陸上自衛隊が極秘作成した『対カルト組織防衛マニュアル』

サンデー毎日 1月30日号 300円


 またしても自衛隊と宗教団体との戦いである。前回がオウムでこんどの正面は、顕正会なる新興宗教団体らしい。顕正会という新興宗教団体は、以前から高校生などに強引な勧誘を行なって、社会問題化を起している宗教団体である。その問題の顕正会が、最近は自衛隊や警察に深く浸透を行なっているというのだ。すでに防大研究科の3海佐や陸自の1尉がリーダー格で調査隊にマークされているという。信者の総員は現役50人(12月19日号の同誌の報道では150人)で、今後300人の自衛官獲得を目指して活動中だという。

 顕正会では「真の国防は『国教化』にあり、憲法を改正して国教にしなければ、国が滅びる」と勧誘しているそうだ。こういう説法に自衛隊員は極めて弱い。特に世間を知らない真面目な防大出の幹部がよく引っかかるレトリックである。実は防大の精神教育こそが、このレトリックで学生に愛国心教育を行なっているからだ。「真の国防は憲法を改正して自衛隊を国軍にし、防衛庁を国防省に昇格させなければ日本が滅びる。それを君ら防大生が中核となって将来の日本を守れ」とね。そんな程度の愛国心教育じゃ、とても顕正会の技に勝てませんね。「宗教の自由を脅かすのか」「国が滅んでからでは遅い」程度の威嚇で、自衛隊の博愛・自由主義は吹飛んでしまう。
 
 同誌に掲載してある「東部方面総監部作成の内部文章より抜粋」を読んでガッカリした。顕正会の巧妙で強引な勧誘に、自衛隊の法務部あたりが対応しているようではとても勝てない。以前に私は自分の小説の中で、自衛隊の最大の弱点は博愛主義にあると書いた。一般社会なら人権や自由は大切だ。また事故を防ぐ安全管理も重要である。しかし自分の体を食い始めた猛獣にまで、動物愛護なんかは糞食らえの精神で対応できないのか。軍隊はいざと言うときは、敵を殺し、建物や施設を破壊する集団である。それが許された集団であり、そのために強力な武器を持ち、激しい訓練をすることが許された者たちなのだ。私が自衛隊の指揮官なら、対カルトの組織防衛マニュアルを法務部あたりに作成を命じないね。自衛隊には自衛隊しか持っていない組織防衛の特別部隊がいるはずである。その特別部隊に総力で対応にあたるように命令する。しかしうろうろと歩き回って、こそこそと調べ上げることが対応のすべてではない。そこまで出来ない自衛隊なら、逆に危険で危険でしかたがない。自衛隊がカルト集団の草刈り場になるのは間違いない。カルト集団にしても、ねずみ講にしても、集団で信者〔会員)が獲得できる自衛隊は最高の草刈り場である。