ユーゴ空爆で証明した「情報の傘」に注目!


ますますアメリカの軍事支配が強化される時代がくる

情報を支配するものが、世界を支配する国際情勢

 1996年にジョセフ・ナイ氏とウィリアム・オーエンス氏が、外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」誌に書いた、「情報の傘」という言葉をご存知だろうか。同じような言葉に、「核の傘」という言葉がある。これはアメリカの同盟国に対し、もし核攻撃を受ければアメリカの核兵器のよって報復するという確約である。しかし全面核戦争では、アメリカ自国も核攻撃の被害にさらされることになる。もし敵の核攻撃が同盟国に限定されれば、アメリカは自滅につながる核報復を行わないという考えもあった。日本が「アメリカの核の傘」に守られていると安心は出来ないという意味である。しかし「情報の傘」とは、そのような防御を論じるような話しではない。

 さらに「核の傘」と違い、「情報の傘」とは通常戦力に及んでくる。実例をユーゴ空爆(99年)で見るなら、NATO軍のユーゴ空爆作戦では、目標の選定、目標位置の確認、戦果(破壊の程度)の確認などの情報収集は、ほとんどをアメリカ軍の偵察衛星やハイテク偵察機(無人機、電子戦情報収集機、JSTARSなど)で行われた。その情報でNATO軍は空爆を行うことが可能になった。別の見方をすれば、NATO軍はアメリカの指示で空爆を行ったということだ。単純に爆弾を攻撃機に搭載して出撃し、指定された目標に爆弾を投下して帰ってくる作業である。アメリカ軍以外にユーゴでの戦術情報を収集する能力がないからこうゆうことになる。

 これは戦術情報に限定されない。「情報の傘」はサイバー攻撃への対抗手段の有無、世界中の通信を傍受できるエシュロンの情報管理など、アメリカの世界戦略の優位性も確立させる力になる。また別な言い方をすれば、アメリカの支配に従わない国や組織は、アメリカの「情報の傘」を提供されないので、著しく不利な立場になるだろう。

 ゆえに「情報の傘」は敵対国より、アメリカの同盟国に対して強いプレシャーを持っている。ならば日本にはどういう選択があるか。それは日本独自の情報収集が及ばない地域の戦闘に参加しないことである。自衛隊の情報収集は極めて限定されている。その限定された能力以外の地域での戦闘は、自衛の範囲や自衛権の枠外と切り捨てることである。幸い、日本は集団的自衛権を認めていない。これを有効な盾にして、アメリカの「情報の傘」に入ることを拒否することだ。

 といっても海上自衛隊や航空自衛隊は、アメリカの「情報の傘」に入らなければ、にっちもさっちもゆかないように仕込まれてきた。陸上自衛隊も情報RMAで米軍との情報互換性を高めようとしている。さらに集団的自衛権の行使禁止もなし崩しされようとしている。

 ここで私が思うのは、日本の周辺に限定していいから、日本独自の情報収集の傘を持つことである。それは単に偵察衛星やハイテク偵察機を配備することではない。高い透明性を確立することである。特定の機種(攻撃能力を持たない)に限り、自国上空を開放するオープン・スカイ条約を周辺諸国と結ぶことも有効だ。

 一番重要なことは、日本は戦争を効率よく戦うために開発された「情報の傘」に、安易に依存しないことである。    あなたは「情報の傘」についてどう思いますか。