地雷には大きく分けて、対戦車地雷と対人地雷の2種類がある。その他に埋設方法や感応法(初動や信管の発火機構)などで区別したり、本体が磁性体か非磁性体で区別する方法、それにハイテク化した地雷か安価な材料だけを使ったものかで区別する。しかしここではチェチェン武装勢力が入手でき、軽武装のゲリラでも運用が可能なスタンダードな対戦車地雷について解説する。
まず重さだが、普通は1個10キロ程度が標準である。だから兵士一名が2〜3個の対戦車地雷を徒歩で運ぶことができる。それを夜間などに、敵の戦車や軍用車両などが通過するような道路に埋設する。対戦車地雷は重さが150キロ程度以上の重量が加わらないと爆発しない。だから体重と戦闘装備の合計が90キロの兵士が踏んでも爆発しない。同じように掘り起こす際に、ゲリラ兵が踏んでも爆発しないという利点がある。だから地雷は頻繁に埋設したり、掘り起こしたりして移動できる兵器である。カンボジアではポル・ポト軍のゲリラ部隊が数個ずつ携帯し、夜間にはキャンプ地に接近する道路に仕掛け、朝になると掘り起こして移動を行なっていた。ゲリラはそのような対戦車地雷の使い方をするのが一般的である。またゲリラが活動している地域では、早朝の移動は避けるほうが賢明である。ゲリラが朝寝をしてしまって、昨夜埋めた地雷を掘り起こしていない場合がたまにあるからだ。
また最近の対戦車地雷は、数回の圧力で爆発するようにセットできるものがスタンダードになった。これは地雷処理車などによって、数回の圧力が加わっても爆発せず、敵の本隊が通過する際に爆発させるためである。以前は、地雷本体を強化プラスチックで覆って非磁性体として、敵の地雷探知を避ける方法が主流であった。しかし非磁性体の地雷が多く使われだすと、その対策として地面に圧力をかけて地雷を処理する地雷処理車が多く普及した。こんどはその地雷処理車対策として、数回の圧力を受けた後に爆発する信管が登場したのである。最近の傾向として、対戦車地雷の探知はさらに難しくなった。
対戦車地雷の火薬の量は5〜10キロ程度のものが主流だが、この火薬の量の爆発力であっても、重戦車クラスでキャタピラを切断する威力がある。装甲車なら大破させ、軍用トラックならバラバラになったのを目撃したことがある。 またカンボジアには地雷強盗をする連中がいた。山間部の道路に対戦車地雷を仕掛け、近くの物陰に隠れて待つ。そして走ってきた民間の車を爆破する。その車に乗っていた人から金品を強奪するのだ。当然ながら、被害にあった人は内臓が飛び出し、足や腕の骨が折れ、全身を血だらけにして横たわっている。その人の金を奪うのである。
さて気になる対戦車地雷のお値段だが、中東あたりの闇の兵器ブローカーを通じれば、新品で1個数十万円程度になってしまうが、東南アジアなどの国にいる悪徳将校なら1個数万円でトラ ック数台に積める分を平気で売るだろう。さらにチェチェン勢力を応援するイスラム諸国なら、数千個単位でチェチェン武装勢力にプレゼントしても不思議はない。まさかロシア軍の不良将軍たちが、小遣い稼ぎでチェチェン武装勢力に売るようなことはしなくても、ロシアのマフィアならロシア軍の対戦車地雷をチェチェンに売りつける可能性は高い。だから安価で大量に入手でき、使い方もいたって簡単で、威力の大きい対戦車地雷が、今後のチェチェン紛争の主役になる可能性を指摘するのだ。上の図は自衛隊の野戦築城で解説している対戦車地雷の構造図で、下の写真は陸上自衛隊が装備している対戦車地雷。しかしゲリラが使う対戦車地雷はこれほど高価で面倒な構造のものは必要がない。たとえ使用期限が切れていても、チェチェンのゲリラは喜んで買うだろう。下の写真2枚は、カンボジア西部の道路で地雷強盗にやられた車(左に横たわっているのは犠牲者)と、被害者の母と子供だが即死であった。地雷強盗は政府軍の兵士がやったもので、後続の車がすぐに現場に到着したので、この強盗は何も盗らずに逃げた。
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