重 要 論 文 翻 訳 !

テロリズムに対する世界規模の戦争を制限せよ

ジェフリー・レコード教授著

利用上の注意

 この文書に収められている訳文は、Jeffrey Record教授の著作である「Bounding The Global War On Terrorism」の全訳である。ただし、文末の参考文献のリストは原文のままである。

原文は一般公開されており、配布も自由とされている。その意向を尊重することと、この論文が自衛隊のイラク派遣にも深い関係があるアメリカのイラク侵攻を テーマとしていることから、日本人もこの論文を読むことに価値があると考え、同じ意向を採用した。従って、利用者が転載や引用をする際に、翻訳者に承諾を求める必要はない。

 この文書を利用した結果生じたあらゆるトラブルに関して、翻訳者は一切の責任を負わない。すべて利用者の責任の下に活用するものとする。

 著作権は翻訳者に存する。従って、一部を改変したり、翻訳者以外の者が翻訳したと偽って公開するような行為、及び商業目的での使用は固く禁止する。引用する場合は、引用の一般的規則を守ること。翻訳文の不備をご指摘頂くことは、いうまでもなく歓迎である。

 ファ イルは、Word形式とWeb形式の二種類がある。なお、Word形式では傍点で表示されている部分は、Web形式では下線として表示される。どちらの形 式も、プリントしてお読みになることを推奨する。後半は、参考文献の一覧なので、本文のみをプリントすることを推奨する。(神浦・・・・今回はテキストファイルのみで、近日中に他のファイルも掲載します)

 この論文が公表された動機と同じく、翻訳者もまた、これが自衛隊のイラク派遣に大きな議論を呼び起こすことを願って止まない。

 翻訳者 田中昭成

e-mail:akishige@ad.wakwak.com
                                                     2004年2月14日

 

テロリズムに対する世界規模の戦争を制限せよ

 ジェフリー・レコード著

2003年12月


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 本稿で解説する見解は著者のものであり、当然ながら、陸軍省、国防総省、合衆国政府の公式の政策や見解を反映しているものではない。本稿は一般に向けて公開されており、配布は自由である。

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 ぜひとも、本稿に対するご意見を、戦略研究所所長まで寄せて頂きたい(Director, Strategic Studies Institute, U.S. Army War College, 122 Forbes Ave, Carlisle, PA 17013-5244)。本稿のコピーは、出版局から入手できる。申込窓口は、電話 (717) 245-4133、ファクシミリ (717) 245-3820、電子メール mailto:Rita.Rummel@carlisle.army.mil

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 戦略研究所(SSI)のすべての研究論文は、SSIのホームページで電子配布の形式で入手できる。SSIのホームページのアドレスは、次の通り。http://www.carlisle.army.mil/ssi/

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  戦略研究所は、国家安全保障の関係者に、当研究員の最新の研究報告、刊行物の出版案内、当研究所のカンファレンスの予定をお知らせする、月刊の電子メー ル・ニュースレターを発行している。ニュースレターは毎号、我々の研究員の一人による戦略上の論評も提供している。もし、あなたがこのニュースレターを受 け取りたいと思うなら、電子メール mailto:outreach@carlisle.army.mil、電話 (717)245-3133 へ申し込まれたい。


序 文

  合衆国がテロリズムに対する世界規模の戦争を始めてから、今年は3年目にあたる。この戦争は、2001年9月11日の憎むべき攻撃を企てた組織に対する戦いとして始まったが、直ちに、 イラクへの侵略と占領統治までを網羅する、より大きく野心的な計画へと進行した。テロリズムとの戦いの一端として、合衆国は暴力の手段としてのテロリズムに満ちた世界を一掃するだけでなく、独裁体制後と、さらに経済が低迷する中東のために、イラクを成功した民主主義の灯台に作り替える約束をした。

  ジェフリー・レコード教授は、 現在までに定義がなされ、実行されたテロリズムとの戦いの三つの特徴、 (1)米政権がなしたテロリストの脅威の評価基準 (2)合衆国の戦争の目的の対象と実現の可能性 (3)この戦争の政治的、財務的、軍事的な持続力 を検討した。彼は、テロリズムとの戦争は、アルカイダに対する軍事作戦とは反対に、戦略的な明確さを欠いており、非現実的な目標を引き受けており、長期戦になるために継続できないかもしれないと結論した。彼はテロリズムとの戦争の対象を、具体的な合衆国の安全保障の利益とアメリカの軍事力の限界を踏まえて、 規模を縮小するよう提唱している。

 戦略研究所は、この研究論文がテロリズムとの戦争の目標や方針を超越して、国家安全保障の議論に寄与するよう願うものである。

 

戦略研究所所長

ダグラス・C・ラブレース.JR

著者の略歴

ジェフリー・レコード氏は、戦略研究所に2003年8月に客員研究教授として就任した。同氏は、合衆国空軍のアラバマ州、モンゴメリの航空戦大学の戦略、国際安全保障学科の教授である。彼は、「Making War, Thinking History: Munich, Vietnam, and Presidential Uses of Force from Korea to Kosovo」「Revising US Military Strategy: Tailoring Means to Ends」「Beyond Military Reform」「Hollow Victory, A Contrary View of the Gulf War」「War The Wrong War, Why We Lost in Vietnam」「Failed States and Casualty Phobia, Implications for U.S. Force Structure and Technology Choices」を含む6冊の著書と多数の研究論文の著者である。レコード教授はベトナム戦争でメコン・デルタの地方顧問補佐、ブルッキングズ研究所の防 衛分析部におけるロックフェラー奨学生、外交政策分析研究所、ハドソン研究所、BDM・インターナショナル・コーポレーションの上級研究員だった。彼はまた、連邦議会での豊富な経験を持ち、国家安全保障問題に関してサム・ナン、ロイド・ベンツェン両上院議員の立法面の補佐、上院軍事委員会の専門職員を務め た。レコード教授は、ジョーンズ・ホプキンス大学高等国際関係論大学院で博士号を取得した。



要旨


 2001年9月11日のアルカ イダによる合衆国への攻撃を受けて、合衆国政府はテロリズムに対する世界規模の戦争(GWOT)を宣言した。しかしながら、この戦争の性質と要素は、スト レスが溜まるほどに不確定なままである。米政権は、ならず者国家、大量破壊兵器(WMD)拡散国家、世界規模あるいは地域的、一国家に限定のテロ組織、そ してテロリズムそれ自体を含む、非常に多数の敵がいるとみなしてきた。それは、かれらを一つの巨大な脅威に混淆してしまったために、戦略的な明瞭性を外交 方針の中で強調している善悪の判断の明瞭性へと貶め、合衆国に深刻な脅威をもたらさない国家や非国家の組織との終わりがなく余計な戦いの流れの中に、合衆 国を置いた可能性がある。

 

 アルカイダとサダム・フセイン 政権下のイラクを、単一の、性質の同じテロリストの脅威として混淆したのは、特に懸念されてきたことである。これは、二者の間の特徴の決定的な違い、脅威 の度合い、合衆国の抑止力と軍事行動の影響されやすさを無視した、第一の戦略的な誤りであった。その結果は、イスラムのテロリズムに対する中東の新しい戦 線を確立し、十分すぎるほど制圧が終わっているイラクに対する不必要な予防戦争となり、警戒を散逸させ、制圧が不可能なアルカイダのさらなる攻撃に対し て、アメリカ本土を守る資源を減らしてしまった。イラクに対する戦争は、GWOTに不可欠ではなく、むしろ回り道なのである。

 

 加えて、アルカイダとその他の 超国家的テロ組織の殲滅、イラクを豊かで、安定した民主主義国にすること、それ以外の専制的な中東諸国を民主化すること、非正規戦争の手段としてのテロリ ズムの根絶、そして(もし可能なら)現実か潜在的かを問わずに、世界規模の敵へWMDを拡散する国家をなくすことを含む、GWOTに掲げられた目標のほと んどは非現実的で、合衆国に絶対無比の安全保障を求める見込みのない探求を強いる。だから、GWOTの目標もまた、政治的、財務的、軍事的に維持すること はできない。

 

 従って、GWOTは具体的な合 衆国の安全保障の利益とアメリカの国力の限界に合致するよう組み直さなければならない。具体的な指標として、次の事柄が必要である。脅威を分解すること。 予防戦争をWMDの獲得を模索するならず者国家への第一の対処手段から、信頼できる抑止力へと代替すること。アルカイダとその連合組織、そして本土防衛を 最優先目標としてGWOTの焦点を合わせ直すこと。(選択肢が我々にあるとして)イラクにおける民主主義的な安定性と、合衆国よりも国際社会のイラクの未 来に対する責任を果たす準備をすること。そして最後に、地上部隊の水準を中心に、合衆国の軍事力の水準を再評価すること。

 

 現段階までに定義付けされ、実施されたGWOTは、戦略的に焦点が定まっておらず、行いうることを遥かに超えて期待されており、十分ではない合衆国軍とその他の手段を、多すぎる目標を 与えることで消散させる危機に陥らせている。これは識別と集中という、戦略の基本的な原理に反している。


テロリズムに対する世界規模の戦争を制限せよ

 

序論

 

 偉大なるプロシアの戦争哲学者、カール・フォン・クラウゼヴィッツは、「政治家と指揮官が行わなければならない第一の、究極的で、最も重大な決断は、彼らが始める戦争の種類を明確にすることであり、その本質とは異なるものと見誤ったり、変化させることではない。これはそもそもの戦略上の論点であり、すべてを包含するものである」1 といった。


 

 2001年 9月11日の、アルカイダのテロリストによるニューヨークの世界貿易センタービルと国防総省への攻撃に応えて、大統領は「世界規模でのテロリズムに対する戦い」を宣言した。それ以降繰り返し、大統領と米政権高官は「テロリズムに対する世界規模の戦争」、「世界規模のテロリズムに対する戦争」、「テロリズム に対する戦争」、「テロに対する戦争」、「国際テロリズムに対する戦い」などの複数の表現を用いた。「テロリズムとの世界規模の戦争」の頭文字を取った 「GWOT」という言葉は、直ちに最も頻繁に使われる言葉となった。

 

 GWOTの 本質と要素は、しかしながら、ストレスが溜まるほどに不明瞭のままである。米政権は、ならず者国家、大量破壊兵器(WMD)拡散国家、テロ組織、テロリズ ムそれ自体と、非常に多くの敵を想定している。それはまた、イラクとの戦争と、その他の潜在的な予防的軍事行動に関して、国内政治における支持を集めたり、維持する目的なのは少なくとも確かだが、彼ら全体をひとつの脅威に混淆してしまった。このために、米政権は恐らく、戦略的な明確さを外交政策の中で模 索している道義的な明確さの下に置き、合衆国を終わりがなく、合衆国に対して直接的にも、切迫的にも脅威を向けていない国家や非国家の組織との無用の闘争 の道に置いた可能性がある。

 

 健全な戦略は、脅威を識別し、目的と手段を合理的に調和させることを不可欠とする。GWOTは、どちらの問題も満たしていない。実のところ、GWOTを戦争とみなすのは間違っているであろうし、GWOTにおける軍隊の任務は今なお進行中であり、軍隊の安全度は あらゆる問題をはらんでいる。さらに、GWOTが実在のテロ組織に対抗させることで、テロリズムという現象に方向付けられているという点で、それ自体が戦 略的な誤りである。テロリズムは政治的な絶望と軍事的な貧窮の拠り所であり、だからこそ、姿は消しそうにもない。GWOTの本質と要素を理解する試みは、 間違いなく、一般に認識されているテロリズムの定義が不十分だったり、善と悪、つまり我々奴らの間の二元論的な闘争というGWOTの描写により、簡単ではない

 

 この論文で は、GWOTを、(1)脅威の評価基準、(2)目標の対象と実現の可能性、(3)政治的、財務的、軍事的な持続力の三つの観点から検討する。認定された脅 威とは何だろうか。それらは互いにどう関係しているのだろうか。そしてそれらには明確に優先順序をつけられるのだろうか? 政治的な目標と軍事上の手段は 合理的に調和しているだろうか、合衆国は自分の能力以上のことをやろうとしてはいないだろうか? GWOTは自国内と海外で政治的に継続できるだろうか、 それがかなわないなら、GWOTの野心的な目標は政治的な忍耐と合衆国の軍事力の限界に合わせて調整されるべきだろうか?

 

戦争とテロリズム

 

 これらの問題に入る前に、我々はGWOTの理解を妨げ続けている二つの問題、その不完全な戦争としての性格付けと、認知されているテロリズムの定義の不完全さに取り組まなければならない。

 

GWOTは戦争といえるか?

 

 何十年間以上もの間、アメリカ人の政治に関する議論では、戦争は国内外のすべての種類のを相手にする場合のメタファーとして受け入れられてきた。米政権はそれ故、貧困や教育の欠如、犯罪、薬物…そして現在はテロリズムに対する戦争を宣言してきた。政治運動の本部でさえ、作戦室を持ち、戦争は連邦議会において辛口の議員たちが論争をするために、ますます用いられる用語となっている。戦争は、恐らくアメリカで最も使われすぎているメタファーである。

 

 だが、伝統的には、戦争は国家同士や、国家と反政府勢力がその国家の最終的な支配権をめぐる軍事作戦によって生じるものとされている。どちらの場合においても、戦争の主要媒体は、正規軍(政府側)と非正規軍(非政府側)の野戦用に編成された同士で戦われるものである。ところが、テロリストの組織は、そのような野戦用 の部隊を持たず、アルカイダとその協力者たちの場合は、領土を奪う目的を持たない、国家を超越した組織である。このことと、彼らの秘密が漏れない、細胞化 した、伝播性があり、分散した戦闘序列を考慮すると、彼らが従来型の軍事的な破壊によって屈服することはないのである。

 

 実際には、 彼らを敗北させる鍵は、情報と政治上の活動の領域の中にあり、軍事上の活動は重要ではあるが、補助的な役割しかない。アフガニスタンにあったアルカイダの訓練、指揮基地を破壊したこと以上に、優れた情報活動や幸運は、その他の合衆国のアルカイダに対するすべての実質的な成功の基礎を形成してきた。情報に基 づいた逮捕と暗殺は、師団を撃破したり、船を撃沈することではないが、対テロリズムの成功の最先端である。GWOTと共通点があるとすれば、それは違法な麻薬に対する国際的な戦争である。

 

 ところが、これらテロリズムや麻薬に対する戦争は、職業軍人を含めほとんどのアメリカ人にとっては本当の戦争ではなく、合衆国が世界的な力を持ってから、言葉の意味を理解するようになったのである。戦争を決定する伝統的な基準によれば、麻薬戦争と類似点があるGWOTは、戦争以外の軍事行動、 言い換えるとMOOTW(とても便利だが、非公式な用語)として軍事を関与させることを受け入れる。確かに、GWOTには、アフガニスタンとイラクという 二つの大きな軍事作戦があるが、これらの作戦は国家のすべての活動分野だけでなく、その他の多くの国の貢献が集結した、極めて大規模な戦略と闘争の一部で ある。これとの厳密な意味での共通点は、時々発生する本当の戦争、たとえば、朝鮮戦争やベトナム戦争で味方陣営のために行った戦いよりも、冷戦時代の非常 に大規模で長期間の競争にある。それ以上に、イラクの自由作戦は合衆国の全軍に、特に合衆国陸軍に、犠牲と、軍隊の伝統的な任務の範疇にない終わりのない 警察活動と国家建設の責務を課している。イラクに対する戦争の大規模な戦闘活動の段階は、ほとんどの合衆国の地上専用の部隊が正式には訓練したことがな い、現在進行中の反乱の段階へと、予期せず、休むことなく姿を変えた。

 

 伝統的なほとんどの戦争、特にヨーロッパの伝統で行われた戦争は、始まりと終わりがはっきりしていた。ある日、戦争行為が布告されるか開始されるかして、ある日、ど ちらかの側が戦闘を止めることに合意するのである。しかし、戦争と平和の境界線がヨーロッパ世界の外では明確であったことはなく、明確に敗北することがな いために、戦争を止めることを拒否する非正規の敵に対しては明確な勝利を得ることが難しいため、冷戦の終結以降は着実に合衆国においてもぼやけてきてい る。だから、タリバンとサダム・フセイン政権が軍事的に粉砕されたとしても、戦闘はアフガニスタンとイラクで継続するどころか、激化すらしているのであ る。

 

 伝統的な戦争には、領土を手に入れるとか、敵の軍隊を破壊するとか、あるいは戦闘を止めるという形で、標準的な勝利の基準もあった。しかし、これらの基準は、別の勝利の基準のために戦う、非正規の敵に対しては限定的な有効性しかなく、アルカイダのようなテロリストの脅威を勝利の標準に当てはめようとするのは、実質的 に無意味である。テロリズムの専門家、ブルース・ホフマンは、「平地において武装した部隊として機能しないテロリストは、一般的に領土を奪取したり、支配 しようとはせず、戦闘においては敵の部隊を慎重に回避し、ほとんどの場合、領土や住民を直接支配したり、独立させようとはしない」2 と述べている。加えて、アルカイダは、一つにはダニエル・バイマンが指摘した理由で、印象的な再生力を誇示している。

 

そ れは明確に識別できるテロ組織ではない。それは他のグループや個人を鼓舞し、統合させる道を探す運動である。アルカイダが回復能力を超える損失を受けたと ころで、数多くの合衆国に敵意を抱くイスラム主義者の運動があり、合衆国の連合国を打倒する方法を模索し、大量の犠牲を出すテロリストの暴力に身を投じて いる… 考える上での鍵は、アルカイダは単一のテロリスト・グループではなく、世界規模の反乱であるということだ。3

 

 こうした敵に対して、戦死者と捕虜を数えることは当てにならず、アルカイダの指導者を捕まえても、危険な工作員が取り除かれて、アルカイダの頭脳の源が入れ替わるのに寄与するだけであ る。これはベトナム戦争時の戦死者の累計基準の誤りと同じである。合衆国はアルカイダとの戦いと同じように、合衆国の軍隊によって受けた大打撃を置き換えるだけではなく、異常に頑強で統制が取れたベトナム人の共産党員と対決した。(合衆国がベトナムで推進した消耗の戦略は、戦術と作戦の主導権を維持し続けることによって自軍の損失を制御する能力を持つことに対しては問題があった。ベトナム戦争において、共産軍はすべての銃撃戦の75〜80%において主導権 を握っており、損失が許容範囲に近づくと戦闘を中止することを躊躇しなかった4

 

 GWOTにおける究極的な勝利の 基準は、テロリストの攻撃の頻度と範囲が減少すること、言い換えれば、事件が起こらなくなることだろう。しかしながら、分析の見地からは、これは勝利の基 準としては不十分である。事件が起こらないことを抑止の成功基準とすると、原因と結果の因果関係を知る方法がないのである。さらに、明確に敵を破壊する対 テロリスト活動ですら、意図しない自己破壊的な結果になり得る。米政権がGWOTにおける大きな勝利を祝った、イラクのサダム・フセイン政権の打倒のすぐ 後で、国際戦略研究所が発表した研究論文は、こう言っている。アフガニスタンの基幹施設を失うというアルカイダの損失と、指導者の3分の1を殺害、逮捕し たにも関わらず、アルカイダは「現在は再構成され、幾分違った方法で活動しているが、より狡猾で同時多発テロ以前と同様に危険」である。より狡猾になった 理由は、西側の「対テロリズムへの努力は……意に反して、すでに高度に分散化され、見つけにくい、国境を越えたテロリストのネットワークを、特定し、無力 化するのをより難しくしてしまった」。たとえば、アフガニスタンの基地を破壊することは、アルカイダを「部隊が集団として認識したり、上空から照準できな いほどに散開させる」。このために、「対テロリズムにおける最大の分け前は、法執行機関と情報機関に負担を負わせているのである」5

 

 注目すべきは、外見上は、大統領がGWOTを「新しい種類の敵によって戦われた、新しい種類の戦争」6 だと明確に認め、戦争と いう言葉の用法を結びつけたらしいが、この声明には、国防長官が同時多発テロから一週間後にのべた意見、「我が国が他に当面したことのないような戦争にな るだろう…… 我々の敵はテロ組織の世界的なネットワークとその支援国家である…… この戦争の語彙さえも違ったものになるだろう」7 と同調していることである。

 

 つまり、GWOTは戦争と非戦争の要素を含んでいる。それは、戦闘活動の調合された混合物であり、戦争以外の軍事作戦であり、多数の政府の非戦闘部局が実行する活動である。コリン・グレイはこう述べている。

 

世界規模のテ ロリズムと戦うことは…多くの人が明確に戦争と呼んで理解している事を行うだけでなく、だらだらと続く狩りと多くの類似点を持っている。対テロリストの努力の最先端は、情報機関、特に情報機関の国際協力、強力な警察活動であると思われる。これらのすべては、相当にもっともらしく見えるが、合衆国の国家安全 保障戦略が、確実に住所不定のテロリストの追跡を縮小したために手段がない。テロリストとその支持者達は、軍事活動のための若干の標的を提供するが、陪審員たちは、合衆国が最大の守護者である世界秩序を含む、アメリカ人の重要な利益に対して彼らが挑戦するまで、長いこと待つだろう。8

 

テロリズムとは何か?

 

 健全な戦略には明確な敵の定義が必要である。しかしながら、GWOTは語義の沼にはまり込んだ何者かに対する戦争である。合衆国政府内部ですら、異なる部門や機関では、この問題に対する異なった専門家の展望に基づく異なった定義を用いている。9 1988年のある研究では、テロリズムには総計で22の異なる定義の成分を含んだ、109の定義があるとみなしている。10 テロリズムの専門家ウォルター・ラクェアーもまた、100以上の定義を認め、「広く合意されている一般的な性質は、テロリズムが暴力と暴力の脅威よって生じるということだけである」11 と結論している。けれども、テロリズムが、暴力と暴力の脅威に関係する唯一の活動なのではない。戦争を行うことも、強制力のある外交であり、酒場の喧嘩なのである。

 

 現在の合衆国の国家安全保障戦略は、テロリズムを単純に「罪なき人々への、計画的で、政治的な動機を持った暴力」12 と定義している。しかしながら、この定義は、無実を決定する基準が何であるかによって、誰が罪なき人々なのかという疑問を生じさせる。合衆国が1945年に日本の都市へ焼夷弾を投下したことは、日本の戦争努力には何の影響も与えない、女性や子供がほとんどの住民達を確実に恐れさせた。そして、現実の暴力に対抗するほどの危険が迫っている、とはどういうことであろうか? 恐怖を誘引することはテロリズムの主たる目的であり、脅迫行為は恐怖を誘発する手段ではないのか? テロリストが攻撃すると強く脅迫することこそ、テロリズムではないのか?

 

 国防省の当局者は、テロリズムを「恐怖を植え付ける非合法の暴力を計算づくで行うこと、故意に威圧したり、政治上、宗教上、イデオロギー上の目標を達成するために政府や社会を怯えさせること、」13 と定義している。合衆国の「テロリズムと戦うための国家戦略」は、国家や社会に向けられた非国家的な現象としてテロリズムを同じように重要視しており、テ ロリズムは「計画され、政治的な動機を持ち、国家に満たないグループや秘密工作員による、非戦闘員の標的に対して行われた暴力」14 としている。

 

 これらの定義の両方にある問題 は、フランス革命には非政府の者達によって起こされたテロリズムよりもずっと多い数千万人の犠牲者がいるように、国家によるテロリズムを無視していること である。アルカイダ、タミル・タイガーとセンドロ・ルミノソなどが人を殺害した数は、スターリン時代のロシアや、毛沢東の中国、カンボジアのポル・ポト 派、そしてサダム・フセイン政権下のイラクなど国家によるテロリズムには見劣りする。これらの定義から国家によるテロリズムを除外することにより、暴力的 な国内の対立、筋の通った不満に基づく対立の国々(たとえば、サダム・フセインに対するクルド人やシーア派の反乱)にすら、道義的な疑念という恩恵を与えるだけでなく、そうする際に、国家の内部対立にテロリズムの名を与え、アルジェリアにおけるフランスや、チェチェン共和国におけるロシアによって実践された、対テロリスト作戦という名のテロリズムを含む、必要と思うことは何でも行う手法を採用させる。

 

 テロリズムに関する恐らくは不注意な現代語は、コナー・ガーティが言う、「既存の秩序の雄弁な家来と、どんなものにしろ、どの程度にしろ、憎むべきその活動そのもの」になってきてい る。なぜなら、米政権はテロリズムとテロリストに、悪の中の最たる悪という役割を当て、テロリストがすることは「常に間違っており、また、彼らを打ち負かす対テロリスト活動は、それ故にいつでも当然のように善である」といっている。既成の政権の性格、それに対抗する可能性がある活動の種類、暴力が引き起こ倫理的な難問、これらの複雑な要素はテロリストというラベルが持つ現代の力に対してほんの僅かな問題も生じさせることはない」。15 だから、パレスチナ人のテロリズムは、アリエル・シャロンが平和主義者として認められている限りは有罪と宣告される。リチャード・フォークはこう述べている。

 

言葉や概念としてのテロリズムは、 非国家の形の暴力は、いかなる強制や報復の手段も受け入れられないとみなすほど凶悪だということを話し合うことで、合衆国とイスラエルを提携させてきた。 この挑発的な言葉の意味を、そのような独善的な態度に適合させることによって、テロリズムをフランス革命へ遡る本来の歴史的な連想を断ち切ってしまう。その発達の過程において、その国家から市民に対する政治的な暴力行為、暴力が恐怖をまき散らし、政治的目標を達成するよう狙うことは、テロリズムと名付けら れる。16

 

 テロリズムを取り巻く定義の沼 地は、目標を模索し、手段を決めるという教訓的な関係を、別の観点から眺めることをほとんど阻止してしまう。テロリズムの詳細を考慮することなく、政治的 な満足や軍事的な影響力のために、すべてのテロリズムを悪と呼ぶのは簡単だが、それは好むと好まざるに関わらず、反対の立場では物事が違って見えることを 妨げてしまう。すべてのテロリズムを無条件に悪と呼んで非難することは、その政治的な背景を剥ぎ取り、それが元々軍事的無力に近いものだということを無視 する。これはテロリズムを容認するのではないが、理性的に政治的な選択を考察するための認識としては単純すぎる。

 

 ゲリラ戦のようなテロリズムは、非正規戦争17 や、C・E・コールウェルが1896年の古典的な著作「小さな戦争 その教訓と実践」の中で定義した、「正規兵で構成される二者が行う軍事行動以外」18 による小さな戦争の一形態である。こうしたゲリラ戦のようなテロリズムは、時と場所を選べば負けることがない正規兵(言 い換えるなら、在来型の軍隊)に対抗するための弱者の武器である。政治的な解決の見込みがない限り、テロリズム(多くはゲリラ戦による軍事活動)を含む非 正規戦争を以外の選択がないことは、政治的絶望や軍事的無力を横行させることにならないか? パレスチナを統治していた英国に対するユダヤ人のテロリズ ム、(後にノーベル平和賞を受賞するメナヘム・ベギンが指揮した)1946年にイルグーン団がエルサレムのキング・ダビデ・ホテルを爆破した事件(ユダヤ 人17人を含む93人が死亡)は19、ユダヤ人の国家建設を確実に するための手段として認められるだろうか? 「テロリズムは冷酷な独裁政権を打倒する手段であり、許容できない虐待に当面した自由を求める人々の最後の手 段としてだけ認められる」とラクエァーは主張する。「こうした状況では、テロリズムは犯罪というよりは、道義的な義務といえる。ヒトラーやスターリンを早 い内に殺せば、大勢の人々の命を救えただろう」20 端的にいえ ば、選択肢が二つの悪しかない環境においては、より小さな悪を選ぶのが正しくはないか? 合衆国は、ヒトラーを倒すためにスターリンと一緒に戦う方を選 び、このことは実質的に、イラクの戦争において、アヤトラ・ホメイニが率いるイランと戦うサダム・フセインと共闘することに発展した。どちらのケースで も、合衆国は自らを、二つの20世紀で最大の国家レベルのテロリズムの実践者と、当時さらなる巨大な悪とみなしていた相手を打ち破るために連携させた。

 

 灰色の世界の中では、白と黒の 判断はほとんどつかない。ある人にとってテロリストならば、他の人とっては愛国者であり得るのだ。「武装したクルド人はイラクにおいては自由の戦士だが、 トルコにおいてはテロリストではないか?」とトニー・ジュドは問うている。「合衆国と手を組んだ時は、アルカイダのテロリスト志願者は、アフガニスタンで (ソ連に対する)戦争を手助けしたのではないか?」21

 

 事実、テロリズムの定義につい て合意することが、特定のテロ組織に対する対テロリスト活動を推し進めることはほとんどない。我々は、目に入るテロリストの行為を知っており、アルカイダ が敵であることを知っている。しかし、一貫した定義上の合意がないことは、現象そのものに対処するのに不可欠な構成要素であるテロリストの研究を妨げる。

 

GWOTにおける脅威の評価基準

 

脅威の特定

 

 米政権はGWOTについての見 解を、GWOTは報復行動であるということの兆しを含めて、「アメリカ合衆国の国家安全保障戦略」と「テロリズムと戦うための国家戦略」を含む沢山の公式 声明と公文書の中で、綿密に作り上げてきた。「世界規模のテロリズムを打破するための同盟の強化と、我が国と友好国への攻撃を防ぐ努力」と名づけられた 「アメリカ合衆国の国家安全保障戦略」の第3章は、次に引用する、ブッシュ大統領が2001年9月14日に、ワシントンのナショナル・キャセドラルで行っ たスピーチから始まっている。

 

そうした出来事から三日間が過ぎたが、アメリカ人は未だに歴史に対して距離を置いていない。しかし、我々の歴史に対する責任はすでに明白であり、これらの攻撃に応酬し、世界の敵を駆逐することである。22

 

第3章では、宣言が行われている。

 

合衆国は世界規模のテロリズムに対する戦争を戦っている。敵は単一の政治体制でも、個人でも、宗教でも、イデオロギーでもない。敵は、罪なき人々に対する、事前に準備された、政治的な動機を持った暴力である。

 

多 くの地域において、永続的な不満は、永続的な平和の出現を阻害するものだ。こうした不満は、政治的なプロセスの中において解決されるべきものだ。しかし、 テロを正当化する理由はない。合衆国は彼らの要求を受け入れることはなく、交渉することなしに攻撃するだろう。我々はテロリストと彼らを故意にかくまう者 たち、彼らを助ける者たちを区別することはない。23

 

第5章で、「大量破壊兵器を持ち、我々と我々の同盟国、友好国を脅迫する敵を阻止すること」を、テロリズム、ならず者国家とWMDに関連づけている。冷戦の終焉に引き続いて……

 

な らず者国家とテロリストによる新しい熾烈な挑戦が表面化してきた。こうした同時期における本当に破壊的な力は、ソビエト連邦から我々に向けられているので はない。しかしながら、これら新しい敵の性格と動機、これまでは世界で最も強力な国家が持つだけだった破壊力を手に入れようとする決意、彼らが我々に対し て大量破壊兵器を用いる可能性は、今日の安全保障の環境をより複雑かつ危険にしている。24

 

ならず者国家は、下記のような国家だとしている。

 

    統治者個人の利益のために自国民を殺戮し、国家の資源を浪費する

    国際法を守ろうとせず、隣国に脅威を与え、締結国に対して国際条約を冷淡に破る

    大量破壊兵器と共にその他の先端の軍事技術の獲得を試み、自国政権の攻撃的な計画を遂行するために脅迫や威嚇に用いる

    世界規模のテロリズムを支援する

    人類の基本的な価値観を拒絶し、合衆国とその側に与するすべてのものを憎悪する25

 

「国家安全保障戦略」では、イラク、イラン、そして北朝鮮をならず者国家に指定し、「我々は、ならず者国家とそれらテロリストの顧客達が、合衆国と連合国や友好国を脅迫したり、大量破壊兵器を使用できるようになるのを阻止する準備をしなければならない」と宣言している。26 そしてこれは、「ならず者国家とテロリストの目標を顧みて、合衆国はもはや我々が過去に取った対応の取り方を当てにすることはまずない」27 ことを意味する。なぜなら。我々の敵はWMDを最後の手段としてみておらず、むしろ「脅迫や軍事的侵略の道具としての……とっておきの兵器」とみている」ためで、「合衆国は、もし必要なら先制的な行動を取るだろう」28

 

脅威の核心は、政治/宗教的過激思想とWMDの潜在的な結合であり、大統領が「改革主義とテクノロジーの十字路」と呼んだものであり、脅威は「アメリカ人はそれらが完全な形になる前に、そうした間近に迫った脅威に対して行動を取るだろう」29 というほど深刻である。2002年6月の陸軍士官学校での演説において、大統領は「化学、生物、核兵器が、弾道ミサイル技術と共に拡散した時……それが起こった途端に、弱小国や小さな集団ですら、強大な国家を攻撃するための壊滅的な力を手に入れることになる」30 と詳細に述べた。これ以降、国防総省は、「テロリストのネットワーク、テロ国家と大量破壊兵器の結びつきは……小さく弱小な国家や、個人で構成される比較的小さなグループという強大な敵対者を作る可能性がある」と口にするようになった。31

 

「テロリズムと戦うための国家戦略」は、詳細な行動計画である。この公文書は、テロリズムを「事前に計画され、政治的な動機を持った非戦闘員に対して行われた、規模が国家に満たないグループや秘密工作員による暴力行為」32 と定義しており、「我々の目標は、アメリカ人や全世界の文明的な人々がテロリストの攻撃による恐怖なしに生活できるように導くことである」33 と明言している。これは、「テロリストグループに対する直接的で間断のない戦略は、彼らの成果の累計にまずヒビをいれ、やがて悪化させ、究極的にテロ組織を殲滅する」34 と確約している。この公文書の「序文」は終わりに、「人類の力は、あらゆる形態においてテロリズムを敗北させる」35 と書いている。

 

 「テロリズ ムと戦うための国家戦略」はそれから、その世界化、テロ組織の相関性、WMDの拡散など、今日のテロリズムの脅威の性質の評価へと進む。「テロリストの脅 威は、最新のテクノロジーで可能になった、グループ内やそれ同士の緩い結びつきによって特徴付けられる、柔軟性を持つ、国境を越えたネットワークの構造で ある」。36 テロ組織は三つの段階で機能している。「最初の段階ではテロ組織は単一の国家の中で主に活動している。彼らの勢力は限られているが、国際的な環境の中で は、彼らの行動は国際的な重要問題になり得る」。次は、これらの組織が、「地域的に活動する最低でも一つの国際的な国境線を越え(つつある)、地域的に活 動する」。三番目は「世界的な活動領域を持つテロ組織である。彼らの活動範囲はいくつかの地域に及び、その野心は国境を超え、全世界に向かう」37

 

 現在は、組織の三つのタイプはどれも、「情報、人材、専門家、資産、そして安全な隠れ家を共有」する作戦上の連携によって直接つながっており、「同じイデオロギー上の議題を促進し、互いに彼らの大儀に好意的な国際的なイメージを育てる努力を強化する」。従って、合衆国は「彼らを地勢上の領域を超えて追いかけ、敗北させるために、その強さを選ばず組織間の連鎖を断ち切り、孤立させ、露出させ、無防備にする」。38 いい換えると、国家的、地域的、世界的なテロリズムの結びつきは、その地域、国家にいる支持者に対する対テロリズム作戦を同時に行わない限り壊滅できない ような、世界的な規模を持つテロリズム」なのである。この意見は、世界規模と地域規模の組織…それから地域規模と国家規模の組織……と漸進的に連鎖を断ち 切り、数少ない最も脅威の小さい国家段階のテロ組織を除くすべての破壊と消滅を描写した「戦略の運用」と名づけられた添付図によって強調されている。39 つまり、この戦略には、合衆国の利益に脅威をもたらすかどうかに関係なく、あらゆるすべてのテロ組織への対テロリスト作戦が、潜在的に含まれている。この戦略が遠慮しているのは唯一、財源獲得の可能性についてのみである。

 

 「テロリズムと戦うための国家戦略」は、「我々は文明的な社会を持つ沢山の国家を脅迫するために最新技術とWMDを結びつけようとするテロリストを許さない…我々は、合衆国を友好国や同盟国を一体化してでも、我々の生活の脅威であるテロリズムを殲滅しなければならない」40 ということを含んでいる。しかし、テロリズムを打倒するのことは、それだけに終わるのではなく…

 

テ ロリズムの世界を駆逐するのは、拡張された目的の本質要素である。我々は、より多くの国や人々を、共に共有できる価値、たとえば、人間の尊厳、法による統 治、個人の自由の尊厳、開放的で自由な経済、信仰の自由のような価値を持つ世界的な一貫性に統合された国際秩序を打ち立てようと努力する。我々は、例外の ない基準としての、これらの価値観に取り囲まれている世界が、テロリズムの拡大に対する最高の対抗策であることを理解している。これが、我々が今日、打ち 立てなければならない世界である。41

 

脅威の混淆

 

 米政権は、 合衆国の国家安全保障の利益に対する、広範で国際的なテロリストの脅威を次のように評価している。(1)テロ組織の三つの地勢上の段階 国家、地域、世 界。同じように、(2)ならず者国家―特に、サダム・フセイン政権のイラク、イランそして北朝鮮。この脅威のリストにはまた、(3)テロリストやならず者 国家にWMDを拡散する特定の個人や団体。さらに、(4)失敗国家 タリバン政権下のアフガニスタンのように、海外のテロリストのスポンサーにはならない だろうが、好むと好まざるに関わらず、隠れ家を提供したり、組織がすることを手助けしたりする国。

 

 しかしなが ら、テロリズムに関する米政権の言葉を試すには、識別は初語ではない。米政権の言葉使いは明確ではなく、たとえば、戦略的上も作戦上も、テロ組織とならず 者国家の間には重大な違いがないという問題がある。ならず者国家は、要するに「国家安全保障」がうたう、「自国民に対して非人道的であること」と「世界的 なテロリズムのスポンサー」である。加えて、ならず者国家と、少なくともいくつかの世界規模のテロリズム組織は、どちらも共に合衆国を憎悪し、WMDを入 手したがっている。米政権はならず者国家とテロ組織は、抑止力が効かない複数の基準という、危機的な特質をも共有していると信じている。

 

冷戦時代には、我々は主に、現状維持と敵対者の危険を回避することに直面 していた。抑止力は、効果的な防衛でもあった。しかし、抑止力は、報復の恐怖にだけ基づいており、さらに危険を冒して、自国民の命や自国の富を一か八かの 冒険にさらそうとするような、ならず者国家の指導者には、あまり機能しないらしい。

 

抑止力の伝統的な概念は、非人道的な破壊や罪なき人々を標的にする戦術を公言しているテロリストの敵に対しては機能しないだろう。彼らは死による殉教を探し求める兵士といわれており、最も強力な防備は国籍を有しないことである。42

 

 イラクとの 戦争が近づくと、米政権はサダム・フセイン政権とアルカイダを結ぶ共謀を力説し、独裁者がアルカイダにWMDを引き渡すという不安な見通しを惹起し、サダ ム・フセインが同時多発テロに直接手を下したという見解を助長した。戦争が終わった時点で、テロリズムとの戦争における勝利として、サダム政権の崩壊は歓 迎された。

 

 2002年 9月に、ブッシュ大統領は、「テロリズムとの戦争を語る時に、アルカイダとサダムの違いを識別できるわけがない。彼らはどちらも、悪質さにおいても、邪悪 さにおいても、破滅性においても同じだ」と表明した。彼は、「危険は、アルカイダがサダムの邪悪さと、憎悪と、大量破壊兵器とを世界中にばらまく可能性を 拡張していることだ」と付けくわえた。43

 

 彼がイラク の自由作戦をはじめるちょうど二日前、2003年3月6日の公式記者会見で、大統領は、サダム・フセインは核兵器を手に入れば、すぐに複製を行うだろうと ほのめかして、イラクに対する戦争の理由を同時多発テロに結びつけた。「サダムは脅威だ。そして、我々は彼が攻撃を開始するまでは待てない」と彼は言っ た。「サダム・フセインと彼の(大量破壊)兵器は、我が国への直接の脅威だ」と彼は改めて表明した。「もし、世界がイラクの政権による脅威と対決できなけ れば、自由国家は巨大で受け入れがたい危険を負うことになるだろう。2001年9月11日の攻撃は、4機の航空機によって、アメリカの敵が何であるかを はっきりさせた。我々はテロリスト国家が大量破壊兵器を使えるようになるまで待つことはできない」。後に、彼は公式に述べた。

 

サダム・フセインは我々の国への脅威である。同時多発テロは、少なくとも 私が関心を持っていることにおいては、戦略的な考え方を、この国を守る方法に変えさせた……サダム・フセインのような人物を封じ込められるとか、海洋が彼 のようなタイプのテロから我々を守っているといった考え方は時代遅れだ。同時多発テロはアメリカの人々に、我々が今は、テロ組織の手にある大量破壊兵器 が、自宅にいる我々を破壊できる戦場にいることを教えた。

 

イラクとの戦 争の人材と財政的な損失について質問されると、ブッシュ大統領は「何もしないことの代償は、行動することの代償を上回る……9月11日にアメリカ……を攻 撃した代償は甚大(だった)……そして、私はそのチャンスを再び与えるつもりはない」、「9月11日の教訓……は我々が攻撃で傷つきやすかったということ だ……そして我々は、海の向こうに大終結した脅威を捕らえなければならない」と答えた。44

 

 2003年 5月1日、ブッシュ大統領はイラクでの主要な戦闘活動の終結を宣言し、「イラクでの戦闘は、2001年9月11日に始まったテロとの戦争の一つの勝利であ り、現在もまだ続いている。あの恐ろしい朝、19人の邪悪な男達、憎むべきイデオロギーを持った突撃部隊が、アメリカと文明世界に彼らの野望を垣間見せ た」。ブッシュは後に付け加えた。

 

イ ラクの解放は、テロに対する軍事行動において、ひとつの重大な前進だ。我々はアルカイダの同盟者を取り除き、テロリストの財源を断ち切った。そして、政権 が存在しなくなったことで、テロリストのネットワークが、イラクの政権から大量破壊兵器を入手できなくなったのは確実である。世界を変えた(9/11の攻 撃以来)この19ヶ月、我々の行動は、焦点が絞られ、慎重で、攻撃者に対してふさわしいものだった。これらの攻撃により、テロリストと彼らの支援者達は、 合衆国に対して宣戦を布告した。これは彼らが手に入れた戦争だった。45

 

 それ故、大 統領は、少なくともサダム・フセイン政権のイラクとアルカイダの関連は、完全に統制された、合衆国への抑止不可能なWMDの攻撃の直接的なテロリストの脅 威だ、とみなした。脅威はイランと北朝鮮、同様にしてイランと北朝鮮、同様にして、サダム・フセイン支配下のイラクを含めて、WMDを「威嚇と軍事侵攻の 道具」のための「究極の兵器」とみなすならず者国家へ拡大するとほのめかし、「これらの国家が、我々がならず者国家の攻撃的な行為を抑止、撃退することを 阻止するために合衆国と同盟国を脅迫しようとすることを容認するかもしれない」46 だから、脅威としてのテロリスト、テロ組織、そしてテロリスト国家は、まったく同一なのである。

 

脅威の混淆による影響

 

 残念なこと に、異なった計画と、合衆国に対する脅威のレベルがある、ならず者国家とテロ組織を分離できない脅威として一つにしたことは、ならず者国家内での、テロ組 織内での、そしてならず者国家とテロリスト・グループの決定的な違いを不明瞭にした。1950年代における、一枚岩だった国際共産主義者の特筆すべき基礎 条件は、アメリカの為政者に、地域環境への影響力と唯一性、国家的、歴史的、あるいは文化的な違いとブロック内 の対立を見守る判断を失わせたことだった。共産主義は、主として国際的な共同謀議を指導した。いたるところにいる共産主義者がいて、合衆国へ共通の脅威を 突きつけた。識別不能というこの結果は、クレムリンが東南アジアにおいて計画した勢力拡大をより少なく認識したために、ベトナムにおける米軍の軍事侵攻に 大失敗をもたらし、定義に関しては、歴史的に理解しうるそれ自身の政治的課題を見落としていたのである。

 

 テロ組織と ならず者国家の両方は、暴力を信奉し、現行の国際秩序に敵対している。合衆国の中の共通の敵、中東におけるならず者国家とテロリスト組織、イスラエルの中 の共通の敵は、多くは共通している。国際的な無宿人として、彼らは頻繁に互いに連絡を取り合い、時には連携する。しかし、こうした連携の目的と耐久性は、 地域環境においては極めて不安定なものである。さらにいうと、ならず者国家とテロ組織は、性格合衆国の軍事力に対する脆弱性において、根本的に異なっている。テロリズム組織は、彼らが人質を取る可能性があるという僅かな強みと、「国家安全保障」が指摘する「非国家であるという最も強力な防備」47 を持つことで特徴付けられる、秘密主義で、とらえどころがない、非国家の組織である。対して、ならず者国家は、明確に領域、人口、政府施設、その他の資産を定義できる主権を持った集団で、それ故、テロ組織よりも数段大きな軍事攻撃にさらされる。

 

 別の言い方をするならば、テロ組織と違い、ならず者国家の政権が正反対のことを熱弁しようとも、ならず者国家は効果的な抑止力の影響を受けやすく、それ故、予防戦争の潜在的な目標となることと、それに関連する損失と危険によって、国家の存続を保証できない。ア ルカイダが運搬可能な核兵器を入手していれば、同時多発テロで使っただろうということに疑念の余地はない。しかし、ならず者国家の過去は明らかであり、懲 罰として報復攻撃を行い、受け入れがたい損失を被らせる能力を持った敵対者に対してWMDを使ったことはない。サダム・フセインは1980年代に無力なク ルド人とイランの歩兵部隊に化学兵器を使用した。しかし、彼は、1991年の湾岸戦争において、こうした兵器を合衆国やイスラエルの軍隊に対して使うこと を自制し、その後の十年間のある時点でこれらの兵器の所有を放棄したようである。48 サダム・フセイン政権のイラクよりも遥かにWMDの装備の点で進んでいる北朝鮮は、この十年間、繰り返して韓国と合衆国を、戦争をすると脅迫してきたが、未だに開戦していない。

 

 サダム・フセインと北朝鮮が行動しなかったことに、抑止力以外の説明がつくであろうか? もちろん、これを検証する手立てはないが、彼が核兵器を手にしたら合衆国に戦争行為を仕掛けるつもりだという証拠はなく、むしろ、ならず者国家の政権は、そうした兵器は、合衆国彼らに 対する軍事行動を抑止する手段とみなしている。興味深いことに、一年前に国家安全保障担当大統領補佐官になったコンドリーザ・ライスは、抑止力がサダム・ フセインに対処する信頼できる最高の手段だと発言している。2000年1月、彼女は「外交問題」誌に書いた記事の中で、イラクに関して、「第一の防衛線 は…彼らがWMDを手に入れても、それを使おうとすれば国家規模の殲滅を招来するために使用不能となる…という明瞭で古典的な抑止力の説明文なのです」と 公言した。彼女は、ならず者国家は「遠からずなくなる」ので「彼らにうろたえてはなりません」49 と付け加えた。テロリスト達が国籍を持たないことが最大の潜在的防備ならば、国籍を持つことは、ならず者国家の最大の戦略上の弱点だろうか?

 

 いかにも、ならず者国家は、本質的に攻撃的で、地域的な安定の脅威である。さらに、サダム・フセインの戦争前の蛮行や、疑いなく狂っていたという非難は、大幅な誇張だとはいうものの50、ならず者国家の指導者が蛮行や狂気に陥らない保証はない。大事なのは、ならず者国家の行為が、今のところは信憑性があり受け入れがたい報復という脅威を通して、納得できる抑止力の証拠を提供していないということだ。ならず者国家の政権は、実際に普通の国家よりは危険な傾向があるが、それは彼らが自身で生き残り、目的と手段を合理的に計算できるということではないか?

 

 サダム・フ セインのイラクと、オサマ・ビンラディンのアルカイダを混淆したことで米政権は、合衆国と戦争中ではなく、直接あるいは切迫した合衆国への脅威でもない、 合衆国が交戦中だったテロリスト組織から合衆国を防衛するために警戒と努力を犠牲にして予防戦争を始めることにより、GWOTを必然的に拡大した。51 イラクに対する予防戦争に反対する、ブレント・スコウクロフトとズビグニュー・ブレンジスキーなど前国家安全保障担当特別補佐官、マデリン・オルブライト 前国務長官は、イラクとアルカイダの性格、目的、脆弱性を識別し、アルカイダの脅威は、より切迫的で、より危険で、防衛するのが困難になりつつあると、正 しく論じていた。彼らは、イラクとの究極的な戦争は、イラクへのアメリカの戦略上の警戒を、本土防衛に使う資金と資源を増大させることによる浪費で逸ら せ、イラクとのアメリカの戦争が、アルカイダに対する戦争に勝つための、決定的な諜報機関の情報を共有する重要な国々の意欲を失わせるために、世界中で、 特にイスラム教徒に人気がないために、アルカイダとの戦争を不可避的に脆弱にすると危惧していた。52

 

 戦略的な見 地からは、イラクの自由作戦はGWOTの一部分ではなく、むしろ、アルカイダとの避けられない戦争から目を逸らさせるのにとっておきの戦争である。実は、 それは合衆国がサダム政権崩壊後のイラクに秩序と合法的な政府を打ち立てるのに失敗したとすると、より多くを散逸させるだろう。テロリズムの専門家ジェシ カ・スターンは2003年8月に、バグダッドの国連本部爆破事件は、「アメリカが、テロリストの脅威がなく、それに変貌することもなかった国だけを占領し てきた最新の証拠である」と警告した。GWOTと名付けられて始められた戦争が、最後には「正確には、米政権がテロリストの温床と呼ぶ状況。国家がその国 境を統制できず、その市民に基本的に必要なものを提供できない状況」53 を作り上げたとは、皮肉でしかない。前中央情報局(CIA)の対テロリズム作戦の責任者であり、アナリストである、ビンセント・カニストラロは、「戦争の 前に、サダムと国際テロリズムとの関連を示す実質的な諜報情報はない。今、我々は、イラクがアメリカを攻撃しに来る場所という状況を作り出そうとしてい る」と、この見解に同意している。54

 

GWOTにおける方針

 

目標

 

 脅威の混淆はGWOTを、集団(多数のテロ組織とテロリスト国家)、タイプ(非国家、国家、失敗国家)と地勢的な位置(アルカイダだけで、60の国家に下部組織を持っている)の数の点で信じがたいほど多数のに 対する戦争にした。テロリズムに対する世界的な戦争は、それだけでなく、テロリズムの達人たちに対する戦争というだけでなく、テロリズムという現象そのも のに対する戦争でもある。その目標は、テロリストと彼らが用いる暴力の手法をどちらも殲滅することである。「テロリズムと戦うための国家戦略」は、「テロ リスズムを殲滅すること」を急ぐべきで、「テロリズムの打倒は、我が国の主要で最優先の課題である。これが、ブッシュ大統領が言うところの、我々の叫び声である」55 と述べている。実際に…

 

我 々はテロリズムを非合法化するために合衆国のすべての権力を使用しており、すべてのテロリズムの行為は、奴隷制度、海賊、大量虐殺など、責任ある政府が許 容したり、支援することがなく、何人も反対する行為と同じだとみなされることを明らかにしている。簡単にいえば、我々の友好国や同盟国と共に、我々は、非 支援、非容認、そしてあらゆるテロリズムとの積極的対決を必要とする、テロリズムに関する新しい国際的な規範を確立することを目的としているということ だ。56

 

 GWOTの 目標は、ならず者国家を必要に応じて強制的に政権交代させること、少なくともイラクを、中東の政治的転換の先駆者として、成功した民主主義へ転換すること である。外国の政権を倒すために脅迫や武力を行使するのは、合衆国にとっては今にはじまったことではない。20世紀の間、合衆国は中央アメリカと西インド 諸島、時には東半球(たとえば、1953年のイラン、1963年の南ベトナム、1986年のフィリピン)でも数多くの政権転覆を推進してきた。

 

 民主主義に 対して、米政権は、イラクと中東の政治体制の変革は、それが同時多発テロを含むイスラム主義者のテロリストの基本的な源泉で、それが近代的な経済を生み出 す能力がない、政治面で抑圧的な政権が群立する地域が持続する理由と考えるので、GWOTの責務だと信じている。米政権にとって、中東の政治的な現状は、 同時多発テロを引き起こしたイスラム過激主義を生んだことから、もはや受け入れられない。これは、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官が2003年7月下 旬に「いま、イラクで平和を勝ち取ることは、テロリズムに対する戦いの中心的な戦いである」57 と宣言したことであり、コンドリーザ・ライス国家安全保障担当大統領補佐官は「イラクを変革することは、憎悪の思想が繁茂しそうにない点で、大きく異なる中東の中心的な要素となり得る」と主張した。58 大統領自身は戦争以前はこの目標を是認しており、2003年2月26日の、新保守主義のアメリカン・エンタープライズ研究所での演説で、「イラクの解放は、重要な地域に希望を与え、人々の生活を進歩させる変革で、自由の力を発揮するだろう。イラクの民主的な新政権は、この地域の他の国々に自由の劇的な見本を示すだろう」 大統領は、合衆国が敗戦後のドイツと日本を民主主義国に変革したことを引き合いに出し、その時点で、「多くの人が、日本とドイツの文化は、安定性のある民主主義的な価値観を受け入れないと考えていた」59 ことは、いわれのないことだとした。米政権にとって、専制政治とテロリズム、自由主義とテロリズムが存在しないことの関係は明白である。2003年の11月7日のテレビ演説で大統領は、

 

イ ラクでは、我々は……適正で、民主的な社会を、中東の中心部に樹立するのを手助けしている……中東は進歩と平和の場所、さもなくば、アメリカやその他の自 由主義国の人の生命を奪う暴力やテロを輸出する国になるだろう。民主主義の大成功と、イラクとアフガニスタンでの忍耐は、国際テロリズムが敗北する墓場に なるだろう。テロリズムは専制君主の支援と虐げられた人々の敵意によって繁栄する。専制君主が倒れれば、敵意は希望に取って代わられ、あらゆる文化の人々 は、テロのイデオロギーを捨て、平和を追究するようになる。自由主義を維持するあらゆる場所はで、テロは退散する。60

 

GWOTの目標一覧 ― 戦争の目的 ― 現在までに以下を含んでいる

(1)      同時多発テロの実行者を破壊する 例)アルカイダ

(2)      その他の世界規模のテロ組織と、その地域的、国家的な結びつきを破壊、もしくは敗走させる

(3)      テロリズム現象を非合法化し、完全に殲滅する

(4)      イラクを成功した、安定した民主主義に変革する。

(5)      さらに、中東を参加型の自治と経済機会がある地域に変革する

 

 しかし、な らず者国家、テロリズムとWMDを混淆したことは、米政権がサダム・フセインのイラクに、疑惑を取り除くという目的で予防戦争を行うことと結びつけ、 GWOTを……少なくとも合衆国は好まない……核拡散国家との戦争にした。米政権がテロリズムとWMDとの結びつきを認めたために、GWOTは、1968 年に締結された核拡散防止条約(NPT)によって確立された武器管理体制の積極的な捕捉で、恐らくは代用ですらある、国際的な拡散を防ぐための戦争でもあ る。

 

 実際に、核 で武装したテロリズムの不安を確実に上昇させた同時多発テロは、危険が迫っている、現実の予防的な軍事行動を基盤とする、新しい対拡散政策へ移行する政治 的な機会がある傾向がある政権を生んだ、と考えるのは可能だ。「我々は、世界で最も破壊的な兵器で我々を脅迫する、世界で最も危険な政権とテロリストを認 めない」と「大量破壊兵器と戦うための国家戦略」61 はいっている。この公文書はさらに「効果的な拡散の停止は、WMD拡散国家とその運搬手段と戦う合衆国戦略の中心的な要素である。我々は、WMDの原材料、技術、専門家の敵対国家やテロ組織への流出を防ぐ……合衆国の能力を拡大しなければならない」62 米政権は、ならず者国家の地下核工場に脅威を与え、破壊する、より小型の新世代の地下壕破壊用核兵器の開発も推進している。(下記参照)

 

 米政権が、軍縮協定に関心を示さず、調印国(イラクや北朝鮮)が同条約に違反して核兵器計画を始めることから、NPTには少ししか期待できないと言い続けてきたのは注目されるべきだ。これは、拡散の制限と後退に関するNPT体制の大きな成功63 を見逃しており、NPTが想定していない武力行使を必要に応じて用いることを決定しているということだ。だから、GWOTは、繰り返すが、テロリズムに関することというよりは、対拡散のためのものなのである。

 

 だから、GWOTの6番目の目的は、こう決定できる。(6)WMDを拡散し続ける国家と、彼らから敵対国、潜在的敵対国やその他の集団への運搬手段を、必要なら武力を使って停止する。

 

実現の可能性

 

 GWOTの目標はどれくらい現実的だろうか? この疑問の判断は、必然的に主観的になるが、それでもなされなければならない。本質的に達成できない

明確な目標は、特定され、検討される必要がある。

 

(1)      アルカイダの殲滅。

ア ルカイダとの戦争は、不可欠な戦争なのだから、その目標が達成可能かどうかは、議論の余地がない問題である。合衆国は、アルカイダを破壊できないとして も、戦いを遂行しなければならず、またそうしようとしている。アルカイダの本質的なテロの手口と末端部の徴募活動は、それを対テロリズム活動によって完全 に打倒するには、非常に難しい敵にしている。同時多発テロ以降のアルカイダに対する大きな成功は、アフガニスタンの彼らの基地の破壊、重要な要員の殺害と 逮捕、計画中の攻撃の阻止、同時多発テロ以降は他に大量の犠牲者が出ていないとみなせることすべて……である。しかし、アルカイダは回復力を発揮する、熱 狂的な決意を持った敵であり、彼らがうたう目標は十分に見込みがあり、イスラム世界に政治的な牽引力を育てることは信頼できる部分がある。それだけでな く、イラクに合衆国の大部隊が駐留するのが確定したことは、新しく間近目の前にいる目標の塊をアルカイダと聖戦の自爆兵士に与え、イラクを安定化するため の駐留が失敗したことは、アルカイダと彼らに触発された組織が、イラクに潜入し、発見されることなく彼らの作戦を実施する能力を容易にしている。

 

 その一方、 もし米政権が正しく……上手くやり遂げられるなら……イスラム教のテロリストの決定的な資源は、アラブ世界のいたるところで支配を失い、その結果として民 主化と経済的な満足が、政治的、宗教的な過激主義に対して対抗することになると仮定できる。しかし、物事が進むのに時間がかかるアラブ世界で変化を認める ことは、それが十分な状態になるとしても、短期間で円満に実現することはないだろう。歴史的に見れば、専制政治から民主主義への移行が、マグナ・カルタか らアメリカ社会の誕生まで561年かかったように、長期化し、暴力的になることは珍しくない。だから、将来的な政策による民主主義と中東の繁栄という成功 は、どちらか一つが実現するかもしれないが、ほぼ間違いなく、遙か遠い未来にも実現はしないだろう。

 

(2)その他の世界規模のテロ組織と、その地域的、国家的な結びつきを破壊、もしくは敗北させる。

こ の目的は、合衆国が、合衆国と戦う力がないテロ組織を含むすべてのテロ組織と戦争をするのに効果的である。同様に、この目標は実現不可能で、戦略的な思慮 を欠いている。実現不可能な理由は、テロ組織の純粋たる数と種類のためである。戦略的な思慮の欠如の理由は、合衆国が動き回る間に、不必要な敵を同時に作 り出してしまうためである。戦略家スティーブン・ヴァン・エバラは、同時多発テロに対する米政権の対応を、次のように述べている。

 

テ ロリズムを世界規模の戦争によって阻止しようとするのは、途方もない誤りである。アルカイダと戦争をするべきだったのだ。決して、ボールから目を離しては いけない。ロシア、アラブ・イスラエル紛争、イラクに対する政策など、あらゆるその他の政策はその下に置くべきだ。そのかわりに、米政権は合衆国を一度も 攻撃したことがなく、これからもするわけがないグループを含むテロとの世界的な戦いとしてそれを定義してしまった。それは、焦点を外すことを導き…あなた は人々の敵を、あなたがアルカイダに対して求めているように作り上げてしまった。64

 

 道義的な透 明性を強調することは、再び戦略的に識別することに勝ってしまう。すべてのテロリズムが邪悪であったとしても、ほとんどのテロ組織は合衆国を脅迫してはい ない。合衆国の利益に対して、些細で、我慢することもない地域的な問題が沢山あるだけである。合衆国はアルカイダと戦うだけでなく、理由もなく、バスクの 祖国と解放(E.T.A.)、スリランカのタミール・タイガー、IRAの暫定派、ウズベキスタンのイスラム勢力、センドロ・ルミノソ、ハマスとヒズボラな どとの戦いに手を出しているのではないか? 我々は、アメリカの視界の外にある国家レベル、地域レベルのテロ組織を、合衆国の利益やアメリカ本土を標的と するように望んでいるのではないか?

 

 戦略の基本 的なルールは、処理できる範囲内の敵を持つことである。その戦略に入手可能な資源を越えないと打倒できない敵が陣形を形成することを熱望するような戦略 は、始めから失敗すると分かっている。ドイツは、その戦闘において極上の作戦的、戦術的なレベルの能力を有していたにも関わらず、その目的が彼らが利用可 能な手段を越えていたために、戦略的熱望が、総合すると最終的にドイツの資源を凌駕する資源を持った、対抗する国家連合の形勢を引き起こし、第二次世界大 戦で敗北した。

 

(3)テロリズム現象を非合法化し、完全に殲滅する。

今 日世界のほとんどの政府は、テロリズムをすでに非合法とみなしている。問題は、世界中には、抑圧に対抗するための、テロリズムを含む非正規戦争以外に頼る ものを持たない無数の人々と、そう信じている人々がいることである。彼らはテロリズムを非合法とみなしてはいない。特に、彼らは自分たちが行っていること を、テロリズムとは思っていない。「革命家とテロリストの違いは」と、パレスチナ解放戦線議長ヤーセル・アラファトは1974年の国連総会で「彼が戦う理 由を持っているかにかかっている。正当な理由と、侵略者、入植者と植民地主義者に対して祖国の自由と解放のためという戦いに擁護される者は誰でも、テロリ ストと呼ばれる可能性はない」65 (同様に、最近処刑された反中絶テロリスト、ポール・ヒルは、中絶支持者を殺すことは暴力行為であり、テロリズムでしかないということを否定した。「私 は、中絶支持者を殺すにおいては総合的に判断した。なぜなら、彼は実際に暴力を犯した者だからだ」と、彼はジェシカ・スターンに言った。「私は、これから 行われる暴力を防ぐために武力を使ったとは思いたくない」66

 

 ブルース・ホフマンは「自分たちが戦いを好まない戦士だと気がついたテロリスト達は、自暴自棄……そして目に見える代替策の欠如…に駆られ、抑圧的な国家、食い物にしている競争相手の民族や国家主義者のグループ、あるいは無責任な国際秩序に対する暴力に走る」67 と述べている。ハマスの自爆志願者にとって、イスラエルは無辜ではなく、すべてのイスラエル人は敵であり、バスやディスコを爆破することは、憎むべき敵に 対する英雄的な戦争行為である。テロリズムのような非正規戦争が続く限り、政治的な失望と軍事的な無能を解放するための行動の道だけが残され、どんなに多 くの政府の見解がそれを不正規とみなしても継続される。テロリズムは、魅力的な代替策を持たない者にとって、理論的な戦略的選択である。68 政治的な解決を求めて、不満を持つ彼らに忠告を行うのは仕方がないことであるが、そうするための入手可能な政治的なプロセスを持たないならば、有益な助言を行うことは難しい。

 

 奴隷制度と 海賊行為のたとえ話が奨励できないことは特筆すべきだ。千年に渡り、どちらも道義的に受け入れられないことだと文明化された世界が認識するようになる以前 から繁栄したもので、国家法や国際法の強制力が及ばない場所では未だに収益の上がる事業であるため、どちらも存在している。

 

 しかしながら、GWOTの目標に関する主要な問題は、テロリズムが固有名詞ではないことである。ゲリラ戦争と同じく、それは暴力の手段であり、戦争を遂行する方法で ある。実在する敵に対抗するためのテクニックを、どうやって打倒できるだろうか? テロリストを殺したり、組織に潜入したり、財源を凍結したり、訓練基地 を粉砕したり、支援国家を攻撃したりすることはできるが、手法を攻撃できるだろうか? テロリズムに対する戦争全般は、「テロリズムを行う者と、その背後 関係について、目標の違いの識別に失敗している」と、ロバート・ウォーレイは述べている。「必要不可欠な識別を誤ることはただ一つ、本質的に似た政策と戦 略を誘引する」69 再び、ベトナム戦争での合衆国の内政干渉の推進という、脅威の識別の欠如が思い出される。

 

(4)イラクを成功し、安定した民主国家へ変革する。

この目的の実行可能性は検討される余地がある。イラクとアラブ世界の専門家の間では、イラクが民主国家へ変革できるかについて、特に民主主義を西洋の勢力の外に押しつけるという問題で意見が分かれている。70 少数の専門家は、アラブは文化的に民主主義を受け入れる能力があるという。君主政治と軍事政権は標準的なものだったが、悲観論者は、イラクの暫定政権に は、第一次世界大戦の後に、英国によって急ごしらえで作り上げられ、地域的、部族的に分割された国家としてのイラクの不安定さという、大きな障害があると いう。イラクの民主主義の実験の成功に対する最も大きな障害は、いうまでもなく、暫定連立政権と合衆国の占領軍が、これまでのところ、必要な公共の安全と 基本的なサービスの根幹を提供するのに失敗していることである。戦後イラクの治安の急激な悪化の進展速度と見通しは、詳細な戦争自体の計画とまったく対照 的に、戦後イラクのための計画を始めるのが遅れ、急き立てられた米政権を完全に驚かせた。71 米政権は、イラクに侵入し、サダム・フセイン政権を崩壊させるために招集された軍隊が、フセイン政権に対する主要な軍事作戦が終わった後でイラクを警備するのは不十分である可能性を予想していなかった。この結果、暴力と不安定が続いているのである。

 

 再び、過去の経験を例えることは、誤りを導く。米政権は第二次世界大戦後のドイツと日本での合衆国の成功を、1945年と2003年では違うことを無視して、二つの主要な枢軸国に対してしたことは合衆国がイラクに同じことができる証拠として、繰り返し主張している。72 なにより第一に、合衆国は戦後の日本に参加したし、ドイツの占領地域には地域的な抵抗が起きないように、圧倒的な兵力を配した。第二に、どちらの占領も、 広く一般に合法的なものだった。ドイツと日本が世界を戦争に突き進ませたのであり、戦争の勝利者は彼らを打ち負かして占領するのが正しく、義務もあるとみ なされていた。ドイツと日本の隣国は、彼らの侵略の犠牲者であり、合衆国とその同盟国の統治下に置かれることを望んでいた。日本の場合、天皇自身がラジオ を通じて直接日本国民に話しかけて日本の無条件降伏を認め、彼らに終戦を受け入れるよう訴え、ダグラス・マッカーサー将軍と繰り返し公共の場で並んで現れ ることで、彼の権威を正当化した(7年間の合衆国軍による日本の統治の間、アメリカの占領軍に対する政治的動機を持った暴力行為は一つもなかった)。対照 的に、重要な友好国と連合国を含むほとんどの世界は、イラクでの合衆国の戦争に反対しており、合衆国がイラクを占領することは、莫大な数のアラブ人の視点 から見た合法性のテストには不合格であるというのが正しい。

 

 古来から日 本社会は均一的、遵法的で、イラクとは根本的にも異なっており、ドイツと日本は共に、後者よりも前者に認められるのだが、彼らの政治史の中に民主主義の前 例を持っている。加えて、ドイツと日本におけるアメリカの役割は、ソ連の脅威によって促進され、合衆国はアメリカ人が占領するよりもずっと悪い運命に保証 を与えた。最後に、日本の場合、合衆国は完全に海に囲まれた、合衆国が統制できる(言葉を変えれば、イラクのように穴だらけの陸上の国境はない)、外国人 が採掘調査をするような鉱物やその他の資源を持たない国(言葉を変えれば、石油が出ないイラク)を統治したのである。

 

(5)      中東を参加型の自治と経済機会がある地域に変革する。

合 衆国がイラクを安定した民主主義に転換できるとしても(大きすぎる責務だが)、民主的なイラクが、民主的な中東を我々に与えてくれるかは不透明だ。ライス 国家安全保障担当補佐官は、「民主的なドイツは、今日のすべての、自由で、平和な新しいヨーロッパの要になったが、イラクの改革は、憎悪の思想が繁茂しな い点で非常に異質な中東の重要な要素になっている」73 と主張する。イラクと中東のまだ見ない経験と、ドイツとヨーロッパの過去の体験に類似点を見出すことの本質的な危険はさておいて、民主主義は大きな一度だ けの樹立によって、中東に模倣の殺到を引き起こすと想定されているようだ。しかしながら、この政治的なドミノ理論の続きの基本部分は、詳細に説明されたこ とがない。これは願望であろうか? 新保守主義のイデオロギー的な信念だろうか? 民主主義はこの地域の他の国々にも広まるであろうか?

 

 この新しい ドミノ理論の問題は、国家と社会は脅威にさらされやすい点では本質的に同じであるとした(言い換えれば、現代の中東の民主主義、1960年代の東南アジア の共産主義)、過去のそれと同じ問題を持っている。これは、地域の環境、社会的な格差、個々の国家の歴史、文化的な非対称を無視している。これはまた、 1933年にヒトラーがドイツで行ったように、民主的な手続きで権力を奪取する方法を使って、民主主義が妨害されると予想されることを無視している。一有権者は、一票を、一度だけ投じるの である。1990年代初期のアルジェリアで、萌芽しかけた民主主義制度の抑圧を誘発したように、イスラム主義者が権力を奪取するために民主主義を利用する のは大変な脅威である。特に、選挙権を持つイスラム主義者の脅威は、アルジェリア、エジプト、パキスタン、そしてサウジアラビアにおいて専制政治が継続し ていることから、小さいものではないとみなせる。イスラム世界での合衆国の戦略的利益は、実際には、友好的な専制政治国よりも敵対する民主主義国によっ て、より多く支配されているのではないか? いずれにしても、反西欧のイスラム主義者のテロリズムが、中東における友好国の民主主義の到来と、経済的機会 の発生を中断、あるいは著しく減少させるかは、まったく自明のことではない。母国で発生したテロリストは、民主的な西欧においては確実によそ者ではなく (合衆国で二番目に最悪のテロリストの攻撃は、ティモシー・マクベイが、1995年にオクラホマ・シティの連邦ビルを爆破し、168人を殺したことであ る)、少なくとも一つの研究は、非国家のテロリズムは自由のない国家よりも自由のある国家でより多く発生すると結論している74(非 国家のテロリズムは、サダム・フセイン政権下のイラクではほとんど起こっていない)。政治的な過激主義は、一般に、民主主義と経済的機会の欠如という独占 的なつながりを持っていないというものの、個人のテロリストとテロリストグループという点では、因果関係は証明できない。1960年代、1970年代、そ して1980年代の民主主義的なヨーロッパと合衆国の左翼テロリズムは、特権階級の行き届いた教育を受けた子供を引きつけた。オサマ・ビンラディンは、大 富豪の家系に生まれ、彼の副官アイマン・アル・ザワヒリはプロの外科医で、同時多発テロの犯人のほとんどは教育を受け、技能を持っていた。その上、テロ組 織に参加する、政治的、経済的により所のないすべてのイスラム教徒一人につき、テロリストの目標に共感を持ったとしても、参加していない者が何万人もい る。加えて、政治的な満足がありながらも経済的な不満を持つことは、政治的な目標の達成を導くことで、アラブのテロリズムを和らげるかも知れないが(たと えば、パレスチナ人のテロリズムは、主権があるパレスチナ国家の樹立に直結している)、前述の不満が満たされるだけなら、おそらく、宗教的イデオロギーの 動機を持つイスラム過激派組織は、少しだけ軟化するか、まったくしないかであろう。75 たとえば、イスラム世界の国家の慣習そのものを排除し、すべてのイスラム教徒を統治する、復権した原理主義者のカリフに置き換えるというオサマ・ビンラディンが公言する目標は、政治的満足をすっかり凌駕している。

 

 アルカイダ のような連中は、永遠に脅威であるだろうと主張するのではない。持続性があり、功を奏する対テロリスト活動は、重大な個人的な犠牲を伴うという単純な宣伝 によって参加する潜在的な補充兵の増加を阻止できるだろう。いつの日か、その上、アルカイダがイスラム世界を作り直すのに失敗すると、その支持者の数の増 加するのが明らかになるだろう。「合衆国は、対テロリストの能力を向上させているので、空しさは殉教志願者と彼らの指揮官の両方を落胆させるだろう」と、 コリン・S・グレイは述べている。「死ぬのと運動を前進させるのは、一つのことだ。終末論的な目標にも関わらず、おそらくは戦術的に失敗し、明かでない戦 略に奉仕することの、両方になりそうな軍事行動で死ぬことはまったく違う」76 さらに、単一の組織というよりは、多数の部品からなるシステムのようなアルカイダにアプローチする対テロリスト戦略は、山ほどの超過勤務分の給与を支払うのに似ている。ランド研究所は、2002年に発表した研究の中で、次のように述べている。

 

アルカイダの勢力を考える時に、それが一つの団体であるかのように混合するのは間違っており、むしろ、合衆国の権力の標的は、指導者、副官、後援者、補給担当官とその他の世話役、歩兵、徴募係、支援国、宗教家かイデオロギー上の象徴的人物を含む、アルカイダというシステムの多数の構成要素である。特定の指導者は簡単に阻止できないが、システムの他の要素ならおそらくは可能である(言い換えれば、支援国や金持ちの後援者は陰からアルカイダを支援している内は、豊かな生活ができる)。77

 

(6)      WMDを拡散する国家と敵対国、潜在的敵対国やその他の集団に対する運搬手段を、必要なら、武力を使って停止する。

こ の目標の実現可能性についての主要な論点は、合衆国が予防的な軍事行動を行うと脅すことで、ならず者国家が核兵器を入手することを阻止できるかどうかであ り、それに失敗した場合は、そうした国家からその手段を軍事的手段で剥奪できるかにある。戦時に核兵器を使って戦争を抑止することができる証拠がないこと は、平時における入手を促進する。逆に言うと、予防戦争を行うと脅すことは、実際に拡散を促進する。さらに、重大な意見の相違は、地下の核兵器施設を破壊 するように設計された新型の核兵器計画の実効性を取り囲んでいる。とにかく、そうした兵器を開発し、確実に使うことは、長期的にNPT体制と、現在世界的 に尊重されている核兵器実験の一時停止を弱体化するか破壊することによって、拡散を防止するという目標に破滅的な逆効果を生じると分かるかも知れない。

 

 合衆国は、予防戦争を行うと暗示的、明示的に脅すことで、ならず者国家が核兵器を入手することを阻止できるか? この疑問に答えるのは、合衆国が宣言した予想自衛政 策があまりにも新しく、イラクに対する合衆国の予防戦争が、抑止効果をその他のならず者国家に少しでも及ぼしたかが未だ明らかになっていないためにむずか しい。イラクの自由作戦が、身も凍るようなメッセージを、テヘランや平壌、その他のならず者国家の首都に送り届けたと信じる者は間違いなく存在する。たと えば、有名な新保守主義のコラムニスト、チャールズ・クラウザマーは、サダム・フセインの排除は、「WMDを手に入れる計画を破棄させるために、他の独裁 者たちへの明快なデモンストレーションになったろう。WMDを手に入れなければ、彼らは合衆国の攻撃を免じられるが(古典的な抑止力として)、彼らが手に入れれば君たちが消滅するのだ」78、と述べている。予防戦争は、抑止力の代替手段とはいうものの、実際には抑止力を強化する。

 

 事実、イラクの自由作戦は、少なくとも今のところは、北朝鮮とイランにおいて、正反対の効果を得たことを明らかにした。戦争以前ですら、北朝鮮は恐らく、邪悪な国 家と宣言され、イラクに次いで合衆国の攻撃リストで二番目になっていると見込まれるのに応えて、その核兵器開発計画を加速させていると公表している。イラ ンもまた、最も疑いが持たれている以上に進行している、潜在的な核開発計画をさらけ出している。どちらの国家も、少しも抑止されていないように見えるだけ でなく、北朝鮮は中国からの重圧の下にあり、最終的に、今のところ結果が分からない多国間に渡る外交交渉に突入している。しかしながら、米政権は、ひとつ にはイラクへの執着のため、ひとつにはイラン、そしてとりわけ北朝鮮は、イラクに対する軍事行動よりも格段の困難と危険を引き起こすと思われるために、こ れらの国家に対して軍事行動を起こしたり、起こすと言及もしていない。イランは、非常に巨大で、イラクよりも遥かに強力なテロリストの脅威を持っており、 イランの位置と地形は、補給や作戦行動にとって極めて厳しいものである。北朝鮮は核兵器の能力を持ち、多数の長射程の砲兵部隊を前方展開することでソウル という人質を維持している。

 

 これらがす べて意味するのは、脅威の重要性や、現実の予防的軍事行動の標的は、効果のある軍事的抵抗を行ったり、合衆国とその連合国によって、危険な存在として高い 値をつけられることもない、イラクのような標的となる国家に絞られるだろうということだ。そのようなことをする能力を持つ国家は、それが抑止される以上 に、特に合衆国を抑止するだろう。「北朝鮮が示すことは、抑止力が機能している最中だということだ」と、2003年1月に、ジョセフ・S・ナイ・Jr.は述べている。「唯一の問題は、我々は抑止されている者の一人だということだ」79 イラクは、北朝鮮に比べると拡散国家としては小さく、テロリズムのスポンサーとしてはイランより小さいのに、軍事的に打ち負かしやすいという理由で選ばれ たのである。イラクとの開戦の決定における意見の相違で辞任した前英国外務大臣のロビン・クックによれば、「真実は、合衆国がイラクを攻撃すると決めたの は、イラクが脅威を及ぼしているからではなく、合衆国がイラクは弱体で、軍隊が崩壊することを期待できたからである」80 いずれにせよ、イラクの自由作戦の厳しい現実と、その予想外にやっかいな結果は、いつ起こるか分からない第二の予防戦争のための合衆国の軍事的資源を極度に束縛している。

 

 しかし、外科手術の ような攻撃が、ならず者国家の体制の代わりに、核施設に照準されていることはどうなのか? 容疑をかけられたならず者国家は、沢山の秘密の核兵器開発計画 を葬り、そうした攻撃は恐らく、合衆国の核体制の見直しの中で開発が示唆されたような小型核爆弾を搭載した、地面を貫通する兵器を必要とするはずだ。81 そうした兵器の効力と賢さはどちらも、極めて疑問だとされてきた。82 科学者達は、兵器が過度のコラテラル・ダメージを出さずに仕事をするように開発できるか、十年以上前に核兵器の製造を中止した合衆国への懸念を核兵器軍備 管理の擁護者が表明すること、そうした新しいカテゴリーの核兵器の開発や実験を始めるのは、1998年からすべての核保有国を監視してきたNPT体制と包 括的核実験停止条約の両方を弱体化させないか、核兵器と通常兵器の違いを曖昧にしないか、といったことで対立している。新型のミニ核に 反対する、前核兵器軍備管理の交渉者であり、現カーネギー基金非拡散計画の理事ジョセフ・チリーチョーネもまた、核兵器を現実に使用するのは、「トルーマ ン政権以来拡張してきた限界点を越えるだろう。同じように、今度は他の国が核兵器を開発し、使用するのを促進するだろう。それは合衆国の国家安全保障の利 益にはならない」83 と指摘している。最後に、避けられない、最も重要な政治的な疑問がある。平時において、非核保有の、非西洋の国家に現実に核攻撃を行ったアメリカの大統領 はいただろうか? 簡単にいえば、予防的な軍事行動を取ると脅迫することと、実際に行うことは、本質的に危険で、アメリカの力の限界を確実に超えているで あろうWMDの拡散が続くことを阻止するという目的を実現するには、潜在的にまったく逆効果の手段である。

 

 GWOTの 六つの目標の現実性を要約するなら、アルカイダを殲滅するか、少なくとも十分に脅威が小さくなるよう減少させ、イラクを安定した民主主義に変革すること は、間違いなく本質的に非現実的な目標だということだ。アルカイダが単なるテロリスト組織以上に留まらないとはいえ、テロリスト組織は打ち負かすことがで き、またそうしてきたし、ある物が別の物へと変わる道筋は長期化し、不安定で、暴力的になり得るとはいえ、専制政治から民主主義への移行には印象に残るよ うな歴史がある。アメリカの能力と持久力は、両方の目標を達成する鍵になり、それらの特質は、アルカイダとの戦いの中で示されてきており、それらは戦後イ ラクにおける未解決の問題となるだろう。合衆国は、(正規の)軍人、資金、専門家……政治的変革を成功させるのに必要な基本的な安全保障を提供するのに必 要な資源にまったく投資していない。イラク建国の費用と問題を受け入れるのに失敗したことは、イラクを安定した民主主義に変革するという目標を非現実的に し、中東における政治的変革の目標を拡張した。このさらに大きい目標は、達成するためのすべての外部の力をすっかり越えているが、ブッシュ政権が定義する GWOTの論法は、中東の変革は、イラクの民主化がドミノ現象を引き起こした場合のみ可能性があるというものだ。

 

 本質的に非 現実的なものの区分を明らかにすると、すでに議論された理由で、地域と国家の類とのつながりとテロリズムそのものを含む、すべての世界的規模のテロ組織を 壊滅することである。これらの目標は、達成するためのアメリカの手段を単に超越するだけでなく、理由もなしに合衆国の利益の脅威ではないと合衆国を戦わせる。

 

 ならず者国家をWMD、特に核兵器の獲得から阻止するという目標は、危険な軍事行動や戦争の危険性を冒してのみ達成できるだろう。逆説的にいえば、イラク侵攻の後に、合衆国が明確に予想自衛という前進傾向のあるドクトリンを受け入れたことは、合衆国の政策の焦点である脅威そのものを膨張させるかも知れない。ならず者国家が、脅迫や侵略のために単独で核 兵器を探し回っているというのは誤りである。ならず者国家は、そうした兵器を数多くの理由で望んでおり、多くは核兵器を所持していたり、それを模索してい る敵から自分を守るためである。合衆国は、そうした敵の最たるものである。だから、ならず者国家が核兵器を獲得しようとする目的は、合衆国が彼らを軍事攻 撃するのを抑止するためや、少なくともアメリカの攻撃の費用を上昇させるためだろうと理解できる。イランを実例にしてみよう。イラン人の核兵器への関心 は、国王の下にはじまり、北の敵対する核大国(ソ連)、西の野心的な核大国、さらにもう一つの東の核大国(パキスタン)に刺激されて来た。核武装したイス ラエルと暴力と不安定さの歴史、その地域での戦争、合衆国がイランを邪悪だと宣告したことを含めれば、あなたはイランの核への野望が完璧に理解できる説明に至る。

 

 この議論は、目的と手段の選択を要約する。ならず者国家が核兵器を所有しているだけでも受け入れられない脅威だとみなすなら、予防戦争は唯一の拠り所となるだろう。反対に、脅威はならず者国家の核兵器の使い道によって決まると定義するなら、抑止は より好ましい手段となる。なぜなら、ならず者国家が核兵器を獲得するのを予防することは、ならず者国家が核兵器を使うのを抑止するよりさらに困難で危険な 目標で、ならず者国家が抑止不可能だという説得力のある証拠がないという理由で、予防という目標を抑止のそれと入れ替えるほうが賢明ではないかという疑問 が生まれる。

 

GWOT その持続の可能性

 

 GWOTの 政治的、財政的、そして軍事的な持続能力には、検討の余地がある。GWOTには、長期的な費用のかかる事業になるだろうという一般的な合意事項がある。加 えて、ならず者国家とテロリズムを分離できない脅威として混淆することは、GWOTをイラクへの侵攻と占領の方向に向け、同時にイラクを、十字軍と いう標的を殺し、破壊する聖戦戦士を吸い付ける国に転向させた。米政権は、イラクで非正規戦争に遭遇することを予期しておらず、ましてや、合衆国の軍隊だ けでなく、友好的なイラク人、再建した目標物、合衆国の人々までも直接に対象とする、認めがたい非正規戦争である。極上の短期の通常戦争として始まったも のが、終わりのない非正規戦争に発展している。イラクを侵略し占領しただけでなく、合衆国はその未来に責任があり、そのために道義上、戦略上の選択を持た ないのに、安全保障を復活させ、機能する経済と安定した政府を打ち立てようとしている。歴史家は、イラク攻撃の妥当性を議論するであろう。しかし、合衆国 の現在の問題は、イラクの未来に対する約束を果たし、実現できるかということだ。責任逃れは、最悪の事態を生むだろう。マイケル・イグナチエフは述べてい る。

 

フ セイン派に参加するために、シリア、イランやパレスチナからイラク領土に入った外国人兵士は、アメリカ人兵士を攻撃するのに、どの程度の危険性があるかを 理解している。アメリカ人兵士が血を流せば、早期の撤退を促進し、イラクを民主化する機会が破壊されることが、ベトナム戦争以来の大敗北をアメリカに負わ せ、この地域のすべてのイスラム過激主義者に「ゴリアテは傷つきやすい」84 というメッセージを送るだろう。

 

政治的側面

 

 非正規の敵 を相手とする長期化された闘争の中で、国家建設だけでなく政治的な忍耐の両方を行わないことは、1960年代以来、アメリカの政治的手腕の顕著な特徴だっ た。特に、「アメリカ人が、紛争終結後において、能力、資源、熱意を欠くことは、ベトナム戦争の失敗によって増加した、国家建設への国民的な嫌悪感という 主要な問題」は、イラクの自由作戦が始まる前に発表され、広く読まれている合衆国陸軍のイラク再建の研究において、結論が出されている。85 この研究は、予見し、警告している。

 

も し、戦争が短期間で終わり、犠牲者も少なければ、占領は恐らく、合衆国が残忍な独裁者の国民を開放するという利益を得られる間の、ハネムーンの初期を特徴 とするだろう。それにも関わらず、ほとんどのイラク人とその他のアラブ人は、恐らく合衆国はイラクを自身の都合で侵略しており、人々を解放するためではな いと考えている。感謝が持続するとは期待できず、合衆国の動機への疑惑は占領国に広まるだろう。当初は解放者とみられていた軍は、短期間でありがたくない 占領を長期間続ける侵略者としての立場になり下がる可能性がある。占領の問題は、合衆国が占領業務の大部分を自身で行い、戦後処理用の国際部隊へ移管しな ければ、特に深刻になる可能性がある。86

 

 研究は、非 正規戦争の発生と持続や、大統領がイラクにおける主要な戦闘活動の終了を宣言した、2003年3月1日以降、イラクにおいて発展したこの状況に対する米政 権の準備不足を予見していない。この後、8月に多数の合衆国軍兵士がイラクで殺害されたことにより、戦死者数は3月1日以前を上回り、何人かの評論家が、 イラクの経済と政治の再建を可能にするのに必要な安全保障を提供するための地上軍が、依然として不十分であると主張した(国防総省の当局者は、兵力不足と の批判を否定した)。この状況は、連邦議会から、より多くの資金と人力の投入という小道の両側、と呼ばれた、1982年〜84年のレバノンへの合衆国の侵 攻作戦87 との比較を引き出す。88

 

 もし、イラクでの合衆国の努力が、GWOTの構成部分とみなされるなら(ブッシュ大統領は、2003年9月7日の演説で、イラクをGWOTの中央戦線であると言った89)、 それは貨幣原価、投入される軍隊の人力と戦略的な危険性においては、間違いなく最大である。従って、GWOTの持続の可能性は、イラクにおける現在の合衆 国の政策の持続の可能性によってほとんど決まる。アメリカの人々とその代表者たちは、イラクと距離を置こうとしないだろうか?

 

 戦後イラク の難問に対処する時に、(英国を除く)重要な国際的な関与を欠いていることは、合衆国に流血の矛先と、貴重な損失を負わせることを強いる。(2003年の 夏の時点で、185,000人の合衆国軍兵士がイラクとクウェートに派遣されている。合衆国と英国を除く、29カ国の国際的な同盟国が、彼らにとっては軍 事的に重要ではないのに、総計で12,000人、平均で国家の派遣部隊一つにつき430名の兵士を提供している90) この状況は、合衆国政府が、イラクの将来に関する政治的、軍事的権威を、国連やその他のいくつかの国際的共同体にしぶしぶと分け与える限り、続きそうな見 込みである。イラクでは、合衆国軍の兵士は、3月1日以来、一日に1人の割合で戦死しており、8月の終わりまでに、合衆国の負傷兵の数は、一日に10人の 割合だった。91 しかしながら、損害はその後、反政府分子の攻撃の回数と洗練化によって上昇し、11月の一ヶ月間で、79人の合衆国兵士がイラクで戦死し、二ヶ月間の主要な戦闘活動のどちらをも上回った。92

 

 イラクにい る合衆国軍を維持するためのドル原価は、現在では一ヶ月あたり40億ドルであり、年間では480億ドルである。2003年初夏、ホワイトハウスは、議会指 導者にイラクにおける軍隊と再建の費用の増加をまかなうために、600〜700億ドルの新しい予算請求を準備していると通知した。93 大統領は、その少し後、イラクと継続しているアフガニスタンでの合衆国の費用をまかなうために、870億ドル以上の要求を公表した。94 一週間もしない内に、ラムズフェルド長官は、イラクの戦後復興費用は別に350億ドル以上の費用がかかりそうで、公表された870億ドルを上回る、と合衆国の上院議員たちに通知した。95 これらの動きは、戦争とその直後の費用を賄うための、790億ドルの初期の経費計上の後に起きた。兵の損失とドル原価は、安全保障の状態、合衆国の政策、 あるいは、イラクの未来に対するより重たい責任を課せられた国際社会の意欲に従って、上がったり下がったりしているのだろう。2003年9月初旬、ウォー ル・ストリート・ジャーナル誌が提供したアセスメントは、予測されるイラクの戦後費用のなお一層悪い悪循環は、イラクの短期的な石油収入の過大評価、驚く ほど老朽化した基本的なイラクのインフラ、パイプラインや電力線、その他の重要な復興の標的の破壊行為、広範囲で継続性のある略奪、イラクの政府と保安部 隊を拡大する資金繰りの下流部門の費用、重要な国際支援団体の芳しくない可能性、に起因すると予測した。96

 

 主要な戦闘 活動の終結が宣言された7ヶ月後の時点で、合衆国軍の損害は出続け、いかなるイラク製のWMDも見つけられず、さらに予期しない高額の占領と復興の費用に も関わらず、大衆と議会の大多数は、ブッシュ政権のイラクにおける目標を支持し続けている。アメリカ人は、自分たちの兵士が戦っている時に、大急ぎで逃げ 出すのをとりわけ嫌う。大衆は、なによりイラク製のWMDの脅威が本物で、サダム・フセインを権力から取り除いたことは、テロリズムに対する戦争に不可欠 なことだったと信じ込まされているために、この戦争がまだ好調だということに賛成している。(2003年9月のワシントン・ポスト紙の世論調査では、69 パーセントの人が、「少なくとも、同時多発テロにサダム・フセインが関与していたと考えられる」と信じていることが明らかになった97) あまりにも多くの政治的、軍事的資源がこの議論を呼ぶ事業に投資されており、あまりにも多くの外国の批評家が「我々が言ったとおりだ!」と言いたがっているので、合衆国にはイラクで失敗をする余裕はまったくないのだ、という意見もまた存在する。

 

 現在までに 被った合衆国の損害の割合が、受け入れられる範囲を超えているという確かな証拠はない。エリート市民と軍人たちは、大損害を被ることに対する大衆の敏感さ をとにかく過大に見積もる傾向があるが、被ったものの理由と目に見える政治的な前進があると信じられる限り、ほとんどのアメリカ人は大損害を受け入れるの をいとわない。98 少なくとも同時多発テロ以前は、問題は、ハイチ、ボスニア、コソボ、イラク、そして派遣された合衆国陸軍が戦える可能性がある唯一のアフガニスタンなど、一連の臆病な合衆国の軍事侵攻が生んだ、エリートの政治家や軍人の間にはびこる損害恐怖症だった。99 しかし、1990年代の侵攻作戦は、えり抜きの戦争だったのであり、ほとんどのアメリカ人はイラクに対する戦争は必要な戦争で、生命財産を非常により大きな危険にさらす価値があると考え続けた。

 

 2003年 夏の終わりまでに、イラクで起こっている様々なことに対して、大衆の不満が増加する兆候が見られた。8月末の二つの世論調査は、イラクでの簡単で金のかか らない結末への期待が消え去ったことを示している。USAトゥデイ紙、CNN、ギャロップの世論調査は、63パーセントのアメリカ人は、未だに戦争は戦う 価値があると信じているが、54パーセントは米政権がいう「イラクを安定化させ、民主化させる正確な計画はない」と考えている。回答者は、イラク国内の 「合衆国軍の水準の現状を維持するか、増強すべき」(51パーセント)と「合衆国軍の削減か、完全な撤退」(46パーセント)に、ほぼ等分されている。100 ニューズウィーク誌の世論調査では、69パーセントのアメリカ人が、合衆国が「目標の達成に多くの前進が見られないまま、何年間もイラクで動きが取れなく なる」ことに、「強い関心がある」(40パーセント)と「少し関心がある」(29パーセント)と分かった。47パーセント近い人は、イラクでの合衆国軍の 維持費用が「財政赤字と経済への深刻な影響」をもたらすことに「強い関心がある」と答えた。これらの調査に回答した60パーセントの人は、一週間あたり 10億ドルの占領費用の見積もりは、高額すぎて、減額すべきものと信じていると答えた。15パーセントの人だけが、占領の現在の水準を3年以上支持すべき だと答えた。101 この後に行われた、ワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査では、全回答者の60パーセントが、イラクとアフガニスタンの合衆国軍と民間活動に使う870億ドルの大統領の追加要求を支持しなかった。102 十月末のワシントン・ポストとABCニュースの世論調査では、初めて、51パーセントが、政権のイラク対応のやり方に賛成しないことが分かった。103

 

財政的側面

 

 イラクの赤 字経済に関することは、大衆や議会の態度に強く影響されて変化するだろう。イラクでの損失がなかったとしても、予算外の要求によってまかなわれている合衆 国の赤字は、政府の借金を今後十年以上増加させると予測されている。2003年8月、連邦議会予算事務局(CBO)は、2004年度の財政赤字を4800 億ドル、2004〜2013年までの十年間の累積赤字を1兆4000億ドルと見積もった。104 法律上、CBOは現行の法令だけに基づいて見積もりを立てるので、これらの数字は問題を最小限に評価している。CBOの見積もりは、ほとんどのオブザー バーが延長されると考えている、大規模な2001年と2003年の減税が予定どおりに終了になることを仮定している(ホワイトハウスと、共和党の議会指導 者はどちらも、この減税を恒久的にすることに賛成している)。CBOの見積は、高齢者向け医療保険制度の処方箋薬扶助法案を前倒しし、最低課税法改正法案 の議会通過を無視しているようだ。ワシントン・ポスト紙の財政アナリストによれば、この三つの法案全部で、2004年から2013年までの赤字の累計は、 1兆9300億ドルの見積もりとなる。105 CBOはさらに裁量支出はインフレ率だけでも上昇し、これからの十年間で平均2.7パーセントと見積もっているが、実際には、過去5年以上、年7.7パーセント上昇してきている。後者の上昇率だと、1兆3900億ドルという別の見積もりが加わる。106 ワシントン・ポスト紙のアナリストによれば、これらの増加分の合計は、借金に追加の利息を加え、2004年から2013年の合計で、CBOの見積もりのほとんど4倍である、4兆3300億ドルの赤字の見積りを生む。107 ザ・センター・オン・バジェット・アンド・プライオリティズの評価は、さらに大きい5兆1000億ドルの赤字を見積もっている。108

 

 実際のとこ ろ、これらの数字は見積もりであり、見積もりは仮定に依存している。しかし、これらは、2001年と2003年の減税が継続されることが目前で、最低課税 法改正法案が議会を通過し、裁量支出がインフレ率を大きく上回る、連邦財政の危機の重大性を伝えている。これらの見積もりは、さらに、2004年度以降の イラクにおける合衆国軍の費用や、イラクが世界に対する責任に応える貢献力により決定される、より大規模な合衆国陸軍の予想される費用を含んでいない。財 務的には、来年には何かを犠牲にしなければならず、合衆国のイラクにおける野心を何か削減しなければならないだろう。こうした削減は、特に、アメリカ人が イラクへの出費の因果関係を理解するようになること、連邦予算の赤字の急増、そして本国での経済的な悪い出来事(金利の急上昇など)により、一層増えるだ ろう。

 

軍事的側面

 

 GWOTの財務上の安定性は軍隊の安定性と切り離せない。合衆国陸軍は、戦後のイラクが、合衆国陸軍を限界点(下記の議論を参照のこと)に向けて圧迫すると予期していなかった。イラクとの戦争が近づくにつれて、米政権は、解放者としてのシナリオを想定し、機能する政府政権や警察とその他の保安部隊が存在するサダム以降のイラクを継承でき、政府の急速な崩壊も、合衆国軍への非正規戦争の発生もないと期待した。109 国防総省は、伝えられるところでは、2003年の秋までには、ほとんどの合衆国軍をイラクから撤収する計画を立てていた。安全保障の環境は寛容で、連合国 から大規模な占領部隊が派遣されると予想したため、主要な軍事行動の停止の後の半年で、イラク国内の合衆国軍兵力は、70,000人を越えず、最小で 30,000人までに削減すると計画されていた。110

 

 しかし、2003年5月中旬に、イラク国内の安全保障の状況は国防省に、計画していた撤退と、約150,000人の占領部隊の平和な帰還を中止させた。111 7 月に国防総省は、2004年になっても、イラクに駐留する合衆国軍を156,000人のままとする計画を発表し、合衆国陸軍の計画立案者は、イラクを拠点 とする任務の交代もまた、最大の海外派遣の期間の半年から1年の交代勤務期間へと増加し、少なくとも二つの州軍の旅団を配置することを認めた。112 明らかに、戦後イラクでの予期しなかった責務は、陸軍を、発生する恐れがあるあらゆる不測の事態に備えて取っておいた予備部隊を少し使うところまで乱用し ている(例えば、朝鮮戦争)。実際に、陸軍は、33個のイラク国内の現役の戦闘旅団のうち16個の責務を、何か責務を減らしたり、軍の組織を拡張しない限 りは引き受けることができないように見える。

 

 2003年 の秋の時点で、陸軍はイラク国内とその周辺に約185,000人の兵(陸軍の現役最終兵力の3分の1)を、アフガニスタンに10,000人、加えて韓国に 25,000人、バルカン半島に5,000人を置いている。全部で370,000人の合衆国軍の活動中と予備の部隊、あるいは、およそ百万を越える現役・ 予備合計の3分の1以上が海外に配備されている。イラクの配備が復興のために特別な秩序と安定をもたらすのを大きく促進するとしても112、何人かの批評家は、これが陸軍が海外に配備している基地の交替を行う能力と、他の地域での不慮の事態に備える戦略的な予備部隊を奪う恐れがあると信じている。113

 

 2003年9月、BCOによるアセスメントは、「陸軍はイラクの 占領状態を、同じ時期に現在の規模で維持する十分な現役兵力を持っておらず、一年で配備を制限し、陸軍のその他のすべての責務を維持するべきである」と結 論している。この研究によれば、さらなる州軍と予備兵の出動は、占領軍が純粋に国際化され、大規模の外国の軍隊がイラク国内に駐留する合衆国軍を大幅に削 減することを可能にするとしても、合衆国が2004年ま5月まで、イラク国内とその周辺での現在の陸軍の水準を支えるだけでしかない。116 米政権は、明らかに9月上旬までにこの方向に向けて動き出していた。ホワイトハウスは、イラク戦後におけるより重要な国連の役割について抵抗を続けた数ヶ月後、伝えられるところでは、国務省と統合参謀本部、さらに議会指導者の強い主張により117、国連に権限を置いた合衆国主導の多国籍軍を創設することを要請する国連安全保障理事会の決議草案の通過を認めた。118

 

 GWOTの 政治的、財政的、軍事的持続力を総合すると、未だに解決されていない問題となる。財政的、軍事的な持続力には明らかに危機が潜んでおり、政治的な持続性へ の脅威に転じる可能性もある。重要なことは、安全保障の状況と、米政権がテロリズムに対する世界的な戦争の中央に位置づけた、合衆国のイラク政策の将来で ある。アルカイダに対する比較的安価で必要な戦争の持続性については、若干の疑念がある。この問題は、イラクに対する上質の戦争の実現性と、その影響であ る。

 

GWOTを制限せよ

 

 この研究の 結論の中心部分は、「現在までに定義され、戦われたテロリストに対する世界的な戦争は、危険なまでに無差別で、野心的なので、その要素は合衆国の安全保障 の利益とアメリカの国力に合致するよう再調整されるべきだ」である。こうした再調整は、戦争の目的を非現実的なものから現実的なものへ、伝統的な軍事力の 運用について無用な物議を醸すことへの脱却が必要である。特に、GWOTを現実的に制限するには、以下の基準を必要とする。

 

(1)      脅威の分離

こ れは、思考と政治の両方において、ならず者国家をテロ組織から分離して取り扱い、テロ組織を合衆国と戦争をしていないテロ組織と分離することを意味する。 ならず者国家とテロ組織を分離できない脅威として近似させることは、重要な性質の違い、脅威の程度、合衆国の軍事行動の脆弱さを無視している。アルカイダ は、合衆国との戦争において、沢山のアメリカ人の命を欲する、抑止できない組織である。北朝鮮は、(目下のところ)抑止可能(破壊も可能)な国家で、合衆 国と本物の戦争をしていない。同様に、すべてのテロ組織を、テロリズムの包括的な脅威にまとめることは、不当にも、合衆国の安全保障の利益の脅威にならな い敵のグループを作ってしまう。テロリズムは、どんな目的においても、ひどく恐ろしい手段を用いるが、バスクのE.T.Aやタミル・タイガーは、合衆国に とって現実の脅威だろうか? 戦略には、たとえば、脅威の識別や取り組みの優先順位など、不十分な資源の枠組みの中で選択することが必要である。

 

(2)予防戦争を、ならず者国家がWMDを獲得するのを監視する本来の政策へ、信頼性のある抑止力へと置き換える

 この基準 は、合衆国の政策の焦点を、ならず者国家がWMDを獲得することから、ならず者国家がWMDを使うことへ焦点を移す。効果的な受け入れがたい報復の脅威に よって、ならず者国家がWMDを使うことを阻止できるとか、ならず者国家はもっぱら脅迫と侵略のためにWMDを探し求めているという証拠はない。しかしな がら、ならず者国家が、WMDの獲得するのを抑止するのに失敗した証拠はあり、実際に予防戦争政策を宣言したことが、獲得を促進した証拠はある。予防戦争 は、どんな場合でも友好国や同盟国を遠ざけ、合衆国を孤立させ、不必要に苦しめる(イラクの場合のように)。抑止力に第一に依存する政策は、あらゆる危機 において、生来持っている先制攻撃の選択肢を排除し、そして予防戦争とは対照的に、厳密な基準の下での法的な制裁措置を持っている。

 

 コリン・グレイは、予防戦争を行うことに反対し、「アメリカ人の政治、諜報、軍事の資源への要求が厳しすぎる」ために、予防戦争は「同時多発テロ以降の時代の主要な戦略上のアイデアである」と説得力を持って述べている。

 

合 衆国は、なしうるすべての抑止力を行使する以上に実践的な選択肢を持っていない。もし、この見解が受けいられないなら、その動かしがたい影響は、合衆国を 世界秩序の保安官として、先制攻撃や予防戦争に代表される、指導的立場としての職務を遂行する政治的な手段により、英雄的な行動を取ることを要求する。先 制攻撃と予防戦争は、抑止力とは対照的に、一応は機能するので、明白な魅力を持っている。しかし、それらには、安全保障全体に見込みのない冒険を助長する 危険がある。119

 

 コンドリーザ・ライス博士は、2000年にこのことに決着をつけている。「ならず者国家に対応するための第一の防衛線は……WMDを手に入れた途端、彼らの武器は、それを使うすべての試みが国家の消滅を招くために、使えなくなる……という、明白で、古典的な抑止力の説明書きであるべきだ」120

 

(3)GWOTを、アルカイダを最優先課題とし、その同盟と本土の防衛に焦点を合わせ直す

 最近のイラ クへの執心からすると、これは難しいだろう。しかし、要するに、アルカイダはならず者国家ではないが、同時多発テロを行った者達であり、また、アルカイダ はならず者国家ではないが、合衆国と西欧の世界的な利益に対してテロ攻撃を行い続けているのである。イラクに対する戦争は、テロリズムに対する戦争への回 り道であり、その不可欠な構成要素ではないのである。事実、イラクの自由作戦は、アラブの心臓地帯に、巨大なアメリカの標的を確立することで、テロリスト の脅威を拡大しているかも知れない。イラクの自由作戦によって被った予想外に巨額の費用と、継続している影響は、恐らく、比較的安価なアルカイダに対する 対テロ作戦の費用に影響は与えないだろう。しかし、こうした費用は、本土防衛の極度の資金不足への資金拠出を、ほとんど確実に遅らせる。

 

 実は、本土 防衛は、恐らくイラクに対する戦争の最大のGWOT用の機会費用である。実例をあげると、およそ1500億ドルがすでに認められており、あるいは、戦争と 戦後(いつまで続くか見当がつかない)の費用を賄うために要求されている。この数字は、次の5年間で合衆国の機関が緊急事態に対応するための連邦政府の補 助金の不足分の見積もり、984億ドルを500億ドルだけ越えている。この見積もりは、外交問題評議会の後援の元に、特別委員会が作成したもので、 2003年の夏に完成した。この研究、「緊急対応機関、極度の資金不足、危険な準備不足」は、同時多発テロの約2年後に結論を出し、なにより戦闘用無線、 警察部門のWMD防護装置、公共の衛生研究所の基本装備と専門家、ほとんどの都市での有害物質検知器具の深刻な不足のために、「合衆国は、アメリカ人の土 地に対する壊滅的な攻撃に対して、準備不足のままである」といっている。121 そして、緊急対応機関は、資金不足の国土安全保障を構成する沢山の中の一つなのである。

 

 (4)ならず者国家の体制を、戦争以外の方法で変革させる

 イラクで 行っているような強制的な体制の変革は、予想できない出費と意図しない結末をはらんだ事業である。小さな軍事的危険だけで旧体制を打倒したとしても、イラ クの場合がそうであったように、新体制を擁立する作業は、犠牲が大きく、長期化し、戦略的な消耗になり得る。実は、合衆国の戦後イラクへの執心と、合衆国 のイランや北朝鮮への攻撃に対するさらに強力な抵抗との組み合わせは、ほとんど確実に、強制的な政権交代の標的としてのこれらの国々をどちらもとも正式に 取り除いてしまうだろう、といって差し支えない。合衆国はとにかくも、戦争以外の手段による技術的な政権交代(例えば、秘密工作)の経験を沢山持ってお り、政権交代の手段がない場合であっても、好ましくない政権の行動を変えるために、威圧的な外交活動や、貿易・援助分野での譲歩のような手段がある。さら に、ほとんどの敵対する政権は、時間をかければ変革させられる。ゴルバチョフ政権のロシアは、江沢民政権の中国が毛沢東政権を認めないように、スターリン 政権を認めることはなかったろう。

 

(5)      イラクの民主主義よりも安定性を高め、合衆国のイラクに対する責任よりも、国際社会への責任に備えよ

合 衆国はイラクでの、拡大解釈すれば、中東全体での期待をより下げるよう余儀なくされている。イラクに民主主義を樹立することは、明らかに望まれる目標であ り、合衆国は目標が達成できるかどうかに関係なく、実行すべきである。しかし、民主主義への道が、混沌としていたり、暴力に溢れていると分かり、一有権者が、一票を、一度だけ投じる方法に よる神権政治の樹立の兆候が見えたら、合衆国は、カイロ、リヤド、イスラマバードにおいては職務上の関係を楽しんでいるような、友好的な専制政治の形で の、安定化を図るべきである。これは間違いなく好ましい選択ではないが、少なくとも最優先の安定性という短期的な合衆国の安全保障の利益に矛盾しない唯一 の選択肢になるかもしれない。同様に、合衆国はイラクにおけるその地位を、純粋に国際管理下に置くことを受け入れるかもしれない。合衆国のイラク戦争に反 対した、主だった国々を包括して派遣される、国連が権限を持った多国籍軍は、アメリカがイラクに駐留することと、合衆国がほとんど自力でやっている占領統 治、戦後復興の生命や財産への苦痛の両方を分かち合うことを正当化するだろう。

 

(6)      合衆国の軍の水準、特に地上軍の水準を再評価せよ

 イラクの自由作戦と、その余波 は、全面的な合衆国軍の再評価を強く主張している。しかしながら、防衛態勢の転換は、(なによりも)人的資源の技術の転換を強く主張し、講和や国家建設と いった戦後の作業は、人員の集中を本質とする。実は、防衛態勢の転換は、合衆国がイラク国内で当面している任務には逆効果になるかも知れず、そのほかの国 家においては潜在的に、合衆国が緩和を選んだり、再生を試みることができるだろう。フレデリック・A・ケイガンは、なぜ「合衆国が最近の戦争には勝利を収 めながらもしかし、攻撃を止めた後で安全保障における政治 的な目標において重大な困難に遭遇するのか」のかという理由について、「標的の集合体として敵を認識し、すべて、あるいはほとんどの標的に命中させれば、 必然的に相手は降服し、アメリカ人の目標が達成されたと信じる」という「戦争の考え方」が存在すると言っている。「この考え方は、どれくらい、完全に、敵 を打ち負かしたのかと、敵国で現在は銃弾が飛ばなくなったように見せているものは何かという重要さを無視している」122 ケイガンによれば、「合衆国全軍を軍事的に態勢転換する最近の計画の全体的な狙いは……この種の狙いが決まっている思考方法の推進と完成に目標が定められている」123 さらなるポイントは、次の通り。

 

他 国の政権が交代することを要求する国家が直面している最も難しい任務が、新しい政権のために、敗北した国民の支援活動を請け負うことならば、その国家の軍 隊は、物を破壊したり、人々を殺す以上のことをしなければならない。彼らは、重要な大衆の中心地や国家的な基盤施設を確保しなければならない。彼らは、治 安を維持し、安定した新政権を樹立しようとするアメリカの努力を台無しにする人道上の大惨事が進行するのを防止しなければならない。124

 

これらの任務は、沢山の地上軍を、長期間に渡って必要とするだけでなく、さらにこういう認識が必要である。

 

合衆国が政権交代を目的とした戦争を請け負い、世界的な事件を統制したり、監督したりする、 最近の重要な役割を続けようとするならば、その戦争のイメージを根本から変えなければならない。単純に、どうやって、遠くの部隊によって敵を砲撃して降伏 させるかを考えるだけでは不十分である。戦争計画は、敗北した政府から新政権へ移行させる方法も考えなければならない。超大国が知ろうとしない意向に基づ いたドクトリンは、この任務においては失敗するだろう。政権交代には、国家建設と平和維持が、手がつけられないほどもつれ合っている。これらの要素は、発 端からすべての計画に要素として入っているべきだ……

 

効 果的に政権を交代させるには、合衆国軍はできる限り素早く、継続的に敵の地域と大衆を進んで統制すべきである。この統制は、機械によって、ましては爆弾に よって達成されることはない。他の人間と交流している人間だけが、それを達成できるのだ。戦争という政治の延長における成功への望みは、転換問題へ人的な 要素を復活させることなのである。125

 

 アメリカ人は、歴史的に戦争は 政治の代用品だ考えてきたし、合衆国の軍隊は、先天的に戦争以外の軍事作戦を行うのを嫌がるようである。しかし、ケイガンの論文は、転換の構想のために陸 軍への定量的な投資を止めないことの重要性を強調している。実際に、現在と予想される状況における陸軍の最終兵力の増加の可能性は検討されるべきであろ う。

 

 最近定義され、実施されたテロ リズムとの世界規模の戦争は、戦略的に焦点が合っておらず、実行できること以上に期待されており、絶対無比の安全保障を求める、終わりがなく、見込みのな い探求を行うことにより、合衆国の軍事とその他の分野の資源を消散させる危機をはらんでいる。合衆国は、アルカイダを打ち負かし、殲滅することもできるか もしれない。しかし、それはテロリズムどころか、邪悪に満ちた世界を解放することはない。

 

参考文献

 

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16. Richard Falk, The Great Terror War, New York: Olive Branch Press, 2003,

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17. See James D. Kiras, “Terrorism and Irregular Warfare,” in James Baylis,

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20. Laqueur, p. 8.

 

21. Tony Judt, “America and the War,” in Robert B. Silvers and Barbara

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22. George W. Bush, The National Security Strategy of the United States of

America, Washington, DC: The White House, September 2002, p.5.

 

23. Ibid., p. 5.

 

24. Ibid., p. 13.

 

25. Ibid., p. 14.

 

26. Ibid.

 

27. Ibid., p. 15.

 

28. Ibid.

 

29. Ibid., p. iii.

 

30. West Point Speech.

 

31. Donald Rumsfeld, “The Price of Inaction Can Be Truly Catastrophic,”

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32. National Strategy for Combating Terrorism, p. 1.

 

33. Ibid.

 

34. Ibid., p. 2.

 

35. Ibid., p. 3.

 

36. Ibid., p. 8.

 

37. Ibid.

 

38. Ibid., p. 9.

 

39. Ibid., p. 13. Also see p. 9.

 

40. Ibid., p. 29.

 

41. Ibid., p. 30.

 

42. The National Security Strategy, p. 15.

 

43. Quoted in Mike Allen, “Bush: Hussein, Al Qaeda Linked,” Washington

Post, September 26, 2002.

 

44. All excerpts from President Bush’s news conference of March 6, 2003, are

extracted from the transcript reprinted in “’We’re Calling for a Vote’ at the U.N.,

Says Bush,” Washington Post, March 7, 2003.

 

45. Quoted in Dana Milbank and Claudia Deane, “Hussein Link to 9/11

Lingers in Many Minds,” Washington Post, September 6, 2003.

 

46. The National Security Strategy, p. 15.

 

47. Ibid.

 

48. See Rolf Ekeus, “Iraq’s Real Weapons Threat,” Washington Post, June 29,

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49. Condoleezza Rice, “Promoting the National Interest,” Foreign Affairs,

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50. See Richard K. Betts, “Suicide from Fear of Death?” Foreign Affairs,

January/February 2003, pp. 34-43; and John J. Mearsheimer and Stephen M.

Walt, “An Unnecessary War,” Foreign Policy, January/February 2003, pp. 50-59.

Mearsheimer and Walt point out that Saddam’s record in starting wars in the

region was no worse than that of Israel or Eqypt, and that his invasion of Iran

in 1980 was in part a defensive response to the Ayatollah Khomeini’s attempted

fomentation of an Iraqi Shiite rebellion to overthrow the Iraqi dictator. He also had

reason to believe that Iran, then in the throes of revolutionary turmoil, was weak

and vulnerable. In the case of Iraq’s invasion of Kuwait a decade later, Saddam

Hussein had little reason to believe that the United States would react the way it

did; indeed, the George H. W. Bush administration may have inadvertently given

Saddam a green or at least an ambiguous amber light. See the author’s Hollow

Victory, A Contrary View of the Gulf War, Washington, DC: Brassey’s, U.S., Inc.,

1993, pp. 23-34; and Janice Gross Stein, “Deterrence and Compellance in the Gulf,

1990-91,” International Security, Fall 1992, pp. 147-179.

 

51. According to the Defense Department’s offi cial defi nition of the term,

Operation IRAQI FREEDOM was a preventive war, which traditionally has been

indistinguishable from aggression, not a preemptive attack, which in contrast to

preventive war has international legal sanction under strict conditions. Preemption

is “an attack initiated on the basis of incontrovertible evidence that an enemy

attack is imminent.” Preventive war is “a war initiated in the belief that military

confl ict, while not imminent, is inevitable, and that to delay would involve greater

risk.” See Joint Publication 1-02, DOD Dictionary of Military and Associated Terms,

Washington, DC: Department of Defense, April 12, 2002, pp. 333, 336.

 

52. See, for example, Brent Scowcroft, “Don’t Attack Iraq,” Wall Street Journal,

August 15, 2002; and Madeleine K. Albright, “Where Iraq Fits In on the War on

Terror,” New York Times, September 13, 2002.

 

53. Jessica Stern, “How America Created a Terrorist Haven,” New York Times,

August 20, 2003.

 

54. Quoted in John Walcott, “Some in Administration Uneasy Over Bush

 

Speech,” Philadelphia Inquirer, September 19, 2003. September 19, 2003. Inquirer

 

55. National Strategy for Combating Terrorism, p. 15.

 

56. Ibid., pp. 23-24.

 

57. Quoted in Walter Pincus, “Wolfowitz: Iraq Key to War on Terrorism,”

Washington Post, July 28, 2003.

 

58. Condoleezza Rice, “Transforming the Middle East,” Washington Post,

August 7, 2003.

 

59. “In the President’s Words: ‘Free People Will Keep the Peace of the World.”

Transcript of President Bush’s speech to the American Enterprise Institute, AEI,

Washington, DC, February 26, 2002; New York Times, February 27, 2002. Also see

Philip H. Gordon, “Bush’s Middle East Vision,” Survival, Spring 2003, pp. 131-153;

and George Packer, “Dreaming of Democracy,” New York Times Magazine, March

2, 2003, pp. 44-49, 60, 90, 104.

 

60. Excerpted from the text of President Bush’s September 7, 2003, speech,

reprinted in “Bush: ‘We Will Do What Is Necessary’,” Washington Post, September

8, 2003.

 

61. National Strategy to Combat Weapons of Mass Destruction, Washington, DC:

The White House, December 2002, p. 1.

 

62. Ibid., p. 2.

 

63. The NPT regime is essentially a bargain between nuclear “haves” and

“have-nots.” In exchange for foreswearing development of nuclear weapons, the

have-nots obligate the haves to provide the knowledge and assistance to develop

nuclear energy for nonmilitary purposes, and in turn the have-nots agree to have

their programs inspected by the International Atomic Energy Agency. Inspections

are, however, conducted only at sites declared by the host state, thus permitting a

determined violator to launch a nuclear weapons program at a secret site. The NPT

regime and its associated efforts have been remarkably successful in retarding

nuclear weapons proliferation. Since 1968, only five states have acquired nuclear

weapons. Of the fi ve, three (Israel, India, and Pakistan) were not signatories to

the NPT, and one (South Africa) relinquished its weapons and joined the NPT.

The fifth (North Korea) has been twice caught cheating and has now entered

negotiations. Additionally, the United States has successfully encouraged several

states (Argentina, Brazil, South Korea, and Taiwan) to cease work on suspected

nuclear weapons programs and other states (Belarus, Kazakhstan, and Ukraine) to

give up nuclear weapons they inherited from the Soviet Union. The United States

has also extended nuclear deterrence to such key allies as Germany and Japan that

might otherwise have felt compelled to develop their own arsenals.

64. Quoted in Nicholas Lemann, “The War on What?” New Yorker, September

16, 2002, p. 41.

 

65. Quoted in Hoffman, pp. 11-12.

 

66. Jessica Stern, Terror in the Name of God, Why Religious Militants Kill, New

York: HarperCollins, 2003, p. 169.

 

67. Ibid., p. 14.

68. See Martha Crenshaw, “The Logic of Terrorism: Terrorist Behavior as the

Product of Strategic Choice,” in Howard and Sawyer, pp. 55-67.

 

69. D. Robert Worley, Waging Ancient War: Limits on Preemptive Force, Carlisle

Barracks, PA: Strategic Studies Institute, U.S. Army War College, February 2003,

p. 8.

 

70. See Fouad Ajami, “Iraq and the Arabs’ Future,” Foreign Affairs, January-

February 2003, pp. 2-18; Daniel L. Byman and Kenneth M. Pollack, “Democracy in

Iraq?” Washington Quarterly, Summer 2003, pp. 57-71; Adeed Darwaisha and Karen

Darwaisha, “How to Build a Democratic Iraq,” Foreign Affairs, May-June 2003, pp.

36-50; Sydney J. Freedberg, Jr., and Corine Hegland, “Reinventing Iraq,” National

Journal, March 22, 2003. http://ebird.dtic.mil/Mars003/s200300323165443.html; Victor

Davis Hanson, “Democracy in the Middle East,” Weekly Standard, October 21,

2002, pp. 23-26; Efraim Karsh, “Making Iraq Safe for Democracy,” Commentary,

November 2002, pp. 22-28; and Sandra Mackay, The Reckoning, Iraq and the Legacy

of Saddam Hussein, New York: W.W. Norton, 2002.

 

71. See Frederick W. Kagan, “War and Aftermath,” Policy Review, August and

September 2003, pp. 3-27; Anthony H. Cordesman, Iraq and Confl ict Termination:

The Road to Guerrilla War? Washington, DC: Center for Strategic and International

Studies, July 20, 2003; Gerard Baker and Stephen Fidler, “The Best Laid Plans?

How Turf Battles and Mistakes in Washington Dragged Down the Reconstruction

of Iraq,” Financial Times, August 4, 2003; Thomas L. Friedman, “Bad Planning,”

New York Times, June 25, 2003; Trudy Rubin, “Bush Never Made Serious Postwar

Plans,” Philadelphia Inquirer, June 26, 2003; and Peter Slevin and Vernon Loeb, June 26, 2003; and Peter Slevin and Vernon Loeb, Inquirer

“Plan to Secure Postwar Iraq Faulted,” Washington Post, May 19, 2003.

 

72. For examinations of U.S. postwar occupation policies in Germany and

Japan and their usefulness as analogies to postwar Iraq in 2003, see Robert Wolfe,

ed., Americans as Proconsuls: U.S. Military Government in Germany and Japan, 1944-

1952, Carbondale, IL: Southern Illinois University Press, 1977; John W. Dower,

Embracing Defeat, Japan in the Wake of World War II, New York: W. W. Norton

and Company, 1999; Conrad C. Crane and W. Andrew Terrill, Reconstructing

Iraq: Insights, Challenges, and Missions for Military Forces in a Post-Confl ict Scenario,

Carlisle Barracks, PA: Strategic Studies Institute, U.S. Army War College, February

2003, pp. 13-18; Douglas Porch, “Occupational Hazards, Myths of 1945 and

U.S. Iraq Policy,” The National Interest, September 2003, pp. 35-47; “Occupation

Preoccupation: Questions for John W. Dower,” The New York Times Magazine,

March 30, 2003, p. 9; and James Webb, “Heading for Trouble,” Washington Post,

September 4, 2002.

 

73. Condoleezza Rice, “Transforming the Middle East,” Washington Post,

August 7, 2003.

 

74. See Leonard B. Weinberg and William L. Bubank, “Terrorism and

Democracy: What Recent Events Disclose,” Terrorism and Political Violence, Spring

1988, pp. 108-118.

 

75. For examinations of religion-inspired terrorism, see Magnus Ranstorp,

“Terrorism in the Name of Religion,” and Mark Juergensmeyer, “The Logic of

Religious Violence,” in Howard and Sawyer, pp. 121-136, 136-155, respectively;

Daniel Benjamin and Steven Simon, The Age of Sacred Terror, New York: Random

House, 2002; and Stern, Terror in the Name of God, op.cit.

 

76. Gray, Maintaining Deterrence, pp. 28-29.

 

77. Paul K. Davis and Brian Michael Jenkins, Deterrence and Infl uence in

Counterterrorism, A Component in the War on al Qaeda, Santa Monica, CA: RAND,

2002, p. x1. Also see Daniel S. Gressgang, “Terrorism in the 21st Century:

Reassessing the Emerging Threat,” in Max G. Manwaring, ed., Deterrence in the

21st Century, Portland, OR: Frank Cass, 2001.

 

78. Charles Krauthammer, “The Obsolescence of Deterrence,” Weekly Standard,

December 9, 2002, p. 24. Also see Tod Lindberg, “Deterrence and Prevention,”

Weekly Standard, February 3, 2003, pp. 24-28.

 

79. Quoted in Michael Dobbs, “N. Korea Tests Bush’s Policy of Preemption,”

Washington Post, January 6, 2003. It is not clear that small and vulnerable nuclear

arsenals deter superpower military action. See Lyle J. Goldstein, “Do Nascent

WMD Arsenals Deter? The Sino-Soviet Crisis of 1969,” Political Science Quarterly,

Number 1, 2003, pp. 59-79.

 

80. Robin Cook, “Iraq’s Phantom Weapons and Iran,” New Perspectives

Quarterly, Summer 2003, p. 29.

 

81. See William Arkin, “Nuclear Warfare: Secret Plan Outlines the

Unthinkable,” Los Angeles Times, March 10, 2002. Also see sources cited in footnote

82.

 

82. See, for example, James Kitfield, “The Pros and Cons of New Nuclear

Weapons,” National Journal, August 9, 2003, http://ebird.dtic.mil/Aug2003/

s20030811207449.html; Robert W. Nelson, “Lowering the Threshold: Nuclear

Bunker Busters and Mininukes,” in Brian Alexander and Alistair Millar, eds.,

Tactical Nuclear Weapons, Emergent Threats in an Evolving Security Environment,

Washington, DC: Brassey’s, Inc., 2003, pp. 68-79; and George Perkovich, “Bush’s

Nuclear Revolution, A Regime Change in Nonproliferation,” Foreign Affairs,

March/April 2003, pp. 2-8.

 

83. Quoted in Kitfield.

 

84. Michael Ignatieff, “Why Are We in Iraq?” New York Times Magazine,

September 7, 2003, p. 71.

 

85. Conrad C. Crane and W. Andrew Terrill, Reconstructing Iraq: Insights,

Challenges, and Missions for Military Forces in a Post-Confl ict Scenario, Carlisle

Barracks, PA: Strategic Studies Institute, U.S. Army War College, February, 2003,

p. 17.

 

86. Ibid., pp. 18, 19.

 

87. See, for example, Robert Baer, “Where Do They Go From Here? We Pulled

Out of Beirut. We Can’t Abandon Iraq,” Washington Post, August 24, 2003; and

Foaud Ajami, “Beirut, Baghdad,” Wall Street Journal, August 25, 2003.

 

88. See Carolyn Skorneck, “GOP Starting to Waver on Support for Iraq,”

Congressional Quarterly Weekly, September 6, 2003, pp. 2134-2140.

 

89. “Bush: ‘We Will Do What Is Necessary’.”

 

90. Trudy Rubin, “More Than Soldiers Needed in Iraq,” Philadelphia Inquirer, Inquirer

August 29, 2003.

 

91. Vernon Loeb, “Number of Wounded in Action on the Rise,” Washington

Post, September 2, 2003.

 

92. Bradley Graham, “November Deadliest Month in Iraq,” Washington Post,

November 29, 2003.

 

93. Glenn Kessler and Mike Allen, “Bush to Seek $60 Billion or More for

Iraq,” Washington Post, September 4, 2003. Also see Richard W. Stevenson, “78% of

Bush’s Postwar Spending Plan is for the Military,” New York Times, September 9,

2003; and Warren Vieth and Esther Schrader, “Iraq Estimates Were Too Low, U.S.

Admits,” Los Angeles Times, September 9, 2003.

 

94. “Bush: ‘We’ll Do What Is Necessary’.”

 

95. Soni Effron, Robin Wright, and Janet Hook, “Quick Help with Iraq

Unlikely,” Los Angeles Times, September 12, 2003.

 

96. Neil King, Jr., and Chip Cummins, “The Postwar Bill for Iraq Surges Past

Projections,” Wall Street Journal, September 5, 2003.

 

97. Milbank and Deane.

 

98. See Lawrence F. Kaplan, “Willpower,” New Republic, September 8-15,

2003, http://ebird.dtic.mil/Sep2003/s20030902212602.html; and Christopher Gelpi

and Peter Feaver, Choosing Your Battles: American Civil-Military Relations and the

Use of Force. (Forthcoming)

 

99. See the author’s “Force Protection Fetishism: Sources, Consequences, and

(?) Solutions,” Aerospace Power Journal, Summer 2000, pp. 5-27.

 

100. Data contained in Richard Benedetto, “Most Say Iraq War Was Worth

Fighting,” USA Today, August 28, 2003.

 

101. Data contained in Jennifer Barrett, “When is Enough Enough?” MSNBC

http://www.msnbc.com/m/pt/printthis_main.asp?storyID+956458.

 

102. Rick Morin and Dan Balz, “Public Says $87 Billion Too Much,” Washington

Post, September 14, 2003.

 

103. Judy Keen, “Attacks Make It Hard to See Light at the End of the Tunnel,”

USA Today, November 3, 2003.

 

104. The Budget and Economic Outlook: An Update August 2003, Washington,

DC: Congressional Budget Offi ce, August 2003, p. 1, http://www.cbo.gov/showdoc.cf

m?index+4493&sequence+0.

 

105. “Deficit Delusions,” Washington Post, August 29, 2003. Also see Edmund

Andrews, “Congressional Deficit Estimate May Exceed a Half-Trillion,” New

York Times, August 26, 2003; Walter Shapiro, “Fiscal Recklessness Means More

Danger Ahead,” USA Today, August 27, 2003; Jonathan Weisman, “2004 Deficit

 

to Reach $480 Billion, Report Forecasts,” Washington Post, August 27, 2003; and

David Firestone, “Dizzying Dive to Red Ink Poses Stark Choices for Washington,”

Washington Post, September 14, 2003.

 

106. “Defi cit Delusions.”

 

107. Ibid.

 

108. Cited in Weisman.

109. See Peter Slevin and Dana Priest, “Wolfowitz Concedes Errors on Iraq,”

Washington Post, July 24, 2003; Thomas L. Friedman, “Bad Planning,” New York

Times, June 25, 2003; Trudy Rubin, “Bush Never Made Serious Postwar Plans,”

Philadelphia Inquirer, June 26, 2003; and Anthony H. Cordesman, June 26, 2003; and Anthony H. Cordesman, Inquirer Iraq and Conflict

Termination: The Road to Guerrilla War? Washington, DC: Center for Strategic and

International Studies, July 20, 2003.

 

110. Michael R. Gordon with Eric Schmitt, “U.S. Plans to Reduce Forces in

Iraq, With Help of Allies,” New York Times, May 3, 2003; and Michael R. Gordon,

“How Much Is Enough?” New York Times on the Web, May 3, 2003.

 

111. Michael R. Gordon, “Fear of Baghdad Unrest Prompts a Halt in Sending

U.S. Troops Home,” New York Times, May 15, 2003; and Michael R. Gordon, “Allies

to Retain Larger Force as Strife Persists,” New York Times, May 29, 2003.

 

112. Vernon Loeb, “Plan to Bolster Forces in Iraq is Unveiled,” Washington

Post, July 24, 2003.

 

113. Thom Shanker, “Officials Debate Whether to Seek a Bigger Military,”

New York Times, July 21, 2003.

 

114. See Mark Thompson and Michael Duffy, “Is the Army Stretched Too

Thin?” Time, September 1, 2003, http://ebird.dtic.mil/Aug2003/e20030825211191.html;

and John Hendren and Chris Kraul, “More Troops Needed, Analysts Insist,” Los

Angeles Times, August 20, 2003.

 

115. See Michael O’Hanlon, “Breaking the Army,” Washington Post, July

3, 2003, and “Do the Math: We Need More Boots on the Ground,” Los Angeles

Times, August 12, 2003; Fareed Zakaria, “Iraq Policy is Broken. Fix It,” Newsweek,

July 14, 2003, http://ebird.dtic.mil/Jul2003/e20030707198234.html; Michael Kramer,

“W and Rummy in Denial,” New York Daily News, July 7, 2003; Fred Kaplan,

“Blow-Back in Baghdad,” July 8, 2003, Slate.msn.com, http://ebird.dtic.mil/Jul2003/

s20030710199201.html; and Ron Hutcheson, “Bush Says Troop Size in Iraq Just

Fine,” Philadelphia Inquirer, July 3, 2003. July 3, 2003. Inquirer

 

116. Thomas E. Ricks and Jonathan Weisman, “Army Lacks Forces for Iraq

Mission, CBO Warns,” Washington Post, September 3, 2003; and Christopher

Cooper and John D. McKinnon, “U.S. Is Facing Tough Decisions on Iraq Troops,”

Wall Street Journal, September 3, 2003. Also see An Analysis of the U.S. Military’s

Ability to Sustain an Occupation of Iraq, Washington, DC: Congressional Budget

Office, September 3, 2003, pp. 3-7, http://www.cbo.gov/showdoc.cfm?index=4515&se

quence=0.

 

117. See Dana Milbank and Thomas E. Ricks, “Powell and Joint Chiefs

Nudged Bush Toward U.N.” Washington Post, September 4, 2003.

 

118. Felicity Barringer with David E. Sanger, “U.S. Drafts Plan for U.N. to

Back a Force for Iraq,” New York Times, September 4, 2003.

 

119. Gray, Maintaining Effective Deterrence, p. 10.

 

120. See note 41.

 

121. Emergency Responders: Drastically Underfunded, Dangerously Unprepared,

New York: Council on Foreign Relations, 2003, p. 1.

 

122. Frederick W. Kagan, “War and Aftermath,” Policy Review, August and

September 2003, p. 4.

 

123. Ibid., p. 5.

 

124. Ibid., p. 10.

 

125. Ibid., p. 27.