ナイジェリアPKO部隊から自衛隊のPKO派遣を考えた
まだ時効がきていないので詳しい話はできないが、私は今イスラエル軍が撤退をしている南 部レバノン地区を密かに取材したことがある。南部レバノンはイスラエル軍とキリスト教の民兵組織・南レバノン軍(SLA)が支配していた。イスラエルはSLAを支援して武装させ、パレスチナ奪還を目指すヒズボラなどイスラム・ゲリラと対峙させていた。ちょうどタイ政府がカンボジアのポル・ポト派を支援して、ベトナムの軍事力がタイに波及しないように支援していたのと同じ構図である。SLAは民兵組織といっても、旧式だが戦車も持っていたし、アメリカのキリスト教団(?)が資金提供をしたというラジオ局(自由レバノン放送)も持っていた。写真は私たちを迎えに出てきたSLAの幹部。南レバノンのイスラエル軍の占領地区。 形ばかりのイスラエルの国境(鉄の柵)を越えて南部レバノンにはいると、国連PKO部隊のナイジェリア軍パトロール隊と出会った。まずいことになったと思ったら、ガイドのイスラエル人は平気である。トラックに乗ったナイジェリア兵士は、できるだけ我々と目線を合わそうとしなかった。「彼らは国連から支給されるPKO手当てが目的だ。平和を維持するのが目的ではない」、ガイドはそう私に説明した。ナイジェリア兵士は我々の車を止め、私のパスポートを見ながらいくつかの質問をして、正式の入国ビザを持っていないことを理由に、ただちに立ち去るように命令できるはずである。しかしレバノン南部にはイスラエル軍とSLA民兵(南レバノン軍)が展開しているので、イスラエルナンバーの車を停車させることができない。母国が政治力や経済力の弱い国のPKO部隊は惨めである。写真は警戒のため峠で見張るイスラエル軍の偵察車。問題は夜間で、ゲリラが潜入して攻撃が絶えない。南部レバノンのイスラエル軍占領地区 いまアフリカの各地で、PKO部隊の派遣を要請するような事件が多発している。しかしアメリカはアフリカのPKO派遣に消極的である。アメリカの国益と関係ないと無視する態度をとっている。せいぜいPKO兵士の輸送を受け持つぐらいである。旧宗主国のイギリスやフランスも、自国民の保護・救出のためと、1個大隊(1000人未満)程度を送る程度である。そこで派遣されるのが、PKO手当て目的の貧しいアフリカの国の兵士達である。訓練は不十分で、装備も貧弱で現地の地図さえ持っていないという。だからPKO派遣の現地では、ゲリラがPKO部隊500人ごと誘拐するシエラレオネのような事件が起こる。おそらくアジアでも、近い将来にそんなことが起こるだろう。日本はアメリカのように輸送機と輸送艦を差し出し、小切手を渡して地域の問題には関与しない政策をとるのだろか。そんな身勝手はやめた方がいい。左上と右下の写真はナイジェリア軍のPKO部隊。南部レバノンで停戦監視の任務が与えられた。しかし無力感に満ちていた。![]() 日本は憲法9条を持つ国として、誇りを持ってPKO部隊をアジアに堂々と派遣する。イスラエル軍が南部レバノンから撤退する光景をテレビで見て、あのナイジェリアの兵士達は次はアフリカの紛争地に回されるのかと気の毒になった。もし自衛隊がPKO部隊で行くなら、ぶざまな思いは絶対にさせたくない。それなのに日本の政治家や防衛官僚たちは、やれ有事法制だ、ガイドラインの整備だとか、アメリカ向きの話しか聞こえてこない。南部レバノン地区がイスラム教徒の支配下になれば、次はゴラン高原でヒズボラなどの攻撃が強まってくる。そのゴラン高原には日本の自衛隊PKO部隊がいる。ナイジェリアの次は自衛隊が試される番か。おそらく日本国民の多くは、ゴランに自衛隊がいることも忘れているだろう。(5月24日) |