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この情報の最も新しい更新日は8月31日(木)です。

サマワからの報告 上

感謝と不満と

不慣れな陸自、限界も

サマワ事業

 希望の発電機台無し

現地世論調査

 駐留、7割が評価

(朝日 8月31日 朝刊)

[概要]約1ヶ月前まで陸自部隊が駐屯していたサマワからの現地レポート。日本が行った復興支援事業の現場を歩くと、多くのイラク人が「自衛隊に感謝している」という。サマワの子ども病院では、04年6月に9台の最新・未熟児用の人工保育器を提供した。それによって旧式の人工保育器の時代には月に15人から20人あった新生児の死亡が、5人までに低下した。一方、サマワ総合病院での検査部門では、自衛隊が提供した12台の検査機器のうち、今も作動しているのは4台だけだという。1年前に納入された「全自動尿分析装置」は3ヶ月で装置の不具合から使えなくなった。自衛隊に修理を依頼しても、「この次ぎ」というばかりで、故障したまま撤退したという。

 自衛隊が提供した機器の中には、使用説明書が日本語で書かれ、何のための機材かわからなと話すイラク人医師もいる。サマワの北45`にある道路で、自衛隊が25キロの道路改修工事を発注したが、工事は5キロのところで止まり、道路脇に舗装用の重機が放置されている。自衛隊が発注した工事費は2億円超。自衛隊の車列が路肩に仕掛けられた爆発事件後、現地での監督が難しくなった事情などがある。

 自衛隊がサマワで発注した工事は、道路31ヶ所、学校36ヶ所、医療施設や給水施設66ヶ所など、全部で130ヶ所を越える。しかし人口60万人のムサンナ州で、経験のある業者は限られ、業者の中には能力に問題がある者も少なくなかった。

 外務省が05年6月に1億5000万円をかけ、サマワ市内に設置した大型発電機9基のうち、今も動いているのは1基もなかった。これは州電気局が調査したところ、地元業者が設置した発電機が中古品で、契約違反として州が燃料の供給を取りやめたためだ。道路工事を放置した業者と、この発電機を設置した業者は同じで、日本が業者の選定を誤まり、その上請け負い金額を前払いにたことに問題があるという指摘がある。

 自衛隊は継続的な復興支援を行うのが本業ではない。日本は現地の事情よりも「まず自衛隊派遣あり」という事情を優先した。その無理が生み出した歪(ひず)みである。

[コメント]この現地レポートが自衛隊のイラク派遣に反対した朝日新聞だから、意図的に自衛隊に批判的な記事を載せたと感じる人もいると思う。しかし私の感じ方はむしろ逆である。自衛隊が撤退して1ヶ月後という早い取材なので、それほど人道支援活動の”破滅”や”残骸”が進んでいない時期と思っただからだ。これが自衛隊撤退から半年や1年後になると、病院に提供した医療危機は売り飛ばされ、中古の大型発電機でさえ転売されてサマワから姿を消している。残った医療機器も修理部品の不足や、補給部品の不足で動かなくなっている。まさに”破壊”や”残骸”という言葉しか浮かばなくなる。自衛隊派遣を住民の7割が今も評価しているというのは立派な数字である。

 以前にもこのホームページに書いたが、サマワ派遣は日本政府(小泉首相)の勝手な事情で行ったことである。だから自衛隊がサマワ撤退後も、人道支援の効果が継続すると考えないで欲しいと説明した。

 ”困った人に物を与えると幸せになる”。これは日本人が共通して持っている感覚のようだ。かつて日本の平和団体がカンボジアに中古の足踏みミシンを贈る運動を始めた。日本の家庭の物置で眠っている古い足踏みミシンを集め、カンボジアの電気のない村に贈り、タイに逃れた難民が帰還しても、縫い物などで自立できるためという理由である。私はその頃、カンボジア西部の村に何度も入り、ポル・ポト派の動きを取材していた。そんな貧しい村にも、日本から平和団体のメンバーと足踏みミシンがやてきた。日本の平和団体は村人にミシンを贈り、自分たちとミシンと村人の記念写真を撮って帰った。数日後に私がその村に行くと、すでにミシンは故障して動いていなかった。村人も直す方法がわからないし、そのために必要な部品もなかった。良心的な平和団体と言っても、その程度の知識の話しなのである。

 また別の全国組織の平和団体も、カンボジアに携帯ラジオを贈る運動を起こした。家庭にある不要の中古ラジオを集め、カンボジアで正確な選挙情報をラジオから聞き、国連UNTACが主導する総選挙に活用するためである。そして日本から大量の中古ラジオと新品の電池がカンボジアに届いた。それをカンボジア各地の村に配布したのは国連ボランテアの者たちだった。しかしラジオの数が限られているので、当然ながら配布できる家とできない家がある。国連ボランテアは配布されない家の恨みを買った。また配布されても新品の乾電池は街の市場で売られた。単3乾電池4本で豪華なお昼ご飯が食べることができた。かろうじて残ったラジオも、当時のカンボジア政府(人民党)のプロパガンダの道具として使われた。カンボジアで中波のラジオ局を持っているのは、当時の政権を握る人民党しかいなかったからだ。

 だから日本のような国から、荒れた海外の国に援助物資を送ることは極めて難しい。できれば現地に信頼できる人を育て、その人(あるいはグループ)を日本人が支援する方法が最も公平で効率的であるように思う。

 カンボジアにラジオを贈る運動を知らなかった私は、ある時、アンコールワットのあるシェムリアップの市場で、日本製の電池が大量に店先に並んだのをみて驚いたことがある。日本人の良心は理解できるが、その方法論はもっと研究が必要と思う。日本の大学などでは、海外のボランテア活動に単位を認めるなどすると、現地での経験と交流が生きた勉強になると思うのだが。

安全保障新時代

  敵基地攻撃論

北ミサイル

 日本着弾シミュレーション

「防衛出動」激動の1日

専守防衛は機能せず

(産経 8月30日 朝刊)

[概要]20XX年7月5日、日曜日の午前11時。北朝鮮は弾道ミサイルを3基続けて発射した。最初は北朝鮮と東京を結ぶラインのほぼ中間の日本海。2発目は北海道函館市の郊外型大型店舗。3発目は青森県つがる市の神社に着弾した。

 弾頭は模擬弾が使用されたために、買い物客や盆踊りの練習をしていた6人が死亡、21人が重軽傷を負っただけですんだ。

 日本政府は北朝鮮に強い抗議と非難を伝えたが、安全保障会議では北朝鮮の「実験失敗」を主張し、穏便におさめようとするする閣僚も多かった。その後、北朝鮮はラジオ放送で「日本に警鐘を鳴らした。日本が愚かな姿勢を改めない限り天罰はやむことはない。全軍は有事の臨戦態勢を維持する」と放送した。これを受けて日本政府が「武力攻撃事態」を認定したのは、着弾後、12時間もたっていた。

 さらに北朝鮮が弾道ミサイルを日本に向けて発射する兆候を確認し、防衛庁長官は史上初の「防衛出動待機」を命じた。さらに再発射の兆候が高まったが、米軍は共同攻撃を受諾せず、「情報提供協力」だけにとどまった。さらに再発射のミサイル弾頭には、化学弾頭である可能性があることが米軍から伝えられた。ついに日本政府は史上初の「防衛出動」を命じ、青森県の三沢基地から500ポンドの精密誘導爆弾(JDAM)を搭載した16機のF−2攻撃機が離陸した。石川県の基地から20機のF15戦闘機が援護のために離陸した。また4機の宮中給油機も小牧基地から飛び立った。・・・・・・・・・・・・

[コメント]まあ仮想の話しだから、どんな想定やドタバタも勝手に作れるが、この着弾シミュレーションで最も気になるのは米軍の対応である。日本が北朝鮮からミサイル攻撃を受け、死傷者が出ているし、北朝鮮から宣戦布告に近い言葉がラジオ放送で使われ、さらに化学弾頭の再発射を準備しているのに、在日米軍は「情報提供協力」だけで何も行わないことである。

 そんないい加減な日米安保体制なら、日本は直ちに日米安保条約を破棄し、米軍を日本から全面撤退させる必要がある。そして日本独自の国家戦略で、核武装を含む日本の軍事力を再構築させる選択をすべきである。あるいは別の安全保障政策を考えるべき問題なのである。これでは日本をバカにするなである。

 それ以上に、日本の根本戦略である「日米安保体制」を無視し、無理矢理、自衛隊を北朝鮮攻撃に向かわせるこの想定に馬鹿馬鹿しさを感じる。

 こんなメチャクチャな想定で、日本の国防体制を考察する材料にされるのは、自衛隊にとっても米軍にとっても迷惑である。また日本領土が北朝鮮からミサイル攻撃を受けたのに、直接侵略を認知できない政治家は日本にいないと思う。そのような事態になれば、米軍は日本の軍事大国化を防ぐために、ソウルが壊滅的な攻撃を受けても、勇んで北朝鮮のミサイル基地を攻撃する。在韓米軍兵士は化学防護服を着用することで、生物・化学兵器の被害を軽減することが可能だ。中国も日本の軍事大国化を恐れ、アメリカの北朝鮮空爆を黙認するだろう。日本が軍事大国化しないことは、それくらい重い軍事政治的な戦略なのである。

 それでも最重要の問題は、北朝鮮が非武装地帯などの近くの地下陣地に配備した大量の長距離砲、地対地ロケット、短距離ミサイルや、韓国内に潜入している北朝鮮工作員が、生物・化学兵器をソウルや在韓米軍にむけて使う(発射)することである。それとどのように対応するか。それこそが北朝鮮の軍事問題なのである。それ以外で北朝鮮の軍事力など、「赤子の手をひねる」様なものである。その北朝鮮の報復力(生物・化学戦)と、日米の先制攻撃(敵基地攻撃)論とがどのような関係になるか論じて欲しい。

 ありもしない夢物語を作って、適当な軍事知識で弄(もてあそ)んでも、まともな議論は前に進まない。手前味噌の自己満足も度が過ぎるとはた迷惑である。

米軍横須賀基地

SM3搭載イージス艦

日本に初配備

(毎日 8月29日 夕刊)

[概要]米海軍横須賀基地に29日、海上配備型迎撃ミサイル「SM3」を搭載したイージス艦「シャイロン」(全長127メートル、9950トン)が入港した。同基地に配備されている8隻のイージス艦のうち「チャンセラーズビル」と交代する。

 SM3は弾道ミサイルを迎撃する能力を備え、日本では初の運用となる。北朝鮮などのミサイル発射を想定した日本のミサイル防衛(MD)は新たな段階に入る。米海軍はSM3を搭載するイージス艦を3隻保有しているが、米国外の基地に配備するのは初めて。

[コメント]ここで忘れてはいけないことは、イージス艦のSM3はノドン(スカッド)のような中(短)距離弾道ミサイルに対抗する迎撃ミサイルであるということだ。そのノドンは移動式の発射台に搭載され、トンネルなどの地下陣地に配備されて、外に出て発射するまでの時間が極めて短い(数時間)ことである。ノドンの移動発射台が外に出たのを探知して、それからミサイルの飛翔予想海域にイージス艦のSM3が出ていくようでは間に合わない。

 また北朝鮮は日本への攻撃可能なノドン・ミサイルを、100基〜200基を配備していると韓国の国防白書には記述している。日米の数隻のイージス艦で、ノドンに対応できるのだろうか。

 そのような厳しい現実があることを知るのは無駄なことではない。これで日本は北朝鮮のノドンミサイルに対して、完ぺきな盾が整ったと信じ込まされないで頂きたい。

安全保障新時代

  敵基地攻撃論

米の「先制攻撃」とは異質

自衛権の範囲

(産経 8月29日 朝刊)

[概要]北朝鮮の弾道ミサイル発射で再燃した「敵基地攻撃」論。しかしこれは国際常識では主権国家の自衛権として認められている「先制攻撃」である。ブッシュ米政権が先制攻撃論を主張したが、ブッシュ政権がイラクで行ったのは「先制攻撃」ではなく、「予防攻撃」という議論がまきおこった。

 チェイニ副大統領とラムズフェルド国防長官は、「時や場所を選ばないテロリストに対しては先制攻撃しかない。米国が先制攻撃して被る危険よりも、攻撃しないで被る危険の方がはるかに大きい。そして先制攻撃には完ぺきな証拠は必要ない」と語っている。そのような戦争倫理からパウエル国務長官(当時)との溝が拡大した。

 国際軍事上の先制攻撃論の定義は、「敵の差し迫った攻撃の証拠が明白である」ことにより行われる攻撃である。これに対して予防攻撃は、「差し迫った脅威ではないが放置すれば将来、受け入れがたい脅威をもたらす可能性がある相手に、その脅威が顕著化する前に攻撃をする」というもの。これがブッシュ政権のイラク攻撃を、先制攻撃ではなく予防攻撃と見なされる理由である。

 日本で論じられる敵基地攻撃は、「敵が日本への急迫不正の侵害に着手した時期」(石破元防衛庁長官)と、国際的な先制攻撃論よりもさらに条件が厳しくなる。ただ、どの段階で「着手した時点」と判断するかをめぐって議論がある。

 単純な仮説だが、相手が銃をもっているだけで発砲するのが予防攻撃で、銃を向けている相手を撃つのが先制攻撃、さらに銃を向けて引き金に指をかけているのを撃つのが敵基地攻撃論である。

 予防攻撃は第1次大戦後のパリ不戦条約で禁止されている。だが現代の大量破壊兵器の登場と国際テロの蔓延や、ミサイルの技術の発展など”想定外”だったはずだ。ナイ・レポートのジョセフ・ナイ ハーバード大教授(当時)は、イラク戦争直前の03年3月にワシントン・ポスト紙で、「テロ組織が大量破壊兵器を持つ時代では、予防攻撃も含めたブッシュ政権の問題定義は正しい」と指摘している。

 ロシアや中国は戦略核兵器の命中精度を上げ、先制攻撃能力を向上させている。中ロともに、「急迫不正の脅威」を理由に先制攻撃と称し、予防攻撃を行う可能性はなしとしていない。予防か先制かを判断するのは当事者で、国際テロの時代では区別がつきにくくなっている。

 日本で北朝鮮の弾道ミサイル発射で「敵基地攻撃」論がわき起こった。さらなる議論の深まりが望まれる。

[コメント]もう25年も前になるだろうか。アメリカ国内で麻薬などが蔓延して、大都市の治安が極度に悪化した時代があった。その頃にLAの警官から実際に聞いた話しだが、パトロールする時には別の拳銃1丁を隠し持っているという。もし容疑者に発砲して殺し、相手が銃を持っていなければ、その隠し持った拳銃を死体のそばに置き、正当防衛を装うためだと話していた。これと同じ話しを先月聞いた。イラクの米海兵隊員はイラクの民間人を誤って射殺した場合、その死体のそばにAKなどの自動小銃を置き、正当防衛を装うように教育されているという。

 要するに戦争とは、兵士の生死がかかった極限の殺し合いである。負ければ死ぬし、何もかが無になってしまう。だから戦争で勝つためには、「何とでも理由を成り立たせる」ものである。ヤクザのケンカや、警官が銀行強盗と戦うわけではない。核爆弾1発で国家の首都機能が大被害を受け、多くの死傷者が出ることは間違いない。そんなことを想定して軍事は動き回っているのだ。

 しかしこれなら、なぜヒットラーはサリンやVXなどの毒ガスをドイツに進攻した米軍に使わなかったのか。またイラクのフセイン大統領は、クルド人やイラン兵に使ったマスタードガス(びらん剤)を米兵に使わなかったのか。その理由として考えられているのは、だれもが「大量報復」を恐れたからという説明が使われている。広島や長崎の原爆のように、当時の日本はアメリカに対して報復力が無いので、アメリカは日本に原爆を投下したという理由と同じである。大量破壊兵器は自分よりも弱者に対し、そして報復能力が無い者に使われるという論理である。

 その論理が通じなくなったのがテロやゲリラ戦である。しかし先制攻撃論や予防攻撃論でテロやゲリラの攻撃を防げるものではない。始めた戦争の目的を正当化するために利用されるだけの話しである。

 イラクでアメリカは予防攻撃まで正当化して戦争を始めた。その結果、中東は以前よりも安定化したのか、またアメリカ国民の危機は軽減したのか。アメリカはテロや大量破壊兵器に先制攻撃論で対抗するのが間違いなのである。その点で、私はパウエル長官と同じ価値観を持っていると思う。

 今の北朝鮮の現状を見て欲しい。真偽は不明だが、北朝鮮が核実験の準備を進めていると情報に、どこかの国が核実験場を先制攻撃なり予防攻撃を行えるのか。日本もできもしない敵基地攻撃論でお茶を濁すよりも、大量報復論で国際的な連携を強めることが良策と思う。戦争は言葉の遊びでは解決しない。私が敵基地攻撃論を「まったくの論外」というのは、戦争のリアリィテーが全く伝わってこないからだ。ただ、言葉の遊びで「戦争ごっこ」を楽しんでいるだけだからだ。

 北朝鮮の問題は、発射準備中のミサイル発射台を破壊する、あるいは地下核実験場の坑道口に爆弾を投下すれば済む「敵基地攻撃論」の問題ではない。そんなことで解決できるほど単純な問題なら、とっくの昔に数発の爆弾で解決している。それが出来ないから、日本人は北朝鮮に対して今も危機を感じているのである。

北朝鮮・豊渓(プンゲ)

核実験場か否か

米情報機関で見解不一致

(毎日 8月28日 朝刊)

[概要]北朝鮮の核実験に注目が集まる中、米メディアが「核実験場」と報道した威鏡北道豊渓の地下施設について、本当に核実験場か否かが米情報機関の間でも見解が一致していないことが複数の関係者の証言でわかった。

 北朝鮮の核実験場と疑われるトンネル群に関し、03年4月に国防省や国務省やエネルギー省の情報担当者12人が、2週間にわたり綿密に検討を行った結果、「地下核実験施設と判断する証拠はなく、可能性は残る」と最終結論を行ったという。そのときに情報担当者の間で情報の評価をめぐり、見解の不一致があった。当時も現在も状況は変わっていないという。

 米ABCテレビは今月17日に、豊渓のトンネル周辺で「不審な車両の動き」とケーブルのリールを確認したと報道した。これを核実験の準備と報道したが、核実験とは無関係との解釈することもできる。北朝鮮の核実験準備情報には不透明感が漂っている。

[コメント]フィクションの話しで恐縮だが、私が94年7月に出版した軍事小説「北朝鮮 最後の謀略」(二見書房刊)では、北朝鮮が北部の廃鉱を利用して地下核実験を行うシーンがある。金正日は核実験をアメリカが探知することを承知の上で準備を進めると小説のストリーを展開している。北朝鮮はわざと米軍の偵察機が探知しやすいように、地下核実験場の入口付近に大量の通信ケーブルを設置し、核実験が間近ことをアメリカに通告するという意味である。また核実験場周辺には、米特殊部隊の破壊工作を警戒する部隊を幾重にも配置し、また米軍攻撃機からの爆撃に備えて対空部隊も要所要所に配備していると書いた。そうすることで、アメリカは在韓米軍配備の偵察機で、地下核実験場での詳細な動きを探り、実験に参加している核技術者の顔写真まで撮影し、核兵器技術責任者を特定できるまで情報の精度を上げたとさせた。そのような情報を米国のNSC(国家安全保障会議)はリアルタイムで入手し、核実験後の対応策を検討させているというストーリーだった。

 金正日がこの時期に核実験を行う動機を、父・金日成が死亡すれば、それに代わる巨大な権威を持つためとした。ちょうど本が出版された同年同月の7月に金日成は死亡している。

 当時は今のように無人偵察機は高性能ではなかった。それに代わり活躍させたのは在韓米軍で今も配備されているU−2偵察機である。また日本の美保基地にある電波情報施設(旧別室)も、金正日が乗ったヘリのパイロットの通話を傍受し、その音紋から金正日総書記が搭乗し核実験場に向かうことを探知したと書いた。もし今であれば、北朝鮮近海の海中に潜航し、核実験場で飛び交う微弱電波や空中を漂う核関連粒子を採取する海自・潜水艦の任務を付け加えると思う。

 このような情報収集以外に、米軍や自衛隊の情報部隊は、宇宙からのKH−12偵察衛星や、北朝鮮の近海上空を飛行する電波収集機や、地上を精密に捕らえる開口合成レーダー搭載機が、北朝鮮の核実験場の情報収集を行っている。

 そのような幾重にも重なった監視体制では、北朝鮮が意図的に公表する意志無しに核実験を準備することはできない。それよりもアメリカが警戒しているのは、金正日が意図的に核実験をやると見せかけ、危機を高めておきながら核実験を行わないことである。過去にも北朝鮮は、地下核施設を思わせる大規模工事を行いながら、アメリカの査察を条件付けで受け入れて、アメリカから莫大な査察料を稼いだことがある。むろん地下施設には核関連施設はなかった。それどころか、地下施設の使用目的さえ不明のままだった。まんまと北朝鮮はアメリカにニセ工事で一杯食わせた。

 だから現段階でのメディア的な表現では、北朝鮮の核実験の可能性は5分5分と書くことが最も適当な表現なのである。

 しかし私は北朝鮮が地下核実験を行うことは自殺行為であると思う。それから日本の政治家に言っておきたいが、韓国のイ国防相の様に「北朝鮮は現在1,2個の核爆弾は持っている」(8月25日 発言)などと言わないで頂きたい。そのような証拠はないし、わざわざ北朝鮮の核保有を認知してやる必要はない。金正日を喜ばせるだけの話しである。

防災の日

在日米軍 訓練に初参加

都知事要請

 「帰宅困難者」艦船搬送も

(読売 8月26日 朝刊)

[概要]東京都が9月1日に実施する総合防災訓練に、在日米軍が初めて参加することが決まった。都の訓練は首都圏直下地震を想定し、小泉首相も参加する首都圏8都県市合同訓練のメーン会場になっている。在日米軍の訓練参加は石原都知事が要請した。

 米軍は横須賀基地(神奈川県)所属の艦船1艇を1日、東京港に派遣し、帰宅困難者と想定した都職員30人を横須賀に搬送する。また、横田基地のヘリ2機が医薬品などの救援物資を足立区の訓練会場と米軍の臨時ヘリポート「赤坂プレスセンター」まで運ぶ。東京都の担当者は「首都直下地震では、消防や自衛隊では対応しきれない。米軍には後方支援をお願いしたい」と話している。

 米軍は阪神大震災や新潟県中越地震などで救援活動に協力した実績はあるが、自治体の訓練に部隊や艦船を派遣するのは初めて。

[コメント]東京直下型では、都内の帰宅困難者は観光客を含め500万人に達すると想定されているという。その内の30人だから、今年の訓練参加は形式的というか、米軍参加の既成事実を作るためと思う。将来は米軍の参加規模を拡大し、日本各地の防災訓練に日本配備の空母や強襲揚陸艦を参加させ、数万人規模の避難誘導を恒常化させ、米軍の参加無しでは防災訓練が成り立たないことも考えられる。

 私は陸自と米軍の実動共同演習を、初期の段階から取材してきたが、最初は小隊や中隊同士の小規模演習で、今から考えると「演習ごっこ」程度の内容だった。演習場内にあるひとつの小山を、日米軍が共同で攻撃して占領するという想定だった。

 それが今の演習規模は九州全体の方面隊規模(図上演習 ヤマサクラ)に拡大している。また、陸自はハワイや米本土の米軍演習場で、火砲やロケット弾を最大レンジの実射訓練を実施している。最近の陸自にとっては、米軍との合同訓練無しに、実戦的な訓練は想定できないほどの関係に拡大した。

 確かに軍事訓練や防災訓練では、大きな力(米軍)と共同して行えば訓練効率は格段にアップする。それは軍隊という力の特殊性から当然のことである。

 しかし無条件・無秩序のまま、そのような軍事力に依存すると、民力の活用や効率の向上が引き出せなくなる。また軍事力はひとたび動き出すと大きな力を発揮するが、大規模災害という緊急事態に即応で対応するには問題がある。軍隊が持つ自己完結性を維持するためには、それなりの準備期間が必要になる。その点で軍隊は民力や警察や消防組織にかなわない。

 そのような軍事力が持つ長所と短所を見極めて、災害での軍事力の活用を考えなくてはいけない。無条件に軍事力に依存しては防災訓練にマイナスという意味である。

韓国系NGOが支援

ミャンマー経由 新ルート

タイに大量脱北 検挙で判明

(毎日 8月25日 朝刊)

[概要]タイ警察が北朝鮮からの脱北者175名をバンコク郊外で逮捕した事件で、脱北者が中国雲南省からミャンマーを経て、タイ北部のチェンライ県メーサイから入国する新たな脱北ルートが判明した。また韓国のキリスト教系NGOがこの脱北を支援したこともわかった。

 東南アジア・ルーとしてはベトナム政府が04年7月に、脱北者460人の韓国行きを許可したことがある。その際、ベトナムが北朝鮮から強い抗議を受けたことから、タイ政府が北朝鮮との関係悪化を懸念して、先手を打ってバンコク郊外の隠れ家を摘発し、バンコク郊外の刑務所に収監した可能性が指摘されている。

 韓国のNGO関係者は、脱北者に比較的寛容だったタイ政府の方針が変わったのかと心配している。175人は別々のグループでタイに入国し、バンコク郊外の拠点に集合したようである。タイにはこの175人を含め計260人の脱北者がおり、そのうち230名が韓国行きで、残り30名がアメリカ行きを希望している。

[コメント]175人が潜伏していたバンコク郊外の家の隣に住むカナダ人は、「彼らは毎週日曜日に神に祈りをささげ、賛美歌を歌っていた」と話している。私のイメージでは北朝鮮という国民と賛美歌がどうも繋がらない。

 今朝のTVニュースでは、京都で開かれる世界宗教者平和会議に参加を申し込んだ北朝鮮・関係者6人が、7月の弾道ミサイル発射の制裁措置として、日本への入国を拒否されたという。先日、韓国では在韓米軍基地や原発施設の写真を撮っていた北朝鮮のスパイが摘発されている。写真を撮っている程度のスパイなら、摘発しないで泳がせて監視した方がいいと思うのだが、韓国は軽微な罪で北朝鮮スパイを摘発した。また、ベトナムの銀行に開設した北朝鮮の秘密口座を、アメリカは閉鎖(凍結)するようにベトナム政府に要請している。

 私は以前から北朝鮮の崩壊寸前を知る方法として、比較的裕福な高階層の人たちの大量脱北を上げてきた。貧しさや空腹のために脱北するのではなく、船が沈没する前に北朝鮮から逃げ出すことが出来る人のことである。北朝鮮軍兵士の集団脱走や暴動は瞬発的に起こる可能性があるが、裕福な高階層の脱北は長い時間をかけて行われるので、比較的早く兆候を見つけられる。

 すでに韓国に脱北した者が、北朝鮮から韓国に脱北すれば、政府から支払われる「生活援助金」を得るために、中朝国境付近で脱北ビジネスが行われているという。しかし当然ながら、タイでアメリカに亡命を希望する30人には韓国政府の「生活援助金」は支払われない。明らかに脱北ビジネスとしては対象にならないのである。それでもアメリカ行きを希望するのは、北朝鮮でも高階層の裕福な地位である者のような気がする。

 できればタイに滞在している脱北者にアンケート用紙を配り、北朝鮮に住んでいた時の仕事内容や収入を知りたいと思う。日本のマスコミ各社でバンコクに支局を置く社は、最近の脱北者アンケートをぜひ考えて欲しい。

北朝鮮

金総書記、訪中を計画

核実験 事前に通告か

(産経 8月24日 朝刊)

[概要]複数の日韓情報筋によると、金総書記は今月の25日か28日に特別列車で平壌を出発し、瀋陽を経由して北京に入ることを計画しているという。北朝鮮は来月初めにも地下核実験を行う方向で準備を進めているという情報もあり、そのことを事前に通告するための訪中ではなかという憶測も流れている。(9月9日は北朝鮮の建国記念日)

 しかし中国は北朝鮮の核保有に反対しており、中国が訪中を受け入れた場合は胡錦涛主席が直接説得する可能性が高い。ただ、訪中の目的をめぐっては、金総書記の持病である心臓や肝臓の治療という見方もある。今年1月に訪中した際にも、北京市の「人民解放軍301病院」で検査を受けたとされている。

[コメント]金総書記が核実験の事前承認を得るために、今月末に訪中をするという推測はあり得ないと思う。言うまでもないが中国が主導する6カ国協議は、北朝鮮の核問題を協議する国際反核会議である。その中国は今までに何度も、朝鮮半島の非核宣言の支持を表明している。だから、ある意味ではアメリカよりも中国の方が北朝鮮の核武装化を嫌っているのである。だからアメリカは北朝鮮の核問題を、6カ国協議という形で中国に丸投げしたのである。そこまで中国が北朝鮮の核武装を嫌う理由は、韓国に再び核兵器が米軍によって持ち込まれることより、日本が北朝鮮の核に対抗して核武装することを恐れているからだ。

 もし北朝鮮が核実験の実施で、有効な核弾頭を保有していることを宣言し、運搬手段のノドン・ミサイルと組み合わせれば、日本は深刻な北朝鮮の核の脅威にさらされる。いくらアメリカが日本に”核の傘”で守っていると言っても、それでは安心して寝られない日本人が大多数になる。核兵器の威嚇に対しては、核兵器で抑止するしか方法がない。これが日本が核武装する論理である。北朝鮮は核実験を体制存続や対米交渉のカードと考えても、日本や韓国には核兵器による威嚇となってしまう。

 日本が北朝鮮の核兵器威嚇に対して核武装すれば、それは中距離・弾道ミサイルが運搬手段として組み合わされる。すると日本の核兵器は北朝鮮ばかりか北京や上海を標的にできる核兵器となる。こんどは中国側が日本の核兵器に対抗して、日本全土を射程にできる弾道ミサイルに核兵器を搭載して配備することになる。

 こうして北東アジアでは北朝鮮の核実験で、極めて危険な核拡散(核軍拡)が始まることになる。これは核兵器が内包する政治的な特徴である。日本人が広島や長崎の被爆体験で得た核アレルギーは瞬時に消え去り、新しい北朝鮮の核兵器の脅威に猛然と反発すると思う。

 これは私自身が被爆者(母)の子供(被爆2世)として、現代の核兵器や核戦略を調べて得た現状認識である。強ければいいという安易な日本の核武装論ではない。

 だから北朝鮮の核実験は絶対に阻止しなければならない。中国やアメリカもそのことには十分に気がついていると思う。すなわち日本が自主的に核武装することの怖さである。

※ 安倍次期政権が政権構想として打ち出した日本版NSC(国家安全保障会議)の設置や、対外情報機関の創設などには、日本の核武装論がタブーとして考えられていない。

ウラン濃縮停止拒否

強気イラン、危うい賭け

「レバノン戦勝」で勢い

(朝日 8月23日 朝刊)

[概要]イランのウラン濃縮活動停止に対する米欧の「包括的見返り案」について、イランは22日に”ウラン濃縮停止拒否”を表明した。この包括案にはイランがウラン濃縮活動を停止した場合、@米国がイランとの直接交渉に参加、A米欧製の民間機の部品禁輸の解除、B他国との共同事業による軽水炉建設、C米の農業技術支援などをイラクに与えるとなっていた。

 イランは今年4月に低濃縮ウラン製造に成功したと宣言し、中部アラクでは重水製造が間もなく完成するという。イランは「核平和利用の権利」を強く主張している。さらに先のレバノン紛争では、イランが支援するヒズボラがイスラエルに大勝したと宣言している。ここでアフマディネジャド大統領が包括案を受け入れれば、イラン国内での威信を失うと判断したようだ。アフマディネジャド大統領は包括案の諾否を明確にせず、交渉の中でウラン濃縮をみとめさせようとしている。

 しかし、「アフマディネジャド大統領は就任直後から次々と核活動を拡大させてきた。指導部は強く出れば出るほど譲歩を引き出せると計算し、非常に危険な駆け引きに出ている」とテヘランの外交筋は話す。

[コメント]かつて北朝鮮がアメリカを相手に瀬戸際外交を展開し、核兵器開発や弾道ミサイル発射(93年)で揺さぶりをかけ、アメリカから軽水炉建設や重油50万トン(年間)の提供を勝ち取ったことがあった。あの時も思ったが、アメリカは騙されたフリをして、北朝鮮にわずかな援助を行って”全体の衰退”を待ち、体力の衰えが確実になった最近になって攻勢を強めてきたように考えている。

 しかし北朝鮮とイランは違う。北朝鮮には石油がないが、イランにはOPEC(石油輸出機構)で第2位の産油国である。中東の産油国(周辺国)にも、軍事力で影響を与える力がある。北朝鮮のように単純なアメとムチ的な戦略では通用しない。

 さらに隣国のイラクでは、シーア派とスンニ派が激しく対立し、米軍13、8万人ほどが人質に取られている。最新のレバノン情勢では、停戦後にヒズボラに支持と勢力を拡大させている。米英が影響力を強めるアフガンやパキスタンも安定とはほど遠い。イランが強気で出てくる理由がここにある。アメリカやEUが身動きとれないのである。そこで焦ったイスラエルが攻勢に出ても、アメリカやEUが身動きとれないので、不満足なレバノン停戦を受け入れるしか方法はない。

 まさにイランにとって、今の中東情勢は最強を誇れる環境ではないだろうか。これは、ちょうどパキスタンやインドの核実験が防げなかったような、国際的に八方塞がりの状況が生まれているような気がしてならない。

 さらにイランが核燃料棒再処理のプルトニューム方式ではなく、原爆としては極めて単純なウラン濃縮に力を入れていることに不気味さを感じる。

中朝国境 ”緊張”

税関検査強化

 ・出稼ぎ労働者追放・・・

(産経 8月22日 朝刊)

[概要]韓国の中央日報が21日、鴨緑江をはさんで北朝鮮国境の対岸にある丹東市では、北朝鮮からの出稼ぎ労働者(縫製工)が旅券不備を理由に300人が退去させられたと伝えた。さらに300人が近く追加退去の予定で、以前には中国当局によるこのような取り締まりはなかったという。また鴨緑江の国境を越えるトラックは、中朝双方から税関検査が強化され、そのため通関が夜間になるケースも多いという。中国側は「麻薬検査のため」と説明している。

 一方、北朝鮮でも地方都市を無許可訪問した中国人が強制退去になったり、平壌などの中国人商人に税務調査などの取り締まり強化が見られるという。中国はこの夏に水害で大きな被害を被った北朝鮮に、今のところ救援物資の提供を発表していない。これも極めて異例の2冷たい態度”といわれている。

 ちなみに韓国政府は北朝鮮の水害に、コメ10万トン、セメント10万トン、鉄筋5000トン、ダンプトッラク100台など総額231億ウオン(約280億円)に上る巨額支援を発表している。

[コメント]中朝国境にある中国側の丹東市は北朝鮮にとって特別の街である。日本で北朝鮮産のあさりを不買運動しても、北朝鮮の海産物は丹東にトラックで運ばれ、中国産として日本に輸出される。北朝鮮が日本の不買運動で被る被害は悪影響を受けないほどに軽減されていた。また丹東の高級ホテルには、いつも北朝鮮政府の高官が頻繁に訪れていたという。まさに中朝国交関係の温度を測るには、丹東市の体温を測れば明解に理解することができる街なのである。そのような政治的な意味では、今の丹東は東アジアで最も面白い街といえるだろう。

 中国がその丹東で北朝鮮を結ぶ道路を細めれば、確実に北朝鮮は経済や政治に大打撃を受けることを意味する。中国も北朝鮮から出稼ぎに来る従順で寡黙な北朝鮮・縫製工は、安い労働力としても利用価値は高かったはずである。その労働力を中国は追放し始めた。まさに中国の警告を無視してミサイルを発射し、6カ国協議に復帰しない北朝鮮に対して、中国の圧力がぐんぐんと加えられている。

 はたして北京オリンピック(08年)まで北朝鮮の体制は維持できるのか。その答えを知ることができる最も近い場所にいるのが丹東の市民たちである。

韓国

24時間監視始める

北朝鮮核実験の警戒強化

(毎日 8月21日 朝刊)

[概要]韓国の聯合ニュースは20日、韓国政府が北朝鮮の核実験の監視体制を強化するために、科学技術省傘下である韓国地質資源研究所に国防省関係者6人派遣し、24時間体制で監視を始めたと報じた。これは韓国政府消息筋の話しとして伝えた。

 同報道によると、この政府消息筋は「6カ国協議は膠着状態を抜け出せず、北朝鮮がミサイルを発射して以降、地下核実験を行う可能性が高まった」と指摘したという。

[コメント]これで韓国政府は、北の核実験を警戒して24時間監視を始めるたとはオーバーな表現である。具体的に何をするのかといえば、韓国国内の地震計の針を見つめるだけの仕事である。地下核実験の爆発によって、韓国内に配置してある地震計の針が独特な振れ方をして、核爆発を探知するだけの話しである。この地震計の揺れは、日本や中国やアメリカでも探知することができる。特に韓国だけができる独自の情報収集の方法ではない。

 これを病人に例えるなら、心電図を見つめ、鼓動の停止によって死を確認するだけである。それでは治療法したことにはならない。むしろ韓国政府は北朝鮮に何をすることもしないし、何かができることがないのを証明したようなものである。これで韓国の太陽政策が破綻したことを現している。

 同紙の紙面に、韓国の盧武鉉大統領が親政権的な新聞4社の外交担当論説委員を集めて懇談会を開き、対北朝鮮政策で挫折感をもらしたという。その1紙であるハンギョレ紙によると、「米国とは話しが通じないことが多く、北朝鮮も頑固者だから、その間で難しい」と述べたという。しかし米朝間の仲介者に名乗り出たのは盧武鉉大統領の方で、アメリカの北朝鮮制裁論に強く反対し、北朝鮮への援助を拡大して南北朝鮮の融和をはかる考えだった。

 しかし北朝鮮は武力による統一を最優先に掲げる先軍政治の独裁国家で、アメリカと韓国の友好関係を断ち、韓国を統一して北朝鮮国家の政治体制を拡大する軍事政権だったのである。そこのポイントが盧武鉉大統領には理解できていなかった。そのような戦略的な視点がないから、盧武鉉大統領の対北融和政策は反米としか見えてこないのである。

 だから現在の盧武鉉大統領の失策の第1原因は、戦略的な視点の欠如がもたらした外交の失敗である。厳しい言い方をすれば、ただ自分で墓穴を掘っただけのことである。同時に北朝鮮の金正日も盧武鉉大統領に寄生したため、盧武鉉の孤立と無策が目立つようになると、同時進行で金正日も行き詰まって深く孤立することになった。

 これもアメリカにとっては対北作戦の心理戦で、「褒め殺し」に似たように、金正日を盧武鉉大統領に依存させるように仕掛け、次ぎに盧武鉉大統領を無力化することで金正日を追いつめる心理戦なのである。盧武鉉大統領の頭脳に戦略的な思考がないから、簡単にアメリカの心理戦に利用されたのである。北朝鮮は”溺れる者はワラをも掴む”で、まんまと”ワラ”を掴まされた。

 次期首相の最有力候補とされる安倍官房長官も、戦略的な思考を持たないまま、太平洋戦争聖戦論やA級戦犯無罪論を展開すれば、アメリカが仕掛ける心理戦の罠にはまることになる。そのあたりを適切にアドバイスできる側近がいるかいないかが、安倍政権の運命の分かれ道になる。

米テレビが報道

北、核実験準備の情報

観測用ケーブル確認

(読売 8月18日 夕刊)

[概要]米ABCテレビは17日、米政府高官の話しとして、北朝鮮が地下核実験を準備している可能性を示す新たな動きが察知されたと報じた。同テレビによると、北朝鮮北東部プンゲヨクの地下核実験場とみられる施設の外部で、「疑わしい車両の動き」や、ケーブルの大きなリールの積み下ろしを確認した。ケーブルは地下核実験場と外部の観測機器を連結するのに使用される可能性がある。しかし同テレビは情報が「決定的ものではない」とも指摘している。韓国の聯合ニュースは”プンゲヨク”は威鏡北道吉州郡豊渓里を示すと伝えた。

 米ホワイトハウスは17日、「北朝鮮の核実験は極度に挑発的な行動となり、国際社会から一致した非難を浴びることになる」と警告して、核実験を行わないように強く警告した。ただ、「機密情報に関してコメントしない」ともし、事実確認は避けた。

[コメント]こうした北朝鮮の動きを本物と見るか、あるいはわざと目立つ動きだけの瀬戸際外交と見るかだが、私は北朝鮮は核実験の準備だと思わせるジェスチャーと見る。すなわち演技であって本物の核実験の準備ではない。

 出来損ないのテポドン2で大恥をかき、6カ国協議では完全に包囲網を築かれてしましった。仮に6カ国協議に復帰しても、北朝鮮が従順にするしか体制存続の道が断たれてしまった。しかし周辺国に従順なようでは、北朝鮮のように金正日が神の如く君臨する独裁国家が成り立たない。北朝鮮で外貨を稼いだニセドル札、麻薬や覚醒剤、ミサイル輸出も完全に封じ込まれてしまった。それに海外資産の凍結や秘密口座の封印である。

 そこまで追いこまれて、起死回生で打ち上げたテポドン2は惨めな失敗であった。もはや6カ国協議に復帰するメリットなければ、”北朝鮮は核実験をするしかないだろう”という心理を利用して、核実験の準備を思わせる揺さぶりにでたのではないか。

 これから米軍の情報機関は総力で北朝鮮の動きを探る。韓国に配備したU−2偵察機やグアムから飛来するグローバルホーク無人偵察機は、北朝鮮の領空に入って詳細な偵察活動を行う。さらに核実験の準備が本物と断定した段階で、中国軍が北朝鮮で何らかの動きを開始する可能性がある。

 今はいたずらに騒がないで、北朝鮮の動きに挑発されないように気を使うべき時だ。これで北朝鮮の末期症状がさらに強まったことは確かである。

太平洋配備のイージス艦

米、6隻に倍増へ

ミサイル防衛

北朝鮮に対応

(朝日 8月18日 朝刊)

[概要]米国防総省は北朝鮮が保有する弾道ミサイルの脅威に対応するため、太平洋に配備する弾道ミサイルを迎撃する能力を備えたイージス艦を、年内に6隻を配備して隻数を倍増する方針を決めた。6隻は海上配備型ミサイル(SM3)を搭載するイージス艦で、短・中距離の弾道ミサイルを防衛できる。しかしSM3はテポドンのような長距離・弾道ミサイルには対応できない。米海軍は数年以内に、SM3配備のイージス艦を18隻に増やす計画がある。

 米海軍は現在、SM3を搭載したイージス艦を3隻保有しているが、そのうちの「シャロー」(サンディエゴ配備)を横須賀に配意することが決まっている。

[コメント]もともとイージス艦は極東ソ連軍のように、数ヶ所の陸上基地から発進した爆撃機や攻撃機が、空母機動部隊に同時・多方向から攻撃して来ることを想定して開発された対空の駆逐艦である。ところがそのような航空戦力を保有し、米空母機動部隊に脅威を与えるような国はなくなった。だから冷戦後は、イージス艦の活躍できる状況は極めて限定されるようになった。しかし北朝鮮やイランのミサイル脅威がイージス艦を救った。イージス艦にSM3を搭載することで、高価なお荷物という悪口を返上できるわけである。

 さらに最近のイージス艦は対潜ヘリを搭載し、中国軍の潜水艦脅威に対応したり、機関砲を装備して自爆テロなどの小型船を防止するようになってきた。

 だから北朝鮮が消滅した後のイージス艦は、日本海や日本周辺から去り、ペルシャ湾に展開してカタールの米軍・中東司令部などを防衛する任務につく。こんどはイランの弾道ミサイル脅威に対応するためである。

 そのように考えると、高価なイージス艦の無用論を救ってくれたのは、まさに短・中距離弾道ミサイルの脅威であった。

 海上自衛隊は4隻のイージス艦(SM2搭載)を保有し、さらに2隻の新型イージス艦(あたご型 SM3搭載)の竣工を予定している。あたご型は満載排水量が10,000トンとなり、対潜ヘリも搭載して海自として最大の戦闘艦となる。

レバノン紛争

「人道法違反」批判 双方に

民間人に多数の被害者

(毎日 8月17日 朝刊)

[概要]国連安保理の調停で停戦に入ったレバノン紛争だが、イスラエル軍とヒズボラ民兵組織の攻撃で、多数の民間人に犠牲者が出ている。これに対し国際人権擁護団体などから「武力紛争にかかわる国際人道法違反行為」の批判がでている。果たしてイスラエル軍やヒズボラに対して責任を追及できるのか。

 今回の戦闘はイスラエル兵拉致(7月12日)から始まり、停戦が合意(8月14日)まで34日間続いた。この間に、レバノン側で約1000人、イスラエル側でも約40人の民間人が死亡した。負傷者数は双方で5000人近いという数字がある。ヒズボラはイスラエルに北部に4000発近いロケット弾を発射した。イスラエル軍はレバノン全土で7000ヶ所を空爆し、ヒズボラ以外にもインフラも破壊した。この間に誤爆などで女性や子供に多くの犠牲者が出た。また双方で150万人の難民が発生したとも言われている。

 アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)などの人権擁護団体は、ジュネーブ条約や同条約の第1追加議定書が定める民間人保護規定に抵触する戦闘行為があったと指摘している。具体的には、非軍事施設の攻撃を禁じる「識別の原則」や、明確な軍事上の効果を越える民間人の被害が予測される場合の攻撃を禁じる「比例性の原則」に該当する事例が見られたという。

 イスラエルとレバノンはジュネーブ条約の加盟国だが、ヒズボラは軍事部門の政治組織で条約を批准できる国家ではない。戦争犯罪の裁判権を持つ国際刑事裁判所(ICC)での起訴には、安保理決議による付託か両国による裁判権の受け入れが必要だ。当事国や第3国の法廷での審議も可能だが、当面の実現は乏しい。

[コメント]同紙によれば国際人道法とは、民間人や傷病兵士保護のためのジュネーブ協定第4条約(1949年)とおよび追加議定書(77年)と、軍事行動での交戦国の権利と義務を定めたハーグ陸戦条約(1907年)などが中心になっている。赤十字国際委員会(ICRC)によれば、適用対象には、国際武装紛争だけでなく国内での政府軍や武装集団との戦闘や、大規模な国内暴動なども含まれる。起訴は各国の国内裁判所や国際機関で行われ、旧ユーゴスラビアやルワンダでの紛争での戦争犯罪容疑者について国連安保理決議に基づいて設置された国際法廷で裁判が行われている。

 となれば、今回のレバノン南部とイスラエル北部で行われた戦闘で、多数の民間人が殺されても、人道法的な違反として責任を追及することは難しいことになる。すなわち国家の枠を越えて戦闘行動を行う非国家の武装集団や、国家の意思で行われた攻撃での誤爆は、その責任が問われないことになってしまう。さらに今後はそのような戦争形態が増すことが予測されている。国家とゲリラの非対称での戦闘でである。

 そこでこの問題を放置していると、今後、非戦闘員や子供や老人などの犠牲(大量虐殺)が飛躍的に増すことになってしまう。

 しかしこの問題を厳しく責任を追及するなら、アメリカやイスラエル、それにロシアなどの武装勢力と戦う国は、虐殺防止の法制化を嫌うし反発するだろう。特に国連安保理で拒否権をもつ国が反対して現実することは難しい。

 そのような複雑な戦争問題を、国際的に解決できる思考ができるのは日本人のような気がする。日本人の性善説的な思考が、新しい大量虐殺防止のアイデアを生む原動力になるのではないか。

 軍事では絶対に必要といわれた対人地雷の禁止条約が出来たことがある。そのように今の軍事常識では無理であっても、根気強い運動と新しいアイデアで難題が解決することがある。とにかくこの問題を諦めない心だけは持ち続けたいと思う。

8月15日 靖国参拝

小泉首相、終戦記念日に

 靖国神社を参拝

公約を実施したと強調

(各紙 8月15日 夕刊)

[概要]小泉首相は終戦記念日の8月15日に靖国神社に参拝した。これは5年前の首相選のときに公約したもので、今までは8月15日参拝を避けていたが、今年は公約通りに終戦記念日に参拝した。日本の首相が終戦記念日に靖国神社に参拝したのは、21年前に中曽根首相が参拝して以来。小泉首相は靖国神社参拝後に、千鳥ヶ淵の戦没者墓苑で献花し、日本武道館で行われた全国戦没者追悼式に出席した。

[コメント]小泉首相が今までに「A級戦犯はA級戦犯」と言ったり、「混乱を避けるために8月15日の参拝は避ける」と言ったことと矛盾すると思うが、「矛盾はしない。私を批判する側はいつでも批判する。これは心の問題だ」と居直った。

 そこで私は小泉首相を批判する前に、私自身の靖国観を明らかにしようと考えた。

 私は今年7月の「御霊(みたま)祭り」に靖国神社に参拝した。自衛隊生徒時代(少工校)の同期生とともに、渡河訓練中に水死した13名の同期生を慰霊するためである。しかし靖国神社は自衛隊員の殉職者を御霊(みたま)として祭ることを認めていない。だから私たちは自衛隊・生徒時代に「国のために死ねば靖国神社に行く」という教えを受けたことで、私たちが勝手に判断して、死んだ同期に会いに行っているのである。水死事故が起きた日が40年前の7月2日だから、毎年、夏の御霊祭りを選んで参拝しているのである。

 しかし私は、靖国神社が太平洋戦争の犠牲者を追悼するための国の施設ではないと思う。太平洋戦争でも、あくまで戦死や戦病死で亡くなった兵士の慰霊で、神道ともとずいた宗教施設だと考えいる。だからA級戦犯の合祀に関係なく、憲法が禁じた国家の追悼儀式の場所にふさわしくないと考える。A級戦犯を合祀したことは宗教の自由が認められた神社側が判断することで、そのことが気に入らなければ靖国神社に参拝をしなければいいのである。

 そこで私は、特定の宗教や宗派に関係なく、第2次大戦の戦闘で死んだ者以外でも、都市の空襲などで亡くなった方、原爆の犠牲者、沖縄戦の犠牲者、それに民間の貨物船であっても軍に徴用された船員などで死亡した方など、すべての人を慰霊する国立の慰霊施設が必要であると考える。

 そして終戦記念日には、天皇に参拝して頂くのはもちろんだが、外国の首脳が来日した場合に献花などを行って頂く。こうして日本の不戦の意志を示し、平和国家である日本の姿を世界に明らかにすべきと思う。どうしてそれが出来ないかと言えば、政治が靖国神社を利用しているからである。また東京裁判を否定するために、靖国神社を利用している面があると思う。靖国神社で慰霊されている英霊にとって迷惑な話しではないか。

 これはまったくの日本国内の問題で、私の頭の中には中国や韓国の批判などは一片も含まれていない。まず、そのことを明らかにしてして起きたい。 

安保理決議採択

レバノン停戦 不安の山

交戦継続

 イスラエル、自衛権”確保”

 ヒズボラ、強気崩さず

 国連暫定軍、時間と勝負

採択を危機打開の突破口に

(読売 8月13日 朝刊)

[概要]国連安保理は11日、レバノン停戦案を採択した。しかしイスラエル軍とヒズボラが決議に従い、完全に停戦を実施するかは不明である。また停戦後は、レバノン政府軍と国連レバノン暫定軍(UNIFUIL)がレバノン南部に展開し、停戦の監視を行い、それに伴い並行してイスラエル軍にレバノンから全面撤退を要請している。

 イスラエル政府は決議採択当日、オルメルト首相が「レバノン侵攻の拡大」を軍に命令して、採択直後に地上軍をレバノン南部に投入した。しかしイスラエル国内では政府が公約した「ヒズボラ無力化」は達成できていないとして、イスラエルの有力紙「ハアレツ」は11日、「首相は退陣すべき」との論説を掲載した。「大規模作戦で何を得たのか」という疑問が国内で目立ち始めた。

 ヒズボラの最高指導者ナスララ師は12日、テレビ演説で安保理の決議を原則受諾すると表明する一方、「攻撃に対しては反撃する」と言明した。ヒズボラはイスラエルが決議案に従い、ヒズボラを壊滅できないまま撤退すれば、ヒズボラの勝利を意味することになり、国内外で影響力が増すと考えたようである。

 問題は停戦後で、決議でイスラエルは自衛のためのヒズボラ攻撃を認められており、イスラエルが攻撃すれば、ヒズボラが反撃して停戦が崩壊する可能性がある。

 レバノン軍は兵力3万8700人で1万5000人をレバノン南部に派遣するという。また国連UNIFILは1万5000人に増員され、権限も強めるというが、具体的に派遣を表明した国はなく、軟弱な兵力ではイスラエルヒズボラの戦いに巻き込まれる危険がある。

[コメント]本日は新聞休刊日でこの記事は昨日の記事である。本日(14日)の朝のTVニュースでは、イスラエル軍はレバノン南部で攻撃を強化しているという。この決議案で停戦が発効する前に、できるだけヒズボラに打撃を与える作戦である。しかしヒズボラは停戦前にイスラエルに出来る限りの打撃を与える必要はない。むしろ隠れても組織を温存させ、現有の兵力を維持さえすれば、イスラエル軍の撤退でヒズボラの勝利が確定することになる。むしろ焦ったイスラエル軍によって、レバノン全土で多くの一般市民が犠牲になり、イスラエルへの憎しみと。ヒズボラへの支持を強めるだけである。

 だから今回のイスラエル軍のレバノン侵攻は失敗だったのである。

 そうそう、さっき思い出したが、私は以前、イスラエル軍の案内で南部レバノンを見て回ったことがある。その時、国連のUNIFUILはアフリカなど発展途上国から派遣されており、明らかに国連から支給される兵員の経費(人件費など)が目当てであった。だからUNIFUIL兵士の士気も低く、できるだけイスラエル兵と視線を合わせないようにしていた。第3者的に見ても、かわいそうなぐらい”惨め”だった。これから南部レバノンで国連の兵力を展開させるためには、ヨーロッパのフランス軍やドイツ軍などの先進国の軍から、レバノンに派遣されることが絶対条件と思う。そのことを忘れないで頂きたい。イスラエル軍が無視できない国の軍隊であることだ。

 昨日、午後から神田神保町の書店で、レバノンの20万分の1のへ地図を買ってきた。農地や平原や山岳地帯がカラーで色分けされ、主要道路も一般道と色分けされているので見やすい。それにしてもレバノンという国が狭く細長いことにいつも驚いてしまう。

旅客機テロ計画

爆発物は有機過酸化物?

ロンドン同時テロでも使用

(読売 8月13日 朝刊)

[概要]12日付けの米ニューヨーク・タイムス紙(電子版)によれば、英・旅客機のテロ計画で犯人グループが機内に持ち込もうとしていた爆発物は、有機過酸化物の一種である「トリアセントントリベルオキシド」(TATP)だったと英捜査当局の幹部が明言したと報じた。

 TATPは「過酸化アセトン」とも呼ばれ、塩酸、硫酸、過酸化水素水などの入手がたやすい科学物質から合成できる。熱や炎による起爆が容易で、爆発力が強いことで知られている。過酸化アセトンは原料が入手し易いことから、インターネットの普及とともに2000年以降、世界各地の爆破テロに使用された疑いが持たれている。昨年のロンドンでの地下鉄同時爆破テロでも使用された。

[コメント]いわゆる液体爆薬の成分だが、これ以上詳しく合成する方法を述べることは差し控えたい。しかし大学の学部で化学を専攻した者なら、インターネットで合成を見つけ出すことは容易である。そして液体爆薬の恐いことは、電池やリード線などを使う起爆装置が必要なく、マッチやライターで点火し、爆発させることが可能なことである。まさに自爆テロを覚悟した者には最適の爆薬となる。

 また詳しくはわからないが、ニトロ系の薬品を必要としないので、爆発物探知機や火薬犬からの探知を逃れることが可能ではないか。

 今後、旅客機の機内に、ペットボトルや化粧水などが入った瓶の持ち込みは禁止が続くことが避けられないようだ。そこで我々の側の話しだが、空港でのセキュリテーがスムーズに行われるために、旅行中に必要な液体状のものは機内持ち込みではなく、あらかじめ預けるトランクなどに入れるように心がけたい。

 今回の爆破テロ計画の容疑者の中に、ヒースロー空港の警備関係者が含まれていたという情報がある。この方面でも空港セキュリテーに新たな課題が浮上した。

韓国紙報道

中国、北との国境に鉄条網

(産経 8月13日 朝刊)

(時事 ソウル)

[概要]韓国紙・東亜日報は、中国が最近、北朝鮮との国境の豆満江上流地域に鉄条網を設置したことがわかったと報じた。北朝鮮から脱出する人々が流入するのを防ぐためと思われる。中国は脱北者防止のために警備を強化していたが、鉄条網の設置が確認されたのは初めてという。

[コメント]先日、ラジオの生放送(電話)で、北朝鮮が再度の弾道ミサイル発射の発射があるかと聞かれた。私はミサイル発射よりも、体制崩壊を心配していると話した。すると体制崩壊でどんなことに心配かという質問がきた。むろん大量の難民が周辺に流出することですと答えた。最も難民流出が多いと推測されるのが中国である。陸続きの上に、中国の朝鮮族自治区があり、言葉が通じる利点がある。韓国との境界線にある非武装地帯には、大量の地雷が埋設されているから、難民が越えるのは難しい。

 だから中国は瀋陽軍管区で北朝鮮国境に警備兵員を増加させている。また緊急に食糧や医薬品を北朝鮮国内に運び込むように、豆満江に軍隊が渡河に使う浮橋を組み立てる実動演習を行い、北朝鮮の緊急事態に備えている。第1的な目的は北朝鮮の難民を中国に流入させないためである。

 そのような中国の対応策も、ついには緊急時を想定して、鉄条網の設置までに危機が高まったきた。このような現実に注目し、日本も緊急時の対策をさらに綿密に練りあげる必要がある。

旅客機テロ

「16日に実行予定」

英紙報道

  警戒レベルは維持

(毎日 8月12日 朝刊)

[概要]英国で摘発された旅客機爆破テロ計画で、英夕刊紙イブニング・スタンダードは容疑者の自宅から11日と16日の米ユナイテッド航空のチケットが押収されたと伝えた。容疑者は11日に液体状の爆破物を機内に持ち込む「実地試験」をして、16日にテロを決行する計画だったと報じた。

 英政府は引き続きテロ警戒レベルを最高度に維持し、米国やパキスタン政府と連絡し、テロの全容解明を急ぐ方針。

 今回逮捕された者以外にも、他に容疑者5人が逃亡中との情報もあるが、リード英内相は「主要な容疑者はすべて逮捕、拘束した」と語った。

 一方、パキスタン治安担当局は計画にかかわった容疑で7人を逮捕した。そのうち2人はパキスタン系英国人で、約1週間前に東部のラホールと南部のカラチで逮捕した。同当局者はAFP通信に、「2人は英国を拠点にする武装組織の中心メンバーで、爆破計画のすべてを知っていた」と話した。

[コメント]昨年7月のロンドン地下鉄連続爆破テロでは、防諜を担当する英国の情報機関MI5は、英国在住のアラブ人などイスラム教社会に情報網を築いていなかったことが最重要反省事項だった。そして緊急に英国在住のイスラム社会からMI5の情報要員をリクルートして訓練し、英国のイスラム社会やパキスタンに潜入させた。

 今回、パキスタンの情報で旅客機爆破テロが摘発されたと報じられているが、実はMI5工作員が潜入してることを隠蔽(いんぺい)させるために、パキスタンの治安当局から情報が寄せられたという形をとっている可能性が高い。

 またテロ実行者も、英国内では警察やMI5の監視を警戒して慎重に行動するが、パキスタン国内では大胆に行動したり、自分を熱心なイスラム教徒として振る舞う傾向が非常に強くなる。だからパキスタン系英国人のテロリストはパキスタン内で監視や接触工作したほうが、より情報収集の効果を高くすることができる。

 これは全く仮説の話しだが、私がMI5の責任者ならパキスタンで1週間前に逮捕されたパキスタン系英国人2人こそが、MI5工作員としてパキスタンに送り込まれたエージェントだと思うのだが・・・・。そしてパキスタンでMI5の工作活動を隠すために、パキスタンの治安当局者に逮捕させる形で撤収させる。

 そのように英国のMI5は、対諜報活動でも世界一流のワザをもった情報機関である。荒っぽいワザを得意とするCIAなど、MI5のワザとは比べようがない。その結果が、アメリカは同時多発テロを防げなかったが、MI5は旅客機爆破テロを未然に防いだことの違いでもある。

 日本にも新たに国際的な情報機関を作ろうとする動きがあるが、その際に必要な情報機関のワザをどうするのか。今までのように米CIAに短期研修員を派遣して、その荒っぽいワザを研修してくるのか。ある意味では、情報機関のワザは核兵器に匹敵するほどの価値がある。やはり自国で独自にワザを築き上げる以外に方法はないのである。

英、実行直前21人逮捕

旅客機10機 爆破計画

アルカイダ関与か

(産経 8月11日 朝刊)

[概要]英国から米国に向かう民間旅客機を狙った大規模テロ計画が摘発され、ロンドン警視庁は9日夜から10日朝にかけ、21人を一斉に逮捕した。英BBC放送で、21人はパキスタン系英国人で、液体の爆薬を機内に持ち込んで爆破させる計画だっという。

 チャートフ米国土安全保障長官は犯人グループがアルカイダと関係があると指摘した。英内務省は10日、5段階で示すテロ危険度を、これまでの「重大」から最高の「危機」に引き上げた。

[コメント]液体火薬で思い出すのは、大韓航空機が北朝鮮の工作員であった金賢姫に爆破された大韓航空機爆破事件(87年11月)である。この時は機内の荷物棚に日本製のタイマー着き携帯ラジオに少量の火薬が仕掛けられ、その脇にお酒の瓶に入った液体火薬が置かれた。そうしてラジオタイマーで時間がセットされ、ラジオの火薬で小爆発が起きた。それを起爆薬として、液体爆薬が大爆発して大韓航空機を爆破・墜落されたのである。

 液体火薬はロケットやミサイルの液体・推進薬を改良し、爆速を8000メートル/秒程度に高めることで誕生した。

 今回は機内に持ち込んだ複数の液体を混合することで、爆発物を作る計画であったようである。その場合、手荷物検査では金属反応をしないので、空港セキュルテーを突破する危険があった。

 まだ犯人グループの詳細は公表されていないが、パキスタン系英国人ということで、パキスタンのイスラム神学校がテロリスト養成所になった可能性が高い。

ーーーー現在、詳細な情報を収集中ーーーーーー

北朝鮮ミサイル

30〜40キロ四方内に

6発が正確に着弾

官房副長官が講演で

(読売 8月10日 朝刊)

[概要]鈴木政二官房副長官は9日、名古屋市で講演し、北朝鮮が7月5日に発射した弾道ミサイルのうち、テポドン2を除くノドンとスカッドの6発が、日本海の30〜40キロ四方の海域内に着弾していたことを明らかにした。鈴木氏は、この6発について、「大体30〜40キロ四方のところに正確に落ちていた」と述べた。

[コメント]果たして30〜40キロ四方が正確と言えるかどうか。海上でミサイルなどの試射を行うならば、本来なら目標海面に廃船を配置して、そこから数発の着弾距離を測って精度として出す。もし国際的に高い命中精度を表明したいなら、着弾の瞬間を航空機や艦船で撮影し、その画像で公式に発表して認められることになる。地上目標でも同じで、ミサイルの目標となる場所に、柱や石灰で明らかに印を着け、そこから着弾した距離を計測することになる。その着弾位置(距離)も撮影しなければならない。

 もし核弾頭を搭載した弾道ミサイルなら、核爆発の威力から半径1キロ以内の命中精度があることを公表しなければならない。1キロ以上の荒い命中精度では、軍事目的の核搭載弾道ミサイルの運搬手段として失格なのである。その場合は、核弾頭を持っていても、運搬手段は航空機などに限定され、運搬途中で撃墜される危険があるとなり、核戦力は不安定なものとして評価される。

 そこで今回の着弾したのが30〜40キロという範囲である。核弾頭を搭載する弾道ミサイルなら明らかに失格である。しかし生物・化学兵器を搭載し、国会など限定した固定目標ではなく、都市や工場地帯を多数のミサイルで集中的に攻撃できる程度の性能ということになる。もし北朝鮮に最大でノドンが200基配備されているなら、1基の弾頭重量を最大の500キロとすれば、500キロ爆弾を200発投下するのと同じである。昔のB−29爆撃機であれば、日本を空襲するときは燃料の関係から5〜6トン程度(最大は9,1トン)の爆弾を搭載していた。だから200基なら20機のB−29爆撃機に襲われることになる。しかしB−29のような精度はないから、東京の中心を狙って発射しても、1/3は東京湾などの海に落下し、1/3は千葉、埼玉、神奈川県などの落下し、残った1/3が東京全域に落下する程度である。

 もしこれが米軍のトマホーク巡航ミサイルなら、1発だけでも、金正日が住む住宅の寝室に窓から飛び込んで、住宅全体を吹き飛ばす威力がある。だから金正日は今も逃げ回っているのである。しかし東京や大阪の住民で、北朝鮮の弾道ミサイル・ノドンが恐くて、逃げたという人を聞いたことがない。

北朝鮮

金総書記 ”雲隠れ”

中国に不満表明?

「次の一手」練る?

(読売 8月9日 朝刊)

[概要]金正日総書記の動静に関する公式報道が、ミサイル発射の7月5日以降から1ヶ月以上途絶えている。北朝鮮のラジオ放送を傍受しているラジオプレス(東京)によれば、@父の金日成主席の命日(7月8日)に、遺体が安置されている錦繍山記念宮殿に恒例の参拝をしたという報道がない。A7月10〜15日に、中朝友好協力相互援助条約締結45周年記念行事で、訪朝した中国の回良玉副首相一行に会見しなかった。B北朝鮮一帯を襲った7月中旬の集中豪雨では、大きな被害を受けた地区の現地視察が報じられていない。などである。

 ”雲隠れ”したのがミサイル発射直後からだけに、ミサイル発射の次の一手を考えているという推測から、米国が反撃を仕掛けてくることを懸念して隠れている可能性がある。03年3月のイラク戦争では、中朝国境地帯の白頭山に身を隠し、米国の北朝鮮攻撃が行われないことを確信するまで隠れていた。

 さらに指摘されるのは、同盟国・中国への不満だ。訪朝した中国副首相一行には6カ国協議の議長を務める武大偉外務次官が含まれており、中国から6カ国協議復帰の圧力を加えられることに反発したという見解もある。

 長い”雲隠れ”から姿を再び現し、「空白」明けの金総書記の言動が注目されている。

[コメント]私は金正日がアメリカや中国からの暗殺を恐れて、雲隠れしていると推測している。深い地下壕に隠れ、毎日移動しながら過ごしているのではないか。というのは、金正日の次の一手といっても、その次の一手がないからである。核兵器開発カードは6カ国協議で潰されている。また弾道ミサイル発射カードは、幼稚なロケット技術を披露して自滅した。また北朝鮮の弾道ミサイル発射反対の包囲網を作ってしまった。友好国の韓国、中国、ロシアまで、その包囲網に加えてしまった失敗である。

 現在の暗殺技術は、無人偵察機(あるいは在韓米軍のUー2偵察機)からの映像を受けて、ピンポイントでミサイルや精密誘導爆弾で暗殺できる。無人偵察機やUー2偵察機は機関音の聞こえない高々度を飛行する。あるいは偵察機にステルス技術が使われた新型だと、地上の警戒レーダーでも捕らえることができない。金正日はこの暗殺を恐れているのである。

 イラク戦争の時(03年)は中朝国境付近の地下施設に隠れることで、暗黙ながら中国を盾に使うことができた。しかし今回は中国さえも、アメリカと組んでいると勝手に警戒しているのではないか。とにかく金正日がそこにいるか、いる場所と時間がわかれば攻撃(暗殺)が可能なのである。

 しかしアメリカも中国も金正日を暗殺することはない。北朝鮮崩壊で金正日を使える可能性を検討してからだ。北朝鮮崩壊直後の混乱を最小限に抑えるために、まだまだ金正日を使えるだけ使うという考えである。

 ”雲隠れ”は金正日が側近と次の一手を考えているというのは、金正日がワザとテポドン2を失敗して能力だけをアピールしたというぐらい、実にバカバカしい分析である。 

レバノン

死者・不明1000人に

イスラエル軍攻撃続く

大半が一般市民

イスラエル 過剰な攻撃

アラブ連盟

米仏案修正へ国連に代表団

(朝日 8月8日 朝刊)

[概要]ロイター通信によれば、レバノンのハリファ保健相は7日、イスラエル軍の攻撃でレバノン側の死者が925人で、行方不明が75人に達したことを明らかにした。死者の大半が一般市民で、約1/3は13才未満の子供たちだったという。

 この1000人という犠牲者の人数は、米軍がイラク戦争の「衝撃と畏敬作戦」で大規模な空爆戦術をとり、バグダッド陥落までの3週間に1100人の死者が出た(欧米の反戦組織による統計)とほぼ同じ犠牲者数だ。ヒズボラのロケット攻撃でイスラエル側の民間人の死者は36人である。

 ヒズボラは7月12日にイスラエル兵を拉致し、捕虜交換を提案した。じつはイスラエル兵の拉致は00年にも起き、04年には捕虜交換が成立している。しかし今回はイスラエルが「ゲームのルールが変わった」と捕虜交換を拒否し、同日中にレバノン南部への空爆を開始した。

 米国の人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は報告省を出し、「イスラエルは民間人の犠牲を最小限に抑える方策をとっていると主張するが、具体的な事例を見る限り、戦闘員と民間人を区別していない。国際人権法の深刻な侵害」とイスラエルを非難した。

 またベイルートで開催された緊急のアラブ連盟の外相会議は、米仏の示した国連安保理の決議案をイスラエル寄りと強く反発し、決議案の修正を求めるために代表団を国連に送ることを決めた。今の決議案ではヒズボラに「全攻撃」の即時中止を求める一方で、イスラエルに対しては「攻撃的な軍事作戦」の中止を求める、となっている。

 ブッシュ米大統領は7日、イスラエルに即時撤退を求めない考えを改めて示した。国際部隊の支援を受けたレバノン軍が同国南部に展開し、その後にイスラエル軍が撤退するといういうのがアメリカ政府の考えである。

[コメント]レバノン情勢に関して、まったく日本政府の姿が見えてこない。イスラエルの過剰な攻撃を批判するわけでもないし、ヒズボラのロケット弾攻撃停止を求めることもない。今のレバノン情勢はイスラエルとヒズボラだけなく、背後ではシリアやイランが関与し、アメリカのイスラエル支援という代理戦争の様相でもある。そうなると、日本はないも言えないという構図が出来ているようだ。まさに日本の政治家と外務官僚の無能さを証明している。

 むろん日本がイスラエルとヒズボラの間に割っては入れというわけではない。今のレバノン情勢で最も効果的で早い停戦を確立する方法を見つけ、その停戦案を強く支持をして国際世論を高めるのである。具体的にはイスラエル寄りと言われる米仏の決議案を、アラブ連盟の修正を認めるように声明をだすことである。実は米仏の安保理決議案は、アラブ連盟などの修正要求を受け入れて、修正して可決するように仕組まれている。いわゆるアラブ連盟やレバノン政府の顔を立てるというものである。その方が今後の国際部隊の展開に有利になるからだ。

 日本政府はそのあたりの情報収集や情勢判断を行い、あえてイスラエル寄りに作られた決議案の修正を求める者を応援するのである。汚いように思えるかも知れないが、これが国際外交で日本の国益を拡大する方策である。

 イスラエルが最も恐れているのは、レバノン南部に大兵力を貼り付けたまま、長期の消耗戦に引きずり込まれることである。以前、イスラエル外務省の現役の局長から、第3次中東戦争(6日戦争)後の”消耗戦争”の話しを聞いたことがある。言うまでもなく6日戦争(67年)は短期間に、イスラエル軍の圧倒的な勝利で終わった。しかしその後、新しく占領したシナイ半島やゴラン高原で消耗戦が始まるのである。それはやがて73年の第4次中東戦争になっていくが、局長の口からは”消耗戦”の苦しみが正直に語られた。そこには第4中東戦争を正当化する目的があったかもしれないが、今のイスラエルではこの消耗戦の苦しみは政治や軍のトップクラスが身に染みて認識していることと思う。

 だから国際部隊とレバノン軍がレバノン南部に展開し、イスラエルが南部から撤退することはイスラエルにとっても本心は助かることなのである。

 ヒズボラは今回のイスラエル軍の戦闘で弱体化することはない。むしろレバノン政府やアラブ連盟の支持や同情を受けて、影響力を拡大することが必至である。ブッシュ大統領のようにこの機会にヒズボラを攻撃して、出来るだけ損害を与えたいと考えることが軍事的に無理なのである。イスラエルもそのあたりをことは承知していて、レバノン南部の一般市民に強い恐怖心を与え、そのことでヒズボラの活動を抑制したいだけである。だから一般人の犠牲も多くなる。ちなみにこれはナチス・ドイツ軍の治安作戦と同じである。当時、レジスタン(反ナチ武装組織)にドイツ兵が1人殺されれば、20人の地元農民や市民を銃殺して恐怖で治安を維持する方法である。ユダヤ人の国であるイスラエルが、ナチス軍と同じ方法をとるとは残念である。

 それより日本政府はレバノン和平でもっと鮮明に姿を見せて欲しい。いつもアメリカの後ろに隠れてばかりいないで、国連安保理の常任理事国入りを目指すだけの存在感を示して欲しい。

レバノン情勢

米仏決議案

 仏が主導した安保理論

レバノンは拒否

イスラエル戦闘継続

  即時停戦は困難

イスラエル兵11人死亡

(毎日 8月7日 朝刊)

[概要]レバノンの停戦をめぐる国連安保理決議案で、米仏両国の合意がなり、安保理決議案が提出された。この決議案では、イラクの情勢悪化で身動きのとれない米軍にかわり、イラク戦争に反対したフランスが主導をとり、米が嫌がるイスラエル軍の「即時戦闘停止」や「停戦後の国際部隊派遣」を強く主張した。レバノン情勢を話し合う国連安保理では、イスラエルに肩入れしてきたブッシュ政権を仲介者と見なされていない。アメリカもそのことを理解した上で、仏の役割を容認しているのかもしれない。

 しかしイスラエル政府は即時停戦を拒否して、国際部隊到着までレバノン南部の占領継続を表明した。またレバノン政府のペリ国民会議議長も、決議案に「イスラエル軍の即時撤退」が書かれていないことから、決議案の拒否を言明している。

 6日にはヒズボラのロケット弾攻撃で、イスラエル軍の部隊が直撃を受け兵士11人が死亡した。一度のロケット攻撃で11人の死者数は最大。レバノン南部のアンサル村ではイスラエル軍の空爆で民間人10人が死亡した。レバノン南部では1万人のイスラエル兵がヒズボラ掃討作戦を継続している。

[コメント]長野県の八ヶ岳山麓では新聞も読まず、テレビやラジオのニュースも聞かず、携帯電話も圏外で、まさに「ニュース抜け」の3日間を過ごした。そして昨日の夕方に無事自宅に帰ってきた。そして一番気にしていたレバノン情勢のニュースを新聞やテレビでチェックした。

 この国連安保理での決議案は早ければ今日にも採択される見通しである。一旦は決議案の受け入れ拒否したレバノン政府も、仏米が合意したことから決議案を受け入れることは間違いない。

 しかしフランス軍が主体の国際部隊の編制と、数千〜数万規模の部隊展開までにはまだまだ山がある。イスラエル軍が南部で占領を続け、ヒズボラとの間で戦闘が継続されていれば、新たな国際部隊はテロの標的にされる可能性がある。国際部隊がレバノン内のヒズボラを武装解除したり、シリアからの武器搬入を取り締まれば、イスラエル寄りとして自爆テロなどの攻撃を受けるわけである。といって、イスラエル軍を国際部隊がレバノンから押し出す力はない。イスラエル軍がレバノンに駐留している限り、ヒズボラはイスラエルにロケット攻撃を加えることになる。ヒズボラが隠し持っているロケット弾は、約1万発という情報がある。また、イスラエルがレバノン南部から撤退すれば、ヒズボラの大勝利という構図ができることになる。レバノンでヒズボラの影響力がさらに高まることは確実である。

 フランスが部隊のレバノン派遣に慎重なのは、まさにそうした理由があるからだ。「双方が停戦に合意すること」と、「イスラエル軍とヒズボラに、レバノン南部への立ち入り禁止地帯の設定合意」が必要である。その合意が双方から得られるかがカギと思う。

 私としてはその展望に悲観的である。この機会にヒズボラに打撃を与えたいイスラエル政府と、イスラエル軍を長期・消耗戦に引き込みたいヒズボラの作戦が、レバノン南部での戦闘継続を求めているからだ。

 とにかく今はフランスに期待するしかない。フランスがレバノンの和平に失敗すると、その次を担える国はない。日本はフランスの活動をバクアップして助けることが必要だ。

  更新のお休みします

8月5日(土) 6日(日)の

2日間はお休みします

    (8月4日)

 5日、6日はヨットの友人に誘われて、寝袋持参で長野県の避暑地に行きます。4日の夜はバーベキューをするそうです。カミさんと娘は群馬県か埼玉県のライブコンサートに行きました。おばあちゃんはショートステーです。久しぶりに別行動です。

 出先には携帯電話を持って行きます。また自宅にかかってきた電話は、携帯電話に自動転送します。仕事関係など、緊急の用事の方は携帯に連絡して下さい。

 皆さんも楽しい夏休みを!

北朝鮮 大水害

死者1万人の説も

支援申し出は断る

(朝日 8月4日 朝刊)

[概要]北朝鮮では先月中旬の豪雨で記録的が被害が出ている。河川の氾濫や洪水で住宅や農地が流失、死者が1万人に達するという説も出始めた。北朝鮮の朝鮮中央通信では、交通や通信・電力網が途絶え、「死者・不明は全国で数百人」と伝えた。しかし実際の被害はもっと大きいとみられる。

 北朝鮮で人道支援する韓国の非政府組織「グッドフレンズ」は消息筋の話しとして、「死者は1万人近くで被災民は130万〜150万人に上る」と指摘し、農産物が壊滅的な打撃を受け、食糧事情が悪化したという見方を示した。

 北朝鮮は先月5日のテポドン2の発射で、日米を中心に圧力を受け、年間数十万トンの食糧支援をしてきた韓国もコメ支援を凍結した。水害はその直後に発生し、北朝鮮に追い打ちをかけた形だ。しかし北朝鮮は直接支援を求める動きは鈍い。

 先月末、韓国赤十字社が申し出た人道支援を断っている。韓国が政府レベルで支援凍結をしたことに反発していることに加え、水害防止の無策ぶりを露呈することで、国家威信の低下や体制動揺につながるという判断があるとみられる。

[コメント]北朝鮮にとって水害は天災のほかに政治災害でもある。政府が食糧の増産を呼びかけ、国家規模で山の森林を伐採して新田や畑を開墾した。すると一時的に食糧は増産したが、やがて大雨で木のない山の新田は流出して、大量の土砂が河川の川底に堆積した。あるいは主要な港湾に流れ込んだ。燃料不足と土木機械の不足で、多くの港湾に堆積した土砂の浚渫(しゅんせつ)は出来なかった。北朝鮮では計画性のない食糧増産は海運さえも影響を与えたのである。

 また北朝鮮では燃料不足で、山の樹木が切られて燃料に使われた。冬の寒さが厳しい北朝鮮では、樹木の伐採(燃料)も生きていくための主要な手段だった。そうして北朝鮮の山から緑が消え、大雨で大洪水が発生しやすい自然環境になったわけである。だから政治災害という言葉も間違いではない。

 さらにテポドン2の発射で北朝鮮は予想以上の反発を招いた。大水害でなくとも、今の北朝鮮に食糧支援を凍結することは、北朝鮮の支配体制が崩壊してもかまわないというメッセージにもなる。そんな厳しい環境の中で大水害が起きた。

 北朝鮮で金正日体制に苦しむ人のことを思うと心が痛む。どのような理由であっても、社会弱者の子供や老人を餓死させてはいけない。日本は北朝鮮制裁を一時的に解除して、人道的な食糧支援や医薬品を送るべきと思う。むろん高級メロンや松阪牛などの贅沢品を輸出する必要はまったくない。

1等海曹処分

海自内部資料持ち出す

上海に無許可渡航

(産経 8月3日 朝刊)

[概要]海上自衛隊が収集した潜水艦などに関する内部資料を、対馬警備隊上対馬警備所の1等海曹(45)がCDに複製して持ち出し、口頭処分を受けていた。この1曹は中国人女性に会うために、上海に無許可渡航を繰り返しており、情報が中国側に漏洩した可能性があるとみて、長崎県警が捜査を始めた。

 この中国人女性は上海の日本領事館員(中国情報部員の工作を受け自殺)が出入りしていたカラオケ店に一時勤めていた。海幕によればこの1曹は今年2月、職場で周辺海域海軍の水上艦や潜水艦の写真を収集した「識別参考資料」をCDに無断コピーして自宅に持ち帰った。この資料は「注意文書」の秘密指定を受けていた。しかし「機密」「極秘」「秘」などの秘密指定文書と違い、持ち出した場合でも自衛隊法違反に問われない。この資料持ち出しは「口頭注意処分」となった。

 また上海への無断渡航は計8回で、中国人女性に総額350万円の送金を行っていたことがわかった。上海への無断渡航については停職10日間の処分を受けた。

 海幕ではこれ以外に資料を複製した形跡もなく、海外に持ち出されたとは考えにくいとしている。

[コメント]昨日はこの記事を読売が1面トップで報じたので気になっていたが、ちょっと腑に落ちないことがあったのでここに取り上げなかった。読売の記事はスパイ事件を連想させる書き方をしていたが、刑事罰なら350万円の送金は無罪である。また日本領事館員の自殺と関連していると証明できる具体的な証拠はない。また複製された「艦船識別参考資料」も秘密性は低く、まさに口頭注意で済む話しである。やはり最大の問題は上海への無断渡航が8回という件で、これは停職10日間を受けているので”妥当”だと思った。

 ところが昨日の昼前になると大騒ぎが起きた。共同通信が複製されたCDに潜水艦の音紋に関する情報が含まれていたと報じたからだ。それを受けた新聞社やテレビ局から「潜水艦の音紋」に関する問いが私の所にきた。「艦船識別参考資料」なら水上艦艇のシルエットや写真で、秘密性はそれほど高くない。しかし「潜水艦の音紋」情報なら、確実に「秘」以上の秘密指定を受けており、1曹への口頭注意で済むような話しではないからだ。

 すぐに私は電話で潜水艦の音紋情報を集めることがどれほど大変で、その情報は極めて秘密性が高いので固く防護され、簡単にコピーできるような情報管理をされていないことを説明した。そしてその共同電は明らかに間違いだと指摘した。その数時間後の共同電の続報からは、”潜水艦の音紋”の文字は消えていたという。海幕もこの共同電には驚いて、共同通信に早い訂正を求めたのではないか。

 さてこの記事をどう読むかだが、私は警察の公安がリークして書かした記事だと推測している。どこのだれか知らないが、上対馬警備所の1曹が頻繁に上海に無断渡航を繰り返し、「注意文書」の指定を受けた文書をCDにコピーして持ち帰ったと、海自の警務隊に内部告発したとする。海自の警務隊が1曹を調べると、官舎の自宅から「識別参考資料」が出てきた。また1曹のパスポートからも上海に8回も渡航している事実を掴んだ。さらに350万円を送金したことも通帳から確認した可能性がある。警務隊が聞くと、この1曹は上海に親しい女性がいたことも話した。しかしこれで処分できるのは、「注意文書」を持ち出した「口頭注意」と、無断渡航8回の「停職10日間」だけである。

 しかし内部告発者はこの処分に不満を持った。海自の警務隊がこのスパイ事件をもみ消そうとしていると思ったのではないか。そして次ぎに長崎県警に内部告発して、徹底した捜査を求めたような気がする。そして長崎県警の公安や警視庁の公安部が動いて、上海の領事館員自殺事件との接点を見つけた。関与した中国人女性が同じカラオケ店で働いてという接点である。警察・公安部としては、この1曹をスパイ事件と摘発したいが、それを証明できる証拠が集まらなかった。そこで新聞にこの事件をリークして、危険な中国スパイ事件をギリギリで防いだという手柄にしたかったのではないか。

 実はこのような例は、今までに警察が摘発した自衛隊員のスパイ事件に共通して見られる傾向なのである。そこには自衛隊と警察の情報管理の違いが明確に現れている。

 それよりも私が興味を感じたのは、この1曹を上海に連れて行き、女性を紹介した同僚の3曹(28才 今年5月に退職)のことである。中国に留学経験があるというから、自衛隊に入隊前に中国に留学していたのではないか。中国に留学して帰国後、自衛隊に入隊した経緯や、自衛隊を志望した動機なども知りたい。もし留学先が上海なら、この中国人女性と知り合った経緯など、元3曹には聞きたいことが山ほどある。

 参考までにいうなら、今までに自衛官の海外への無断渡航は結構多く行われている。自衛官は自分でパスポートを管理しているから、2泊3日程度の海外旅行なら、部隊長の許可をとることなくよく行われている。また「注意文書」は多くの隊員が教材の作製や勉強のために自宅などに持ち帰っており、これを厳密に取り締まると通常の業務に支障が出てくると思う。

 この事件に対する私の感想は、大物スパイ事件摘発で手柄を立てたい警察と、重要な秘密情報を守って安堵した自衛隊との、情報に関する意識の違いからだと思う。だから同じようなスパイ事件の報道騒ぎが、これからも起きることは必至である。

イスラエル攻撃拡大

 地上軍 新たに侵攻

和平迫り”駆け込み”

  占領なら停戦は困難

ヒズボラ影響力拡大

レバノン首相も支持鮮明に

シリアからの武器搬入の

 全車両攻撃

 イスラエル国防相

(読売 8月2日 朝刊)

[概要]イスラエル政府は1日の緊急閣議で、レバノン国境から約30キロのリタニ川以南の地域からヒズボラ武装勢力を排除することを決めた。また国際部隊が展開する数週間は、この一帯をイスラエル軍が占領をすることを決めた。これによってイスラエルの国軍投入戦力は倍増の5個旅団となる見込み。

 イスラエル軍の発表によると、イスラエル軍はレバノン国境沿いの7地点を突破し、激しい戦闘を行いながらリタニ側にむかい北上している。AP通信によるとリタニ川沿いの複数の目標に対し計3波の空爆があった。イスラエル軍は日本時間の2日午前7時から空爆を全面再開するという。

 戦略目標のリタニ川は国境に平行するように流れる。70年代はパレスチナゲリラが周辺を拠点とし、78年にイスラエル軍が「リタニ作戦」を実施してゲリラ掃討を試みた。82年のレバノン侵攻後は川に沿う形で安全保障地帯を設置し、2000年まで実効支配した経緯があり、イスラエルにとっては心理的な「防衛線」と見なされている。だが広大な地域のため短期の制圧は難しく、占領が始まれば戦闘停止も困難で、国際社会の反発も強まりそうだ。また、現在停戦案として議論されている「国際部隊」も、「戦闘終結が前提」とっされており、イスラエルの戦線が拡大すれば停戦の枠組み作りが難航する。イスラエルの軍事行動は極めて危険な領域に入っている。

 レバノンのシニオラ首相は親米的であったが、「イスラエル軍を撤退させるためにヒズボラは実に有効な役割を担っている」と称賛し、ヒズボラ支持の姿勢を鮮明にさせている。シニオラ首相は30日にライス国務長官の訪問をはねつけ、路線転換を明らかにしている。ヒズボラ指導者のナスララ師は「熱意を持って政府に協力する」と言い切った。

 一方、イスラエルのベレツ国防相は1日、シリアからレバノンのヒズボラに武器が流入し、ヒズボラの弱体化を妨げているとし、「シリアからレバノンに向け武器を搬入する車両を今後攻撃する」と述べた。しかし同時に、「シリアとの間で戦端を開く意図はない」とも語った。

[コメント]確かにレバノン情勢はさらに悪化しており、イスラエルは極めて危険な領域に入った。そしていつも言うことだが、レバノンの背後にシリアがあり、その背後にはイラクの泥沼にはまった米軍がいる。さらにその背後にはシーア派のイランがいるのである。明らかにヒズボラはイランが育ててレバノンに送り込んだ。そしてシリアの武器援助で反イスラエル勢力として活動している。その意味ではイランの革命防衛隊の弟分で、戦略や戦術は民兵から発展したような武装組織とは全く違う。その経緯から、パキスタンが育てたタリバンよりもヒズボラの方が高い戦闘能力を保持している。

 だからイスラエル軍がレバノン侵攻を行えば、リタニ川まで引き込む作戦をヒズボラ側が仕掛けた可能性がある。そしてヒズボラはイスラエル北部に向けた発射していた短距離ロケット弾を、こんどはレバノン南部に展開するイスラエル軍に向けて発射し、長期的にイスラエル軍の犠牲を出す作戦の様である。イスラエル軍は兵士の出血以外にも、経済的・精神的な負担をイスラエルに求めるのである。これがイランの革命防衛隊が考える作戦であり、レバノンに侵攻したイスラエル軍が避けられない罠になる。

 だからといって、リタニ川まで侵攻したイスラエル軍が素早く「国際部隊」と替わることは難しい。イスラエルが交戦中であるのに国際部隊を受け入れることは、敗北を認めたことに等しいからである。

 イスラエル軍は危ない橋を渡り始めた。長期・消耗戦というのはイスラエルにとって悪夢の再来である。

イスラエル軍

停止措置中に空爆

レバノン南部で

(毎日 8月1日 朝刊)

[概要]イスラエル軍は31日、レバノン南部の町カスミヤでレバノン軍の車両を空爆し、兵士1名が死亡した。イスラエル軍は誤爆を認め、レバノン政府に謝罪した。イスラエルはレバノン南部の村カナで民家を空爆し、50人以上が死亡したことを受け、ライス米国務長官と協議して、48時間の空爆停止を合意したばかりだった。

 イスラエル軍はこの空爆をレバノン南部のイスラエル国境沿いの村タイベで、交戦中の地上部隊を支援するために空爆を行ったことを確認した。

 空爆停止の例外規定を、米側が差し迫った脅威への自衛権に限定しているのに対し、イスラエル側は緊急を要しない標的も空爆の対象となり得ると主張している。米国務省とイスラエル政府との間に、空爆停止に関する見解に微妙な食い違いがみられる。

[コメント]この空爆停止・例外規定への見解の違いは、決して微妙な食い違いではないと思う。目前の敵から攻撃を受けたとか、明らかに攻撃を準備しているものではなく、無人偵察機などが異常(識別できない)な車両を発見し、それを攻撃(空爆)したものと容易に想像できる。まさにカナ村で発生した民家空爆と同じ理由である。

 現在のイスラエル軍は無人偵察機を多用している。有人の偵察ヘリなどと違い、無人偵察機はパイロットの犠牲を気にすることなく、危険地帯を低空で偵察飛行できるからだ。しかし無人偵察機の画像では鮮明な画像に限界がある。たとえば戦闘員と民間人を識別できないし、軍事拠点と避難所の区別もつきにくい。実際には夜間に多くの人がある建物に集まったとする。無人偵察機はそのことを人体の体温(赤外線)から探知できる。しかし集まった人が避難民や子供なのか、あるいは戦闘員かの区別が明確につかないという意味である。

 同じようなことはイラクのファルージャ攻撃でも起きており、夜間に多くの人が出入りする施設が軍事拠点して空爆された。しかし実際は負傷者が運び込まれた病院であった。これに対しアメリカ軍は、反米武装勢力が病院を「人間の楯」として使い、軍事的な拠点として使っていたと発表している。イラク戦争以後、アメリカは誤爆を「人間の盾」だったと言い訳するのは、もはや日常的な表現になっている。アフガンでは羊の体温を無人偵察機がゲリラと感知し、米軍が攻撃するなどの例もあるようだ。

 イスラエル軍が「人間の楯」というのも、そのことを真似ているのだろう。

 とにかく今は、レバノンでの本格的な停戦を急ぎ、兵力引き離しに「国際部隊の派遣」を急ぐしかない。それしか言えないことが虚しい。 

 



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