日本の予備役(自衛隊)制度を根本から変革


『 予 備 自 衛 官 補 』

新設・予備自衛官補が想定する新人事戦略。

 2002年1月15日、いよいよ新しい「予備自衛官補」の募集が始まった。私はこれこそ日本の予備役制度を根本から変革するパワーを秘めていると思う。

 簡単に説明すると、
従来の予備自衛官(5日間)や即応予備自衛官(30日間)は、自衛隊OBの中から希望者が任官していた。だから階級も退職した際の階級が与えられるし、長く勤務することで昇級することもあった。むろん有事などで召集命令が出た場合、正当な理由がなく拒否すれば逮捕され処罰が与えられる。( )は年間の召集訓練に日数。

 しかし
新しく始まった予備自衛官補は元自衛官である必要はない。年齢は18歳以上で34歳未満。3年間で50日(一般公募)の訓練に参加すればいい。階級は与えられないが、非常勤の特別職国家公務員としての身分は与えられ、手当ては訓練1日で7900円(日当)が支給される。3年が経過して無事終了すれば、希望者には予備自衛官として採用され2士の階級が与えられる。また予備自衛官補には有事の際の召集義務はない。まあアルバイト感覚というか、アウトドア感覚で自衛隊生活が体験できるのである。はっきりいって自衛隊が欲しいのは、大学生や専門学校生の予備自衛官補である。夏休みや冬休みを利用して、気楽に自衛隊生活を体験してくださいという狙いがある。(広報活動の面もある)

 「予備自衛官補」誕生の内情を説明すると、今の予備自衛官や即応予備自衛官は、不況の風を受けて人気がよくない。社会では労働力が余っている(失業者など)のに、自衛隊の訓練を理由に休暇を取り難いのが現状。「そんなに自衛隊が好きなら、会社を辞めて訓練に行ってくれ。働きたい人はいっぱいいる」なんて、リストラの対象になることだってある。予備自衛官の定員は陸上自衛隊が46000人、海上自衛隊が1000人、航空自衛隊が800人。即応予備自衛官は全部で5723人というのが現状である。

 
とくに自衛隊が今まで力を入れていたのは、即応予備自衛官の拡大だった。訓練日数が年間30日間といっても、土日を含ませて「水木金土日の5日間」で隔月(6ヶ月)行なえば、年間30日の訓練は可能と見積もっていた。また手当ても、本人には毎月16000円を支給、訓練日には10400円〜14200円の日当を払う。さらに即応予備自衛官を雇用している企業にも、雇用企業給付金として毎月42700円(年間約51万円)を支払うのである。さらに即応予備自衛官を3年間勤務すると、本人に12万円の報奨金が支払われる制度もあった。
 なのに即応予備自衛官は募集難に遭遇した。理由は不況ということになっているが、私は募集難の原因を雇用の現状を把握していない机上論だったからと見ている。有給休暇をとらないまでも、同僚が働いているのに、古巣の自衛隊に訓練を受けに行く者の気持ちを理解していない。おそらく背中に同僚の針のような視線を感じるはずだ。「あいつは訓練に行くと、自衛隊から多額の日当をもらっているそうだ」という、やっかみ半分の噂もされるだろう。そのような現実が考慮されていない。だから即応予備自衛官は人気が出なかったのである。

 
その反省から、予備自衛官補制度は誕生した。夏休みなど休みの長い学生を見逃す手はない。また、若者がサバイバル・ゲームに熱中するのを見て、それなら自衛隊で本物を教えてやろうか。そんな軽いノリなら若者に受けると思ったようだ。今回募集するのは、全員で260名である。北海道、東北、九州が各20名で、関東(甲信越を含む)と関西(中部、本州西部)が各100名で、合計260人である。これも大学生や専門学校生を意識した地方別の採用予定数である。

 3年が経過して、やがて予備自衛官補から予備自衛官になるものもいるだろう。また本職として自衛官の道に進むものもいるだろう。たとえ自衛官や予備自衛官にならなくとも、銃などが扱え、短期の軍事訓練で兵役可能な潜在人口を増やすことによって、日本の潜在防衛力を向上させることにもなる。また予備自衛官補を運用して見て、結果がよければアメリカのようにROTC(予備士官訓練過程)を創設する可能性もある。
これは意外なほど、応用範囲が広い予備役の人事戦略なのである。

 私は予備自衛官補制度の発足は、やがて自衛隊の人事面で画期的な改革を起こすエネルギーを秘めていると見ている。50日間の訓練期間中には、野営(キャンプ)や実弾射撃、ヘリや輸送機の体験搭乗、大規模な演習の見学など、大学や専門学校では体験できないことがいっぱい準備されている。

 アルバイト感覚、アウトドア感覚、サバイバル・ゲーム感覚などなど、そんな若者の予備自衛官補制度の応募をあなたは賛成ですか、反対ですか。 この「予備自衛官補」の制度が大ブレークすることだけは確かです。