれを北朝鮮が先制的に使って攻撃すれば、大変な報復を米韓軍から受けることは間違いない。だから北朝鮮人民軍と米韓軍は、第2次朝鮮戦争を再開して戦うことができないのである。(誤認・誤射の可能性はある) こうした軍事施設が朝鮮半島を最後まで分断国家として固定化させる原因になった。

 このあたりの現状が正しく理解されていないと、アメリカが先制的に北の核施設やミサイル発射場を攻撃するという最悪のシナリオが生まれてくる。日本人に不安をまき散らして防衛予算を増額させるとか、テレビの視聴率や本の販売数を増やすことは有害と思うのだが・・・・・。

 もし北朝鮮軍の生物・化学戦能力がどの程度か興味のある方は、韓国の国防白書に詳しく記述してある。イラクのフセイン政権のようにこれは疑惑の問題ではない。生物・化学兵器の研究施設と規模、生産工場と年間の生産能力、貯蔵所と貯蔵量など、その情報収集は難しい作業ではない。ちなみに韓国の国防白書では、北朝鮮が蓄えた化学兵器の貯蔵量は4500トンで、生物兵器の貯蔵量は1トンと推測している。

 北朝鮮軍は10年以上前から、迫撃砲などにも化学弾を使うことを想定している。そのため通常の訓練にも化学防護服や防毒マスクを装着て訓練を行う回数が増していた。しかし最近では部隊の食糧が不足して飢餓が広がり、そのような化学戦の訓練さえも行う度合いが激減している。だから金正日が抑止効果を補うために、核実験を行ったという指摘も間違いではない。

北朝鮮 核実験

北、追加核実験の可能性

韓国分析

 北東部に不審な動き

(読売 10月11日 朝刊)

[概要]韓国国家情報委員会の辛基南委員長(与党ウリ党)は、「北朝鮮が前回の核実験よりも、さらに強力な核実験を行う能力を持ち、追加の核実験を行う可能性が高い」と韓国のKBSラジオで述べた。これは韓国の情報機関・国家情報院から同委員会に寄せられた情報だという。国家情報院の金院長は9日の同委員会で、北朝鮮北東部の吉州郡豊渓里周辺で依然不審な動きがあるとし、「北朝鮮が連続して核実験を行う可能性がある」と指摘している。韓国地質資源研究院の池地震研究センター長も、「パキスタンなどのケースでも核実験は複数回行われ、様々なデータを収集するために、核実験を繰り返す」と語った。北朝鮮は核爆弾7,8個のプルトニウムを保有しているとされている。

 一方、米ワシントン・ポスト紙(電子版)は10日、米当局者の話として、北朝鮮の核実験では爆発が極端に小さかったとの分析があると報道。その原因として「爆弾の一部だけが爆発した可能性」が最も高いとした上で、「その場合は北朝鮮は失敗の原因を探るために、追加の核実験を行う可能性がある」と伝えた。

 最近の核実験では数回実験を重ねるのが一般的で、98年5月のインドとパキスタンの核実験でも、いずれも1回目の地下核実験の2日後に実験を行った。インドは5月11日の実験では3種類の核装置を爆発させ、核弾頭の信頼性の向上や小型化に関するデータの収集。同月28日のパキスタンも2日後に再び核実験を実施したとされる。

[コメント]核兵器の常識に従うなら、北朝鮮は第1回目の核実験(10月9日)より短期間内に再度の核実験を行うのが普通である。それを行えないなら、北朝鮮の核爆弾は深刻な欠陥を持っているか、北朝鮮は核武装をする能力や意思がないとなる。

 これは第1回の核実験が成功か失敗の問題ではなく、国内外に核爆弾の信頼性を証明するために、複数回の実験はぜひ必要なことなのである。1回目が失敗したから2回目で成功させるのではなく、たとえ1回目に成功しても1回の実験だけでは、たまたま実験に成功しただけで確かな信頼性は得られない。これは宇宙ロケットの発射実績のように、複数回の発射を実施して、その成功させた割合で信頼性を得るためである。

 これが究極の兵器である核兵器の宿命である。だから北朝鮮は核武装が目的の核開発ならば、核実験で核爆弾の信頼性を得るために、複数の実験用核弾頭の製造や、複数回行う地下核実験場の準備が必要なのである。失敗したから「やり直し」のための再核実験だけではない。

 先日のNHKテレビの報道では、パキスタンは1日目の核実験で5回の核実験を行い、さらに後日にもう1回で、計6回の核実験を行ったという。私は後日に行った追加の6回目は、軍事専門家の間で語られている、”北朝鮮がパキスタンに核爆弾を持ち込んで行った核実験”と推測している。1日目に行われた5回の核実験の中に、北朝鮮の核爆弾を紛れ込ますと、パキスタンはこの核実験が成功しても、国家として核兵器の信頼性が得られないからである。それほど国家の核武装にとって、核爆弾の信頼性確保は極めて重要なことなのである。

 我々日本人はそのあたりの軍事常識に欠けるから、98年8月のテポドン騒動のように不必要な大騒ぎを扇動されたりすることになる。

 今、北朝鮮が行った1回目の核爆発で爆発規模が小さかったことから”失敗”の疑惑が指摘されている。それ以上のレベルの問題として、北朝鮮が短期間に2回、3回の核実験を実施できなければ、北朝鮮の核爆弾の能力は実用に耐えられないほど、信頼性が低いという判断が下されることになる。このことは北朝鮮が目論む「核兵器による威嚇」が通じないことになる。たった1回の核実験では「核による威嚇」は許されないのである。

 北朝鮮は核実験でパンドラの箱を開けた。そして莫大な費用を費やす核兵器配備や、周辺国などに与える極度の緊張と報復心、さらには日本や韓国や台湾の核武装化(核拡散)もそのパンドラの箱に入っていたと気がついたようだ。

 だから金正日は核実験で自滅の道を選択し、まさに我々が予告した通りに自殺行為を実施した。

北朝鮮 核実験

北朝鮮制裁に焦点

中国が慎重姿勢

(新聞休刊日 10月10日)

  昨日の北朝鮮の核実験実施を受け、各国は北朝鮮に対する制裁協議が始まった。まず国連安保理の北朝鮮・制裁案だが、国連安保理の追加制裁の場合、常任理事国が拒否権を行使しなければ、ほぼ決議され、国連加盟国すべてが決議に従うことが義務づけられている。もちろん国連憲章第7章の第42条の軍事的な制裁は考えられないが、経済制裁などは採決される可能性が高い。その中でも、特に北朝鮮船舶のすべてに臨検を行う方針だが、これがアメリカ単独や有志連合で行うのではない。中国、ロシア、韓国を含む国連加盟国で、北朝鮮貨物船の臨検を行うことになる。

 臨検の方法だが、北朝鮮の港に向かう船よりも、北朝鮮から出港してくる船が臨検の重点となる。北朝鮮から核爆弾が密かに持ち出され、海外のテログループに売られることを阻止するということが表向きの理由になる。具体的には中国や韓国やロシヤやアメリカの艦船(主として水上警察)が、北朝鮮の貨物船を取り囲んで包囲する。そして艦船に搭載している砲や機関銃を疑惑の貨物船に向け、逃走したり、抵抗すれば銃撃して制圧する。貨物船を制圧した後、さらに至近距離に接近し、艦船の銃砲の援護下に検疫官(特殊部隊隊員)がゴムボートやヘリで乗り移る。上空には艦船から飛び立ったヘリの武装隊員が警戒援護する。貨物船の乗組員が反撃すれば、容赦なく銃弾を浴びせることになる。しかしこれはあくまで正当防衛の警察行動で、破壊や撃沈が目的の軍事行動とは一線を喫している。この線は臨検を軍事行動に移らせないために厳守される。海上の臨検で生じた数発の銃弾(銃撃戦)が、平壌への先制攻撃に飛び火したり、ソウル市街や在韓米軍への生物・化学弾頭での攻撃を避けるためである。

 日本は国連の制裁とは別に独自の制裁を検討しているようだ。北朝鮮と日本の間で、人、もの、カネ、船(飛行機を含む)の動きを止める制裁案のようである。しかしあくまで制裁の主体は国連に重点を置くべきで、中国や韓国と共同して北朝鮮制裁に動くことが重要だと思う。日本人の拉致問題も、その中に加えるように働きかけたほうが効果的だろう。中国や韓国を巻き込む方法だ。

 北朝鮮は自らの判断で自滅への道を選択した。核武装(核実験)が体制存続の最後の手段と考えたようだが、もはや崩れゆく体制を支えることはできない。多くの人の予想通りに、金正日はさらなる制裁と深い孤立を招いただけである。北朝鮮国内で核実験成功のお祭り騒ぎが終わり、その先にはさらなる飢餓と酷寒の冬が待っている。

 これから国連安保理で北朝鮮制裁案の行方と、13日(金曜日)に予定されている中韓首脳会談で、北朝鮮の運命が決まることになる。北朝鮮は核実験の実施で自らの運命を選択することを放棄した。今後、あれが”最後の恫喝”であったと人々に語られることになる。そして崩壊した北朝鮮にIAEA(国際原子力委員会)の検査官が入り、完全に北朝鮮の核施設が破棄されたことを確認して”朝鮮半島・非核武装化”宣言をだすことになる。

北朝鮮 核実験

関連新情報とコメント

(10月9日 15時〜)

  北朝鮮の核実験だが、世界各国から段々と情報が入ってきた。やはり最大の疑問は爆発威力の少なさである。韓国ばかりではなく、日本、ロシア、アメリカも核実験の地震波を測定した。その結果、韓国ではM(マグネチュード)3,58で、アメリカではM4,2だと公表された。日本でも地震波を感知したが、M値はまだ公表されていない。 (日本の気象庁はM4,9と発表した)

 韓国の地質資源研究院では今回の爆発を、M値からTNT(高性能軍用火薬)で400〜500トン規模の爆発力と推定した。事前の推測では北朝鮮の核爆発は15キロトン(15000トン)〜20キロトン(20000トン)であった。今回の核実験はあまりにも爆発力が少ない。プルトニウム原爆の起爆装置は爆縮させて核分裂を起こすが、精密な爆縮が起きなければ爆発エネルギーは20パーセントとか、40パーセントという場合もある。今回の核実験では予定の2,5〜3,3パーセントしか核分裂でエネルギーしか発生させられなかたのだ。だから今回の爆発エネルギー量からは、北朝鮮の核実験は失敗したという見方が生まれる。これからこの部分の問題が冷静に検証されると思う。北朝鮮は完全な起爆装置(爆縮)を完成できなかった可能性が極めて高い。私は北朝鮮の核実験は失敗したと考えている。(今までの情報から分析した結果)。

 これを北朝鮮が小型核兵器の実験に成功したという指摘があるが、最近、アメリカが小型核弾頭の研究をしているのは1キロトン(TNT火薬で1000トンに匹敵)クラスで、それも核兵器大国のアメリカでも最先端技術の核兵器である。北朝鮮やイラクの深い地下陣地や核開発施設を、大量の放射能を空中にまき散らす量を限定して核攻撃できるからである。とても北朝鮮が挑戦できるようなものではない。

 また沖縄の嘉手納基地からWCー135C大気収集偵察機が飛んでいないことは、仮に北朝鮮が完全な核実験に成功していても、地上に微量の核物質が出てくるのに数十時間かかることと、風の向きで大気の放射性物質が流れる向きが異なる。もし日本海側に風が吹かなければ、大気から微量の放射性物質は採取できない。そのために飛行しない場合もある。航空自衛隊のT−4練習機も同じ目的で日本海上空で大気の採取を行う。

北朝鮮核実験

朝鮮中央通信が発表

韓国のメディアも報道

(10月9日 11時53分)

[概要]先ほど、韓国の聯合通信が北朝鮮が核実験を実施したと報道した。また北朝鮮の朝鮮中央通信も、「安全に核実験を実施し、成功した」と報じた。今までのところ日本では地震波を確認していない。核実験としては爆発規模が少ないとの見かたがある。マグネチュード3,58程度と小規模。

[コメント]プルトニウムの核実験では、完全な爆縮(核分裂)ができなかった場合、爆発規模が小さくなる。これは失敗ではないが、不完全な核爆発を起こした可能性がある。とにかくこれからの事実確認を待ちたい。

 ロイター通信によると、北朝鮮は核実験を行う20分前に、中国に事前通告をしてきたと報じた。しかし20分前では罪を軽くすることはできない。何も対応できないからだ。さらに情報を待っている。

靖国参拝

中国、争点化せず

首脳会談

  関係改善を優先

(毎日 10月7日 朝刊)

[概要]北京で明日(8日)に開かれる日中首脳会談で、胡錦涛主席は安倍首相の靖国参拝問題について、「参拝自粛」の言質をとらない方針とわかった。日中両国は事前交渉の過程で中国側が、「安倍首相の在任中の靖国参拝はないと確信を持った」としている。塩崎恭久官房長官は6日の記者会見で、「(靖国参拝は)しないと約束した事実は一切ない」と語った。

 日中関係筋は、胡錦涛主席は靖国問題で、「一言、二言は言うが、問いつめない」という。また日本側も、「新しい局面を開く会議」(外務省幹部)と位置づけ、両国の関係改善を最優先させることになりそうだ。

[コメント]このあたりの呼吸は、日本人と中国人だと有効な外交交渉術となる。しかし非文書や確信が有効であっても、いつまでもそれが通用するとは信じない方がいい。中国で次ぎに政権をとったものが、自分の都合で勝手に変更することがあるからだ。だから周恩来首相と日本政府の密約が今でも有効だと考えてはいけない。

 私は安倍政権ができれば、タカ派的な発言や行動が穏健化し、靖国参拝はしないと考えた一人である。”靖国神社に行ったか行かないかは公表しない”と表明した段階で、これは靖国参拝を自粛すると考えた。もともと小泉首相も靖国参拝に熱心な方ではなかった。前回の総裁選の選挙戦術で、靖国参拝を打ち出し、他の候補との”差別化”を図っただけである。それが段々と露出してきて、中国や韓国の反日ムードと共振し、大きな外交テーマになっただけだ。だから小泉首相が辞任し、安倍首相が”明らかにしない”と言っただけで、靖国問題はほとんどが解決する外交課題だった。

 それよりも日中、日韓、中韓の三首脳が緊急に会談するのは、北朝鮮の核実験問題である。中国としては日本や韓国が北朝鮮の核実験に強く反発して、核武装への道に進まないように説得しておく必要がある。さらに踏み込んで、仮に北朝鮮が核実験を実施したとしても、中国は核の傘ではなく鉄とコンクリートのカバーで、北朝鮮の核武装化を中国が責任を持って封印すると表明するのではないか。これは同時に、国連安保理で北朝鮮に強い制裁案を提出しないようにする根回しとなる。日本は今月の国連安保理の議長国で、韓国は次期国連事務総長を出す国であるからだ。北朝鮮の核実験で強いリーダーシップを演じたいアメリカかばかりか、日本と韓国が国連で激しく反発をすれば、中国は六カ国協議の主催国として厳しい立場に追いこまれる。

 どうやら安倍首相は北朝鮮の核実験声明で、”運のいい”アジア外交のスタート・ポジションに恵まれた。北朝鮮にはここまで外交を読む余裕はない。だからいつも瀬戸際外交だけなどと笑わる。

米、北核実験「可能性高い」

韓国「声明に2重の意図」

日本政府、情報収集を強化

(読売 10月6日 朝刊)

[概要]米政府高官は4日、「北は7月のミサイル発射の時も予告どおりに発射した。今回も核実験を予告どおり行うと受け取る必要がある」と述べ、核実験実施の可能性が高いと見ていることを明らかにした。

 また韓国では、4日に開かれた国会合同委員会で李統一相は、「核実験実施の声明は瀬戸際外交の性格もあるが、脅しに終わらない可能性ある」と2重の意味があると指摘した。またユン国防相も「核実験を行う可能性と同時に、交渉の余地が残されていると思われる」と2重の意味があると述べた。

 日本政府は北朝鮮が核実験に踏み切る可能性が強まっているとして、兆候をつかむための情報収集を進め、核実験を確認する態勢も整えている。防衛庁は米軍の情報収集衛星での画像分析や、電波傍受などによる分析を続けている。また空自のT−4機が飛行し大気中の微量の放射性物質を採取・分析する態勢を整えた。米軍も沖縄の嘉手納基地から核実験監視用偵察機を出動させているが、防衛庁も米軍と連携して分析活動を進めたいとしている。気象庁の精密地震測定室(長野市)では高感度センサーを24時間態勢で稼働させ、核実験特有の地震波を探知できる態勢をとっている。

[コメント]北朝鮮の核実験実施声明(10月3日)以降、米偵察衛星の画像情報や電波傍受情報からは、近日中に核実験を強行する動きはなさそうである。しかし逆に軍事では急に情報が無さ過ぎることも警戒する。敵に行動直前に誤認さすための欺瞞(ぎまん)工作が行われたり、無線封鎖などの処置が行われることがあるからだ。もし数ヶ月前から密かに地下核実験の準備を進めていれば、すでにケーブルの設置や、坑道の封鎖、測定機器の設置が完了していると考えられる。北朝鮮が声明後に急いで核実験の準備を始めることは考えられない。あわただしい動きなどとして、それが核実験直前の兆候として捕らえることはできない。

 テポドンの発射ならまず発射台を組み立て、ミサイルを工場から発射台に運搬して組み立てる。さらに液体燃料の注入などと空から丸見えの中で作業が行われる。さらに長距離レーダーの試験運用など、電波情報も傍受しやすくなる。しかしこれが地下核実験の準備となると、その兆候を掴むことは非常に難しい。8月に米偵察衛星が北朝鮮東北部の地下トンネルの入り口付近で、大量のケーブルが探知されたのは、むしろ北朝鮮側の欺瞞工作(誤判断を誘う)の可能性が極めて高い。

 80年代に北朝鮮が核兵器開発を始めた段階で、同時期に、地下核実験場の準備を始めたと考えるべきなのである。私は北朝鮮の核実験は掘った土砂を運び出すのに、車両(トラック)が使える横穴式でやると考えている。掘り出した土砂はダムの建設現場などに偽装して、近くの山中に捨てることが可能になる。

 もう北朝鮮の核実験はやるか、やらないかではなく、いつどこでやるかという段階だと思う。北朝鮮は中国にも準備行動を察知されることなく、核実験の準備が完了して今回の声明になったと考えることが常識的だ。中国もそのあたりの事情を理解しているのではないか。しかし韓国政府はまだ説得の余地が残っているとして”2重の意図”と分析する。しかし北朝鮮にその意図はあっても、アメリカには説得に応じるまったく意志はない。むしろ逆に北朝鮮に対してはアメリカは挑発したとして、より強い対応を招くだけである。

 中国政府(首脳)のあわただしい動きが核実験間近をうかがわせる。その中国に安倍新首相は初の外国訪問となった。中国の政府首脳が安倍首相に対し、北朝鮮の核実験をどのように説明するか興味がある。北朝鮮の核実験に中国が関与していないことを表明するのは間違いない。もはや日中で靖国問題など論じている余裕などない。

北朝鮮 核実験予告

事前察知 難しく

地下施設は8000ヶ所超

衛星念頭に偽装工作も

(毎日 10月5日 朝刊)

[概要]北朝鮮が地下核実験を行う場合、垂直に掘っていく竪穴式と、鉄道のトンネルのような横穴式がある。米国は主に竪穴式で核実験を行ったが、98年5月にパキスタンは両方を併用した方法で実施した。両方とも、入口から400メートルから1000メートルの場所に核爆弾を仕掛け、通路やトンネルをコンクリートなどで塞いで爆発させる。地下深い場所で行われた爆発のデータは光ファイバーケーブルで数キロ離れた観測施設に送られる。

 核実験の探知は地下に施設があるために事前に察知することは難しい。98年5月にインドが行った地下核実験は、インドが米偵察衛星の探知を避けるために、夜間に限定して計測機器を搬入したためアメリカは探知に失敗した。米メディアは8月に北朝鮮東北部の豊渓里の縦穴の入口付近で、大量の核実験観測用のケーブルが衛星で確認されたと報じた。しかし北朝鮮の山岳地帯には8000を超える地下施設があり、どこが核実験場か特定するのは難しい。実験前には無線交信が増大したり、周囲の警戒が厳重になるので、そのような動きから探知できる可能性もある。

 96年9月の国連総会で核実験全面禁止条約(CTBT)の採択を受け、CTBT機関(CTBTO)の準備委員会が全世界で監視網構築を進めている。地下の核爆発で発生する地震波や水中音波、気圧振動、大気中の放射性物質の観測など、全世界に321ヶ所の観測施設を設置する計画である。準備委員会ではTNT火薬1キロトン以上か、マグニチュード4以上の爆発なら直後にわかるという。

[コメント]北朝鮮に縦穴式で地下400メートル以上の縦穴を掘れる技術があるのか気になる。エレベータを使ったケーブルの設置などで北朝鮮では不可能な技術があると思う。また仮に鉱山の廃鉱を使うとしても、廃鉱では地下に複雑な空洞(掘削抗)があるし、廃鉱内の木製の支柱は腐食している。また至るところに地下水がたまり、地熱で高温の可能性もあり、廃鉱の地下に垂直で400メートル以上の場所を確保することは至難の業である。

 北朝鮮が地下核実験をやるならパキスタン方式の併用式で、大きな山系の地下に横穴で掘ったトンネルが使われる可能性が高いと思う。これなら掘った土砂の運搬に車両が使えるし、北朝鮮軍は世界最高水準のトンネル技術を持っている。北朝鮮人民軍はベトナム戦争の教訓として、全軍の地下要塞化を進めてきた。ベトコンは地下トンネルで米軍に勝利したと学んだからだ。

 しかし横穴式では、地下水脈(地下水)を放射能汚染させる危険がある。核爆発が上の山を吹き飛ばして、放射能を含んだガスや土砂を大気中に放出しなくとも、ロシアや中国では地下水の放射能汚染が気になるだろう。

 この点、イランはウラン濃縮という核実験が必要ない広島型である。ミサイルの弾頭に搭載しなくとも、密かに車両でレバノンに運搬し、イスラエルの水源であるガリリー湖で核爆発を起こして湖水を放射能汚染させれば、イスラエルに致命的な打撃を与えることが可能になる。

 さて北朝鮮の核実験だが、国内に核実験実施を公表した以上、もはや中止は金正日の弱さを表明するだけである。国民から神の如く崇拝される独裁者にとって、弱さは致命的な悪影響を与える。だからどんなにアメリカや中国や韓国が反対しても、北朝鮮の支配体制は核実験を中止する道を断ったといえる。もうアメリカとの直接交渉や制裁解除などは、国際社会に対する便宜上の”言い訳”で、本当は政権末期の断末魔に苦しむ金正日が、自国民向けに”核実験”というカードを切ろうとしていると思えてきた。私はそのことをテポドン2の発射から学んだ。

「メールにお返事」のコーナーでも、関連する同じテーマの情報を掲載しています。そちらも参照してください。

09年度200人配備

宮古島に陸自新基地

将来600人に増強

  市長反対を表明

(琉球新報 10月4日 朝刊)

[概要]政府は現在の中期防(05年〜09年)で、沖縄の陸自第1混成団(約3000人)を旅団化(3000〜4000人)するのにともない、宮古島に09年をめどに新たな200人規模の陸自部隊を配備し、新たな基地建設を検討していることがわかった。将来的には600人規模まで増強する見通しという。陸上幕僚監部では、「防衛体制や災害対処の重要性から、南西諸島の島嶼部に部隊を置くことを検討している。しかし場所や時期、規模について具体的になっていない」と述べ、部隊配備を検討していることを認めた。

 宮古島には空自の第23警戒群(レーダー基地)が配置されているが、陸自の部隊は配置されていない。新しく配備される陸自部隊は新たな基地を建設するという。米軍が度々使用して問題になる下地島(空港)には配備する計画はないという。

  これに対し宮古島市には防衛庁から打診はないが、伊志嶺市長は自衛隊の増強に反対する姿勢を示しており、今後地元に波紋が広がりそうだ。

[コメント]今、沖縄からこの朝刊がファックスで送られてきた。自衛隊は冷戦終結後にソ連対応の北方(北海道)から、朝鮮半島重視の西方(九州)への配備転換を行った。さらにこれからは中国を意識した沖縄や南西諸島重視に転換する方向で動いている。宮古島に新しく陸自部隊を配備するのも、南西諸島の離島防衛を意識している。だから従来の一般的な陸自部隊というよりも、米海兵隊の様に特殊部隊化した新しい部隊が配置されるだろう。輸送ヘリや多目的ヘリで空中機動したり、高速艇や高速ゴムボートで海上を機動する部隊である。(例えば佐世保の第1普通科連隊の様な部隊)

 下地島空港には駐屯しないが、いざとなれば飛行場周辺に移動して、敵に占領されないように防衛の任務にあたることも想定しているだろう。

 昔、私が宮古島を訪れた時の空自の部隊(警戒群)は、沖縄本島との通信回線の確保に苦労していたが、今は衛星通信だから大量高速のデーターがやり取りできる。宮古島の地形の特徴は平面で高い山がないことだ。警戒レーダーも高いタワーを組んで設置されていた記憶がある。だから高い山がある石垣島に新基地を作りたいところだが、石垣島では台湾に近すぎて危険だし、最南端の軍事拠点の宮古島からさらに離れることになる。ここは宮古島を拠点にして離島に睨みをきかす戦略のようである。

米の制裁を非難

北朝鮮「核実験行う」

米との直接対話狙い

時期、場所言及せず

安保理協議入り

(各紙 10月4日 朝刊)

[概要]北朝鮮の国営朝鮮中央通信は3日に外務省声明を発表し、「今後、安全性が徹底的に保証された核実験を行う」と表明した。日本のラジオプレスによると、北朝鮮の朝鮮中央放送と平壌放送は、午後6時からの臨時ニュースで国内でこのことを報道している。

 北朝鮮が05年2月に核保有宣言を行って以来、核実験実施を公式に表明したのは初めて。しかし実施時期や場所には言及していない。北朝鮮は7月のミサイル発射で対北制裁が強化される中、「瀬戸際外交」でアメリカを直接交渉に引き出し、制裁を解除させたい狙いがある。今回の異例な核実験実施声明は、これ以上、アメリカの経済制裁を放置できないほど追いつめられたという見方が多い。

 北朝鮮は核問題を話し合う6カ国協議に復帰すると表明しておらず、もし核実験を実施すれば周辺国とさらなる対立を生む可能性がある。国連安保理はこの声明を受けて、緊急の協議に入り、対応策を話し合うことを決めた。

 安倍首相はこの声明について、「核実験は断じて許すことができない。実施すれば国際社会は厳しい対応を取る」と話した。また8日と9日に中国と韓国を訪問し、首脳会談を行う際に北朝鮮の核実験を主要テーマに意見交換する意向を示した。

[コメント]初めて北朝鮮が6カ国協議に参加すると聞いたときに、これで北朝鮮の瀬戸際外交の”核カード”は封じられたと思った。さらに今年7月のテポドン2のミサイル発射失敗で、”ミサイル・カード”も失ったと思った。北朝鮮は対米圧力に使えるこの2枚のカードを失ったことで、もはや瀬戸際外交は通用しないと考えた。ところがこの騒ぎである。

 しかしいくら北朝鮮が核実験カードを切っても、アメリカが北朝鮮との直接対話や、制裁解除に動けるわけがない。それこそブッシュ政権の弱さの表明で、強いリーダーを求めるアメリカ政界では命取りとなる。だからブッシュ政権はこの機会をチャンスと思い、さらなる圧力を北朝鮮にかけてくるだろう。

 ということは北朝鮮の核実験実施声明は、8日、9日の日中・日韓首脳会談に向けた揺さぶりだろうか。北朝鮮にとって安倍首相の誕生は、最もイヤな政権が日本にできたことは間違いない。しかしこうなってくると、北朝鮮が核実験をやるか、やらないかはもはや予測できない。脅しともとれるし、追いつめられて”窮鼠猫を噛む”こともある。いずれにしても国際的には北朝鮮に厳しい対応が取られ、さらなる制裁が強化されることは間違いない。北朝鮮は瀬戸際外交がまだ通じると思っているから不思議である。

 あるいは国内に異例の臨時放送で報じたことから、北朝鮮軍人に核実験で核武装することを宣伝して、軍事力が弱体していく不満をかわす狙いがあるのか。前回、対外的に何のメリットもないミサイル発射を行ったことも、あくまで北朝鮮・国内向けの行動で、対米交渉や制裁解除の目的は薄かったということも考えられる。最近の北朝鮮人民軍では食糧が極端に不足し、軍人達でも飢えから金正日の悪口を言う者が増えているという。それなら今回は核実験を実施する可能性が極めて高くなる。

 さて核実験後の経済制裁だが、これは戦争に至ってもいいという覚悟で行わなくては意味がない。経済制裁は戦争の前段階で行う政治手段のひとつである。たぶん戦争にはならなと思って行う経済制裁ほど危ないものはない。またいったん経済制裁を始めたら、政治的な目的が達成されるまで続ける必要がある。相手の反発で制裁を解除したり、緩めることは政治的に負けたことを意味する。軍事的には負けていないが、政治的な負けは軍事的な負けよりも影響力が大きくなる。

 日本は北朝鮮の核実験に対して、足腰を踏ん張って、政治的な衝撃に耐える覚悟が必要である。決してパニックになってはいけない。そして日本は国際社会と協調して、北朝鮮にさらなる核実験実施の制裁をしなければならない。

 北朝鮮の金正日は断末魔の苦しみに襲われている。私は北朝鮮が崩壊するのは2年後の北京オリンピック(08年)までで、上海万博が開催される4年後には存在していないだろうと書いたことがある。何やら本当にそのような雰囲気になってきた。

安倍首相

A級戦犯・靖国参拝

”明確”小泉答弁と対照的

(読売 10月3日 朝刊)

[概要]安倍首相は2日の衆院本会議で昭和戦争に関する歴史認識を示し、A戦犯の戦争責任について曖昧な態度をとり、小泉前首相とは対照的な答弁ぶりを見せた。小泉前首相は昨年6月2日の衆院予算委員会の答弁で、当時の岡田民主党代表から、「A級戦犯は、重大な戦争犯罪を犯した人たちとの認識があるのか」と聞かれ、「戦争犯罪人であると認識している」と言い切った。しかし昨日の安倍首相は、「具体的に断定することは適当ではない」と言及を避けた。その後、記者団にその答弁の意味は、「いわば、今、誰が誰より重い責任があったかということを政府が認定することは適当ではない」と説明した。安倍首相はA級戦犯は国内法では犯罪者ではないとの見解を持論としている。しかし、こうした見解を強調すると、中国や韓国ばかりか、アメリカとの関係にも悪影響を招くことになるので、曖昧な答弁で配慮したようだ。

 靖国神社参拝でも、小泉前首相は「靖国参拝をしなけれ首脳会談に応じるという方が異常で、そんなことを言う首脳は中国と韓国しかいない」と明確に答弁してきた。しかし安倍首相は、「参拝したか、しないかについて宣明するつもちはない」と強調し、小泉首相との違いを見せた。

[コメント]自他共にタカ派であることを認める安倍首相である。A級戦犯はたまたま当時の戦争指導者で、国から戦争指導を委託された者たちである。だから日本の戦争犯罪を裁いた東京裁判(戦勝国)が処罰しても、日本の国内法を犯した者たちではないと言いたいところだ。すなわちA級戦犯の無罪論である。

 その様に言い切ると、靖国神社が主張する「太平洋(大東亜)戦争・聖戦論」とちょうど重なりあう。それが中国や韓国ばかりか、アメリカも敵にまわすことになる。それならば靖国神社とA級戦犯を分離させれば、こんどは中曽根氏や古賀氏たちが主張する「分祀論」に引き込まれる。まさに、「智にはたらけば角がたつ、情けにさおされば流される」の心境だと思う。

 政界を見ると、この場になっても、ああだ、こうだ、と持論を主張するばかりで、このような混乱を招いた経過や責任を問う者は希である。混乱した事情を説明するのも、持論を正当化するためで、まさに日本人は歴史の作り方がヘタだと思う。だから混乱を収拾できないのだ。

 もちろん中国や韓国に近代史の作り方を学ぶ必要はないが、自国の歴史観ぐらいは国民誰もが共有できるものを持ちたい。先進国で首相自らが自国の歴史観を語れない国があるだろうか。

 まさに安倍首相は今までの戦後史の負の遺産を背負わされている。だから私は靖国神社には一切手を付けないで、戦没した全ての人を慰霊する国立の追悼施設を作るように主張している。靖国神社に一切手を付けないことは、宗教の自由を認め、政治が宗教に介入することを避けるためである。そのことで靖国神社が今後も存続していけばいいのである。私も今までどおりに、靖国神社の近くを通れば参拝するだろう。

 この問題を政治と切り離すためには、すべての宗教を受け入れる国立の追悼施設を建設するしかない。そして戦死した軍人ばかりか、都市爆撃、原爆、沖縄戦、海外の一般邦人戦没者など、大東亜(太平洋)戦争で犠牲になった人を広く慰霊すべきである。そこには天皇にもお参りして頂き、海外から来日した要人が参拝できる追悼施設である。そして日本人の平和への強い決意を表現する追悼施設でもある。

 コソコソと人の目を気にしながら、一国の首相が密かに参拝することこそ、戦死した戦没者たちへの侮辱であると思うのだが。 

「北朝鮮崩壊」

韓国で研究再開

8年ぶり民間会議

(産経 10月2日 朝刊)

[概要]ソウルで「北朝鮮崩壊」をテーマにした学術会議が8年ぶりに開かれた。しかし2代(大統領)続いた太陽政策下では、この問題は学術面でもタブー視されてきた経緯がある。今回は政治外交・軍事・経済・社会文化の各4分野から、「崩壊」に関する報告と論文が発表された。政府にも研究着手を呼びかけたが、政府の反応は相変わらず「厳しい」(関係者)という。

 この会議は民間研究機関の「21世紀国家発展研究院」と、高麗大・北朝鮮学研究所の主催で開かれた。21世紀国家発展研究所の朴寛用理事長は保守派の重鎮で、盧武鉉政権時代には国会議長を務めている。94年の北朝鮮第1次核危機には、金泳三大統領の秘書室長として対応し、その後、3年かけて北朝鮮の緊急事態対処法を作った人物でもある。

 会議では柳・高麗大教授(北朝鮮学)が、@金正日総書記の身辺に異常が発生したケース Aクーデター B内部崩壊   などのシミュレーションを行い、「崩壊」への米中日露の対応を考察した。経済分野では南教授(高麗大・南北経済研究所長)が難民と臨時収容所の問題を、「30日計画」の初期対応を検討した。軍事対応では、白・国防研究院北朝鮮研究室長が、「各国が自衛権の範囲や、人道の名目で介入してくる可能性」を指摘し、韓国が単独で事態に対応すれば、中国の反発を招く心配があると述べた。

 主催者は10月中に論文と討論結果を書籍で出版し、来春に4分野をさらに細分化し、第2回会議を開催する予定だ。

[コメント]主催者の朴寛用理事長は金泳三大統領時代に、北朝鮮崩壊の緊急事態マニュアル「30日計画」を作った人と知って思い出した。確か数年前、それは韓国の月刊誌「月刊朝鮮」誌の1月号に全文が掲載された記憶がある。当時、韓国にいた日本人留学生が好意で翻訳して私にメールで送ってくれた。このホームページで全文を掲載したので、サイト内の検索で出てくると思う。ただしタイトルが「30日計画」だったか、「50日計画」だったか、ちょっと曖昧である。計画の内容は細部にわたり支援が検討され、立派な危機管理マニュアルになっていたとの印象を持っている。しかし96年頃の北朝鮮の状況が背景で、それから今では中国や韓国、アメリカや日本などの周辺事情も大きく変わってきた。

 特に中国が北朝鮮崩壊でどのような動きを取るかで、周辺諸国の対応は大きく異なってくる。まず北朝鮮崩壊を察知した中国人民解放軍が、軍用トラックに武器ではなく食糧や医薬品を大量に積んで、人道支援を口実に北朝鮮に入ってくる可能性が高い。韓国の米軍も日本などから事前集積の舟艇を使い、大量の食糧を北朝鮮に運び込むだろうが、国境の河川に浮橋を架ける中国軍の動きがはるかに速い。また韓国軍は軍事境界線に埋設された地雷のために、船舶の活用など極めて制限された緊急支援しかできない。韓国海軍の大型輸送艦「独島(ドクト)」は、そのための食糧や車両を緊急輸送する目的の輸送艦なのである。

 それでも各国の支援部隊が北朝鮮に入ると、至るところで中国軍の国旗がはためいている光景に出くわすだろう。韓国の太陽政策など北朝鮮崩壊時にはまったく役にたたない。単なる体制の延命措置で、体制が崩壊すれば直ちに霧消する支援でしかない。

 東西ドイツでは統一前から統一後の国名や国旗、それに国歌や新憲法などが、両国の役人達で秘密裏に話し合われていた。しかし北朝鮮の様な硬直した体制では、その事前の話し合いが難しい。だから北朝鮮から韓国に亡命中の黄氏あたりと綿密に検討する必要がある。日本にとって北朝鮮崩壊は、朝鮮半島の北半分を中国が併合して支配することは絶対に避けて欲しいと思う。

※来春の第2回会議は、同時通訳の準備をして頂けるなら、私もぜひソウルに行って聴講したいと思う。このような国際問題は韓国内だけで話し合わないで、周辺国にも情報をできるだけ早く開示する方がベターと思うのだが。

 先月、防衛研究所主催の「朝鮮戦争史」を再検討するシンポに行ってきたが、日米の同時通訳がついて、あくまで日本語と英語だけであるが多くの外国人が聴講していた。

米国防科学委員長見解

テポドン2 「腐食し失敗」

液体燃料、長期維持で

(毎日 10月2日 朝刊)

[概要]米国防総省の諮問機関・国防科学委員長のウィリアム・シュナイダー委員長は、笠原・毎日新聞記者のインタビューに答え、「テポドン2の失敗は液体燃料をタンク内で長期維持したために腐食が生じたことが原因とみられる」と話した。テポドン2に燃料を注入して発射まで少なくとも2週間あり、そのためミサイルのノズル(噴射口)などの精密部分や、燃料タンクの外板に腐食(発射時に穴)が生じ、適切に機能しなかった可能性が高いと話した。これはテポドン2が発射後1分以内に軌道をはずれたことから、液体燃料が関係する事故の可能性が高いと判断したという。「液体ロケット燃料には腐食作用があることから、注入後迅速に発射するのが普通だ。2週間というのは異例の長さだ」と話した。

 また発射失敗には別の理由も考えられるが、北朝鮮が次ぎにテポドン2を発射するには、設計面で追加の検討を行わなければならないという。北朝鮮のミサイル技術はイランのミサイル開発支援が知られるが、イランから北朝鮮への先端技術が流れているとも指摘した。

[コメント]テポドン2の液体燃料が注入されて、長期間にわたり発射されなかったことから、すでに液体燃料は密かに抜き取られたか、燃料は初めから注入されていない可能性があると考えたこともある。しかし液体燃料をミサイルの燃料タンクに注入すれば、そのタンクの表面温度の変化から偵察できるはずだ。ということはシュナイダー委員長の言うように、北朝鮮は燃料タンクに2週間も燃料を入れっぱなしというのが事実なのか。

 一説には北朝鮮は何ヶ月も注入可能な液体燃料を開発済みという情報があった。あるいは燃料タンクの材質に腐食から強い材質を使ったいると情報もあった。しかし現実は長期間で燃料タンクを腐食していた可能性が高いということだ。

 そういえば同じ日に発射されたミサイルが、スカッドの改良型とか、ノドンのバージョンアップ型とか、いろいろな怪情報が飛び交った。私はそのような情報よりも、どうしてそのような判断できる情報が入手できるのか知りたいと思った。結局、CIAあたりが世論操作で流すニセ情報に世界のマスコミが踊らされたということか。

 まさか北朝鮮で地下核実験の兆候ありも、CIAあたりが勝手に流したニセ情報ではないだろね。北朝鮮の軍部は地下核実験の話しに驚いていたという情報もある。

 そういえば中曽根首相時代に日本の核武装の研究(想定)をしたら、日本には地下実験場がないことが最大の障害になったと自著に書いている。地下核実験に北海道の炭坑の廃鉱を使うわけにはいかないようだ。北朝鮮軍の幹部も同じ話しをしていることが、最近訪朝したアメリカ人の北朝鮮研究家(※)から伝えられた。

※朝日新聞 9月29日 夕刊 「北朝鮮 軍幹部が核実験否定 訪朝の米専門家に言及」という記事に書かれています。

 



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。