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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。
     

 

 

 

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この情報の最も新しい更新日は5月13日(水)です。

ゲーツ米国防長官

アフガン駐留米軍

 司令官を更迭

後任は元特殊作戦軍司令官

(産経 5月13日 朝刊)

[概要]ゲーツ国防長官は11日の記者会見で、アフガン駐留米軍のマキャナン司令官(大将)を更迭する方針を明らかにした。マキャナン氏の司令官在任期間はわずか11ヶ月。戦争中に司令官が事実上、解任されたのは、朝鮮戦争の際の1951年に、当時のトルーマン大統領と対決したマッカーサー連合国最高司令官以来といい、異例の措置といえる。

 司令官交代の理由は、米紙ニューヨーク・タイムス(電子版)によると、軍内部にはマキャナン氏が従来型の戦争の思考に偏りすぎたたの批判があり、新戦略の中心的な存在である米中央軍のペトレイアス司令官との確執を指摘する声もあった。

 マキャナン氏は、オバマ大統領がアフガンに2万1000人の増派を決めた後にも、さらに1万人規模の追加増派を要請。しかしゲーツ長官は当面追加増派はせず、軍事と民政支援の両面から新戦略を進める考えを示していた。ゲーツ長官はマキャナン大将に新戦略遂行は無理と判断したとみられる。

 後任はマクリスタル統合参謀本部事務局長(陸軍中将)が起用された。マクリスタル氏は対ゲリラ戦を得意とし、06年から08年まで特殊作戦軍司令官を務め、「イラク聖戦アルカイダ組織」のザルカウィ容疑者らを追跡、06年6月、同容疑者の殺害に成功した。

 ゲーツ長官は副司令官にロドリゲス陸軍中将を充てる人事も発表し、「(両氏は)掃討作戦でたぐいまれな手腕を発揮するだろう」と期待を表明した。

記事には「ゲリラ戦が得意」とありましたが、これは「対ゲリラ戦が得意」の間違いと思い、私の判断で訂正して記述しました。

[コメント]この更迭人事はオバマ流の「アフガン安定策」を実施するためには必要なことと思う。まさしく朝鮮戦争で朝鮮の国境を越えて中国領土に侵攻することを求めたマッカーサー元帥を更迭した人事と同じである。

 これからのアフガン安定化策では、駐留米軍がタリバン兵を1000人殺した、5000人殺したという成果が問われることはない。武装勢力にいかに勝つかということではなく、いかに武装勢力に武器を捨てさせ、アフガンを安定させるかが問われることになる。

 そのために米軍が出来ることを行うのである。例えば、アフガンで部族の壁を越えて統一した治安部隊を作り上げることや、麻薬栽培や戦闘に代わる収入を国民に提供することである。

 実は特殊部隊の任務には、そのような民生協力という分野が重視されている。なぜなら米軍の特殊部隊は少人数が敵地で作戦を実施するので、敵地の民間人を味方にして戦うことは訓練や能力の重要な要素になる。米軍のグリンベレーなどの特殊部隊の隊員は、少なくとも1カ国以上の外国語(英語以外)のコミニケーション能力が求められているのはそのためである。

 しかしそのような安定化策に対して、道路や橋を爆破したり、輸送車両などを襲撃する武装勢力には、米軍などの軍事組織が断固たる反撃を行うことを躊躇(ためら)ってはいけない。そのための駐留軍部隊なのである。またアフガンの駐留米軍は、それ以上の攻撃を行ってはいけないのだ。

 オバマ政権やゲーツ国防長官が、これからアフガンで行う安定化策とはそのようなものである。戦争による破壊や混乱ではなく、安定化によって繁栄が得られることをアフガンの国民に実感させることなのだ。人はだれでも不幸よりも幸せがいいに決まっている。この原則を見失わなければ安定化は成功する。

 今回のアフガン駐留米軍の異例な司令官人事で、オバマ政権とゲーツ国防長官はそのことを世界に発信した。 

金正日の後継者

正雲氏が本格始動

金日成生誕97年企画を指揮

(読売 5月12日 朝刊)

[概要]韓国の聯合ニュースは11日、北朝鮮の金正日総書記(67)の三男、正雲(ジョンウン)氏(26)が、経済再生のために5月に始まったキャンペーン「150日戦闘」を主導するなど、後継者としての実績作りを本格化させていると報じた。

 聯合電によると、正雲氏は1月に後継者に内定した後、「人工衛星」名目で長距離弾道ミサイルを発射した際に「衛星管制総合指揮所」(ピョンヤン市)を視察した金総書記に随行するなど、総書記の最近の公開活動には必ず同行しているという。

 正雲氏はまた、4月15日の金日成主席生誕97年に平壌で行われた花火大会や、5月1日のメーデー関連行事も企画、指揮したという。

[コメント]北朝鮮の金正日の後継者に3男の正雲氏が正式に決まったことを、もはや否定する者はいないと思う。それにしても日本で北朝鮮ウォッチーといわれる人たちが、後継者は長男・正男だとか次男の正哲だと論争していたのが懐かしい。

 それにである。4月5日に打ち上げたテポドン2の目的が、後継者決定を祝う国威発揚であったことも明らかになった。(打ち上げは失敗したが)。イランやシリアに弾道ミサイルを売るためのビジネス活動とか、日本やアメリカに対する「ミサイル・カード」を獲得するためという説も根拠が薄くなった。

 それにしても、北朝鮮が経済再生のために「150日戦闘」運動を、今月から始めていることを初めて知った。すでに生活インフラや産業インフラが壊滅的なのにどのように経済を再生させるのか。

 5月からということで思いつくのは、春に植えた野菜や穀物が、150日(約5ヶ月)後の秋までに収穫できることである。すなわち夏季に大規模な水害や干ばつが襲わなければ、夏野菜や秋の穀物を収穫できることである。そのような収穫の成果をもって、国民には指導者の主導の成果と宣伝するつもりなのだろうか。

 それ以外に思いつかない悲しい現実が北朝鮮を覆っている。北朝鮮では苛政(かせい)のため、農業用水路を整備し、必要な化学肥料をまき、川に水害を防ぐための堤防を築き、害虫の発生を防ぐ処置を講じるなど、農作物の収穫を増やして確実なものにするためのやり方ができないのだ。

 北朝鮮では無理な独裁を終わらせることしか、北朝鮮の人々の慢性的な飢餓や健康悪化から逃れることはできない。そのことを正雲氏が理解できるか。後継者問題の興味はその一点に尽きる。

スリランカ北部で砲撃

「人間の盾」

 378人死亡

まだ5万人の市民が人質

(朝日 5月11日 朝刊)

[概要]スリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が多数の市民を「人間の楯」として立てこもる同国北部の地域で9日から10日にかけ、大規模な砲撃があった。AP通信は、現地で活動するスリランカ人医師の話として、少なくとも市民378人が死亡、千人以上が負傷したと伝えた。

 この砲撃に対して、LTTに近いウェブサイト「タミル・ネット」は1200人以上の遺体が確認されたと伝え、政府軍による砲撃と非難した。また、政府軍は先月末から空爆や重火器の使用を自粛すると宣言。今回の砲撃について10日声明を出し、「軍をおとしめるために、LTTが市民に向けた撃ったものだ」と関与を否定した。

 政府は戦闘地域周辺への報道関係者や国際援助関係者の立ち入りを禁じており、正確な情報の入手が難しくなっている。

 かつて国土の1/3を支配したLTTは、昨年から政府軍の激しい攻勢を受け、同国国防省によると現在、海岸沿いの約5キロ平方キロの地域に立てこもっている。

 「人間の楯」のうち、すでに10万人以上が脱出したとされるが、国連はなお5万人程度が取り残されているいると推定。潘基文(バン・ギムン)国連事務総長が、停戦を呼びかけたが、スリランカ政府は応じていない。

[コメント]「人間の楯」というが、これはLTTEが住民を強制的に連行した人質である。その人質の人数がまだ5万人もいるという。またLTTEの人質であっても、かつてLTTEの兵士だったり、LTTEを支持しているタミル人も含まれている。この点もこの問題を難しくさせている。

 このような場合、仮にLTTEが降伏しても、直後に政府軍による報復(LTTE兵士の虐殺)が行われることから、現状のままではLTTEの降伏は難しい。そこでスリランカ政府と交渉して、中立的な国際部隊(機関)が政府軍とLTTEの間に入って兵力引き離しを行うことしか、現状を打開する方法しかない。

 その役割を担う一人が明石康・日本政府代表(スリランカ問題担当)だと思う。しかし明石氏は国連カンボジア平和維持活動(UNTAC 92年〜93年)の代表時代に仕事ぶりを見たが、戦闘状態が休止した際の平和創造がうまいとは思わなかった。

 おそらく明石氏は長年ゲリラ活動(テロ等)を行ってきたLTTE勢力に対して嫌悪感を持っているのではないか。先日もスリランカを訪問して、LTTEから逃れてきた難民(約11万人)キャンプを視察したが、これ逆にLTTEの残忍性を強調することになった。紛争当事者を引き離すためには、個人の歴史観や政治性を端的に抑制する必要もあるのだ。

 なぜ私がそのように指摘するかというと、UNTACが活動した頃、私はカンボジア北西部のポル・ポト派支配地区で何度か取材を行っていた。すでにポル・ポト派は政府軍との休戦に応じて、UNTACの派遣と総選挙の実施に同意していた。(最終的にポル・ポト派は選挙をボイコット)

 しかし明石氏がポル・ポト派にとった対応は「けんか腰」だと感じた。フンセン首相の心理戦的な「ポル・ポト派非難」を許していたし、明石氏のポル・ポト派支配地区への視察や幹部と会談も「敵意」を感じさせていた。私は日本人ジャーナリストとしてその場にいたのだ。無論、ポル・ポト派の幹部たちからも明石氏の評価を聞いていた。

 その時の印象から、明石氏は有能な国際機関の管理者であっても、戦争から和平を生み出す人ではないと感じた。自分のポル・ポト派に対する嫌悪感を抑えることができないのである。ポル・ポト派が最後に総選挙をボイコットしたのは明石氏の対応が大きいと思った。(ただしポル・ポト派は総選挙の妨害や自衛隊への襲撃は行っていない)。

 ともあれ、今は5平方キロという狭い範囲にLTTと人質は閉じこめられている。だから今回の砲撃は政府軍が行った可能性が高い。LTTが陣地内に砲撃を行うのは狭すぎるからである。

 明石氏は難民キャンプの視察ではなく、多くの記者を連れて政府軍の最前線に行き、無謀な攻撃(砲撃)を行わないように説得すべきだった。戦いの勝敗はすでに決している。これ以上の攻撃は虐殺である。

米に対抗 軍事大国復活誇示

露軍事パレード、

 最新ミサイル披露

地対空ミサイルS400や

「トーポリ(ICBM)」が登場

(産経 5月10日 朝刊)

[概要]第2次大戦の戦勝64周年祝う軍事パレードが9日、モスクワの中心部の「赤の広場」など国内各地で行われた。最新型の地対空ミサイルS400が初披露された。戦闘機など航空機も昨年の倍以上の約70機が参加し、「軍事大国の復活」を国内外に誇示した。

 モスクワのパレードでは披露されたS400は、米国のパトリオット地対空ミサイルを上回る射程400キロの能力を持つとされる「ロシア版MD」兵器だ。このほか移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トーポリ」なども登場。ツボレフ95型戦略爆撃機などが首都上空を低空飛行した。

 プーチン首相とともにパレードを観閲したメドベージェフ大統領は演説で、「今日でも軍事的な冒険を行う者がいる。われわれへの攻撃には相応の反撃が加えられるだろう」と述べ、昨夏のグルジア侵攻を思い起こさせた。

 ロシア政府が金融危機のさなかにもかかわらず大規模な軍事パレードを行う背景には、昨年、政府が将校の人数を削減するなどの軍改革を表明したが、それに反発する軍内部の士気を高める思惑がありそうだ。

 写真はパレードに登場した移動式発射台のICBM「トーポリ」。射程は約1万キロで単弾頭だがアメリカのミサイル防衛(MD)を突破できる能力を持っている。同日の産経新聞に掲載された。ロイター通信配信。

[コメント]ロシア軍が配備している対空ミサイルのS400はS300の後継で、米軍のステルス戦闘機を迎撃できる能力があると噂されている最新鋭の対空ミサイルである。しかしPAC3のように対弾道ミサイルという能力はない。あくまで航空機や巡航ミサイルを迎撃するための対空ミサイルである。

 だから米軍のパトリオットを上回る能力というのは、パトリオットの中でもPAC3ではなくPAC2と比較した場合の話しである。このあたりを誤解しそうなので注意が必要だ。また記事でいう「ロシア版DM」という言葉は適切ではない。敵の巡航ミサイルを迎撃できる性能ではMD(ミサイル防衛)という言葉は使わない。

 ちなみに空自に配備されている”パトリオットPAC2”は射程が百数十キロという数値が公表されています。 「超低高度から高高度にいたる複数目標に対し、同時に対処可能であり、高い撃墜能力を有しています。日本では昭和60年度から整備に着手し、平成6年度中に配備(那覇)を完了しました。」(空自のホームページより)だそうです。。

国連がイスラエル非難

「ガザ施設攻撃、

  意図的」

「白リン弾」攻撃は

 「重大な過失」と一蹴

(毎日 5月8日 朝刊)

[概要]国連は6日、先のイスラエル軍によるガザ地区攻撃について、イスラエル軍が国連職員や非難民保護の責務を果たさず、国連施設を「意図的」に攻撃したなどと厳しく非難する調査報告書をまとめた。

 報告書ではイスラエル軍から攻撃を受けた9件の国連施設の実態を精査し、うち7件でイスラエル軍の非を追求した。またイスラエルがこれらの施設から自軍に(ハマスから)攻撃を受けたことに対する「反撃」と主張しているのに対して、「国連施設の敷地内からの軍事行動はなかった」と反論した。

 具体的には、国連が運営するガザ市の小学校で1月5日、イスラエル軍のミサイル攻撃でパレスチナ人男性3人が死亡した事件について、「住民が避難先を求めて学校に集っていたことは容易に把握できた」と指摘。「国連施設を直接かつ意図的に攻撃した」と批判した。

 また、燃料貯蔵庫があるガザ市の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)本部に1月15日、発火性の強い「白リン弾」が撃ち込まれた事件については「重大な過失」と一蹴した。

 これに対しイスラエル国防省は声明を発表して、「イスラエル兵はパレスチナ市民を巻き込まないように最大限の努力をした」と反論する一方、国連施設を意図的に狙ったことはないと強調した。イスラエル外務省は「国連の報告書は偏向している。イスラエルがガザからロケット弾の攻撃にさらされてきたことを無視している」と非難した。

[コメント]イラクのファルージャでの市街戦では、米海兵隊の砲撃を受けて負傷した市民が、夜間に病院に駆けつけたところを精密誘導爆弾で空爆された。アフガンの村では結婚式に集まったお祝いの住民の頭上にも爆弾が投下された。いずれも米軍の無人偵察機で人々が集まる赤外線の映像から、武装勢力が集結中と判断しための誤爆だった。

 しかしガザ地区にイスラエル軍が行った攻撃は詳細な情報(地図など)を使って行われたことは容易に想像できる。その地図には国連施設などの記入が必ずなされていたはずだ。にもかかわらず、無人偵察機の赤外線(画像)情報だけで、他の情報と照会しなかったのはイスラエル軍の重要な過失である。

 さらに国連車両の燃料貯蔵庫(野積み)に対して、発火性(あるいは着火性)の高い「白リン弾」を使うことは「意図的」という責任から逃れることはできない。この国連施設への「白リン弾」攻撃はテレビカメラで撮影され、CNNなどを通じて世界に放映されている。そのテレビ映像(CNN)を見たが、空からコブシ大の火炎の塊が降り注ぐ異様な光景で、発煙効果というほどの白煙は出ていなかった。明らかに野積みされた燃料に着火させるための「白リン弾」攻撃と理解できるものだった。

 もしガザの国連施設がイスラエル軍から攻撃を受けながら、イスラエルに国連が抗議や非難を行わないなら、国連の人道支援、平和維持、避難民保護の活動は放棄したに等しいことになる。このような報告書が出たことでガザでの国連活動はこれからも継続される。

 またイスラエル政府は「攻撃を受けたから反撃した」という言葉で、すべての攻撃(市民や)や誤爆が許されると思うことは、さらなる犠牲を招く危険な考えであることを知るべきだ。

北朝鮮の労働新聞(機関紙)

金総書記

  幹部に弱音

「考え続けると意識がかすむ」

(読売 5月6日 朝刊)

[概要]韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮の朝鮮労働党機関誌・労働新聞は4日、金総書記(67)が「何時間も集中して考え続けていると、意識がかすむ時がある」と語った記事を掲載した。北朝鮮メディアは3月以降、やせ細った金総書記の姿を報じ、その姿に涙を流す工場関係者の様子を紹介している。

 今回の金総書記の発言は、体調が優れないことを自らの言葉で認めることで、国民の同情をさらに買い、求心力を高める狙いがありそうだ。金総書記は「仕事が多くて疲れる」と幹部に弱音を吐き、「私がてきぱき仕事をこなすと言う人がいるが、実はそうでもない」と、職務遂行能力の低下を認めるような発言をしたという。

[コメント]北朝鮮の支配体制で、あくまで金総書記から直接の決済を求める管理職に、体調のために3者合同統治体制(党、軍、家族)が決済代行しているという説明を行った記事と思う。国民の同情を集め、求心力を高めるための記事と考えると、金体制の危機意識が正しく見えてこないと思う。

 独裁者というものは、クーデターを恐れてNO2を作らないというが、今は合同統治体制を代表する張成沢(妹婿)も何度か地方に飛ばされて冷や飯を食わされている。だから張成沢が決済することを不安がる者も少なくないだろう。そこで張成沢たちの決済を正当化するための、この記事である。

 すでに北朝鮮内部から、金正日は10分程度(1キロ以内)しか歩行できないという証言が伝えられている。さらにこの記事で集中力が低下して深い思考ができないという説明が行われた。

 このように金正日から3男の正雲に後継が完了されるまで、正雲の後ろ盾になる合同統治体制が持つかどうかが北朝鮮の最重要問題になってきた。

更新休止のお知らせ!

(5月3日 日曜日)

 ゴールデン・ウィークのため、5月3日(日)〜6日(水)の間、このホームページの更新を休止します。

 なお、この間は東京周辺で過ごしますので、緊急時は直ちに更新して再開します。また、外出先には携帯電話を持参し、いつでも連絡がとれる体制を維持します。また緊急に連絡をとりたい方は自宅に電話を頂くと自動で携帯に転送します。それでは皆さんも楽しい連休をお過ごしください。

08年版、米”テロ年次報告書”

北朝鮮を記載から

  ”削除”

ミサイル発射は「テロとは別」

(朝日 5月2日 朝刊)

[概要]米国務省は30日、08年版のテロ年次報告書を発表した。07年版まで「テロ支援国家」の一つとされていた北朝鮮は、昨年10月のブッシュ政権による指定解除に従い、記載からはずされた。

 対テロ担当のシェリッカー調整官代行は「(北朝鮮の)ミサイル発射はとテロを結び付けることはない」としたが、「テロ対策に協力的ではない国」への指定を検討していることを明らかにした。

 テロ事件の発生はパキスタンとアフガンで目立つ一方、イラクでは対前年でほぼ半減した。

[コメント]私はこれを、アメリカに対して直接あるいは間接に関わるテロ行為だけで、アメリカとは無関係なテロはカウントされていないとものとして考えている。北朝鮮工作員による日本人の拉致はテロと認定していない。

 ブッシュ政権が掲げた「テロとの戦い」に日本が参戦することは問題がある。(オバマ政権は「テロ戦争」という言葉を使わない) また、ソマリア沖の海賊をテロ集団と同等とするのも間違いだ。彼らは物盗りや誘拐による身代金目当てで、政治的・軍事的なテロ目的を掲げていないからだ。

 ともあれ、ブッシュ政権が政権末期の間隙に北朝鮮の「テロ指定国解除」を行ったことで、アメリカの「テロ年次報告書」は信頼性を失った。同時にブッシュ政権のネオコン的な表現の「対テロ戦争」という正当性も失われたことになる。

 例えば、オバマ政権が取り組んでいるアフガンの安定化は、アフガン周辺のアルカイダや過激なタリバンなどを攻撃すれば解決できることではないからだ。イランやパキスタンを含む地域で、アルカイダや過激なタリバンが活動できる環境を改善することが最善の策と言えるのだ。

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 ところで昨日、映画「レッドクリフ2」の解説原稿を雑誌に頼まれたので映画館に行った。しかし「レッドクリフ2」はすでに見ているので、映画パンフレットだけ買って、別の映画の「スラムドッグ$ミリオネア」を見てしまった。(毎月1日は半額)

 まったく予想していなかったが、この「スラムドッグ$ミリオネア」は最高によかった。久しぶりに映画の凄さを感じる映画だった。私は単純にインドの映画だと思い、これでインド人の生活やインド文化が分かればいいと思っていた期待を、良い意味で完璧に壊された。映画の内容はこれから見る人のために説明はしないが、まだ見ていない人にはぜひ見ることをお勧めする。

 また、この映画のシナリオに感動した。これほど見事な構成ができる作家がいたとは。これは実話の映画化と聞いたが、フィクションでは絶対にできないものと思う。もしかしたら私が今までに見た映画のうちで最高の映画になるかもしれない。

札幌医大・高田純氏

 (核防護学教授)

中国核実験で

 19万人急死も

「正論」6月号に掲載

(産経 5月1日 朝刊)

[概要]中国が新疆ウイグル自治区で実施した核実験による被害で、同自治区のウイグル人ら19万人が急死したほか、急性の放射線障害など甚大な影響を受けた被害者は129万人に達するとの調査結果がまとめられた。

 調査したのは札幌医科大学の高田純教授(核防護学)で、02年8月以降、中国の核実験に伴う影響を調査した。中国の核実験は1996年までに核爆発で46回。調査は爆発威力や放射線量、気象データや人口密度などをもとに被害を推定した。

 中国の核実験は、核防護策がずさんで、3回のメガトン級の核爆発では高エネルギーのガンマ線やベータ線、アルファ線などを放射する「核の砂」が大量に発生した。核の砂は、上空に舞い上がり、東京都の136倍に相当する風下に降り、その影響で周辺に居住するウイグル人ら19万人が急性死亡したという。甚大な健康被害を伴う放射能急性症は129万人以上に達するという。

 また1964年から1996年までの間に、シルクロードを訪問した日本人27万人の中には核爆発地点にごく近くや「核の砂」の汚染地帯に足を踏み入れた恐れがあるという。高田教授は「人道的にもこれほどひどい例はない。中国政府の情報の隠蔽(いんぺい)も加え国家犯罪にほかならない」と批判している。

 高田教授の「中国共産党が放置するシルクロード核ハザードの恐怖」は「正論」誌6月号に掲載。

[コメント]1996年に国連で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)が発効するまで、1963年の部分的核実験禁止条約では地下核実験は禁止されていなかった。

 また、地下核実験といっても垂直に地下に向かって深く掘っていくものではなく、山などの山岳地帯で横穴を掘って行う地下核実験もあった。その場合、サハラ砂漠(アルジェリア)の核実験(フランス)では、核爆発で山の一部が吹き飛んで、強い放射能を含んだ土砂を風下に降り積もらすものがあった。

 それに地下水脈が放射能で汚染され、放射能を含んだ地下水で住民被害がでるものもあった。大規模な沙漠といえども地下水脈は存在している。(06年10月の北朝鮮による地下核実験は横穴式)。

 中国の核実験で被害を受けたウイグル人を取材するために、現地入りを繰り返している外国人ジャーリストを知っている。彼らの話では、中国政府は核実験成功を国家の偉業として宣伝し、核実験を行った現地に博物館などを設置しているという。そのため核実験による被爆者(被害者)は検査や医療を受けられない状況と聞いた。

 ちなみに放射線障害の医療水準は日本がトップである。アメリカやロシアが高度な情報を保有しているかしれないが、核兵器技術という機密の壁で公開していない。そこでチェリノブイリ原発事故などの核被災者救援には、日本の放射線障害を治療する医療関係者が現地などで活躍している。

 世界には、「ヒバクシャ」という人が多数いる。ビキニの核実験(アメリカ)やムルロア環礁の核実験(フランス)で、死の灰を浴びた島民は数万人の規模と思う。それに米ソが本土で地上実験を繰り返していたときは多くの兵士が被爆している。

 さらに湾岸戦争(91年)やイラク戦争(03年)では劣化ウラン弾のヒバクシャも出ている。国際的な反核運動を高めるためには、国際的なヒバクシャ総会を開いて、国際的は反核運動を盛り上げる必要があると思う。

 私が27歳の時、北アフリカのサハラ砂漠の中央にあるレガヌ村に行ったのは、フランスの核実験で被爆して苦しむヒバクシャ住民がいないか調べることだった。国際的にヒバクシャを集めて核兵器の残忍さに反対する気持ちは今も変わっていない。

北朝鮮「核実験辞さず」

日中「織り込み済み」

米韓と連携

 「ねばり強く対応」

(毎日 4月30日 朝刊)

[概要]北朝鮮が29日、「核実験も辞さない」との報道官声明を発表したことを受け、中国訪問中の麻生首相は温家宝首相との会談で、冷静に北朝鮮に対応することを確認した。両国は北朝鮮の一連の動きを「織り込み済み」(日本外務省幹部)として、核問題を巡る6カ国協議を早期に再開し、北朝鮮を交渉の場に引き戻したい考えだ。

 北朝鮮の報道官声明が麻生訪中時に行われたことは、「わざと日中首脳会談の当日にぶつけ、注目を集めて見返りを引き出す、いつもの『瀬戸際外交』だ」(麻生首相同行筋)と分析した。日本政府は北朝鮮が核実験を行うかどうかを慎重に見極めつつ、米国や韓国とも情報交換を重ねる考え。

 麻生首相は温家宝首相に「北朝鮮に大きな影響力を持っている中国が役割を果たして欲しい」と要請した。これに対し温首相は「関係各国は大局的見地から冷静な態度を維持していくことが重要。6カ国協議は曲折があるが、ねばり強く困難を克服することが重要だ」と応じた。

 中国は表向き、冷静さを装いつつも北朝鮮の「核実験声明」に困惑している模様だ。安保理議長声明採択を巡り日米に歩み寄ったことに対する北朝鮮の不満表明と受け止めているとみられる。

 中国にとって、「北朝鮮の核実験は自国の安全保障に影響するため、ミサイル発射とは異なる次元の問題」(北京外交筋)であり、核実験は容認できない。

 今は中国が6カ国協議再開に向けて外交努力をしている段階で、北朝鮮が核実験に踏み切れば、6カ国協議の枠組み維持が困難になりそうだ。中国は当面、6カ国協議の重要性を強調するしか手のない状況に追いこまれている。

※ーーーーー

 韓国の外交通商省は29日、北朝鮮外務省の声明について「国際社会の決定に対する全面的な挑戦である」と非難。「(声明発表による)将来の状況悪化に伴う国際的な責任は北朝鮮にある」と警告した。

 米国のウッド国務省報道官代行は29日の記者会見で、「(北朝鮮が求めた)国際安保理の謝罪はしない」と述べ、「(国際社会から)孤立するだけ」として、北朝鮮に6カ国協議に戻るように求めた。

 ※以下の記事は、毎日新聞 4月30日 朝刊の総合面に掲載されたもの。

[コメント]北朝鮮の外務省報道官が29日、朝鮮中央通信を通じて声明を発表し、長距離弾道ミサイル発射(同国は人工衛星打ち上げと主張)に対して、13日に採択された国連安保理の議長声明で北朝鮮を非難したことに、即時謝罪することを求めてきた。もし謝罪しなければ再度の核実験や大陸間弾道弾(ICBM)実験を再開すると表明している。

 もはやこれは究極の脅迫である。国際的な援助でやっと生きている国が、刃物を手にして市中で暴れ回り、国際社会から「危ないから気をつけろ」と叱られると、「文句を言った奴は謝れ、さもないともう一度暴れてやる」と脅しているようなものである。まったく通用しない道理である。

 しかしここで最近の北朝鮮の変化を感じないだろうか。4月5日のテポドン発射では事前に発射予定日と時間を通告し、ミサイルの1段目と2段目が落下する予定海域まで通告してきた。弾頭が球根状であることもカバーをとって偵察衛星に公開し、北朝鮮は陰で必死に人工衛星発射キャンペーンを行い、長距離弾道ミサイルの発射実験と誤解しないように気を使っている。

 しかし今回は誰が考えても異常なほどの脅迫を行った。それもまったく考慮に値しない恫喝だけである。単純な言い方をすれば”自分で自分の首を絞めている”だけのことだ。この二つの格差から、やはり集団指導体制(労働党、人民軍、金正日ファミリー)の弱点が露出してきたように感じる。

 3者が互いに功を焦り、かつ勇ましいことを競合し合うという弱点である。出来もしない高い目標(人工衛星打ち上げ)を掲げて失敗する。次ぎは打ち上げ失敗という失態から目を離させるために、強烈な恫喝(強がり)で自らの弱さを隠そうとする弱点である。

 やはり金正日の指導力が格段に落ちている証明のような気がしてならない。北朝鮮の独裁体制が自滅自壊する最終章が起きているのではないか。

 日本はメキシコで発生した新インフルエンザがフェーズ5に格上げされたことで、成田空港などに自衛隊の衛生部隊の派遣を決めた。この機会に自衛隊は衛生部隊だけではなく、全国の一般部隊にも災害派遣(新インフルエンザ対応)の規模を拡大し、総力をあげて防疫体制をとる実動訓練を行うことを提案する。この訓練の2次的なものは”北朝鮮の崩壊を想定した防疫訓練”でもある。

定例会談 毎月開催

アフガン安定化

 3カ国 外相会合

アフガン、パキスタン、イラン

(読売 4月29日 朝刊)

[概要]アフガンの首都カブールで27日、同国とパキスタンとイランの3外相が会談し、アフガンの安定化や対テロ戦略について、3カ国の定期外相会合を毎月、開催することを決めた。会場は3カ国の持ち回りとし、5月はイランで開くという。

 会合では、アフガン国境沿いの警備強化や麻薬対策、アフガン難民問題などを協議する。3カ国間の貿易促進や、イランから2カ国への電力供給網整備なども議題になるという。

 オバマ米大統領はアフガン安定化への新戦略でイランの協力を求めており、定期会合の開催は米国の趣旨に沿う。だが、イランのモッタキ外相は、「地域的問題解決のために全力を尽くす」としながらも「イランが米国に協力するとは決めていない」とクギを刺した。

 パキスタンのクレシ外相は「我々は、共通の問題を抱えている。様々な分野で実務的な計画を策定する」と述べた。

[コメント]先日の国連総会で、イランのアフマディーネジャード大統領がイスラエルやアメリカに対して痛烈な批判を行い、潘基文(バン・ギムン)国連事務総長から異例の抗議を受けた。アフマディーネジャード大統領は以前にも国連総会で「イスラエルは地図から消える国」と発言して、親米的な国から批判されている。

 しかし今回の反米演説は、逆にオバマ大統領のアフガン安定化政策を支持するために、イラン国内向けに反米演説を行ったと考えた。イランで親米派であれば首を切り落とされても不思議でない国で、オバマ大統領のアフガン安定化策支持など口が裂けても言えないからだ。まずはイラン国内の反米保守派に支持を固めておくのがアフマディーネジャード大統領流の統治法と考えた。それが正しい推測と感じたのがこの記事である。

 現実的には、今回のような外相会合が毎月開催が決まったように、アフガン安定化に向けた3カ国の動きが加速しているからだ。このように多国間関係を仲良くさせるためには、対立原因を探して深刻化することではない。クレシ外相の言うように、「地域間の共通問題を解決させるために関係国が尽力する」ことである。この分かりきったことが外交の場では忘れられることが多い。

 アフガン、パキスタン、イランの3カ国が、この地域の麻薬問題やアフガン難民問題を共同して解決すると言えば、アルカイダや過激なタリバンは震え上がるはずだ。これはアメリカ軍やISAFに50万人の兵力を送るよりもアフガン安定化に効果がある。

 その上、イランの電力をアフガンやパキスタンに送電するというのは、イランから石油パイプラインを施設するよりも即効性の効果がでる。将来はイランに核兵器開発に不向きな軽水炉原子炉を建設し、アフガンやパキスタンに電力を供給すれば、南アジアの安定化に果たす役割は計り知れない。

 その分、パキスタンやアフガンでイランの発言力や影響力は強まるが、オバマ政権はそのことを許すとイランに提案している。イランにとっても魅力的な提案である。

 オバマ政権のアフガン安定化策は、パキスタンやイランをアフガン問題に組み込むことが重要な軸のひとつになっている。アメリカはアフガンやパキスタンを通じて、イランとの関係を再構築することを考えている。

 そこで日本の役割だが、イランに軽水炉原発を建設するのはまだ先だと思う。そこでイランからアフガンやパキスタンに送電する電力供給網の整備に協力してはどうか。あるいはイランに火力発電所建設を支援する方法もある。

 電気を自由に使うことができれば、アフガンやパキスタン北西辺境州の人々の生活は画期的に向上する。すなわち安定化に結びつく。未開発の地域では、電気は道路と同等の基本的な生活インフラなのである。電気は生活に必要な情報を提供するだけでなく、テレビを使った教育向上などにも活用できる。この援助は日本が平和大国になれるチャンスになると思う。オバマ政権にとっても日本に期待するアフガン安定化事業なのである。

ファルージャの戦闘再現

イラク市街戦

 ゲーム化

コナミ 米で批判 断念

(朝日 4月27日 朝刊)

[概要]ゲームソフト会社のコナミが、04年11月にイラクのファルージャで一般市民など2000人以上の犠牲を出した米軍の戦闘を疑似体験できるコンピューターゲームの商品化を検討していたことがわかった。今月初め、同社の米現地法人が来年以降の新製品として発表したが、米国で批判が続出、同社は「扱わないことを決めた」という。

 ゲーム名は「ファルージャの6日間」。米国のゲーム会社アトミックス・ゲームズ社がソフトを開発、コナミが商品化の権利取得を検討。4月上旬のゲーム業界専門誌対象のイベントで、来年以降のラインアップとして発表した。

 ゲームではファルージャで実際に起きた戦闘をコンピューターグラフィック(CG)画面で詳細に再現。プレーヤーは市街に展開した海兵隊員になって「敵」を攻撃する。武器を持たない丸腰の人間を撃つかどうか、判断を迫られる場面がある。

 このゲームの開発には実際にファルージャの戦闘に参加した兵士40人が協力。日々の作戦行動を記した日記も提供し、戦闘の正確な時間や部隊の位置など、現実に極めて近い形で再現したという。「軍の機密扱いの衛星画像を含む数千枚に及ぶ写真も使用された」という。

 米国での発表後、欧米を中心に兵士の遺族や退役軍人、市民団体などから批判が相次いだ。

 これを受けてコナミ広報部は、「米国での反応や、電話やメールで寄せられた意見を見て、数日前、取り扱わないことを決めた。戦闘の事実を伝え、現場にいることがどういうことを感じて欲しいという意図だった。まだ販売の検討段階になかった」と説明した。

 04年11月のファルージャの市街戦は、イラク戦争後に起きた最大規模の戦闘で、数週間で多数の市民を含む2千人以上が殺害された。

[コメント]私の本棚に「ファルージャ 栄光なき死闘」(ビッグ・ウエスト著 早川書房)がある。しかしまだこの本を読んだ記憶はない。本には巻頭に航空写真が添付されているが、できればファルージャの市街地図を手に入れて読みたいとおもったからだ。まだ地図が見つからない。

 さらには読書後に現地を訪れ、現地の市街を歩き、当時の住民に戦闘の様子や普通の生活を話してもらい、米海兵隊の市街戦術について知りたいと思っていた。それが出来ないまま、この本を読む機会がなかった。

 しかし仮にファルージャの市街戦闘をゲーム化したコンピューターゲームが売り出されても、私はこのゲームソフトを買う気がしないし、また、プレーヤーの横に立ってゲームを観戦する気は起こらない。この戦争ゲームはあくまで兵士の疑似体験であって、ファルージャ戦闘の本質を知ることにはならないと思うからだ。

 アメリカには公刊戦史がある。すでにファルージャの戦闘の詳細は公刊戦史に記録されているはずである。イラクから駐留米軍の撤退が本格化すれば、ファルージャの市街戦闘を検証するドキュメンタリーの製作が始まる。ファルージャの戦闘に関わった数百人の声が寄せられたドキュメントになる。

海軍創設60年

中国初の

 国際観艦式

米露など艦艇参加

(毎日 4月24日 朝刊)

[概要]中国海軍の創設60年を記念する中国初の国際観艦式が23日、北海艦隊司令部のある山東省青島沖で実施された。米露など14カ国から艦艇21隻が参加。胡錦涛主席(中央軍事委主席)が観閲した。

 中国中央テレビによると、胡主席は駆逐艦「石家荘」に設置された台に上り、海上に整列停泊した外国軍艦の間を航行しながら観閲した。中国海軍も最新鋭の大型駆逐艦や機密性の高い原子力潜水艦などを国外に対して初めて披露した。

 胡主席は先だって同日午前、日本を含む29カ国代表と会談し、軍事路線について「中国は断固として平和発展の道を歩む。中国は永遠に覇権をとなえず、軍拡競争にも参加せず、いかなる国の軍事的脅威にもならない」と強調した。

 初の国際観艦式を開催したのは、中国は近く初の空母建造に乗り出すとみられており、国際協調をアピールして「脅威論」をぬぐい去る狙いがありそうだ。

[コメント]今回の観艦式では、中国海軍の戦略原子力潜水艦「夏」型と、攻撃型原潜「漢」型が参加していた。この2隻の原潜が動く映像は初めて見た。特に「夏」型は中国のSLBM搭載艦で、中国が最も秘密にしておきたい潜水艦である。私が中国の「夏」型を初めて見た感じは、「まだ動くんだ」という気持ちである。

 また今朝見たテレビの画面(NHK)では、中国海軍の「イージス艦」とされる「蘭州号」の参加や、国産戦闘機などが低空でフライパスを行っているのを見た。

 日本の海自艦艇は招待されなかった。しかし海幕副長らは招待されていた。中国が海自艦艇を招待しなかった理由(本音)を聞いてみたいが、何度か中国の潜水艦が、日本の近海で海自の艦艇に追跡されているので、その不快感を表明した様な気がする。要するに、海自は中国海軍に「大恥じ」をかかせた訳である。

 ところで国際観艦式は「国防白書」の刊行と同じように、広く国際社会に自国の部隊や兵器を公開して、信頼醸成によって不信感を取り除く効果がある。というわけで、いつまでも中国軍は秘密主義ではいられないという意識の変化でもある。同時に、外国に軍事の実態を見せても恥ずかしくないほどの自信をつけてきたようだ。

 この国際観艦式に参加した14カ国の艦艇には、中国の友好国の北朝鮮軍・艦艇が含まれていないようだ。胡主席が午前中に会談した29カ国の海軍関係者の中に北朝鮮関係者がいたのか気にかかる。先日の人工衛星打ち上げ失敗を、国内で成功と報じる国情が恥ずかしくて、招待されても来られなかったのかもしれない。

 それにしても、中国の初の国際観艦式は成功したと思う。中国脅威論を沈静化させる効果はあったと思うからである。

仏海軍フリゲート艦

海賊11人を

 ケニアに引き渡し

ケニアとEUの合意に基づき

(産経 4月23日 朝刊)

 カイロ 共同電

[概要]フランス海軍のフリゲート艦が22日、ケニアのインド洋沿岸モンバサに寄港、ソマリア近海でリベリア船籍の商船を襲撃したとして拘束した海賊容疑者11人をケニア当局に引き渡した。

 11人はケニアと欧州連合(EU)の合意に基づき、ケニアの法廷で裁かれる。フリゲート艦甲板上には、海賊から押収したとみられる小型モーターボートが2隻も積載されていた。

[コメント]同紙の紙面には、ソマリア沖で米貨物船「マースク・アラバマ」を乗っ取り、米海軍に拘束されたソマリア人海賊の一人が21日、ニューヨークに移送され、海賊行為や船舶乗っ取りなど5つの罪で訴追されたとある。共犯の3人が米軍特殊部隊に射殺された事件の一人である。

 ロイター通信によれば、米国で海賊行為が裁かれるのは米西戦争(1898年)以来で、極めて珍しい裁判になるという。同海域では日本を含む国際社会の艦船が警備にあたっているが、海賊を逮捕した後の司法手続きは未整備な面が多く、各国で対応が分かれている。(以上、産経新聞 4月23日)

 本来ならば、ソマリアの隣国であるケニアなどに海賊だけを裁く国際特別法廷を設置し、アフリカ連合(AU)などから法律家を集め、国際連合の資金と職員派遣を受ける国際司法機関を作ることが望ましい。

 しかし治安が不安定なケニアでそれを行えば、ソマリアなどの海賊部族から報復やテロを受ける呼び水になってしまう。18日にオランダ海軍でさえもソマリア沖でタンカーを襲撃しようとした海賊7人を捕らえながら、裁判にかける法的権限が明確でないとして短時間で釈放している。

 この問題で日本政府は拘束した海賊を扱うのか。どこの国の誰にどのような法的権限で引き渡すのか。あるいはアメリカのように日本に移送するつもりなのか。

 そのような根本的な問題を議論することなく、本日、衆院本会議で海賊法案は与党と賛成多数で可決する方針だという。民主党は参院審議を引き延ばさず、海賊法案は今国会で成立する見通しになった。

 これでまた一つ、日本の基本的な安全保障政策が”なし崩された”ことになる。世界のどこにでも海自の艦船を海賊(無国籍の武装集団)対策で派遣することが出来るようになった。

 毎日新聞(本日紙面)の川柳(読者投稿)で、「山賊が出たら行くのか自衛隊」という句があった。むろん海賊と山賊を同一視することはないと思うが、そんな一般常識がまったく通じない怖さを感じる日本の安全保障政策である。

 そこで提案するが、日本が海自のP3C哨戒機を現地に派遣しても、ソマリア沖で上空から海賊と無害な漁船を見分けることは難しい。そこで戦闘部隊などが使う敵味方識別装置(IFF)を漁船に配布したら効果があると思う。

 漁船に搭載しておくだけで、上空からP3Cの無線での問いかけに自動で答える装置である。IFFの応答には船名・国籍・所属の漁業港などが表示できるようにする。もし漁船が搭載すれば”漁業振興支援金”など支給できるように見返りも準備しておく。この場合のIFFは車のナンバープレートのようなものである。

 まず海賊と漁船を区別することから始めるのは、市民と兵士を区別するゲリラやテロと戦う場合の基本原則である。単純に「もぐら退治」のように「海賊たたき」を行っても意味がない。

全天候型レーダー衛星

イスラエル製衛星

インド打ち上げ成功

過激派を24時間監視

(読売 4月22日 朝刊)

[概要]インド宇宙機関(ISRO)は20日、南部アンドラプラデシュ州で、イスラエルから購入した偵察衛星「RISAT2」の「打ち上げに成功した。

 夜間でも地表の撮影が可能な全天候型レーダー衛星で、インドでは初めて。衛星の重量は300キログラム。

 カシミール地方やパキスタンにあるイスラム過激派のテロ拠点を、この衛星で24時間監視できる体制に期待が集まっている。ISROのナイール長官は記者団に、「国家に重要な貢献をする衛星になる」と述べた。

[コメント]インドとはまったく不思議な国である。中国は世界の製造工場として台頭してきたが、インドは世界の頭脳として台頭してきた。大人口国家で生まれるごくごく一部の天才を集め、欧米や日本などのIT産業を床下の頭脳面で支えている。

 それだけの国力があるなら、レーダー型偵察衛星ぐらいは自力で開発した方が”安全保障上”良いと思うが、必要と思えば平気でイスラエルから購入する国である。

 衛星開発に必要な能力や技術もなく、また必要性が全くないのに、自前で早期警戒衛星を打ち上げるという日本と大きな違いである。ただし日本の場合は、戦略なき国家で、方向性を失った安全保障政策で、無駄であっても国防予算を得ようとする官僚と、利益さえ出ればいい軍需産業、それに防衛利権を求める政治家の事情があるようだ。

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 ところで、話しはまったく違うが、今月号の航空専門誌「Jウイング」誌(6月号)に、ボーイング社が「F−15戦闘機」の最進化したサイレントイーグル(F−15SE)の公開記事が掲載されている。

 これは日本のFXを意識した最新型である。第5世代戦闘機のF−35を、日本がFXとして導入できるまで、現有のF−15Jの改造型ではなく、F−15SEの購入に向けたボーイング社からの新しい提案である。

 対地攻撃能力を強化したF−15E戦闘機や、韓国が導入したF−15Kと大きく違う点は、爆弾やミサイルを胴体内部に内蔵できるようにして、敵からのレーダー反射率を大幅に下げたステルス性能を向上させた点である。

 航空機に興味のある方はこの記事を読むことをお勧めする。

上海の工場社長発言

中国空母建造

「準備できた」

最大級の専用ドッグ建設

(朝日 4月21日 朝刊)

[概要]中国の上海東方テレビは20日、中国軍が初の国産空母の建造を予定している上海・長興島の造船工場社長の「中国海軍から任せれた空母建造のため、必要な能力を工場に備えており、すでに準備を終えた」との発言を伝えた。

 この会社が、空母建造について明らかにするのは初めて。

 発言したのは、海軍との結びつきが強い「江南造船グループ」の南大慶社長。グループ企業の「上海江南長興造船」が、長興島の工場に長さ580メートル、幅120メートルの最大級の専用ドッグを建設した。

 南社長は、造船のハード面に加えて高度な軍事技術も有していることを強調し、「中国自らが設計し、知的財産権を所有する第1号の空母を建造したい」と言明した。

 一方、中国海軍の創立60周年記念式典が20日から、山島省青島市で始まった。米国や日本など29カ国の海軍幹部が出席して、艦艇交流のほか、海賊対策の国際協力などについて協議する。

[コメント]専用ドッグの長さが580メートルなら、建造される空母は発艦用タパルトを装備し、着艦専用の甲板と、2本の離発着甲板を持った本格空母を建造するということか。基準排水量も6万トンを越える可能性もでてくる。

 そこで中国の空母に関心があつまるのは、2本のフライトデッキを持つか、発艦カタパルトを装備するか、基準排水量をどの程度に設定しているか、などである。

 形だけは空母を建造しても、中国沿岸を回遊するだけで、空母機動艦隊を組織できず、地上基地の空軍機に援護される空母では「張り子との虎」である。

 また潜水艦や駆逐艦、さらに飛行中の航空機から”対艦巡航ミサイル”の飽和攻撃(大量の同時攻撃)を受けた場合の防御をどのように行うのか。

 密かに潜航して空母に接近し、潜水艦から放つ魚雷をどのように防御できるか。中国の空母に関して解明したい疑問が数々ある。

 中国海軍には空母を正しく運用する能力があるのか。高い兵器を欲しがるだけの海軍なのかの本質が問われることになる。

   

 


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。