月刊スコラ誌
2001年 4月号


今明かされる『空中機動作戦』のすべて

陸自・空中機動旅団 シュミレーション

 
不審船から武装集団日本上陸! 

500円(税込み)

構成・文 神浦 元彰(すなわち私)

空中機動部隊ー戦闘想定ファイルー

{想定] 新潟県の海岸で、挫傷した某国の特殊工作船(不審船)らしきものが発見された。船内からは特殊無線機、大量の銃弾、遺棄された衣類などが見つかった。地元の漁業関係者から警察に、近くの海岸に多数が上陸したと思われる足跡があるとの報告があった。しばらくして警察に、近くの山中で山菜を採っていた農夫が、陸上自衛隊の戦闘迷彩服を着て、銃や重そうな荷物を背負い、20人ぐらいの者が歩いて、山中に向かっているのを目撃したと話した。しかし警察が自衛隊に問い合わせをしたところ、その付近の山中で自衛隊は訓練を行なっていないとの回答があった。そこで内閣危機センターは、某国の特殊武装工作員が不審船の挫傷で、わが国に上陸した可能性が高いと判断し、内閣総理大臣命で防衛庁長官に治安出動を命じ、警察庁や海上保安庁に対しても、自衛隊の治安作戦を支援する旨を下令した。直ちに防衛庁長官は各方面総監部に関連部隊の出動を命じた。それを受けて、第一空挺団、第一ヘリ団、空中機動旅団、離島派遣隊、陸自レインジャー部隊(松本)、東方航空隊攻撃ヘリ部隊に出動命令が発令された。

{作戦} 真っ先に武装工作員の潜入山域に到着したのは、攻撃ヘリ部隊である。赤外線監視カメラを装備したOH−6D偵察・観測ヘリが、上空から赤外線カメラを操作して、武装工作員の体温反応を探る。OH−6Dの背後には、援護のAH−1攻撃ヘリが、左右に機体を揺らしながら地上をうかがう。地上からの銃撃を警戒しているのだ。さらに新型のOH−1も上空に飛来した。OH−1には赤外線カメラのほかに、可視TVカメラやレーザー距離装置も装備している。地上の偵察能力が格段に進歩した。さらに樹木が少ない山には、頂に戦場監視レーダを空輸して設置された。

 その間にも、CH−47輸送ヘリは戦闘器材を付近の空輸し、厚い包囲網を築き始めた。まずレコンと呼ばれる偵察部隊が空輸される。機関銃を装備した高機動車と、偵察バイクが着地したヘリの後部ドアから飛び出し、敵兵が潜むと思われる山中に姿を隠した。彼ら敵が潜んでいそうな場所に、銃弾を撃ち込んであぶりだす戦術をとる。別の場所には現地指揮所も開設された。ここに空輸されてきたコンテナは、状況をスクリーンに映し出す画像装置がある。また各隊員と通話可能な無線機も設置された。各部隊の配備状況から、敵情報まですべて掌握できる最前線の中枢基地だ。

 レコンの偵察によれば、敵兵が潜む地域は地図Dゾーンである可能性が高くなった。半径が3`ほどの凹地である。その他の地域に敵兵が潜んでいる痕跡はない。さらに包囲網はこの凹地を囲むように狭められた。射程が8`もある120_迫撃砲も空輸され、この凹地を射程に置く2ヵ所に設置された。しかし敵兵の姿はまだ探知できない。おそらく穴を掘って身を隠し、危機が去るのを待っているのだろう。偵察ヘリの赤外線カメラは探知できなくても、武装工作員の動きを封じた。

 高度な訓練を受けた特殊工作員でも、彼らの持つ武器は携帯可能な自動小銃や対戦車ロケットぐらいだ。正規軍に正面から立ち向かうことはできない。

 この凹地を囲んで、全身を枯草に似た偽装網で覆い、長射程の狙撃銃を構えた狙撃手が配置された。そうした包囲網が完成した段階で、地上の掃討作戦を行なう歩兵部隊が空輸されてくる。敵の特殊工作員も同じ戦闘服を着ている可能性が高いので、全員が無線機を携帯し、互いに確認を行いながら掃討作戦をおこなう。同時にコンテナの指揮所には、スクリーンに狙撃手が潜んだ場所や、掃討作戦部隊の隊員一人一人の位置が表示されている、指揮官は隊員の会話もモニターする。潜伏予想地域で、日本語と某国の言語で降伏を勧告する警告が行なわれた。それでも応答がないと、現地指揮官は迫撃砲部隊に砲撃を命じた。砲弾は、地上近くの上空で炸裂する。地面の穴に身を隠した特殊工作員も、頭上から叩きつける砲弾の炸裂に耐えることはできない。砲撃の合間に、耐え切れず穴から飛び出した特殊工作員を、上空で偵察ヘリが視認した。その通報で、直ちに近くのAH−1攻撃ヘリがロケット弾を撃ち込んだ。地上掃討部隊は攻撃しながら、ジリジリと包囲網を狭めていく。

 最後に掃討部隊は、散乱した敵の死体を確認し、生き残った者を捕獲して作戦は終了した。(上2枚の写真は、軍事写真の第一人者 渡部 龍太カメラマンが撮影しました。下の1枚は私の撮影です)