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この情報の最も新しい更新日は10月31日(日)です。    

 バラドの遺体は別人 バグダッド市内で日本人らしい断首された遺体発見 日本大使館が確認中 (NHK 10月31日 朝のTVニュース)

[概要]昨日、バグダッド北方のバラドで見つかった遺体は、死後1週間程度経ていることなどから、アルカイダ聖戦組織に拘束された香田さんでないことが確認された。しかし今朝1時頃(日本時間)、バグダッド市内のハイファ通りで、東洋人らしい遺体が草むらに放置されているのが発見された。この遺体は断首されており、両手、両足が縛られていた。頭部は遺体の近くに放置されており、イラク保健省がこの遺体を運んで調べている。日本大使館から関係者2名が保健省に向かい、写真撮影などして遺体の確認にあたるという。

[コメント]バラドの遺体が香田さんでないとわかってホッとしたが、またすぐに嫌なニュースが飛び込んできた。昨日、間違った遺体は後頭部に銃弾2発が撃ち込まれていた。ということは、今までのアルカイダ系の殺害手口とは明らかに違っていた。しかし今度は間違いなく断首である。ということは、また断首時のビデオがネットで流されることになるのか。それがアルカイダの手口でもある。残忍な映像をネットで公開し、人々に恐怖心と嫌悪感を与え、それで社会を自由に操りたいという目的を達成させるためだ。

 そういえば、チェチェンでインターネットに残忍な映像が流され、そのような脅迫が今後増えると予告したのは、昨年8月頃のこのホームページ上であった。まさかその頃には、日本人がそのような手口で殺されるとは予想もしなかった。

 香田さんは自衛隊とも、米軍とも、米企業とも関係のない旅行者である。そのような日本人が断首された上、その様子をネットで流される時代になったのか。イラクではアメリカ人も日本人も予測できない早さで状況が悪化している。もうベトナム戦争よりもイラクの状況が悪化していると断言してもオーバーではない。先日は、イラク人が警察や軍隊に応募し、訓練を受けただけで、ニセの検問で車を止められ、49人が一度に殺される事件も起きた。イラクの警察署やイラク政府の施設での自爆テロは日常になった。自衛隊の宿営地内にロケット弾が撃ち込まれる事件も起きている。

 平穏だからと救命ボートを積まないで、船(自衛隊)は太平洋(イラク)に向けて出航した。しかし予想に反して、海は大しけになり、船室(自衛隊の宿営地)の中には海水(ロケット弾)も浸水してきた。それでも政府は海(イラク)は安全と言い続けている。自衛隊は地元に感謝されていると繰り返している。地元が自衛隊に感謝しているのは、政府や自衛隊が協力費として地元にお金をばらまいているからである。

 もう政府は詭弁をやめて欲しい。イラクが平和で、自衛隊が復興支援に役立ち、そのことで自衛隊が地元に歓迎されているというのは、これこそ「裸の王様」の論理である。政府やマスコミは、自衛隊のイラクへ派遣をもう一度見直して頂きたい。これはイラクに派遣されたり、これからイラクに派遣される自衛隊員の正直な気持ちである。今年7月の参議院選挙で、4人の防衛庁・自衛隊関連候補が全滅したのは、単に組織分けを間違えたのではなく、政府のイラク政策に自衛隊員の批判があったことを考えて頂きたい。

 日本人人質事件 香田さん、遺体発見か? バグダッド北部ので頭部に銃弾を受けたいたい発見 (NHK 10月30日 朝のTVニュース)

[概要]日本時間の今朝早く、イラクの米軍司令部からバグダッドとテクリットの中間部分にあるバラドで、後頭部に2発の銃弾を受けた東洋人らしい遺体を発見したと連絡があった。遺体の特徴(体重、身長)からイラクで人質になった香田さんである可能性が高い。日本政府はカタールのドーバにこの遺体を移送し、本人確認を行う予定である。

[コメント]今のところは、ほぼ香田さん本人である可能性が高い。非常に残念である。政府が主導した香田さんと自衛隊は無関係であるという主張は通じなかったようだ。

 ここでこの事件を反省してみよう。まず小泉首相が「自衛隊は撤退させない。テロに負けない」と事件発生直後に語った言葉だが、これに問題はなかったか。誘拐対処は研究された危機管理マニュアルで行う。事件発生後に行う当局側の一言は、非常に重要であることは言うまでもない。もし自分の娘が誘拐され、犯人から1億円を要求する事件が発生したとする。そのとき父親がTVで、「犯人には1円もやらない。誘拐事件に負けない」と語るだろうか。1億円を準備するから解放してくれと言わなくとも、何とか人質の安全を考えて、犯人側を刺激する発言は避けると思う。そのような理由で、小泉さんのこの発言は危機管理に基づいたものではなく、ブッシュ大統領に向かって行った政治的なメッセージだではなかったか。小泉さんは日本人の命より、ブッシュ大統領の顔色を伺う方が重要と判断した証明ではないか。

 つぎに小泉首相は、「政府は情報の収集に努め、人質救出に全力を尽くす」と語った言葉だが、これは首相のブレーンが言わせた言葉と思う。これで多くの国民は、政府は適切な対処を行い、救出に全力を尽くしていると予想したようだ。しかし私が感じた印象は、「政府はまったく何もしていないな」というものである。政府が交渉したくても、相手がアルカイダ系なら出来ないのである。その何も出来ないという隠す言葉が、「情報収集に努め、救出に全力を尽くす」という危機管理上の言葉なのだ。そのことを証明するように、ヨルダンのアンマンに派遣された谷川外務副大臣が「人質解放交渉したくても、どことも誰とも相手が見つからない」という正直な言葉である。谷川副大臣のこの発言も、危機管理上は極めて不謹慎な発言であった。

 それでは日本政府はまったく打つ手が」なかったのか。ある。それはイラクのTVやラジオ(これを心理戦では電波と呼ぶ)、それにイラクの新聞や雑誌(これを心理戦では紙と呼ぶ)を密かに買収し、「日本と米国は違う」、「米軍と自衛隊は違う」、「自衛隊と香田さんは違う」といった情報を大量に流さすのである。

 直接交渉を拒む相手にはこれしかない。そしてもし香田さんが殺害されれば、犯人側に市民の強い批判が向かうように仕掛けるのである。またこれは同時にサマワに駐屯する自衛隊の安全を高めることができる。これは心理戦という戦時に行う世論操作である。戦時という緊急事態で許される世論操作である。

 今の日本政府にそのような知識と指揮力を持った人間がいるのだろうか。もし今回の人質事件で教訓を得るとしたら、そのような戦時に使う心理戦を応用した対応術を準備することだ。

 日本は船に救命ボートや救命筏(いかだ)を積まないで、快晴(平和)だからと大洋(イラク)に船(自衛隊)を出航させた。しかし海は段々と荒れ始め、今、船は嵐のまっただ中にいる。快晴だから大丈夫といい、船を大洋に出航させた政府の責任はどうなるのか。サマワで自衛隊はロケット弾を宿営地に撃ち込まれ、ますます悪化する不安な治安状況に苦しんでいる。

 もう一度、自衛隊がサマワにいることが正しいことなのか。日本国民は真剣に感える必要があると思う。

 自民・亀井氏 「サマワ自衛隊が人質救出活動を」 (読売 10月29日 朝刊)

[概要]自民党の亀井静香・元政調会長は28日、官邸で小泉首相と会い、イラクで起きている日本人人質事件に関して、「イラク暫定政府が安全を確保できない状況なら、自衛隊がイラクにいる以上、捜索、救出活動をやるべきだ」と述べ、サマワに駐留する自衛隊が邦人保護の救出活動にあたるように要請した。しかしイラク特措法(イラク復興支援特別措置法)は邦人保護などを業務に明記しておらず、政府は自衛隊による人質救出活動は実施できないとしている。亀井氏の要請に、小泉首相は何も答えなかったという。

[コメント]この記事で注目したのは、亀井氏の小泉首相への「嫌がらせ」要請ではない。小泉首相がその場で明確に自衛隊の人質救出活動を否定しなかったことである。イラク特措法にはそのような業務を規定していないとか、人道的な復興支援のために自衛隊をサマワに派遣しているとか、自衛隊の戦闘行為は明確に否定しなければ行けない場合だったと思う。何も答えなかったということは、そのような可能性を検討している場合もアリということなのか。

 サマワの自衛隊に少数の空挺部隊員が、宿営地の警備目的で派遣されていることは事実である。しかし彼らには日本人人質の捜索や救出に必要な装備や情報は与えられていない。また捜索活動に必要なアラビア語を話すこともできない。それなのに特殊部隊(空挺部隊)だから出来るだろうでは、これまた軍事を知らなすぎる危険な考えだ。

 このように軍事を知らない小泉首相と石破前防衛長官が、情勢悪化が必至のイラクに自衛隊を派遣したのだ。この記事は小さな扱いだが、自衛隊員にとって政治家への不信を深める内容である。

 まだまだ人質事件の「受け」を狙って、自衛隊の戦闘部隊をイラクに派遣せよと言い出す者が出て来ると思う。今のところ亀井氏がその一番目であった。

 イラク日本人拘束 人質解放 手詰まり感 説得困難な相手 退避勧告に限界 米国揺さぶり、日本に照準 (毎日 10月28日 朝刊)

[概要]小泉首相はイラクで日本人を人質に取った事件で、犯人側の自衛隊撤退要求を拒否し、テロに屈しない姿勢を国内外にアピールした。今回、小泉首相が直ちに撤退拒否をしたのは、それだけイラク情勢が悪化しているという背景がある。しかし仮に人質に被害が及んだ場合、自衛隊派遣をめぐる世論の動向に影響を与える可能性は十分にある。

 外務省はイラク入国に対し、日本人に最も危険度が高い「退避勧告」を出しているが、「入国しないでほしい」という「お願い」でしかないのが実情だ。イラクの反米武装勢力は外国人拉致事件を頻繁に起こしており、イラク国内の外国人は非常に危険な状況に置かれている。

 今回の拉致事件を起こしたザルカウィ氏率いる「アルカイダ聖戦組織」は、特に過激で残忍なことで知られている。彼らの目的は親米的な外国人を拉致し、米国を揺さぶることが有効と考えて行動している。

[コメント]不思議なことに、今回は香田さんに自己責任を求める声が起きてこない。香田さんには政治性がなく、家族も政府に救出を強く要求しないから起きないのだろうか。それとも最悪の場合を想定し、そのような被害者をむち打つことをためらっているのだろうか。それは香田さんを日本人が突き放したことにならないのか。「バッシング」から「突き放し」に変化したと考えるべきなのか。

 そのような無感情な雰囲気は、世論を操作したい者にとって格好の社会状況なのである。とにかく何か発言し、行動しなければいけない。それは反対でも賛成でもいい。とにかく考え、発言し、行動しなければ、世論を意図的に誘導される危険が高まる。国民が無関心、無感情に陥ってはいけない。

 ちょっと整理しょう。香田さんは危険を認識することなく、自ら危険なイラクに飛び込んでしまった。これは香田さんの自己責任である。そこでアルカイダ系に拘束されて、日本政府を脅迫する材料に使われている。まさに生命の危機にあっているのだ。しかし香田さんは自らを犠牲にして、自衛隊の撤退を訴えるという意志はなかった。これは「人間の楯」とは明らかに違う。

 冬山の怖さをしらず、軽装備で冬山に入った。そこで遭難した。彼の行動は責められて当然である。しかし遭難して助けを求める者に、自己責任を理由に救助を行わないことが許されるだろうか。政府は拘束した相手がアルカイダ系を理由に、救出交渉が極めて難しいと説明する。しかしそれで政府の責任は果たしたことになるのだろうか。そのようなイラクに、政府は安全と言って自衛隊を送り出したことを忘れたのか。香田さんは今年1月に日本を離れ、ニュージーランドに向かったと聞いた。ちょうどその頃は、自衛隊の先遣隊がサマワに出発した時である。そのころ政府はイラクは安全と国民にと説き続けていた。政府がイラクは安全と言い続けたから、奥参事官と井ノ上書記官は武装した護衛が着けられないで殺された。私は今も奥参事官と井ノ上書記官は小泉首相が殺したと思っている。

 外務省は「退避勧告」を出しているから、今回の拉致事件は責任がないと言うのだろうか。本人の問題で済むのだろうか。

 日本人は正常な感覚を取り戻して欲しい。何か最近は、日本人の気持ちの中に無関心、無感動が広がっていないか。私は香田さんを救出する難しさは認めるが、犯人の要求に屈しないといって、みすみす香田さんが殺されるのを見過ごすことはできない。日本人にテロと闘えということは、香田さんのような事件が次々に起きても、それでも動揺しないで済ますことではないはずだ。

 もし香田さんが殺害されれば、自衛隊の戦闘部隊イラク派遣が次のテーマになる可能性がある。軍事の世界では常に危機を求めているからだ。

 アクセス・カウント 300万件を突破 ありがとうございました。(10月27日)

[コメント]このホームページを開設して11月で5年が経過します。そして本日の夜8時頃、ついにアクセス・カウントが300万を突破しました。この機会に今までこのホームページにアクセスして下さる皆さんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 ホームページを開設して半年間は、一日のアクセス数が30カウントぐらいの日が続きました。それが1年たって、マスコミなどに「お勧めホームページ」で紹介されるようになって1日300件ぐらいに増えました。しかし驚いたのは同時テロの直後です。01年8月(開設後1年9ヶ月)には総アクセス数が5万件ぐらいだったのが、同時多発テロ直後には1日1万件という記録が出しました。確か、100万件目は02年の3月頃だったと思います。ニューヨークに勤務する日本人のお医者さんが100件に当たったとメールを頂いた記憶があります。

 今年(04年)の春には200万件を突破しました。そして今夜、ついに300万件アクセスを越えました。最近は初対面の人から、「ホームページを見ていますよ」と声を掛けられることも多くなりました。

 さっそくカミさんと300件アクセス突破のお祝いに、沖縄の新聞社から頂いた泡盛で乾杯しました。これからも良質な軍事情報と分析を、無料で皆さんに提供できるように頑張ります。応援。よろしくお願いします。乾杯!

 アルジャジーラ放送 イラクで日本人拘束 自衛隊は24時間以内に撤退を要求 反米勢力のインターネットで映像公開 (NHK 10月27日 朝のTVニュース)  

[概要]中東のTV局アルジャジーラは、日本時間の27日午前6時過ぎに、イラクで反米勢力が日本人を拘束し、自衛隊が48時間以内にイラクから撤退を求める映像を報じた。映像は拘束された日本人が、英語と日本語で小泉首相に自衛隊の撤退を求めるものだった。これはアルカイダ系ヨルダン人のザルカウィ氏に近いインターネットのホームページで公開された。

[コメント]ついにアルカイダ系が日本人を拘束した。今までのイラク人武装勢力の拘束とは人質の扱いが明らかに違うと思う。私は第一印象で非常に強い危機感を持っている。ネットの映像を見たら長髪だったので、ジャーナリストか旅行者と思った。悪いことに、パスポートからイスラエルからヨルダンを抜け、イラクに入ったことがわかったようだ。アラブを旅行する者は、パスポートにイスラエルの入国を残すようなスタンプを押してはいけない。それを行ったことは、この日本人はアラブの事情に詳しくないようである。

 さて小泉首相の対応だが、反米勢力の要求に応じることは難しい。まずはこの拘束された日本人を確認することから始める。そこからイラクに入国した経緯や目的を知るのである。その一方で、イラクの日本大使館やイラクの宗教指導者を使って、反米勢力と接触することを試みる。

 いよいよ日本政府の危機管理能力が問われることになる。反米武装勢力が日本人を拘束した。この件に関しては新しい情報が入り次第、このホームページを更新していきます。(「メールにお返事」に関連情報を掲載しております)

 同盟協力 あり方再確認 米軍再編協議 新局面へ 司令部移転が焦点 沖縄負担減 見えぬ行方 (朝日 10月26日 朝刊)

[概要]米軍再編問題は、24日にパウエル長官が小泉首相、町村外相と会談し、閣僚レベルでの「戦略対話」を進め、包括的な議論を先行させるとの方針を示したことで新たな局面に入った。パウエル長官に示した包括的な議論とは、「情勢認識、戦略目標、日米間の役割と任務といった基本的な論点で実務的な論議を進め、具体的(再編)な論議につなげること」(町村外相)。ブッシュ大統領は8月の演説で、欧米とアジアに展開する米軍のうち、6〜7万人を10年かけて本国に帰還させるとしている。また日本をバルカン半島から東アジアに広がる「不安定の弧」に対応する戦略展開拠点に位置づけている。その中で米国は日本にどのような役割を期待しているかが、日米・戦略対話の重要なテーマとなる。具体的には座間キャンプへの米陸軍・第1軍団司令部の移転だが、これは新たに安保条約との整合性が問われることになる。沖縄の基地負担軽減に米側も合意しているが、再編協議が見通しを示さない段階で基地削減も見えてこない。

[コメント]まず米国側が8月のブッシュ演説で、在外米軍部隊の大規模撤退(帰還)を表明した。これでドイツ、韓国、沖縄に配備された在外部隊の撤退が決まった。この再編(撤退)表明の背景には、冷戦終結後の世界情勢の変化、米軍で進む新兵器とRMA化の進展、前方展開戦略による軍事費削減の方針、本国に帰還させることで米兵への士気高揚、米軍基地による地元負担の軽減などなど、あらゆる要素を検討して描かれた米国の新戦略なのである。米国が検討した要素の中には、在日米軍や在韓米軍の部隊撤退後も、東アジアで米軍のプレゼンスを維持したいという強い意図が含まれている。これが座間キャンプに第1軍団の司令部を移転させるという米軍の考えである。

 そのような背景を考えると、日本政府がとれる道は2つしかない。ひとつは日米安保を再定義して、新たな日米同盟関係を改築する方法である。もうひとつは政治的リスクの大きい再定義を避け、包括的な議論でリスクを避けてなし崩し的に司令部移転を行う方法である。小泉首相もパウエル長官も再定義を行わず、司令部移転は戦略対話で解決する方針を示した。すなわちこれからの戦略対話とは、再定義をさけて日本国民を欺く論理を探すことであった。

 その欺く論理とは、今までは極東やアジアの向こうに世界があった。しかしこれからは世界の中にアジアや極東があるという論理変更である。だから在日米軍は、東アジアの安全に直結する世界の戦場を、日本の基地で指揮したり出撃しても構わないという新しい論理である。

 その軍団司令部を日本が受け入れることで、日本政府や米国は沖縄からの米軍撤退や、横田基地の日米共用(官民共用)を検討するという。これが日本の基地負担を軽減させるためと恩を売るというやり方である。しかし沖縄の海兵隊削減や横田基地の共用提案は、当たり前の話しなのである。米軍再編で必要性がなくなっただけの話しだ。

 ここで日本政府は米側ときちんと交渉しておかないと、また米国が日本に恩を返せと無理難題を押しつけてくるのは明白である。

 日本の警察庁はカンボジアの高田警部補射殺事件で目が覚めたが、自衛隊はイラク派遣で米軍追随の危険に目が覚めた。これからの無理難題を避けるためにも、日本政府は日米安保はせめて「日米双方の国益」のためという線は確保して欲しい。政治的なリスクを避けることで、さらに大きな軍事的なリスクを抱え込むことになる。

 新潟中越地震 陸自 36分後にヘリ出動 県の要請前に活動 政府、対策本部設置 14時間後 判断に遅れ (産経 10月25日 朝刊)

[概要]新潟県中越地震で防衛庁・自衛隊は、地震発生4分後に災害対策本部を設置、36分後には最初の偵察ヘリ(上空から撮影・伝送可能な装備を搭載)が立川基地(東京都)を離陸するなど迅速な行動を見せ、新潟県知事の災害派遣要請が出る前に実質的な活動を始めた。また7時半には上越市(新潟県)の第2普通科連隊から30人が状況把握(偵察)のため出動、さらに15分後に新発田(新潟県)の第30普通科連隊から県庁に連絡要員が派遣された。これは阪神大地震で内規が見直され、「震度5以上で航空ヘリの出動」「震度6以上で隊員の自主派遣」の即応体制を取っているため。自衛隊の各駐屯地では20〜30人の「初動対処部隊」が24時間体制で待機している。今回はこの待機部隊が初動対処した。しかし政府の対応は遅れ、災害対策法で強い権限を持つ「非常災害対策本部」を設置したのは地震14時間後の24日午前7時50分だった。これに対し細田官房長官は、「夜が明けて各地の状況が入ってきて、極めて大きな災害が確認された」と語った。しかし第2普通科連隊の偵察隊員は、地震直後の早い段階で、「小千谷市」付近の被害が大きいことを突き止めていた。

[コメント]自衛隊は阪神大地震で兵庫県知事の災害派遣要請が遅れ、そのために初動が遅れたという苦い教訓を持っている。今回はそれで内規が見直され、知事の派遣要請前に災害派遣の出動が出来るように改めた。といっても初期は偵察活動が主体になるが、中枢部が被害がどの程度かという判断には役に立つ。しかし今回は、その情報を元にして政府がとる初動対処が鈍かった。細田官房長官の話しでは、政府は明るくなって、テレビ局のヘリが送る現地の映像で状況を判断したことになる。せっかく自衛隊の初動が成果を上げたのに、それを使いこなす方法を知らなかったようだ。

 今は上空のヘリと地上の偵察隊員を結ぶ無線機も整備されていると思う。(日航機墜落時には通話できる無線機が無かった) また携帯のGPSなどを使えば、夜間でも正確な位置を知ることができる。そのように地上と上空の連携で、自衛隊には詳細な状況を把握できる能力がある。それは夜間とか、雨天といった場合でも有効なはずである。私は日航機事故の教訓として、自衛隊がそのような能力(装備)を持つことと、あらゆる状況でその能力が発揮できる訓練を自衛隊に求めてきた。しかし今回は政府に、それを使いこなす能力や訓練が行われていなかった。それとも政府は自衛隊がそのような能力を持っているのを知らなかったのか、あるいは信頼してなっかたということなのだろか。

 そのあたりの検証がまだまだ必要である。政府が地震後14時間たって災害対策本部を設置したのは遅すぎる。

 地震が起きた23日の午前中、私は陸自の立川基地にいた。UH−1ヘリに搭乗するためである。約30人ほどの招待者と一緒に横浜方面を飛行した。その飛行後に、格納庫や資料館を見せてもらったが、土曜日なのにある格納庫ではヘリを整備する隊員の姿を多く見た。また別の格納庫では、直ちに出動できる機体が整然と並んでいた。わずか数時間の初動を迅速に行うために、多くの隊員が普段から緊張し汗水流している。そして今回は初動がうまくいったのに、政府はその情報を使えなかった。なんとも虚しい細田官房長官の言い訳である。

 

 サマワ 陸自宿営地内に着弾 爆発せず被害なし (産経 10月24日 朝刊)

 

 サマワの治安「より悪化」 防衛庁 武装勢力の動き警戒 派遣延長に影響か (朝日 10月24日 朝刊)

[概要]イラク南部のサマワで活動中の陸自宿営地内(南側の空き地)に、22日の午後11時頃(現地時間)に107ミリ・ロケット弾が着弾した。4月に宿営地が設営されて以来、自衛隊宿営地周辺にロケット弾や迫撃砲弾が着弾したのは7回目だが、宿営地内に着弾したのは今回が初めて。今回のロケット弾には信管が装着されておらず爆発はしなかった。宿営地内の隊員は一時退避し、23日の支援活動は給水を除いて休止した。

 今回の宿営地内着弾で、政府が11月中にも閣議で派遣機関を延長する予定に、期限延長に反対している野党との論議に影響しそうだ。現在の自衛隊のイラク派遣期限は12月14日。(以上、産経新聞)

[概要]今回の砲撃はロケット弾に信管が装着されていないことから、防衛庁内には「威嚇(警告)の意味があるのでは」(防衛庁幹部)という見方がある。また、サマワではオランダ軍に対する攻撃も増え、防衛庁ではサマワの治安がより悪化したと警戒している。もし今回のロケット弾が爆発していれば、隊員に死傷者出た可能性があるとし、陸自幹部は「最悪の事態を想定せざるを得ない」と話す。9月に装備した無人小型ヘリは、不審者の姿をとえることはできなかった。今回の事件で、政府は治安情勢の見極めがさらに難しくなった。(以上、朝日新聞)

[コメント]本日、来日中のパウエル国務長官が小泉首相と会談する。北朝鮮問題や在日米軍の再配置問題などが話し合われるだろうが、イラク情勢も重要なテーマのひとつになる。その会談の前日に、サマワの陸自・宿営地内にロケット弾が撃ち込まれた。それも信管抜きという強いメッセージが込められていた。やはり「警告」と受け止めるのが軍事常識である。その警告が確実に段々とエスカレートしているから不気味である。

 以前、このホームページで、防衛庁と自衛隊は宿営地内に砲弾が着弾したときが危険判断の一線と思っていると書いた。すなわち宿営地内に着弾すれば、隊員の死傷者の人数に関係なく、サマワから一時撤退を検討する一線という意味である。そしていよいよ宿営地内にその砲弾が着弾した。しかしロケット弾の信管が抜かれ、爆発をしなかったので「危険認識」の判断が難しくなった。さらに本日のパウエル長官の会談では、「自衛隊は宿営地内に砲弾着弾をもって、サマワからの一時撤退を検討したい」とは言いにくくなった。このように今回の攻撃は自衛隊のサマワ撤退を難しくする波及効果があった。

 政府はこの事態でも、「サマワは非戦闘地域と認識している」(今朝のNHKTVニュース)としている。軍事的には「準戦闘地域」という言葉を使う方が正確である。カエルは熱いお湯に入れると飛び出すが、冷たい水に入れて段々と熱していくと、跳び出さないまま熱湯で死ぬそうである。冷たい水から熱せられるカエルのように、サマワの自衛隊が撤退のタイミングを間違えないで欲しいと願う。

 中国・重慶 広がる貧富の差 社会不満が鬱積(うっせき) (産経 10月22日 朝刊)

[概要]中国の重慶市で18日に起きた最大5万人規模という騒乱事件は、現地社会に充満している党・政府への不満が、ささいなことで爆発することを示した事例である。これは「胡」という男の妻が、てんびん棒を担いだ農民の棒が触れたと怒り、夫婦で農民を暴行したもが始まり。胡は自分を「国土局長」と名乗り、金はいくらでもあると豪語して、周りの人を憤慨させた。(新華社電は胡を市場の臨時労働者と公表)。

 駆けつけた警察は、「役人はグルだ。公正に処理しない」と叫ぶ群衆に取り囲まれ、車が3時間も立ち往生した。騒ぎは19日午前3時頃に収まったが、明け方にも不穏な空気に包まれた。この事件の背景に、中国の高度成長の中で、貧富の格差が拡大し、社会に党や政府などが腐敗に手を染めているというイメージが浸透していることがある。8月のサッカー・アジア杯で起きた反日騒動も、このような国民の社会不満が爆発したという見方もできる。

 こうした状況は全国に広がり、北京大学が今春に行った98人の政府当局者と専門家の調査では、2010年前に重大な危機が発生すると答えた人が2/3を占めた。胡錦涛政権が最近、「安全第一」を強調しだした理由だ。

[コメント]中国人のワイロ好きは国民性かと疑うことがある。中国ではないが、ベトナムのサイゴン市(ホーチミン市)のホテルで朝食を食べていたら、近くに中年男性の日本人一団がいた。ベトナムに縫製工場を建設する下調べに訪越していると話していた。問題はサイゴン周辺にするか、ハノイ周辺にするかという点である。その内の一人が、「ハノイは役人にワイロが効く。だからハノイがいい」と語っていた。ベトナム人ももとは中国南部から南下してきた華人である。まさしく中国人の伝統を受け継いでいると思った。

 ワイロや汚職は体にとりつくダニやヒルである。まして役人がワイロに血眼になれば、市民が健全な社会生活は送れるはずがない。体から血液という栄養を奪われるし、かゆいし痛いから人々のストレスが溜まる。だからワイロを厳しく取り締まるのは、健全な社会を維持するために絶対の条件である。日本の一部の有力政治家にそのような意識が欠落しているから悲しい。

 中国が本当に凄い国なるのは、国民の多くがワイロで稼ぐより、実力や競争で稼ぐ方が、より大きな儲けを得ることが出来ると自覚したときである。すでに中国人の一部に、そのような認識で稼ぎ始めた世代が台頭し始めている。

 

 米軍再編協議 極東条項 解釈変えず 政府方針 安保の枠内で (朝日 10月21日 朝刊)

 

  防衛庁長官 米司令部座間移転 容認発言 (読売 10月21日 朝刊)

[概要]米軍再編問題をめぐり政府は、在日米軍を日米安保の「極東条項」を見直すことなく、現行のままで見解を維持することに決めた。しかし自衛隊のイラク派遣は安保条約を根拠にできないため、これは日米同盟関係を踏まえた対米関係と位置づけることにした。しかし防衛庁の中には、この機会に日米安保体制を再定義すべきとの意見がある。また今後の米国の対応によっては、日本の方針が変化する可能性がある。(以上、朝日新聞)

 

[概要]大野防衛庁長官は20日の参議院予算委員会で、個人的な見解と断った上で、「仮に日本に米本土から司令部が来る場合でも、世界全体の中で日本のための安全のためならばいいのではないか」と述べ、司令部受け入れに前向きな姿勢を示した。しかし政府内には、これは在日米軍の使用目的を規定した日米安保の極東条項も範囲を超え、問題視する声もある。そのため、21日の参議院予算委員会で、従来の政府公式見解で答弁を修正することを決めた。(以上、読売新聞)

[コメント]段々と政府の考えがわかってきた。政府は当初、キャンプ座間に米陸軍・第一軍団司令部を受け入れることは困難としていた。それは日米安保条約の極東条項(第6条)に反するからである。しかし在日米軍は今まで、日本の基地から中東など世界の戦場に出撃していた既成事実がある。横須賀の米空母、沖縄の米海兵隊、三沢の米空軍のF−16戦闘機部隊などである。政府はこの既成事実を利用し、米軍が座間に全アジア(中東を含む)を管轄する第一軍団司令部を移転しても、極東条項の再定義を必要としない「言い訳」で逃げられると判断したようだ。

 要するに、座間基地に第一軍団司令部が移転してくるとは間違いない。それはあくまで日本や極東の安全に役立つことで、その司令部の能力が中東に及んでも、従来から行われてきた在日米軍の行動と同じなのである。これは日米安保の問題ではなく、世界全体の中で日本のための安全と、日米同盟関係を踏まえた対米関係であるとしたのだ。

 これが外務省官僚の限界を示す淺知恵(言い訳)だろう。一見これで、座間の司令部移転を無難に乗り切れると思うかもしれないが、これはさらなる解釈拡大で逃げ出したことに間違いない。このように見え見えの誤魔化しを続けてきたから、今や日米安保同盟は動きがとれなくなり、新しい時代に適応できなくなってしまった。

 それならなぜ、当初、政府は座間に司令部移転は困難と通告したのか。米国の戦争に巻き込まれるという不安を高める日本国民を騙すためだったのか。最初から、この路線(言い訳)でやるつもりであったのに、ちょっと嫌々をしてみせただけなのか。

 米軍が座間に司令部を米本土から移転させる目的は、ロシアや中国の進出から日本を米国の防波堤にするための戦略である。中東から東南アジアに繋がる「不安定な孤」に対するためではない。それならワシントン州(米本土)にいても可能である。いい加減なある外交評論家が、英国と日本が不安定な弧の前線司令部になると解説していたが、そんなことは対米絶対追随主義の日本人が勝手に言い出した大嘘である。米国はそんな大事なものを英国や日本に持ってくることはしない。座間の米第一軍団司令部移転は、むしろ遠い将来に対する一種の保険のような考えである。米軍にとって最重要の中東地域は、カタールの米中央軍司令部が担当している。近い将来、座間の司令部が中東を担うことはしない。

 それに将来は、現在の6カ国協議が朝鮮半島統一後に5カ国協議になると、東アジアの安全保障を話し合う地域国際機関になる可能性が高い。その時、日本にアジアを担当する米陸軍司令部(司令官 大将級)を置いているアメリカの発言力が増すという読みがある。アメリカが座間にこだわるのはそのような事情があるからだ。

 

 防衛庁長官 日米安保宣言 見直しも 世界規模での協力視野 (産経 10月20日 朝刊)

 

 官房長官 「安保再定義は不要」 米軍再編、閣内統一図る (朝日 10月20日 朝刊)

[概要]大野防衛庁長官は閣議後の記者会見で、平成8年(96年)に発表された「日米安全保障共同宣言」で、日本周辺を含むアジア太平洋地域で10万人の米軍を維持するとした部分を、「変わってくる可能性があり、世界規模の日米協力を明記する方向で宣言を見直すべき」と見解を示した。日本は同宣言を受けて、周辺事態法などの日米協力関係を強化することにつながった。この問題に関して19日夕、小泉首相は記者団に「日米安保条約と世界の中の日米同盟という観点から議論すればいい」と述べ、米軍の世界戦略も考慮する姿勢を示した。米国では日米安保条約第6条(極東条項)に不満が高まっているという。(以上、産経新聞)

[概要]細田官房長官は19日の記者会見で、「いまのところ、日米安保の共同宣言見直しも、極東条項についての見直しも考えていない」と述べ、再定義の必要はない考えを示した。これは大野防衛庁長官の発言を軌道修正し、閣内統一を図った発言だ。また現時点で米軍再編問題の日米交渉では、「96年の共同宣言や極東条項を変更するような交渉は行っていない」と語った。しかし町村外相も16日に那覇市の記者会見で、「頭から日米安保、極東条約ありきでは狭い論議になる」と再定義に積極的な考えを述べた。(以上、朝日新聞)

[コメント]米国は日米安保条約の第6条(極東条項)や安保共同宣言(96年)に関係なく、世界規模で米軍の再編(トランス・フォーメーション)を行うことは目に見えている。日米交渉は米国が日本の都合に合わせているのではなく、、日本がアメリカの都合にどう付き合うかが問題になるテーマだ。要するに今までの日本的な考えがアメリカに通用しなくなったことを証明している。また逆にアメリカの考えが、日本にも通用しなくなったことを証明している。

 そこでアミテージ国務副長官の登場である。アミテージ副長官は身動きが取れなくなった日米安保体制を、再定義することから始めようと日本政府に迫ってきた。ところが再定義する結果はわかりきっている。それで米軍の世界戦略に自衛隊を巻き込むための理由づけである。すると反戦争意識の強い日本国民の猛反発を招くこともわかりきっている。そこで細田官房長官は国民に見直しは行わないと表明しているのだ。

 しかし現場(外務・防衛)ではすでに見直した姿勢で動き出している。また在韓米軍、在沖縄海兵隊でも、すでに再編の動きが始まってイラクに米軍兵士が移動している。もう韓国や沖縄に帰らないというイラク派兵である。

 イラクでは米軍兵士の中に、護衛部隊の不足から、燃料輸送任務を集団(15名)で拒否する抗命事件も起きた。米軍は一人でも多くの米兵をイラクに送りたいし、イラクに派遣してくれる多国籍軍部隊を渇望している。

 それなのに日本は日米安保の解釈がどうとか、再定義はどうとかと、まるで頼りにならないのだ。米国はそんな頼りにならない日本が、安保理の常任理事国入りしたいとは何事かと怒っている。もうブッシュの暴走と小泉の無能で、米国と日本の歯車がかみ合わないのだ。

 すると外野からヤジが飛んできた。こんどは中国である。1昨日、香港のフェニックスTV(衛星第1)を見ていたら、「日本の憲法改正は日本に利益があるか」というテーマで香港の外交評論家や識者が議論していた。すると中国人が意外な認識をしているのに気がついた。中国人は日本人の6割が憲法改正に賛成しているが、最近になってアメリカが日本に憲法を改正しろと言われ、日本人のプライドで憲法を変えることに反対しているという。一部の日本人政治家はこれを愛国心高揚のチャンスだと思っているそうだ。先日、日本の靖国神社に行ったら、いろいろな本が売られていたが、英語や中国語など外国語に翻訳された本は一冊もなかった。これは歴史認識を曖昧にして、日本人の根底にある軍事大国への熱望を示しているという。まさに驚きの野次馬的な発言であった。

 それにしても産経に掲載された小泉首相のコメントである。今ほど首相の強いリーダーシップが必要なときに、両論を足して2で割って、どうでもいいコメントでお茶を濁している。日本にとって最大の反国益は、小泉首相が存在していることである。

 沖縄海兵隊 東千歳移転を検討 日米政府 一部部隊2000人程度 (産経 10月19日 朝刊)

[概要]在日米軍再編を検討している日米両政府間で、沖縄の海兵隊の一部2000人(砲兵隊)を、陸自の東千歳駐屯地(北海道)に移転させる案が検討されている。東千歳駐屯地は陸自の機甲師団である第7師団が置かれ、空自の千歳基地が近くにあるという利点がある。また東千歳駐屯地はアラスカ州の米軍基地と航空機で行き来ができるという距離にあることも、海兵隊の移転に好適な条件を備えていると考えている。

[コメント]本の発行年が94年と書いてあるから、もう10年も前に私は軍事小説を書いたことがある。それが「北朝鮮 最後の謀略」である。その中で米軍が北朝鮮に軍事的な圧力を加えるために、空母以外に日本に軍事力を集中(移駐)させる場面がある。その米軍が移駐(集中)してくる場所は、北海道の千歳基地周辺だと書いた。それ以外の基地では狭いし、ゲリラ攻撃を受けやすい都市に囲まれているし、また朝鮮半島に近いし、中国に近くて使いものにならないからだ。守りやすい北海道の中心部に米軍基地というのは、軍事を知っていれば誰でも思いつくことなのである。

 さらに近くの苫小牧港周辺には、新しく米軍の事前集積施設ができる可能性があると指摘した。その米軍の事前集積施設と2000名の海兵隊を結びつけることで、北海道は沖縄に代わって米軍の軍事拠点に変化させる考えのようだ。しかし沖縄のように大部隊の海兵隊を配置する必要はない。平時なら事前集積施設と2000人の海兵隊で間に合う。あとは既存の自衛隊を絡ませることによって、米軍のアジア戦略が成立できるモデルケースになる。これは1年や2年の計画でできることではない。私が最初に気が付いたのは、建設中の新千歳空港を見たときだった。これは日本政府が北海道の千歳周辺に、東アジア戦域の戦略拠点を作ろうとしていると感じた。たぶん15年ぐらい前ではなかったか。そのように軍事整備された千歳に、沖縄の米海兵隊移転を誘ったのである。(蛇足だが、北海道のトマムに泊まったとき、その軍事的な価値の高いことに驚いた。ホテルなどの各施設を埋め込み式の地下トンネルで結ぶと、理想的な司令部機能をもつ都市が短時間で建設できる)

 先日、苫小牧の国家エネルギー戦略の石油貯蔵施設を建設した幹部(民間企業)に、苫小牧の米軍事前集積施設の可能性を聞いてみた。すでに定年で退職された方が同じマンションに住んでいるからだ。「最初、地元は反発するが、地元の雇用が促進できることと、地元に固定資産税が入ることで、おそらく賛成に変わるだろう」と話されていた。在日米軍の再編を検討している日米政府には、そのような読みがあるのではないか。

 細田官房長官 「北朝鮮の原爆はまだ開発途上」 発言を訂正 地元入りで気緩む? (毎日 10月19日 朝刊)

[概要]細田官房長官が16日に地元・島根の講演で、「北朝鮮はすでに核兵器を持っている」と発言したことで、衆議院予算委員会で前原議員(民主)から追求され、「政府が確認したわけではない。『開発途上にある』ということ」と訂正に追い込まれた。官房長官就任5ヶ月目のお国入りで気が緩んだようだ。

[コメント]昨日、TVの衆院予算委員会で細田官房長官の答弁を見たが、どうも細田長官は核兵器・核戦略というものが理解できていないように感じた。核兵器開発中と、核兵器保有の違いが理解できていない。これは政治家として基本的な質が問われる。勉強不足である。しかしほとんどすべての政治家は理解できていないことも事実である。官僚からちょっと説明を受けた程度では理解できないだろう。

 もし北朝鮮が核兵器を保有しているなら、6カ国協議は意味がないし、日朝国交正常化交渉もやる必要はない。それほど北朝鮮にとって、核兵器保有は致命的といえるほど危険な賭である。

 しかし細田長官のおかげで、安易に北朝鮮が核兵器をすでに保有していると言う人に対し、強い警告を与えることができた。その点については感謝したい。

 細田官房長官が明言 「北朝鮮すでに核兵器保有」 プルトニューム型 (産経 10月17日 朝刊)

[概要]細田官房長官は島根県で開かれた自民党県連の会合で講演し、北朝鮮の核開発問題で「北朝鮮は核兵器をほぼ開発している。長崎と同じプルトニューム型だ。すぐに破棄させなければダメだ」と発言した。日本政府の高官が北朝鮮の核兵器保有を認める発言をしたのは初めてだ。

[コメント]細田長官はこの情報の根拠を示さなかったようだが、なんでわざわざいい加減な情報を発言したのか。これで大喜びをしたのは北朝鮮である。プルトニューム型原爆は核実験の成功で保有を認知させる必要があるが、まだ北朝鮮は核実験を行っていない。それなのに核兵器の保有を認めるなど、北朝鮮は大歓声をあげて喜んでいるだろう。このあたりも日本の政治家が軍事を知らない現状を反映している。

 もし本当に北朝鮮が核武装しているなら、明らかに朝鮮半島非核宣言に違反する行為である。中国は核兵器保有した金正日を決して許さない。中国が金正日を殺す。核兵器保有と、核兵器開発とはまったく重さが違うのである。

 北朝鮮が公式に核武装宣言(核実験)すれば、東アジアの軍事情勢は一気に流動化して危機が高まる。日本は北朝鮮の核兵器に対抗するために、核兵器の開発か、在日米軍の核兵器配備を行わなくてはいけない。非核3原則などと言えないのだ。核抑止論からそのように事態が動きだす。

 もし野党にきちんとした核戦略の認識があれば、いい加減な細田官房長の発言は自身の首が飛ばすほど重大な誤りである。

 中ロ首脳会談 国境問題を解決 中ロ首脳 行動計画調印 蜜月の背景に武器売買 (朝日 10月15日 朝刊)

[概要]中国を訪問中のロシアのプーチン大統領は、胡錦涛主席と会談し、経済や軍事分野で協力する「中ロ行動計画」に調印した。これは01年に調印された「中ロ善隣友好協力条約」を具体化する指針となる。また両国間で40年間にわたる国境問題であったアムール川とアングル川にある2つの島を共同管理し、共同で開発することで合意した。

 また欧州で批判が高まっているロシアのチェチェン政策を、中国は対テロ政策として支持することを表明した。同時にロシアも台湾問題で中国を支持することを表明した。

 経済分野ではロシアは中国向けに石油輸出を増産させる方針を示したが、日中で石油パイプラインの選定が競合している東シベリア石油パイプライン計画は、「ロシアの国益とパートナーとの利益を考慮する」という表現に押さえた。

 このように中ロが蜜月を演出した背景には、武器をめぐる売買の思惑が交錯している。ロシアにとって中国は全武器輸出の4割を占め、03年には10億ドルを突破(ロシア国防省)し、対中貿易の1/5を占めるまでに拡大している。しかしロシア側には中国に警戒心があり、インド向けの武器輸出より性能の低いものを与えている。そこに中国側の不満もあり、中国は天安門事件以来続くEUからの武器禁輸措置の解除を求めて、外交攻勢に乗り出した。中国はロシアとEUをてんびんにかけることで、最新武器をより安く入手しようとしている。

[コメント]ちょっと別な視点から見ると、ロシアは中国の武器庫で、今後ますます、中国人民解放軍に武器を供給(輸出)することは間違いない。それしかロシアには外貨を稼ぐ方法がないからである。中国はロシアに中国への武器輸出を増加させることで、より中国に依存する体質が強まり、ロシアの最新兵器をより安く入手できると考えている。また中国が希望している東シベリア石油パイプライン計画も、ロシアから多額の武器を購入することで、圧力を加えて有利に運びたいという意図がある。そのために成果が不確実であっても、EUに近づくフリをしているとも言える。これが中国流の外交術である。中国はロシアの弱点を知り尽くして、ロシアとの蜜月を演出しているのだ。ロシアがインドには最新兵器を与えるが、隣国の中国には古い兵器しか与えないというロシア国防省の差別戦略は、中国の老獪な外交術で簡単に破られる。ロシアには差別戦略をとれるような経済的な余裕はない。

 このように軍事問題はちょっと別な視点で、いろいろな現象を考えることが必要である。

 最近、ちょっと気になった情報は、中国がロシアから購入したキロ級潜水艦を勝手にコピーして、自国で新しい潜水艦を建造しているという記事である。確かに中国海軍はキロ級潜水艦から技術的に学ぶことは多いと思う。しかし潜水艦は簡単にコピーできるというものではない。それを支える裾野の広い産業が必要なのである。それが今の中国にはない。それにキロ級を今頃になってコピーする価値があるかという点も重要である。中国軍に詳しい人が書いた記事で、そのようなことが書かれていたの気になった。

 海南島に緊急着陸した米軍のEP3電子偵察機を、中国軍は徹底的に機体や電子機器を調査したと思う。だからといって中国軍にEP3が開発でき出来るかと言えば無理の一言だ。

※ 今日は午後から上野の森美術館に行く予定。展示してある中国の兵馬俑を見たいと前から思っていた。帰りは上野から自宅まで歩くつもり。早足で約1時間半ほどかかるが、ちょっとした運動にはちょうどいい。カミさんに今朝、「日曜日にいっしょに行く?」と尋ねたら、笑いながら「そんなの、行かないわよ」と断られた。歴史には興味がないらしい。「それに日曜はノバ(英会話)だし」という。再来年のディズニー・ワールド(フロリダ)に行くためらしい。逆に私は遊園地には興味がない。まあ、互いに好き勝手にやっているから、いいか。

 

 米軍再編 「極東条項にとらわれず」 外務省首脳 柔軟な発想で協議 (毎日 10月14日 朝刊)

 米軍再編 「安保の枠内」 小泉首相 極東条項修正を否定 (産経 10月14日 朝刊)

[概要]外務省首脳は13日、在日米軍の再編問題で日米安保条約の「極東条項」の解釈が問題になっていることで、当面は同条約にとらわれず日米協議を進めるべきと考えを示した。同首脳は「すぐに『安保条約に抵触する』というアプローチでいいのか」と強調し、テロや化学兵器の拡散などの脅威に踏まえ、自由な発想で条約的な詰めを行うべきと語った。その上で、米陸軍第一軍団司令部の座間キャンプ移転は、同条項を理由に「移転は困難」と米国側に回答したとしている。(以上、毎日新聞)

[概要]小泉首相は13日の衆院代表質問で、鳩山由紀夫氏(民主)が「米陸軍第一軍団司令部の座間移転は、日米安保j条約第5条の極東条項に抵触し、安保条約の性格にかかわる重要な問題」という質問に、「在日米軍の兵力構成見直しは、日米安保条約の枠内で行われるべきで、憲法との関係でも問題が生じるものではない」と答えた。しかし米側は座間に司令部を移転させることで、800名の将兵が移転(増加)するという具体案を日本政府に示した。また米側は普天間基地の一部を、沖縄の下地島の飛行場に移転させる案を提示した。(以上、産経新聞)

[コメント]これが防衛問題の奇妙なねじれ現象を示す具体的な実例である。まず首相が在日米軍の再編は、憲法で規定する日米安保条約の「極東条項」の枠内で行うと語る。つぎに外務省首脳は、「それでは話しが先に進まない。だから極東条項を無視して行う。しかし司令部の座間移転は、今の解釈では無理かもしれない」と逆の説明する。その一方で米軍は具体的な増員数を上げて、日本政府に第一軍団・司令部の座間移転を迫ってくる。もうこうなっては誰も動きがとれないのである。強引に米軍が司令部移転を行えば、憲法違反として最高裁に提訴することもできる。日本人の反米感情は一気に高まってゆくだろう。

 下地島空港移転の話しも変である。あの飛行場を建設する際、政府は地元(村役場・当時)と話し合い、米軍に下地島飛行場を使用させないと約束し、互いに合意書をとりかわしている。日本政府はそのことを忘れてはいないはずである。それを知って、米政府は下地島空港の使用を申し込んできた。その一方で、日本政府が約束した辺野古沖の海上基地建設は全く身動きがとれない状態が続いている。明らかに日本政府に弱みがある。米軍が下地島空港移転を申し込んできた裏には、座間に司令部を移転させたいために、下地島空港移転で日本政府に圧力(揺さぶり)をかけているのだ。米軍の下地島飛行場移転は本気ではない。下地島飛行場は中国に近すぎるし、基地警備の広さも十分でないので軍用飛行場に適さない。

 もはや捻れにねじれた日米安保体制である。動きがとれないのだ。今までいい加減な防衛論争で誤魔化してきた外務省や防衛庁の責任、それを許し(同調)てきた政治家の責任が厳しく問われている。

 首相所信表明 陸自のサマワ派遣延長を削除 直前に演説原稿から削除した? (NHK 朝6時のニュース 10月13日)

[概要]今朝、6時からNHKニュースを見ていたら、昨日の臨時国会で行った小泉首相の所信表明では、「イラクに派遣した陸自の活動を12月以降も延長する」という部分が削除されていたという。事前の演説原稿には記入されてた言葉だが、なせか昨日の小泉首相の所信表明には、イラクの地元から評価されているとしか言及されていなかった。政府はイラク派遣の延長決定は来月末に行うという。

[コメント]小泉首相も米大統領選の結果が気になり始めたようだ。外務省あたりの外電で、「ケリー候補の追い上げが熾烈、ブッシュ大統領危うし」という機密情報でも受け取ったのだろうか。昔、フランスの大統領選でパリの日本大使館が本省(外務省)に送った選挙情勢の機密電報を山ほど見たことがある。その機密電報を送った本人(すでに定年退職)から見せて頂いた。当時の新聞や雑誌の選挙記事や、見識者などのインタビューなどが電報に書かれていた。その人の話では、日本大使館員など在外公館が行う選挙情報は、本省の外務省に機密電報で大量に送られ、かなり高い精度で選挙結果の予測がされると話されていた。このことから日本の外務省も、首相の所信表明でイラク派遣延長を削って、そろそろブッシュ離れを始めたような気がする。

 ブッシュが再選ならイラク派遣延長で、ケリーが新大統領になればイラク撤退を考えているのだろう。そのようにアメリカの顔色を伺っては、コロコロと態度を変えるからアメリカからバカにされる。

 ところで先日、産経新聞(10/10 付け)に「サマワに輸送ヘリの配備を検討」と書かれていたが、それは実現しないと思う。ヘリの運用にはパイロットと整備士を派遣すれば済む問題ではない。天候を予測する気象予報官や、UHー60に対空火器防護も必要になる。アイデアとしては理解できるが、実際に運用するとなると、地雷原に装甲車を乗り入れるぐらいの度胸が必要だ。地上の輸送が危険なのでヘリで空輸となると、空の脅威(携帯式対空ミサイル)も地雷原並みに危険になってくる。ヘリの運用には相当の度胸(犠牲に耐える)が必要になる。しかし日本政府にそのような度胸はないし、自衛隊員はヘリが撃墜されて戦死者がでると、今以上にイラク派遣に対する不満が爆発するだろう。

  日本海配備 米イージス艦 新潟入港 MD配備の一環 (朝日 10月11日 朝刊)

[概要]米海軍のイージス艦「レイク・エリー」(満載排水量 9590トン)が新潟港に入港した。米国は10月から弾道ミサイル防衛のため、日本海にイージス艦を配備しており、同艦はその一翼を担うという。ハワイを母港とするレイク・エリーは9月に横須賀に入港し、今回は米艦としては6年ぶりに新潟港に入港した。今回は来年以降に日本海でMD任務につくための訓練航海や、緊急の補給や避難ができる港の調査が目的と思われる。

[コメント]本日は新聞休刊日で朝刊は休み。そこで昨日の新聞を使った。本日のTVでは、すでにこの入港を伝え、専門家のコメントを報じている。そこで気になったことは、このレイク・エリーが弾道ミサイルを撃つ落とせると勘違いしている人がいたことだ。イージス艦に搭載するMDシステムに必要な対弾道ミサイルはSM3(スタンダード・ミサイル3)という新型ミサイルである。しかしSM3は今開発中で、当然ながらレイク・エリーには搭載されていない。だから今の段階では北朝鮮の弾道ミサイル発射をフェーズド・アレイ・レーダー(半径500キロ)で監視する任務しかない。レイク・エリーでMDシステムが作動するような解説は間違い。さらにMDは地上のパトリオット対弾道ミサイルPAC3と合わせて配備することになるが、そのPAC3も航空自衛隊に配備されていない。航空自衛隊が配備しているのはPAC2である。

 だから正確には、弾道ミサイルの警戒任務のためと、北朝鮮に軍事的な圧力を強いめる示威という見方が一般的な見方である。しかしその解説では満点ではない。そこで必要なものは、海上自衛隊の任務を米軍が肩代わりして、海上自衛隊が中東に来られやすくする目的がある。日本には4隻しかないイージス艦だが、米海軍は60隻のイージス艦を保有している。もしイージス艦が本来の任務(陸上基地から攻撃機やミサイルの大量飛来を迎撃)を考えるなら、日米ともに使う道のないハイテク兵器なのである。しかしSM3を搭載して、弾道ミサイルを迎撃可能になれば、北朝鮮やイランの弾道ミサイルに対応するという任務が与えられる。このイランの弾道ミサイルがカタールの米軍司令部に向かって発射されるのを、ペルシャ湾で待機するイージス艦が迎撃するのである。

 だったら米軍だけでやれよと言いたくなるが、それでは海上自衛隊の仕事がなくなり、イージス艦不要論も起こる可能性がある。それに米国だけよりも、日本を巻き込んだ中東戦略の方が、国際的な好感を受けやすいという米国の読みがある。どうせ米海軍では60隻も余って遊んでいる巡洋艦である。

 だから日本海にイージス艦を配備する米国の狙いは、海上自衛隊を中東の戦争に巻き込むことが最大の目的というのが満点の答えとなる。

 中朝国境・豆満江 中国、軍人脱北を警戒 食糧供給締め付け背景? (産経 10月9日 朝刊)

[概要]中朝国境を流れる豆満江では、川幅が狭く脱北者が多い東部地帯で、北朝鮮軍の集団脱北を警戒し、今月から中国人民軍1万人が新たに展開して警戒している。中国軍は北朝鮮軍が武器を持って組織的に脱北し、中国の地方都市に流れ込むという情報を入手したための処置のようだ。この背景には今年になって北朝鮮軍内部の食糧事情が急速に悪化したことが大きい。最近脱北した元軍人によると、「千人の餓死者を出した部隊もある」という。この食糧逼迫(ひっぱく)は今年の夏から、中国が北朝鮮の対北食糧パイプを締めたために生じたともいわれる。中朝関係は中国が主導する6カ国協議に、北朝鮮が硬直した態度を崩さないことから悪化したと伝えられている。中国側が国境警備を強化したには、金正日に圧力をかけたい胡錦涛主席の狙いもある。

[コメント]私は5年前に書いた本で、北朝鮮崩壊の前兆は高位階層の大量脱北と、北朝鮮軍の集団脱走で掴むと書いた。軍隊同士の食糧の奪い合いに破れた部隊が、集団で武器を持って脱北するというシナリオである。その時が近づいてきたのだろうか。

 最近、私がもっとも注目している北朝鮮情報は、金正日の妹の夫で、金正日とは金日成総合大学の同級生の張成沢が軟禁されているという情報である。もし北朝鮮で金正日に続くNo2を挙げるなら、その人物は張成沢だということができる。しかし独裁国家でNo2という立場は、独裁者を狙う危険な存在でもある。それが妹の夫ということで、独裁体制の危険な存在であることをなくしていた。しかしすでに妻(金正日の妹)とは離婚同然の別居状態で、その彼が失脚し軟禁されているとなれば、北朝鮮の軍部に与える影響は非常に大きい。張成沢は軍部に対して影響力が強く、後継者問題でも主導的な立場をとっていた。

 1説では北朝鮮での竜川駅で起きた大爆発は、張成沢の一派が起こした謀略という説もある。しかしそのような情報は、北朝鮮を混乱させるために意図的に外部が流した謀略情報という可能性も高い。

 それにしても、やっと中国が重い腰を上げたと見るか、胡錦涛主席の新体制が北朝鮮の始末を急ぎ始めたと見るか。いずれにしても北朝鮮が崩壊に向かっていることは疑う余地がない。

※本日は10年来の大型台風が東京を襲うと予測されている。そのために午後はマリーナにヨットを見に行く予定である。

 イラクの大量破壊兵器 「イラク、備蓄なし」 米調査団最終報告 開戦の根拠否定 (朝日 10月7日 夕刊)

[概要]米軍やCIAなどの情報機関員約1000人。通訳700人、予算9億ドル(990億円)をつぎ込み、イラクの大量破壊兵器を15ヶ月間にわたって調べた米調査団は、6日、イラクに大量破壊兵器の開発や備蓄は無かったとの最終報告を発表した。またフセイン大統領とアルカイダの関係や、米国同時多発テロとフセイン大統領との関連も、一切なかったと断定した。この結論はすでに公表されている報告書とも一致する。イラク開戦の根拠が否定されたことで、イラクに兵力を送り込んでいる「有志連合」や、イラク戦争に反対をしてきた独、仏などヨーロッパ各国の外交に影響を与えるのは必至である。大統領選のケリー候補側は、「この政権が示した戦争正当性の根拠が間違ったことを物語っている」と批判を強めている。

[コメント]ここにきてもブッシュ陣営は、米軍の進攻でアメリカが安全になったと語っている。とんでもない間違いだが、それをTVなどで堂々と語られると、アメリカ国内では「ウソ」と言いにくい雰囲気があるようだ。しかし、今のイラクはテロリストたちの温床で、まさにイラクでテロリストを訓練し、実戦を体験させる絶好の場所になっている。イスラム過激派がテロリストをリクルートするには、「アメリカがイラクをイスラエルのような国にして、アラブの石油を盗もうとしている。これと戦うことはイスラム教徒にとって聖戦である」と語れば、それが真実と思わせる光景が目の前にある。

 米大統領選まであと1ヶ月を切った。ケリー候補はイラク戦の正当性と、見通しの誤りを、投票前に集中攻撃する選挙作戦だったようだ。7月頃までは、イラク戦争では両氏の違いがあまりないという報道があったが、それは選挙直前のために残しておいたという見方が正確である。両氏が明らかに違う考えを示したことでわかった。やはり今回の大統領選挙は、イラク戦争をめぐる対応こそが最大の争点だったのである。ケリー候補は大統領になれば4年以内に米軍をイラクから撤退させると語った。自衛隊のサマワ駐留延長は米大統領選挙の結果を見てからでも遅くはない。

 自衛隊内の調査では、サマワから帰国した自衛隊員に聞き取り調査をしたところ、大部分の者が「二度と行きたくない」と答えたそうである。

 在韓米軍 削減完了3年延期 計1万2500人を08年にかけ3段階 米韓が合意 (読売 10月7日 朝刊)

[概要]在韓米軍37,000人のうち、12,500人を削減する計画を、削減完了を05年から3年延長し、08年までにのばすことで米韓両国が合意した。急な削減に危機感を持った韓国政府に米側が配慮したとみられる。韓国国防省によると、米軍はイラクに派遣した3600人を含む5000人を今年末までに削減し、来年の05年〜06年までにさらに5000人を削減し、07〜08年までに2500人を削減する計画になる。また北朝鮮の長距離砲に対応する多連装ロケット(MLRS)2個大隊のうち、1個大隊を撤退させる計画を撤回した。アパッチ攻撃ヘリ部隊は、3個大隊のうち1個大隊を撤退させるが、残った2個大隊には最新型を配備するという。在韓米軍の削減が公表されたのは今年6月、これに危機感を持った韓国はイラクに追加派遣を行って米側の譲歩を誘った。

[コメント]ここで注目するのは08年という削減完了期限である。08年は北京オリンピックの年である。すでにこのホームページで何度か書いたが、米国や日本や韓国の政府には、表面に出さないが、08年の北京オリンピックまでに北朝鮮の体制が存続していないという考えが強い。最大の理由は中国の胡錦涛主席が北朝鮮の存続を許さないという見方である。中国東北部の開発には、韓国、日本、米国の投資や援助が必要で、北朝鮮はその邪魔になっているという考えである。それまでに韓国は米国の援助で「自主防衛」国を目指し、戦力を強化して米国と新国家との間で軍事同盟を結ぶと思う。しかし米軍は朝鮮半島に「駐留なき軍事同盟」を希望する。中国もそれを歓迎するだろう。中国が戦略核武装(ICBM)しているので、米国は中国と接する朝鮮半島に地上軍を置きたくないのである。ちょっと肩が触れたぐらいで、ナイフや拳銃を持ったケンカをしたくないからだ。

 ところで韓国の反米や嫌米感情だが、これは北朝鮮という脅威が減少して韓国内で反米意識が高まった。しかし新統一国家が中国と国境を接するようになると、逆に朝鮮半島では米国に依存したり、米軍の軍事力強化を望む声が高まるだろう。しかし日本では逆に、北朝鮮の脅威が消滅することで、反米や嫌米の意識が高まることが予測される。そのようなことも反米、嫌米を考える上で重要な要素となる。

※本日は久しぶりに What New!に2本の記事を書いた。時間にして約1時間40分である。昨夜、メールにお返事を更新したので、その分、今朝はWhat New を更新する時間が多く取れた。ちょっと疲れるが、2本書くとかなりの情報量や軍事知識が送れると実感した。

 政府提案 嘉手納基地 日米共用を 自衛隊、那覇から移転 (産経 10月7日 朝刊)

[概要]在日米軍の再編問題で、日本政府は沖縄の嘉手納基地を自衛隊共用とし、那覇基地(官民共用)の自衛隊を移転させる方針を固めた。政府はすでに米国に横田基地の軍民共同を申し入れているが、嘉手納基地も自衛隊との共同使用を提示する方針だ。これによって米軍と自衛隊の連携が緊密になる効果があるという。沖縄の自衛隊については、空自のF−4戦闘機をF−15戦闘機に変更して嘉手納基地に移す。また那覇基地のP3C哨戒機部隊も嘉手納に移転する。自衛隊が那覇空港から嘉手納に移転すれば、那覇空港の旅客機離発着回数が増え、乗客を増やすことができるという。

[コメント]なんとも小出しにする在日米軍再編案だが、すでに全体的な再編案は数年前から日米で検討され、合意を得ていることはいうまでもない。それがイラク戦争の泥沼化と、予想外の北朝鮮存続で動きが早まったにすぎない。当初の計画では北朝鮮崩壊後に、中国が朝鮮半島に関する対応を見ながら再編を行う予定だったと思う。嘉手納の米軍は北朝鮮崩壊後に、大幅に削減することは分かり切った話である。そこを埋めるのは那覇基地の自衛隊ということも当初の計画案通りである。さらに言えば、佐世保(長崎県)の普通科連隊は沖縄の米海兵隊が撤退したあと、沖縄に移転される予定の陸自・戦闘部隊である。

 自衛隊が那覇基地から嘉手納基地に移れば、那覇空港の民間機離発着回数が増え、観光客が増えるという説明は地元の反発を回避させるお化粧(方便)である。そんな言葉で沖縄の観光業者は「お化粧」を夢見ないで頂きたい。素顔は米軍としては嘉手納から撤退するが、いつでも使える東アジアの軍用飛行場を自衛隊に守っていて欲しいだけの話しとなる。

 それにしてもマスコミにリークされる米軍再編情報が小出しすぎる。座間基地の第1軍団司令部移転など、すでに何度もマスコミで報じられるので、段々とそんなものかと思う人が多くなる。それが情報を小出しにする理由である。

 イラン 射程2000キロ戦略ミサイル イラン実戦配備か (読売 10月6日 読売)

[概要]イランのラフサンジャニ最高評議会議長(前大統領)は5日、同国は射程2000キロのミサイルを保有していると述べたと、イランの国営通信が伝えた。先月下旬、イランのシャムハニ国防軍需相も「戦略ミサイルを配備した」と述べている。イランは昨年、射程1300キロの「ハシャブ(流星)3」を配備し、イスラエル全体を射程内に収めた。ハシャブ3は北朝鮮のノドンをもとに開発され、射程2000キロの「ハシャブ4」も02年に試射に成功している。今回のラフサンジャニ氏の発言は、敵国イスラエルを牽制するための発言とみられる。

[コメント]イランの首脳はイスラエルが核開発施設を空爆(奇襲)し、イランの核開発を妨害すると考えている。そこでもしイスラエルがイランに奇襲を行えば、報復に弾道ミサイルでイスラエルを攻撃すると牽制している。この発言は本気と評価できる。すでにイランがミサイルの発射実験に成功しているからである。「意志と能力」という意味で、この発言が本気として重くなるのだ。北朝鮮とは次元が数段違ってくる。イスラエルの情報機関は発言の評価を、「本気」とするしかないだろう。

 ところでアメリカの大統領選挙だが、ブッシュ大統領が再選されれば、必ず次はシリアを狙って攻撃を開始する。イラクの反米勢力をシリアが支援(送り出している)しているという論理である。そしてシリアを支配下に置き、地中海(米海軍)とイラクを陸路で結んでイラクへの関与の比重を高めていく。すでにペルシャ湾(米海軍)とイラクは軍事ルートで結んでいる。地中海とペルシャ湾でイラクを挟み込む戦略である。

 これはベトナム戦争で背後のカンボジアを放置して、米軍がカンボジア(オウムのくちばし地区)から攻勢を受けたことの反省でもある。だから米軍はシリアを支配しなければ、イラクの治安が回復しないと考えている。それでシリア(レバノンを含む)、イラク、クエート、サウジ、ヨルダン、トルコが米軍の影響下に入る。

 そうなると最後に残るのがイランである。米軍はすでにイランの隣国アフガンに、インド洋(米海軍)からパキスタンを通じて軍事ルートを作っている。するとイランは東西両方向から米軍の圧力を受けることになる。これがネオコンの狙いである。地中海からインド洋に通じる回廊を支配する戦略だ。これで中東を中心に中央アジアのエネルギーまで米国の支配下に入れることが出来る。

 だがイラクのシーア派はフセイン大統領は嫌いだが、米軍はもっと嫌いと考えたように、イランの人々も国内の保守派は嫌いだが、米軍はもっと嫌いと考える人である。決して米軍の味方になる人ではないのだ。そのあたりの認識がネオコンにはない。自分たちはアフガン、イラク、シリア、イランでは、解放軍として迎えられると認識していた。そもそもはこの勘違いが大きな判断ミスである。

 ベトナム戦争を泥沼に落とし込んだドミノ理論と同じ判断ミスである。ケリー候補がそのことに気が付いていることを願うばかりだ。 

 安保・防衛懇談会 防衛構想の新たな理念見えず 社説 (毎日 10月5日 朝刊)

[概要]小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」が4日、報告書を提出した。この報告書は「95年の防衛大綱(改定)」の見直しを打ち出したのが最大の特徴だ。その理由は日本に対する本格的な武力侵攻の可能性が大幅に低下し、防衛力の抑止が効かないテロなどの「非国家」の攻撃が増大したことで、自衛隊は編成や兵器などの配備に大幅な見直しが行われるという変化を受けている。しかし報告書では基盤的防衛力に代わる新しい理念を示したとは言い難い。さまざまな脅威に対抗するために、「多機能弾力的防衛力」という言葉を使ったが、具体的なイメージがわいてこない。また新たな時代に向けた日米関係を構築するために、新たに「日米安保共同宣言」などを提言するのはやや唐突だ。また武器輸出では米国と禁輸を緩和すべきとしているが、平和国家との理念との関連をどう維持するのか。ともあれ、報告書がでたことで12月の新大綱策定に向けた政府の検討作業が始まる。

[コメント]これは毎日の社説である。じつは防衛庁の官僚や自衛隊の高官たちは、毎日新聞の社説や防衛記事をよく気にするという。というのは朝日は「反自衛隊」で、読売は「賛自衛隊」、産経は「親自衛隊」という基本姿勢であると考えているのだ。そこで全国紙の毎日がどのように報じるか気になるからだ。その毎日が「安防懇」の報告書をこのように批判した。要するに、報告書から問題提議や危機意識はわかるが、その解決策や方向性を期待したのに、この報告書には何も出ていないという批判である。あいまいな表現で本質的な問題から逃げていると感じたのだろう。

 私はこの報告書を読んで、まだ日本の国家戦略を示していないと思った。またまた日米安保体制重視の焼き直しである。

 そこで日本とドイツだが、どちらが頭がいいのだろうか。最近は日本の立場をイギリスと重ねる人が多くなった。イギリスがヨーロッパの片隅の島国にあるという立場が、日本もアジアの片隅にある島国というイメージから重ねている。つい数年までは日本は同じ敗戦国ドイツと重ねられていた。しかしブレア首相の親ブッシュ政策と、小泉首相が同じように親ブッシュで行動したことから、新しい日・英のイメージが出来てきたのだろう。

 先日のオフ会でも話したが、日本には坂本龍馬のような者が必要になっていると思う。こり固まった現代を打ち砕いて、新しい日本を誕生させる新しい思考とエネルギーを持つ者の出現である。しかし日本には幕末の長州や薩摩がまだいないか。

 沖縄海兵隊 一部国外移転も打診 政府方針 物資集積場で便宜 (読売 10月4日 朝刊)

[概要]政府は沖縄の米海兵隊移転構想で、米政府から打診されている2600人規模の北海道やキャンプ座間への移転を検討するほか、国外への一部移転も米国に求めていく方針を決めた。政府はこれを機会に、在日米軍基地の戦略的な位置づけを米側と協議する方針だという。また海兵隊が国外に移転した場合、日本国内に米軍事物資の事前集積施設を整備する構想を示す考えだ。この他にも、政府は日本有事や日本周辺有事以外でも、米海兵隊が自衛隊の基地や民間の空港、港湾などを使用できる制度の整備を検討している。

[コメント]先日のオフ会でも話題になったが、米国側から日米安保条約を破棄する可能性があるかを考えた。私は米国にとって日本列島は、ロシアや中国の大陸国家の軍事力(グランドパワー)が、朝鮮半島から日本に及び、やがて太平洋で米国と対峙する防波堤の役割があると説明した。日本政府が米国と戦略的な関係を再確認するのは、このことである。すなわち米国にとって日本は自国の防衛ラインとして、非常に重い戦略的(地政学)な価値がある。だから決して米国から日米安保を破棄するとは言わない。

 この記事で気になるのは、日本に事前集積を行う問題だが、もし中東向けならグアムやシンガポールなどが適している。あくまでも日本に期待するのは、ロシアや中国が朝鮮半島に進出してくることに備えた事前集積である。さらに日本有事でなくとも自由に米軍が日本の基地や施設を使えることは、日米安保体制の強化を行うことで米軍は歓迎すると思う。

 そこで気になる米軍が事前集積を行う場所だが、それができる最も適した場所は北海道の苫小牧であると考えている。米軍は広大や原野、整備された苫小牧港(港湾)、警備可能な陸上自衛隊(第7師団)の存在、空自が配備された新千歳空港にも近く、いわゆる軍事的な意味での立地条件に注目すると思う。いや、すでに数年前からそのような米軍の事前集積構想で、苫小牧や千歳周辺が整備されていると思っていた。いよいよそれが動き出したということである。

 この米軍の事前集積は米軍のトランス・フォーメーションの主要な柱になることは間違いない。いよいよそのような時代が動き出した。

 米大統領選 TV討論 ケリー氏「北朝鮮は6〜7発の核爆弾を持っている」と発言 (10月1日の衛星第一ニュースより)

[コメント]昨日、NHKの衛星第一TVで放送した、第1回の大統領選TV討論を見ていたら、ケリー候補が、「ブッシュ大統領は間違った情報でイラク戦争を始めた。そのイラクに気を奪われている間に北朝鮮は6〜7発の核爆弾を持った」(神浦・・・断定した)と発言した。この北朝鮮が6〜7発の核爆弾を保有という情報は初めて聞いた。その程度の量の「使用済み燃料棒」を持っていたことは確かだが、それを再処理してプルトニュームに精製したか不明解である。これも間違った情報である可能性が高い。ケリー氏もウソでもいいから大統領選に勝てばいいでは困る。

 本日はこれからオフ会に行く。会場まで歩いて10分の距離である。ちょっと緊張してきた。どんなことになるのだろうか。あと1時間。