北朝鮮 「急激で危険を伴う変化がいつでも起こり得る」(テネットCIA長官の証言)の時期を検証する。

        2K年2月2日 米上院軍事委員会で証言 
 北朝鮮が外部の力ではなく、内部から崩壊するには、国民が現在の体制に不満を強めるとか、金正日に反発して蜂起することが考えられる。 特に父親の金日成ほどカリスマ性がなく、国民に誇るべき成果がないことが、金正日政権にとって最も問題である。

 私の知人の在日朝鮮人の一人は、
「父親〔金日成のこと)には世話になった。子供を学校にやるにも、商売を始めるにも、父親が資金を出してくれた。日本語が満足に話せない我々が、日本で成功できたのはあの父親のおかげだ。しかしあの息子には恩はない。金ばかり集めにくるだけだ。北朝鮮に家族で帰還した兄も、今は行方不明になってしまった。収容所に送られてしまったのかもしれない」と話すのを聞いたことがる。

 さて深刻な飢餓が伝えられる北朝鮮だが、今回はあえて
内部崩壊の時期についてだけ、若干の検証をおこなってみよう。まず北朝鮮の内部崩壊はいつでも起きる可能性があのは間違いない。食糧が不足した隣の部隊同士が、互いの食糧庫を襲って始まる崩壊もある。飢えた住民が、地元の食糧庫や裕福な家を襲って始まる崩壊もある。しかしあえて可能性の高い時期を検証するなら、4,5,6月が高くなる。

 その理由は、北朝鮮の冬は厳しく、人々の交通は冬になると制限を受ける。また冬は秋に収穫した穀物などの保存食糧が残っている場合が多い。しかし
4月になると、冬の寒さも緩み人々の活動も活発になる。乏しい保存食糧を食い尽くす時期である。都市の人々は農村や漁村に、食糧を求めて買出しに出かける時期である。そのような社会背景が、飢餓暴動の発生に高い可能性を示すのだ。春を乗りきって夏になれば、春に植えた食物が収穫できる時期になり、食糧に多少のゆとりが生まれる。秋は保存食糧の収穫である。となれば、4,5,6月に北朝鮮で、飢餓暴動が発生する可能性が高いことになる。北朝鮮当局もこの危険な時期になると、全国の部隊の警戒度を上げて、飢餓暴動が発生しても、全国に波及しないように押さえ込む体制をとるようである。もし韓国、アメリカ、中国、日本などが、北朝鮮の現体制との共存を図るなら、春の時期の食糧援助は最も重要である。逆にそれを止めれば、北朝鮮は必ず内部崩壊を始めることになる。中国は韓国に接近しながらも、もう少しは北朝鮮の体制維持を図るようである。しかしそれがいつまで続くか疑問である。アメリカの軍事的な影響を、東アジアから少しでも排除したいなら、北朝鮮への米軍配備は好ましいことではないからだ。

 さらに付け加えるなら、
北朝鮮で政権内部の勢力や、軍隊の一部が決起して行なうクーデターの可能性は、極めて低いと分析されている。その理由は、北朝鮮はそのような社会構成になっていないからだ。また国民も長い思想統制で、反政権組織や勢力を育成して、体制を崩壊さすような思考を育てられない。まだ付け加えるなら、太平洋戦争で都市が焼かれ、各戦線で玉砕が報じられても、日本に体制を崩壊させるような暴動は起きなかった。北朝鮮はかつての日本式の統治について、多くを学んで実践しているようだ。

 さらに詳しく検証してみたい人は、拙著
「北朝鮮 最終戦争 99の軍事機密」(二見書房刊 二見文庫)をお勧めする。
 この分析は2000年2月の初めに行なったものだが、4月になって南北首脳会談を行なうことが公表された。事態は大きく変化を始めている。今後の動きに注目したい。